自動車の前部構造
【課題】フェンダパネル、バンパフェースおよびヘッドランプユニットを適正に位置合わせた状態で安定して支持できるようにする。
【解決手段】自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2とヘッドランプユニット3とを有するとともに、上記フェンダパネル1の前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びるように設置された自動車の前部構造において、上記フェンダパネル1の裏面側に接合されるフェンダレインフォースメント6と、上記フェンダパネル1の前部を支持するシュラウド支持メンバ7等の車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部を位置決めして支持するバンパ支持部10とヘッドランプユニット3の前部を位置決めして支持するランプ支持部12とを設けた。
【解決手段】自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2とヘッドランプユニット3とを有するとともに、上記フェンダパネル1の前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びるように設置された自動車の前部構造において、上記フェンダパネル1の裏面側に接合されるフェンダレインフォースメント6と、上記フェンダパネル1の前部を支持するシュラウド支持メンバ7等の車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部を位置決めして支持するバンパ支持部10とヘッドランプユニット3の前部を位置決めして支持するランプ支持部12とを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネルおよびバンパフェースとヘッドランプユニットとを備えた自動車の前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車体に取り付けられるヘッドランプとバンパとを予め設定された相対位置関係に保持する保持部材を備えた車両用ランプおよびバンパ取付構造において、上記保持部材に、この保持部材を上記ヘッドランプに結合するためのランプ結合部と、上記保持部材を上記バンパに結合するためのバンパ結合部と、上記バンパへの衝撃入力時に破断してランプ側への衝撃の入力を防ぐ衝撃入力破断部とを設けることにより、ヘッドランプとバンパとの接合部の組立精度を確保し、両者を良好な位置関係に保ちながら、軽衝突時にヘッドランプを保護できるようにすることが行われている。
【特許文献1】特開平2004−322910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動車のデザイン性および空力特性等の観点から、前部車体を前窄まりの流線型に形成することにより、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネルの前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるように設置され、またヘッドランプユニットが年々、大型化される傾向がある。このような自動車では、上記特許文献1に係る構成を採用しても、上記フェンダパネル、ヘッドランプユニットおよびバンパフェースの三者を適正に位置合わせするとともに、これらを安定して支持することが困難であるという問題がある。
【0004】
すなわち、前部車体が前窄まりに形成されているため、上記フェンダパネルを支持するエプロンレインフォースメント等の車体側部材を車体の前端部まで延出させることが困難であり、このエプロンレインフォースメント等にバンパフェースの前端部およびヘッドランプユニットを適正に位置決めすることができないとともに、その支持剛性を充分に向上させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、自動車の外販意匠面を構成するフェンダパネル、バンパフェースおよびヘッドランプユニットを適正に位置合わせた状態で安定して支持することができる自動車の前部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、自動車の前部構造であって、ヘッドランプユニットと、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースと、自動車の外板意匠面を構成するとともに前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるフェンダパネルおよびその裏面側に接合されるフェンダレインフォースメントからなるフェンダと、上記フェンダパネルの前部を支持する車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部を位置決めして支持するバンパ支持部とヘッドランプユニットの前部を位置決めして支持するランプ支持部とが設けられたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車の前部構造において、バンパフェースの上端部に、車体の内方側に延びる水平面部が設けられ、この水平面部が差し込まれて係止される被係止部が上記フェンダレインフォースメントに設けられたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の自動車の前部構造において、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルが車体側部材とは別体に形成されるとともに、このシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバが車体側部材として設けられ、このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントが取り付けられたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の自動車の前部構造において、ヘッドランプユニットの前方内側部に、フェンダレインフォースメントの下方を通ってシュラウドパネルの設置部側に延出された構造体が設けられ、この構造体が、フェンダレインフォースメントに設けられた上記ランプ支持部に位置決めされて支持されたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載の自動車の前部構造において、シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部が設けられるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部が設けられたものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記請求項5に記載の自動車の前部構造において、フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間にフロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部が設けられたものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記請求項2記載の自動車の前部構造において、上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを規制する移動規制部が上記フェンダレインフォースメントに形成されたものである。
【0013】
請求項8に係る発明は、上記請求項7記載の自動車の前部構造において、上記バンパフェースに設けられた水平面部が載置される載置面部が上記フェンダレインフォースメントに形成されるとともに、この載置面部に、上記被係止部および移動規制部が設けられたものである。
【0014】
請求項9に係る発明は、上記請求項8記載の自動車の前部構造において、上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部の前端から下方に延びる傾斜面部が設けられたものである。
【0015】
