説明

複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式

【課題】ガス燃料の組成の変化によらず燃焼の安定化を図れエンジン出力を安定して得る上で有利な複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式を提供する。
【解決手段】エンジン本体12の目標出力Pおよび検出された回転数Rに対応するガス燃料の供給量gと空気の供給量aと液体燃料の供給量fとを含む燃焼パラメータは、ガス組成検出手段20によって検出されたガス燃料のガス組成に対応して燃料パラメータ決定手段26によって決定される。燃焼パラメータ決定手段26で決定された液体燃料の供給量に基づいて液体燃料Fの供給量と、空気の供給量aと、ガス燃料の供給量gとが燃焼制御手段40によって制御され、これにより、エンジン本体12で燃焼がなされる。この結果、エンジン本体12から安定した目標出力Pが取り出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料とガス燃料を併用する複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から液体燃料とガス燃料を併用する複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式が提案されている(特許文献1乃至3参照)。
この種の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式では、自己着火性のよい液体燃料がパイロット燃料、排ガスのきれいなガス燃料が配合比の多い主燃料とされる。
また、地球温暖化の原因となる炭酸ガスの増加に影響しないエネルギ源としてバイオマスガスの活用が期待され、バイオマスガスを複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式のガス燃料として用いることも提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−58031号公報
【特許文献2】実公平3−55810号公報
【特許文献3】特開平7−11983号公報
【特許文献4】特開2007−211764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガス燃料としてバイオマスガスを用いる場合、バイオマスガスの組成、言い換えると、バイオマスガスを構成する複数の成分の比率が時間経過と共に変化することが多い。
したがって、このように組成が時間経過と共に変化するようなガス燃料を用いて複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式を動作させると、燃焼の安定化、ひいてはエンジン出力を安定して取り出す上で不利がある。
また、木質バイオマスガス、エタノールガス、植物油脂ガス、都市ガスなどの異なる組成を有する複数種類のガス燃料を切り替えて複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式に供給させることが考えられる。
この場合は、ガス燃料を構成する複数の成分の種類およびそれら成分の比率がガス燃料ごとに大きく異なるため、やはり燃焼の安定化、ひいてはエンジン出力を安定して取り出す上で不利がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ガス燃料の組成の変化によらず燃焼の安定化を図れエンジン出力を安定して得る上で有利な複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、液体燃料をエンジン本体に供給する液体燃料供給手段と、空気を前記エンジン本体に供給する空気供給手段と、前記空気供給手段に設けられた混合器にガス燃料を供給することで前記混合器によって前記空気と混合された前記ガス燃料を前記エンジン本体に供給するガス燃料供給手段とを備える複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式であって、前記エンジン本体に供給される前記ガス燃料を構成する複数の成分と各成分の比率を示すガス組成を検出するガス組成検出手段と、前記エンジン本体の回転数を検出する回転数検出手段と、目標出力および前記検出された回転数に対応する前記ガス燃料の供給量と前記空気の供給量と前記液体燃料の供給量とを含む燃焼パラメータを、前記ガス組成検出手段によって検出された前記ガス組成に対応して決定する燃焼パラメータ決定手段と、前記決定された前記燃焼パラメータに基づいて前記液体燃料供給手段によって供給される前記液体燃料の供給量と、前記空気供給手段によって供給される空気の供給量と、前記ガス燃料供給手段によって供給される前記ガス燃料の供給量を制御する燃焼制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エンジンの目標出力および検出された回転数に対応するガス燃料の供給量と空気の供給量と液体燃料の供給量とを含む燃焼パラメータを、検出されたガス燃料のガス組成に対応して決定するようにした。
