説明

表面検査装置及び表面検査方法

【課題】ウエハの表面検査とその検査結果の観察検証の両方を行うことができる表面検査装置及び表面検査方法を提供する。
【解決手段】表面検査装置のステージ15に載置したウエハ10の表面(被検査面)に照明光11,12を照射して、ウエハ10の表面を走査し、ウエハ10の表面に対する仰角が異なるように配置した複数の検出器5a,5bによりウエハ10からの散乱光を検出して表面検査を行った後、表面検査装置に設けた光学顕微鏡50によりウエハ10上における散乱光の検出位置の画像を取得し、この画像を用いて表面検査結果の観察検証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の試料の被検査面上の異物、傷、欠陥、汚れ等を検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、高歩留まりを実現し維持するためには、各製造工程において半導体ウエハ(以下、単にウエハと記載する)の被検査面上の異物、傷、欠陥(結晶欠陥)および汚れ等(以下、これらを総称して欠陥と記載する)を検出・管理し、その欠陥の低減対策を施すことが非常に重要である。そこで、従来からウエハ(半導体デバイス)の製造工程においては、表面検査装置によりウエハ表面の検査が実施されている。
【0003】
この種の表面検査装置としては、例えば、ウエハ表面にレーザ光などの照明光を照射し、このレーザ光によって欠陥から生ずる散乱光を複数の検出器で受光し、この複数の検出結果を演算処理することにより、その欠陥の有無及び位置を検出すると同時に、その欠陥を凹状欠陥(異物など)と凸状欠陥(結晶欠陥など)とに分類するものがある(特許文献1等参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−201179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べたような表面検査装置により得られたウエハ表面の検査結果は工程管理にフィードバックされ、品質及び歩留まりの向上が図られている。その一方で、誤った検出結果(誤検出、誤分類など)に基づく工程管理(工程訂正)は、不十分(不適当)な欠陥対策による歩留まり悪化や過剰な欠陥対策による生産効率の低下等を招く恐れがあり、したがって、検査結果の慎重な評価が求められている。例えば、前述の表面検査装置においては、複数の検出器により検出された散乱光の強弱に基づいて欠陥の検出及び分類を行う手法を用いており、その検出及び分類結果を検証するには検出した欠陥の形状を観察する観察検証等が必要である。
【0006】
しかしながら、表面検査後のウエハ(被検査体)を、例えばSEM(Scanning Electron Microscope)等の設備で観察(観察検証)する場合、ウエハをその設備に搬送する必要や、装置変更に伴う座標の校正を行う必要があり、生産効率向上の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ウエハの表面検査とその検査結果の観察検証の両方を行うことができる表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
被検査体の表面に照明光を照射する照射手段と、前記照射手段からの照明光を前記被検査体の表面に走査する走査手段と、前記被検査体の表面に対する仰角が異なるように配置され、前記被検査体からの散乱光を検出する複数の検出手段と、前記被検査体の表面における前記散乱光の検出位置に基づいて前記被検査体の表面の画像を取得する光学顕微鏡とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、表面検査装置において、ウエハの表面検査とその検査結果の観察検証の両方を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0011】
本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示した図である。
【0013】
図1において、本実施の形態の表面検査装置は、被検査体であるウエハ10が載置され、図示しない駆動装置により駆動されるステージ15と、ウエハ10の表面(被検査面)に照明光を照射する照明光学系1と、ウエハ10の表面からの散乱光を検出する検出光学系5と、検出光学系5からの信号を演算処理する演算処理部8と、ウエハ10の表面の画像を取得する光学顕微鏡50と、ステージ15の動作を制御するステージコントローラ14と、表面検査装置の全体の制御を行う全体制御部9とを備えている。
【0014】