請求項10に係る発明は、上記請求項9記載の自動車の前部構造において、ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、この載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部が形成され、かつ上記載置面部の外側端部には、後方に凹入する切欠き部が形成され、上記移動規制部が、上記水平面部の後方移動を規制する第1移動規制部と前方移動を規制する第2規制部とを有し、両移動規制部のいずれか一方が上記載置面の外側端部に跨って形成されるとともに、その前方側かつ内方側に両移動規制部の他方が形成され、かつ正面視において上記両移動規制部の一部が重複するように配設されたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、フェンダパネルの裏面側に接合されたフェンダレインフォースメントを、高剛性部材である車体側部材に位置決めして支持するとともに、上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部およびヘッドランプユニットの前部をそれぞれ支持するように構成したため、上記フェンダパネルを安定して車体に支持することができるとともに、このフェンダパネルの設置部を基準にして上記バンパフェースおよびヘッドランプユニットを適正に位置決めすることにより、これらの合い沿い性を充分に確保できるという利点がある。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記フェンダを補強するフェンダレインフォースメントの剛性を利用して上記バンパフェースの上端部が垂れ下がるのを防止した状態で支持することにより、このバンパフェースと上記フェンダパネルおよびヘッドランプユニットとの間に隙間が形成されるという事態の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバを車体側部材として設け、このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントを取り付けて支持するように構成したため、専用の支持ブラケット等を設けることなく、上記シュラウド支持メンバを利用してフェンダパネルの支持剛性を簡単かつ効果的に向上させることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、大型化のヘッドランプユニットが用いられている場合等においても、上記構造体を利用することにより、簡単な構成でヘッドランプユニットの前方内側部をフェンダレインフォースメントに安定して支持させることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部を設けるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部を設け、このバンパフェースを構造体に支持するようにしたため、上記フェンダパネル、バンパフェースおよびヘッドランプユニットを、より適正に位置決めした状態で、その支持剛性を効果的に向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間に、上記フロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部を設けたため、このフロントグリルを適正に位置決めすることにより、車体前面の外観を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを上記移動規制部により規制できるため、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースとヘッドランプユニットとの合い沿い性を確保して車体前面の外観をさらに効果的に向上させることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、フェンダレインフォースメントの加工時に上記被係止部および移動規制部を同時に形成することができるため、部品点数を増大させることなく、上記被係止部および移動規制部によりバンパフェースを適正に位置決めした状態で係止できるという利点がある。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、バンパフェースの組付作業を行う際に、その水平面部が上記傾斜面部に沿ってフェンダレインフォースメントの載置面部上に案内されるため、上記水平面部が載置面部の下方に潜り込むという不具合が生じるのを防止することができ、バンパフェースの組付性を効果的に向上させることができる。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、自動車のデザイン性および空力特性等の観点から前部車体を前窄まりの流線型に形成されるとともに、ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されることにより、上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部の前後幅が小さくならざるを得ない場合においても、上記第1移動規制部および第2規制部を可能な限り外側端部側に配設して上記水平面部の前後移動を効果的に規制できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および図2は、本発明に係る自動車の前部構造の実施形態を示している。この前部車体構造は、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2と、このフェンダパネル1の前方に配設されたヘッドランプユニット3とを有し、左右のフェンダパネル1の上端部間には、エンジンルームの上面を覆うボンネットフード4が設置されるとともに、上記バンパフェース2の上方部には、空気の導入口を有するフロントグリル5が配設されている。
【0027】
上記フェンダパネル1は、前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びる延出部1aを有している。この延出部1aの裏面側には、図3および図4に示すように、フェンダレインフォースメント6が配設されてスポット溶接等の手段で接合され、上記フェンダパネル1とフェンダレインフォースメント6とにより車体のフェンダが構成されている。そして、上記フェンダレインフォースメント6がシュラウド支持メンバ7からなる車体側部材に締結ボルト8を介して締結されることにより、上記フェンダパネル1の延出部1aがシュラウド支持メンバ7に位置決めされた状態で取り付けられるようになっている。
【0028】
上記フェンダレインフォースメント6は、上記締結ボルト8の挿通孔が形成された上壁部6aと、この上壁部6aの外側辺部から外方側に傾斜しつつ下向きに延設された側壁部6bと、この側壁部6bの下端部から車幅方向の外方側に突設された底壁部6cとを有している。そして、上記フェンダパネル1の上部内側辺から車幅方向の内方側に突設された上部フランジ1bが、上記フェンダレインフォースメント6の上壁部6aに設けられた被溶接部A,Cにスポット溶接されるとともに、上記フェンダパネル1の下部内側辺から車幅方向の内方側に向け突設された下部フランジ部1cが、上記フェンダレインフォースメント6の底壁部6cに設けられた被溶接部Bにスポット溶接されることにより、フェンダパネル1の裏面側に上記フェンダレインフォースメント6が接合されたフェンダが形成されている。
【0029】
上記フェンダレインフォースメント6の底壁部6cには、図5〜図7に示すように、上記バンパフェース2の上端部を位置決めした状態で締結する締結ボルト9の挿通孔を有するバンパ支持部10と、上記ヘッドランプユニット3用の位置決めファスナー20および締結ボルト11の挿通孔を有するランプ支持部12とが設けられている。また、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10には、バンパフェース2の上面外側端部に設けられた水平面部13が差し込まれる挿通孔と、この挿通孔に差し込まれた水平面部13の上面に圧接される係止片とからなる被係止部14が設けられ、かつ上記バンパフェース2の水平面部13が載置される載置面部が上記バンパ支持部10により形成されている。
【0030】
上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10からなる載置面部の外側端部には、上記バンパフェース2の外側端部に設けられた水平面部13に当接することにより、図12に示すように、上記水平面部13の後方移動を規制する半円球状の膨出部からなる第1移動規制部16aと、図7に示すように、上記バンパフェース2の上端部に設けられた係合孔15に係合されることにより、上記水平面部13の前方移動を規制する半円球状の膨出部からなる第2移動規制部16bとが突設されている。上記載置面部の外側端部に跨って上記第1移動規制部16aが形成されるとともに、その前方側かつ内方側に上記第2移動規制部16bが形成され、かつ正面視において両移動規制部16a,16bの一部が重複するように配設されている(図3および図5参照)。
【0031】
さらに、上記ヘッドランプユニット3が、バンパ支持部10からなる載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、上記載置面部その前端から下方に延びる傾斜面部6dが、上記載置面部の外側端部を除く部位に形成され、かつ上記載置面部(バンパ支持部10)の外側端部には、後方に凹入する切欠き部6eが形成されている。なお、上記フェンダレインフォースメント6の側壁部6bには、フェンダパネル1の下部フランジ部1cを上記底壁部6cにスポット溶接するための開口部17が形成されている。
【0032】
車体の前方部には、設置されるラジエータ等からなる熱交換器(図示せず)を支持するためのシュラウドパネル18が車体側部材とは別体に設けられるとともに、このシュラウドパネル18の上部側方が上記シュラウド支持メンバ7により支持されている。このシュラウド支持メンバ7は、図2、図3および図8に示すように、前部車体の側壁部を構成するエプロンパネル19の上部前端からヘッドランプユニット3の上部後方を通って車体の前方側に延びるように設置され、その前端部が図示を省略した支持脚体を介してフロントサイドフレーム21の前端部上面に支持されている。そして、上記シュラウド支持メンバ7の前端部には、上記フェンダレインフォースメント6を締結する締結ボルト8の締結部が設けられるとともに、その後方側には、上記シュラウドパネル18の上部側端に設けられた側端フランジ18aが締結ボルト23により締結される締結部が設けられている。
【0033】
