説明

薬液リサイクル方法および該方法に用いる装置

【課題】シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用した使用済み薬液において、前記プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能な薬液リサイクル方法および該方法に用いる装置を提供する。
【解決手段】本発明の薬液リサイクル方法は、シリコンウェーハ402表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル方法であって、前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過フィルター1で限外ろ過して、ろ過後薬液を得る工程と、吸光光度計3により該ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求める工程と、求められた前記濃度の情報に基づき、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整して調整後薬液を得る工程と、該調整後薬液を前記プロセスで使用する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル方法および該方法に用いる装置に関し、特に、シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用した使用済み薬液において、前記プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能な薬液リサイクル方法および該方法に用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の集積度が高くなるにつれて、基板となるシリコンウェーハの表面を高い平坦度に形成することの重要性が増している。基板表面を平坦にするための研磨方法には種々の方法があるが、近年では、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法が広く使用されている。CMP法は、研磨液による化学的なエッチング作用、および、研磨液と研磨パッドとの機械的な研削作用の複合作用により、基板表面を高精度に研磨する方法である。研磨液には、コロイダルシリカなどの砥粒を含む砥粒スラリーと、砥粒を含まない無砥粒スラリーとがある。これら研磨用スラリーには、ウェーハ表面を高平坦度の鏡面に仕上げるため、セルロースなどの水溶性高分子を1種類以上添加することが一般的である。
【0003】
このような研磨用スラリーは、研磨の過程で攪拌や圧力を受けることにより、水溶性高分子やコロイダルシリカが凝集して、凝集物が発生するため、研磨工程で使用した使用済みスラリーには、凝集物が含まれる。また、砥粒を含まない無砥粒スラリーを使用した研磨であっても、シリコンウェーハとアルカリ溶液とのエッチング反応によって生成した珪酸凝集物が含まれることになる。また、使用済みスラリー中には、ライン内で異物が混入するため、これを再度ウェーハ研磨に用いると、シリコンウェーハにコンタミネーションを発生させる懸念がある。このため、従来は使用済みスラリーをリサイクルしづらく、廃液とすることを余儀なくされていた。
【0004】
しかし近年、スラリーの調達コストおよび廃棄コストの削減や、環境保護の観点から、使用済みスラリーのリサイクルが試みられている。特許文献1には、使用済みスラリーに含まれる巨大化した凝集物(粒径5μm以上の粗大粒子)をフィルターにより除去し、その後、遠心分離により使用済みスラリーを濃縮してスラリー原液とする使用済みスラリーのリサイクル方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−170793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし近年、使用済みスラリーに上記のようなリサイクル処理を施して、再度研磨用スラリーとして用いても、未使用スラリーで研磨した場合に比べて、シリコンウェーハの平坦度や表面品質などが劣る問題がある。例えば、研磨用スラリー中の水溶性高分子は、研磨パッド表面に吸着して残存しやすいため、研磨後に回収した使用済みスラリーの水溶性高分子の濃度が大きく低下してしまう。また、水溶性高分子の添加量は非常に少ないため、この現象が顕著である。その結果、リサイクルした研磨用スラリーで研磨処理したシリコンウェーハの平坦度や表面品質にばらつきを生じてしまう問題がある。
【0007】
このため、リサイクルした研磨用スラリーで、未使用スラリーと同等の平坦性や表面品質を実現するためには、低下した分の水溶性高分子の濃度を調整する必要がある。ここで、低下した分の水溶性高分子の濃度を求めるために、研磨用スラリー中の各種薬液成分の濃度を検出する方法としては、使用済みスラリーから一部のスラリーを抜き取りサンプリングし、NMR分析、FT−IR分析、ガスクロマトグラフィー分析などの測定装置で分析する方法がある。
【0008】
しかしながら、これらの方法は、いずれも高価な分析機器を用いる方法であり、しかも、使用済みスラリーの一部をサンプリングしなければ測定することができない。使用済み薬液を回収後、簡易な方法で、リアルタイムに濃度検出および濃度調整するインライン制御が可能なリサイクル方法が望まれる。
