説明

薄膜トランジスタ及びそれを利用した圧力センサー

【課題】本発明は、薄膜トランジスタ及びそれを利用した圧力センサーに関する。
ものである。
【解決手段】本発明の薄膜トランジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、ゲート電極と、絶縁層と、を含む。前記ソース電極は、前記ドレイン電極と間隔をあけて設置される。前記半導体層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極にそれぞれ電気的に接続される。前記半導体層は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層である。前記高分子複合材料層は、高分子基材及び該高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブからなる。前記ゲート電極は、前記絶縁層により、前記半導体層、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と絶縁状態で設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ及びそれを利用した圧力センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)は、パネル表示装置に広く応用される。従来の薄膜トランジスタは、主に、ゲート電極、絶縁層、半導体層、ソース電極及びドレイン電極を含む。前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、互いに間隔を開けて設置され、前記半導体層と電気的にそれぞれ接続される。前記ゲート電極は、前記絶縁層を通して、前記半導体層と間隔を開けて設置される。また、前記半導体層の、前記ソース電極とドレイン電極との間に位置する領域には、チャネル領域が形成される。
【0003】
前記薄膜トランジスタのゲート電極、ソース電極及びドレイン電極は、導電材料からなる。該導電材料は、金属又は合金である。前記ゲート電極に電圧を印加すると、前記絶縁層により該ゲート電極と間隔をあけて設置された前記半導体層におけるチャネル領域に、キャリアを蓄積することができる。該キャリアが所定の程度に蓄積すると、前記半導体層に電気的に接続された前記ソース電極及び前記ドレイン電極が、電気的に接続されるので、前記ソース電極から前記ドレイン電極に流れる電流が発生する。
【0004】
しかしながら、前記薄膜トランジスタの複数のパラメータ(例えば、前記ソース電極とドレイン電極との間に生じた電流、ゲート電極の静電容量等)は、固定値であるため、前記複数のパラメータを調整することはできない。従って、前記薄膜トランジスタの応用範囲が制限される。
【0005】
モス・エフイーティー圧力マイクロセンサ(MOS field effect transistor pressure microsensor)は、圧力によって、該モス・エフイーティー圧力マイクロセンサの上述した複数のパラメータを調整することができることは、非特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】YAN Huang −ping et al.,MOS field effect transistor pressure microsensor Journal of Transducer Technology.,20(5)19, 2001
【非特許文献2】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、モス・エフイーティー圧力マイクロセンサは、構造及び製造工程が複雑であり、生産性が低く、コストが高い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、前記課題を解決するために、本発明は、構造及び製造工程が簡単で、感度が高い薄膜トランジスタ及びそれを利用した圧力センサーを提供する。
【0009】
本発明の薄膜トランジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、ゲート電極と、絶縁層と、を含む。前記ソース電極は、前記ドレイン電極と間隔をあけて設置される。前記半導体層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極にそれぞれ電気的に接続される。前記半導体層は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層である。前記高分子複合材料層は、高分子基材及び該高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブからなる。前記ゲート電極は、前記絶縁層により、前記半導体層と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と絶縁状態で設置される。
【0010】
本発明の圧力センサーは、圧力発生ユニットと、薄膜トランジスタと、を含む。前記圧力発生ユニットは、圧力を発生する。前記薄膜トランジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、ゲート電極と、絶縁層と、を含み、前記圧力を受けるように構成される。前記ソース電極は、前記ドレイン電極と間隔をあけて設置される。前記半導体層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極にそれぞれ電気的に接続される。前記半導体層は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層である。前記高分子複合材料層は、高分子基材及び該高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブからなる。前記ゲート電極は、前記絶縁層により、前記半導体層と、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と絶縁状態で設置される。