上記ヘッドランプユニット3の内側端部には、フェンダレインフォースメント6の下方を通ってシュラウドパネル18側に延出する合成樹脂材からなるボックス状の構造体24が、ヘッドランプユニット3の後部ケースと一体に形成されている。この構造体24の基端側上壁部には、図9〜図11に示すように、上記位置決めファスナー20により位置決めされた状態で締結ボルト11を介してフェンダレインフォースメント6の底壁部6cに支持される第1締結部25が設けられるとともに、その先端部側(車幅方向の内方部側)には、締結ボルト26によりバンパフェース2の上部が締結される第2締結部(バンパ取付部)27が設けられている。
【0034】
また、上記構造体24の先端部下方には、締結ボルト28により上記シュラウドパネル18に締結される第3締結部29が突設されとともに、この第3締結部29と、上記第2締結部27との間には、締結ボルト30により上記シュラウドパネル18の側部前面に締結される第4締結部31が突設されている。そして、上記シュラウドパネル18の側部前面に突設された上記構造体24の支持部となる支持板32の下面に、上記構造体24の第3締結部29が重ねられた状態で(図8参照)、これらが上記締結ボルト28を介して締結されることにより、上記シュラウドパネル18の支持板32にヘッドランプユニット3の内側端部が支持されるようになっている。
【0035】
また、バンパフェース2の上端部には、図5に示すように、上記締結ボルト26により構造体24の第2締結部27からなるバンパ取付部に締結される取付フランジ33が上記水平面部13の車幅方向内方側において後方側に突設されている。この取付フランジ33には、図3および図11に示すように、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10に締結される締結ボルト9の挿通孔が形成されるとともに、上記フロントグリル5を位置決めして係止する位置決めファスナー34の挿通孔を有するグリル支持部36が、上記フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10と、上記構造体24のバンパ取付部(第2締結部27)との間に設けられている。
【0036】
そして、上記バンパフェース2の取付フランジ33上にフロントグリル5の上部側端を載置し、この取付フランジ33とフロントグリル5とを上記位置決めファスナー34により位置決めした状態で、上記締結ボルト26によって上記取付フランジ33とフロントグリル5とを一体に構造体24の第2締結部27に締結することにより、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10と、構造体24のバンパ取付部(第2締結部27)との間において、フロントグリル5がバンパフェース2に位置決めされた状態で支持されるようになっている。
【0037】
上記のように自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2とヘッドランプユニット3とを有するとともに、上記フェンダパネル1の前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びるように設置された自動車の前部構造において、上記フェンダパネル1の裏面側に接合されるフェンダレインフォースメント6と、上記フェンダパネル1の前部を支持するシュラウド支持メンバ7からなる車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部を位置決めして支持するバンパ支持部10とヘッドランプユニット3の前部を位置決めして支持するランプ支持部12とを設けたため、簡単な構成で上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置合わせた状態で安定して支持することができる。
【0038】
すなわち、フェンダパネル1の裏面側に接合されたフェンダレインフォースメント6を、高剛性部材である上記シュラウド支持メンバ7等からなる車体側部材に位置決めして支持させるとともに、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部およびヘッドランプユニット3の前部をそれぞれ支持するように構成したため、上記フェンダパネル1を安定して車体に支持させることができるとともに、このフェンダパネル1の設置部を基準にして上記バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置決めすることにより、これらの合い沿い性(連続性)を適正に確保できるという利点がある。したがって、前部車体が前窄まりに形成されることにより、上記フェンダパネル1を支持するエプロンパネル19等の車体側部材を車体の前端部まで延出させることが困難な自動車においても、上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置決めした状態で、その支持剛性を充分に向上させることができる。
【0039】
また、上記実施形態に示すように、バンパフェース2の上端部に、車体の内方側に延びる水平面部13を設け、この水平面部13が差し込まれて係止される被係止部14を、上記フェンダレインフォースメント6に設け、この被係止部14において上記水平面部13を支持するよう構成した場合には、上記シュラウド支持メンバ7からなる車体側部材に支持されたフェンダレインフォースメント6の剛性を利用して上記フェンダパネル1を補強することにより、このバンパフェース2の上端部が垂れ下がるのを防止できるため、このバンパフェース2と上記フェンダパネル1およびヘッドランプユニット3との間に隙間が形成されるという事態の発生を効果的に防止することができる。
【0040】
特に、上記実施形態では、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネル18を車体側部材とは別体に形成するとともに、このシュラウドパネル18の上部側方を支持するシュラウド支持メンバ7を車体側部材として設け、このシュラウド支持メンバ7に上記フェンダレインフォースメント6を取り付けて支持するように構成したため、専用の支持ブラケット等を設けることなく、上記シュラウド支持メンバ7を利用してフェンダパネル1の支持剛性を簡単かつ効果的に向上させることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、ヘッドランプユニット3の前方内側部に、フェンダレインフォースメント6の下方を通ってシュラウドパネル18の設置部側に延出された構造体24を設け、この構造体24の第1締結部25を、上記位置決めファスナー34により位置決めした状態で、上記締結ボルト11によりフェンダレインフォースメント6に設けられた上記ランプ支持部12に締結するように構成したため、大型化のヘッドランプユニット3が用いられている場合においても、上記構造体24を支持部材として利用することにより、簡単な構成でヘッドランプユニット3の前方内側部をフェンダレインフォースメント6に安定して支持させることができる。
【0042】
さらに、上記実施形態に示すように、シュラウドパネル18の側部に、上記構造体24を支持する支持板32からなる構造体支持部を設け、上記構造体24に設けられた第3締結部29を締結ボルト28により上記支持板32に締結するとともに、上記構造体24に、バンパフェース2が取り付けられる上記第2締結部27からなるバンパ取付部を設け、上記締結ボルト26によりバンパフェース2を構造体24に支持させるように場合には、上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を、より適正に位置決めした状態で、その支持剛性を効果的に向上させることができる。特に、上記実施形態では、構造体24の第2締結部27(バンパ取付部)と第3締結部29との間に、締結ボルト30により上記シュラウドパネル18の側部前面に締結される第4締結部31を設けたため、上記ヘッドランプユニット3の取付強度を、さらに効果的に向上させることができるが、上記第4締結部31を省略した構造としても、上記ヘッドランプユニット3の支持剛性を充分に確保可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10と、構造体24に設けられた第2締結部27からなるバンパ取付部との間に、上記位置決めファスナー34によりフロントグリル5を位置決めして支持するグリル支持部36を設けたため、このフロントグリル5を適正に位置決めすることにより、車体前面の外観を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0044】
また、上記実施形態に示すように、フェンダレインフォースメント6に形成された移動規制部16a,16bにより、上記バンパフェース2に設けられた水平面部13が車体の前後方向に移動するのを規制するように構成した場合には、上記バンパフェース2を正確に位置決めした状態で係止することができるため、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェース2とヘッドランプユニットとの合い沿い性を確保して車体前面の外観をさらに効果的に向上させることができる。
【0045】
特に、上記実施形態に示すように、バンパフェース2に設けられた水平面部13が載置されるバンパ支持部10からなる載置面部を上記フェンダレインフォースメント6に形成するとともに、この載置面部(バンパ支持部10)に、上記水平面部13の被係止部14および水平面部13の移動規制部16a,16bを設けた場合には、上記フェンダレインフォースメント6の加工時に上記被係止部14および移動規制部16a,16bを同時に形成することができるため、部品点数を増大させることなく、簡単な構成で上記バンパフェース2を適正に位置決めして係止できるとともに、ボルト等の締結具による組付性を考慮することなく、フェンダパネル1からなる意匠面の下方に上記移動規制部16a,16bを設置することが可能となる。