【0009】
このような課題は、研磨用スラリーのみならず、シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液全般に当てはまる。すなわち、表面処理後に回収した使用済み薬液で、プロセスに必要な薬液の成分濃度が低下すると、プロセス性能が落ちることが懸念される。
【0010】
そこで本発明は、上記課題に鑑み、シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用した使用済み薬液において、前記プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能な薬液リサイクル方法および該方法に用いる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意検討したところ、吸光光度計で使用済み薬液の吸光度を測定する手法であれば、従来の薬液回収機構に組み込むことで、インライン制御により簡易に研磨用スラリー中の各種薬液成分の濃度を検出することができるとの認識に至った。しかし、使用済み薬液には、シリコンウェーハ表面の処理プロセスの結果、シリコン固形成分として粒径が5〜100nm程度のナノ粒子(研磨により一度溶解したシリコンが再析出した塩、研磨シリカ、その他異物)が含まれている。このため、たとえ特許文献1のようにミクロンオーダーの粗大粒子を除去したとしても、白く懸濁したままであり、吸光光度計でppmオーダーの薬液成分の濃度を検出することはできない。
【0012】
そこで、本発明者らがさらに検討したところ、使用済み薬液を限外ろ過フィルターで限外ろ過すれば、光を乱反射させるナノ粒子を有効に除去でき、その結果、吸光光度計でppmオーダーの薬液成分の濃度を検出することができることを見出した。
【0013】
本発明は、上記の知見および検討に基づき、上記課題を解決できるものであり、その要旨構成は以下の通りである。
(1)シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル方法であって、
前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過して、ろ過後薬液を得る工程と、
該ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求める工程と、
求められた前記濃度の情報に基づき、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整して調整後薬液を得る工程と、
該調整後薬液を前記プロセスで使用する工程と、
を有することを特徴とする薬液リサイクル方法。
【0014】
(2)前記プロセスが、シリコンウェーハ表面を研磨するプロセスであり、
前記薬液が、研磨用スラリーである上記(1)に記載の薬液リサイクル方法。
【0015】
(3)前記薬液が、前記成分として水溶性のポリマーまたはモノマー、界面活性剤、または脂肪族アルコールを含むアルカリ性水溶液である上記(1)または(2)に記載の薬液リサイクル方法。
【0016】
(4)前記限外ろ過工程を、クロスフローろ過方式により行う上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の薬液リサイクル方法。
【0017】
(5)シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル装置であって、
前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過して、ろ過後薬液を得るための限外ろ過フィルターと、
該ろ過後薬液を収容するための収容タンクと、
前記ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求めるための吸光光度計と、
前記薬液の成分を収容する成分タンクと、
前記吸光光度計により求められた濃度の情報に基づき、前記成分タンクから前記収容タンクへと前記薬液の成分を供給して、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整した調整後薬液を得るための添加制御装置と、
該調整後薬液を前記プロセスに供給するために、前記収容タンクに連結された配管と、
を有することを特徴とする薬液リサイクル装置。
【0018】
(6)前記プロセスが、シリコンウェーハ表面を研磨するプロセスであり、
前記薬液が、研磨用スラリーである上記(5)に記載の薬液リサイクル装置。
【0019】
(7)前記使用済み薬液をシリコンウェーハから回収するための配管と、
該配管に連結した、前記使用済み薬液を収容する1次タンクと、
前記1次タンクに接続された物性測定器と、
該物性測定器により測定した使用済み薬液の物性値が所定閾値に達したときにのみ、前記1次タンク内の使用済み薬液を前記限外ろ過フィルターへ供給し、前記物性値が所定閾値に達しないときは、前記1次タンク内の使用済み薬液を、前記限外ろ過フィルターを介さずに前記吸光光度計または前記収容タンクへ供給するバルブ制御部と、
をさらに有する上記(5)または(6)に記載の薬液リサイクル装置。
【0020】
