説明

表示素子の製造方法、及び表示素子の製造装置

【課題】 高精度な駆動回路又は薄膜トランジスタを可撓性の基板に形成する表示素子用の製造装置(100)を提供する。
【解決手段】 表示素子の製造装置は、表示素子(50)を可撓性の基板(FB)に形成する。この製造装置は可撓性の基板(FB)を第1方向に搬送する搬送部(45、46)と、第1方向と交差する第2方向に回転して可撓性の基板(FB)に表示素子(50)用の隔壁を形成する第1の隔壁形成ローラ部(10)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子又は回路素子などを形成する表示素子の製造技術に関する。特にナノインプリントにより隔壁(バンク)を形成して表示素子を製造する製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として、液晶又は有機ELなどを利用した表示媒体が広く用いられている。例えば有機EL素子の製造においては、電極層や有機化合物層のパターニングがなされている。このパターニングを行う方法として、シャドウマスクを介して有機化合物を蒸着する方法やインクジェットにより有機化合物を塗布する方法がある。
【0003】
蒸着装置は、均一な膜を得るため基板と蒸着源との間隔をある程度離す必要があり、蒸着装置自体が大型化し、蒸着装置の各成膜室の排気に要する時間も長時間となってしまっていた。さらに、蒸着装置は基板を回転させる構造であるため、大面積基板を目的とする蒸着装置には限界があった。このため、特許文献1に開示されるように、インクジェットにより有機化合物を塗布する研究開発が盛んに進められている。
【0004】
インクジェットにより有機化合物を塗布する際には、塗布されたインクが特定の領域から広がらないように隔壁(バンク)が形成されることが多い。特許文献1では隔壁と隔壁との間にインクが塗布されているが、隔壁の製造について開示されていない。一般に隔壁はフォトリソグラフィ工程で製造されている。具体的には隔壁は基板上に感光性を有する合成樹脂をコーティングして感光性材料層(絶縁層)を設けた後、パターンを有するマスクを露光光で照明し、マスクを透過した露光光により感光性材料層を露光する。次いで現像処理することにより隔壁を製造している。しかしこのような隔壁を製造する方法は煩雑であるため、特許文献2は隔壁を不要とする方法を提案している。
【特許文献1】米国特許7108369号公報
【特許文献2】特開2006−294485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2で提案されるように線幅が太い箇所などの一部では隔壁が無くてもよいが、多くの箇所では有機化合物を基板に塗布したりするには隔壁を作成した方が精度の高い表示素子を生産することができ、また、不良率を低減することもできる。
そこで、隔壁を基板に簡易に作る技術を提供し、高精度な駆動回路を可撓性の基板に形成する表示素子用の製造装置及び製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示素子の製造装置は、表示素子を可撓性の基板に形成する。この製造装置は可撓性の基板を第1方向に搬送する搬送部と、第1方向と交差する第2方向に回転して可撓性の基板に表示素子用の隔壁を形成する第1の隔壁形成ローラ部と、を備える。
【0007】
本発明の表示素子の製造方法は、可表示素子を可撓性の基板に形成する表示素子の製造方法である。この方法は、可撓性の基板を第1方向に搬送する搬送工程と、第1の隔壁形成ローラ部を第1方向と交差する第2方向に回転させて可撓性の基板に隔壁を形成する隔壁形成工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表示素子の製造方法又は製造装置は、隔壁が形成されているため高精度に表示素子が形成される。この隔壁を作成する際に搬送方向にローラを回転させるのではない、という利点もある。可撓性の基板が長尺であってもロール状のままでの状態で運搬可能となり、輸送コストの大幅な削減も可能となる。特に、多面取りパネルや大型パネルになればなるほど効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施形態で説明する表示素子の製造装置は、有機EL素子、液晶表示素子又は電界放出ディスプレイに適用できる装置である。
【0010】
<電界効果型トランジスタの有機EL素子50>
図1(a)は、有機EL素子50の拡大上面図であり、図1(b)及び(c)は、(a)のb−b断面図及びc−c断面図である。この実施形態では有機EL素子50はボトムコンタクト型であるが、トップコンタクト型でも適用できる。
【0011】
図1(b)に示されるように可撓性シート基板FBの上にゲート電極Gが形成されている。そのゲート電極Gの上に絶縁層Iが形成されている。絶縁層Iの上にソースバスラインSBLのソース電極Sが形成されるとともに、画素電極Pと接続したドレイン電極Dが形成される。ソース電極Sとドレイン電極Dとの間には有機半導体層OSが形成される。これで電界効果型トランジスタが完成することになる。また、画素電極Pの上には、図1(b)及び(c)に示されるように、発光層IRが形成され、その発光層IRの上には透明電極ITOが形成される。
【0012】
図1(b)及び(c)から理解されるように、シート基板FBには隔壁BA(バンク)が形状されている。そして図1(c)に示されるようにソースバスラインSBLが隔壁BA間に形成されている。このように、隔壁BAが存在することによりソースバスラインSBLが高精度に形成されるとともに、画素電極P及び発光層IRも正確に形成されている。なお、図1(b)及び(c)では描かれていないがゲートバスラインGBLもソースバスラインSBLと同様に隔壁BA間に形成されている。このような有機EL素子50を量産的に製造する製造装置を以下に説明する。
