説明

表示装置および車載用表示装置

【課題】第1の映像と第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段を用いる際に、表示手段の設置場所に応じて適切に映像の表示を制限することができる表示装置を提供する。
【解決手段】左側映像と右側映像とを同一画面で同時に表示できる表示部1を設置する際に、メモリ5を構成する例えばEPROMに、表示部1の設置場所に関する設置場所関連情報を書き込む。車載用表示装置の起動時に、EPROMに記憶されている設置場所関連情報を参照して、左ハンドルの場合は左側映像を、右ハンドルの場合は右側映像を走行規制対象として表示を制限する。また、表示部1の設置場所が後部座席である場合は、左側映像および右側映像のどちらも表示を制限しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視方向に応じて表示の視認を可能とする表示装置に関し、特に、ナビゲーション装置やDVDプレーヤなどのように車両に搭載されている機器による映像を表示する車載用表示装置に適用したものに関する。
【背景技術】
【0002】
安全性の観点から、日本国内においては車両走行中に運転者がテレビ映像やDVD映像などを注視することは禁止されているので、現在の車載用表示装置では、テレビ映像やDVD映像のように運転者が注視する映像は、車両走行中においては表示できないようになっている。そのため、運転者以外の乗員、例えば運転者の隣の助手席の乗員は、テレビ映像やDVD映像などを見ることが禁止されていないにもかかわらず、車両走行中においてはテレビ映像やDVD映像を見ることができない。
【0003】
一方、車載用表示装置において、運転者に対する表示内容と、運転者以外の乗員に対する表示内容とを異なるものにする技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、図2に示すように、シート体13の表裏両面に遮光帯14,15を設けたカバー16を液晶表示パネル10の前面側に配置し、液晶表示パネル10において1つおきに設定される帯状表示部11に運転席用映像を表示し、帯状表示部11間に設定される帯状表示部12に助手席用映像を表示する表示装置が開示されている。この表示装置では、遮光帯14,15を設けることによって、運転席用映像を表示する帯状表示部11から出射された光は運転者DRの目に入射されるが、助手席用映像を表示する帯状表示部12から出射された光は運転者DRの目に入射されないようにし、他方、助手席用映像を表示する帯状表示部12から出射された光は助手席乗員PAに入射されるが、運転席用映像を表示する帯状表示部11から出射された光は助手席乗員PAに入射されないようにしている。
【0004】
このような表示装置を車載用表示装置に採用することによって、図5(a)に示すように、ナビゲーション装置による地図映像42を、運転者DRからは見えるけれども助手席乗員PAからは見えないように表示装置41に表示し、図5(b)に示すように、DVDプレーヤによるDVD映像43を、助手席乗員PAからは見えるけれども運転者DRからは見えないように表示装置41に表示することができる。これによって、車両走行中であっても、助手席乗員PAはテレビや映画などを見ることができる。
【特許文献1】特開2003−137005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、日本国内においては運転者は車両走行中にDVD映像やテレビ映像など運転者が注視するような映像を見ることが禁止されている。したがって、運転席用映像と助手席用映像とを同一画面上で同時に表示できる車載用表示装置を車両に設置する場合でも、車両走行中においては運転席用映像を適切に制限する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、第1の映像と第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段を用いる際に、表示手段の設置場所に応じて適切に映像の表示を制限することができる表示装置を提供することにある。また本発明の他の目的は、第1の映像(例えば運転席用映像)と第2の映像(例えば助手席用映像)とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段を車両に設置した際に、車両走行中に映像の表示を適切に制限することができる車載用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の方向からは見え、第2の方向からは見えない第1の映像と、前記第2の方向からは見え、前記第1の方向からは見えない第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段と、
前記表示手段の設置場所に関連する設置場所関連情報を記憶する設置場所関連情報記憶手段と、
前記表示手段を制御して第1の映像および第2の映像を表示させるとともに、前記設置場所関連情報に基づいて、第1の映像または第2の映像の表示を制限する表示制御手段とを備えることを特徴とする表示装置である。