したがって、ガス燃料の組成の変化によらず燃焼の安定化を図れエンジン出力を安定して得る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10の機能ブロック図である。
【図3】燃料調整マップMの概念を説明する説明図である。
【図4】ガス燃料の組成内容に対応して複数個用意されマップ手段24に格納された燃料調整マップMの概念を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10は、液体燃料とガス燃料を併用するものである。
液体燃料は、パイロット燃料として自己着火性のよいものが使用される。
本実施の形態では、液体燃料として軽油、廃食油を用いるが、液体燃料として従来公知のさまざまな液体燃料が採用可能である。
ガス燃料(本発明でガス燃料とは、ガス燃料とミスト燃料を含む)としては、配合比の多い主燃料として排ガスのきれいなものが使用される。
本実施の形態では、ガス燃料としては、木材から生成される木質バイオマスガス、植物や食物の残渣を発酵させることで生成されるエタノールガスおよびエタノールミスト、植物油脂から生成される植物油脂ガス、都市ガスなど従来公知のさまざまなガス燃料が採用可能である。
【0009】
複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10は、液体燃料およびガス燃料が空気に混合された混合ガスを燃焼させることにより回転エネルギーを取り出すエンジン本体12を含んで構成されている。
エンジン本体12における混合ガスの燃焼は、例えば、エンジン本体12の燃焼室の空気が圧縮された状態でパイロット燃料としての液体燃料が自己着火し、これにより主燃料としてのガス燃料が燃焼することでなされる。
なお、エンジン本体12の構造自体は従来公知であるため説明を省略する。
なお、図中符号38はエンジン本体12から排出される排気ガスに含まれる残存酸素量を検出する排気ガス残存酸素検出手段を示す。排気ガス残存酸素検出手段としては、排気ガス残存酸素測定センサなど従来公知のさまざまなセンサが採用可能である。
【0010】
図2に示すように、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10は、機能的には、液体燃料供給手段14と、空気供給手段16と、ガス燃料供給手段18と、ガス組成検出手段20と、回転数検出手段22と、マップ手段24と、燃焼パラメータ決定手段26と、液体燃料制御手段28と、空気制御手段30と、ガス燃料制御手段32とを含んで構成されている。
【0011】
液体燃料供給手段14は、液体燃料をエンジン本体12に供給するものである。
本実施の形態では、図1に示すように、液体燃料供給手段14は、燃料タンク1402と、燃料噴射ポンプ1404と、燃料噴射弁1406と、噴射量制御装置(ガバナー)1408と、アクチュエーター1410とを含んで構成されている。
燃料タンク1402は、液体燃料を貯えるものである。
燃料噴射ポンプ1404は、燃料タンク1402の液体燃料を燃料噴射弁1406に供給するものである。
燃料噴射弁1406は、エンジン本体12に設けられ燃焼室に液体燃料を噴射するものである。
噴射量制御装置1408は、後述するPLC36によって制御されるアクチュエーター1410によって駆動されるものであり、燃料噴射ポンプ1404から燃料噴射弁1406を介して噴射される液体燃料の噴射量を調整するものである。
【0012】
空気供給手段16は、図1に示すように、空気をエンジン本体12に供給するものである。
本実施の形態では、空気供給手段16は、吸気流路1602と、エアクリーナ1604と、スロットル弁1606と、吸気流量調節器1608と、過給器1610とを含んで構成されている。
吸気流路1602は、エンジン本体12に空気を導く経路を構成するものである。
エアクリーナ1604は、吸気流路1602の上流端に設けられ、エンジン本体12に供給する空気から塵埃を除去するものである。
スロットル弁1606は、吸気流路1602のうちエアクリーナ1604の下流側に設けられ、吸気流路1602を通過する空気の供給量(吸気量)を調整するものである。
吸気流量調節器1608は、PLC36の制御により、スロットル弁1606の開度を調整するものである。
過給器1610は、吸気流路1602のうちスロットル弁1606の下流側に設けられ吸気路の空気に圧力を加えてエンジン本体12に供給するものである。
また、吸気流路1602のうちスロットル弁1606と過給器1610との間の箇所には、後述する混合器1812が設けられている。
【0013】
ガス燃料供給手段18は、図1に示すように、ガス燃料供給流路1802と、ガス燃料供給源1804と、遮断弁1806と、ガス流量調節弁1808と、ガス流量調節器1810と、混合器1812とを含んで構成されている。
ガス燃料供給流路1802は、エンジン本体12にガス燃料を導く経路を構成するものである。