【0046】
また、上記実施形態では、フェンダレインフォースメント6に設けられた載置面部(バンパ支持部10)に、その前端から下方に延びる傾斜面部6dを設けたため、上記バンパフェース2の組付作業を行う際に、その水平面部13が上記傾斜面部6dに沿ってフェンダレインフォースメント6の載置面部上に案内されることになる。したがって、上記バンパフェース2の水平面部13をフェンダレインフォースメント6の載置面部上に載置する際に、上記水平面部13が、フェンダレインフォースメント6の載置面部の下方に潜り込むという不具合が生じるのを防止することきができ、これによって上記バンパフェース2の組付性を効果的に向上させることができる。
【0047】
さらに、上記実施形態に示すように、フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10からなる載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部6dを形成するとともに、上記載置面部の外側端部に、後方に凹入する切欠き部6eを形成し、上記水平面部13の後方移動を規制する第1移動規制部16aを上記載置面部の外側端部に跨って形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記水平面部13の前方移動を規制する第2移動規制部16bを形成し、かつ正面視において両移動規制部16a,16bの一部が重複するようにこれらを配設した場合には、自動車のデザイン性および空力特性等の観点から前部車体が前窄まりの流線型に形成されるとともに、ヘッドランプユニット3が上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設された車両においても、上記傾斜面部6dを設けることによりバンパフェース2の組付性を効果的に向上させるとともに、上記第1,第2移動規制部16a,16bによりバンパフェース2の水平面部13が前後移動するのを効果的に規制して車体前面の外観を効果的に向上させることができる。
【0048】
すなわち、上記のように前部車体が前窄まりの流線型に形成された車両では、上記ヘッドランプユニット3が上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設される傾向があり、この場合、上記載置面部の外側端部下方には、傾斜面部6dを設けるスペースを確保することが困難となる。一方、上記傾斜面部6dは、折曲げ成形により形成され、載置面部の前端から傾斜面部6dの上端に掛けて曲げアールが形成されるが、ここで傾斜面部6dが形成されない載置面部の外側端部については前方に延ばしすぎると、折曲げ成形の邪魔になることから後方に凹入する切欠き部6eを設ける必要があり、上記載置面部の外側端部は、その前後幅がさらに小さくなることが避けられない。上記載置面部の移動は、合い沿い性の点から載置面部の外側端部において行うことが望ましいが、上記理由に起因して上記載置面部の外側端部に第1,第2移動規制部16a,16bの設置スペースを確保することは困難となり、また、ボルト等の締結具を用いた場合、上記載置面部の外側端部下方には、その設置スペースがないという問題もある。これに対して上記実施形態に示すように、上記傾斜面部6dを設けることで、バンパフェース2の組付性を維持することが可能となるとともに、載置面部の外側端部に跨って第1移動規制部16aを形成し、その前方かつ内方に第2移動規制部16bを形成することで、水平面部13の前方移動および後方移動を効果的に抑制でき、特に第1移動規制部16aを外側端部に設けることで載置面部の移動を効果的に規制できるとともに、上記載置面部の下方に締結具の設置スペースを設ける必要もない。さらに、正面視において第2移動規制部16bの一部を第1移動規制部16aに重複させて配設することにより、載置面部の横幅をコンパクトに形成できるとともに、上記第2移動規制部16bも可能な限り外側端部よりに配設することができ、バンパフェース2の外側端部のフェンダパネル1およびヘッドランプとの合い沿い性をより向上させることができる。
【0049】
なお、上記載置面部の外側端部に跨って上記第1移動規制部16aを形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記第2規制部16bを形成した上記実施形態に代え、上記水平面部13の前方移動を規制する上記第2移動規制部16bを上記載置面部の外側端部に跨って形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記水平面部13の前方移動を規制する第1移動規制部16aを形成した構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】自動車の前部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自動車の前部構造の実施形態を示す平面図である。
【図3】バンパレインフォースメントの設置状態を示す平面図である。
【図4】フロントフェンダの取付状態を示す図2のIV−IV線断面図である。
【図5】バンパレインフォースメントおよびバンパフェースの構造を示す平面図である。
【図6】バンパフェースの取付状態を示す図5のVI−VI線断面図である。
【図7】バンパフェースの取付状態を示す図5のVII−VII線断面図である。
【図8】シュラウドパネルの取付状態を示す斜視図である。
【図9】構造体の構成を示す斜視図である。
【図10】フロントグリルの取付状態を図3のX−X線断面図である。
【図11】バンパフェースおよびフロントグリルの取付状態を図3のXI−XI線断面図である。
【図12】バンパフェースの取付状態を示す図5のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 フロントフェンダ
2 バンパフェース
3 ヘッドランプユニット
5 フロントグリル
6 フェンダレインフォースメント
6d 傾斜面部
6e 切欠き部
7 シュラウド支持メンバ
10 バンパ支持部(載置面部)
12 ランプ支持部
13 水平面部
14 被係止部
16a 第1移動規制部
16b 第2移動規制部
24 構造体
27 第2締結部(バンパ取付部)
32 支持板(構造体支持部)
36 グリル支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネルおよびバンパフェースとヘッドランプユニットとを備えた自動車の前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車体に取り付けられるヘッドランプとバンパとを予め設定された相対位置関係に保持する保持部材を備えた車両用ランプおよびバンパ取付構造において、上記保持部材に、この保持部材を上記ヘッドランプに結合するためのランプ結合部と、上記保持部材を上記バンパに結合するためのバンパ結合部と、上記バンパへの衝撃入力時に破断してランプ側への衝撃の入力を防ぐ衝撃入力破断部とを設けることにより、ヘッドランプとバンパとの接合部の組立精度を確保し、両者を良好な位置関係に保ちながら、軽衝突時にヘッドランプを保護できるようにすることが行われている。
【特許文献1】特開平2004−322910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動車のデザイン性および空力特性等の観点から、前部車体を前窄まりの流線型に形成することにより、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネルの前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるように設置され、またヘッドランプユニットが年々、大型化される傾向がある。このような自動車では、上記特許文献1に係る構成を採用しても、上記フェンダパネル、ヘッドランプユニットおよびバンパフェースの三者を適正に位置合わせするとともに、これらを安定して支持することが困難であるという問題がある。
【0004】
すなわち、前部車体が前窄まりに形成されているため、上記フェンダパネルを支持するエプロンレインフォースメント等の車体側部材を車体の前端部まで延出させることが困難であり、このエプロンレインフォースメント等にバンパフェースの前端部およびヘッドランプユニットを適正に位置決めすることができないとともに、その支持剛性を充分に向上させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、自動車の外販意匠面を構成するフェンダパネル、バンパフェースおよびヘッドランプユニットを適正に位置合わせた状態で安定して支持することができる自動車の前部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、自動車の前部構造であって、ヘッドランプユニットと、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースと、自動車の外板意匠面を構成するとともに前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるフェンダパネルおよびその裏面側に接合されるフェンダレインフォースメントからなるフェンダと、上記フェンダパネルの前部を支持する車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部を位置決めして支持するバンパ支持部とヘッドランプユニットの前