説明

表示装置及びナビゲーション装置

【課題】描画対象の画像データを増大させることなく、実空間の光源環境条件に合わせて描画対象の画像を表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示モニタ8周辺の光源環境情報を検出する複数の光源方向検出モジュール4と、複数の光源方向検出モジュール4で検出された光源環境情報から、表示モニタ8周辺の実空間の光源環境条件を示す情報を算出する光源方向演算部6と、光源方向演算部6で算出された実空間の光源環境条件を示す情報に基づいて、表示モニタ8で表示する仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、描画対象の画像を表示モニタ8に表示する描画部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像を実空間の光源環境条件に合わせて表示する表示装置及びナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される従来の表示装置では、2次元平面の画面上で描画対象の立体物をより自然に表示するため、光源の存在を考慮して立体物の画像に陰影を付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−280428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術では、対象物の画像に陰影を付けるために、光源の方向に応じて陰影が異なる同一対象物の画像を用意する必要がある。
つまり、光源の方向に応じた陰影変化を自然に表示するには、1つの対象物においても陰影が異なる複数の画像を予め用意しなければならず、大量の画像を記憶する記憶装置が必要であり、新たな対象物を表示する際における利便性に欠けるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、描画対象の画像データを増大させることなく、描画対象の画像を、実空間の光源環境条件に合わせて表示する表示装置及びナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る表示装置は、表示モニタ周辺の光源環境情報を検出する検出部と、検出部で検出された光源環境情報から、表示モニタ周辺の実空間の光源環境条件を算出する演算部と、演算部で算出された実空間の光源環境条件に基づいて、表示モニタで表示する仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、描画対象の画像を表示モニタに表示する描画部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、描画対象の画像データを増大させることなく、描画対象の画像を、実空間の光源環境条件に合わせて表示することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の光源方向検出モジュールを示す図である。
【図3】光源からの光が照射された光源方向検出モジュールを示す図である。
【図4】光源方向検出モジュールのセンサ位置と表示モニタ周辺の輝度分布の一例を示すグラフである。
【図5】実空間の光源方向に応じた立体表示の一例を示す図である。
【図6】実空間の光源方向の変化とこれに応じて陰影を変更した立体表示の一例を示す図である。
【図7】自動車の計器類の画像表示の一例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による表示装置の構成を示すブロック図である。図1において、実施の形態1の表示装置1は、光源方向検出モジュール4、センサ処理部5、光源方向演算部6、描画部7及び表示モニタ8を備える。
光源方向検出モジュール4は、表示モニタ8に対する実空間の光源方向を検出するための複数の照度センサ2と表示モニタ8に対する実空間の光源色温度等の光源色を検出するための複数の色センサ3とを組み合わせて構成したセンサモジュールである。
【0010】
センサ処理部5は、光源方向検出モジュール4の出力を、後段の光源方向演算部6で処理可能な形式に変換処理する構成部であり、光源方向検出モジュール4の出力がアナログ信号であれば、アンプとA/Dコンバータとして構成され、光源方向検出モジュール4がI2C(Inter Integrated Circuit)等のデジタルインタフェースであれば光源方向演算部6に取り込むためのデジタル処理ブロックとして構成される。
また、センサ処理部5は、表示モニタ8の周辺に配置した光源方向検出モジュール4の各センサから出力されるセンサ情報に対し平均化処理及び数値の正規化を行って、後段の光源方向演算部6へ送る。
【0011】
光源方向演算部6は、光源方向検出モジュール4の各照度センサ2のセンサ情報(輝度情報)から算出した輝度分布及び輝度差に基づいて、表示モニタ8の周辺にある光源の個数、表示モニタ8に対する実空間の光源の方向、及び実空間での表示モニタ8と光源との間の距離等を推測するとともに、光源方向検出モジュール4の各色センサ3のセンサ情報(色情報)から算出した色分布に基づいて、実空間の色温度を推測する構成部である。