ガス燃料供給源1804は、ガス燃料供給流路1802の上流端に設けられガス燃料を発生させ、ガス燃料をガス燃料供給流路1802に供給するものである。
本実施の形態では、ガス燃料供給源1804はバイオマスガスを発生させるバイオマスガス発生ホルダーとして構成されている。
遮断弁1806は、ガス燃料供給流路1802のうちガス燃料供給源1804の下流側に設けられ、必要に応じてガス燃料供給流路1802を遮断するものであり、通常は開放されている。
ガス流量調節弁1808は、ガス燃料供給流路1802のうち遮断弁1806の下流側に設けられ、ガス燃料供給流路1802を通過するガス燃料の供給量(流量)を調整するものである。
ガス流量調節器1810は、PLC36の制御により、ガス流量調節弁1808の開度を調整するものである。
混合器1812は、ガス燃料供給流路1802のうちガス流量調節弁1808の下流側に接続され、ガス燃料供給流路1802によって導かれたガス燃料を吸気流路1602の空気と混合させたのち、エンジン本体12に供給するものである。
このような混合器1812として従来公知のさまざまな構造の混合器1812が採用可能である。
本実施の形態では、吸気流路1602のうち混合器1812とエンジン本体12との間を接続する部分と、ガス燃料供給流路1802のうち混合器1812とエンジン本体12との間を接続する部分とが共通となっている。
【0014】
ガス組成検出手段20は、エンジン本体12に供給されるガス燃料を構成する複数の成分と各成分の比率を示すガス組成を検出するものである。
本実施の形態では、ガス組成検出手段20は、ガス燃料供給流路1802のうち遮断弁1806とガス流量調節弁1808との間の箇所に設けられたバイオマスガス組成測定センサ2002で構成されている。
このようなガス組成検出手段20として従来公知のさまざまなガス組成検出センサが採用可能である。
【0015】
回転数検出手段22は、エンジン本体12の回転数を検出するものである。
本実施の形態では、回転数検出手段22は、従来公知の回転速度センサ2202で構成されている。
【0016】
図1に示すように、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10は、さらに、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)34と、PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)36とを備えている。
ECU34およびPLC36は、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10の制御を行う電子制御ユニットである。
ECU34は、CPU、制御プログラムおよび各種データなどを格納するROM、ワーキングエリアを提供するRAM、周辺回路とのインタフェースをとるインタフェース部などがバスによって接続されたマイクロコンピュータによって構成されている。そして、前記CPUが制御プログラムを実行することにより機能する。
本実施の形態では、ECU34の入力側には、バイオマスガス組成測定センサ2002、回転速度センサ2202、排気ガス残存酸素検出手段38が接続され、これら各センサ2002、2202、38の検出結果がECU34に供給される。
【0017】
PLC36は、ECU34と同様にマイクロコンピュータによって構成され、ECU34の制御に基づいて動作するものである。
本実施の形態では、PLC36の出力側には、アクチュエーター1410、吸気流量調節器1608、ガス流量調節器1810が接続され、PLC36によりアクチュエーター1410、吸気流量調節器1608、ガス流量調節器1810の動作が制御される。
【0018】
本実施の形態では、ECU34が前記の制御プログラムによって動作してPLC36を制御することにより、マップ手段24と、燃焼パラメータ決定手段26と、液体燃料制御手段28と、空気制御手段30と、ガス燃料制御手段32とが実現されている。
なお、本実施の形態では、ECU34およびPLC36によって各手段24、26、28、30、32が実現される場合について説明するが、これら各手段を単一または複数ののマイクロコンピュータで実現するなど構成は任意である。
【0019】
マップ手段24は、図3に示す燃料調整マップMを複数個格納するものであり、本実施の形態では、マップ手段24は、ECU34のメモリ(ROM)によって構成されている。
燃料調整マップMは、回転速度センサ2202によって検出された回転数Rおよびエンジン本体12の目標出力Pに対応するガス燃料の供給量gと空気の供給量aと液体燃料の供給量fとを格納するものである。
したがって、回転数Rと目標出力Pとが特定されると、この目標出力Pを実現するために必要なガス燃料の供給量gと空気の供給量aと液体燃料の供給量fとが決定されることになる。これらガス燃料の供給量gと空気の供給量aと液体燃料の供給量fとを含んで燃焼パラメータが構成される。
この燃料調整マップMは、ガス燃料を構成する複数の成分と各成分の比率とによってそれぞれ異なるものとなる。