部を位置決めして支持するランプ支持部とが設けられたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の自動車の前部構造において、バンパフェースの上端部に、車体の内方側に延びる水平面部が設けられ、この水平面部が差し込まれて係止される被係止部が上記フェンダレインフォースメントに設けられたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の自動車の前部構造において、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルが車体側部材とは別体に形成されるとともに、このシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバが車体側部材として設けられ、このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントが取り付けられたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項3記載の自動車の前部構造において、ヘッドランプユニットの前方内側部に、フェンダレインフォースメントの下方を通ってシュラウドパネルの設置部側に延出された構造体が設けられ、この構造体が、フェンダレインフォースメントに設けられた上記ランプ支持部に位置決めされて支持されたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載の自動車の前部構造において、シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部が設けられるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部が設けられたものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記請求項5に記載の自動車の前部構造において、フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間にフロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部が設けられたものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記請求項2記載の自動車の前部構造において、上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを規制する移動規制部が上記フェンダレインフォースメントに形成されたものである。
【0013】
請求項8に係る発明は、上記請求項7記載の自動車の前部構造において、上記バンパフェースに設けられた水平面部が載置される載置面部が上記フェンダレインフォースメントに形成されるとともに、この載置面部に、上記被係止部および移動規制部が設けられたものである。
【0014】
請求項9に係る発明は、上記請求項8記載の自動車の前部構造において、上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部の前端から下方に延びる傾斜面部が設けられたものである。
【0015】
請求項10に係る発明は、上記請求項9記載の自動車の前部構造において、ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、この載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部が形成され、かつ上記載置面部の外側端部には、後方に凹入する切欠き部が形成され、上記移動規制部が、上記水平面部の後方移動を規制する第1移動規制部と前方移動を規制する第2規制部とを有し、両移動規制部のいずれか一方が上記載置面の外側端部に跨って形成されるとともに、その前方側かつ内方側に両移動規制部の他方が形成され、かつ正面視において上記両移動規制部の一部が重複するように配設されたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、フェンダパネルの裏面側に接合されたフェンダレインフォースメントを、高剛性部材である車体側部材に位置決めして支持するとともに、上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部およびヘッドランプユニットの前部をそれぞれ支持するように構成したため、上記フェンダパネルを安定して車体に支持することができるとともに、このフェンダパネルの設置部を基準にして上記バンパフェースおよびヘッドランプユニットを適正に位置決めすることにより、これらの合い沿い性を充分に確保できるという利点がある。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記フェンダを補強するフェンダレインフォースメントの剛性を利用して上記バンパフェースの上端部が垂れ下がるのを防止した状態で支持することにより、このバンパフェースと上記フェンダパネルおよびヘッドランプユニットとの間に隙間が形成されるという事態の発生を効果的に抑制することができる。
【0018】
請求項3に係る発明では、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバを車体側部材として設け、このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントを取り付けて支持するように構成したため、専用の支持ブラケット等を設けることなく、上記シュラウド支持メンバを利用してフェンダパネルの支持剛性を簡単かつ効果的に向上させることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、大型化のヘッドランプユニットが用いられている場合等においても、上記構造体を利用することにより、簡単な構成でヘッドランプユニットの前方内側部をフェンダレインフォースメントに安定して支持させることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部を設けるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部を設け、このバンパフェースを構造体に支持するようにしたため、上記フェンダパネル、バンパフェースおよびヘッドランプユニットを、より適正に位置決めした状態で、その支持剛性を効果的に向上させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間に、上記フロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部を設けたため、このフロントグリルを適正に位置決めすることにより、車体前面の外観を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを上記移動規制部により規制できるため、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースとヘッドランプユニットとの合い沿い性を確保して車体前面の外観をさらに効果的に向上させることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、フェンダレインフォースメントの加工時に上記被係止部および移動規制部を同時に形成することができるため、部品点数を増大させることなく、上記被係止部および移動規制部によりバンパフェースを適正に位置決めした状態で係止できるという利点がある。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、バンパフェースの組付作業を行う際に、その水平面部が上記傾斜面部に沿ってフェンダレインフォースメントの載置面部上に案内されるため、上記水平面部が載置面部の下方に潜り込むという不具合が生じるのを防止することができ、バンパフェースの組付性を効果的に向上させることができる。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、自動車のデザイン性および空力特性等の観点から前部車体を前窄まりの流線型に形成されるとともに、ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されることにより、上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部の前後幅が小さくならざるを得ない場合においても、上記第1移動規制部および第2規制部を可能な限り外側端部側に配設して上記水平面部の前後移動を効果的に規制できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1および図2は、本発明に係る自動車の前部構造の実施形態を示している。この前部車体構造は、自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2と、このフェンダパネル1の前方に配設されたヘッドランプユニット3とを有し、左右のフェンダパネル1の上端部間には、エンジンルームの上面を覆うボンネットフード4が設置されるとともに、上記バンパフェース2の上方部には、空気の導入口を有するフロントグリル5が配設されている。
【0027】