【0012】
描画部7は、光源方向検出モジュール4から逐次出力されるセンサ情報を基に光源方向演算部6で逐次算出された光源に関する情報から、表示モニタ8に設定した仮想描画空間の光源パラメータ(例えば、光源方向、陰影コントラスト、色温度)をリアルタイムに更新して、表示モニタ8に描画出力する構成部である。例えば、描画対象の立体物に対し、実空間の光源方向に合うように陰影処理を施す。
なお、2次元表示装置において、光源方向推測センサや立体化高速レンダリング装置の発達により、リアルタイムレイトレーシング装置が低価格化し、安価にリアルタイム処理が可能になっている。
【0013】
光源方向演算部6及び描画部7は、例えば、この発明の趣旨に従う表示処理用プログラムを、表示装置1として機能するコンピュータのプロセッサに実行させることによって、ハードウェアとソフトウェアが協働した具体的な手段として実現される。
なお、描画部7は、光源方向演算部6で逐次算出された光源に関する情報に基づいて、光源パラメータを更新しながら描画処理を行うため、上記プロセッサの過負荷となる場合がある。そのため、描画部7による描画処理における演算の一部を実行する機能をハードウェアとして構成して、これを演算アクセラレーションとして組み込むことにより、リアルタイムで円滑な描画が可能となる。
【0014】
図2は、図1中の光源方向検出モジュール4を示す図である。光源方向検出モジュール4は、表示モニタ8に対する実空間の光源方向を検出するため、図2(a)に示すように、表示モニタ8の外周に複数個(A〜H)設置される。なお、各光源方向検出モジュール4は、実空間における様々な光源方向を検出することができるように分散して配置される。ただし、その配置位置は、表示モニタ8自体の形状や表示モニタ8を搭載する機器の外形によって異なる。
【0015】
光源方向検出モジュール4は、図2(b)に示すように照度センサ2及び色センサ3を含む複数のセンサ部4aを、円筒型のモジュール本体の内周面に等間隔に配置して構成される。なお、複数のセンサ部4aを内周面に等間隔に配置可能な形状であれば、円筒型に限らず、断面が多角形の筒型であってもかまわない。
センサ部4aは、照度センサ2のセンサチップと色センサ3のセンサチップを隣接して配置して構成されており、センサ面に対する光照射面積に応じた強度の検出信号(センサ情報)を出力する。また、光源方向検出モジュール4は、図2(c)に示すように、表示モニタ8の外周部に円筒型のモジュール本体を埋め込んで設置される。
【0016】
図3は、光源からの光が照射された光源方向検出モジュールを示す図であり、光源方向検出モジュール4と実空間の光源9の位置関係の一例を示している。図3に示すように、光源9の方向によっては、光源方向検出モジュール4のモジュール本体の円筒内で影Sが生じ、円筒内周面に配置された複数のセンサ部4a間で輝度差が発生する。例えば、図3において、複数のセンサ部4aのうち、光源9からの光が照射されたセンサ部4aでは、影Sに隠れたセンサ部4aよりも高輝度の情報が得られる。
また、光源9の方向によって、表示モニタ8の外周部に配置された複数の光源方向検出モジュール4(A〜H)間で輝度差が発生する。
【0017】
次に動作について説明する。
表示モニタ8の外周部に設けた複数の光源方向検出モジュール4が、実空間の光源から照射された光の輝度情報及び色情報を検出してセンサ処理部5に出力する。センサ処理部5は、光源方向検出モジュール4から入力した輝度情報及び色情報を、後段の光源方向演算部6で処理可能なデータ形式に変換処理する。
光源方向演算部6は、センサ処理部5を介して複数の光源方向検出モジュール4で検出された輝度情報及び色情報を入力すると、輝度情報から表示モニタ8の周辺の輝度分布を集計し、その分布特性から実空間における光源9の方向と光源9までの距離を推測する。
【0018】
図4は、光源方向検出モジュールのセンサ位置と輝度強度とからなる表示モニタ周辺の輝度分布の一例を示すグラフであり、図2の表示モニタ8の光源方向検出モジュール4で実空間の光源を検出した場合を示している。
光源方向演算部6は、複数の光源方向検出モジュール4(A〜H)のセンサ4aで検出された輝度情報から輝度分布を集計すると、どの光源方向検出モジュール4の出力が最も高い輝度情報を出力しているかによって光源の方向を推測する。
図4に示す例では、輝度分布曲線C1,C2が、光源方向検出モジュール4(D,E)付近で最も高い輝度値を示しているので、光源方向演算部6によって、実空間の光源が、光源方向検出モジュール4(D,E)付近に向いていると推測される。
なお、実空間に複数の光源がある場合は、輝度分布曲線のうち、所定の閾値を超える輝度のセンサ位置に、それぞれの光源が向いていると推測することができる。
【0019】
また、光源から照射された光は、伝搬する距離に比例して広がる特性を有するので、輝度分布曲線の分散の度合いから、表示モニタ8から光源までの距離を推定できる。
図4の例では、輝度分布曲線C1が輝度分布曲線C2より分散が大きい。この場合は、輝度分布曲線C1での光源が、輝度分布曲線C2より表示モニタ8から遠くの位置にあると推測される。