ステージ15は、このステージ15をX−Y方向(水平方向)及びZ方向(垂直方向)に駆動する駆動装置(図示せず)と、回転駆動する回転駆動装置(モータなど、図示せず)とを有している。つまり、ステージ15に載置されたウエハ10は、ステージ15がX−Y方向及びZ方向に駆動され、回転駆動されることにより、X−Y方向及びZ方向に駆動され、周方向に回転駆動される。
【0015】
照明光学系1は、照明光(Arレーザ、窒素レーザ、He−Cdレーザ、エキシマレーザなど)を生成する光源2と、光源2から射出された照明光を反射する反射ミラー4a,4b,4cと、反射ミラー4aを駆動し、照明光の進行経路(光路)を切り換える光路切換機構3とを備えている。
【0016】
光路切換機構3により反射ミラー4aが照明光の光路上(図1に示した位置)に配置された場合、光源2から射出された照明光は、反射ミラー4a及び反射ミラー4cを介してウエハ10の表面(被検査面)に対して略垂直に照射される。この照明光を落射照明12と称する。また、光路切換機構3により反射ミラー4aが照明光の光路上から退避させられた場合、光源2から射出された照明光は、反射ミラー4bを介してウエハ10の表面に対して斜方(例えば30°以下の角度)から照射される。この照明光を斜方照明11と称する。
【0017】
検出光学系5は、ウエハ10の表面からの散乱光を検出する複数の検出器5a,5bを備えている。検出器5aは、ウエハ10からの散乱光を集光する集光レンズ6aと、集光レンズ6aにより集光された散乱光を受光し、受光量(輝度)に応じた輝度信号を出力する光電子増倍管(フォトマル)7aとを備えている。検出器5bも検出器5aと同様の構成を有しており、集光レンズ6bと、フォトマル7bとを備えている。
【0018】
検出器5aは、ウエハ10の表面における法線方向に配置されており、ウエハ10の表面上における照明光の照射位置の上方(図1中上方向)に配置されている。また、検出器5bは、斜方照明11の正反射方向、すなわち、ウエハ10の表面に対して仰角が例えば30°以下となる位置に配置されている。
【0019】
演算処理部8は、検出光学系5のフォトマル7a,7bからの輝度信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するA/D変換器16と、A/D変換器16により変換された輝度信号などを記憶する記憶部17と、記憶部17に記憶された輝度信号を基に欠陥検出を行うと共に、輝度信号を比較演算し、その比較結果に基づいて欠陥の種類(凹状欠陥、凸状欠陥)を判定する欠陥判定(後に詳述)を行う比較演算部18とを備えている。記憶部17には、欠陥の有無を判定する閾値が予め記憶されており、少なくとも1つの検出器の受光量(輝度)がこの閾値を超えた場合に欠陥が有るとし、その欠陥の欠陥判定を行う。輝度が閾値を超えない場合は欠陥判定を行わない。欠陥判定の結果は後述する全体制御部9に送られる。
【0020】
光学顕微鏡50は、ウエハ10の表面からの光(散乱光を含む)を集光するレンズ51と、レンズ51により集光された光を受光しウエハ10の表面の二次元光学画像を取得するCCDカメラ52とを備えている。光学顕微鏡50は、ウエハ10の表面の観察対象位置をウエハ10に対して斜め方向(斜方)から撮像するよう配置されており、図示しないピント調整装置によってレンズ51を制御することによりCCDカメラ52の撮像面に結像させる。なお、レンズ51は単数のレンズでなくても良く、例えば、複数のレンズを備えた構成としても良い。
【0021】
光学顕微鏡50は、ウエハ10上の観察対象部分に光(照明光)をあてて生じた散乱光や反射光を観察する暗視野顕微鏡である。暗視野顕微鏡は、例えば、可視光の波長よりも小さな物体の存在を高いコントラストで観察できるという特徴があり、したがって、微小な観察対象(ウエハ10上の欠陥等)の観察に適している。また、微小な結晶欠陥などを観察する場合、観察対象からの散乱光の光量が少ないが、CCDカメラ52の受光時間(画像の積算時間)を増やし、CCDカメラ52のCCD素子に励起される電子量を増加させることにより、高感度に画像を取得することができる。さらに、CCDカメラ52(CCD素子)を冷却手段(図示せず)によって冷却することにより、CCD素子に生じるノイズ(熱雑音)を抑制することができ、より高感度に画像を取得することができる。
【0022】
CCDカメラ52により取得された画像(画像データ)は、全体制御部9の記憶装置31(後述)に記憶され、表示装置33(後述)に表示される。
【0023】
ステージコントローラ14は、全体制御部9からの指令に基づいてステージ15の駆動装置(図示せず)、及び回転駆動装置(図示せず)の動作を制御し、ステージ15及びウエハ10のX−Y方向及びZ方向の位置を制御すると共に、周方向の位置を制御する。ウエハ10の表面(被検査面)に照明光を照射しながら、ウエハ1を回転駆動しつつ、水平駆動することにより、照明光をウエハ10の表面に螺旋状、又は同心円状に走査する。