(8)前記物性測定器が、濁度測定器、吸光光度計、および比重計のいずれかである上記(7)に記載の薬液リサイクル装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シリコンウェーハの表面処理プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過することで、吸光光度計によるppmオーダーの薬液成分の濃度検出が可能となった。このため、プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従う薬液リサイクル装置100の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に従う別の薬液リサイクル装置200の全体構成を示す模式図である。
【図3】本発明に従う別の薬液リサイクル装置300の全体構成を示す模式図である。
【図4】薬液リサイクル装置100におけるクロスフローろ過方式を説明する模式図である。
【図5】吸光光度計で異なる濃度(0.5ppm,5ppm)のヒドロキシエチルセルロースを含むアルカリ水溶液を測定したときの透過スペクトルを示すグラフである。
【図6】薬液リサイクル装置200の1次タンク8に接続された物性測定器12で、シリコン固形成分を含む使用済み薬液の物性値を測定した結果を示すグラフであり、(a)は、物性測定器12を比重計として、使用済み薬液中に含まれるシリコン固形成分量(砥粒濃度)と比重との関係を測定したグラフ、(b)は、物性測定器12を吸光光度計として、異なるシリコン固形成分量(0.5%,2.5%,5%)の使用済み薬液を測定したときの透過スペクトルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明をより詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0024】
(薬液リサイクル装置100)
図1は、本発明の一実施形態である薬液リサイクル装置100の全体構成を示す模式図である。薬液リサイクル装置100は、限外ろ過フィルター1、収容タンク2、吸光光度計3、成分タンク4、添加制御装置5、供給用配管である第1配管6を少なくとも含む。本実施形態では、シリコンウェーハ402上に薬液として研磨用スラリーを供給し、研磨装置401と研磨パッド403を用いてCMP法で研磨するプロセスで使用する薬液リサイクル装置について説明する。
【0025】
まず、任意の薬液回収機構9により研磨後の使用済み薬液を回収する。使用済み薬液は、回収用配管である第2配管7を介して、これに連結した1次タンク8内に収容される。1次タンク8内の使用済み薬液は、研磨の結果、シリコン固形成分として粒径が5〜100nm程度のナノ粒子が含まれ、白く懸濁している。
【0026】
次に、1次タンク8に連結した第3配管10へ使用済み薬液を流し、この第3配管に設けられた限外ろ過フィルター1により、使用済み薬液を限外ろ過する。ここで、本明細書において「限外ろ過フィルター」とは、逆浸透膜より大きく精密ろ過膜よりも小さい概ね0.1〜200nmの孔を無数に有する限外ろ過膜を用いたフィルターである。限外ろ過することにより、使用済み薬液に含まれるシリコン固形成分であるナノ粒子を除去して、ろ過後薬液を得る。なお、シリコン固形成分を確実に除去するためには、10nm以下の孔を有する限外ろ過フィルターを用いることが好ましい。
【0027】
限外ろ過フィルター1を通過した薬液は、第4配管11へと流出する。シリコン固形成分を始め、限外ろ過フィルター1を通過しなかった成分は、ドレインを介して排気される。
【0028】
限外ろ過工程は、クロスフローろ過方式により行うことが好ましい。クロスフローろ過方式とは、限外ろ過膜の表面に沿った方向に使用済み薬液を流し続け(クロスフロー)、限外ろ過膜を通過しない成分が濃縮された薬液を連続的に排出、または1次タンク8に戻しながら、ろ過を行う方法である。
【0029】
図4は、薬液リサイクル装置100におけるクロスフローろ過方式の一例を説明する模式図である。1次タンク8内に回収される白濁した使用済み薬液は、ポンプにより第3配管10を介して、限外ろ過フィルター1へ供給される。ここで、図4の限外ろ過フィルター1の拡大図に示すように、限外ろ過フィルター1の表面に沿って使用済み薬液が流れるように、限外ろ過フィルター1が配置されている。限外ろ過フィルター1の表面には、シリコン固形物であるナノ粒子が固着層として多少付着するものの、限外ろ過膜表面に平行な方向に使用済み薬液を流すため、基本的にはシリコン固形成分等が膜表面に付着しにくく、限外ろ過フィルター1が目詰まりを起こしにくい点で、本発明においては非常に好適である。また、クロスフローろ過方式の場合、薬液中の高分子などをろ過膜に付着堆積させることなく、そのまま限外ろ過フィルターを透過させることができるので、使用済み薬液中の有価成分である高分子などの再利用率を高めることができる。なお、図4の拡大部分では、使用済み薬液の流れの中のナノ粒子は、固着層を構成するナノ粒子よりも強調して大きく示したが、これは、流れの中のナノ粒子がフィルターに付着しにくいことを視覚的に表すためである。
【0030】
限外ろ過フィルター1を通過した薬液は、第4配管11を介して収容タンク2へと流れる。なお、図4では吸光光度計3を省略している。また、限外ろ過フィルター1を通過しない使用済み薬液は、ナノ粒子が濃縮されているが、再度1次タンク8へと戻される。なお、図1では、第3配管10のうち、限外ろ過フィルター1から1次タンク8へと薬液を戻すための配管部分を省略している。