上記フェンダパネル1は、前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びる延出部1aを有している。この延出部1aの裏面側には、図3および図4に示すように、フェンダレインフォースメント6が配設されてスポット溶接等の手段で接合され、上記フェンダパネル1とフェンダレインフォースメント6とにより車体のフェンダが構成されている。そして、上記フェンダレインフォースメント6がシュラウド支持メンバ7からなる車体側部材に締結ボルト8を介して締結されることにより、上記フェンダパネル1の延出部1aがシュラウド支持メンバ7に位置決めされた状態で取り付けられるようになっている。
【0028】
上記フェンダレインフォースメント6は、上記締結ボルト8の挿通孔が形成された上壁部6aと、この上壁部6aの外側辺部から外方側に傾斜しつつ下向きに延設された側壁部6bと、この側壁部6bの下端部から車幅方向の外方側に突設された底壁部6cとを有している。そして、上記フェンダパネル1の上部内側辺から車幅方向の内方側に突設された上部フランジ1bが、上記フェンダレインフォースメント6の上壁部6aに設けられた被溶接部A,Cにスポット溶接されるとともに、上記フェンダパネル1の下部内側辺から車幅方向の内方側に向け突設された下部フランジ部1cが、上記フェンダレインフォースメント6の底壁部6cに設けられた被溶接部Bにスポット溶接されることにより、フェンダパネル1の裏面側に上記フェンダレインフォースメント6が接合されたフェンダが形成されている。
【0029】
上記フェンダレインフォースメント6の底壁部6cには、図5〜図7に示すように、上記バンパフェース2の上端部を位置決めした状態で締結する締結ボルト9の挿通孔を有するバンパ支持部10と、上記ヘッドランプユニット3用の位置決めファスナー20および締結ボルト11の挿通孔を有するランプ支持部12とが設けられている。また、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10には、バンパフェース2の上面外側端部に設けられた水平面部13が差し込まれる挿通孔と、この挿通孔に差し込まれた水平面部13の上面に圧接される係止片とからなる被係止部14が設けられ、かつ上記バンパフェース2の水平面部13が載置される載置面部が上記バンパ支持部10により形成されている。
【0030】
上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10からなる載置面部の外側端部には、上記バンパフェース2の外側端部に設けられた水平面部13に当接することにより、図12に示すように、上記水平面部13の後方移動を規制する半円球状の膨出部からなる第1移動規制部16aと、図7に示すように、上記バンパフェース2の上端部に設けられた係合孔15に係合されることにより、上記水平面部13の前方移動を規制する半円球状の膨出部からなる第2移動規制部16bとが突設されている。上記載置面部の外側端部に跨って上記第1移動規制部16aが形成されるとともに、その前方側かつ内方側に上記第2移動規制部16bが形成され、かつ正面視において両移動規制部16a,16bの一部が重複するように配設されている(図3および図5参照)。
【0031】
さらに、上記ヘッドランプユニット3が、バンパ支持部10からなる載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、上記載置面部その前端から下方に延びる傾斜面部6dが、上記載置面部の外側端部を除く部位に形成され、かつ上記載置面部(バンパ支持部10)の外側端部には、後方に凹入する切欠き部6eが形成されている。なお、上記フェンダレインフォースメント6の側壁部6bには、フェンダパネル1の下部フランジ部1cを上記底壁部6cにスポット溶接するための開口部17が形成されている。
【0032】
車体の前方部には、設置されるラジエータ等からなる熱交換器(図示せず)を支持するためのシュラウドパネル18が車体側部材とは別体に設けられるとともに、このシュラウドパネル18の上部側方が上記シュラウド支持メンバ7により支持されている。このシュラウド支持メンバ7は、図2、図3および図8に示すように、前部車体の側壁部を構成するエプロンパネル19の上部前端からヘッドランプユニット3の上部後方を通って車体の前方側に延びるように設置され、その前端部が図示を省略した支持脚体を介してフロントサイドフレーム21の前端部上面に支持されている。そして、上記シュラウド支持メンバ7の前端部には、上記フェンダレインフォースメント6を締結する締結ボルト8の締結部が設けられるとともに、その後方側には、上記シュラウドパネル18の上部側端に設けられた側端フランジ18aが締結ボルト23により締結される締結部が設けられている。
【0033】
上記ヘッドランプユニット3の内側端部には、フェンダレインフォースメント6の下方を通ってシュラウドパネル18側に延出する合成樹脂材からなるボックス状の構造体24が、ヘッドランプユニット3の後部ケースと一体に形成されている。この構造体24の基端側上壁部には、図9〜図11に示すように、上記位置決めファスナー20により位置決めされた状態で締結ボルト11を介してフェンダレインフォースメント6の底壁部6cに支持される第1締結部25が設けられるとともに、その先端部側(車幅方向の内方部側)には、締結ボルト26によりバンパフェース2の上部が締結される第2締結部(バンパ取付部)27が設けられている。
【0034】
また、上記構造体24の先端部下方には、締結ボルト28により上記シュラウドパネル18に締結される第3締結部29が突設されとともに、この第3締結部29と、上記第2締結部27との間には、締結ボルト30により上記シュラウドパネル18の側部前面に締結される第4締結部31が突設されている。そして、上記シュラウドパネル18の側部前面に突設された上記構造体24の支持部となる支持板32の下面に、上記構造体24の第3締結部29が重ねられた状態で(図8参照)、これらが上記締結ボルト28を介して締結されることにより、上記シュラウドパネル18の支持板32にヘッドランプユニット3の内側端部が支持されるようになっている。
【0035】
また、バンパフェース2の上端部には、図5に示すように、上記締結ボルト26により構造体24の第2締結部27からなるバンパ取付部に締結される取付フランジ33が上記水平面部13の車幅方向内方側において後方側に突設されている。この取付フランジ33には、図3および図11に示すように、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10に締結される締結ボルト9の挿通孔が形成されるとともに、上記フロントグリル5を位置決めして係止する位置決めファスナー34の挿通孔を有するグリル支持部36が、上記フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10と、上記構造体24のバンパ取付部(第2締結部27)との間に設けられている。
【0036】
そして、上記バンパフェース2の取付フランジ33上にフロントグリル5の上部側端を載置し、この取付フランジ33とフロントグリル5とを上記位置決めファスナー34により位置決めした状態で、上記締結ボルト26によって上記取付フランジ33とフロントグリル5とを一体に構造体24の第2締結部27に締結することにより、上記フェンダレインフォースメント6のバンパ支持部10と、構造体24のバンパ取付部(第2締結部27)との間において、フロントグリル5がバンパフェース2に位置決めされた状態で支持されるようになっている。
【0037】
上記のように自動車の外板意匠面を構成するフェンダパネル1およびバンパフェース2とヘッドランプユニット3とを有するとともに、上記フェンダパネル1の前端がヘッドランプユニット3の内側部を通ってバンパフェース2の上端部まで延びるように設置された自動車の前部構造において、上記フェンダパネル1の裏面側に接合されるフェンダレインフォースメント6と、上記フェンダパネル1の前部を支持するシュラウド支持メンバ7からなる車体側部材とを備え、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部を位置決めして支持するバンパ支持部10とヘッドランプユニット3の前部を位置決めして支持するランプ支持部12とを設けたため、簡単な構成で上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置合わせた状態で安定して支持することができる。
【0038】
すなわち、フェンダパネル1の裏面側に接合されたフェンダレインフォースメント6を、高剛性部材である上記シュラウド支持メンバ7等からなる車体側部材に位置決めして支持させるとともに、上記フェンダレインフォースメント6に、バンパフェース2の上端部およびヘッドランプユニット3の前部をそれぞれ支持するように構成したため、上記フェンダパネル1を安定して車体に支持させることができるとともに、このフェンダパネル1の設置部を基準にして上記バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置決めすることにより、これらの合い沿い性(連続性)を適正に確保できるという利点がある。したがって、前部車体が前窄まりに形成されることにより、上記フェンダパネル1を支持するエプロンパネル19等の車体側部材を車体の前端部まで延出させることが困難な自動車においても、上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を適正に位置決めした状態で、その支持剛性を充分に向上させることができる。
【0039】
