説明

複数のレーザビームスポットを使用する半導体構造加工

【課題】複数のレーザビームを使って、半導体基板の上又は内部の導電性のあるリンクを加工する。
【解決手段】2又は3以上のNについて、スループットの利益を得るためにN組のレーザパルスを使う。前記リンクは、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列510、520をなして配置される。前記N組のレーザパルスは選択された構造の上に投射するまでN本のそれぞれのビーム光軸に沿って伝搬する。得られたレーザビームスポットのパターンは、N本の別個の列内のリンクか、同一の列内の別個のリンクか、同一のリンクかの上に、部分的に重複するか完全に重複するかのいずれかである。得られたレーザスポットは、互いからの前記列の長手方向のオフセットと、前記列の長手方向と垂直な方向のオフセットとの一方又は両方を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には半導体集積回路の製造に関し、より具体的には半導体集積回路の上又は内部の構造を加工するためのレーザビームの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、2004年6月18日出願の「マルチビーム半導体リンク加工」という名称の特許文献1と、以下全て2005年2月4日に出願された、「オンアクシスオフセットがあるように横方向に間隔を置いて設けられた複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献2と、「複数のブロー(blow)を送達する横方向に間隔を置いて設けられた複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献3と、「ジョイントベロシティプロファイリングを伴う横方向に間隔を置いて設けられた複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献4と、「同時に送達されるオンアクシスに間隔を置いて設けられる複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献5と、「単一ブローのスループットを増加させるためにオンアクシスに間隔を置いて設けられる複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献6と、「非隣接構造上にオンアクシスに間隔を置いて設けられる複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献7と、「クロスアクシスオフセットを伴うオンアクシスに間隔を置いて設けられる複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献8と、「構造上で長手方向に重複する複数のレーザビームスポットを用いる半導体構造加工」という名称の特許文献9とに基づく優先権を主張する。上記の出願の全ては引用によってそれらの全体が本明細書に取り込まれる。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/580,917号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/051,265号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/051,262号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/052,014号明細書
【特許文献5】米国特許出願第11/051,500号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/052,000号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/051,263号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/051,958号明細書
【特許文献9】米国特許出願第11/051,261号明細書
【0003】
製造工程でICs(集積回路)はさまざまな理由で欠陥が生じることがしばしばある。そのためIC装置は、例えばDRAM(dynamic random access memory)、SRAM(static random access memory)又は埋め込み式メモリのような半導体メモリデバイス内に、スペアのメモリセルの行(column)及び列(row)のような冗長な回路要素を含むように設計されるのが通常である。かかるデバイスは、前記冗長な回路要素の電気接点の間に特定のレーザで切断可能なリンクを含むように設計される。かかるリンクは、例えば、欠陥のあるメモリセルを切断して、交換用の冗長なセルに置換するために除去される場合がある。類似の技術は、ゲートアレイ又はASICs(application−specific integrated circuits)のような論理的製品のプログラム又はコンフィギュレーションを行うためにリンクを切断するのにも用いられる。ICが製造された後、その回路要素は欠陥についてテストされ、欠陥の場所がデータベースに記録される場合がある。前記ICのレイアウト及びその回路要素の場所に関する位置情報を組み合わせて、レーザを利用するリンク加工システムは、前記ICを有用にするために選択されたリンクを除去するために利用される場合がある。
【0004】
レーザで切断可能なリンクは、典型的には、厚さが約0.5−1ミクロン(μm)、幅が約0.5−1μm、全長が約8μmある。IC内の回路要素と、該要素間のリンクとは、規則的な列のような、規則的な幾何学的配置で配置されることが典型的である。典型的なリンクの列では、隣接するリンクの間の中心から中心までのピッチは約2−3μmである。これらの寸法は代表的で、技術の進歩が、より小さな特徴を有するワークピース、すなわち被加工物の製造と、より精度が高く焦点が小さいレーザビームスポットを有するレーザ加工システムの作成とを可能にするにつれて、これらの寸法は短縮する。最も慣用されるリンクの材料はポリシリコン及びこれに類する組成物であったが、つい最近になって、メモリのメーカーは、アルミニウム、銅、金ニッケル、チタン、タングステン、白金を含むが、これらに限定されない場合がある、さまざまなより導電性の高い金属性のリンク材料と、その他の金属、金属合金、チタン又はタンタルの窒化物のような金属窒化物、タングステンの珪化物のような金属珪化物その他の金属様材料とを採用している。
【0005】
従来のレーザ利用半導体リンク加工システムは、約4ないし30ナノ秒(ns)のパルス幅を有するレーザ出力の単一パルスを各リンクに合焦させる。一度にたった1個だけのリンクを除去するのに十分な大きさのフットプリントすなわち設置面積か、スポットサイズを有するレーザビームが前記ICに投射される。レーザパルスが、シリコン基板の上で、かつ、典型的には厚さが2000−10,000オングストロームである重層されるパッシベーション層と、その下になるパッシベーション層とを含むパッシベーション積層の構成部分の層の間に配置されるとき、シリコン基板は比較的少ない量の赤外(IR)照射を吸収し、前記パッシベーション層(二酸化珪素又は窒化珪素)はIR照射について比較的透過性がある。20年以上にわたって、赤外(IR)レーザ波長(例えば、0.522μm、1.047μm、1.064μm、1.321μm、及び1.34μm)が回路リンクを除去するために利用されてきた。
【0006】
現在の半導体リンク加工システムは、リンク除去用に小さなスポットに合焦した単一のレーザパルスを利用する。除去されるべきリンクのバンクはウェーハ上にまっすぐな列をなして配置されるのが典型的で、その例示が図1に示される。前記列は完全にまっすぐである必要はないが、典型的には非常にまっすぐである。前記リンクは前記システムによってリンクラン(link run)120内で加工されるが、リンクラン120はオンザフライ(on the fly、OTF)ランとも呼ばれる。リンクランの間、レーザビームはステージポジショナが合焦したレーザスポットの場所を横切ってリンクの列を通るときにパルス照射される。前記ステージは一度に単一の軸に沿って移動し、各リンク位置で停止しないのが典型的である。したがって、前記リンクランは一般的には長手方向(図示されたページの紙面に水平)にリンクの列を通過する。さらに、リンクラン120の長手方向は、前記列を構成する個々のリンクの長手方向とほぼ直角であるのが典型的ではあるが、正確に直角である必要はない。リンクラン120の選択されたリンクに衝突するのは伝搬経路が軸に沿うレーザビームである。前記軸がワークピースと交差する位置は、リンクを選択的に除去するために前記レーザをパルス照射しながら、リンクラン120に沿って連続的に前進する。前記レーザは、前記ウェーハと光学素子とが、パルスエネルギーが前記リンクに照射されるような相対位置にあるときにパルス発光しリンクを切断する。前記リンクの一部は照射されずに未加工のリンク140として残され、その他は照射されて切断されたリンク150になる。
【0007】
図2は、静止光学テーブル210の下のXY平面内でウェーハ240を移動することによってスポット位置を調整する典型的なリンク加工システムを示す。光学系テーブル210は、レーザ220と、ミラー225と、集光レンズ230と、場合によりその他の光学系ハードウェアとを支持する。ウェーハ240は、移動ステージ260によって搬送されるチャック(chuck)250上に戴置されてXY平面内に動かれる。
【0008】
図3はウェーハ240の加工を示す。従来の逐次的リンクブロー加工は、各リンクラン毎に1回XY移動ステージ260をウェーハ240を横切って走査する必要がある。ウェーハ240を横切って繰り返し往復して走査することで完全なウェーハ加工ができる。加工マシンは、(破線で示される)Y軸リンクラン280を加工する前に(実線で示される)全てのX軸リンクラン270を加工するために往復走査を行うのが典型的である。この例は例示にすぎない。リンクランおよび加工様式の他の設定が想定可能である。例えば、前記ウェーハの移動又は光学系レールによるか、ビーム屈折を通じてリンクを加工することが可能である。さらに、リンクバンクおよびリンクランはまっすぐな列でない場合があり、連続的な動作で加工されない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この実施例では、リンクランの実行に要する時間、そして結果的に、スループットに影響を与える主要なシステムパラメータは、レーザパルス繰り返し周波数(PRF)と、ステージ加速、帯域幅、定常化時間および指令された(commanded)ステージ軌跡のような移動ステージのパラメータとである。前記指令されたステージ軌跡は、加速および減速セグメントと、リンクバンクの定速加工と、「ギャッププロファイリング」、すなわち、1回のリンクランで加工されるべきリンクの間の大きなギャップを跨いで加速することからなる。過去数年間にわたるシステムスループットの改良の大半は、ステージおよびレーザのパラメータを増強することに主に集中していた。これらの領域での改良は継続するだろうが、これらのパラメータに伴う実際的な限界が大きなスループットの増大を達成することを困難にする。
【0010】
例えば、ピークステージ加速の増大は、限られたスループットの改良しかもたらさない。本発明の移動ステージは、位置精度を100nm(ナノメートル)のオーダーに保ちつつ、300mm(ミリメートル)を超えるフルフィールドトラベル及び1ないし2Gの加速度でウェーハを移動できる。ステージ加速の増大はさらなる振動を招き熱を発生するが、その両方ともシステムの精度を低下する場合がある。位置精度を低下させたり、システムの設置面積を増加することなく、ステージ加速及び帯域を著しく増大することは、挑戦的で費用のかかる技術的挑戦で、その努力の利益はあまり大きくはない。
【0011】
レーザのPRF、そして結果的にリンクラン速度を増大することも複数の理由から望ましくない。まず、PRFの増大によってもたらされるレーザパルスに好ましくない変化がある。あるレーザ共振器について、パルス時間間隔が低下すると、レーザパルス幅は増大する。これは、一部のリンク構造の加工効率を下げる場合がある。レーザPRFsの上昇は、エネルギー安定性の低下も伴い、エネルギー安定性の低下は加工効率も下げる。レーザPRFsの上昇は、パルス出力の低下につながる場合があるが、それは小さなスポットサイズを使うリンクを加工するときには通常は問題にならない。
【0012】
高いレーザPRFsは、大きなリンクピッチを有する半導体製品に適用されるときも望ましくない。高いPRFと大きなリンクピッチとの組み合わせは、非常に速いステージ速度をリンクの加工に用いることが必要になる。速いステージ速度は、より強い加速及び減速を必要とし、ラン内の加工されないギャップを利用する機会を減らす。これらの効果は、より速いリンクラン速度による前記スループットの改良の一部を減少させる。速いステージ速度は、精度を保つために、レーザパルス発生をトリガするときのタイミングの許容範囲を狭くする必要がある。速いステージ速度での加工は、これらの速度が、最大ステージ又は位置フィードバックセンサー速度のような一部のシステム仕様を超過する場合には実施不可能である。
【0013】
半導体ウェーハについての諸元のサイズの継続的な縮小は、これらのウェーハを加工するためのリンク及びリンクランの増加につながり、ステージ加速性能又はレーザPRFでの改良を通じて将来のシステムスループットの著しい改良があり得ない一方で、さらにウェーハ加工時間を増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
1つの実施態様によれば、本発明の方法は、複数のレーザビームを使って半導体基板の上又は内部の構造(例えば、導電性リンク)を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される。本方法は、ある時刻に前記半導体基板の上又は内部の第1の場所に投射する第1光軸を有する第1伝搬経路に沿って第1レーザビームを伝える。第1の場所は、第1列の複数構造のうちの1つの構造の上か、第1列の2つの隣接する構造の間かのいずれかである。本方法は、ある時刻に前記半導体基板の上又は内部の第2の場所に投射する第2光軸を有する第2伝搬経路に沿って第2レーザビームを伝える。第2の場所は、第2列の複数構造のうちの1つの構造の上か、第2列の2つの隣接する構造の間かのいずれかである。第2列は第1列とは別個のもの(distinct)であって、第2の場所は前記列の長手方向に少しだけ第1の場所からオフセットを有する。本方法は、第1及び第2のレーザビームを前記半導体基板に対して前記列の長手方向に実質的に一斉に動かせて、第1列及び第2列の構造をそれぞれ第1レーザビーム及び第2レーザビームで選択的に照射する。
【0015】
別の実施態様によると、本発明のシステムは複数のレーザビームで半導体基板の上又は内部の導電性の構造を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1及び第2レーザビームを発生する。第1レーザビーム伝搬経路は、ある時刻に前記半導体基板の上又は内部の第1の場所の第1スポットに投射する第1光軸を有する。第1の場所は、第1列の複数構造のうちの1つの構造の上か、第1列の2つの隣接する構造の間かのいずれかである。第2レーザビーム伝搬経路は、前記時刻に前記半導体基板の上又は内部の第2の場所の第2スポットに投射する第2光軸を有する。第2の場所は、第2列の複数構造のうちの1つの構造の上か、第2列の2つの隣接する構造の間かのいずれかである。第2列は第1列とは別個のものであって、第2の場所は前記列の長手方向に少しだけ第1の場所からオフセットを有する、すなわちオフセットを有する。前記移動ステージは、第1及び第2のレーザビームを前記半導体基板に対して前記列の長手方向に実質的に一斉に動かせて、第1列及び第2列の構造をそれぞれ第1レーザビーム及び第2レーザビームで選択的に照射する。
【0016】