【0031】
ろ過後薬液は、限外ろ過によりシリコン固形成分などが除去され、透明な液体となる。このため、吸光光度計3によるppmオーダーの薬液成分の濃度検出が可能となる。限外ろ過フィルター1と収容タンク2を連結する第4配管11には、その途中に吸光光度計3が配置される。そこで、吸光光度計3で、ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求める。例えば、セル内に使用済み薬液を導入し、(ABB社製;Wet Process Analyzerなどの分光光度計で、使用済み薬液の吸光度または透過率を測定する。なお、透過率Tと吸光度Aとは、A=−log10Tという相関関係があるため、どちらを測定しても構わない。
【0032】
ろ過後薬液は、収容タンク2に収容される。その後、求めたろ過後薬液の成分濃度の情報に基づき、ろ過後薬液の成分濃度を調整して調整後薬液を得る。模式的な例として、研磨用スラリーが、水溶性高分子として成分A(例えば、ヒドロキシエチルセルロース 初期濃度20ppm)、成分B(例えば、ポリアクリル酸 初期濃度0.1ppm)の2種類を含む水酸化カリウム水溶液であるとする。成分タンク4は、薬液の成分を個別に収容するタンクであり、成分Aタンク4aには成分Aが収容され、成分Bタンク4bには成分Bが収容され、成分Cタンク4cには例えば溶媒としての水が収容されている。成分Cタンク4cには、初期濃度の成分A,Bを含む未使用薬液を収容してもよい。
【0033】
各成分A,Bについて、初期濃度(未使用薬液の成分濃度)からろ過後薬液の成分濃度を差し引いた減少分を補い、初期濃度と同じ濃度となるように、成分Aタンク4a、成分Bタンク4b、必要に応じて成分Cタンク4cから、収容タンク2へと薬液の成分A,B,Cを供給して、この収容タンク2内で調整後薬液を作製する。この処理は、吸光光度計3の測定結果を添加制御装置5にフィードバックし、添加制御装置5が、上記所望の調整後薬液を得るために必要な各成分タンク4a,4b,4cからの添加量を算出し、各タンク4から算出した添加量を収容タンク2に供給することにより行う。添加制御装置5は、例えば、各成分タンク4から収容タンク2への供給を制御するために各成分タンク4a,4b,4cにそれぞれ設けられたバルブの開閉を制御する機構である。
【0034】
調整後薬液は、収容タンク2に連結された第1配管6を介して、再度シリコンウェーハ402上に供給され、研磨プロセスが実行される。調整後薬液には、未使用薬液と同じ成分濃度を有しているため、このようにリサイクルされた薬液により研磨して得たシリコンウェーハは、未使用薬液を用いて研磨したシリコンウェーハと同等の平坦度や表面品質を得ることができる。
【0035】
そして、本発明は、使用済み薬液の回収からリサイクル後の薬液の供給まで一連のシステム内に、吸光度測定を組み込むことができ、リアルタイムに濃度検出および濃度調整するインライン制御が可能なリサイクル方法である。
【0036】
(ウェーハ表面処理プロセス)
ここまで、シリコンウェーハを研磨する場合の研磨用スラリーをリサイクルする場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されることはなく、シリコンウェーハ表面を処理する任意のプロセスに適用可能である。例えば、シリコンウェーハ表面に対する化学的作用によりエッチングするプロセス(枚葉式エッチング、バッチ式エッチングなど)が挙げられる。このようなプロセスでも、使用済み薬液では、表面処理に必要な薬液の成分濃度が低下するうえに、プロセスの結果シリコン固形成分が使用済み薬液に含まれるためである。ただし、シリコンウェーハの単なる洗浄は含まれない。
【0037】
(薬液)
本発明で使用可能な薬液は、上記プロセスに使用される薬液であれば特に限定されず、成分も上記プロセスに必要であり、かつ、吸光光度計による測定で濃度を検出できるものであれば、特に限定されない。
【0038】
研磨用スラリーは、アルカリ性水溶液とすることが好ましい。アルカリ性水溶液としては、pH8〜14の範囲内に調整したものを用いることが望ましい。アルカリ性水溶液のpH8未満では、エッチング作用が低くなりすぎてしまい、シリコンウェーハの表面にスクラッチ、傷などの加工起因の欠陥が発生し易くなるためである。また、強塩基水溶液のようにpH14を超えれば、逆にエッチング作用が強くなりすぎてしまい、シリコンウェーハ表面の面粗れを生じ易くなるためである。pH調整剤としては、アンモニア水溶液、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ性の水溶液、炭酸アルカリ性の水溶液を採用することができる。その他、ヒドラジンやアミン類の水溶液を採用することができる。
【0039】
成分としては、水溶性のポリマーまたはモノマー、界面活性剤、または脂肪族アルコールを含むことが好ましい。このような成分は、通常0.1nm〜200nm程度の寸法を有するが、これらの成分の寸法よりも小さな孔を有する限外ろ過膜でも、比較的高確率で、膜をすり抜けることを本発明者らは見出した。この知見により、本発明を好適に実施することができることが判明した。
【0040】