【0013】
<<実施例1:有機EL素子の製造装置>>
図2は、可撓性のシート基板FBに、図1で示された有機EL素子50を製造する製造装置100の構成を示された概略図である。
【0014】
本実施例の有機EL素子50の製造装置100は、薄膜トランジスタ(TFT)、画素電極Pが形成されたシート基板FBを形成する。さらに、そのシート基板FB上の画素電極P上に発光層IRを含む1以上の有機化合物層(発光素子層)を精度良く形成するために、画素電極Pの境界領域に隔壁BAを容易に精度良く形成する。
【0015】
有機EL素子用の製造装置100は、ロール状に巻かれた可撓性シート基板FBを送り出すための供給ロールRLを備えている。供給ロールRLが所定速度の回転を行うことで、シート基板FBが搬送方向であるX軸方向に送られる。また、有機EL素子用の製造装置100は、複数個所にローラRRを備えており、このローラRRが回転することによっても、シート基板FBがX軸方向に送られる。ローラRRはシート基板FBを両面から挟み込むゴムローラであってもよいし、シート基板FBがパーフォレーションを有するものであればラチェット付きのローラRRであってもよい。
【0016】
<隔壁形成工程NI>
供給ロールRLから送り出されたシート基板FBは、最初にシート基板FBに隔壁BAを形成する隔壁形成工程NIに入る。隔壁形成工程NIには、第1インプリントローラ10及びステージ15が設けられている。第1インプリントローラ10のローラ表面は鏡面仕上げされており、そのローラ表面にSiC、Taなどの材料で構成された微細インプリント用モールド11が取り付けられている。微細インプリント用モールド11は、薄膜トランジスタの配線用の凹凸パターンを形成している。また、微細インプリント用モールド11は、アライメントマークAM用の凹凸パターンを形成している。
【0017】
隔壁形成工程NIでは、第1インプリントローラ10でシート基板FBを押圧する。このシート基板FBを支えるようにステージ15が配置されている。押圧した隔壁BAが形状を保つように第1インプリントローラ10又はステージ15はシート基板FBをガラス転移点以上に熱する。微細インプリント用モールド11に形成された凹凸パターンがシート基板FBの表面に転写される。隔壁形成工程NIの詳細は図3から図10を使って後述する。
【0018】
<電極形成工程TR>
シート基板FBは、さらにX軸方向に進むと電極形成工程TRに入る。電極形成工程TRでは、有機半導体を用いた薄膜トランジスタを形成する。この有機半導体を用いて薄膜トランジスタを構成すれば、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタを形成できる。また、有機半導体を用いた薄膜トランジスタの内、図1で示されたような電界効果型トランジスタ(FET)が特に好ましい。
【0019】
電極形成工程TRでは、ゲート用液滴塗布装置20G、絶縁層用の液滴塗布装置20Iなどの液滴塗布装置20などを使用する。用途ごとに、ソース用及びドレイン用並びに画素電極用の液滴塗布装置20SD、有機半導体液滴塗布装置20OS、ITO電極用の液滴塗布装置20ITなどを使用するが、すべてインクジェット方式又はディスペンサー方式を採用することができるので、以下の説明ではこれらをまとめて液滴塗布装置20と表現することもある。
【0020】
インクジェット方式としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。液滴塗布法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できる。
【0021】
まず、ゲート用液滴塗布装置20Gは、メタルインクを、ゲートバスラインGBLの隔壁BA内に塗布する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりメタルインクを乾燥又は焼成(ベーキング)させる。これらの処理で、ゲート電極Gが形成される。なおメタルインクは、粒子径が約5nmほどの導電体が室温の溶媒中で安定して分散をする液体であり、導電体として、カーボン、銀(Ag)又は金(Au)が使われる。
【0022】
次に、絶縁層用の液滴塗布装置20Iは、ポリイミド系樹脂又はウレタン系樹脂の電気絶縁性インクをスイッチング部に塗布する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより電気絶縁性インクを乾燥し硬化させる。これらの処理で、ゲート絶縁層Iが形成される。
【0023】
次に、ソース用及びドレイン用並びに画素電極用の液滴塗布装置20SDは、メタルインクを、ソースバスラインSBLの隔壁BA内及び画素電極Pの隔壁BA内に塗布する。そして、熱処理装置BKでメタルインクを乾燥又は焼成(ベーキング)させる。これらの処理で、ソース電極S、ドレイン電極D及び画素電極Pが接続された状態の電極が形成される。
【0024】
次に、互いにつながったソース電極Sとドレイン電極Dとを、切断装置30で切断する。切断装置30としては、切断する金属膜に対し、吸収する波長のレーザーが好ましい。チタンサファイアレーザーを使ったフェムト秒レーザー照射部は、レーザー光LLを10KHzから40KHzのパルスで照射する。レーザー光LLの光路に配置されるガルバノミラー31が回転することにより、レーザー光LLの照射位置が変化する。
【0025】
切断装置30は、電界効果型トランジスタの性能を決めるソース電極Sとドレイン電極Dと間隔(チャンネル長)を正確に切断する。ソース電極Sとドレイン電極Dと間隔は、3μm程度から30μm程度である。この切断処理により、ソース電極Sとドレイン電極Dとが分離された電極が形成される。
【0026】