別の実施態様によると、本発明の方法は、複数のレーザビームで選択的に照射されるように複数の構造(例えば、導電性のリンク)を有する半導体基板を加工する。前記リンクはほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される。本方法は、前記半導体基板の上又は内部の第1標的の場所に投射する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームを発生する。本方法は、前記半導体基板の上又は内部の第2標的の場所に投射する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームをも発生する。第2標的の場所は、第1標的の場所が第1列の複数構造のうちの1つの構造であるときに、第2標的の場所は第1列とは別個のものである第2列の構造の上か、2つの隣接する構造の間かであるように、前記列の長手方向に垂直な方向に少しだけ第1標的の場所からオフセットを有する。
【0017】
別の実施態様によると、本発明のシステムは、複数のレーザビームで選択的に照射されるような複数の導電性構造を有する半導体基板を加工する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1及び第2のレーザビームを発生する。第1レーザビーム伝搬経路は、前記レーザ光源から前記半導体基板に至り、該半導体基板の上又は内部の第1標的の場所と交差する第1レーザビーム光軸を有する。第2レーザビーム伝搬経路は、前記レーザ光源から前記半導体基板に至り、該半導体基板の上又は内部の第2標的の場所と交差する第2レーザビーム光軸を有する。第2標的の場所は、第1標的の場所が複数構造の第1列の1つの構造であるとき、第2標的の場所が第1列とは別個のものである第2列の1つの構造か、2つの隣接する構造の間かであるように、前記複数の列の長手方向に垂直な方向に少しだけ第1標的の場所からオフセットを有する。前記移動ステージは、第1及び第2レーザ光軸に対して前記複数の列の構造にほぼ平行な方向に前記半導体基板を動かせて、第1列の選択された構造を1回目に照射するように第1列に沿って第1標的の場所を通過させ、第2列に沿った第1標的の場所を以前に通過した際に第1レーザビームによって照射された構造を2回目に照射するように第2列に沿って第2標的の場所を同時に通過させる。
【0018】
別の実施態様によると、本発明の方法は、スループットの利益を得るためにN回(Nは2又は3以上)のレーザパルスを用いて半導体基板の上又は内部の構造(例えば、導電性リンク)を加工するのに使用される。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される。前記N回のレーザパルスは、N個のそれぞれ別個の列の選択された構造に投射されるまでN本のそれぞれのビーム光軸に沿って伝搬する。前記方法は、前記半導体基板に対して実質的に一斉に前記N本のレーザビーム光軸を長手方向に同時に動かすための合同速度プロフィールを決定して、前記N回のレーザパルスのそれぞれで前記N個の列の構造を加工するが、該合同速度プロフィールは、前記N回のレーザパルスのそれぞれと、該N回のレーザパルスで加工されるN個の列の構造のそれぞれとについて実施可能な速度を表すことを担保しつつ、前記スループットの利益が達成されるようなものである。
【0019】
別の実施態様によると、半導体基板は、ほぼ長手方向に延びる複数の列をなして配置される複数の構造を含む。前記構造の1種類または2種類以上の性質は照射によって変化させることができる。各列は、ギャップによって隔てられた1個または2個以上の構造バンクを有する。同一バンク内の隣接する構造はほぼ一定のピッチによって間隔を置いて配置される。少なくともN本(Nは2以上)のかかる列が、該N本の列が同一ピッチを有する1組又は2組以上の整列すなわちアライメントしたバンク又はほぼ等間隔を置いて配置される構造を有するように構成及び配置され、前記整列したバンクの構造が前記N本の列に沿った長手方向に実質的に整列しているように配置される。それによって前記半導体基板は、N個のそれぞれのスポットで該半導体基板と交差するN個のそれぞれの伝搬光軸を有するN個のそれぞれのレーザビーム伝搬経路に沿って伝搬するN本のレーザビームの使用によって増強されたスループットで照射加工される場合がある。各スポットは、前記バンクの構造が選択的に照射されるとき、前記N本のレーザスポットが前記N本の列の長手方向に沿ってほぼ一斉に移動するように該N本の列の整列したバンク内のそれぞれの構造に同時に投射される。
【0020】
別の実施態様によると、本発明の方法は、複数のレーザビームを使って半導体基板の上又は内部の構造(例えば、導電性リンク)を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記方法は、前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームと、前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームとを発生する。前記方法は、前記列の別個の第1及び第2構造の上に第1及び第2レーザビームを同時に導く。すなわち、第1構造は第2構造とは別個である(distinct)。前記方法は、前記半導体基板に対して前記列の長手方向に実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1及び第2レーザビーム光軸を動かすので、第1及び第2レーザビームの1個または2個以上で前記列の構造を選択的に照射する。
【0021】
別の実施態様によると、本発明のシステムは、複数のレーザビームを用いて半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1及び第2レーザビームを発生する。第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第1レーザビーム伝搬経路は、第1スポットで前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸を有する。第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第2レーザビーム伝搬経路は、第2スポットで前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸を有する。第1及び第2スポットは、前記列の別個の第1及び第2構造に同時に投射する。前記移動ステージは、前記半導体基板に対して前記列の長手方向に実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1及び第2レーザビーム光軸を動かす。
【0022】
別の実施態様によると、本発明の方法は、複数のパルス発光(pulsed)レーザビームを用いる半導体基板の上又は内部の構造(例えば導電性リンク)を選択的に照射する。前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記方法は、前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1パルス発光レーザビームと、前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2パルス発光レーザビームとを発生する。前記方法は、構造あたり1個のレーザパルスで前記構造の照射を完了するために、第1及び第2パルス発光レーザビームからの第1及び第2パルスを前記列の別個の第1及び第2の構造の上にそれぞれ導く。前記方法は、第1レーザビームか第2レーザビームかのいずれかで前記列の構造を選択的に照射するために、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1及び第2レーザビーム光軸を動かす。前記動かすステップは、前記列の構造を照射するために1個のレーザビームだけが使用させる場合に比べてより高速である。
【0023】
別の実施態様によると、本発明のシステムは、複数のレーザビームを用いて半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1パルス発光レーザビームと、第2パルス発光レーザビームとを発生する。第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第1レーザビーム伝搬経路は、第1スポットで前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸を有する。第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第2レーザビーム伝搬経路は、第2スポットで前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸を有する。第1及び第2スポットは、前記列の別個の第1及び第2構造を投射する。前記移動ステージは、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1及び第2レーザビーム光軸を動かすので、前記列のいずれかの構造が1個だけのレーザビームパルスによって照射されるように、第1レーザパルス発光ビームか第2レーザパルス発光ビームかのいずれかで前記列の構造を選択的に照射する。前記移動ステージは、1個のレーザビームだけが前記列の構造を照射するために使用される場合に必要な時間より短い時間で前記列の全長を横切る。
【0024】
別の実施態様によると、本発明の方法は、複数のレーザビームを用いて半導体基板の上又は内部の構造(例えば、導電性リンク)を選択的に照射する。前記構造は、ほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記方法は、前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームと、前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームとを発生する。前記方法は、前記列の隣接しない第1及び第2の構造の上に第1及び第2レーザビームを導く。前記方法は、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に実質的に一斉に前記列に沿って第1及び第2レーザビームを動かす。
【0025】
別の実施態様では、本発明のシステムは、複数のレーザビームを用いて前記半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射する。前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1及び第2レーザビームを発生する。第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第1レーザビーム伝搬経路は、第1スポットで前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸を有する。第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第2レーザビーム伝搬経路は、第2スポットで前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸を有する。第1及び第2スポットは、前記列の隣接しない第1及び第2構造を投射する。前記移動ステージは、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1及び第2レーザビーム光軸を動かす。
【0026】
別の実施態様によると、本発明の方法は、複数のレーザパルス発光ビームを用いて半導体基板の上又は内部の構造(例えば、導電性リンク)を選択的に照射する。前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記方法は、前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームと、前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームとを発生する。前記方法は、前記列の別個の第1及び第2構造に第1及び第2レーザビームを導く。第2スポットは、前記列の長手方向と垂直な方向に少しだけ第1スポットからオフセットを有する。前記方法は、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に垂直な方向に実質的に一斉に前記列に沿って第1及び第2レーザビーム光軸を動かす。
【0027】
別の実施態様によると、本発明のシステムは、複数のレーザビームを用いて半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射する。前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置される。前記システムは、レーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬経路と、移動ステージとを含む。前記レーザ光源は、少なくとも第1及び第2レーザビームを発生する。第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第1レーザビーム伝搬経路は、第1スポットで前記半導体基板と交差する第1レーザビーム光軸を有する。第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬経路に沿って前記半導体基板に向けて伝搬する。第2レーザビーム伝搬経路は、第2スポットで前記半導体基板と交差する第2レーザビーム光軸を有する。第1及び第2スポットは、別個の第1及び第2構造に投射する。第1及び第2スポットは、前記列の長手方向と垂直な方向に少しの距離だけ隔てられている。前記移動ステージは、前記半導体基板に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に実質的に一斉に第1レーザビーム光軸を動かす。
【0028】
別の実施態様によると、本発明の方法は、半導体基板の上又は内部の選択された構造(例えば、導電性リンク)を加工するためにレーザパルスを使用する。前記構造は、表面と幅と全長とを有する。前記レーザパルスは、該レーザパルスが前記選択された構造を照射するとき、前記基板に対して走査ビーム経路に沿って移動する光軸に沿って伝搬する。前記方法は、別個の第1及び第2の場所で前記選択された構造と交差するそれぞれ第1及び第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1及び第2レーザビームパルスを前記選択された構造の上に同時に発生する。第1及び第2レーザビームパルスは、それぞれ第1レーザビームスポットを前記選択された構造の表面で投射する。各ビームスポットは、前記選択された構造の少なくとも幅を取り囲む、すなわち、包含する。第1及び第2ビームスポットは前記選択された構造の全長に沿って互いに空間的なオフセットを有するので、第1及び第2ビームスポットの両方によって覆われる重複(overlap)する領域と、第1及び第2ビームスポットの一方又は両方によって覆われる全領域とが画定される。前記全領域は、第1ビームスポットより広く、第2ビームスポットよりも広い。前記方法は、前記全領域の少なくとも一部の前記選択された構造の幅を横切って前記選択された構造の完全な深さ方向加工(complete depthwise processing)を起こすために、第1及び第2レーザビームパルスのそれぞれ第1及び第2エネルギー値を設定する。
【0029】
さらに別の実施態様では、本発明のシステムは、パルス発光レーザと、第1及び第2レーザビーム伝搬経路とを含み、第1及び第2レーザビーム伝搬経路は、前記パルス発光レーザから、前記パルス発光レーザからの照射によって加工できる構造を含む半導体基板の上の別個の第1及び第2の場所まで延びる。前記構造は、表面と幅と全長を有する。1回のパルスの間、第1及び第2ビームスポットは、各ビームスポットが前記構造の少なくとも幅を包含するように、前記構造の上の別個の第1及び第2の場所を投射する。第1及び第2ビームスポットは前記構造の全長に沿って互いに空間的なオフセットを有するので、第1及び第2ビームスポットの両方によって覆われた重複する領域と、第1及び第2ビームスポットの一方又は両方によって覆われた全領域とが画定される。前記全領域は、第1ビームスポットより広く、第2ビームスポットよりも広い。前記パルスはそれぞれのエネルギーで第1及び第2ビームスポットを照射するので、前記全領域の少なくとも一部の内の前記構造の幅を横切る前記選択されたビームスポットの完全な深さ方向の加工を起こす。