水溶性ポリマーには、アニオン系、アニオン−カチオン両性、およびノニオン系の各ポリマーなどを使用する。具体的には、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体(PPP)、ポリアクリルアミド(PMMA)、ポリN−ビニルホルムアミド(PNVF)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAA−Na)、ポリアクリル酸アンモニウム(PAA−NH)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PSS−Na)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ポリエチレンイミン(PEI)などを使用することが望ましい。また、これらのモノマーであっても良い。特に、ヒドロキシエチルセルロースは、高純度のものを比較的容易に入手でき、ウェーハ表面で分子膜を形成し易いため、アルカリによるエッチング反応を抑制する効果が高いという特性を有する。ただし、各種の水溶性高分子のうち、アルカリ性水溶液によるシリコンウェーハのエッチングを促進させるものは不適当である。水溶性ポリマーまたはモノマーは、1種類だけを使用しても、複数種類を使用してもよい。好ましい分子量の範囲は、100〜5000000、より好ましくは1000〜1000000であり、比較的分子量の小さいものを用いれば、アルカリ溶液中の水溶性ポリマーは限外ろ過フィルターをより透過し易すく、その後の定量化が容易となる。
【0041】
研磨液中の水溶性ポリマーまたはモノマーの濃度は、それぞれ1〜1000ppmの濃度範囲で設定することが望ましい。研磨液中の水溶性ポリマーまたはモノマーの濃度を1ppm未満の濃度範囲に日常管理することは極めて困難で、1000ppmを超えれば、シリコンウェーハの研磨レートが大きく低下し、生産性の低下を招くおそれがあるからである。
【0042】
また、水溶性ポリマーまたはモノマーに代えて、界面活性剤または脂肪族アルコールでもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、モノラウリン酸ソルビタン、ポリジメチルシロキサン、ポリオキシエチレンソルビタンアルキル酸エステルなどを採用することができる。また、脂肪族アルコールとしては、例えば、ポリビニルアルコール、2−メチルブタナールなどを採用することができる。
【0043】
さらに、研磨液に含まれる金属イオンを除去する観点から、研磨液中にキレート(chelate)剤を添加することが望ましい。キレート剤の添加により、金属イオンが捕獲、錯体化され、その後、これを廃棄することで、研磨後のシリコンウェーハの金属汚染の度合いを低減することができる。キレート剤としては、金属イオンに対するキレート能力を有する物質であれば任意である。キレートとは、複数の配位座を有する配位子による金属イオンへの結合(配位)をいう。
キレート剤の種類としては、例えばホスホン酸系キレート剤、アミノカルボン酸系キレート剤などを採用することができる。さらに、重金属イオンのキレート能力を考慮した場合には、エチレンジアミン四酢酸EDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid)またはジエチレントリアミン五酢酸DTPA(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)などのアミノカルボン酸塩がより好ましい。その他、ニトリロ三酢酸(NTA)でもよい。キレート剤は0.1ppm〜1000ppmの濃度範囲で添加することがよく、これにより、Cu、Zn、Fe、Cr、Ni、Alなどの金属イオンなどを捕獲することができる。
【0044】
(吸光度から薬液成分の濃度を求める手法)
吸光度から薬液成分の濃度を求めるには、リサイクルの対象とする薬液について、各成分の濃度と吸光度との関係を、例えば検量線などとして事前に求めておけばよく、任意の公知の手法を用いることができる。
【0045】
例えば、対象成分が1種類(成分Aのみ)の場合、異なる成分Aの濃度において、吸光度測定を行い、吸光度変化の大きい波長における吸光度の値と成分濃度との関係を検量線とすることができる。また、吸光度の変化がある波長域における吸収スペクトルの積分値と、成分濃度との関係を検量線としてもよい。図5は、吸光光度計で異なる濃度(0.5ppm,5ppm)のヒドロキシエチルセルロースを含むアルカリ水溶液を測定したときの透過スペクトルを示すグラフである。このような場合には、400〜800nmにおける所定の波長における吸光度の値を用いることができる。
【0046】
対象成分が2種類(成分A,B,・・・)以上の場合は、例えば以下のような手法を用いることができる。成分A単独を濃度変化させた場合と成分Bを単独で濃度変化させた場合とで、吸光度変化の大きい波長が異なる場合には、それぞれの成分に起因して吸光度が変化する波長における吸光度と、それぞれの成分の濃度との関係を検量線とすることができる。
【0047】
また、このような場合でなくても、公知の多項式解析を用いることで吸光度から薬液成分の濃度を求めることができる。この手法によれば、2,3種類のみならず、多種類の成分が含まれる薬液についても、吸光度から各成分の濃度を求めることができる。一例として、成分A(HEC)、成分B(PAA)の2種類について、以下のようにして検量線を求めた。まず、異なる成分濃度の成分A,B混合水酸化カリウム水溶液を検量線作成用のサンプルとして4種類作成した。サンプルの成分濃度は、各成分の濃度が偏らないよう、以下のとおりとした。