次に、有機半導体液滴塗布装置20OSは、ソース電極Sとドレイン電極Dとのチャンネル長の間のスイッチング部に有機半導体インクを塗布する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより有機半導体インクを乾燥又は焼成させる。これらの処理で、有機半導体層OSが形成される。
【0027】
なお、有機半導体インクを形成する化合物は、単結晶材料でもアモルファス材料でもよく、低分子でも高分子でもよい。特に好ましいものとしては、ペンタセンやトリフェニレン、アントラセン等に代表される縮環系芳香族炭化水素化合物の単結晶又はπ共役系高分子が挙げられる。
【0028】
以上のようにして、いわゆるフォトリソグラフィ工程を使用しなくても、印刷技術や液滴塗布法技術を活用して薄膜トランジスタ等を形成できる。印刷技術のみや液滴塗布法技術のみではインクのにじみや広がりのため精度よく薄膜トランジスタ等を形成することは困難であるが、隔壁形成工程NIにより隔壁BAが形成されているためインクのにじみや広がりを防ぐことができる。
【0029】
<発光層形成工程EM>
有機EL素子用の製造装置100は、画素電極P上に有機EL素子の発光層IRの形成工程を引き続き行う。発光層形成工程EMでも、発光層用の液滴塗布装置20(赤色発光層用の液滴塗布装置20Re、緑色発光層用の液滴塗布装置20Gr、青色発光層用の液滴塗布装置20BL)を使用する。
【0030】
発光層IRは、ホスト化合物とリン光性化合物(リン光発光性化合物ともいう)が含有される。ホスト化合物とは発光層IRに含有される化合物である。リン光性化合物は励起三重項からの発光が観測される化合物であり室温においてリン光発光する。
【0031】
赤色発光層用の液滴塗布装置20Reは、R溶液を画素電極P上に塗布し、乾燥後の厚み100nmになるように成膜を行う。R溶液は、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に赤ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
続いて、緑色発光層用の液滴塗布装置20Grは、G溶液を画素電極P上に塗布する。G溶液は、ホスト材PVKに緑ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
【0032】
さらに、青色発光層用の液滴塗布装置20BLは、B溶液を画素電極P上に塗布する。B溶液は、ホスト材PVKに青ドーパント材を1、2−ジクロロエタン中に溶解した溶液とする。
その後、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより発光層溶液を乾燥し硬化させる。
【0033】
次に、絶縁層用の液滴塗布装置20Iは、ポリイミド系樹脂又はウレタン系樹脂の電気絶縁性インクを、後述する透明電極ITOとショートしないように、ゲートバスラインGBL又はソースバスラインSBLの一部に塗布する。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などにより電気絶縁性インクを乾燥し硬化させる。
【0034】
その後、ITO電極用の液滴塗布装置20ITは、赤色、緑色及び青色発光層の上にITO(Indium Tin Oxideインジウムスズ酸化物)インクを塗布する。ITOインクは、酸化インジウム(In)に数%の酸化スズ(SnO)を添加した化合物であり、その電極は透明である。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明電極膜層を作製可能な材料を用いてもよい。透明導電膜は、透過率が90%以上であることが好ましい。そして、熱処理装置BKで熱風又は遠赤外線などの放射熱などによりITOインクを乾燥し硬化させる。
【0035】
図2で説明した有機EL素子用の製造装置100は、図1の有機EL素子50を製造することができるが、有機EL素子にさらに正孔輸送層及び電子輸送層を設けられる場合がある。これらの層も印刷技術や液滴塗布法技術を活用し、これらを設けるための工程を製造装置100に追加すればよい。
【0036】
有機EL素子用の製造装置100は、図2に示された主制御部90を有している。主制御部90は供給ロールRL及びローラRRの速度制御を行う。また、主制御部90は複数のアライメントカメラCA(CA1からCA8)からアライメントマークAM(図4を参照)の検出結果を受け取り、液滴塗布装置20のインクなどの塗布位置とタイミング、切断装置30の切断位置及びタイミングを制御する。
【0037】
<隔壁形成工程NI>
<<実施形態1>>
次に隔壁形成工程NIの実施形態1について説明する。
図3は実施形態1の隔壁形成工程NIの拡大概念図である。図3に示された第1インプリントローラ10は、不図示のサーボモータでY軸方向に回転可能である。第1インプリントローラ10の表面はサブミクロンの表面粗さで形成されている。第1インプリントローラ10の表面に微細インプリント用モールド11が貼り付けられている。微細インプリント用モールド11は、図1で示された隔壁BAを形成するため凹凸パターンを有している。この凹凸パターンは隔壁BAを反転されたパターンであり、凸の隔壁BAに対応する微細インプリント用モールド11の領域は凹んでいる。
【0038】
ローラ上下駆動装置12が第1インプリントローラ10に取り付けられており、第1インプリントローラ10はシート基板FBに接したり離れたりすることができる。シート基板FBが搬送される際には第1インプリントローラ10がシート基板FBから離れ、隔壁BAを形成する際には第1インプリントローラ10がシート基板FBに接する。
【0039】
第1インプリントローラ制御部91は、第1インプリントローラ10のサーボモータ及びローラ上下駆動装置12に接続されている。第1インプリントローラ10は搬送方向と直交する方向(Y軸方向)に回転する。第1インプリントローラ制御部91は第1インプリントローラ10の回転、及びローラ上下駆動装置12による第1インプリントローラ10の上下動を制御する。