光源方向演算部6には、このような輝度分布曲線の分散の度合いと、表示モニタ8から光源までの距離とを対応付けた参照データが予め設定されており、複数の光源方向検出モジュール4(A〜H)のセンサ4aで検出された輝度情報から輝度分布を集計すると、その輝度分布曲線の分散の度合いから上記参照データを参照し、表示モニタ8から光源までの距離を推測する。
【0020】
さらに、光源方向演算部6は、入力した色情報から表示モニタ8の周辺の色分布を集計し、その分布特性から実空間における色温度を推測する。例えば、色センサに関しては、例えば昼と夕方では太陽光の色温度が変わる。
光源方向演算部6で推測された光源の方向、光源までの距離及び色温度は、描画部7に入力される。
【0021】
光源が物体の近くにあると、輝度コントラストが高くなり、物体に光源からの光が照射された際にできる陰影コントラストも高くなる。
描画部7には、表示モニタ8から光源までの距離と描画対象へ施す陰影コントラストの度合いとを対応付けた参照データが予め設定されており、光源方向演算部6で推測された光源までの距離から上記参照データを参照して、光源方向演算部6で推測された実空間の光源の方向に応じた陰影コントラストの度合いを決定する。
【0022】
描画部7は、表示モニタ8に設定した仮想描画空間の光源方向に関するパラメータを、光源方向演算部6で推測された実空間の光源の方向で更新し、陰影コントラストに関するパラメータを、上述のようにして決定した陰影コントラストの度合いで更新し、仮想描画空間の色温度に関するパラメータを、光源方向演算部6で推測された色温度で更新して、表示モニタ8に描画出力する。これにより、図5に示すように、表示モニタ8の画面8Aに立体的に表示した物体10について実空間の光源9から照射された光に応じた陰影処理が施され、実空間とのシームレスな感覚で立体物を表示することが可能となる。
【0023】
上述したように、複数の光源方向検出モジュール4で検出されたセンサ情報がリアルタイムに描画対象の立体物に反映されるので、図6(a)に示すように実空間の光源9が左側にあるときは、円柱形の物体10に対し右方向にのびる影11aが描画される。また、図6(b)に示すように実空間の光源9が中央にあるときは、物体10に対して画面8Aの手前にのびる影11bが描画される。さらに、図6(c)に示すように、実空間の光源9が右側にあるときは、物体10に対して左方向にのびる影11cが描画される。なお、実空間に複数の光源がある場合についても、複数の光源に対する陰影描画条件を演算して合成した陰影を描画する。
【0024】
本発明は、自動車や電車等の乗り物内に設置される表示モニタ8の仮想3次元空間に立体物を表示するにあたり、ユーザが見る実空間の光源環境条件を、立体物を表示する仮想描画空間の光源環境を規定する光源パラメータに反映することで、物体の陰影描画に反映する。これにより、実空間と表示モニタ8の仮想3次元空間とのスムーズな繋がりが生まれ、ユーザに対してあたかも実空間の一部のように、立体物を表示することができる。
【0025】
図7は、自動車の計器類の画像表示の一例を示す図であり、自動車のインストルメントパネル(インパネ)部分に設けた表示モニタ画面8Bに速度やエンジン回転等のアナログメータを立体的に表示した場合を示している。図7において、ダッシュボード12に設けた複数の光源方向検出モジュール4によって太陽13からの光線を検出して、このセンサ情報がリアルタイムに描画対象のアナログメータに反映される。
図7(a)に示すように太陽光が左側から指すときは、アナログメータに対して右方向にのびる影11dが描画される。また、図7(b)に示すように、太陽光が右側から指すときは、アナログメータに対して左方向にのびる影11eが描画される。
【0026】
従来は、表示モニタに一定方向の仮想光源を設定して立体構造物に陰影を表示する手法がとられてきた。このため、自然光の光源方向、輝度、色温度による陰影が再現されず、ユーザが違和感を抱く可能性があった。例えば、自動車のインパネ部分や屋外の計器類を液晶モニタ等で画像として表示する場合に、一定方向の仮想光源に固定された陰影であると、自然光の光源方向、輝度、色温度による陰影との差異が目立つことになる。そこで、表示モニタの仮想描画空間の光源について実空間の光源を模擬することで、より現実に近いデザインを実現することができる。
【0027】
以上のように、この実施の形態1によれば、表示モニタ8周辺の光源環境情報を検出する複数の光源方向検出モジュール4と、複数の光源方向検出モジュール4で検出された光源環境情報から、表示モニタ周辺の実空間の光源環境条件を算出する光源方向演算部6と、光源方向演算部6で算出された実空間の光源環境条件に基づいて、表示モニタ8で表示する仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、描画対象の画像を表示モニタ8に表示する描画部7とを備える。このように構成することで、描画対象の画像データを増大させることなく、実空間の光源環境条件に合わせて、描画対象の画像を表示できる。
【0028】