【0030】
本明細書で用いられるところの用語「の上で(on)」とは、直接上だけでなく、上の方(atop、above)、上を越えて又は跨いで(over)、あるいは、いずれかのやり方で部分的又は完全に覆う(covering, in any way, partially or fully)という意味であり、用語「実質的に(substantially)」とは、約(about)又はほぼ(approximately)という意味がある拡張的用語であって、非常に近接していることを意味しない。用語「隣接する(adjacent)」は、一連のものの次を意味する(例えば、アルファベットでFはGに隣接するがHは隣接しない)が、物理的な接触は意味しない。
【0031】
具体的な実施態様の構成及び動作に関するさらなる詳細は、添付する図面を参照して以下のセクションで列挙される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】リンクの列又はバンクが、該バンクの長手方向に沿って走査されるレーザスポットで選択的に照射される状態を示す模式図。
【図2】リンク加工システムの模式図。
【図3】半導体ウェーハ上のリンクランの模式図。
【図4】単一のリンクランの速度プロフィールプロットのグラフ。
【図5】さまざまな実施態様の2個のスポットの配置を示す模式図。
【図6】2本のリンク列の互いに相対的な配置の2つの異なる場合を示す模式図。
【図7】図6の2つの場合を加工する、2つの横方向に配置されたレーザスポットの模式図。
【図8】レーザスポットをオンアクシス配置した2個のスポット及び3個のスポットの実施例の模式図。
【図9】1回の通過で1列を加工するためにレーザスポットをオンアクシス配置した2個のスポットの模式図。
【図10】2回の通過で1列を加工するためにレーザスポットをオンアクシス配置した2個のスポットの模式図。
【図11】横方向の相対的なステアリングを有する2個の横方向に配置されたレーザスポットの模式図。
【図12】横方向の相対的なステアリングを有する2個の横方向に配置されたレーザスポットの模式図。
【図13】オンアクシス及びクロスアクシス配置の両方を有する4個のスポットの配置を示す模式図。
【図14】レーパルス出力対時間をプロットしたグラフ。
【図15】複数スポットレーザ加工システムのブロック図。
【図16】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図17】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図18】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図19】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図20】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図21】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図22】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図23】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図24】2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図25】複数のレーザビームを合成するシステムのブロック図。
【図26】複数のレーザビームを発生するシステムのブロック図。
【図27】複数レンズのレーザ加工システムのブロック図。
【図28】エラー矯正能を有する2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図29】独立したビームステアリングを有する2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図30】エネルギー較正能を有する2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図31】位置較正能を有する2個のスポットのレーザ加工システムのブロック図。
【図32】較正標的と2個のレーザスポットとを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付する図面を参照して、本セクションは、具体的な実施態様と、その詳細な構成及び動作とを説明する。以下に開示される原理、方法及びシステムは、何らかの目的のためにレーザ照射を使う半導体基板の上又は内部のいずれかの構造を加工するための一般的な応用可能性がある。以下の実施例及び実施態様は、これらの構造がIC(例えば、メモリ素子と、論理素子と、LEDsを含む光学又は光電素子と、マイクロ波又はRF素子)の上又は内部のレーザで切断可能なリンクであるという文脈で説明されるが、レーザで切断可能なリンク以外の他の構造も同一又は類似のやり方で加工でき、本明細書に列挙される内容は、レーザ照射の結果導電性となる電気的構造のような他のタイプの構造と、他の電気的構造と、光学又は光電的構造と、機械的又は電気機械的構造(例えば、MEMS(micro electro−mechanical structures、すなわち、マイクロマシン)又はMOEMS(micro opto−electro−mechanical structures、すなわち光MEMS))のレーザ加工に同等に適用できる。前記照射の目的は、ある構造又はその材料を、切断、裂開、工作(make)、加熱、変化(alter)、拡散、アニール又は測定するするための場合がある。例えば、レーザ照射は、ある構造の材料に状態変化を誘発するか、ドーパントの移動を起こすか、磁性を変化させるかの場合があり、これらのいずれも、電気回路その他の構造を接続、切断、調整、修飾又は修復するために使用される場合がある。
【0034】
本明細書の開示内容に照らして当業者が了解するであろうが、一部の実施態様は、以下の事項の一部又は全部を含む、既知の従来技術と比較した利点を達成できる。(1)おそらく数倍、例えば、2倍、3倍、4倍等のスループットの増大。(2)製造設備でのリンク加工装置に必要な設置スペースの削減。(3)整列標的の走査と、リンク加工の完了との間に経過する時間の短縮により、(a)前記半導体加工システムの構成要素及び構造の熱ドリフトを起こす時間を短縮し、システム精度の向上をもたらし、(b)ウェーハ加工野(wafer processing field)拡大を可能にし、より長いリンクランと、さらなるスループットの改善とをもたらし、(c)熱ドリフトが検出されたり、前回の走査からの経過時間が長すぎるときの整列標的の再走査の回数を減らすので、正確なリンク加工に必要な工数を減らすことによりさらにスループットを向上させる。(4)現行のリンク加工システムと同じか、より高速でウェーハを加工しつつ、XYステージの加速とレーザパルス繰り返し頻度とのような一部の現行システムのパラメータを利益になるように緩和できる。後者の利点の例として、ステージ加速要件の緩和は、システム環境に放出される熱エネルギーを減少させ、ウェーハ加工時に発生する熱シフトを低減する。加速の減少はシステム共鳴及び振動の励起を低減することによって精度を向上させ、より円滑でおとなしく安定なシステム動作につながる。移動ステージも、安価で、好ましくは機械的構成で、よりシンプルであるように選択でき、加速の減少が受容される場合には補助冷却システムが不要である。別の例としては、低いPRFのレーザ光源が加工に使える。低いPRFのレーザは、立ち上がり時間の速さ、パルス安定性の向上、ピークパルス出力の増大及びパルス幅の短縮のようなパルス特性を改善する。低いPRFのレーザは、より安価で、発熱の少ない、より小さい電源で運転可能な場合がある。さまざまな実施態様のこれら及びその他の利点は本セクションの残りを読むと明かであろう。
【0035】
I.リンクラン加工時間の分析
典型的なDRAMウェーハの修理からの測定は、リンクランの実行時間がウェーハ加工時間の大半を占めることを示す。全加工時間の約85%はリンクランを実行するのに費やされ、残りの15%が、切削レーザを1個のリンクランの終点から次のリンクランの始点までシフトするための前記ウェーハの移動、整列、合焦及び計算オーバーヘッドのようなオーバーヘッドタスクを実行するのに費やされる場合がある。リンク加工時間の大半の要素はリンクランを実行するために費やされるのが典型的であるため、ウェーハ加工時間の著しい短縮がリンクランを実行するのに費やされる時間を短縮することで実現できる。
【0036】
図4は、リンクラン420の加工に対応するリンクラン速度プロフィール410を示す。本明細書で用いられるところの用語「速度プロフィール」とは、一定時間又は一定距離にわたる時間又は距離の関数である。リンクランの実行は、多数の異なる動作からなる。狭いピッチ間隔(例えば、同一バンク内の隣接するリンクの間の中心から中心までの距離)を有するリンクのバンク430を加工するとき、レーザビーム光軸は、ほぼ一定速度440でウェーハに対して前進する。図4は、一定速度440がリンクラン420内の各リンクバンク430について同じ速度である実施例を示すものであるが、ピッチ間隔が同一のリンクラン内のバンクごとに異なる場合のように、異なるリンクバンク430が異なる速度で一定である場合がある。リンクラン内の次のリンクの間に大きなギャップ450があるとき、システムはギャップ450をより短時間で通過するように加速して、その後、もう一度名目上の速度に達するように前記ギャップの終わり近くで減速する。その加速及び減速がリンク速度プロフィール410のギャッププロフィール460をもたらす。リンクランの始めでは、システムは休止位置から初期加速470を行い、その後、定常期480に達する。リンクランの終わりでは、システムは速度ゼロに戻る減速を行う。よって、リンクランの実行中にシステムが行う典型的な動作は、一定速度にまるまで加速しながらステージに上がること、定常速度で移動すること、一定速度でリンクを加工すること、いずれかの大きなギャップを跨ぐとき加速(ギャッププロファイリング)をすること、そして、ランの終わりに速度ゼロに減速しながら下りることを含む。図4は、これらのリンクランのリンクランのオンアクシス(on−axis)速度への影響を示す。リンクラン420は共線的なリンクバンクを通過する直線として描かれるが、前記リンクのバンクが並んでいない場合もあることに留意せよ。その場合には、リンクラン420は横方向の位置の指令も含むであろう。
【0037】
リンクラン実行時間を短縮するためのシステムの改善への洞察は、以下の単純化されたスループット予測モデルから明かである。前記モデルはリンクランの実行に要する時間を近似する。前記モデルは、移動プロファイリングのような全てのシステムの挙動を完全にモデル化してはいないので、全体的な時間予測については正確ではないが、異なる加工パラメータの変化の相対的な効果は正しい。このモデルによると、前記リンクを加工するために要する時間は以下の数式(1)で示される。
【0038】
【数1】

【0039】
数式(1)では、TLRは全リンクラン実行時間で、NLRはリンクランの総数である。カッコ内の項は、(1)一定速度で全リンクランを通過するのに要する時間と、(2)リンクランの間で加速し、定常速度で移動し、減速するために要する時間と、(3)ギャッププロファイリングによって節約される時間という3つのカテゴリーに分類できる。
【0040】
定速で1個のリンクランの上で経過する平均時間は、
【0041】
【数2】

【0042】
平均リンクラン距離と、
【数3】

平均リンクラン速度とによって記述される。この速度は、以下の数式(2)で表されるのが典型的である。
【0043】
【数4】

【0044】
上記数式(2)において、Plinkはリンクのピッチ間隔で、FlaserはレーザPRFである。
【0045】
一定のリンクラン速度に関する数式(1)の移項は、一定速度で経過する全時間が以下の数式(3)で表されることを示す。
【0046】
【数5】

【0047】
これは、以下のとおり言い換えることができる。一定速度でリンクランを加工するのに要する全時間は、全リンクラン距離Dtotalのリンクラン速度による商である。
【0048】
前記単純化されたスループットモデルについて、リンクラン速度まで加速し、あるいは、リンクラン速度から減速するのに要する時間は以下の数式(4)で表される。
【0049】
【数6】

【0050】
上記数式(4)において、Astageはステージ加速で、リンク加工の前に加速段階の終わりで経過するのに要する追加時間は、定常化時間で、Tsettleと表される。実際の実施では、半正弦又は台形のプロフィールのようなもっと複雑な加速及び減速プロフィールが用いられる。
【0051】
数式(1)の最後の項の
【0052】
【数7】

【0053】
は、ギャッププロファイリングによってリンクランの上で節約された平均時間を表す。ギャッププロファイリングは、一定速度での所要時間より短い時間で2個のリンクの間を移動するために加速、減速及び定常化を行うことを含む。この項の重要度は、リンク間の大きなギャップの数及び間隔と、ステージの加速能力と、定常時間と、リンクラン速度とに依存する。より大きな時間の節約は、リンクラン内の多数の大きなギャップと、小さなリンク間隔があって、リンクラン速度が遅い製品につながる。
【0054】
前記3つの項の相対的なサイズは、異なるシステム変更の重要性にさらなる洞察を与える。リンクランの始め及び終わりに加速及び減速するのに要する時間は、リンクランの所要時間の約1.5%である。ギャッププロファイリングで節約される時間は、一定速度でリンクランを横切るのに要するであろう時間の約50%である。これらの数値はウェーハのタイプが異なると大きく変動する。リンクの間にほとんど、あるいは、全くギャップがないワークピースは、ギャッププロファイリングによってなんら利益に浴しないであろう。反対に、疎らな、あるいは、ランダムなリンクのレイアウトを有する製品は、ギャッププロファイリングの利益をより多く享受する。
【0055】
II.並列関係(parallelism)一般
ウェーハ表面の上に複数のレーザスポットを作成し、たぶん独立に制御することによる並列リンク加工は、システムスループットを劇的に改善できる。
【0056】
1つの実施態様では、2個の合焦したレーザスポットの使用は、レンズの下での1回の物理的なウェーハの通過が2列のリンクの加工につながることを可能にする。数式(1)は、複数の横方向に間隔を置いて配置されたリンクランを同時に加工するとき、リンクラン実行時間は、スポットの数で割った商である。スポット2個のシステムについては、XYステージは、ステージをNLR/2回だけ横切る必要がある。ステージが横切らなければならない全リンクラン距離が2で割られ、各リンクランの始め及び終わりでの加速、減速及び定常化のイベントの数も2で除算される。リンクのレイアウトによってはギャッププロファイリング時間の節約は2に近い数字で割られる場合があるが、全体的な結果は、2裂の横方向に間隔を置いて配置されたスポットを有するレーザシステムは約半分のリンクラン実行時間を要することになる。
【0057】
複数スポットシステムに由来するスループットの改善は、単一スポットシステムでの移動ステージの性能と、レーザPRFの改善を通じて達成可能である。さらに、これらのスループットの改善は、レーザPRF及び移動ステージをより高性能にさせるという望ましくない結果をなんら伴うことなく起こる。
【0058】
複数スポット加工は多数の異なる形を取る場合があり、レーザパルスが異なる横方向の(クロスアクシス(cross−axis))配置、異なるオンアクシス配置又は異なるオンアクシス及びクロスアクシス配置を有するように送達されるか、あるいは、リンクの間隔に違いがないように送達される。これらの異なる設定のそれぞれが、異なるスループット及び加工の利点を提供し、以下に図5を参照して説明される。
【0059】
