説明

衝突緩和装置

【課題】車両が衝突する際の被害を緩和させる衝突緩和装置において、アクセルが踏み込まれたときにドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているか否かを精度よく判定し、ドライバが車両との衝突を回避する操作をするときのみに、衝突緩和装置の機能を解除することができるようにする。
【解決手段】衝突緩和コントローラ10は、当該車両と他車両とが衝突すると判定すると、当該車両が衝突する際の被害を緩和させる被制御対象40を作動させる。ただし、ドライバによるアクセルの踏み込み操作およびステアリングの回動操作を検出した場合に、ドライバが車両との衝突を回避する操作をしたものとして、被制御対象40を作動させることを禁止する。従って、このようなPCS1によれば、ドライバが車両との衝突を回避する操作をするときのみに、PCS1(被制御対象40)の機能を解除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が衝突する際の被害を緩和させる衝突緩和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような衝突緩和装置として、アクセルが踏み込まれるとドライバ(車両の運転者)が他車両との衝突を回避しようとしているものとして衝突緩和装置の機能を解除するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−034327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ドライバがアクセルを踏み込んだとしても、この操作が他車両との衝突を回避するためのものであるとは言えない。このため、上記衝突緩和装置では、この操作が他車両との衝突を回避するためのものでない場合でも、アクセルが踏み込まれたときに衝突緩和装置の機能を解除してしまうことによって、車両が衝突する際の被害を緩和させる効果を得られなくなってしまう虞があった。
【0004】
そこで、このような問題点を鑑み、車両が衝突する際の被害を緩和させる衝突緩和装置において、アクセルが踏み込まれたときにドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているか否かを精度よく判定し、ドライバが車両との衝突を回避する操作をするときのみに、衝突緩和装置の機能を解除することができるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の衝突緩和装置においては、衝突判定手段によりこの衝突緩和装置が搭載された車両(以下、当該車両または自車両ともいう。)と他車両とが衝突すると判定されると、当該車両が衝突する際の被害を緩和させる緩和手段を作動させる作動制御手段と、アクセル状態取得手段およびステアリング状態取得手段による検出結果に基づいて、ドライバ(車両の運転者)によるアクセルの踏み込み操作およびステアリングの回動操作を検出した場合に、作動制御手段が緩和手段を作動させることを禁止する禁止手段と、を備えている。
【0006】
即ち、ドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているときにおいて、加速することによってこの危険を回避するためには、単にアクセルを踏み込むだけではなく、同時にステアリングも操作するものと考えられる。単にアクセルを踏み込むだけでは当該車両の進路(進行方向)が変化しないため、他車両との衝突を回避できないからである。
【0007】
そこで、本発明の衝突緩和装置においては、ドライバによるアクセルの操作状態およびステアリングの操作状態を検出することによって、ドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているか否かを精度よく判定できるようにしている。
【0008】
従って、このような衝突緩和装置によれば、ドライバが車両との衝突を回避する操作をするときのみに、衝突緩和装置(衝突緩和手段)の機能を解除することができる。なお、禁止手段の記載において、ドライバによるアクセルの踏み込み操作とは、アクセルの踏み込み量を増加させる操作を表す。
【0009】
ところで、請求項1に記載の衝突緩和装置において、禁止手段は、請求項2に記載のように、他車両検出手段による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいてアクセル状態取得手段が検出したアクセルの操作量を基準操作量とし、その後、アクセル状態取得手段が検出したアクセルの操作量が基準操作量から予め設定されたアクセル操作閾値以上増加した場合に、ドライバによるアクセルの操作を検出したものとしてもよい。
【0010】