また、この実施の形態1によれば、複数の光源方向検出モジュール4が、表示モニタ8周辺の輝度情報を検出し、光源方向演算部6が、複数の光源方向検出モジュール4で検出された輝度情報から求めた輝度分布に基づいて、表示モニタ8周辺の実空間の光源方向を算出し、描画部7が、光源方向演算部6で算出された実空間の光源方向に合わせた陰影を付けた描画対象の画像を表示モニタ8に表示する。
さらに、光源方向演算部6が、複数の光源方向検出モジュール4で検出された輝度情報から求めた輝度分布に基づいて実空間の光源までの距離を算出し、描画部7が、光源方向演算部6で算出された実空間の光源までの距離に基づいて、実空間の光源までの距離に応じた陰影コントラストの陰影を付けた描画対象の画像を表示モニタ8に表示する。
さらに、複数の光源方向検出モジュール4が、表示モニタ8周辺の色情報を検出し、光源方向演算部6が、複数の光源方向検出モジュール4で検出された色情報から求めた色分布に基づいて表示モニタ8周辺の実空間の色温度を算出し、描画部7が、光源方向演算部6で算出された実空間の色温度に合わせた描画対象の画像を表示モニタ8に表示する。
このようにすることで、立体物を表示モニタ8周辺の光環境を考慮して表示することができ、実空間と仮想描画空間とがシームレス化されて、両空間で一体感のある表示が可能となる。また、デザイン性に優れた表示も可能である。
特に、光源方向、輝度、色温度が刻々と変化する自動車等の移動体内の表示モニタ8に対して描画対象の画像を立体的に表示する場合に有効である。つまり、表示モニタ8を見る環境の光源を表示物体の陰影に反映させることで、ユーザが見る環境に表示物体を馴染ませて、現実感のある表示が可能となる。
【0029】
上記実施の形態1では、表示モニタ8周辺の輝度情報及び色情報を検出して、仮想描画空間の光源方向、陰影コントラスト及び色温度を実空間に合わせる場合を示したが、本発明は、光源方向、陰影コントラスト及び色温度のみに限定されるものではなく、表示モニタ8の周辺の環境条件を示す情報であれば、上記以外の情報を利用してもかまわない。
【0030】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。図8に示すように、実施の形態2のナビゲーション装置1Aは、光源方向検出モジュール4、センサ処理部5、光源方向演算部6、描画部7a、表示モニタ8及びナビゲーション処理部14を備える。
描画部7aは、光源方向検出モジュール4から逐次出力されるセンサ情報に基づいて、光源方向演算部6で逐次算出された光源に関する情報から、表示モニタ8に設定した仮想描画空間の光源パラメータ(光源方向、陰影コントラスト、色温度等)をリアルタイムに更新して、ナビゲーション処理部14が行うナビゲーション処理で使用される描画対象の画像を表示モニタ8に描画出力する構成部である。
例えば、ナビゲーション処理の操作入力の画面上の各入力ボタン画像に対し、実空間の光源方向に合うように陰影処理を施す。
また、ナビゲーション処理部14は、ナビゲーション処理を行う構成部であり、例えばナビゲーション処理として経路誘導、経路探索及び地図表示等を行う。描画部7aで描画対象となる画像には、例えば、経路誘導においては、UI(User Interface)画面、地図及び誘導経路、地図上に重畳表示する各種機能に対応するアイコン画像等が挙げられる。
なお、図8において、図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
次に動作について説明する。
表示モニタ8の外周部に設けた複数の光源方向検出モジュール4は、実空間の光源から照射された光の輝度情報及び色情報を検出してセンサ処理部5に出力する。センサ処理部5は、光源方向検出モジュール4から入力された輝度情報及び色情報を、後段の光源方向演算部6で処理可能なデータ形式に変換処理して光源方向演算部6へ出力する。
光源方向演算部6は、入力した輝度情報から表示モニタ8の周辺の輝度分布を集計し、その分布特性から実空間における光源9の方向と光源9までの距離を推測する。
さらに、光源方向演算部6は、入力した色情報から表示モニタ8の周辺の色分布を集計し、その分布特性から実空間における色温度を推測する。光源方向演算部6で推測された光源9の方向、光源9までの距離及び色温度は、描画部7aに入力される。
【0032】
描画部7aは、光源方向演算部6で推測された光源9までの距離に基づいて、表示モニタ8から光源9までの距離と描画対象へ施す陰影コントラストの度合いとを対応付けた参照データを参照して、光源方向演算部6で推測された実空間の光源9の方向に応じた陰影コントラストの度合いを決定する。
ここで、表示モニタ8に操作入力用の画面8Cを表示する場合は、ナビゲーション処理部14が、操作入力用の画面8Cに関する画像を描画して表示モニタ8に表示するように描画部7aへ通知する。
描画部7aでは、表示モニタ8に設定した仮想描画空間の光源方向に関するパラメータを、光源方向演算部6で推測された実空間の光源9の方向で更新し、陰影コントラストに関するパラメータを、上述のようにして決定した陰影コントラストの度合いで更新し、仮想描画空間の色温度に関するパラメータを、光源方向演算部6で推測された色温度で更新して、操作入力用の画面8Cの画像を表示モニタ8に描画出力する。これにより、図8に示すように、表示モニタ8の画面8Cにおいて、実空間の光源9から照射された光に応じた影11fが操作入力用ボタンに描画される。