図5は、2個のレーザスポットの位置関係のいくつかの可能性で加工されるリンクを示す。前記2個のレーザスポットは、図面の中では「A」及び「B」で表される。横方向(又はクロスアクシス)配置では、スポットAはバンク510内のリンクの上にあり、スポットBは、異なる、典型的には平行な、バンク520内の対応するリンクの上にずれる、すなわち、オフセット(offset)を有する。スポットA及びBは図5に示されるとおり、リンクラン510及び520を一斉に水平に横切るように前進するのが好ましいため、該2個のスポットはスポットの移動方向に対してクロスアクシス方向に互いに変位しているということができる。スポットA及びBはそれぞれのリンクバンクに沿って前進するというが、それは言葉の省略である。より正確には、スポットはレーザビームが点灯しているときに該レーザビームに由来する。パルス発光するレーザビームのような間欠的なレーザビームの場合には、ICワークピース上に生じるスポットは該レーザビームが点滅するにつれて生成消滅する。しかし前記レーザビームは伝搬光軸に沿って伝搬し、その光軸は前記ビームの有無にかかわらずいつも存在する。したがって正確に表現すると、レーザビーム光軸が前記リンクランに沿って動く。リンクランの際のいかなる特定の時刻においても、前記光軸はICワークピースとリンクの上か、2個の隣接するリンクの間かで交差する。レーザビーム光軸が、除去するために選択されたリンクと交差するとき、該レーザビームは前記リンクを切断するためにエネルギーが増大する。レーザ光軸が(ほぼ一様なピッチを有するように)規則的に間隔を置いて配置されたリンクのバンクに沿って移動するとき、該レーザビームは前記光軸がリンクと交差するのと等しく、かつ、同調して、定期的にパルス発光できる。前記レーザパルスは、あるリンクを切断したりそのままにしておいたりするために、選択的に通過したり、あるいは、ブロックできる。
【0060】
スポットA及びBは図5その他では円形形状を有するように描かれているが、レーザビームが作成可能ないかなる任意の形状でもかまわない。
【0061】
上述のとおり、横方向に間隔を置いて配置されたスポットの利点は、ウェーハ加工がより少数のリンクランで達成できるので、レーザ又は移動ステージの強化なしでもっと高いスループットが得られることである。したがって、スループットの向上という観点からは、これはこれは価値ある形態の並列である。しかし、並列はさまざまな形態をとることができ、さまざまな利点を提供できる。
【0062】
オンアクシス配置では、スポットA及びBは、同一リンクバンク530内の異なるリンクの上にあり、スポットの移動軸に沿って実質的に整列している場合がある。スポットA及びBは図5では隣接するリンクの上に向けられるが、必ずしもその必要はない。例えば、スポットAがスポットBより2個または3個以上のリンクだけ先導するか、その逆かの場合がある。オンアクシス配置のレーザスポットの利点は、以下のとおりである。(1)前記スポットがパルス間に2倍遠くまで前進できるので、リンクラン速度はスループットを向上させるために速くできる。(2)複数のレーザパルスがリンクランを繰り返すことなくオンザフライ加工の際にリンクに送達できる。(3)異なる特性を有するレーザパルスが選択的にリンクに適用できる。
【0063】
クロスアクシス配置及びオンアクシス配置の両方のハイブリッドも、図5の2個の例に示されるとおり想定可能である。1つの配置では、スポットA及びBは、同一のリンクの列又はバンク540の止まりつつ、横方向の軸に沿ってオフセットしている場合がある。その単一列オンアクシス及びクロスアクシスハイブリッド配置の利点は、前記2個のスポットはクロスアクシスのオフセットがない場合と比べてやや大きい距離だけ隔たっているため、該2個のスポットの間の領域におけるエネルギー消失が少ないことを含む。別の配置では、スポットA及びBは異なるバンク550及び560の上に落ち、オンアクシス方向にもオフセットしている。ICの特徴のサイズが縮小し続けると、隣接する列の上の横方向に間隔を置いて配置されたスポットの間のオンアクシスのオフセットも、特に同時にパルス発光するときには、前記2個のスポットの近傍でのレーザエネルギー消失がより少なくなることにつながる場合がある。前記オンアクシス及びクロスアクシス配置における加工が想定可能で、近隣のリンクバンクが、図5のオンアクシス及びクロスアクシス配置に示されるように互い違いになっている、すなわち、スタガード(staggered)か、クロスアクシス(横方向)の配置レイアウトの場合のように規則的に配置されていることに留意せよ。
【0064】
さらに、図5に2カ所示される重複する配置では、スポットA及びBは、同一のリンクバンク570(完全な重複)又はリンクバンク580(部分的な重複)内の同一のリンクの上に部分的又は実質的に完全に重複している場合がある。複数の重複したレーザスポットの利点は、(1)異なる光学特性を有するレーザスポットがリンクに選択的に送達できること、及び、(2)わずかに異なる時刻に到達するレーザパルスを組み合わせる(combine)、すなわち合成することは、有効な併合パルスのプロフィールを一時的に形成するための方法であることである。
【0065】
前記2個のレーザスポットA及びBは、同時又は逐次的に加工される場合がある。同時加工は、例えば、単一のレーザビームを複数のスポットに分割するか、同時に発光するように2個のレーザをトリガすることによって得られる。同時送達とは、リンクラン速度VLRでのパルスAとパルスBとの間の時間遅延が、ブロー位置のドリフトが合焦したビームスポットの直径の実質的な割合になるほどのドリフトにつながらないような実質的に同時刻を意味する。例えば、リンクラン速度200mm/秒、2ミクロンの合焦スポットサイズの10%未満の望ましいスポットシフトの条件では、互いに1マイクロ秒以内に到達するパルスは同時とされるであろう。光学的なビーム経路の全長のささいな相違は、この数値よりはるかに小さいパルス間時間遅延、典型的には、約10ナノ秒未満、をもたらすであろう。
【0066】
分割されて長い光学的遅延経路を有する単一レーザパルスから発生するか、あるいは、トリガの間にドエル(dwell)を有する複数のレーザパルスkら発生するかのいずれかの逐次的なスポットがより大きな時間差で前記リンクに投射する。逐次的なスポットは、パルス発生がトリガされるとき標的の半導体ウェーハの上に合焦したレーザスポットが適切な位置に配置されるように、該合焦したスポットの相対的な位置を調整することによって、複数のビーム経路で利用される場合がある。
【0067】
マルチスポット加工のためには、1個のパルスを発生するための複数のレーザのトリガは純粋にタイミングシグナルに基づく場合もあれば、実測、推定又は指定(commanded)された、スポット又はワークピースの位置か、該スポットに対するワークピースの相対的な位置かに基づく場合もある。パルス発生は、複数の標的に対する複数のスポットの平均的な位置又は推定された位置に基づいてトリガされる場合もある。
【0068】
以下のセクションは、図5に示す並列関係のさまざまなの態様のさまざまな局面を説明する。
【0069】
III.横方向に間隔を置いて配置されたスポット
隣接する横方向(クロスアクシス)に間隔を置いて配置されたリンクのバンクに投射する2個または3個以上の合焦したレーザスポットを生成することは、システムのスループットを改善するための1つの構成である。2個または3個以上のリンクのバンク同時に加工することによって、有効なリンクランの数と、ウェーハ加工中にXY移動ステージが移動しなければならない距離とが横方向に合焦したレーザスポットの数の分だけ減る。例えば、単一のスポットで1000個のリンクランをかつて必要としたウェーハが、2重のリンクランでは500個だけで加工できる場合があるが、これは、2重リンクランのそれぞれが横方向に間隔を置いて配置された2列のリンクのバンクの加工につながる。リンクランの数を半分に削減することは、ウェーハを加工するのに要する時間の同様な減小につながる。より一般的には、N個の横方向に間隔を置いて配置されたスポットの使用は、約Nのスループットの改善につながる。
【0070】
横方向に間隔を置いて配置されたスポットは他のスポットの構成よりもスループットを改善するのが典型的である。さらにスループットの改善は、別々の列の上に横方向に間隔を置いて配置されたスポットが単一スポットのシステムと同じ速度440で同時にこれらの別々の列を加工できるので、XY移動ステージ260又はレーザパルス速度の要件に新たな要求を課すことはない。しかし、1個のリンクランの間に複数の列を加工するとき、加工されるべき全ての列について適合する速度で該ランを実行することがより重要になる。一緒に加工されるべき別々の列がN本のときに適合する速度プロフィールは、該N本の並列な加工の全てについて、実施可能か、実用的か、適当か、適切かである速度プロフィールである。速度の適合性の問題は3つの主要な態様で現れるのが典型的である。第1に、複数の並列の列を加工するための一定速度440は前記加工された列の全てと適合すべきである。それは、個々のリンクランについての一定速度440の最低限である合同(joint)一定速度を用いることによって担保できる。リンクの各列が同一ピッチの間隔である典型的な場合では、ランのそれぞれについての一定速度は同じであるので、合同一定速度440が適合することを担保することはまったく性能を損なわない。第2に、ギャッププロファイリングは前記加工された列の全てと適合すべきである。それは、全ての加工された列が整列したギャップを有する場合にのみギャッププロフィール460を採用することによって担保できる。第3に、一定速度440が同一リンクラン420の中の異なるリンクバンク430について異なる場合には、リンクラン速度をあるリンクバンク430と別のリンクバンクとで変えることを許すよりも、リンク加工を一定速度のリンクランに制約することによって単純化がもたらされる。一般に、複数の列を同時に加工するための合同速度プロフィールは、最短ピッチと、ギャッププロファイリング、ランプアップ及びランプダウンの場所について適当な領域と、個別具体的なリンクラン速度プロフィールとについて考慮された並列リンクランのリンクコーディネートの全てを用いて計算されるべきである。さらに、異なるレーザ光源が、PRFのような達成可能な速度に影響を与える異なる特性を有する場合には、これらの因子も考慮に入れるべきである。
【0071】
1つの実施態様によると、合同速度プロフィールは、第1に、前記ランを構成する列のそれぞれについての個別の速度プロフィールを計算すること、及び、該プロフィールに沿った点のそれぞれにおいて、個別プロフィールのいずれかの最大速度値の最も小さいものを超えない合同速度プロフィールを構築することによって計算される。例えば、第1列があるセグメントで125mm/sで加工されなければならない場合で、かつ、同一セグメントで第2列が100mm/s未満で加工されなければならない場合には、該セグメントでの合同速度プロフィールは100mm/s未満が当然である。
【0072】
別の実施態様によると、合同速度プロフィールは、1組のマスターリンクコーディネートについての速度プロフィールを計算することによって決定される。前記1組のマスターリンクコーディネートは、並列に加工される前記N本の列のリンクコーディネートの一部又は全部から生成される。各マスターリンクコーディネートから合同して加工される前記N本の列の一部又は全部のリンクコーディネートまでのオフセットと、前記N個のパルスのそれぞれがブロックされるか、あるいは、標的コーディネートへ伝送されるかについての情報とが決定される。前記1組のマスターリンクコーディネートから加工されるはずの前記N本の列の1本までのオフセットはゼロの場合がある。前記平行なリンクランを加工する1つのやり方は、ビームを操作する機構の動きを指令するために前記オフセットのコーディネートから得られた情報を利用し、レーザパルスの発生を促進するために前記1組のマスターリンクコーディネートから得られる情報を利用し、パルスを伝送するかブロックするかのスイッチを導くために前記N個のパルスのそれぞれを伝送するかブロックするかについての情報を利用することである。
【0073】
実行可能な指令コードの形のソフトウェアは合同速度プロフィールを計算する好ましい方法である。
【0074】
合同速度を最大にするために、構成要素のリンクランは可能な限り空間的に類似しているべきである。換言すると、同一又は類似のピッチ間隔が異なる構成要素のランの対応するバンクに使用されるべきで、バンク及びギャップは可能なときには整列されるべきである。このようにして、IC上のリンクのインテリジェントなレイアウトは、横方向に間隔を置いて配置された複数のスポットのリンク加工を促進し、かかるリンク加工が提供するスループットの利点を最大化する。
【0075】
横方向に間隔を置いて配置されたスポットを伴うスループットの改善は、例えば単一ビームシステムのステージ速度を2倍にする必要があるかもしれない、オンアクシスに間隔を置いて配置されたスポットとは異なり、ステージ速度の増大を必要としない。この理由により、オンアクシスオフセットを含む場合がある横方向に間隔を置いて配置されたスポットは30kHzを超えるような高いPRFのレーザを使うシステムでのスループットを増大させる好ましい方法である。例えば、40kHzのPRFレーザ及び3μmのヒューズピッチを用いる基本的なリンクラン速度は120mm/sである。横方向に間隔を置いて配置されたスポットで複数のリンクランを加工することは、同じリンクラン速度を使うであろう。しあkし、オンアクシスに間隔を置いて配置されたスポットを有する2個のスポットのシステムは、240mm/sのリンクラン速度を採用することが好ましいが、これは、現行の半導体加工システムのステージ速度の限界を超える。
【0076】
横方向に間隔を置いて配置されたスポットは、多くの現行の半導体リンクレイアウトで使用するための自然な選択でもある。多数の半導体装置製造者は、200μm未満の距離で隔てられた並列リンクバンクを含む製品を製造する。10μm以下の中心から中心までの離隔距離は普通である。これらのタイプのリンクレイアウトは、半導体内のトレースの幅及び離隔距離はレーザで切断可能な半導体リンクの幅及びピッチ間隔より小さいのが典型的である。オフセット又はスタガード式のヒューズデザインは、より大きな半導体リンクを図6に示す、短いオンアクシス距離に詰め込むように努めることから生まれる。これらのデザインの一部では、リンクは純粋に横方向の平行移動(左側に示す)を有する。他のデザインでは、オンアクシスのオフセットがある(右側に示す)。純粋にオンアクシスの間隔配置を有する複数スポットのリンク加工の利益は、オンアクシス及びクロスアクシス配置配置の両方を有する加工にも適用される。
【0077】
多くの半導体デザインのレイアウトは横方向に間隔を置いて配置されたリンクバンクの同時加工と現在では適合可能であるが、設計者は、ヒューズを単一の列をなして配置することによって図6のオフセット及びスタガード式のリンク構成を除くためにレーザで切断可能なヒューズの寸法を縮小することを試みている。これは、現行の単一スポットシステムのスループットを向上させるであろう。
【0078】
マルチビームリンク加工の利点をさらに活用するために、IC設計者はマルチビームリンク加工と適合可能な半導体リンクのレイアウトを意図的に設計できる。マルチビーム加工、特に、横方向に間隔を置いて配置されたスポットを用いるマルチビーム加工に向かって狙いを定めたリンクレイアウトを有する製品を創造することは、マルチビームシステムで加工されるとき、スループットの劇的な増大につながる場合がある。横方向に間隔を置いて配置されたスポットとともに使用するために望ましいリンクレイアウトは、近隣の中心から中心までの間隔が10μm以下が典型的で、ことによると1mm以上である、リンクバンクを含む。リンク及びリンクバンクの大部分が横方向に間隔を置いて配置されたスポットで加工できるように該リンク及びリンクバンクの大部分を配置することによってシステム性能を最大化することが望ましい。
【0079】
1つの実施態様では、単一のレーザパルスが分割されて、エネルギーの半分ずつがスポットAとスポットBとに送達される。光学的スイッチの利用が、前記パルスがA又はBに送達されることを独立に選択でき、望ましいリンクを適切に切断することを可能にする。
【0080】
図7は、2重リンクランがどのように進行するかを示す。1対のレーザスポットA及びBは2個のリンクに分割して適用された第1レーザパルスに対応する。前記レーザから発光した次のパルスは、合焦スポットA及びBとして次の2個のリンクに投射する。光学的スイッチは、どのパルスが標的リンクに到達するかを選択できる。描かれた2つの実施例では、パルスA、A、A、A、B、B及びBがそれぞれの標的に到達して除去する。他のパルスはブロックされ、いずれのリンクにも到達せず、変化させない。
【0081】