【0040】
なお、シート基板FBは樹脂フィルムであり、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂を使うことができる。
【0041】
次にプリント確認カメラ41について説明する。プリント確認カメラ41は第1インプリントローラ10の近傍に取り付けられている。プリント確認カメラ41は以下に説明するステージ15と第1インプリントローラ10との位置関係を確認したり、第1インプリントローラ10に対するシート基板FBの位置を確認したりする。またプリント確認カメラ41は第1インプリントローラ10による一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成との境目を確認する。
【0042】
カメラ制御部92は、プリント確認カメラ41の撮影タイミングを制御したり、撮影された画像から位置を算出したりする。
【0043】
ステージ15は、テーブル16とテーブル駆動装置17とを有している。またステージ15にはステージ15と第1インプリントローラ10との位置関係を確認するための基準マークFMが形成されている。テーブル16はX軸方向及びY軸方向に移動可能であるとともに、Z軸方向にも移動可能である。テーブル16にはシート基板FBを加熱するヒータが内蔵されており、テーブル16の周囲の四辺付近にはシート基板FBを真空吸着する吸着部が形成されている。またシート基板FBを平らに保持できるように、テーブル16の表面は表面粗さがサブミクロンに加工されている。テーブル駆動装置17は、テーブル16をX軸、Y軸及びZ軸方向に駆動することができる。例えば、テーブル駆動装置17は、シート基板FBが搬送される際にはテーブル16がシート基板FBから離れるようにZ軸方向に下がる。また、シート基板FBがテーブル16の吸着部で保持された後、一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成との境目が目立たなくするように、シート基板FBをX軸又はY軸方向に移動させることができる。
【0044】
ステージ制御部93はテーブル駆動装置17に接続されている。ステージ制御部93はテーブル16の上下動及び水平移動を制御する。
【0045】
次にシートバッファ領域BFについて説明する。第1インプリントローラ10は、幅方向すなわちY軸方向に回転するのでステージ15にはシート基板FBがステップごとに送られる。このためシートバッファ領域BFが設けられている。隔壁形成工程NIの上流には第1シートバッファ領域BF1が設けられ、下流には第2シートバッファ領域BF2が設けられている。第1シートバッファ領域BF1は、上流ローラ44と上流供給ローラ45との間にシート基板FBを滞留させている。また第2シートバッファ領域BF2は、下流供給ローラ46と下流ローラ47との間にシート基板FBを滞留させている。また、滞留しているシート基板FBに所定のテンションをかけるために、第1シートバッファ領域BF1及び第2シートバッファ領域BF2に下向きの圧縮空気を吹き付けるノズルNZが設けられている。
【0046】
上流供給ローラ45と下流供給ローラ46との表面には、真空吸着用の無数の孔が設けられており、シート基板FBと上流供給ローラ45及び下流供給ローラ46との間ですべりが発生しないようにしている。
供給ローラ制御部94は上流供給ローラ45と下流供給ローラ46とに接続されている。ステージ制御部93はテーブル16の上下動及び水平移動を制御する。
【0047】
図4は、隔壁形成工程NIの上から見た図であり、理解を容易にするために、シート基板FB、第1インプリントローラ10及びテーブル16が描かれている。
【0048】
図4に示されるように、第1インプリントローラ10の下流には有機EL素子50の隔壁BAがシート基板FBに形成されている。第1インプリントローラ10の上流では有機EL素子50の隔壁BAが形成されていないが、理解を助けるため便宜上シート基板FBに点線で描かれている。シート基板FBは、そのほぼ中央に矩形状の表示領域51を備えている。表示領域51には、複数の画素電極Pがマトリクス状に形成されている。マトリクス状に配置された画素電極Pの外周部分には信号線駆動回路55及び走査駆動回路57が設けられている。また、信号線駆動回路55の幅方向(Y軸方向)の外側にはアライメントマークAMが形成されている。
【0049】
微細インプリント用モールド11は、表示領域51、信号線駆動回路55、走査駆動回路57及びアライメントマークAMの隔壁BA用の凹凸パターンが形成されている。第1インプリントローラ10が回転し微細インプリント用モールド11が回転すると、幅WWの領域の隔壁を形成することができる。シート基板FBの幅に応じて第1インプリントローラ10の直径を決めればよい。微細インプリント用モールド11は第1インプリントローラ10の全周に取り付けられる必要はない。例えば、第1インプリントローラ10が1周360度のうち300度回転して幅WWの領域の隔壁を形成することができれば、300度分の円周に微細インプリント用モールド11が取り付けられれば良い。
【0050】
なお、図4に示されるアライメントマークAMは、シート基板FBの搬送方向が確認できるように、Y軸の伸びる線とこの線に直角三角形の頂点が接する形状をしている。しかしながらアライメントマークAMの形状は特に限定が無く、後述する図9に示されるように、十字型のアライメントマークAMであってもよい。
【0051】