【0033】
以上のように、この実施の形態2によれば、表示モニタ8周辺の光源環境情報を検出する複数の光源方向検出モジュール4と、複数の光源方向検出モジュール4で検出された光源環境情報から、表示モニタ周辺の実空間の光源環境条件を算出する光源方向演算部6と、ナビゲーション処理を行うナビゲーション処理部14と、光源方向演算部6で算出された実空間の光源環境条件に基づいて、表示モニタ8の仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、ナビゲーション処理で使用される描画対象の画像を表示モニタ8に表示する描画部7aとを備える。このように構成することで、画像データを増大させることなく、実空間の光源環境条件に合わせて、ナビゲーション処理で使用する描画対象の画像を表示モニタ8に表示することができる。
【0034】
また、上記実施の形態2では、本発明を車載用のナビゲーション装置に適用した場合を示したが、携帯電話端末又は携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistance)のナビゲーション装置として適用してもよい。さらに、車両、鉄道、船舶又は航空機等の移動体に、人が携帯して持ち込んで使用するPND(Portable Navigation Device)等に適用してもかまわない。
【0035】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 表示装置、1A ナビゲーション装置、2 照度センサ、3 色センサ、4 光源方向検出モジュール、4a センサ部、5 センサ処理部、6 光源方向演算部、7,7a 描画部、8 表示モニタ、8A,8B,8C 画面、9 光源、10 物体、11a〜11f 影、12 ダッシュボード、13 太陽、14 ナビゲーション処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示モニタ周辺の光源環境情報を検出する検出部と、
前記検出部で検出された光源環境情報から、前記表示モニタ周辺の実空間の光源環境条件を算出する演算部と、
前記演算部で算出された実空間の光源環境条件に基づいて、前記表示モニタの仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、描画対象の画像を前記表示モニタに表示する描画部とを備えた表示装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記表示モニタ周辺の輝度情報を検出し、
前記演算部は、前記検出部で検出された輝度情報から求めた輝度分布に基づいて、前記表示モニタ周辺の実空間の光源方向を算出し、
前記描画部は、前記演算部で算出された実空間の光源方向に基づいて、前記実空間の光源方向に合わせた陰影を付けた描画対象の画像を、前記表示モニタに表示することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記検出部で検出された輝度情報から求めた輝度分布に基づいて、実空間の光源までの距離を算出し、
前記描画部は、前記演算部で算出された実空間の光源までの距離に基づいて、実空間の光源までの距離に応じた陰影コントラストの陰影を付けた描画対象の画像を、前記表示モニタに表示することを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記表示モニタ周辺の色情報を検出し、
前記演算部は、前記検出部で検出された色情報から求めた色分布に基づいて、前記表示モニタ周辺の実空間の色温度を算出し、
前記描画部は、前記演算部で算出された実空間の色温度に基づいて、実空間の色温度に合わせた描画対象の画像を前記表示モニタに表示することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の表示装置。
【請求項5】
表示モニタを備えたナビゲーション装置において、
前記表示モニタ周辺の光源環境情報を検出する検出部と、
前記検出部で検出された光源環境情報から、前記表示モニタ周辺の実空間の光源環境条件を算出する演算部と、
ナビゲーション処理を行うナビゲーション処理部と、
前記演算部で算出された実空間の光源環境条件に基づいて、前記表示モニタの仮想描画空間の光源環境条件を実空間に合わせて、前記ナビゲーション処理で使用される描画対象の画像を前記表示モニタに表示する描画部とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−194756(P2012−194756A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57988(P2011−57988)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】