場合によってはリンクを2回加工することが望ましい。リンクを2回又は3回以上ブローするためにリンクランに沿って2回又は3回以上パスをすることは、マルチスポットリンク加工システムを用いて容易に達成できる。マルチスポットリンク加工システムに固有の並列関係のため、これは、単一スポットリンク加工システムよりも著しく迅速に達成できる。リンクの特定のバンクに沿った次のパスは、該リンクがウェーハを横切るパスのそれぞれで異なるレーザスポットで加工されるように、合焦レーザスポットの横方向のシフトを含む場合がある。例えば、リンクランに沿った第1パスがスポットAでリンクを選択的にヒットし、スポットAは新たなリンクランに沿って前進する一方、該リンクランに沿った第2パスが同一スポットをスポットBでヒットする場合がある。
【0082】
異なる光学特性を有する複数の横方向に間隔を置いて配置されたスポットを用いてウェーハを加工するのが有用である場合もある。異なる光学特性は、偏光面、スポットの空間的分布、スポットのサイズ、波長、パルスエネルギーその他の光学特性を変化させるために追加の光学エレメントを挿入することによって達成できる。異なる光学特性は、異なるレーザ光源を用いることによっても達成できる。
【0083】
半導体ウェーハはリンクのデザインを1種類しか含まないのが典型的であるため、異なる光学特性を有するスポットの使用は2重ブローのシナリオに応用される可能性が最も高い。第1ブローがリンクを部分的に除去し、第2ブローがブローされた該リンクをきれいに除去する。代替的には、第1ブローがパス又はブロックされ、第2ブローがパス又はブロックされて、一方又は他方のスポットがリンクに適用される結果になる。これは、異なるリンクの特性又は配向が異なるレーザスポットを用いて加工することを好ましくする状況では望ましい。例えば、偏光の向きがリンクの1本の軸に対応するような偏光したスポットでリンクを加工することが望ましい場合には、スポットA及びBは異なる偏光を有するように設定され、ワークピースの上に異なる配向でリンクに適用される場合がある。異なる光学特性を有するスポットの適用は、本明細書のサブセクションVIにさらに詳細に説明されるであろう。
【0084】
固定したオフセットを有する複数の横方向に間隔を置いて配置されたスポットを発生するために固定光学系を使うことは可能であるが、スポットの場所を再設定できることが好ましい。たいていの典型的な半導体製品は、X軸及びY軸の両方のリンクランを必要とするリンクのレイアウトを含むため、横方向のスポット間隔がいずれかのリンクランの方向について作られるようにスポットのトランスレータを再設定できることが望ましい。異なるリンクのレイアウトに適合するように、スポット間隔の設定及び調整ができることも望ましい。
【0085】
IV.オンアクシスで間隔を置いて配置されたスポット
オンアクシスで間隔を置いて分布し、リンクランの軸に沿って前から後ろまで調整された複数のスポットは、スループット及び複数ブローの利点を提供する。スループットの観点からは、この配向は、スポットの数NspotによってレーザPRF及びリンクラン速度
【0086】
【数8】

【0087】
を効果的に増大できる。例えば、2個のオンアクシス配置のスポットの場合には、リンクラン速度は2倍になる。しかし、基本リンクラン速度の上昇のためのギャッププロファイリングを通じて時間の節約は少ないかもしれない。
【0088】
各リンクランの速度プロフィールは、たいていの場合は、例えば、最短ピッチと、ギャッププロファイリング、ランプアップ及びランプダウンの場所の適当な面積と、具体的なリンクバンク速度プロフィールとの複数ブローのコーディネートの全てを用いて計算されるべきである。リンクラン速度プロフィールの計算は当業者に知られている。
【0089】
図8は、複数オンアクシスレーザスポットの2個又は3個の実施態様によって加工されたリンクのバンクを描く。1つの実施態様では、スポットA及びBか、スポットA、B及びCかが単一のレーザパルスを起源として実質的に同時刻にワーク表面に到達する。リンク加工システムによって制御される光学スイッチは、一部のパルスが前記表面に到達しリンクを切断することを可能にし、残りのパルスがブロックされることを可能にする。図8に示される2個のスポットの場合(上)では、スポットA及びBがほぼ同時に加工され、それから、A及びB、その後、A及びB等がほぼ同時に加工される。3個のスポットの場合(下)では、3個のレーザスポットがいっしょに3個ずつリンクランに沿って前進する(A、B及びC、それから、A、B及びC、その後、A、B及びC等)。
【0090】
単一のリンクピッチよりも長い距離だけレーザスポットを平行移動するために、固定式変位及びステアリング機構を実施することは、隣接したリンクを同時に加工することを防止できる。2個の隣接するリンクの間の領域でワークピースによって吸収されなければならないパルスエネルギーが増大するため、該2個の隣接するリンクを同時に加工することは望ましくない。このパルスエネルギーの増大は、前記2個の隣接するリンクが同時に加工されない場合には起こらないであろう損傷の原因になる場合がある。換言すると、スポット間の距離がピッチ間隔の2倍又は3倍以上(a multiple two or greater)のとき、非隣接スポットはワークピースに損傷を生じる可能性が低い状態で同時に加工できる。
【0091】
(レーザスポットが例えばリンク1及び4、リンク1及び6又はリンク1及び8等に当たるように)スポットの間隔がリンクピッチの奇数倍のとき、1個のスポットがリンクランの「偶数の」リンクを加工しつつ別のスポットは「奇数の」リンクを加工するため、オンアクシス並列関係は有利に利用できる。かかる間隔は、スポット間のリンクの数(端を算入しない)が偶数になるようにスポットを配置することと記述できる。この場合、隣接するレーザスポットに由来するエネルギーの増大を防ぎつつ、リンクラン速度を2倍にできる。図9は、3個のリンクピッチずつ増えるような(スポット間に2個のリンクがある)オンアクシス配置を示す。この技術は、スポットの全ての組み合わせがリンクピッチよりも長いオンアクシス配置を有するような2個または3個以上のスポットに一般化できる。
【0092】
2個以上のリンクピッチだけ間隔があるオンアクシスのスポットでウェーハを加工する第2のやり方は、バンクリンクを横切って2回のパスを行うことである。この一例が図10に示される。第1パスは例えば最小ピッチの2倍の間隔を有する2個のレーザスポットで1個おきのリンクを選択的にブローできる。第2パスは、第1パスでスキップされた散在するリンクを選択的にブローできる。リンクラン速度は、同じレーザが単一スポットに適用される場合の4倍であるため、2回のパスが完了してさらにシステムのスループットを向上させる場合がある。図10では、第1パスでパルスA、A及びBがリンク構造に到達して除去した。他のパルスはブロックされたが、リンクに適用できた。異なるリンクラン方向が図10に示されるが、パスは同方向のリンクランで完了される場合がある。
【0093】
オンアクシス配置を有する複数のスポットはあるリンクに複数のブローを効率的に送達するために用いられる場合もある。例えば、一部の半導体メーカは、1個のパルスがリンクを切断するために提供され、その後、第2パルスがその領域をきれいにしていかなる残存リンク材料も除去するために提供されることを好む。オンアクシス配置で複数のスポットを配置することは、単一スポットシステムで発生することがある第2のリンクランを行うことなく、複数のパルスを送達する効果的なやり方である。
【0094】
リンクに複数のブローを送達する代替的なやり方は、各リンクランについて複数回のパスを行うことである。複数スポットシステムでのリンクラン速度は単一スポットシステムより速いため、複数スポットシステムがこのタイプの動作には好ましい。
【0095】
これらの技術と、これらの技術の雑種組み合わせとが各リンクへの2回又は3回以上のブローを提供するために利用でき、各ブローは同じか又は異なるパルス特性を有する場合がある。
【0096】
異なる光学特性は、偏光面、スポットの空間分布、スポットサイズ、波長、パルスエネルギーその他の光学特性を偏光するための追加の光学エレメントを挿入することによって達成できる。例えばパルス幅のような異なる光学特性も異なるレーザ光源を使うことによって達成可能である。これは、複数のブローをあるリンクに適用するのに特に有用な場合がある。1つのシナリオは、前記リンクをブローするために例えばより高いエネルギーレベルで第1パルスを適用し、その後、なんらかの残存材料をきれいに除去するためにより低いエネルギーの第2パルスを適用することである。異なる光学特性のスポットを適用することは、さらに以下のサブセクションVIに詳細に説明されるであろう。
【0097】
V.横方向及びオンアクシス配置の合成
複数のレーザスポットをオンアクシス及びクロスアクシスのオフセットを有するように配置するための異なる方法論は異なる加工の利点を提供する。図5でリンクバンク550及び560の上に示された2列構成(dual−row configuration)は、上述のクロスアクシス配置のスポットと同じ利点(例えば、スループットの向上)を提供する。スタガードリンクはこのオンアクシス及びクロスアクシス配置法には必要とされない。これは、図6の第1実施例の規則正しく配置されたリンクにも適用できる。(例えば、図5のリンクラン540の上に示すように)合焦したレーザスポットのオンアクシス及びクロスアクシスのオフセットで一度に1列を加工することは、前記2個のリンクブローの間のシリコンに到達するレーザのフルーエンス(fluence)を低くする。この構成で加工するとき前記2個のスポットの間の距離の増大は、純粋なオンアクシス配置で達成されるレベルより低いレベルまで重複したレーザフルーエンスを低下する。
【0098】
マルチビームリンク加工装置は、さらなる利点のためにリンクランの間レーザスポットの相対配置を調整する場合もある。これは較正又は補償の目的のために行われる場合があり、例えば、同時に加工されるべき2個または3個以上のリンクの相対配置はリンクランを通じて一様でない場合がある。前記リンクのスケール因子、回転及び位置的な配列はリンクランを通じて変動する場合がある。スポット調整も検出されたエラーを補償するために行われる場合がある。リンクのバンクを加工しながらビーム配置を調整することは可能であるが、該ビーム配置は、リンクラン内のリンクのバンク間のギャップの間に最も容易に調整できる。リンクのバンク間のギャップを横切る間にオンアクシス及びクロスアクシス配置の両方においてスポットをシフトする複数の実施例が図11に描かれる。無数のビーム配置の有用な再構成が本明細書の開示に照らして容易に予想される。
【0099】
リンクラン速度の上昇又は変化と組み合わされる可能性がある、クロスアクシス配置されたスポットを用いる加工からオンアクシス配置されたスポットを用いる加工へのシフトは、図11の下の部分に示すとおり、リンクバンクが断続的な並列関係を有するようなウェーハのセクションでのスループットの向上につながる。オンアクシス配置スポットの加工からクロスアクシス配置スポットの加工へのシフトも図11に描かれている。いずれかのマルチスポット加工モードからいずれかの別のマルチスポット加工モードへの迅速な偏光は、実施可能で有利な場合がある。これらの異なる加工モードでのリンクの加工に順応する適当な合同速度プロフィールは計算できる。
【0100】
図12は、2個のスポットの相対配置がリンクを加工するために調整できる別のやり方を描く。図12では、スポットA及びBは同時か、あるいは、ほぼ同時に加工される2個のスポットであり、本図の線及び矢印はリンクランを通じての相対的な配置及び調整を表す。AO変調器(acousto−optic modulator)のような高速なアクチュエータは、単数又は複数のビームを操って、リンクランの前か、リンクランの途中で次のリンクの間かに相対的なビーム配置を調整する。
【0101】
上述の説明の多くは2個のスポットのレーザリンク加工システムの作成に焦点を合わせたが、原理及びアイデアは、3個、4個又は5個以上の合焦レーザスポットを使用するシステムにさらに拡張される場合がある。かかる複数のスポットは、横方向の配置と、オンアクシス配置と、オンアクシス及びクロスアクシス配置の両方とで構成される場合がある。
【0102】
クロスアクシス配置及びオンアクシス配置のパルスの配置を使用するリンク可能は、オンアクシス及びクロスアクシス配置パルスの両方の利点の多くを提供する。例えば、リンクランの数は減らして劇的にスループットを向上させることができ、リンクランがはるかに高速で加工できる場合がある。図13では、パルスA、B、C及びDは全てリンクに実質的に同時に到達する。以下の図13の第1実施例(左側)に示すとおり、スポットはグリッド状に配置する必要は必ずしもない。異なる素子のリンクレイアウトにエレガントに適合する構成が適用できる。
【0103】
さまざまなオンアクシス及び/又はクロスアクシスの合焦スポットの構成で多数の並列なリンクを加工することは、リンクランの軌跡と、速度プロフィールの作成により多くの考慮を必要とする場合がある。全てのリンクブローコーディネートと、スポットの場所と、リンクバンク間の大きなギャップとが考慮されなければならない。これは、リンクラン速度と、ギャッププロファイリングセグメントと、ランプアップ及びランプダウン距離との計算の複雑さを増大させる。
【0104】
VI.同一スポット又は構造上の複数ビーム
複数レーザスポットが単一の標的構造で重複するように導かれるとき、複数レーザスポットの別のカテゴリーが生じる。重複したスポットで半導体リンク構造を加工する2つの利点は、(1)異なる光学特性を有するスポットがリンク加工用に選択的に選ぶことができる点と、(2)短い時間遅延が時間的なパルス形成又は空間的なスポット形成に利用できる点とである。さらに、同一リンクの上に部分的にだけ重複するスポットを利用することは、スループットで不利益を被ることなくリンク切断の信頼性を向上できる。
【0105】
単一パルスで開始するとき、異なる光学特性のスポットが、複数ビームの経路の特性を変化させるために追加の光学エレメントを使用することによってリンクに適用できる。代替的には、異なるレーザヘッドが異なる光学特性のレーザスポットを提供して、その後、該スポットが重複するように合成される。調整可能なステアリングミラー又はビーム反射器はワーク表面で重複するスポットを実施するために必要ではないことにも留意すべきである。固定式光学エレメントが使用可能である。
【0106】
前記複数レーザスポットが標的リンクに到達したりしなかったりするように独立にスイッチ切り替えることができるとき、該リンクは前記ビームのいずれか、あるいは、全てで加工できる。例えば、2本の光学経路を有するシステムが、X軸に整列された偏光面を有する一方の光路と、Y軸に整列された偏光面を有する他方の光路とを有する場合がある。X軸偏光面でリンクを加工することが望ましい場合には、該X軸偏光ビームを制御する光学スイッチはレーザパルスが通過できるようにし、Y軸ビームの透過性を支配する光学スイッチはブロック状態に設定される。代替的には、前記リンクはY軸偏光したスポットをたんに通過させることによって、Y軸偏光で加工できる場合がある。所望の場合には、両方の光学スイッチが、両方の偏光面の光を前記リンクに適用するために開放できる。これは、優占的な偏光面を有しないか、より高いエネルギーを有するレーザパルスを一部のリンクに適用するために行われる場合がある。
【0107】
独立にスイッチ切り替えされ、シャッター開閉され、あるいは、ブロックされたレーザビーム由来の複数スポットのうちの1つだけでリンクを加工することが望ましい場合には、加工はスポットの重複なしで行ってもよい。この特別な場合では、複数スポットは必ずしも同一のスポット又はリンクに投射する必要はない。レーザビーム光路のアライメント、すなわち整列の精度を緩和してもよいため、重複を必要としないことに利点がある。複数スポットが同一スポット又はリンクを投射しない場合には、所望のスポットが標的リンクを投射するように合焦レーザスポットに対するワークピースの位置を調整する位置機構を利用するよこによってリンクが加工される。例えば、複数スポットのうちの1つでX軸リンクランを加工し、複数スポットのうちの別のスポットでY軸リンクランを加工することが望ましい場合がある。所紋のスポットのそれぞれで所望のリンク及びリンクランにどのように標的を定めるかを決定するために較正の手順を行った後、リンクランはそれぞれのスポットで実行することに成功する場合がある。
【0108】