(成分A(%):成分B(ppm))=
試料1(99.9905:94.1),
試料2(99.9910:89.9),
試料3(99.9925:75.7),
試料4(99.9975:24.9)
各試料の吸収スペクトルを測定したところ、220〜350nmにおいて吸光度の変化が観察された。そこで、各サンプルについて、(220〜260nmの吸収スペクトルの積分値/260〜350nmの吸収スペクトルの積分値)を計算し、試料4を1としたときの比率を計算したところ、(試料1:試料2:試料3:試料4)=(0.839:0.990:0.906:1)となった。この値から、多項式解析にて、10の3乗までの関係式を算出したところ、以下の関係式を得た。
Conc.A(%)=62.2+125x−137x+50.0x
Conc.B(ppm)=0.36−1.19x+1.31x−0.48x
ここで、Conc.Aは成分Aの濃度、Conc.Bは成分Bの濃度、xは(220〜260nmの吸収スペクトルの積分値/260〜350nmの吸収スペクトルの積分値)を表す。
【0048】
なお、多項式解析は、上記の方法に限られることはなく、例えば、xを所定波長範囲内における吸光度の積分値として、各成分の濃度を算出する関係式を導くものであっても良い。
【0049】
吸収スペクトルの測定波長は、対象となる成分によって、これら成分に起因する吸光度変化が大きい波長を含むように、任意に設定すればよい。
【0050】
(薬液リサイクル装置200)
図2は、本発明の別の実施形態である薬液リサイクル装置200の全体構成を示す模式図である。該装置200は、1次タンク8に接続された物性測定器である吸光光度計12を有する点が特徴である。1次タンク8に収容された使用済み薬液の吸収スペクトルを吸光光度計12で測定する。そして、吸光光度計12により測定した使用済み薬液の吸光度が所定閾値に達したときにのみ、1次タンク8内の使用済み薬液を限外ろ過フィルター1へ供給し、吸光度が所定閾値に達しないときは、1次タンク8内の使用済み薬液を、限外ろ過フィルター1を介さずに収容タンク2へ供給する。これは、例えば吸光光度計12内に別途設けたバルブ制御部により、第3配管10の第1バルブ13および第5配管15の第2バルブ14の開閉を制御することにより行う。第5配管15は、1次タンク8から収容タンク2へ使用済み薬液を供給するためのものである。
【0051】
1次タンク8内の使用済み薬液も、循環初期はシリコン固形成分がさほど多く含まれておらず、この場合には限外ろ過せずとも吸光度測定により薬液成分の濃度を検知することが可能である。そのため、上記の構成を採用して、限外ろ過フィルターの無駄な使用をさけ、より簡易なプロセスでリサイクルを実現することができる。
【0052】
吸光度が所定閾値に達しない場合には、吸光光度計12により、本来吸光光度計3で行うべき薬液成分濃度を求めるための吸光度測定を行うこともできるため、第5配管15は吸光光度計3ではなく収容タンク2に連結させてよい。
【0053】
物性測定器としては、吸光光度計のほか、濁度測定器、比重計でもよい。この場合、これらから得られる物性値が所定閾値に達しない場合には、薬液成分濃度を求めるための吸光度測定を行う必要があるため、第5配管15は吸光光度計3に連結させる。
【0054】
(薬液リサイクル装置300)
図3は、本発明の別の実施形態である薬液リサイクル装置300の全体構成を示す模式図である。該装置300は、限外ろ過フィルター1を通過しない粒子を第6配管へと導き、吸光光度計17で吸光度測定した後、収容タンク2に供給する。有砥粒研磨スラリーを用いる場合、砥粒は限外ろ過フィルター1を通過せず、通常は図1に示すように廃棄する。この場合、リサイクル後の調整後薬液には新たに砥粒を添加する必要がある。使用済みの研磨スラリー中には砥粒の凝集物や研磨パッド屑などが含まれており、これらを含む研磨スラリーをそのまま再利用すると、ウェーハ表面に研磨傷を発生させるおそれがあり好ましくないためである。しかし、大径の凝集物や研磨パッド屑の発生の懸念がない場合には、本実施形態によって、砥粒を再利用してもよい。なお、吸光光度計17に替えて、比重計を用いることもできる。
【0055】
なお、吸光光度計17または比重計で限外ろ過フィルター1を通過しない粒子(シリカ粒子)の濃度を定量することができる。この濃度に基づいて、リサイクル後の薬液のシリカ粒子の濃度が、リサイクル前の薬液の濃度と同等となるように、第6配管16から収容タンク2へと供給する粒子の量を制御する。研磨スラリー中のシリカ濃度が変化すると、メカニカル研磨とケミカル研磨のバランスが崩れ、所定の研磨特性を得ることができなくなるからである。
【0056】
また、収容タンク2には任意の酸またはアルカリを添加可能なpH調整部18接続される。これにより、調整後薬液のpHを所望範囲に調整することができる。また、第1フィルター19は、使用済み薬液を限外ろ過フィルター11に通す前に、例えば粒径100μm以上の粗大粒子を除去し、また、研磨パッドなどの外乱を除去する目的で配置されるものであり、孔径が0.2〜50μm程度のディプスフィルターなどを用いることができる。これにより、限外ろ過フィルター1の詰まりをより効果的に抑制することができる。第2フィルター20は、リサイクル薬液の調合時に発生した粗大粒子を除去する目的で配置されるものであり、第1フィルターと同様のフィルターを用いることができる。これにより、調整後薬液により研磨するウェーハの研磨傷を防止することができる。