【発明の効果】
【0011】
従来の技術と比べて、本発明の薄膜トランジスタは、以下の優れた点がある。第一に、構造が簡単であり、該薄膜トランジスタにおける絶縁層の厚さは薄い。第二に、本発明の薄膜トランジスタにおいて、高分子材料で作られた絶縁層の誘電率は大きいので、ゲート電極の静電容量Coxは、小さい圧力でもそのゲート電極の静電容量Coxは大きく変化し、ソース電極とドレイン電極との間の電流Idsも、広範囲に流れることができる。これによって、前記薄膜トランジスタの感度は高くなり、医療機器、レギュレータ、電子機器のキーストローク、流量自動制御、産業用制御装置および監視装置に利用することができる。第三に、本発明の薄膜トランジスタの製造工程において、窒化ケイ素(Si)が発生しないので、該薄膜トランジスタは、製造工程が簡単で、コストが低い。そのため、大量生産にも適している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る薄膜トランジスタの構造の断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る薄膜トランジスタにおける半導体層構造の断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る薄膜トランジスタの作動時における構造を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る薄膜トランジスタにおけるソース電極とドレイン電極との間に流れる電流と圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例2に係る薄膜トランジスタの構造の断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る薄膜トランジスタを利用した圧力センサーの構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0014】
(実施例1)
図1及び図2を参照すると、本発明の薄膜トランジスタ10は、トップゲート型薄膜トランジスタであり、ゲート電極120と、絶縁層130と、半導体層140と、ソース電極151と、ドレイン電極152と、を含む。前記薄膜トランジスタ10は、絶縁基板110の一つの表面に設置される。前記半導体層140は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層である。前記高分子複合材料層は、高分子基材142及び該高分子基材142に分散された複数のカーボンナノチューブ144からなる。
【0015】
前記半導体層140は、前記絶縁基板110の一つの表面に設置される。前記ソース電極151及びドレイン電極152は、間隔をあけて前記半導体層140の、前記絶縁基板110に隣接する表面とは反対の表面に設置され、前記半導体層140と電気的にそれぞれ接続される。前記半導体層140は、前記ソース電極151及び前記ドレイン電極152の間に位置する一つのチャネル156を含む。前記絶縁層130は、前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記半導体層140を、被覆するように設置されている。前記ゲート電極120は、前記絶縁層130の前記半導体層140に接触する表面とは反対の表面に設置され、且つ前記ソース電極151及び前記ドレイン電極152の間に設置されている。前記ゲート電極120は、前記チャネル156に対向する、前記絶縁層130の、前記半導体層140に接触する表面とは反対の表面に設置されることが好ましい。
【0016】
該絶縁層130により、前記ゲート電極120を、前記半導体層140、前記ソース電極151及び前記ドレイン電極152と絶縁状態にさせる。前記半導体層140の、前記ソース電極151とドレイン電極152との間に位置する領域には、前記チャネル156が形成される。
【0017】
前記ソース電極151と前記ドレイン電極152は、前記半導体層140の、前記絶縁基板110に隣接する表面とは反対の表面に間隔をあけて設置され、且つ前記絶縁層130と前記半導体層140との間に位置する。前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記ゲート電極120が、前記半導体層140の同じ側に位置する場合、コープレーナー型薄膜トランジスタ10を形成する。或いは、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152が、それぞれ前記絶縁基板110及び前記半導体層140の間に間隔をあけて設置され、前記ソース電極151及び前記ドレイン電極152と、前記ゲート電極120とが、前記半導体層140の異なる側に位置する場合は、スタガード型(Staggered Type)薄膜トランジスタ10を形成する。前記ソース電極151と前記ドレイン電極152の位置は制限されず、該ソース電極151と該ドレイン電極152とが間隔をあけて設置され、前記半導体層140と電気的に接続することができる。例えば、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152は前記半導体層140と同じ平面に設置することができる。
【0018】