このような衝突緩和装置によれば、ドライバが単にアクセルを操作することを検出するのではなく、アクセルの操作量が基準操作量からアクセル操作閾値以上増加したか否かを検出することによってドライバが加速しようとする意志を検出することができる。よって、衝突回避のためのアクセル操作を正確に捉えることができる。
【0011】
さらに、請求項1または請求項2に記載の衝突緩和装置において、禁止手段は、請求項3に記載のように、他車両検出手段による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいてステアリング状態取得手段が検出したステアリングの位置を基準位置とし、その後、ステアリング状態取得手段が検出したステアリングの位置が基準位置から予め設定されたステアリング操作閾値以上変化した場合に、前記ドライバによるステアリングの操作を検出したものとしてもよい。
【0012】
このような衝突緩和装置によれば、ドライバが単にステアリングを操作することを検出するのではなく、ステアリングの位置が基準位置から操作閾値以上変化したか否かを検出することによってドライバが車両の進路を変化させようとする意志を検出することができる。よって、衝突回避のためのステアリング操作を正確に捉えることができる。
【0013】
また、請求項1〜請求項3の何れかに記載の衝突緩和装置においては、請求項4に記載のように、衝突判定手段により当該車両と前記他車両とが衝突すると判定された場合に、当該車両と他車両とが衝突するまでの時間を演算する衝突時間演算手段を備え、作動制御手段は、衝突時間演算手段による演算結果が予め設定された時間閾値以下になった場合に、緩和手段を作動させるようにしてもよい。
【0014】
このような衝突緩和装置によれば、当該車両と他車両との衝突の危険性が高くなってから緩和手段を作動させるようにすることができる。よって、衝突の危険性が低いときに緩和手段を作動させることによって、ドライバが煩わしく感じることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたプリクラッシュセーフティシステム(以下、PCSという。本発明でいう衝突緩和装置)1の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
PCS1は、例えば、乗用車等の車両に搭載され、車両が衝突することを検出し、車両が衝突する際にその被害を緩和させるシステムである。具体的には、図1に示すように、PCS1は、衝突緩和コントローラ10と、各種センサ30と、被制御対象40(本発明でいう緩和手段)とを備えている。
【0017】
各種センサ30としては、例えば、障害物や他車両等の対象物を、その位置(自車両に対する相対位置)とともに検出するレーダセンサ31(本発明でいう他車両検出手段)、車両の旋回角速度を検出するヨーレートセンサ32、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ33を備えている。また、各種センサ30としては、例えば、ブレーキが踏まれたことを検出するブレーキスイッチ(SW)34、アクセルの開度(ドライバによるアクセルの操作量)を検出するスロットルセンサ35、ステアリングの回転位置を検出するステアリングセンサ36等も備えている。これらの各種センサ30による検出結果は、衝突緩和コントローラ10によって取得される。
【0018】
なお、レーダセンサ31は、予め設定された所定の周期(例えば100ms)毎に対象物の検出を実施する。
衝突緩和コントローラ10は、CPU,ROM,RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されている。そして、衝突緩和コントローラ10は、各種センサ30による検出結果等に基づいてROMに格納されたプログラムを実行することによって、対象物選択部11としての処理(後述する対象物選択処理)、作動判定部12としての処理(後述する作動判定処理)、作動制御部13としての処理(後述する作動制御処理)、ドライバ操作判定部20としての処理(後述するドライバ操作判定処理)等を実施する。
【0019】
特に、ドライバ操作判定部20の処理としては、ブレーキが操作されたか否かを判定するブレーキ操作判定部21としての処理、ステアリングが操作されたかに否かを判定するステア操作判定部22としての処理、およびアクセルが操作されたか否かを判定するアクセル操作判定部23としての処理を実施する。
【0020】
衝突緩和コントローラ10は、このような処理を実施し、これらの処理による処理結果に応じて被制御対象40を作動させる。この結果、車両が衝突する際の被害を緩和させることができる。
【0021】
なお、被制御対象40としては、例えば、ブレーキや、ステアリング、シートベルト等を駆動するアクチュエータが挙げられる。