【0020】
図4を用いて燃料調整マップMについて具体的に説明する。
ガス燃料を構成する成分が3つの成分A,B,Cである場合について考える。
ここで、ガス組成検出手段20によって検出された燃料ガスのガス組成を示すガス組成データDg1が、成分Aの比率がa1、成分Bの比率がb1、成分Cの比率がc1であるとする。
この場合には、このガス組成データDg1に対応する燃料調整マップM1が作成される。
同様に、ガス組成検出手段20によって検出された燃料ガスのガス組成データDg2が、成分Aの比率がa2、成分Bの比率がb2、成分Cの比率がc2であるとする。
この場合には、このガス組成データDg2に対応する燃料調整マップM2が作成される。
以下同様に、ガス組成検出手段20によって検出された燃料ガスのガス組成データDgnが、成分Aの比率がan、成分Bの比率がbn、成分Cの比率がcnであるとする。
この場合には、このガス組成データDgnに対応する燃料調整マップMnが作成される。
すなわち、ガス組成データDg1,Dg2,Dg3、……、Dgnのそれぞれに対応して燃料調整マップM1、M2,M3,……、Mnが作成される。
すなわち、本実施の形態では、図2に示すように、ガス燃料の複数の成分と各成分の比率とを示すガス組成データに対応した複数の燃料調整マップMを予め作成しておき、それら複数の燃料調整マップMをマップ手段24に格納している。
なお、本実施の形態では、ガス燃料を構成する成分が3つの成分A,B,Cである場合について説明したが、ガス燃料を構成する成分が2つの成分、あるいは、4つ以上の成分である場合であっても燃料調整マップMを作成できることは無論である。
【0021】
燃焼パラメータ決定手段26は、ガス組成検出手段20によって検出されたガス組成データに対応する燃料調整マップMをマップ手段24から決定すると共に、決定されたマップ手段24から目標出力Pおよび検出された回転数Rに対応する燃焼パラメータ(ガス燃料の供給量g、空気の供給量a、液体燃料の供給量f)を決定するものである。
【0022】
なお、上述のように決定された燃焼パラメータに対して、排気ガス残存酸素検出手段38で検出される残存酸素量が予め定められた値となるようなフィードバック制御を行う空燃比制御手段を設けてもよい。
このような制御を行うことにおりエンジン本体12で燃焼される混合ガスの残存酸素量、言い換えると、空燃比を所望の状態とすることで、例えば、排気ガスに含まれる有害物質の低減を図る上で有利となる。
【0023】
液体燃料制御手段28は、燃焼パラメータ決定手段26で決定された液体燃料の供給量に基づいて液体燃料供給手段14によって供給される液体燃料の供給量を制御するものである。
具体的には、ECU34はPLC36、アクチュエーター1410を介して、噴射量制御装置1408を制御することにより、燃料噴射弁1406からエンジン本体12に噴射される液体燃料の噴射量を調整する。
【0024】
空気制御手段30は、燃焼パラメータ決定手段26で決定された空気の供給量に基づいて空気供給手段16によって供給される空気の供給量を制御するものである。
具体的には、ECU34はPLC36、吸気流量調節器1608を介してスロットル弁1606の開度を制御することにより、エンジン本体12に供給される空気の吸気量を調整する。
【0025】
ガス燃料制御手段32は、燃焼パラメータ決定手段26で決定されたガス燃料の供給量に基づいてガス燃料供給手段18によって供給されるガス燃料の供給量を制御するものである。
具体的には、ECU34はPLC36、ガス流量調節器1810を介してガス流量調節弁1808の開度を制御することにより、エンジン本体12に供給されるガス燃料の流量を制御する。
【0026】
すなわち、本実施の形態では、液体燃料制御手段28と、空気制御手段30と、ガス燃料制御手段32とによって燃焼制御手段40が構成されている。
燃焼制御手段40は、燃焼パラメータ決定手段26で決定された燃焼パラメータに基づいて液体燃料供給手段14によって供給される液体燃料Fの供給量と、空気供給手段16によって供給される空気の供給量aと、ガス燃料供給手段18によって供給されるガス燃料の供給量gを制御するものである。
【0027】
本実施の形態の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10によれば、エンジン本体12の目標出力Pおよび検出された回転数Rに対応するガス燃料の供給量gと空気の供給量aと液体燃料の供給量fとを含む燃焼パラメータは、ガス組成検出手段20によって検出されたガス燃料のガス組成に対応して燃料パラメータ決定手段26によって決定される。
燃焼パラメータ決定手段26で決定された液体燃料の供給量に基づいて液体燃料Fの供給量と、空気の供給量aと、ガス燃料の供給量gとが燃焼制御手段40によって制御され、これにより、エンジン本体12で燃焼がなされる。
この結果、エンジン本体12から安定した目標出力Pが取り出される。
したがって、ガス燃料の組成の変化によらず、燃焼の安定化を図れエンジン出力を安定して得ることができる。