【0008】
本発明によれば、設置場所関連情報記憶手段に設置場所関連情報を記憶させれば、記憶されている設置場所関連情報に基づいて表示手段に表示される第1の映像または第2の映像の表示が制限される。設置場所関連情報とは、表示手段の設置場所やハンドルの位置などのように設置場所に関連する情報である。これによって、表示手段の設置状況に応じて表示の制限を適切に行うことが可能となる。
【0009】
例えば、表示装置を車両に搭載した場合、車両走行の安全性を考慮して運転席方向の映像の表示を制限する必要がある。この場合は、車両走行中に運転席方向に表示することが制限されている映像(表示制限映像)が表示されているときに、車両が走行中であることが検知されると、車両走行中に運転席方向に表示することが認められている表示可能映像を表示させることができる。したがって、車両走行時に制限する映像、即ち運転席用映像がどちらの方向の映像かを正確に判断して表示の制限をすることができるようになる。
【0010】
また本発明は、前記設置場所関連情報が右ハンドルか左ハンドルかを示すハンドル位置情報である場合、前記表示制御手段は、前記ハンドル位置情報に基づいてハンドル方向の映像の表示を制限することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、設置場所関連情報としてハンドル位置情報が記憶されている場合、第1の映像および第2の映像のうちハンドル方向の映像の表示が制限される。ハンドル方向の映像とは、ハンドルの位置から見える映像であり、即ち運転席用映像である。これによって、車両走行時に制限する映像、即ち運転席用映像がどちらの方向の映像かを正確に判断して表示の制限をすることができるようになる。
【0012】
また本発明は、前記設置場所関連情報が前記表示手段を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示させる映像を制限しないことを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、設置場所関連情報が表示手段を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合、第1の映像および第2の映像のどちらも運転席用映像ではないので、映像の表示が制限されない。これによって、表示手段の設置状況に応じて適切に映像の表示の制限を行うことができる。
【0014】
また本発明は、第1の方向からは見え、第2の方向からは見えない第1の映像と、前記第2の方向からは見え、前記第1の方向からは見えない第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段と、
車両が走行中であることを検知する走行検知手段と、
前記表示手段を制御して第1の映像および第2の映像を表示させるとともに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されたときは、運転席方向に表示することが認められている表示可能映像を表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする車載用表示装置である。
【0015】
本発明によれば、車両が走行中であることが検知されると、運転席方向に表示することが認められている表示可能映像が表示される。表示可能映像とは、例えば運転者が注視しないような映像である。これによって、運転中に運転者が運転席方向の映像即ち運転席用映像を注視することを抑制することができ、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0016】
また本発明は、前記表示制御手段は、運転席方向に表示することが制限されている表示制限映像を表示させているときに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、運転席方向に前記表示可能映像を前記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、表示手段において運転席方向の映像として表示制限映像が表示されているときに、検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、表示可能映像が運転席方向の映像として表示手段に表示される。表示制限映像とは、例えば運転者が注視してしまうような映像である。これによって、運転中に運転者が運転席方向の映像即ち運転席用映像を注視することを抑制することができ、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0018】
また本発明は、複数種類の表示可能映像の中から運転席方向に表示させる映像を選択する映像選択手段を備え、
前記表示制御手段は、前記映像選択手段の選択結果に基づいて、選択された表示可能映像を運転席方向に前記表示手段に表示させることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、車両が走行中であることが検知されたときに運転席方向に表示される表示可能映像を、運転者が選択した表示可能映像とすることができる。これによって、車両走行中に表示される運転席方向の映像を運転者の好みに応じた表示可能映像とすることができるようになる。