ここで、車両が衝突する際の被害を緩和させる際の処理である衝突緩和処理について図2、および図3を用いて説明する。図2は衝突緩和コントローラ10のCPUが実行する衝突緩和処理を示すフローチャートである。また、図3(a)は衝突緩和処理のうちドライバ操作判定処理を示すフローチャートであり、図3(b)は衝突緩和処理のうち作動判定処理を示すフローチャートである。
【0022】
衝突緩和処理は、予め設定された所定周期(例えば約50ms)毎に起動される処理である。具体的には図2に示すように、衝突緩和処理においては、対象物選択処理(S110:衝突判定手段)、ドライバ操作判定処理(S120:アクセル状態取得手段、ステアリング状態取得手段)、作動判定処理(S130:作動制御手段)、作動制御処理(S140)、を順に実施する。
【0023】
対象物選択処理(S110)では、自車両(当該PCS1が搭載された車両)が走行する車線(自車線)に割り込んでくる他車両や、自車両の進路上に位置する障害物等の対象物を検出する。なお、この対象物選択処理では、対象物の進路の推定や、対象物との相対速度の演算等の処理を実施し、これらの処理に基づいて、自車両と衝突する可能性がある対象物を選択する。
【0024】
ドライバ操作判定処理(S120)では、自車両のドライバ(ドライバ)が他車両や障害物等の対象物との衝突を回避する操作(衝突回避操作)を実施したか否かを判定する。
作動判定処理(S130)では、対象物選択処理によって推定された対象物の進路、対象物との相対速度等に基づいて被制御対象40を作動させるタイミングであるか否かを判定し、被制御対象40を作動させるタイミングであれば作動指示を生成する。
【0025】
そして、作動制御処理(S140)では、生成された作動指示に基づいて、被制御対象40に対応する作動指令を被制御対象40に対して(被制御対象40が複数の場合にはそれぞれの被制御対象40に対して)送信する。
【0026】
なお、衝突緩和コントローラ10のCPUは、レーダセンサ31によって検出された対象物の大きさや形状に基づいて、この対象物が車両であるか否かを判定する対象物判定処理も実施する。ここで、対象物判定処理は、衝突緩和処理の前に実施されてもよいし、衝突緩和処理と並行して実施されてもよい。
【0027】
対象物判定処理が衝突緩和処理の前に実施される場合には、この処理で車両であると判定されたもののみを対象として衝突緩和処理を実施すればよい。また、対象物判定処理が衝突緩和処理と並行して実施される場合には、対象物判定処理による判定結果と対象物選択処理による処理結果とを総合して、ドライバ操作判定処理以下の処理を実施するか否かを決定するようにすればよい。
【0028】
次に、ドライバ操作判定処理について説明する。ドライバ操作判定処理は、図3(a)に示すように、まず、対象物選択処理において、当該対象物を初めて選択したか否かを判定する(S210)。
【0029】
具体的には、例えば、対象物選択処理によって選択された対象物の進路や相対速度の変化率が予め設定された許容範囲内であるか否かによって上記判定を実施すればよい。なお、上記判定において対象物選択処理による処理結果を利用しない場合には、例えば、前回レーダセンサ31によって検出された対象物の位置と、今回レーダセンサ31によって検出された対象物の位置と(各位置)が予め設定された所定範囲内に収まっている場合に、この対象物を以前から選択していたものと判断し、各位置が所定範囲内に収まっていない場合に、この対象物を初めて選択したものと判断するようにすればよい。
【0030】
対象物を以前から選択していれば(S210:NO)、後述するS240の処理に移行する。また、対象物を初めて選択していれば(S210)、ステアリングセンサ36およびスロットルセンサ35による検出結果で示されるステアリングの位置およびアクセルの開度を、それぞれ基準位置および基準開度として設定する(S220)。
【0031】
そして、この基準位置および基準開度に基づいて、操作判定に用いられる閾値を設定し、この閾値をRAMに格納する(S230)。
ここで、ドライバがステアリングを操作したか否かを判定するために用いられるステアリング操作閾値は、基準位置から、例えば、±10degの値が設定されていればよい。また、ドライバがアクセルを操作したか否かを判定するために用いられるアクセル開度閾値は、基準開度から、例えば、+5%の開度に設定されていればよい。
【0032】
続いて、ドライバが衝突回避操作を実施したか否かを判定し、この判定結果をRAMに記録する(S240)。具体的には、ブレーキが操作されたとき(つまりブレーキスイッチ34がON状態のとき)、或いは、ブレーキが操作されていないとき(つまりブレーキスイッチ34がOFF状態のとき)であって、ステアリングの位置がステアリング操作閾値の範囲外であり、かつアクセルの開度がアクセル開度閾値以上であるときに、ドライバが衝突回避操作を実施したものと判断する。