特に、時間経過と共にガス組成が変化するバイオマスガスなどのようなガス燃料を用いる場合に、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10のエンジン出力を安定して取り出す上で有利となり、バイオマスガスなどの利用価値を高める上で有利となる。
また、木質バイオマスガス、エタノールガス、植物油脂ガス、都市ガスなどの異なる組成を有する複数種類のガス燃料を切り替えて使用する場合に、複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式10のエンジン出力を安定して取り出す上で有利となり、使用するガス燃料の自由度を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0028】
10……複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式
14……液体燃料供給手段
16……空気供給手段
18……ガス燃料供給手段
20……ガス組成検出手段
22……回転数検出手段
26……燃焼パラメータ決定手段
40……燃焼制御手段
P……目標出力
R……検出された回転数
g……ガス燃料の供給
a……空気の供給量
f……液体燃料の供給量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料をエンジン本体に供給する液体燃料供給手段と、
空気を前記エンジン本体に供給する空気供給手段と、
前記空気供給手段に設けられた混合器にガス燃料を供給することで前記混合器によって前記空気と混合された前記ガス燃料を前記エンジン本体に供給するガス燃料供給手段とを備える複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式であって、
前記エンジン本体に供給される前記ガス燃料を構成する複数の成分と各成分の比率を示すガス組成を検出するガス組成検出手段と、
前記エンジン本体の回転数を検出する回転数検出手段と、
目標出力および前記検出された回転数に対応する前記ガス燃料の供給量と前記空気の供給量と前記液体燃料の供給量とを含む燃焼パラメータを、前記ガス組成検出手段によって検出された前記ガス組成に対応して決定する燃焼パラメータ決定手段と、
前記決定された前記燃焼パラメータに基づいて前記液体燃料供給手段によって供給される前記液体燃料の供給量と、前記空気供給手段によって供給される空気の供給量と、前記ガス燃料供給手段によって供給される前記ガス燃料の供給量を制御する燃焼制御手段と、
を備えることを特徴とする複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。
【請求項2】
前記検出された回転数および前記エンジン本体の目標出力に対応する前記ガス燃料の供給量と前記空気の供給量と前記液体燃料の供給量とを格納する燃料調整マップを前記ガス燃料の組成内容に対応して複数個格納するマップ手段が設けられ、
前記燃焼パラメータ決定手段による前記燃焼パラメータの決定は、
前記ガス組成検出手段によって検出された前記ガス組成に対応する前記燃料調整マップを前記マップ手段から決定すると共に、前記決定されたマップ手段から前記目標出力および前記検出された回転数に対応する前記ガス燃料の供給量と前記空気の供給量と前記液体燃料の供給量とを決定することで行われる、
ことを特徴とする請求項1記載の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。
【請求項3】
前記空気供給手段は前記エンジン本体に供給する空気から塵埃を除去するエアクリーナを有する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。
【請求項4】
前記空気供給手段は空気に圧力を加えて前記エンジン本体に供給する過給器を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。
【請求項5】
前記ガス燃料はバイオマスガスを含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。
【請求項6】
前記液体燃料は軽油または廃食油である、
ことを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載の複式燃料ディーゼルエンジン適正燃焼制御方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−163133(P2011−163133A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23590(P2010−23590)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(507360313)
【出願人】(510032357)株式会社セラフィム (1)
【出願人】(598137364)株式会社金沢エンジニアリングシステムズ (2)
【Fターム(参考)】