【0020】
また本発明は、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、前記表示制御手段は、助手席方向に入力操作用映像を表示させることを特徴としている。
本発明によれば、車両の走行中には助手席方向に入力操作用映像が表示される。これによって、運転者に代わって助手席の乗員が入力操作を行うことができるようになるので、運転者が入力操作に気を取られることを抑制することができる。したがって、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0021】
また本発明は、前記表示制御手段は、運転席方向に前記入力操作用映像を表示させているときに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、助手席方向に前記入力操作用映像を表示させることを特徴としている。
【0022】
本発明によれば、運転席方向の映像として入力操作用映像を表示させて運転者が入力操作を行っているときに車両を発進させると、助手席方向の映像として前記入力操作用映像が表示される。したがって、運転者による入力操作が車両の発進によって中断した場合に、それ以降の入力操作を助手席の乗員が行うことができる。これによって、入力操作を中断させることなく確実に最後まで行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ハンドル位置情報や表示手段の設置場所情報などの設置場所関連情報に基づいて、表示手段に表示させる映像を制限するので、設置状況に応じた表示の制限、例えば車両走行時に表示を制限する必要がある映像即ち運転席用映像がどちらの方向かを正確に判断して表示の制限をすることができるようになる。
【0024】
また本発明によれば、運転席用映像として表示制限映像が表示されているときに、車両が走行中であることが検知されると、表示可能映像が運転席用映像として表示されるので、運転中に運転者が運転席用映像を注視することを抑制することができ、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0025】
また本発明によれば、表示制限映像に代えて表示される表示可能映像を運転者の好みに応じた映像にすることができる。
また本発明によれば、運転者による入力操作が車両の発進によって中断した場合に、それ以降の入力操作を助手席の乗員が行うことができる。これによって、入力操作を中断させることなく確実に最後まで行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である車載用表示装置の概略的構成を説明するためのブロック図である。車載用表示装置は、表示部1と、表示制御部2と、映像信号源3と、車速センサ4と、メモリ5と、ユーザ設定入力部6とを備えて構成されている。この車載用表示装置は、映像信号源3からの映像信号に基づく映像表示だけでなく、車両に搭載されている電子機器(映像信号源3も含む)の操作入力用映像も表示する。
【0027】
表示部1は、例えば図2に示すような構成によって、運転席用映像を運転席方向に、また助手席用映像を助手席方向に表示させることができる。表示部1が表示手段に相当している。
【0028】
表示制御手段である表示制御部2は、CPU(中央演算処理装置)21と、メモリI/F(インターフェース)22と、GUI(グラフィックユーザインターフェース)23と、映像分配器24と、左側映像出力部25と、右側映像出力部26と、パネルコントローラ27とを備えて構成されている。CPU21は、GUI23を介して入力されるユーザ設定入力部6からの入力情報、メモリI/F22を介してメモリ5から読み出される制御プログラムや設定情報、および車速センサ4から入力される車速情報などに基づいて、表示制御部2全体の動作を制御する。
【0029】
映像分配器24は、映像信号源3から出力された1または複数の映像信号を左側映像出力部25および右側映像出力部26に分配して出力する。左側映像出力部25は、CPU21からの制御信号に基づいて、液晶表示パネル10において左側映像を表示する帯状表示部12に与える左側映像信号を作成してパネルコントローラ27に出力する。また同様に、右側映像出力部26は、CPU21からの制御信号に基づいて、液晶表示パネル10において右側映像を表示する帯状表示部11に与える右側映像信号を作成してパネルコントローラ27に出力する。パネルコントローラ27は、左側映像出力部25から与えられる左側映像信号に基づいて液晶表示パネル10の帯状表示部12に左側映像を表示させ、右側映像出力部26から与えられる右側映像信号に基づいて帯状表示部11に右側映像を表示させる。
【0030】