また、本実施形態においては、図4に示す如く、第1インプリントローラ10(ひいては、微細インプリント用モールド11)を洗浄するための洗浄部61を備えるようにしてもよい。洗浄部61は、純水、又は有機溶剤などからなる洗浄液を用いて、洗浄部61まで退避された第1インプリントローラ10に付着した塵や埃などの微小な付着物を洗浄する。なお、洗浄部61による第1インプリントローラ10の洗浄は、隔壁形成工程NIを一旦止めて行ってもよいし、図5において後述するようにシート基板FBを上流供給ローラ45及び下流供給ローラ46によってステッピング距離LL1又はステッピング距離LL2移動させる間に行ってもよい。また、洗浄液としては、フッ化水素酸を含む溶液であってもよいし、フッ化水素酸水溶液(50wt%)とフッ化アンモニウム(40wt%)とを容積比1:10で混合した溶液を使用してもよい。なお、有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、などがある。
【0052】
図5は、隔壁形成工程NIの上から見た図であり、理解を容易にするために、シート基板FB、第1インプリントローラ10テーブル16、上流供給ローラ45及び下流供給ローラ46が描かれている。図5に描かれた隔壁形成工程NIは、第1インプリントローラ10が画素電極用ローラ10Aと端子用ローラ10Bとに分かれている点で、図4に描かれた隔壁形成工程NIと異なっている。
【0053】
画素電極用ローラ10Aの微細インプリント用モールド11Aは、表示領域51、信号線駆動回路55及びアライメントマークAMの隔壁BA用の凹凸パターンが形成されている。一方、端子用ローラ10Bの微細インプリント用モールド11Bは、走査駆動回路57の隔壁BA用の凹凸パターンが形成されている。このように有機EL素子50の隔壁BAを分割すると、個々の微細インプリント用モールド11を小さくすることができる。このため微細インプリント用モールド11の製作コストの低減が図れる。また、第1インプリントローラ10の軸長が長くなると第1インプリントローラ10の中央がたわんでしまい周辺領域と中央領域とで押圧が変わってしまい、隔壁BAの高さが設計値と異なることが多くなり易いが、そのような問題を解決することができる。
【0054】
画素電極用ローラ10Aは図5の矢印ARAで示されるように移動する。具体的には、上流供給ローラ45と下流供給ローラ46とが回転してシート基板FBをステッピング距離LL1移動させたり、ステッピング距離LL2移動させたりする。端子用ローラ10Bは図5の矢印ARBで示されるように移動する。この移動距離はステッピング距離LL1とステッピング距離LL2とを合わせた距離に設定されている。
【0055】
図6は、図5で示された画素電極用ローラ10Aと端子用ローラ10Bとを有する隔壁形成工程NIの動作フローチャートである。端子用ローラ10Bの移動距離がステッピング距離LL1とステッピング距離LL2とを合わせた距離に設定されていることからも理解されるように、画素電極用ローラ10Aが二往復することに端子用ローラ10Bが一往復する関係である。
【0056】
ステップS11において、上流搬送ローラ45及び下流搬送ローラ46がステッピング距離分LL1だけシート基板FBを搬送する。またプリント確認カメラ41は第1インプリントローラ10による一度目の隔壁BAの境目を確認する。
【0057】
ステップS12において、テーブル16がシート基板FBに接するように上方に駆動され、そしてテーブル16がシート基板FBを真空吸着する。このときに、図3で示されたプリント確認カメラ41でシート基板FBの位置を確認する。シート基板FBの正しい位置に搬送されていない場合には、テーブル16がXY軸方向に移動してシート基板FBの位置を調整する。
【0058】
ステップS13において、ローラ上下駆動装置12によって画素電極用ローラ10Aがシート基板FBに接するように駆動される。なお、ステップS12とステップS13とが逆になってもよいし、同時に行ってもよい。
【0059】
ステップS14において、画素電極用ローラ10AがY軸方向に回転し、シート基板FBに表示領域51、信号線駆動回路55及びアライメントマークAMの隔壁BAが形成される。
また同時に、ステップS15において端子用ローラ10BがY軸方向に回転し、シート基板FBに走査駆動回路57の隔壁BAが形成される。
【0060】
ステップS16では、シート基板FBを搬送する準備として、ローラ上下駆動装置12で画素電極用ローラ10Aがシート基板FBから離される。また、ステップS17では、テーブル16によるシート基板FBの真空吸着が開放され、テーブル16がシート基板FBから離される。なお、ステップS16とステップS17とが逆になってもよいし、同時に行ってもよい。
【0061】
ステップS18において、ステッピング距離分LL2だけ上流搬送ローラ45及び下流搬送ローラ46がシート基板FBを搬送する。
【0062】
ステップS19において、テーブル16がシート基板FBに接するように上方に駆動され、そしてテーブル16がシート基板FBを真空吸着する。このときに、図3で示されたプリント確認カメラ41でシート基板FBの位置を確認し、必要であればテーブル16がXY軸方向に移動してシート基板FBの位置を調整する。
【0063】
ステップS20において、ローラ上下駆動装置12によって画素電極用ローラ10Aがシート基板FBに接するように駆動される。
【0064】
ステップS21において、画素電極用ローラ10AがY軸方向(但しステップS14とは逆方向)に反転して隔壁BAが形成される。
以上のような動作を繰り返す。但しステップS15の端子用ローラ10Bの回転は逆転する。
【0065】
図7(A)は、第1インプリントローラ10による一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成との境目を拡大した図である。図7(B)は、微細インプリント用モールド11の一部を示した拡大図である。
【0066】