また、上記実施形態に示すように、バンパフェース2の上端部に、車体の内方側に延びる水平面部13を設け、この水平面部13が差し込まれて係止される被係止部14を、上記フェンダレインフォースメント6に設け、この被係止部14において上記水平面部13を支持するよう構成した場合には、上記シュラウド支持メンバ7からなる車体側部材に支持されたフェンダレインフォースメント6の剛性を利用して上記フェンダパネル1を補強することにより、このバンパフェース2の上端部が垂れ下がるのを防止できるため、このバンパフェース2と上記フェンダパネル1およびヘッドランプユニット3との間に隙間が形成されるという事態の発生を効果的に防止することができる。
【0040】
特に、上記実施形態では、車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネル18を車体側部材とは別体に形成するとともに、このシュラウドパネル18の上部側方を支持するシュラウド支持メンバ7を車体側部材として設け、このシュラウド支持メンバ7に上記フェンダレインフォースメント6を取り付けて支持するように構成したため、専用の支持ブラケット等を設けることなく、上記シュラウド支持メンバ7を利用してフェンダパネル1の支持剛性を簡単かつ効果的に向上させることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、ヘッドランプユニット3の前方内側部に、フェンダレインフォースメント6の下方を通ってシュラウドパネル18の設置部側に延出された構造体24を設け、この構造体24の第1締結部25を、上記位置決めファスナー34により位置決めした状態で、上記締結ボルト11によりフェンダレインフォースメント6に設けられた上記ランプ支持部12に締結するように構成したため、大型化のヘッドランプユニット3が用いられている場合においても、上記構造体24を支持部材として利用することにより、簡単な構成でヘッドランプユニット3の前方内側部をフェンダレインフォースメント6に安定して支持させることができる。
【0042】
さらに、上記実施形態に示すように、シュラウドパネル18の側部に、上記構造体24を支持する支持板32からなる構造体支持部を設け、上記構造体24に設けられた第3締結部29を締結ボルト28により上記支持板32に締結するとともに、上記構造体24に、バンパフェース2が取り付けられる上記第2締結部27からなるバンパ取付部を設け、上記締結ボルト26によりバンパフェース2を構造体24に支持させるように場合には、上記フェンダパネル1、バンパフェース2およびヘッドランプユニット3を、より適正に位置決めした状態で、その支持剛性を効果的に向上させることができる。特に、上記実施形態では、構造体24の第2締結部27(バンパ取付部)と第3締結部29との間に、締結ボルト30により上記シュラウドパネル18の側部前面に締結される第4締結部31を設けたため、上記ヘッドランプユニット3の取付強度を、さらに効果的に向上させることができるが、上記第4締結部31を省略した構造としても、上記ヘッドランプユニット3の支持剛性を充分に確保可能である。
【0043】
また、上記実施形態では、フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10と、構造体24に設けられた第2締結部27からなるバンパ取付部との間に、上記位置決めファスナー34によりフロントグリル5を位置決めして支持するグリル支持部36を設けたため、このフロントグリル5を適正に位置決めすることにより、車体前面の外観を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0044】
また、上記実施形態に示すように、フェンダレインフォースメント6に形成された移動規制部16a,16bにより、上記バンパフェース2に設けられた水平面部13が車体の前後方向に移動するのを規制するように構成した場合には、上記バンパフェース2を正確に位置決めした状態で係止することができるため、自動車の外板意匠面を構成するバンパフェース2とヘッドランプユニットとの合い沿い性を確保して車体前面の外観をさらに効果的に向上させることができる。
【0045】
特に、上記実施形態に示すように、バンパフェース2に設けられた水平面部13が載置されるバンパ支持部10からなる載置面部を上記フェンダレインフォースメント6に形成するとともに、この載置面部(バンパ支持部10)に、上記水平面部13の被係止部14および水平面部13の移動規制部16a,16bを設けた場合には、上記フェンダレインフォースメント6の加工時に上記被係止部14および移動規制部16a,16bを同時に形成することができるため、部品点数を増大させることなく、簡単な構成で上記バンパフェース2を適正に位置決めして係止できるとともに、ボルト等の締結具による組付性を考慮することなく、フェンダパネル1からなる意匠面の下方に上記移動規制部16a,16bを設置することが可能となる。
【0046】
また、上記実施形態では、フェンダレインフォースメント6に設けられた載置面部(バンパ支持部10)に、その前端から下方に延びる傾斜面部6dを設けたため、上記バンパフェース2の組付作業を行う際に、その水平面部13が上記傾斜面部6dに沿ってフェンダレインフォースメント6の載置面部上に案内されることになる。したがって、上記バンパフェース2の水平面部13をフェンダレインフォースメント6の載置面部上に載置する際に、上記水平面部13が、フェンダレインフォースメント6の載置面部の下方に潜り込むという不具合が生じるのを防止することきができ、これによって上記バンパフェース2の組付性を効果的に向上させることができる。
【0047】
さらに、上記実施形態に示すように、フェンダレインフォースメント6に設けられたバンパ支持部10からなる載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部6dを形成するとともに、上記載置面部の外側端部に、後方に凹入する切欠き部6eを形成し、上記水平面部13の後方移動を規制する第1移動規制部16aを上記載置面部の外側端部に跨って形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記水平面部13の前方移動を規制する第2移動規制部16bを形成し、かつ正面視において両移動規制部16a,16bの一部が重複するようにこれらを配設した場合には、自動車のデザイン性および空力特性等の観点から前部車体が前窄まりの流線型に形成されるとともに、ヘッドランプユニット3が上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設された車両においても、上記傾斜面部6dを設けることによりバンパフェース2の組付性を効果的に向上させるとともに、上記第1,第2移動規制部16a,16bによりバンパフェース2の水平面部13が前後移動するのを効果的に規制して車体前面の外観を効果的に向上させることができる。
【0048】
すなわち、上記のように前部車体が前窄まりの流線型に形成された車両では、上記ヘッドランプユニット3が上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設される傾向があり、この場合、上記載置面部の外側端部下方には、傾斜面部6dを設けるスペースを確保することが困難となる。一方、上記傾斜面部6dは、折曲げ成形により形成され、載置面部の前端から傾斜面部6dの上端に掛けて曲げアールが形成されるが、ここで傾斜面部6dが形成されない載置面部の外側端部については前方に延ばしすぎると、折曲げ成形の邪魔になることから後方に凹入する切欠き部6eを設ける必要があり、上記載置面部の外側端部は、その前後幅がさらに小さくなることが避けられない。上記載置面部の移動は、合い沿い性の点から載置面部の外側端部において行うことが望ましいが、上記理由に起因して上記載置面部の外側端部に第1,第2移動規制部16a,16bの設置スペースを確保することは困難となり、また、ボルト等の締結具を用いた場合、上記載置面部の外側端部下方には、その設置スペースがないという問題もある。これに対して上記実施形態に示すように、上記傾斜面部6dを設けることで、バンパフェース2の組付性を維持することが可能となるとともに、載置面部の外側端部に跨って第1移動規制部16aを形成し、その前方かつ内方に第2移動規制部16bを形成することで、水平面部13の前方移動および後方移動を効果的に抑制でき、特に第1移動規制部16aを外側端部に設けることで載置面部の移動を効果的に規制できるとともに、上記載置面部の下方に締結具の設置スペースを設ける必要もない。さらに、正面視において第2移動規制部16bの一部を第1移動規制部16aに重複させて配設することにより、載置面部の横幅をコンパクトに形成できるとともに、上記第2移動規制部16bも可能な限り外側端部よりに配設することができ、バンパフェース2の外側端部のフェンダパネル1およびヘッドランプとの合い沿い性をより向上させることができる。
【0049】
なお、上記載置面部の外側端部に跨って上記第1移動規制部16aを形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記第2規制部16bを形成した上記実施形態に代え、上記水平面部13の前方移動を規制する上記第2移動規制部16bを上記載置面部の外側端部に跨って形成するとともに、その前方側かつ内方側に上記水平面部13の前方移動を規制する第1移動規制部16aを形成した構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】自動車の前部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る自動車の前部構造の実施形態を示す平面図である。
【図3】バンパレインフォースメントの設置状態を示す平面図である。
【図4】フロントフェンダの取付状態を示す図2のIV−IV線断面図である。