多くの異なる光学特性が、追加の光学系をマルチビームシステムのビーム光路内に挿入することによって変更できる。挿入される光学系は、(1)光パルスの変更状態を創成又は変更するための偏光面変更エレメントと、(2)パルスエネルギーを変更するためのアッテネータと、(3)パルスの空間分布(例えば、楕円形状、ガウス分布形状、シルクハット状、ドーナッツ状(中央部のエネルギーが低いスポット)のプロフィールを有するスポット)を変更するためのビーム形状光学系と、(4)パルス波長を変更するための周波数マルチプライヤ光学系(あるいは、異なる波長の複数パルスを提供する異なる光源レーザ)と、(5)リンクでサイズが異なる合焦スポットを生成するためのビームエキスパンダと、(6)レンズ及びリレー光学系との場合がある。複数ビーム光路の間で異なる場合がある他の光学特性は、と、これらの光学特性を生成するための適当な光学系とは、当業者には明かであろう。
【0109】
エネルギーを1個のリンクに送達する複数スポットの第2の使用方法は、時間的なパルス形状形成(temporal pulse shaping)である。時間的パルス形状形成は、レーザパルスをとること、時間遅延エレメントを含ま複数ビームに分割すること、及び、リンク構造で前記ビームを再度合成させることによって達成できる。本技術を通じて、立ち上がり時間は高速だが持続時間は短いパルスを、立ち上がり時間が高速でパルス持続時間も長いように効果的に引き延ばすことができる。遅延パルスは、パルス振幅形状にさらなる柔軟性を提供するために分割比率可変ビームスプリッタを用いて減衰され、あるいは、生成される場合がある。
【0110】
図14は、遅延パルスを合成することによってパルス形状を形成する過程を描く。上のグラフは単一の第1レーザパルス610を示す。第2グラフは第1パルス610と、約8nsだけ遅延されたより低振幅の第2パルス620との和を示す。立ち上がり時間は速く、有効パルス持続時間はより長くなる。第3グラフは、第1パルス610と、それぞれより低振幅で遅延時間が長い第2パルス620及び第3パルス630とを示す。得られた波形の和は元のパルスの速い立ち上がり時間とともに約20nsの長いパルス幅を生成する。このパルス形状は一部の半導体リンク構造を加工するのに望ましい。
【0111】
時間遅延は、光路に距離の追加を導入することによって加算できる。追加の光路長1フィートあたり約1nsの時間遅延が生じる。時間遅延は、例えば、単純なビームの経路変更(routing)か、ビームを複数のミラーの間で往復させるか、ビームをある長さの光ファイバーケーブルにダンプするかによって生じる場合がある。
【0112】
パルス形状形成は、2個の異なるレーザ光源からの異なる特性のレーザパルスを合成することによっても達成できる。例えば、迅速な立ち上がり時間を有する短いパルスが、立ち上がり時間の遅いより長いパルスと合成されて、立ち上がり時間が早くて持続時間の長いパルスを生成できる。
【0113】
図5の部分的重複の構成580に戻って、2個のビームスポットA及びBが同一のリンクの上で部分的に重複する。1つの好ましい実施態様では、前記2個のスポットは前記リンクの長手方向に沿ったオフセットを有する。単一の小さいスポットはリンクを切断するのに信頼できない場合があるので、その構成は、特にスポットサイズが小さいときに、より信頼性の高いリンク切断につながる場合がある。切断を担保するために、前記リンクを2度ブローするべく単一レーザスポットで2回のパスを行うよりも、むしろ、部分的重複構成580は50%のスループットの不利益を被ることなく同じ切断の信頼性を達成することができる。
【0114】
図5でわかるとおり、2個のレーザビームは、同一リンクの全長に沿って互いにオフセットした異なる場所で該リンクと交差する、それぞれ別々のビーム光軸に沿って伝搬する。さらに、前記レーザは前記リンク表面上のそれぞれのスポットA及びBに対する(subtend)。スポットA及びBは、中心を共有せず、両方のスポットの交差によって形成される重複領域と、両方のスポットの結合(union)によって形成される全領域とを画定する。例えば、前記重複領域は前記全領域の50%の場合がある。前記2個のレーザビームのエネルギーレベルは少なくとも全領域の一部(最も可能性が高いのは重複領域)の幅全体にわたって完全な深さ方向のリンク切断を担保するように設定されるのが好ましい。前記2個のビームのエネルギー比は1:1の場合があるが、必ずしもそうである必要はない。前記2個のレーザビームは異なる時刻に前記リンクを投射する場合があるが、時間遅延は、レーザビーム光軸がリンクのバンクに沿って走査する際にオンザフライでリンク切断できるように十分小さい(例えば約300ns)ことが好ましい。2個の部分的に重複するスポットの場合が、部分的に重複するパターンでリンクの全長に沿った3個又は4個以上のスポットに一般化できることに留意せよ。
【0115】
各スポットに送達された複数のビームとともに複数のスポットを利用することも有用な技術である。例えば、3個の横方向に間隔を置いて配置されたスポットであって、各スポットに送達される2本の異なるビーム経路を有する、スポットの場合がある。これは、重複しない複数のスポットのスループットの利益を、単一の場所に合焦した複数のスポットのパルス発生及び選択の利点と組み合わせるために行われる場合がある。したがって、3個のスポットが、時間的パルス形状形成か、空間的パルス形状形成か、異なる変更状態でビームを選択する能力を有するかのために複数のビームをそれぞれ使うことができる場合がある。
【0116】
VII.実施態様
並列関係は、単一の集光レンズ又は複数の集光レンズのいずれかを通じて標的リンクに送達される別々の光路を用いて達成できる。前記別々の光路は、単一のレーザ又は複数のレーザから発する場合がある。図15のブロック図に示すとおり、平行関係の1つの実施態様は、1個のレーザヘッドと1個の集光レンズとから得られる。図15は、1個のレーザ720と1個の集光レンズ730とを有するN個のスポットリンク加工システム700の基本的な機能を示す。レーザ720からのレーザビーム出力はビームスプリッタ745に向けられ、該ビームスプリッタは前記レーザビームをビーム1ないしビームNと標識されたN個のビームに分割する。スプリッタ745からの各ビームはスイッチ750を通過し、該スイッチは前記ビームを選択的に通過又はブロックできる。スイッチ750の出力はビームステアリング機構760に行くが、該機構は固定型又は調節可能型の場合がある。ビームステアリング機構760は個々のビームを集光レンズ730に導き、該集光レンズは前記ビームを加工されるべき半導体素子(図示されない)の上のN個のスポットの上に合焦させる。ビームステアリング機構760は動的に調節可能であることが好ましいが、固定されている場合もある。
【0117】
N=2のとき、N個のスポットのシステムの特殊な場合が発生する。2個のスポットのレーザ加工システム800のブロック図が図16に示される。2個のスポットのシステム800はN個のスポットのシステム700と似ているが、任意的な追加の光学エレメント755を含む場合がある。N個のスポットのシステム700と2個のスポットのシステム800とは、例えば、バルク光学系、一体化光学系又は光ファイバー光学系で実施される場合がある。ブロック図のエレメントの一部の順序は並び替えられる場合がある(例えば、スイッチ750がビーム経路内の追加の光学エレメント755の後に配置されてもかまわない)。
【0118】
図17は2個のスポットのレーザ加工システム800の1つの形態の主要コンポーネントをより詳細に示す。図17を参照して、2個のスポットのシステム800は以下のとおり動作する。レーザ720がトリガされ、ビームスプリッタ745に送達されるパルス光を発光する。ビームスプリッタ745は前記パルスを2個の別々のパルスに分割し、該別々のパルスは独立にワーク表面740に送達される。実線で示される1個のレーザパルスは第1の固定光路を通じてワーク表面740に達する。破線で示される第2レーザパルスは第2の固定光路を通じてワーク表面740に達する。AOMのような2個のスイッチ750が、いずれかのパルスがワーク表面740へ通過されるかブロックされるように含まれる。各パルスはミラー762で反射され、ビームコンバイナ765に向けられる。前記パルスはビームコンバイナ765内で再合成され、最終ミラー725で反射され、単一集光レンズ730を通じてワーク表面740に合焦し、該表面で前記パルスは半導体リンクの上に投射する。追加の光学エレメント755は前記パルスの光学特性を変化させるために前記ビーム経路内に含まれる場合もある。
【0119】
図17は、1つの例示的な制御アーキテクチュアによると、ワークピース740及びレーザスポットの相対運動と、レーザ720のトリガリングと、スイッチ750の制御を制御するシステム800のコンポーネントも示す。特に、ワークピース740は、ワークピース740をXY平面内(レーザビームがZ軸方向で該ワークピースに投射される)内で動かす移動ステージ660に取り付けられる。1個または2個以上の位置センサー680がレーザビームスポットの一方又は両方に対してワークピース740がどこにあるかを感知して、その位置データをコントローラ690に報告する。コントローラ690は標的マップ695にもアクセスするが、該標的マップは、(例えば、その位置のリンクを切断するために)照射されるべきワークピース740上の標的の位置を表すデータを含む。標的マップ695は、例えば、ワークピース740内の回路エレメントのどれに欠陥その他のために照射を要するかを決定するテスト工程と、レイアウトデータと、おそらくアライメントデータとから生成されるのが典型的である。コントローラ690は、レーザビームスポットが各標的を横切り、該標的でワークピース740に達するレーザパルスを発光するように、レーザ720のパルス発光と、スイッチ750のシャッター開閉と、移動ステージ660の移動とを順序立てて指揮する。この基本的実施態様の2個のスポットは、XY移動ステージ660の移動限界範囲内でいずれかの所望のXY配置でワークピース740に適用される場合がある。コントローラ690は位置データに基づいてシステム800を制御するのが好ましいが、それは、このアプローチがリンクブローの非常に正確な配置を提供するからである。本発明の承継人に承継され、その全体が引用によって本明細書に取り込まれる米国特許第6,172,325号明細書はレーザパルス・オン・ポジション法を説明する。代替的には、コントローラ690はタイミングデータに基づいてシステム800を制御できる。制御アーキテクチュア(例えば、移動ステージ660、センサー680、コントローラ690及び欠陥マップ695)が完璧を期すために図17に示されるが、制御アーキテクチュアは、図示されたレーザ加工システムに関与する他のコンポーネントをあいまいにしないために、以下の図の多くでは省略される。
【0120】
多くの異なる構成が想定可能であり、その一部は他よりも利点が多い。第1に、図18に示すとおり、XY空間内で一方のビームを固定しつつ他方のビームの調整可能なステアリングを提供できるが、図18では、1本のビーム光路内の固定ミラー762がXおよびY方向の両方にステアリング可能な動的に調整可能なXYビームステアリング機構764と、中継レンズ770とに置換される。その場合、実線で示される1個のレーザパルスは固定光路を経由してワーク表面740に到達するが、破線で示される第2レーザパルスは高速ステアリングミラーのような調整可能なビームステアリング機構764を含むので、合焦したレーザスポットはワークピース740のXY平面内の所望の場所まで平行移動される場合がある。第2に、図19に示すとおり、両方のビームを独立にXY空間内でステアリングすることができるが、図19では、両方の光路にXYビームステアリング機構764が示される。これは、各ビームのより小さなシフトがより大きなオフセットを達成できるため、優秀なビーム品質を提供できる可能性がある。例えば、2本のビームの間に40μmの間隔が望ましい場合には、各ビームは異なる方向に20μmだけシフトできる。シフトが小さいことはは、光学的な歪みが小さく、合焦スポットの品質の向上とにつながる。第3に、図20に示すとおり、一方のビームをX方向に、他方のビームをY方向にステアリングすることができるが、図20では、一方の光路内にXビームステアリング機構766と、他方の光路内にYビームステアリング機構768とを示す。レーザビーム伝搬経路内のビームステアリング機構(例えば、ビームステアリング機構764)は、(図17に示すような)制御アーキテクチュアによって制御されるのが好ましい。
【0121】
図18−20におけるビームステアリング機構764、766又は768のようなビームステアリング機構を利用する実施態様では、リレー・レンズ770が有用である。中継レンズ770は、両方のビームが最終ミラー735に同一のスポットで投射するようにレーザビームの軌跡を調整するためにビームステアリング機構とともに作動する。ウェーハ740上の2本のビームの異なるスポットの場所は、前記ビームの集光レンズ730への投射角が異なることに起因する。
【0122】
これらの構成のそれぞれの物理的な実施態様は多くのやり方がある。例えば、図21に示す2個のスポットのシステムは一方のビームの他方のビームに対する相対的なXYステアリングを提供する代替的な構成である。中継光学系770と1個のステアリン機構とではなく2個のステアリングXY機構764を私用する前記構成は、図18に示すシステムと類似のシステムが得られる。
【0123】
2個のスポットのシステム300の別の実施態様は図22に示されるが、図22では、好ましい実施態様をより詳細に示す。本実施態様では、レーザ720の出力ビームは直線的な偏光を有することが好ましい。前記ビームはビーム形成視準光学系722を経由して進行するが、該光学系は半波長板724およびビームスプリッタ745に到達する前に、ビームサイズを変化させ、より重要なことには、視準化、すなわち、コリメートされたビームを生成する場合がある。ビームスプリッタ745は、前記ビームを互いに直角な直線的な偏光を有する2本の別々の成分A及びBに分割する偏光子であることが好ましい。半波長板724の光軸の回転配向に応じて、ビームA及びBの出力比は連続的に調整可能でありながら、全出力(A+B)は実質的に保存される。例えば、前記ワーク表面上に合焦したスポットは両方とも同一であることが望ましい場合に、半波長板724の光軸角は、該ワーク表面上の2個のスポットが2本のビーム光路AとBとの間の出力スループットのばらつきにもかかわらず同一の出力を有するように調整できる。
【0124】
スプリッタ745から出たビームAは次にスイッチ750を通過するが、該スイッチはAOMのような高速スイッチング素子であることが好ましい。前記AOMの所望のスイッチング速度又は構成に応じて、ビーム形成光学系(図示されない)は、該AOM内部の適当なビームサイズ及び発散を容易にするために該AOMの直前及び直後に使用される場合がある。代替的には、電気光学変調器(EOM)のような他の高速スイッチが利用できる。自明のことだが、スイッチ750は、前記2本のビームの独立した制御が望ましくない場合には省略でき、その場合には、両方のビームは同時にスイッチが開閉されるであろう。
【0125】
光路Aをさらに辿ると、ビームサイズ制御光学系752が、所望の合焦スポットサイズがワークピース740で作成されるようにビームサイズを変化させるばめに利用できる。例えば、プログラム可能なズームビームエキスパンダ(zoom beam expander、ZBE)が、出力ビームサイズを変化させて、ワーク表面の最終的なスポットサイズを変化させるために実施される場合がある。代替的には、所望のスポット強度プロフィール及びサイズに応じて他のビーム形成光学系が利用される場合がある。
【0126】
この実施態様では、適当なビームスプリッタ754が出力監視目的で視準光学系722の前又は後に利用できる。例えば、投射経路では投射ビームの一部が、レーザパルスエネルギーの強度及び変動を監視するために、投射光デテクタ756に分岐される。
【0127】
ワークピース740上の特徴から反射する光学シグナルは、システムの光路に沿って逆方向に伝搬できる。ビームスプリッタ754は、監視のために反射した光学シグナルを反射光デテクタ758に向けることができる。反射光及び投射光の光学強度(power)レベルは例えば合焦スポット位置を較正する上で有用である。アライメント工程の間、前記合焦スポットはワーク表面上のアライメントマークを越えて走査される。反射光強度レベル及び位置の測定値がワークピース740に対する前記スポットの相対的な位置を較正するために用いられる。