映像信号源3には、乗員に見せるための映像を出力することが主たる機能である映像出力機器が含まれており、映像出力機器としては、ナビゲーション装置31、DVDプレーヤ32、テレビジョン受像機33などが該当する。また、オーディオプレーヤのように映像出力が主たる機能ではないけれども、操作入力用映像を出力する機器も映像信号源3に含まれる。車速センサ4は、車両の走行速度を検知し、検知信号をCPU21に出力する。車速センサ4およびCPU21が走行検知手段に相当する。
【0031】
メモリ5は、ROM、RAM、ハードディスク、EPROM(電気的書き込み可能なROM)などで構成されている。EPROMには、車載用表示装置の初期設定情報として、設置場所関連情報が記録される。設置場所関連情報とは、表示部1の設置場所やハンドルの位置などのように設置場所に関連する情報である。この設置場所関連情報は、車載用表示装置を車両に設置する際に、ユーザによって入力設定される。入力設定は、ユーザ設定入力部6を使用して行うことができる。メモリ5が、設置場所関連情報記憶手段に相当する。
【0032】
ユーザ設定入力部6は、例えば透明なタッチパネルで実現され、表示部1の前面側、正確には図2に示すカバー16の前面側に配置される。そして、CPU21は表示部1に操作入力用映像として操作スイッチを表示させる。この状態で、ユーザがタッチパネル上の操作スイッチに対応する領域を押せば、CPU21は操作スイッチが押されたことを認識し、押された操作スイッチに対応する操作指示信号を該当する機器に出力する。
【0033】
上述した左側映像出力部25および右側映像出力部26からは、映像信号源3から与えられる映像信号を表示部1での表示に適した態様に変換した映像信号だけでなく、車両走行中に表示が制限されない表示可能映像に対応した映像信号が出力される。表示可能映像とは、運転者が注視することがない映像であり、例えば静止映像や、映像の変化がある程度予測できるような動画映像が該当する。これに対し、車両走行中に表示が制限される表示制限映像とは、運転者が注視してしまう映像であり、DVDプレーヤ32によるDVD映像やテレビジョン受像機33によるTV映像のような動画映像や、例えばナビゲーション装置31における映像の遷移が頻繁であったり、スクロール操作が必要となったりするような複雑な操作入力用映像である。
【0034】
図3は、表示制御部2内のCPU21の処理内容を説明するためのフローチャートである。例えば運転者がイグニションスイッチをオンにすると処理が開始される。ステップa1では、メモリ5のEPROMに記録されている設置場所関連情報の内容が確認される。設置場所関連情報が左ハンドルであることを示すハンドル位置情報である場合は、ステップa2において、CPU21は左側映像を走行規制対象とし、運転席用映像として認識する。
【0035】
また、設置場所関連情報が右ハンドルであることを示すハンドル位置情報である場合は、ステップa3において、CPU21は右側映像を走行規制対象とし、運転席用映像として認識する。
【0036】
また、設置場所関連情報が、車載用表示装置(正確には表示部1)を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合は、ステップa4において、CPU21は左側映像および右側映像のどちらも走行規制対象とはせず、運転席用映像ではないと認識する。即ち、表示制限映像が左側映像および右側映像の両方または一方に表示されているときに車両の走行中が検知されても、そのまま映像表示が継続されることになる。
【0037】
図4は、CPU21による映像表示時の処理内容を説明するためのフローチャートである。この処理は、運転席用映像を表示させているときに行われるものである。即ち、図3のステップa2またはステップa3において左側映像または右側映像を走行規制対象として運転席用映像であると認識し、表示部1に運転席用映像を表示させているときに行われるものである。
【0038】
ステップb1では、車速センサ4からのセンサ信号に基づいて車両が走行中であるか否かが判断される。車両が走行中であると判断された場合はステップb2に進み、運転席用映像は表示制限映像か否かが判断される。運転席用映像が表示制限映像であると判断された場合は、ステップb3に進み、表示可能映像を運転席用映像として表示させる。
【0039】
表示可能映像とは、上述したように運転者が注視することがない映像であり、例えば静止映像や、映像の変化がある程度予測できるような動画映像が該当する。表示可能映像としては、例えば以下の映像を用いることができる。
【0040】
予め定められた静止映像としては、オーディオプレーヤの初期画面、青一色のいわゆるブルーバック画面、例えば映像出力を停止することによって実現される黒一色のブラック画面、車両走行中が検知される直前に表示していた動画映像のキャプチャ映像を用いることができる。また、映像の変化がある程度予測できるような動画映像としては、ナビゲーション装置31による車両走行中の自車位置表示画面、パソコンのスクリーンセーバのような単純な繰り返し動画映像を用いることができる。
【0041】