【0057】
(リサイクル方法)
これまで説明したように、本発明の薬液リサイクル方法は、シリコンウェーハ402表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル方法であって、前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過フィルター1で限外ろ過して、ろ過後薬液を得る工程と、吸光光度計3により該ろ過後薬液の吸光度を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求める工程と、求められた前記濃度の情報に基づき、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整して調整後薬液を得る工程と、該調整後薬液を前記プロセスで使用する工程と、を有することを特徴とする。これにより、シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用した使用済み薬液において、前記プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能となる。
【実施例】
【0058】
未使用研磨スラリーとして、0.08重量%の水酸化ナトリウムと炭酸水素塩を加えた水溶液に、HECを100ppm、PAAを10ppm添加したpH10.5研磨スラリーを調製した。その他の添加剤としては、キレート剤としてEDTAを10ppm、pH調整剤としてTMAHを5000ppmだけ添加した。
【0059】
(実施例1)
本実験には、ラッピング処理された直径300mmのシリコンウェーハを使用した。このシリコンウェーハの表面をフッ酸でエッチングした後、粗研磨を30回行った。各回の研磨処理は、それぞれ前回の研磨処理後に、図1に示したリサイクル装置を用いて、研磨処理後の研磨スラリーの成分(HEC,PAA)濃度を測定し、多項式解析により予め作成しておいた検量線テーブルに基づき、各スラリー成分の濃度を調製して、研磨スラリーを繰り返しリサイクルしながら、シリコンウェーハの研磨を行った。限外ろ過は、クロスフローろ過方式とした。なお、研磨装置としては、無サンギヤ方式の両面研磨装置を使用し、毎回の研磨量が片面5μm(両面10μm)となるように、研磨液供給量、研磨圧力、定盤回転数などの研磨条件を設定した。各回の粗研磨が終了するごとに、後述の方法でシリコンウェーハ表面の表面平坦度(GBIR)および表面粗さ(Ra)を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0060】
(比較例1)
リサイクルした研磨スラリーは用いずに、毎回、研磨処理後に使用済み研磨スラリーを新しい研磨スラリーに全量交換して、実施例1と同様に30回シリコンウェーハを研磨した。各回の粗研磨が終了するごとに、実施例1と同様に表面平坦度(GBIR)および表面粗さ(Ra)を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0061】
(比較例2)
限外ろ過をせず、HECとPAAの成分調整をすることなく、研磨スラリーを循環させて再度研磨に用いながら、シリコンウェーハの研磨を行った。最初に研磨したウェーハから、30回目に研磨したウェーハまでについて、同様に表面平坦度(GBIR)および表面粗さ(Ra)を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0062】
(ウェーハ平坦度評価)
静電容量型の平坦度測定装置(KLA-Tencor社製:WaferSight)を用いて、上記両面研磨された各シリコンウェーハのGBIR(Grobal Backside Ideal focal plane Range)を測定した。なお、GBIRとは、ウェーハ全面の平坦度を示す指標であり、ウェーハの裏面を完全に吸着したと仮定した場合におけるウェーハの裏面を基準として、ウェーハ全体の最大変位と最小変位との差を算出することにより求められる。表1には、30回中の最小値および最大値、30回の平均値を示した。
【0063】
【表1】

【0064】
(ウェーハ表面粗さ評価)
両面研磨されたシリコンウェーハを乾燥後、表面検査装置(Cahpman)を用いて、ウェーハ表面の粗さを測定した。表1には、30回中の最小値および最大値、30回の平均値を示した。
【0065】
【表2】

【0066】
(実験結果)
表1および表2の結果から明らかなように、本発明例である実施例1では、常に新しい研磨スラリーで研磨した比較例1と同等の平坦度および表面粗さを得ることができている。一方、比較例2では、平坦度および表面粗さが劣るという結果が得られた。
【0067】
(実施例2)
図2で示した物性測定器12で砥粒としてコロイダルシリカを含む水溶液について、砥粒濃度を種々に変えて物性値を測定した結果を図6に示す。
【0068】