【0024】
また、ステージ15の駆動時(駆動中)は、ステージ15に設けられた位置センサ(図示せず)によりウエハ10(ステージ15)のX−Y方向、Z方向、及びθ方向(周方向)の座標位置(座標データ)を常時取得し全体制御部9に送る。
【0025】
全体制御部9は、ステージコントローラ14からの座標データ、比較演算部18からの欠陥判定結果、及び光学顕微鏡50からの画像データ等を記憶する記憶装置31(ハードディスク、メモリ等)と、ウエハ10の表面検査(欠陥検出及び欠陥判定)に用いるパラメータの設定や各種指令の入力を行う入力装置32(キーボード、マウス等)と、検査パラメータ等の設定画面、表面検査結果、及び光学顕微鏡50による画像等を表示する表示装置33(ディスプレイ等)とを備えている。全体制御部9は、表面検査装置全体の制御を行うものであり、入力装置32により入力された指令(パラメータ設定等)に基づいて、照明光学系1の光源2や光路切換機構3、ステージコントローラ14、及び演算処理部8等の各構成装置を制御する。
【0026】
記憶装置31には、欠陥判定結果がウエハ10上の座標に関連付けされて記憶されており、例えば、表示装置33に表示されたウエハマップ上に欠陥位置及びその種類が表示される。
【0027】
また、全体制御部9は、ネットワーク34を介して他の検査装置(例えばSEMなど)に接続されており、本実施の形態の表面検査装置による検査結果(欠陥の有無、欠陥位置、欠陥種類など)を他の検査装置と共有することができる。
【0028】
ここで、本実施の形態における欠陥判定について詳細に説明する。
【0029】
ステージ15に載置されたウエハ10の表面(被検査面)の照明光の照射部に欠陥(異物、傷、欠陥(結晶欠陥)および汚れ等)がある場合、その欠陥により散乱光が生じる。散乱光の生じ方は欠陥の種類により異なる。
【0030】
例えば、欠陥が汚れ等の付着異物(凸状欠陥)の場合、散乱光はほぼ無指向性、或いはウエハ10の表面に対する仰角が低い方向(例えば30°以下の方向)の指向性を持つ。しかし、欠陥が結晶欠陥等のように深さが直径に較べて非常に浅い欠陥(凹状欠陥)の場合、散乱光はウエハ10の表面に対して例えば30°以上という指向性を持ち、これ以下の角度(方向)にはほとんど散乱されない傾向がある。そこで、ウエハ10の表面を基準とした仰角が30°以上の方向に設けた検出器5aにより散乱光を検出した場合は凹状欠陥(付着異物等)が存在すると判定し、さらに、ウエハ10の表面を基準とした仰角が30°以下の方向に設けた検出器5bにより散乱光を検出した場合は凸状欠陥(付着異物や結晶欠陥等)が存在すると判定する。つまり、両方の検出器5a,5bで散乱光が検出された場合、又は主に検出器5bのみで散乱光が検出された場合の欠陥は凸状(付着異物等)であり、主に検出器5aのみで散乱光が検出された場合の欠陥は凹状欠陥(結晶欠陥等)であると判定する。この判定方法を第1欠陥判定と称する。
【0031】
また、照明光の照射方向を変えた場合の散乱光の生じ方の違いは、欠陥の種類により異なる。例えば、ウエハ10の表面に照射する照明光が落射照明12である場合、凸状欠陥と凹状欠陥によって散乱光の光量は大きく変わらないが、照明光が斜方照明11である場合、凸状欠陥による散乱光の光量に比べて凹状欠陥による散乱光の光量は少なくなる傾向にある。そこで、検出される散乱光の光量を照明光が落射照明12の場合と斜方照明11の場合で比較して、斜方照明11の場合の光量が落射照明12の場合の光量よりも小さければ凹状欠陥(結晶欠陥等)、斜方照明11の場合の光量と落射照明12の場合の光量が同等、あるいは斜方照明11の場合の光量の方が大きければ凸状欠陥(付着異物等)であると判定する。この判定方法を第2欠陥判定と称する。
【0032】
以上のように構成した本実施の形態における動作を図2を参照しつつ説明する。
【0033】
図2は、本実施の形態における表面検査の処理フローである。
【0034】
図2において、表面検査装置のステージ15上にウエハ10が載置された後、全体制御部9の入力装置32により、検査パラメータ等が設定され、検査開始の指令が入力されると、ウエハ10に対して表面検査を開始する。
【0035】
<ウエハ表面の走査(S100)>
表面検査開始の指令が入力されると、照明光がウエハ10の表面に照射されると共に、ウエハ10(ステージ15)が回転駆動及び直線駆動され、照明光によるウエハ10の表面の走査(螺旋状又は同心円状)が開始される。
【0036】