【図5】バンパレインフォースメントおよびバンパフェースの構造を示す平面図である。
【図6】バンパフェースの取付状態を示す図5のVI−VI線断面図である。
【図7】バンパフェースの取付状態を示す図5のVII−VII線断面図である。
【図8】シュラウドパネルの取付状態を示す斜視図である。
【図9】構造体の構成を示す斜視図である。
【図10】フロントグリルの取付状態を図3のX−X線断面図である。
【図11】バンパフェースおよびフロントグリルの取付状態を図3のXI−XI線断面図である。
【図12】バンパフェースの取付状態を示す図5のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 フロントフェンダ
2 バンパフェース
3 ヘッドランプユニット
5 フロントグリル
6 フェンダレインフォースメント
6d 傾斜面部
6e 切欠き部
7 シュラウド支持メンバ
10 バンパ支持部(載置面部)
12 ランプ支持部
13 水平面部
14 被係止部
16a 第1移動規制部
16b 第2移動規制部
24 構造体
27 第2締結部(バンパ取付部)
32 支持板(構造体支持部)
36 グリル支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の前部構造であって、
ヘッドランプユニットと、
自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースと
自動車の外板意匠面を構成するとともに前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるフェンダパネルおよびその裏面側に接合されるフェンダレインフォースメントからなるフェンダと、
上記フェンダパネルの前部を支持する車体側部材とを備え、
上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部を位置決めして支持するバンパ支持部とヘッドランプユニットの前部を位置決めして支持するランプ支持部とが設けられたことを特徴とする自動車の前部構造。
【請求項2】
バンパフェースの上端部に、車体の内方側に延びる水平面部が設けられ、この水平面部が差し込まれて係止される被係止部が上記フェンダレインフォースメントに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルが車体側部材とは別体に形成されるとともに、
このシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバが車体側部材として設けられ、
このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントが取り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
ヘッドランプユニットの前方内側部に、フェンダレインフォースメントの下方を通ってシュラウドパネルの設置部側に延出された構造体が設けられ、
この構造体が、フェンダレインフォースメントに設けられた上記ランプ支持部に位置決めされて支持されたことを特徴とする請求項3記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部が設けられるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部が設けられたことを特徴とする請求項4記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間にフロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の自動車の前部構造。
【請求項7】
上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを規制する移動規制部が上記フェンダレインフォースメントに形成されたことを特徴とする請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
上記バンパフェースに設けられた水平面部が載置される載置面部が上記フェンダレインフォースメントに形成されるとともに、この載置面部に、上記被係止部および移動規制部が設けられたことを特徴とする請求項7記載の自動車の前部構造。
【請求項9】
上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部に、その前端から下方に延びる傾斜面部が設けられたことを特徴とする請求項8記載の自動車の前部構造。
【請求項10】
ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、この載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部が形成され、かつ上記載置面部の外側端部には、後方に凹入する切欠き部が形成され、
上記移動規制部が、上記水平面部の後方移動を規制する第1移動規制部と前方移動を規制する第2規制部とを有し、両移動規制部のいずれか一方が上記載置面部の外側端部に跨って形成されるとともに、その前方側かつ内方側に両移動規制部の他方が形成され、かつ正面視において上記両移動規制部の一部が重複するように配設されたことを特徴とする請求項9記載の自動車の前部構造。
【請求項1】
自動車の前部構造であって、
ヘッドランプユニットと、
自動車の外板意匠面を構成するバンパフェースと
自動車の外板意匠面を構成するとともに前端がヘッドランプユニットの内側部を通ってバンパフェースの上端部まで延びるフェンダパネルおよびその裏面側に接合されるフェンダレインフォースメントからなるフェンダと、
上記フェンダパネルの前部を支持する車体側部材とを備え、
上記フェンダレインフォースメントに、バンパフェースの上端部を位置決めして支持するバンパ支持部とヘッドランプユニットの前部を位置決めして支持するランプ支持部とが設けられたことを特徴とする自動車の前部構造。
【請求項2】
バンパフェースの上端部に、車体の内方側に延びる水平面部が設けられ、この水平面部が差し込まれて係止される被係止部が上記フェンダレインフォースメントに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
車体の前方部に配設される熱交換器を支持するシュラウドパネルが車体側部材とは別体に形成されるとともに、
このシュラウドパネルの上部側方を支持するシュラウド支持メンバが車体側部材として設けられ、
このシュラウド支持メンバに上記フェンダレインフォースメントが取り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
ヘッドランプユニットの前方内側部に、フェンダレインフォースメントの下方を通ってシュラウドパネルの設置部側に延出された構造体が設けられ、
この構造体が、フェンダレインフォースメントに設けられた上記ランプ支持部に位置決めされて支持されたことを特徴とする請求項3記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
シュラウドパネルの側部に、上記構造体を支持する構造体支持部が設けられるとともに、上記構造体に、バンパフェースが取り付けられるバンパ取付部が設けられたことを特徴とする請求項4記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
フェンダレインフォースメントに設けられたバンパ支持部と、構造体に設けられたバンパ取付部との間にフロントグリルを位置決めして支持するグリル支持部が設けられたことを特徴とする請求項5に記載の自動車の前部構造。
【請求項7】
上記バンパフェースに設けられた水平面部の外側端部が車体の前後方向に移動するのを規制する移動規制部が上記フェンダレインフォースメントに形成されたことを特徴とする請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
上記バンパフェースに設けられた水平面部が載置される載置面部が上記フェンダレインフォースメントに形成されるとともに、この載置面部に、上記被係止部および移動規制部が設けられたことを特徴とする請求項7記載の自動車の前部構造。
【請求項9】
上記フェンダレインフォースメントに設けられた載置面部に、その前端から下方に延びる傾斜面部が設けられたことを特徴とする請求項8記載の自動車の前部構造。
【請求項10】
ヘッドランプユニットが上記載置面部の外側端部下方に隣接して配設されるとともに、この載置面部の外側端部を除く部位に上記傾斜面部が形成され、かつ上記載置面部の外側端部には、後方に凹入する切欠き部が形成され、
上記移動規制部が、上記水平面部の後方移動を規制する第1移動規制部と前方移動を規制する第2規制部とを有し、両移動規制部のいずれか一方が上記載置面部の外側端部に跨って形成されるとともに、その前方側かつ内方側に両移動規制部の他方が形成され、かつ正面視において上記両移動規制部の一部が重複するように配設されたことを特徴とする請求項9記載の自動車の前部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−13166(P2008−13166A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131922(P2007−131922)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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