有機EL素子50の面積が大きくなると、第1インプリントローラ10の軸方向の幅を長くし、微細インプリント用モールド11の軸方向の幅も長くしななければならない。長くなると周辺領域と中央領域とで押圧が変わってしまう場合があるため、図4及び図5で示されたように第1インプリントローラ10の軸方向の幅を短くし一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成とをつないでいる。しかし、一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAとの境目が目立ってしまうことがある。
【0067】
図7(B)に示されるように、第1インプリントローラ10の微細インプリント用モールド11の端部11Pは、曲線上に形成されている。具体的には、第1インプリントローラ10の回転方向と直交する方向の微細インプリント用モールド11の端部11Pは、ジグザグ形状や波形状が形成されている。
【0068】
図7(A)に示される領域51Vは、一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAとのつながった状態であり、領域51Uは、一度目の隔壁BAの形成しか形成されていない状態である。一度目の隔壁BAの端部51Pはジグザグ形状や波形状が形成されている。なお、ジグザグ形状や波形状が形成される箇所は、表示領域51の画素電極Pが好ましい。画素電極Pはソース電極S又はドレイン電極D(図1参照)よりも比較的精度が要求されないからである。
【0069】
なお、本実施形態においては、第1インプリントローラ10は、上述のようにY軸方向に回転して表示素子用の隔壁を形成するため、軸方向の幅(軸長)を短くすることができる。また、本実施形態においては、第1インプリントローラ10の軸方向の幅を短くすることで、微細インプリント用モールド11の軸方向の幅も短くなるので、微細インプリント用モールド11の軸方向の周辺の押圧をより均等にすることができる。
【0070】
<<実施形態2>>
次に隔壁形成工程NIの実施形態2について図8を使って説明する。特に図3で示された隔壁形成工程NIと異なる箇所を説明し同じ箇所には同じ符号を付している。また、図8に示す第1インプリントローラ10は、図5で示された画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10Bが設けられている。
【0071】
実施形態2では、第1インプリントローラ10(画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10B)の上流に第2インプリントローラ18が設けられている。第2インプリントローラ18の表面に微細インプリント用モールド11が貼り付けられている。第2インプリントローラ18はシート基板FBの搬送方向(X方向)に回転する。第2インプリントローラ18には第1インプリントローラ10に設けられたローラ上下駆動装置12が取り付けられていない。第2インプリントローラ18はシート基板FBに常に接している。
【0072】
第2インプリントローラ制御部98は、第2インプリントローラ18のサーボモータに接続されている。第2インプリントローラ制御部98は第2インプリントローラ18を搬送方向への回転を制御する。
【0073】
次にプリント確認カメラ41について説明する。プリント確認カメラ41は第1インプリントローラ10の上流にも下流にも取り付けられている。実施形態1でも説明したように、下流に配置されたプリント確認カメラ41はステージ15と第1インプリントローラ10との位置関係を確認したり、第1インプリントローラ10に対するシート基板FBの位置を確認したり、第1インプリントローラ10による一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成との境目を確認する。一方、上流に配置されたプリント確認カメラ41は、第2インプリントローラ18が形成した隔壁BAを主に確認し、画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10Bをローラ上下駆動装置12でシート基板FBに当接する位置を求めている。また、上流に配置されたプリント確認カメラ41に対して、ステージ15は基準マークFMを有している。
【0074】
第1シートバッファ領域BF1は図3で示された上流ローラ44に代えて駆動ローラ48が設けられている。駆動ローラ48と上流供給ローラ45との間にシート基板FBを滞留させている。駆動ローラ48はサーボモータなどのよって回転する。シート基板FBは駆動ローラ48と第2インプリントローラ18とで挟み込まれた状態である。第2インプリントローラ制御部98は、第2インプリントローラ18の回転と同期して駆動ローラ48を回転させる。
【0075】
図9及び図10は、実施形態2の隔壁形成工程NIの上から見た図である。図9は第2インプリントローラ18の付近を示した図である。図10は実施形態2の第1インプリントローラ10(画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10B)の付近を示した図である。
【0076】
第2インプリントローラ18の微細インプリント用モールド11は、信号線駆動回路55及びアライメントマークAMの隔壁BA用の凹凸パターンが形成されている。図9に示されるように、第2インプリントローラ18が回転し微細インプリント用モールド11が回転すると、信号線駆動回路55及びアライメントマークAMの隔壁BAが形成される。第2インプリントローラ18の上流では有機EL素子50の隔壁BAが形成されていないが、理解を助けるため便宜上シート基板FBに点線で描かれている。また、第2インプリントローラ18の下流でも表示領域51及び走査駆動回路57が形成されていないが、理解を助けるため便宜上シート基板FBに点線で描かれている。
【0077】