【0033】
このような判定手法を採用するのは、ドライバによってブレーキが操作された場合には、ドライバの衝突回避の意志があるものとして直ちに判定することができるが、アクセルやステアリングが操作されたとしても、ドライバの衝突回避の意志があるとは直ちには判定できないためである。即ち、アクセルやステアリングは、ブレーキとは異なり、衝突回避のとき以外の通常の運転操作の際にも、ドライバによって漫然と操作されるものであるため、単に操作されたか否かだけではドライバの衝突回避の意志を判断することができない。
【0034】
このため、本実施形態においては、アクセルの踏み込み量、およびステアリングの位置の変化量を監視することによって、ドライバが衝突回避する意志をより正確に検出できるようにしているのである。
【0035】
次に、作動判定処理について説明する。作動判定処理においては、図3(b)に示すように、対象物選択処理において検出された他車両の挙動や相対速度に基づいて、自車両と他車両とが衝突するまでの時間を表す衝突時間を演算する(S310:衝突時間演算手段)。そして、この衝突時間が予め設定された衝突閾値以下であって、かつドライバによる衝突回避操作がされていない状態であるか否かを判定する(S320:禁止手段)。
【0036】
衝突時間が衝突閾値未満であって、かつ衝突回避操作がされていない状態であれば(S320:YES)、衝突時間に応じて衝突緩和機能(被制御対象40)を機能させるための作動指示をRAMに格納し(S330)、作動判定処理を終了する。
【0037】
また、衝突時間が衝突閾値以上であるか、或いは衝突回避操作がされている状態であれば(S320:NO)、直ちに作動判定処理を終了する。つまり、衝突回避操作がされている状態では、衝突緩和機能を作動させないようにしている。
【0038】
以上のように詳述したPCS1において、衝突緩和コントローラ10は、このPCS1が搭載された車両(当該車両)と他車両とが衝突すると判定すると、当該車両が衝突する際の被害を緩和させる被制御対象40を作動させる。ただし、ドライバによるアクセルの踏み込み操作およびステアリングの回動操作を検出した場合に、被制御対象40を作動させることを禁止する。
【0039】
即ち、ドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているときにおいて、加速することによってこの危険を回避するためには、単にアクセルを踏み込むだけではなく、同時にステアリングも操作するものと考えられる。単にアクセルを踏み込むだけでは当該車両の進路(進行方向)が変化しないため、他車両との衝突を回避できないからである。
【0040】
そこで、本実施形態のPCS1においては、ドライバによるアクセルの操作状態(踏み込み操作)およびステアリングの操作状態(回動操作)を検出することによって、ドライバが他車両との衝突の危険性を認識しているか否かを精度よく判定できるようにしている。
【0041】
従って、このようなPCS1によれば、ドライバが車両との衝突を回避する操作をするときのみに、PCS1(被制御対象40)の機能を解除することができる。
また、衝突緩和コントローラ10は、レーダセンサ31による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいて検出したアクセルの操作量を基準操作量とし、その後、検出したアクセルの操作量が基準操作量から予め設定されたアクセル操作閾値以上増加した場合に、ドライバによるアクセルの踏み込み操作を検出したものとする。
【0042】
さらに、衝突緩和コントローラ10は、レーダセンサ31による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいて検出したステアリングの位置を基準位置とし、その後、検出したステアリングの位置が基準位置から予め設定されたステアリング操作閾値以上変化した場合に、ドライバによるステアリングの操作を検出したものとする。
【0043】
従って、このようなPCS1によれば、ドライバが単にアクセルやステアリングを操作することを検出するのではなく、アクセルの操作量が基準操作量からアクセル操作閾値以上増加したか否か、およびステアリングの位置が基準位置から操作閾値以上変化したか否かを検出することによってドライバが加速しながら衝突を回避しようとする意志を検出することができる。よって、衝突回避のためのアクセル操作およびステアリング操作を正確に捉えることができる。
【0044】
また、衝突緩和コントローラ10は、当該車両と前記他車両とが衝突すると判定された場合に、当該車両と他車両とが衝突するまでの時間を演算する。そして、演算結果が予め設定された時間閾値以下になった場合に、被制御対象40を作動させるようにしてもよい。