前記絶縁基板110の材料は、例えば、シリコン、石英、セラミック、ガラス及びダイヤモンドなどの硬性材料、又は例えば、プラスチック及び樹脂などの柔性材料である。本実施例において、前記絶縁基板110の材料は、ガラスであることが好ましい。該絶縁基板110は、前記薄膜トランジスタ10を支持するために用いられる。更に、前記複数の薄膜トランジスタ10は、前記絶縁基板110の一つの表面に設置され、薄膜トランジスタパネル又は薄膜トランジスタ半導体素子に形成されることができる。
【0019】
前記半導体層140は、高分子複合材料層である。前記高分子複合材料層は、高分子基材142及び該高分子基材142に分散された複数のカーボンナノチューブ144からなる。前記高分子複合材料層の弾性率は、0.1MPa〜10MPaである。例えば、前記高分子複合材料層の弾性率は、1MPa、3MPa、5MPaまたは8MPaである。これによって、前記半導体層140は、優れたフレキシブル性を有する。前記高分子基材142の材料は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン(PU)、ポリアクリレート、ポリエステル、スチレン−ブタジエンゴム、フッ素ゴムまたはシリコーンゴムである。本実施例において、前記高分子基材142は、ポリジメチルシロキサンからなり、その弾性率が500KPaである。
【0020】
前記高分子複合材料層において、前記複数のカーボンナノチューブ144の質量比は、0.1%〜1%である。本実施例において、前記半導体層14における前記複数のカーボンナノチューブ144の質量比は、0.5%である。前記複数のカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。本実施例において、前記カーボンナノチューブ142は、半導体型カーボンナノチューブである。
【0021】
前記半導体層140の長さは、1マイクロメートル〜100マイクロメートルであり、幅は1マイクロメートル〜1ミリメートルであり、厚さは0.5ナノメートル〜100マイクロメートルである。前記チャネル156の長さは1マイクロメートル〜100マイクロメートルであり、幅は1マイクロメートル〜1ミリメートルである。本実施例において、前記半導体層140の長さは50マイクロメートルであり、幅は300マイクロメートルであり、厚さは1マイクロメートルである。前記チャネル156の長さは40マイクロメートルであり、幅は300マイクロメートルである。
【0022】
前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記ゲート電極120は、導電性フィルムである。前記導電性フィルムの材料は、金属、合金、インジウムスズ酸化物(ITO)、アンチモンスズ酸化物(ATO)、銀ペースト、導電性ポリマー、金属性カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブの金属複合材料の一種または多種である。具体的に、前記金属は、アルミ、銅、タングステン、モリブデン、金、セシウム、またはパラジウムである。前記合金は、アルミニウム、銅、タングステン、モリブデン、金、セシウム、パラジウムのうち選択された少なくとも二つの金属からなる。前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記ゲート電極120の厚さは、0.5nm〜100μmである。前記ドレイン電極152及び前記ゲート電極120の間の距離は、1μm〜100μmである。本実施例において、前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記ゲート電極120は、パラジウム薄膜であり、その厚さは、5nmである。
【0023】
本実施例において、前記半導体層140は、積層された複数のカーボンナノチューブフィルムを含む。前記カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブからなる。前記積層された複数のカーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、同じ方向に沿って配列している。つまり、前記カーボンナノチューブは、前記ソース電極151からドレイン電極152への方向に沿って配列される。
【0024】
前記絶縁層130の材料は、例えば、窒化ケイ素または二酸化ケイ素などの硬性材料、又は例えば、ポリエチレンテレフタレート、ベンゾシクロブテンまたはアクリル樹脂など柔らかな材料である。前記絶縁層130の厚さは、0.1nm〜10μmである。本実施例において、前記絶縁層130の厚さは、500nmである。
【0025】
図3を参照すると、前記薄膜トランジスタ10を作動させる際は、前記ゲート電極120に電圧Vを印加し、同時に前記ソース電極151を接地し、前記ドレイン電極152にも電圧Vdsを印加すると、前記電圧Vによって、前記半導体層の前記チャネル156に電場が発生し、また、前記チャネル領域156の表面にはキャリアが生じる。次いで、前記電圧Vが、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との閾値電圧HTHまで達すると、前記チャネル156は導通し、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間に電流が流れる。前記電流は、前記ソース電極151から、前記チャネル156を通して、前記ドレイン電極152まで流れ、前記薄膜トランジスタ10を作動させる。
【0026】
前記薄膜トランジスタ10を作動させる場合、前記ゲート電極120に対して、垂直に、均一な圧力を印加すると、前記半導体層140も、垂直に、均一な圧力を受ける。前記圧力は、プレス機械または他の方法によって、印加することができる。前記半導体層140は優れたフレキシブル性を有するので、前記半導体層140に垂直に、均一な圧力を印加すると、該半導体層140の形状を変化させることができる。従って、前記半導体層140における複数のカーボンナノチューブの形状も変化させることができる。この場合、前記複数のカーボンナノチューブのバンドギャップが大きくなるので、前記半導体層140の半導体性を向上させ、前記薄膜トランジスタ10のオン/オフの比率が大きくなる。