照明光の照射方向(斜方照明11及び落射照明12)は、第1及び第2欠陥判定のどちらの欠陥判定を行うかによって適宜切り換える。第1欠陥判定を行う場合は、斜方照明11又は落射照明12の何れか一方をウエハ10の表面に照射する。第2欠陥判定を行う場合は、斜方照明11を照射して後段の散乱光の検出(S200)を行った後、照明光を落射照明12に切り換えて、再度、散乱光の検出(S200)を行う。なお、落射照明12による散乱光の検出の後、斜方照明11による散乱光の検出を行っても良い。
【0037】
<散乱光の検出(S200)>
ウエハ10の表面を照明光により走査しながら、ウエハ10からの散乱光を検出器5a,5bにより検出する。演算処理部8は、検出器5a,5bからの輝度信号を記憶部17に記憶すると共に、この輝度信号を基に欠陥検出、及び欠陥判定を行う。
【0038】
第1欠陥判定を行う場合は、両方の検出器5a,5bにより散乱光が検出された場合は凹状欠陥(付着異物等)、主に検出器5aのみで散乱光が検出された場合は凸状(結晶欠陥等)であると判定する。
【0039】
また、第2欠陥判定を行う場合は、斜方照明11の場合の光量が落射照明12の場合の光量よりも小さければ凹状欠陥(結晶欠陥等)、斜方照明11の場合の光量と落射照明12の場合の光量が同等、あるいは斜方照明11の場合の光量の方が大きければ凸状欠陥(付着異物等)であると判定する。
【0040】
演算処理部8は、欠陥判定結果を全体制御部9に送る。全体制御部9は、比較演算部18からの欠陥判定結果を記憶装置31に記憶すると共に、欠陥判定結果とステージコントローラ14からの座標データを基に表示部33に表面検査結果を表示する。
【0041】
<走査の終了(S300)>
ウエハ10(ステージ15)の回転駆動及び直線駆動を停止し、照明光によるウエハ10の表面の走査を終了する。ウエハ10はステージ15上に引き続き載置され、散乱光の検出(S200)時のウエハ10上の座標及びその校正情報等が後段の観察検証(S400)に引き継がれ、そのまま用いられる。
【0042】
<検査結果の観察検証(S400)>
入力装置32等により観察検証を行う欠陥を選択すると、記憶装置31に記憶された欠陥位置(座標データ)を基にステージ15が駆動され、ウエハ10上の欠陥位置が光学顕微鏡50の視野範囲内に移動される。欠陥位置の移動が完了したら光学顕微鏡50によりウエハ10の表面の画像(欠陥画像)を取得する。
【0043】
光学顕微鏡50によって取得されたウエハ10の欠陥位置の画像は表示装置33に表示される。オペレータは、表示装置33に表示された画像を基に欠陥の種類を確認し、表面検査結果における欠陥の種類(凹状欠陥、凸状欠陥など)が正しいかどうかを検証する(観察検証)。観察検証の結果は表面検査の検査パラメータ設定、或いは表面検査装置の各部調整にフィードバックされ、表面検査の確実性(妥当性)の向上が図られる。
【0044】
なお、表面検査により検出された欠陥の全数について画像を取得し、観察検証を行うことは困難であるので、適当な方法によりレビュー対象を選択して効率的に評価する。これにより、検査結果の妥当性を効率良く確認することが可能となる。
【0045】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0046】
近年、表面検査装置(光学式)の検出感度が上がり、検出される欠陥の最小サイズが微小化しているため、検出された欠陥を容易には観察できなくなりつつある。このような欠陥は、ウエハをレビューSEM等の設備に搬送して観察する必要があるが、装置間の搬送時間、装置変更に伴う座標の校正を行う時間等が必要となり、生産性向上の妨げとなっていた。このような問題点の解消のために、例えば、レビューSEMにより表面検査(欠陥検出)と欠陥の観察を行うことが考えられるが、レビューSEMによる表面検査(暗視野検出)は付加的、簡易的なものになってしまうため、光学式の表面検査装置ほどの高感度は得られない。仮に、高感度を得るために光源の波長を短くしたり発振出力を上げたりすると非常に高価な装置となってしまい、実際に生産工程に用いることは困難となってしまう。その他、光学式の表面検査装置にSEM等の観察手段を用いることも考えられるが、取得する物理量が異なるので、光学式の表面検査装置とのマッチングが良くない。
【0047】
これに対し、本実施の形態においては、光学式の表面検査装置に光学顕微鏡を付加したので、表面検査装置のみでウエハの表面検査とその検査結果の観察検証の両方を行うことができ、表面検査後の観察検証のためにウエハをSEM等の設備に搬送する時間や、装置変更に伴う座標の校正を行う時間が必要なくなり、生産効率をより向上することができる。
【0048】
また、表面検査(欠陥検出、欠陥判定)の結果の観察検証、すなわち、欠陥検出結果がノイズ(虚報)ではないか、また、ノイズでない場合に欠陥判定結果が正しいかどうか(凸状欠陥と凹状欠陥の分類が正確かどうか)を検証することができ、半導体プロセスの工程訂正をより確実に行うことができる。