【0045】
従って、このようなPCS1によれば、当該車両と他車両との衝突の危険性が高くなってから被制御対象40を作動させるようにすることができる。よって、衝突の危険性が低いときに被制御対象40を作動させることによって、ドライバが煩わしく感じることを防止することができる。
【0046】
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
例えば、上記実施形態においては、ステアリングの回動操作を、ステアリングの操作角度で検出するようにしたが、本実施形態のようにヨーレートセンサ32を備えている場合には、ヨーレートの変化を検出することによってステアリングの回動操作を検出してもよい。この場合には、ステアリング操作閾値をヨーレートにおける閾値に置換して判定を実施すればよい。
【0047】
このようにしても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明が適用されたPCSの概略構成を示すブロック図である。
【図2】衝突緩和処理を示すフローチャートである。
【図3】ドライバ操作判定処理を示すフローチャート(a)、および作動判定処理を示すフローチャート(b)である。
【符号の説明】
【0049】
1…PCS、10…衝突緩和コントローラ、11…対象物選択部、12…作動判定部、13…作動制御部、20…ドライバ操作判定部、21…ブレーキ操作判定部、22…ステア操作判定部、23…アクセル操作判定部、31…レーダセンサ、32…ヨーレートセンサ、33…車輪速センサ、34…ブレーキスイッチ、35…スロットルセンサ、36…ステアリングセンサ、40…被制御対象。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、当該車両が衝突する際の被害を緩和させる緩和手段を備えた車両用の衝突緩和装置であって、
当該車両のドライバによるアクセルの操作状態を取得するアクセル状態取得手段と、
当該車両のドライバによるステアリングの操作状態を取得するステアリング状態取得手段と、
当該車両の周囲に位置する他車両を検出する他車両検出手段と、
前記他車両検出手段により検出された他車両と当該車両とが衝突するか否かを判定する衝突判定手段と、
前記衝突判定手段により当該車両と前記他車両とが衝突すると判定されると、前記緩和手段を作動させる作動制御手段と、
前記アクセル状態取得手段および前記ステアリング状態取得手段による検出結果に基づいて、前記ドライバによるアクセルの踏み込み操作およびステアリングの回動操作を検出した場合に、前記作動制御手段が前記緩和手段を作動させることを禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とする衝突緩和装置。
【請求項2】
前記禁止手段は、前記他車両検出手段による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいて前記アクセル状態取得手段が検出したアクセルの操作量を基準操作量とし、その後、前記アクセル状態取得手段が検出したアクセルの操作量が前記基準操作量から予め設定されたアクセル操作閾値以上増加した場合に、前記ドライバによるアクセルの踏み込み操作を検出したものとみなすこと
を特徴とする請求項1に記載の衝突緩和装置。
【請求項3】
前記禁止手段は、前記他車両検出手段による他車両の検出後における予め設定されたタイミングにおいて前記ステアリング状態取得手段が検出したステアリングの位置を基準位置とし、その後、前記ステアリング状態取得手段が検出したステアリングの位置が前記基準位置から予め設定されたステアリング操作閾値以上変化した場合に、前記ドライバによるステアリングの回動操作を検出したものとみなすこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝突緩和装置。
【請求項4】
前記衝突判定手段により当該車両と前記他車両とが衝突すると判定された場合に、当該車両と前記他車両とが衝突するまでの時間を演算する衝突時間演算手段を備え、
前記作動制御手段は、前記衝突時間演算手段による演算結果が予め設定された時間閾値以下になった場合に、前記緩和手段を作動させること
を特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の衝突緩和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−279863(P2008−279863A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124851(P2007−124851)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】