シート基板FBの幅が長い場合でも、信号線駆動回路55及びアライメントマークAMの隔壁BAのみを形成するため、周辺領域の押圧を一定にすることができる。また、周辺領域の押圧を一定にするために、第2インプリントローラ18はアライメントマークAMのみの隔壁BAを形成するようにしてもよい。さらに周辺領域の押圧を一定にできる範囲で、周辺領域の表示領域51も信号線駆動回路55及びアライメントマークAMに加えて形成するようにしてもよい。
【0078】
なお、第2インプリントローラ18がアライメントマークAMを形成すると、このアライメントマークAMを基準に、画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10Bの位置も正確に規定することができる。
【0079】
図10において、画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10Bは、幅WWの領域の隔壁、すなわち表示領域51及び走査駆動回路57の隔壁BAを形成している。すでに第2インプリントローラ18で信号線駆動回路55及びアライメントマークAMが形成されているため、この幅WWはシート基板FBの幅よりも狭くて済むため、画素電極用ローラ10A用の微細インプリント用モールド11A及び端子用ローラ10B用の微細インプリント用モールド11Bは狭い面積分で足り、画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10Bの直径は小さくて済む。
【0080】
図10における画素電極用ローラ10Aは、シート基板FBがステッピング距離LL1ごと移動したい際にY軸方向に回転する。端子用ローラ10Bのステッピング距離LL5は3回のステッピング距離LL1の合計と一致しており、画素電極用ローラ10AがY軸方向に3回回転するごとに端子用ローラ10BがY軸方向に一回転する。
【産業上の利用可能性】
【0081】
有機EL素子の製造方法について説明してきたが、本発明の製造装置は、電界放出ディスプレイ又は液晶表示素子などにも適用できる。
また、実施形態1又実施形態2においてシート基板FBに微細インプリント用モールド11を押圧して熱を与えて隔壁BAを形成する例を示したが、紫外線硬化性樹脂を塗布して微細インプリント用モールド11を押圧して紫外線を照射することで隔壁BAを形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(a)は有機EL素子50の上面図である。 (b)及び(c)は、(a)のb−b断面図及びc−c断面図である。
【図2】可撓性の基板に、有機EL素子を製造する製造装置100の構成を示された概略図である。
【図3】実施形態1の隔壁形成工程NIの拡大概念図であり、側面から見た図である。
【図4】実施形態1の隔壁形成工程NIの上から見た図である。
【図5】画素電極用ローラ10Aと端子用ローラ10Bとを使う場合の実施形態1の隔壁形成工程NIの上から見た図である。
【図6】図5に示された画素電極用ローラ10Aと端子用ローラ10Bとを有する隔壁形成工程NIの動作フローチャートである。
【図7】第1インプリントローラ10による一度目の隔壁BAの形成と二度目の隔壁BAの形成との境目を説明する図である。
【図8】実施形態2の隔壁形成工程NIの拡大概念図であり、側面から見た図である。
【図9】実施形態2の隔壁形成工程NIの上から見た図であり、特に第2インプリントローラ18の付近を示した図である。
【図10】実施形態2の隔壁形成工程NIの上から見た図であり、特に第1インプリントローラ10(画素電極用ローラ10A及び端子用ローラ10B)の付近を示した図である。
【符号の説明】
【0083】
10 … 第1インプリントローラ(10A … 画素電極用ローラ、10B … 端子用ローラ)
11 … 微細インプリント用モールド、11P … 端部
12 … ローラ上下駆動装置
15 … 熱転写ローラ
18 … 第2インプリントローラ
20 … 液滴塗布装置
20BL … 青色発光層用の液滴塗布装置
20G … ゲート用液滴塗布装置
20Gr … 緑色発光層用の液滴塗布装置
20I … 絶縁層用の液滴塗布装置
20Re … 赤色発光層用の液滴塗布装置
20IT … ITO電極用の液滴塗布装置
20OS … 有機半導体液滴塗布装置
30 … 切断装置
41 … アライメントカメラ
44 … 上流ローラ、45 … 上流供給ローラ、46 … 下流供給ローラ、47 … 下流ローラ、48 … 駆動ローラ
50 … 有機EL素子
51 … 表示領域
55 … 信号線駆動回路、57 … 走査駆動回路
61 … 洗浄部
90 … 主制御部
91 … 第1インプリントローラ制御部
92 … カメラ制御部
93 … ステージ制御部
94 … 供給ローラ制御部
98 … 第1インプリントローラ制御部
100 … 製造装置
AM … アライメントマーク
BA … 隔壁
BF … シートバッファ領域
BK … 熱処理装置
D … ドレイン電極
FB … シート基板
G … ゲート電極、GBL ゲートバスライン
I … 絶縁層
IR … 発光層
ITO 透明電極
LL … レーザー光
OS … 有機半導体層
P … 画素電極
RL … 供給ロール
RR … ローラ
S … ソース電極、SBL ソースバスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示素子を可撓性の基板に形成する表示素子の製造装置において、
前記可撓性の基板を第1方向に搬送する搬送部と、
前記第1方向と交差する第2方向に回転して前記可撓性の基板に前記表示素子用の隔壁を形成する第1の隔壁形成ローラ部と、
を備えることを特徴とする表示素子の製造装置。
【請求項2】
前記可撓性の基板を挟んで前記第1の隔壁形成ローラ部の反対側に、前記可撓性の基板を保持するステージと、