【0128】
図22に示す実施態様では、前記偏光光学系がワークピース740から反射したシグナルに反対の光路を逆行させる。したがって、投射ビームAによって発生した反射光が実線のビーム光路Bを逆行する。同様に、投射ビーム光路Bからの反射光は破線のビーム光路Aを逆行するであろう。これは、反射したシグナルの交差をもたらす。投射光及び反射光のシグナルを比較するとき好ましい動作モードは、両方のビーム光路に接続されたデテクタを使用することである。かかる比較は、スポットのエネルギー又は光学特性を決定したり、前記ワークピース上でアライメント走査を実行するような較正及び測定の目的に有用な場合がある。
【0129】
ビーム光路A内の次の主要なコンポーネントは、前記ワーク表面上の合焦スポットの場所を制御するビーム走査又はステアリング機構760である。これは、前記ワーク表面上でスポットをX及びY方向の両方に移動できる高速ステアリングミラーであることが好ましいが、それぞれが1つの方向だけを走査するように直角に配置された2個の走査ミラーを用いることができる。1個のミラーのアプローチは、該ミラーの中央又はその近傍に回転の静止中心を保ちつつビームの両方の光軸に角度変化を起こさせることができるので、好ましい。代替的には、AOMのような他の走査素子が比較的走査範囲が小さいが走査速度が高速な場合に使用できる。
【0130】
単一の集光レンズ730を経由する複数の走査ビームを有する構成では、最適な合焦スポットの品質のために、走査範囲を通じて集光レンズ730の入射瞳の中央又はその近傍に全てのビームを配置することが望ましい。これは、開口数(NA)が高く、例えばビーム波長の2倍未満のスポットサイズのリンク加工システムで一般的に遭遇するように、入力ビームサイズが入射瞳をほぼいっぱいにする集光レンズには特に当てはまる。これらの高NAレンズに共通の特性は、入射瞳が該レンズの近くに配置され、全てのビーム走査コンポーネントを物理的につめこむことが不可能ではないかもしれないが非常に困難である点である。したがって、それぞれの離れた位置にある(distant)走査機構からの走査角を入射瞳内に再現(reproduce)できる中継レンズ770を使うことが有利である。中継レンズ770は、複数の光学エレメントを含む場合があるが、ステアリング機構760と、下流のビームコンバイナ765との間に配置される。中継レンズ770の位置決めは性能に影響を与えるが、その理由は、中継レンズ770の射出瞳が集光レンズ730の入射瞳と一致しつつ、前記ステアリングミラーの中央が中継レンズ770の入射瞳の中心に位置すべきだからである。この配置では、集光レンズ730の入射瞳でのビーム位置は走査を通じて実質的に静止状態を維持するので、走査範囲を通じて合焦したスポットの最適ビーム品質を維持する。
【0131】
中継レンズ770の別の望ましい特性は、該レンズを通過するビームの視準状態が保存されるべき点である。好ましい実施態様では、ビームサイズと、光軸に対するビーム角の大きさは、中継レンズ770の入力と出力との間で不変のままである。しかし、ことなるデザインでは、中継レンズ770からの出力ビームは、所望の視準を維持しつつ、異なるビームサイズと、これに対応して異なる角度とを有する場合がある。例えば、例えば、中継レンズ770から射出するビームサイズを2倍にすることは、出力ビーム角を半分にする可能性がある。この配置は、ワーク表面上のスポットの位置決め感度(positioning sensitivity)を増強するために、集光レンズ730の走査角範囲を減らすことが望ましい特定の状況では有用な場合がある。
【0132】
中継レンズ770は、上述した光列(optical train)に単数又は複数の走査ミラーを追加することによって置換できる。最小限2個の独立な走査ミラーを用い、走査角の適当な操作により、集光対物の入射瞳で静止し、さまざまな所望の走査角を有する走査ビームを作成して、走査範囲を通じてスポットの品質を最適化することができる。かかる配置の不利な点は、中継レンズの場合と比較して全ミラー走査角が大きいことで、走査範囲が限定される高速走査高分解能の機構では要因となる場合がある。
【0133】
ビームスプリッタ745から出る第2ビーム光路Bについては、独立したスイッチ及び走査が望ましい場合には、光列コンポーネントはビームコンバイナ765までは実質的に類似する場合がある。任意的には、半波長板724が、必要な場合に所望の偏光特性を作出するように利用されてもかまわない。好ましい実施態様では、直交する偏光を有する2本の光路A及びBからの出力ビームは、走査ミラーがワーク表面上の重複するスポットについて調整されるときに、該2本の出力ビームが実質的に同じ場所及び方向で集光対物レンズ730の入射瞳に入るようなやり方で偏光子で合成される。ビームコンバイナ765は、例えば、両方とも一般的に入手可能な光学エレメントである、キューブ型偏光子又は薄膜偏光子(thin−film plate polarizer)の場合がある。この配置は出力損失が最小限であるという利点があるが、回折光学素子又は非偏光感受性スプリッタ(non−polarization sensitive splitter)のような他のビームコンバイナがここに使用される場合があることは想定される。さらに、コンバイナ765への入力ビームは非直線的に偏光している場合がある。
【0134】
前記ビームがビームコンバイナ765によって合成された後、ミラー725は前記ビームを集光レンズ730に向ける。ミラー725は、任意的に、さらなる走査のために光列内に挿入される走査ミラー又はFSMの場合がある。走査の中心は、集光のために、集光レンズ730の入射瞳に配置されるのが好ましい。この走査ミラーは、移動ステージその他の位置決めエラーの原因と関係するビーム位置決めエラー訂正のための使用される場合がある。この走査ミラーは、ビームA又はBのためのビームステアリング機構760のうちの1つを代替するビーム位置決め素子として使用される場合もある。その配置では、例えば、ビームBのビームステアリング機構760が除去され、ミラー725の動きと連携する走査機構760の動きがワーク表面740での所望のスポット位置を作成する。
【0135】
たいてきのリンク加工用途では、ほぼ同一サイズ及び強度プロフィールの合焦スポットを有することが望ましい。各スポットのサイズを測定し、前記2本のビーム光路のビームサイズ制御光学系752を調整することによっって、ほぼ同一サイズのスポットが作成できる。代替的には、前記2本のビームは、偏光子を用いて前記スイッチの後で再合成でき、合成されたビームが2度目に分割される前に共通のビームサイズ制御光学系を通じて送られる場合がある。共通ビームサイズ制御光学系の利用はワーク表面での実質的に同一な合焦スポットを担保すべきである。
【0136】
強度プロフィールは、光スイッチ750に送達された駆動シグナルを通じてか、あるいは、任意的な追加の減衰光学系の使用を通じて半波長板724の調整によって制御できる。
【0137】
マルチビームシステムでは、全てのビームを同時かつ正確に対物レンズ730の集光面又はその近傍で同一面に集光させること(同焦点特性)が有利な場合がある。光路の実質的な類似性にもかかわらず、光学コンポーネント内の正常な公差は完全な同焦点性を妨げる場合があある。したがって、分岐光の一方からの集光が集光面が画定される場合には該分岐光を省略できるが、各分岐光の光路に集光制御光学系769を導入することが望ましい。この集光制御機能をビームサイズ制御光学系752の中に一体化することも可能である。
【0138】
以上の実施例が示すとおり、複数スポットシステムの多くの異なる構成及び実施態様が可能である。バルク光学系実施態様か、光ファイバー実施態様かのような物理的な実施態様と、(本明細書の別の箇所でさらに詳細に説明される)使用される光学コンポーネントのタイプと、光学コンポーネントの配列と、レーザパルス光源の数と、所望の構成とによって変形が生じる場合がある。当業者は2個のスポット及び複数のスポットのレーザ加工システムでは複数の光学的構成が生じうることを容易に了解するであろう。
【0139】
非常にさまざまな光学コンポーネントが複数スポットレーザ加工システムを実施するために使用できる。本明細書に説明されるのは、これらのシステムが構築できる多くのバルク光学コンポーネントの選択肢である。他の選択肢は当業者には明かであろう。本発明に係る主要コンポーネントは、レーザ光源、ビームスプリッタ、ビームスイッチ、回転力発生器(rotation generator)及びビーム変更光学系である。
【0140】
マルチビームレーザ加工における異なるレーザ及び異なるレーザパルス特性の使用は、半導体リンク構造の加工を有利なように改良できる場合がある。多くの異なるタイプのレーザ光源がマルチビームレーザ加工システムで採用又は組み合わされる場合がある。これらのレーザ光源は、Nd:YVO、Nd:YLF及びNd:YAGのような希土類ドープレイザント(lasant)と、アレキサンドライト、Cr:LiSAF及びCr:LiCAFのような振電(vibronic)レイザントとを含むレーザを含む、ダイオード励起qスイッチ固相レーザのような固相レーザを含む場合がある。これらのレーザの基本波長出力は、非線形高調波変換の周知の工程を通じて高調波波長へ変換される場合がある。
【0141】
これらのレーザ光源は、さらに、パルス発光ピコ秒レーザ出力を作成可能なSESAMモードロックNd:YVOレーザのようなダイオード励起モードロック(mode−locked)固相レーザを含む場合がある。モードロック固相レーザは、発振器−再生増幅器構成と、発振器−パワー増幅器構成とを含む場合がある。これらのレーザの基本波長出力は、非線形高調波変換という周知の工程を通じて高調波波長に変換される場合がある。前記レーザ光源は、フェムト秒(fs)レーザ出力を発生させるためのチャープパルス増幅レーザシステムを含む場合もあり、あるいは、代替的に、パルス発光フェムト秒レーザ出力を発生させる目的の当業者に周知の他のパルス伸長及び圧縮光学系を含む場合がある。
【0142】
これらのレーザ光源は、パルス希土類ドープ固相コアファイバーレーザ及びパルス希土類ドープ光子結晶ファイバーレーザをさらに含む場合がある。パルス希土類ドープファイバーレーザは、qスイッチ構成及び発振器−増幅器構成を含む場合がある。さらに、広域半導体レーザ、単周波数半導体レーザ、発光ダイオード、qスイッチ固相レーザ及びファイバーレーザを含む非常にさまざまな発振器が利用できる場合がある。これらのレーザの基本波長出力は、非線形高調波変換という周知の工程を通じて高調波波長に変換される場合がある。
【0143】
追加のレーザ光源は、半導体レーザと、CO及びアルゴン−イオンレーザを含むガスレーザと、エキシマレーザとをさらに含む場合がある。
【0144】
約150nmから約11、000nmまでの広範囲の波長が、マルチビームレーザ加工システムに含むことができるレーザ光源によって作成できる。利用されるレーザ光源に応じて、10fsから1μsを越えるまでの範囲のパルス幅と、パルスオンデマンドから、100MHzを越えるまでの範囲のPRFsとが本明細書作成時に生成可能である。レーザ光源に応じて、パルス形状、パルスあたりのエネルギー又は出力強度、パルス幅、偏光及び/又は波長がチューニング可能か、あるいは、選択可能な場合がある。
【0145】
パルス出力あたり適当なエネルギーを有するレーザ光源は、1個のレーザ光源からの出力が分割されて複数ワークピースの場所に送達される、マルチビーム用途に望ましい。リンク加工システムに従来利用される多くのレーザは、予想される素子構造の特徴のサイズの縮小化のために、マルチビーム実施態様に適当なパルスあたりエネルギーを発生できる。
【0146】
リンクを加工するために高速で連続的に多数のパルスを送達する超高速レーザも、マルチビームレーザ加工に応用可能である。他のいずれかのレーザ光源と同様にシステムで使用することに加えて、超高速レーザを用いるシステムでのパルス発生及びブロックは、異なるパルスシーケンスを複数のビーム光路のそれぞれの下流に送達させることを可能にするように協調できる。例えば、より多くの、又は、より少ないパルスが、リンクに送達するために前記ビーム光路の1つを下流に通ることが許される場合がある。パルスは、バースト上で送達されたり、異なるビーム光路を交互に下流に送達される場合もある。前記複数ビーム光路のうちの1本又は2本以上の光路でワークピースに対するレーザスポットの場所のオフセット又は調整も、時間的に異なるセットのレーザパルスが標的リンクに到達することの可能にすることによって実現できる。
【0147】
ビームスプリッタは、偏光ビームスプリッタキューブ又は部分反射ミラーのようなバルク光学系の場合がある。AOMs、EOMs及びスイッチング可能なLCD偏光子も、ビーム分割を行うために構成され駆動される場合がある。代替的には、光ファイバーカプラが光ファイバーの実施態様でビームスプリッタとしての役割を果たす場合がある。
【0148】
パルスがワーク表面740に伝搬することができるか、ブロックされるかビームを切り替えるための光学コンポーネントは、AOMs、EOMs、ポッケルセル、スイッチング可能なLCD偏光子、機械的シャッター及び、ステアリングミラーのような高速ビームデフレクタを含む。
【0149】
ビームステアリング機構は回転力発生器に分類されるのが典型的である。機械的ローテータは、圧電的、電磁的、電歪的その他のアクチュエータで作動する場合があるステアリングミラーを含む。ガルバノメータ、ティルトウェッジ(tilt wedge)及びマイクロマシンミラーのアレイも機械的ビームデフレクタのカテゴリーに該当する。光ビームを操ることができるたの 光学エレメントはAOMs及びEOMsを含む。
【0150】
一部の用途については、入力コマンドに応答するビームステアリング機構のかわりに固定式ビームステアリング機構を有するマルチビームレーザシステムを実施することが可能な場合がある。固定式又は手動調節可能な光学系は、特定のワークピース740上のリンク間隔に適合する相対位置間隔を有する合焦スポットで作動するリンク加工システムを構成するために使用できる。かかるシステムは、X軸リンクランに使用される一部の固定式光路と、Y軸リンクランに使用される他の固定式光路とを有することから利益を受けるであろう。
【0151】
追加的なビームを変化させる光学系の広範な取り揃えが前記光路内に含まれる場合がある。類似の及び/又は異なるエレメントが異なるビーム光路で使用される場合がある。これらの追加的な光学エレメントは、偏光子、偏光変調器、ファラデーアイソレータ、空間的ビームプロフィール変調器、時間的ビームプロフィール変調器、周波数シフタ(shifter)、周波数逓倍光学系、アッテネータ、パルス増幅器、モード選択光学系、ビームエキスパンダ、レンズ及び中継レンズを含む場合がある。追加的な光学エレメントは、余分な光路長と、屈折した光路と、光ファイバーディレイラインからなる場合があるディレイラインを含む場合もある。
【0152】
完全重複構成570又は部分重複構成580(図5)の場合には実施態様は単純化できる。例えば、図23及び24は、それぞれ、2個のレーザスポットの部分重複構成580を作成するシステム900A及び900Bのブロック図である。システム900Aは、X軸AOM761及びY軸AOM763を通過する一連のパルスを有するレーザビームを作成するレーザ720と、ワークピース740に到達する前の光学系735とを含む。X軸AOM761は、その入力に入射するレーザビームを、X軸に沿った異なる方向に向けられる2本のビームに分割し、Y軸AOM763はY軸に沿って同じことをやる。AOM761及び763のうち1個だけがある時刻に作動しているのが典型的であるが(図23はY軸AOM763が作動中)、両方を直列に有することが、システム900Aを、ワークピース740を再定位する必要なしにY方向かX方向かのいずれかに長手方向を有するリンク上で作動することを可能にする。AOM761及び763の代わりにいずれかの適当なビーム分割素子を使用することができる。AOM761及び763では、2本の出力ビームの特性は、無線周波数(RF)制御シグナル(図示されない)の特性に依存する。より具体的には、前記2本の出力ビームの間の変位は、前記RFシグナルの出力の周波数の関数であり、前記2本の出力ビームのエネルギー比は前記RFシグナルの出力強度の関数である。そのエネルギー比は、0と1との間で変動するのが好ましい。1つの選択肢として、一方のビームを他方に対して遅延させるために、光ファイバーループのような遅延エレメント731を含めることも可能である。最後に、光学系735は、最終集光レンズと、所望のその他のいずれかの光学エレメントとのようなものを含む。