図6(a)は、物性測定器12を比重計として、水溶液中に含まれるシリコン固形成分量(砥粒濃度)と比重との関係を測定したグラフである。この測定結果から、この水溶液においては、砥粒濃度が0.5%のときに比重が1.003g/cmにとなるので、比重がこの値を超えたら、限外ろ過を行うことが好ましい。
【0069】
図6(b)は、物性測定器12を吸光光度計として、異なるシリコン固形成分量(0.5%,2.5%,5%)の使用済み薬液を測定したときの透過スペクトルを示すグラフである。図6(a)のように砥粒濃度0.5%では、可視光域で概ね100%に近い透過率が得られているので、限外ろ過をしなくてもよい。一方、砥粒濃度が2.5%,5%の場合は、可視光領域で十分な透過率が得られず、このままでは吸光度測定により薬液成分の濃度を求めることができない。よって、限外ろ過を行うことが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、シリコンウェーハの表面処理プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過することで、吸光光度計によるppmオーダーの薬液成分の濃度検出が可能となった。このため、プロセスに必要な薬液中の成分を簡易に調整し、リサイクル処理後の薬液でも未使用薬液と同等のプロセス性能を得ることが可能となった。
【符号の説明】
【0071】
100,200,300 薬液リサイクル装置
1 限外ろ過フィルター
2 収容タンク
3 吸光光度計
4 成分タンク
4a 成分Aタンク
4b 成分Bタンク
4c 成分Cタンク
5 添加制御装置
6 第1配管(供給用配管)
7 第2配管(回収用配管)
8 1次タンク
9 廃液回収機構
10 第3配管
11 第4配管
12 吸光光度計(物性測定器)
13 第1バルブ
14 第2バルブ
15 第5配管
16 第6配管
17 吸光光度計(比重計でも可)
18 pH調整部
19 第1フィルター
20 第2フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル方法であって、
前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過して、ろ過後薬液を得る工程と、
該ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求める工程と、
求められた前記濃度の情報に基づき、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整して調整後薬液を得る工程と、
該調整後薬液を前記プロセスで使用する工程と、
を有することを特徴とする薬液リサイクル方法。
【請求項2】
前記プロセスが、シリコンウェーハ表面を研磨するプロセスであり、
前記薬液が、研磨用スラリーである請求項1に記載の薬液リサイクル方法。
【請求項3】
前記薬液が、前記成分として水溶性のポリマーまたはモノマー、界面活性剤、または脂肪族アルコールを含むアルカリ性水溶液である請求項1または2に記載の薬液リサイクル方法。
【請求項4】
前記限外ろ過工程を、クロスフローろ過方式により行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薬液リサイクル方法。
【請求項5】
シリコンウェーハ表面を処理するプロセスで使用する薬液のリサイクル装置であって、
前記プロセスで使用した後の使用済み薬液を限外ろ過して、ろ過後薬液を得るための限外ろ過フィルターと、
該ろ過後薬液を収容するための収容タンクと、
前記ろ過後薬液の吸光度または透過率を測定して、前記ろ過後薬液に含まれる成分の濃度を求めるための吸光光度計と、
前記薬液の成分を収容する成分タンクと、
前記吸光光度計により求められた濃度の情報に基づき、前記成分タンクから前記収容タンクへと前記薬液の成分を供給して、前記ろ過後薬液の成分濃度を調整した調整後薬液を得るための添加制御装置と、
該調整後薬液を前記プロセスに供給するために、前記収容タンクに連結された配管と、
を有することを特徴とする薬液リサイクル装置。
【請求項6】
前記プロセスが、シリコンウェーハ表面を研磨するプロセスであり、
前記薬液が、研磨用スラリーである請求項5に記載の薬液リサイクル装置。
【請求項7】
前記使用済み薬液をシリコンウェーハから回収するための配管と、
該配管に連結した、前記使用済み薬液を収容する1次タンクと、
前記1次タンクに接続された物性測定器と、
該物性測定器により測定した使用済み薬液の物性値が所定閾値に達したときにのみ、前記1次タンク内の使用済み薬液を前記限外ろ過フィルターへ供給し、前記物性値が所定閾値に達しないときは、前記1次タンク内の使用済み薬液を、前記限外ろ過フィルターを介さずに前記吸光光度計または前記収容タンクへ供給するバルブ制御部と、
をさらに有する請求項5または6に記載の薬液リサイクル装置。
【請求項8】
前記物性測定器が、濁度測定器、吸光光度計、および比重計のいずれかである請求項7に記載の薬液リサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−114225(P2012−114225A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261627(P2010−261627)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】