【0027】
前記半導体層140は、P型半導体またはN型半導体であることができる。前記半導体層140は、P型半導体である場合、前記ゲート電極120に正電圧を印加すると、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間における前記電流Idsはオフになる。前記ゲート電極120に負電圧を印加する場合、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間における前記電流Idsはオンになる。即ち、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間において、電流Idsが流れる。前記半導体層140は、N型半導体である場合、前記ゲート電極120に負電圧を印加すると、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間における前記電流Idsはオフになる。前記ゲート電極120に正電圧を印加する場合、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間における前記電流Idsはオンになる。即ち、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間において、電流Idsが流れる。
【0028】
前記半導体層140における前記高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブブ144は、酸素ガスを吸収することができるので、P型半導体の特徴を有することができる。これによって、前記半導体層140は、P型半導体となる。前記半導体層140における前記高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブ144を化学的にドープすることによって、N型半導体の特徴を有することもできる。これによって、該半導体層140はN型半導体となる。例えば、前記複数のカーボンナノチューブをポリエチレンイミン溶液で浸漬させた後、前記高分子基材144に分散させることによって、N型の半導体層140を形成することができる。
【0029】
前記薄膜トランジスタ10を作動させる場合、半導体層140がP型半導体であって、前記ゲート電極120に正電圧を印加するか、または半導体層140がN型半導体であって、前記ゲート電極120に負電圧を印加すると、前記ソース電極151と前記ドレイン電極152との間における電流Idsは、外力の変化によって変化する。図4は前記電流Idsと前記外力との関係図グラフである。前記外力が漸次的に10Paから10Paまで増加する場合、前記電流Idsは、漸次的にゼロまで減少して、該電流Idsはオフになる。
【0030】
(実施例2)
図5を参照すると、実施例1の薄膜トランジスタ10と比べて、本実施例の薄膜トランジスタ20のゲート電極220は、絶縁基板210と絶縁層230との間に設置される。具体的には、前記薄膜トランジスタ20は、絶縁基板210と、ゲート電極220と、絶縁層230と、半導体層240と、ソース電極251と、ドレイン電極252と、を含む。前記ゲート電極220は、前記絶縁基板210の一つの表面に設置される。前記絶縁層230は、前記ゲート電極220の、前記絶縁基板210の一つの表面に隣接する表面とは反対の表面に設置される。前記半導体層240は、前記絶縁層230の、前記ゲート電極220に隣接する表面とは反対の表面に設置される。前記ソース電極251及び前記ドレイン電極252は、前記半導体層240の、前記絶縁層230に隣接する表面とは反対の表面に設置される。前記ソース電極251及び前記ドレイン電極252は、前記半導体層240にそれぞれ電気的に接続される。前記半導体層240において、一つのチャネル256を有し、該チャネル256が、前記ソース電極251及び前記ドレイン電極252の間に位置する。
【0031】
前記薄膜トランジスタ20を作動させる際に、前記半導体層240に圧力を印加すると、前記絶縁層230も、その圧力を受けて押される。
【0032】
本実施例において、前記薄膜トランジスタ20における前記ゲート電極220、前記ソース電極251、前記ドレイン電極252及び前記絶縁層230の材料は、実施例1における前記薄膜トランジスタ10の前記ゲート電極120、前記ソース電極151、前記ドレイン電極152及び前記絶縁層130の材料と同じである。前記薄膜トランジスタ20のチャネル256及び前記半導体層240の形状、面積及び材料は、実施例1の前記チャネル156及び前記半導体層140の形状、面積及び材料と同じである。
【0033】
(実施例3)
図6を参照すると、本実施例の圧力センサー100は、圧力生成ユニット170と、実施例1における前記薄膜トランジスタ10と、を含む。前記圧力生成ユニット170は、前記薄膜トランジスタ10に対して、垂直な圧力を印加する。特に、前記圧力生成ユニット170は、前記薄膜トランジスタ10の絶縁層130に垂直な圧力を印加する。
【0034】
固体、気体又は液体の手段によって、前記圧力生成ユニット170は、圧力を生成することができる。固体によって生成される圧力は、指や重い物体で押すことによって得られる圧力であり、気体によって生成される圧力は、気体の圧力の変化によって発生する圧力であり、液体によって生成される圧力は、溶融状態の金属又は流体の流れによって起こる圧力である。前記圧力センサー100は、給水機又はガス圧力の自動制御システムであることができる。
【0035】