前記搬送部が前記可撓性の基板を搬送している際には前記可撓性の基板と前記ステージとを離間させ、前記隔壁を形成する際には前記可撓性の基板と前記ステージとを当接させる第1駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示素子の製造装置。
【請求項3】
前記第1の隔壁形成ローラ部が形成する前記表示素子用の隔壁と次の隔壁との境目を検出するアライメント部を備えることを特徴とする請求項2に記載の表示素子の製造装置。
【請求項4】
前記アライメント部が検出した境目に基づいて前記ステージを前記第1方向に移動させる第2駆動部を備えることを特徴とする請求項3に記載の表示素子の製造装置。
【請求項5】
前記第1の隔壁形成ローラ部は前記第1方向の異なる位置に配置された第1ローラ部と第2ローラ部とを備え、前記第1ローラ部は前記表示素子の前記第1方向の中央領域の隔壁を形成し、前記第2ローラ部は前記表示素子の前記第1方向の周辺領域の隔壁を形成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示素子の製造装置。
【請求項6】
前記第1の隔壁形成ローラ部の表面に凹凸パターンが形成されており、この凹凸パターンの前記第1方向の端部は境目を目立たなくするように曲線上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示素子の製造装置。
【請求項7】
前記第1方向に回転して前記可撓性の基板に前記表示素子用の第2方向の両側の隔壁を形成する第2の隔壁形成ローラ部を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示素子の製造装置。
【請求項8】
前記第2の隔壁形成ローラ部がアライメントマークを形成することを特徴とする請求項7に記載の表示素子の製造装置。
【請求項9】
前記隔壁は硬化性樹脂が硬化されて形成されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の表示素子の製造装置。
【請求項10】
前記隔壁間の所定の位置に導電部材を塗布する塗布部を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の表示素子の製造装置。
【請求項11】
表示素子を可撓性の基板に形成する表示素子の製造方法において、
前記可撓性の基板を第1方向に搬送する搬送工程と、
第1の隔壁形成ローラ部を前記第1方向と交差する第2方向に回転させて前記可撓性の基板に隔壁を形成する隔壁形成工程と、
を備えることを特徴とする表示素子の製造方法。
【請求項12】
前記表示素子は矩形の表示領域とその表示領域の周辺に前記第1方向及び前記第2方向に伸びる端子領域とを有し、
前記隔壁形成工程は前記可撓性の基板に前記第1方向に伸びる端子領域の隔壁とこの端子領域の隔壁の前記第2方向の外側に基準マークを形成することを特徴とする請求項11に記載の表示素子の製造方法。
【請求項13】
前記隔壁形成工程の際に前記第1の隔壁形成ローラ部が前記第2方向に回転して1度目の隔壁を形成した後、前記搬送工程は前記可撓性の基板を第1方向に所定距離搬送し、再び前記第1の隔壁形成ローラ部が前記第2方向に回転することで2度目の隔壁を形成することを特徴とする請求項12に記載の表示素子の製造方法。
【請求項14】
前記隔壁形成工程は、隣り合う前記第2方向に伸びる端子領域の隔壁を形成する工程と前記表示領域の隔壁を形成する工程とを有することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の表示素子の製造方法。
【請求項15】
前記第1の隔壁形成ローラ部の表面に凹凸パターンが形成されており、この凹凸パターンの前記第1方向の端部は境目を目立たなくするように曲線上に形成されていることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。
【請求項16】
アライメント部で第1の隔壁形成ローラ部が形成する前記表示素子用の隔壁と次の隔壁との境目を検出することを特徴とする請求項11ないし請求項15のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。
【請求項17】
前記隔壁形成工程は、第2の隔壁形成ローラ部を前記第1方向に回転して前記可撓性の基板に前記表示素子用の第2方向の両側の隔壁を形成することを特徴とする請求項11から請求項16のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。
【請求項18】
前記第2の隔壁形成ローラ部がアライメントマークを形成することを特徴とする請求項17に記載の表示素子の製造方法。
【請求項19】
前記可撓性の基板は、ロール状に巻かれた帯状連続基板から、前記第1方向に送り出されることを特徴とする請求項11ないし請求項18のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。
【請求項20】
前記隔壁は硬化性樹脂を使って形成されることを特徴とする請求項11から請求項19のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。
【請求項21】
前記隔壁間の所定の位置に導電部材を塗布する塗布部を備えることを特徴とする請求項11から請求項20のいずれか一項に記載の表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−91893(P2010−91893A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263438(P2008−263438)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】