なお、ステップb1で車両が走行中でないと判断された場合、および運転席用映像が表示制限映像ではないと判断された場合は、ステップb4に進み、現在の映像表示状態を継続する。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、メモリ5のEPROMに設置場所関連情報を記憶させておき、記憶されている設置場所関連情報に基づいて表示部1に表示される右側映像および左側映像を走行規制対象とするか否か、即ち運転席用映像であるか否かが判断される。これによって、車両走行中に、表示部1の設置場所に応じて適切に運転席用映像を規制することができる。例えば、設置場所関連情報としてハンドル位置情報が記憶されている場合、右ハンドルのときは右側映像を走行規制対象として運転席用映像と認識し、左ハンドルのときは左側映像を走行規制対象として運転席用映像と認識する。これによって、車両走行中において適切に運転席用映像の表示が制限される。また、設置場所関連情報が表示部1を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合、右側映像および左側映像のどちらも走行規制対象ではなく、運転席用映像ではないと認識されるので、車両走行中であっても表示される映像は制限されない。このように設置場所関連情報を参照することによって、表示部1の設置場所に応じて適切に運転席用映像の表示を制限することができる。
【0043】
(2)上記実施形態によれば、表示部1に運転席用映像として表示制限映像が表示されているときに、車両が走行中であることが検知されると、表示可能映像が運転席用映像として表示部1に表示される。これによって、運転者が運転席用映像を注視することを抑制することができ、車両走行時の安全性を考慮した映像表示を実現することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・複数種類の表示可能映像の中から車両走行中に運転席用映像として表示させる映像を運転者が選択できるようにしてもよい。映像の選択は、映像選択手段であるユーザ設定入力部6を使用して行われる。この場合は、車両が走行中であることが検知されると、運転者が選択した表示可能映像が運転席用映像として表示される。これによって、車両走行中に表示制限映像に代えて表示される運転席用映像を運転者の好みに応じた表示可能映像とすることができるようになる。
【0045】
・運転席用映像として入力操作用映像を表示させているときに車両が走行中であることが検知されると、運転席用映像として表示可能映像を表示させるとともに、助手席用映像として前記入力操作用映像を表示させるようにしてもよい。この場合は、運転席用映像として入力操作用映像を表示させて運転者が入力操作を行っているときに車両を発進させると、運転席用映像として表示可能映像が表示され、助手席用映像として前記入力操作用映像が表示される。したがって、運転者による入力操作が車両の発進によって中断した場合に、それ以降の入力操作を助手席の乗員が行うことができる。これによって、入力操作を中断させることなく確実に最後まで行うことができるようになる。
【0046】
・運転席用映像として入力操作用映像が表示されているときに車両が走行中であることが検知されると前記入力操作用映像を助手席用映像として表示させる制御は、全ての入力操作用映像を対象として行うようにしてもよいし、特定の入力操作用映像を対象として行うようにしてもよい。例えば、スクロール操作が必要とされるような複雑な操作が要求される入力操作用映像が表示されているときは助手席用映像として表示させるようにし、スイッチを1回押すだけで入力操作が完了するような単純な操作でよい入力操作用映像が表示されているときは助手席用映像として表示させないようにしてもよい。
【0047】
・車両が走行中であることは、例えばパーキングブレーキ信号(PKB信号)がオフであること、GPS(グローバルポジショニングシステム)信号によって車両の移動を検出したこと、ナビゲーション装置31に内蔵されているジャイロスコープの検出結果に基づいて振動が検出されたこと等に基づいて判断するようにしてもよい。
【0048】
・車両が走行中であることが検知されると運転席用映像として表示可能映像を表示させる制御は、運転席用映像として表示制限映像を表示させているときだけでなく、運転席用映像の表示状態にかかわらず行うようにしてもよい。例えば、運転席用映像を表示させていないときに車両走行中であることが検知されると、表示可能映像を表示させるようにしてもよい。また、運転席用映像として表示可能映像を表示させているときに車両走行中であることが検知されると、別の表示可能映像に切り換えて表示させるようにしてもよい。
【0049】
・車両が走行中であることが検知されると助手席用映像として入力操作用映像を表示させる制御は、運転席用映像として入力操作用映像を表示させているときだけでなく、運転席用映像の表示状態にかかわらず行うようにしてもよい。例えば、運転席用映像を表示させていないときや、運転席用映像として表示制限映像や表示可能映像を表示させているときに車両走行中が検知されると、助手席用映像として入力操作用映像を表示させるようにしてもよい。
【0050】