本実施例において、前記圧力生成ユニット170は、流体172と、通路174と、を含む。前記流体172は、前記通路174の内壁に接触し、該通路174を通じて流れる。前記薄膜トランジスタ10は、前記圧力生成ユニット170の外壁に設置される。図6を参照すると、前記通路174における前記流体172は方向Iに沿って流れ、且つ方向IIに沿って、前記薄膜トランジスタ10に圧力Pを印加する。前記通路174は、ポリマーまたは金属材料からなる。例えば、前記ポリマーは、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、前記金属材料は、鋼である。前記ゲート電極120の静電容量COXと、前記ソース電極151から前記チャネルを通して前記ドレイン電極152に流れる電流Idsの変化は、前記流体172からの圧力に関係しており、前記流体172で生成した圧力Pは、前記ゲート電極120の静電容量COX及び前記電流Idsによって計算することができる。前記圧力Pと前記流体172の流速vとは次の関係式を満たす。
【0036】
【数1】

【0037】
前記ρは、前記流体172の密度で、前記gは重力加速度で、hは前記流体が前記方向IIに沿って圧力をかけた時の高さで、前記Constは定数である。従って、前記圧力Pによって、前記流体172の流速を計算することができる。
【0038】
前記薄膜トランジスタ10と前記圧力生成ユニット170とは絶縁された状態で設置される。更に、前記圧力センサー100は、封止層160を含み、前記圧力生成ユニット170、前記封止層160及び前記薄膜トランジスタ10は、積層している。これにより、前記封止層160は、前記通路174の外壁及び前記ゲート電極120の間に設置される。前記封止層160は、樹脂またはプラスチック等のフレキシブル電気絶縁材料からなる。本実施例において、前記封止層160は、プラスチックからなり、その厚さは200nmである。
【0039】
本実施例において、前記薄膜トランジスタ10は、前記封止層160によって、完全に被覆される。前記薄膜トランジスタ10は、前記通路174の内壁に設置されることもできる。この場合、前記薄膜トランジスタ10の前記絶縁基板110は、前記通路174の内壁に隣接して設置され、前記封止層160によって、前記薄膜トランジスタ10と前記流体172とは電気的に絶縁された状態で設置される。
【0040】
更に、前記薄膜トランジスタ10は、センサデータユニットを含む。前記センサデータユニットは、前記薄膜トランジスタ10に印加する圧力によって、生成した電流の変化から変換された信号を表示することができる。
【0041】
実施例2の前記薄膜トランジスタ20は、前記薄膜トランジスタ10に代わって、前記圧力センサー100に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10、20 薄膜トランジスタ
100 圧力センサー
110、210 絶縁基板
130、230 絶縁層
140、240 半導体層
142 高分子基材
144 カーボンナノチューブ
151、251 ソース電極
152、252 ドレイン電極
120、220 ゲート電極
156、256 チャネル
160 封止層
170 圧力生成ユニット
172 流体
174 通路
I 流体の流れ方向
II 圧力方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、ゲート電極と、絶縁層と、を含む薄膜トランジスタにおいて、
前記ソース電極は、前記ドレイン電極と間隔をあけて設置され、
前記半導体層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極にそれぞれ電気的に接続され、
前記半導体層は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層であり、
前記高分子複合材料層は、高分子基材及び該高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブからなり、
前記ゲート電極は、前記絶縁層により、前記半導体層、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と絶縁状態で設置されることを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
圧力発生ユニットと、薄膜トランジスタと、を含み、
前記圧力発生ユニットは、圧力を発生し、
前記薄膜トランジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、半導体層と、ゲート電極と、絶縁層と、を含み、前記圧力を受けるように構成され、
前記ソース電極は、前記ドレイン電極と間隔をあけて設置され、
前記半導体層は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極にそれぞれ電気的に接続され、
前記半導体層は、弾性率が0.1MPa〜10MPaである高分子複合材料層であり、
前記高分子複合材料層は、高分子基材及び該高分子基材に分散された複数のカーボンナノチューブからなり、
前記ゲート電極は、前記絶縁層により、前記半導体層、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と絶縁状態で設置されることを特徴とする圧力センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16778(P2013−16778A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−56906(P2012−56906)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】