【0049】
さらに、表面検査終了後すぐに観察検証(表面検査の結果の確認)ができるため、半導体プロセスへのフィードバックも素早く行うことができ、半導体プロセスにおける製品不良の拡大をより確実に防止することができる。
【0050】
なお、本実施の形態においては、検出器5a,5bの数は2つの場合を例に取り説明したがこれに限られず、例えば、図3に示すように、3つ以上の検出器を仰角が異なるように配置しても良い。
【0051】
図3は、複数の検出器の配置の一例を示す図であり、図3(a)はその検出器の配置をウエハ10の表面に対する法線方向(図1中上方)から見た図であり、図3(b)は横方向から見た図である。図3において、検出器の配置位置60aは、落射照明12の入射方向(ウエハ10の表面に対する略法線方向)の位置であり、高角度検出光学系と称する。配置位置60cは、ウエハ10の表面に対して仰角が例えば30°以下となる位置であり、低角度検出光学系と称する。配置位置60bは、高角度検出光学系60aと低角度検出光学系60cに位置しており、中角度検出光学系と称する。高角度検出光学系60aには1個、中角度検出光学系60bと低角度検出光学系60cにはそれぞれ4個ずつの配置位置があり、ウエハ10上の照明光の照射対象位置を囲むように配置されている。各検出光学系60a〜60cの各配置位置には、検出器5a,5bと同様の構成の検出器が配置され、各検出器からの検出結果(輝度信号)は演算処理部8に送られる。
【0052】
これにより、ウエハ10からの散乱光を複数の方向で検出することができるので、欠陥検出の感度を向上することができる。
【0053】
また、各検出器で検出される散乱光の受光量(輝度)を異なる方向の受光量と比較することにより、その散乱光の進行方向の特徴を把握することができ、欠陥の種類をより細かく分類することができる。
【0054】
なお、第1の実施の形態においては、半導体ウエハの表面検査に本発明を適用する場合を例にとり説明したが、表面検査を行う対象としては、薄型ディスプレイ等に用いるガラス基板や磁気ディスク等に用いるディスク基板等の表面検査に本発明を適用しても良い。
【0055】
本発明の第2の実施の形態を図4を用いて説明する。
【0056】
本実施の形態は、上記第1の実施の形態の光学顕微鏡50(暗視野顕微鏡)に替えて光学顕微鏡50A(明視野顕微鏡)を用いた場合の実施の形態である。
【0057】
図4は、本実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示した図である。図中、図1に示した部材と同様のものには同じ符号を付し、説明を省略する。
【0058】
図4において、本実施の形態の照明光学系1は、照明光を生成する光源2と、光源2から射出された照明光及びウエハ10の表面(被検査面)からの反射光(散乱光)を反射する反射ミラー4a,4b,4d,4eと、反射ミラー4aを駆動し、照明光の進行経路(光路)を切り換える光路切換機構3とを備えている。
【0059】
光路切換機構3により反射ミラー4aが照明光の光路上(図4に示した位置)に配置された場合、光源2から射出された照明光は、反射ミラー4a及び反射ミラー4dを介してウエハ10の表面(被検査面)に対して略垂直に照射される。この照明光を第1の実施の形態と同様に落射照明12と称する。
【0060】
反射ミラー4dは、光源2からの照明光をウエハ10側に反射すると共に、ウエハ10の表面からの反射光(散乱光)を反射ミラー4e側に反射する。
【0061】
光学顕微鏡50Aは、ウエハ10の表面からの光(散乱光を含む)を集光するレンズ51と、レンズ51により集光された光を受光しウエハ10の表面の二次元光学画像を取得するCCDカメラ52とを備えている。光学顕微鏡50Aは、ウエハ10の表面からの反射光(散乱光)を反射ミラー4d,4eを介して受光することにより、ウエハ10の表面の観察対象位置における垂直像を取得する。
【0062】
光学顕微鏡50Aは、ウエハ10上の観察対象位置に落射照明12を当てて生じた散乱光や反射光を、その落射照明12の照射方向から観察する明視野顕微鏡である。
【0063】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0064】
以上のように構成した本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
また、ウエハ10の表面に対する距離が視野内において略一定となるので、観察対象位置に対する光学顕微鏡50AのCCDカメラ52の撮像面への結像を容易に行うことができる。