・上記実施形態では車載用表示装置の場合を説明したけれども、車両の車室内に限らず、様々な場所に表示装置を設置して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態である車載用表示装置の概略的構成を示すブロック図。
【図2】表示部1の構成を示す模式図。
【図3】表示制御部2内のCPU21の処理内容を説明するためのフローチャート。
【図4】CPU21による映像表示時の処理内容を説明するためのフローチャート。
【図5】(a)および(b)は映像表示の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0052】
1 表示部
2 表示制御部
3 映像信号源
4 車速センサ
5 メモリ
6 ユーザ設定入力部
21 CPU
25 左側映像出力部
26 右側映像出力部
31 ナビゲーション装置
32 DVDプレーヤ
33 テレビジョン受像機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向からは見え、第2の方向からは見えない第1の映像と、前記第2の方向からは見え、前記第1の方向からは見えない第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段と、
前記表示手段の設置場所に関連する設置場所関連情報を記憶する設置場所関連情報記憶手段と、
前記表示手段を制御して第1の映像および第2の映像を表示させるとともに、前記設置場所関連情報に基づいて、第1の映像または第2の映像の表示を制限する表示制御手段とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記設置場所関連情報が右ハンドルか左ハンドルかを示すハンドル位置情報である場合、前記表示制御手段は、前記ハンドル位置情報に基づいてハンドル方向の映像の表示を制限することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記設置場所関連情報が前記表示手段を後部座席に設置したことを示す設置場所情報である場合、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示させる映像を制限しないことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
第1の方向からは見え、第2の方向からは見えない第1の映像と、前記第2の方向からは見え、前記第1の方向からは見えない第2の映像とを同一画面上で同時に表示することができる表示手段と、
車両が走行中であることを検知する走行検知手段と、
前記表示手段を制御して第1の映像および第2の映像を表示させるとともに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されたときは、運転席方向に表示することが認められている表示可能映像を表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、運転席方向に表示することが制限されている表示制限映像を表示させているときに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、運転席方向に前記表示可能映像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項4に記載の車載用表示装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の車載用表示装置において、
複数種類の表示可能映像の中から運転席方向に表示させる映像を選択する映像選択手段を備え、
前記表示制御手段は、前記映像選択手段の選択結果に基づいて、選択された表示可能映像を運転席方向に前記表示手段に表示させることを特徴とする車載用表示装置。
【請求項7】
前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、前記表示制御手段は、助手席方向に入力操作用映像を表示させることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の車載用表示装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、運転席方向に前記入力操作用映像を表示させているときに、前記走行検知手段によって車両が走行中であることが検知されると、助手席方向に前記入力操作用映像を表示させることを特徴とする請求項7に記載の車載用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−248513(P2006−248513A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46893(P2006−46893)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【分割の表示】特願2004−352679(P2004−352679)の分割
【原出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】