【0066】
さらに、ウエハ10の表面に対して垂直の画像を取得することができるので、歪みの少ない画像を得ることができ、欠陥の形状をより正確に確認することができる。
【0067】
なお、上記の第1及び第2の実施の形態においては、観察対象位置をウエハ10に対して斜め方向(斜方)から撮像する光学顕微鏡50(暗視野顕微鏡)とウエハ10に対して略垂直方向から撮像する光学顕微鏡50A(明視野顕微鏡)の何れか一方を用いる場合を例にとり説明したがこれに限られず、例えば、光学顕微鏡50,50Aの両方を備え、ウエハ10に対して斜め方向(斜方)からの画像(暗視野像)と略垂直方向からの画像(明視野像)の両方を取得するようにすることも考えられる。また、第2の実施の形態において、例えば、反射ミラー4eを回転駆動して観察対象位置からの反射光(散乱光)を光学顕微鏡50Aに直接反射し、斜め方向(斜方)からの画像(明視野像)を取得する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示した図である。
【図2】表面検査の処理フローである。
【図3】複数の検出器の配置の一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係る表面検査装置の全体構成を示した図である。
【符号の説明】
【0069】
1 照明光学系
2 光源
3 光路切換機構
4a,4b,4c,4d 反射ミラー
5 検出光学系
6a,6b 集光レンズ
7a,7b 光電子増倍管
8 演算処理部
9 全体制御部
10 ウエハ
11 斜方照明
12 落射照明
14 ステージコントローラ
15 ステージ
16 A/D変換器
17 記憶部
18 比較演算部
31 記憶装置
32 入力装置
33 表示装置
34 ネットワーク
50,50A 光学顕微鏡
51 レンズ
52 CCDカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体の表面に照明光を照射する照射手段と、
前記照射手段からの照明光を前記被検査体の表面に走査する走査手段と、
前記被検査体の表面に対する仰角が異なるように配置され、前記被検査体からの散乱光を検出する複数の検出手段と、
前記散乱光の検出位置に基づいて前記被検査体の表面の画像を取得する光学顕微鏡と
を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記照射手段は、前記被検査体の表面に対して斜め方向から照明光を照射する斜方照明と、略垂直方向から照明光を照射する落射照明とを切り換える照明切換機構を備え、
前記光学顕微鏡は、前記斜方照明により前記被検査体の表面の暗視野像を取得することを特徴とする表面検査装置。
【請求項3】
請求項1記載の表面検査装置において、
前記照射手段は、前記被検査体の表面に対して斜め方向から照明光を照射する斜方照明と、略垂直方向から照明光を照射する落射照明とを切り換える照明切換機構を備え、
前記光学顕微鏡は、前記落射照明により前記被検査体の表面の明視野像を取得することを特徴とする表面検査装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の表面検査装置において、
前記複数の検出手段により検出された散乱光の光量の違いに基づいて前記被検査体の表面の欠陥の種類を判定する欠陥判定手段を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項5】
請求項2又は3記載の表面検査装置において、
前記斜方照明に切り換えられた場合に前記検出手段により検出された散乱光の光量と前記落射照明に切り換えられた場合に前記検出手段により検出された散乱光の光量の違いに基づいて、前記被検査体の欠陥の種類を判定する欠陥判定手段を備えることを特徴とする表面検査装置。
【請求項6】
被検査体の表面に照明光を照射する手順と、
前記照射手段からの照明光を前記被検査体の表面に走査する手順と、
前記被検査体の表面に対する仰角が異なるように配置された複数の検出手段により、前記被検査体からの散乱光を検出する手順と、
前記被検査体の表面における前記散乱光が検出された位置に基づいて光学顕微鏡により前記被検査体の表面の画像を取得する手順と
を有することを特徴とする表面検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−283633(P2009−283633A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133536(P2008−133536)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】