【0153】
システム900Bは、2個の部分重複ビームスポットを作成するための代替的な実施態様である。システム900Bは、波長板725と、それぞれ回折エレメント767及び769を通過する2本のビームにレーザビームを分割するビームスプリッタ745とを含む。回折エレメント767は前記レーザビームをその入力でX軸に沿った異なる方向に向けられた2本のビームに分割するが、回折エレメント769は同様にY軸に沿って分割する。システム900AにおけるX軸AOM761及びY軸AOM763と同様に、複屈折エレメント767及び769は、X方向かY方向かのいずれかに延びるリンクを取り扱う柔軟性を提供する。前記回折エレメントの出力はコンバイナ765及び光学系735を通過してワークピース740に到達する。
【0154】
複数のレーザ光源がレーザリンクを加工するうえでより大きな柔軟性及び性能のために複数のスポットレーザシステムとともに使用される場合がある。異なる構成は異なる利点を提供する。例えば、図25は複数のレーザ720−1及び720−2と、第1ミラー722と、ビームコンバイナ723と、第2ミラー724とを利用する1つの構成を示す。1つの動作モードでは、前記複数レーザの構成は、有効なレーザ繰り返し速度を増大させるために使われる場合がある。前記複数のレーザのヘッドを単一の出力ビームに組み合わせて、該レーザのヘッドをトリガしてパルスを発生させることによって、有効なレーザ繰り返し速度が増大する。有効レーザ繰り返し速度は個別のレーザの繰り返し速度を増大させることなく増大するため、パルス特性は保存される。パルス形状、パルス幅、ピークパルス高及びパルスエネルギーは全て維持できる。単一のレーザを高速で駆動することによってレーザ繰り返し速度を増大させることは、パルス幅を同第させ、利用可能なパルスエネルギーを減少させる。この技術の例として、2個の40kHzレーザは、40kHzレーザと同じ光学特性で80kHzで作動するパルス列(pulse train)を発生するために使用できる。
【0155】
複数レーザの構成は、レーザ720−1及び720−2の一部又は全部を同時に発光させて、それらの出力パルスを合成させて利用可能なパルスエネルギーを増大させるように作動する場合もある。
【0156】
複数レーザの構成は、時間的なパルス形状形成のために、同時に発光できる異なる光学特性か小さい時間遅延かを有するパルス光を生成するように作動される場合もある。例えば、速い立ち上がり時間を有するレーザからのパルスが長いパルス幅を有するレーザからのパルスと合成されて、速い立ち上がり時間と長いパルス幅とを有する合成パルスを生成する場合がある。
【0157】
異なる波長のレーザも同様のやり方で組み合わせることができる。本明細書で上述された複数ビームパルス形状形成技術が入力パルス列を複数又は単数のビームのリンク加工システムにさらに適合させるためにこれらのレーザに適用されることもできる。例えば、IR及びUV波長のレーザを装備したシステムは、いずれかのレーザ光源からのパルスをリンクを加工するために選択的に使用できるであろう。代替的には、異なるレーザヘッドは異なる時間的形状を有するパルスを送達することができるであろう。
【0158】
連続波及びパルス発光レーザを組み合わせることは、リンク加工システムにさらなる利点を提供する。2本のビームが重複するか、合焦したスポットの場所に既知の差がある場合には、連続波レーザがアライメント及び較正用に使われ、パルス発光レーザがリンク加工用に使われる場合がある。かかる配置は、連続波レーザは常時発光しているので典型的なパルス発光レーザよりも安定であるため、アライメント及び較正により適するという事実の利益を享受できる。
【0159】
複数のレーザヘッドは、合焦スポットへ送達される1個または2個以上のレーザヘッドがある場合に実施できる場合もある。この構成は、各合焦スポットがリンクを加工するのに用いられるパルスを提供する別々のレーザを有するように複数スポットのシステムで繰り返される場合がある。
【0160】
上述の概念は、多数のスポット及び多数のレーザヘッドに一般化できる。半導体リンク加工システムは、1以上の整数M、N及びKについて、N本のビーム光路とK個の合焦レーザスポットとを作成するためにM個のレーザヘッドの配列を使うように構成されるのが有益な場合がある。
【0161】
上記のとおり、複数のレーザは、パルスを合成したり、あるいは、パルスを交互に発光するために、同じ時刻及び/又は異なる時刻に発光する場合がある。前記レーザの光学特性は同じであったり異なったりする場合がある。そして、レーザパルス列がさらに分割され、複数のリンク構造に同時にあるいは逐次的に送達される場合がある。
【0162】
図26は、M個の入力レーザからのパルス列をN本の出力ビーム光に合成する光学システムを示す。その光学システムはリンク加工装置の機能的ユニットとして作成できる。
【0163】
これらの機能的な光学システムのグループの多くは、1つのリンク加工システムに組み合わされる場合がある。ビーム合成光学システムへの入力は、レーザヘッドか、別のビーム合成光学システムからの出力かのいずれかの場合がある。同様に、これらの光学サブシステムからの出力は半導体リンクを加工するために集光光学系に送達されるか、あるいは、他のビーム合成光学サブシステムへの入力として役立つ場合がある。
【0164】
結果として得られた、光学システムを通じて相互に接続されて複数の標的リンクに至るレーザヘッドのメッシュは、(1)所望の特性を有するパルス光を生成し、(2)ある製品を加工するために必要なリンクランの数を減らしてリンクラン速度を増大させることによってシステムのスループットを増大させるために大きな柔軟性を有する。
【0165】
以上に提供された実施態様の詳細は、集光ビームの全てが単一の集光レンズ730を通じてワークピース740上に照射する複数のスポットを作成するためのシステムをどのように構成するかを説明する。しかし、複数の集光レンズを利用することも可能である。これらの複数の集光レンズはオンアクシス配置か、クロスアクシス配置か、これらの両方かで配置できる。
【0166】
複数の最終集光レンズは多数のレンズ構成で作成できる。前記システムは、リンクランのオンアクシス配置に沿って、及び/又は、リンクランのクロスアクシス配置に沿って、2個または3個以上のレンズを含む場合がある。レンズは、規則的な配置か、スタガード配置か、ランダムな配置かで構成される場合がある。「+」プラスの構成のレンズ配置を有することも可能である。複数の集光レンズのサブセットがX軸リンクラン用に使用でき、異なるレンズのサブセットがY軸リンクラン用に使用できる。上記のレンズ構成は、実施例の構成の小さいサブセットである。多くの他のレンズ構成が可能で、それぞれが異なる利点を有する。
【0167】
クロスアクシス配置を有する複数のレンズを実施することは、複数のリンクランを同時に加工することを可能にする。したがって、ウェーハが前記集光レンズの下を通過しなければならない回数は、レンズの数で除算される。これは、劇的なスループットの改善につながる場合がある。横方向に間隔をおいて配置されたスポットのさらなる利点は、上述のセクションIIIで説明され、複数レンズシステムに適用可能である。
【0168】
オンアクシス構成で2個または3個以上のレンズを実施することも、スループット及びハードウェアの利点を提供する。マルチブローのような上述のセクションIVで説明されたオンアクシス配置のスポットの利点は複数レンズシステムに適用可能である。
【0169】
リンクランの軸に沿って複数のレンズを配置することは、各リンクランを短縮することもできる。例えば、150mm離れた2個のレンズは、最大150mmの長さのリンクランで300mmのウェーハを加工することを可能にするであろう。前記ウェーハの中央でリンクランを加工するための相対的な動きの要件は、ウェーハの直径をレンズの数で除算した商である。
【0170】
この加工方法では、リンクラン速度は単一スポットの場合から変化がないが、リンクランの短縮のために、結果として劇的な時間短縮がなされる。さらなる利益は、移動ステージの移動範囲が削減される場合がある点である。より小さいステージはステージのコスト及び設置面積(footprint)を下げ、該ステージの加速性能及び帯域幅能力を増大させる可能性がある。
【0171】
各集光レンズのサイズと、典型的な加工システムに使用される焦点距離の短さとのため、複数レンズシステムでの合焦スポットはワークピースで(インチのオーダーでの)大きな距離だけ分離している。しかし、重複するスポットを作成する複数集光レンズシステムを作ることは可能である。より小さなレンズ(例えば、直径2−3インチのUVレンズ)を利用するシステムは、小さなスポットサイズを達成するためにより大きなレンズ(例えば直径3−5インチのIRレンズ)を利用するシステムよりも多くのレンズを収容する場合がある。例えば、300mmのウェーハを加工できるUVシステムは約6個のレンズまで利用できる場合がある。
【0172】
図27は、複数レンズ半導体リンク加工システムの1つの実施態様を示す。多くの代替的な構成が可能である。かかるシステムは、リンクランを実行するためにXY移動ステージ260(図27には図示されない)上にある(破線で示される)ワークピース740の上に配置できる。
【0173】
図27の複数レンズシステムは、各集光レンズ730A−730Eにパルス光を送達するためのビームスプリッタ745A−745D及びミラー775とともにパルス列を作成する単一の光源レーザ720を含む。任意的なステアリングミラー764A−764E又は固定ミラーが各集光レンズの前に含まれる。独立したAOMs752A−752Eその他のスイッチがリンクを加工することを意図しないパルスをブロックするために使われる。各レンズ730A−730Eは、集光機構と、合焦スポットのビームウェストの場所の高速ステアリングミラー調節とを有することが好ましい。
【0174】
複数レンズシステムでは、合焦スポットのそれぞれを所望の標的リンクに正確に位置決めするために各集光レンズの前にFSM又はステアリングミラーのようなXYビームステアリング素子を使って前記合焦スポットの小さな変位を設けることが有利である。ステアリングミラー764A−764Eの使用は、各ビーム光路及び/又は集光レンズのアライメント又は配置の小さな規格からのはみだし(irregularities)を矯正することができる。これらのステアリングミラーは、(1)レンズ配置に対するウェーハの回転と、(2)レイアウトのオフセット、回転、幾何学的な規格からのはみだし、較正因子、スケール因子及び/又はウェーハの端から端まで(across the wafer)で異なる場合があるオフセットと、(3)各合焦スポットで影響が異なる場合がある動的その他のエラーとを補償するのにも用いることができる。要約すると、いずれかの複数レンズ加工システムのステアリングミラーは、各合焦スポットの場所のユニークな較正パラメータ及び/又は補償を必要とする場合がある正しい瞬間にワークピース上の所望の場所に全てのスポットを適当に位置決めすることを助ける場合がある。
【0175】
複数のレンズを使用する利点は、パッキング損失によって時には限定される場合がある。パッキング損失は、加工を必要とするワークピース740上の領域の上にいつもすべてのレンズがいるわけではないために発生する。例えば、図27を参照して、ワークピース740の縁の近くを加工するとき、図の上及び下のレンズ730A及び730Eはそれぞれの合焦スポットがワークピース740からはみ出す(land off)場合がある。かかる場合には必ずしも全ての合焦スポットが利用可能ではないため、なんらかの効率低下が生じることがある。
【0176】
(Y軸に沿って整列した)図27の複数のレンズシステムにおける非対称なレンズの構成は、非対称な移動ステージと、X及びYリンクランについて異なる加工モダリティとを用いることを当たり前にする。ウェーハ740は、長い移動軸と短い移動軸とを有する平面的なXY移動ステージとともに動く。例えば、X方向で300mmの移動が必要だが、Y方向には約60mmの移動しか必要がない。これは、両方の軸で300mmの移動が提供される現在の単一レンズシステムでの移動ステージとはコントラストがある。Y軸の移動要件を減らすことは、前記ステージの運動質量及び設置面積を減らすことになるであろう。
【0177】
X及びYの加工モダリティに適合する異なるX及びYの性能特性を有する移動ステージの使用が望ましく、さらなる利点を提供する。1つのかかる移動ステージは、図27のシステムでの使用に好適な内在的な性質を有する積層したXYステージである。積層した移動ステージの実施態様では、X軸移動ステージがY軸移動ステージを搬送する。かかる構成では、X軸移動ステージがY軸移動ステージの質量を搬送するために加速及び帯域幅が劣るのが典型的であるが、移動範囲は延びる場合がある。Y軸移動ステージが軽いほど、より優れた加速及び帯域幅を送達できる。Yステージの質量は、短い移動範囲しか必要でない場合には、さらに減らすことができる。
【0178】
この特性の組み合わせは、図27の複数レンズ加工システムとともに使用するのに好適である。好ましい構成は、クロスアクシス並列関係がリンクランの数を減らすようにX軸移動ステージを光学系テーブルと整列することである。Y軸移動ステージはオンアクシス並列関係となるように光学系テーブルと整列される。Y軸の多数の短いリンクランは性能が高いYステージで加工され、性能が低いX軸は数が少ないリンクランを加工するために用いられる。
【0179】
典型的なDRAMウェーハは各軸に沿ったリンクランの数及びリンク密度について非対称であることが多いため、マルチビーム加工システムへのワークピース740の好ましい配向があるかもしれない。典型的なDRAMウェーハはリンクランが多くリンク密度が高い一方の加工軸を有する。他方の軸はリンクランが少ないが、リンク密度が低くギャッププロファイリングの機会が多い。その場合、所望の加工構成は、クロスアクシス並列関係を使って密度の高いリンクランが多い軸がより遅い軸(上述の積層ステージではX軸)で加工される。これは必要なリンクランの数を減らす。リンク密度のせいでその方向にはギャッププロファイリングの機会がより少ないため、性能がより低い移動ステージをその方向に使うのが適当である。それから、より速い軸が密度の低いリンクランを加工するのに使われ、ギャッププロファイリングから利益を被る機会が多い多くのリンクランを迅速に加工するオンアクシス並列関係の利益を享受できる。
【0180】
図27のマルチレンズシステムを使う代替的なやり方は、全てのリンクランをX軸又はY軸いずれかのリンクランとして加工することである。これは、いずれかの構成で複数レンズのオンアクシス又はクロスアクシスの利点を享受する。リンクラン全てをX軸又はY軸いずれかのリンクランとして加工するために、ウェーハを回転する必要があるかもしれない。これは、チャック内に回転機構を設計することによるか、ウェーハをチャックから取り出して回転機構を用いて回転し、その後該ウェーハを前記チャック表面に再度載せることによって達成できる。ウェーハを回転するのに要する時間を短縮するために、ウェーハをチャックから取り出して迅速に異なるウェーハをがチャックに載せることができるシステムの機構を含める場合がある。一方のウェーハが加工される間、他方のウェーハは回転できる。
【0181】
全てのリンクランを同じ方向で加工する1つの利点は、移動ステージがその配向で加工するように最適化できる点である。例えば、全てのリンクランが短いY軸ランとして行われる場合には、Y軸は加速及び帯域幅が高く質量が低いように最適化できる。しかしその場合には、現行のシステムはリンクランの間横方向に前進する必要しかなく、Xアライメント走査のための動きも少ししか必要がないので、X軸の要件は現行のシステムと比較して緩和できる。X軸にはまだ高い精度は要求される場合があるが、高速及び加速はそれほど重要でないかもしれない。
【0182】
半導体ICは、ウェーハ上に配置された名目的に同一の矩形のダイス(die)の規則正しいグリッドとして製造されるのが典型的である。これらのダイスの全てがリンク及びリンクバンクの同じ配置を含むので、類似のリンクランのパターンで加工される場合がある。しかし、各ダイス上で切断されるべき特定のヒューズは試験工程の結果であるので、異なるのが通常である。ウェーハ上の同一ダイスの規則正しい配置は、複数レンズ加工システムでのレンズの好ましい配置に動機を与える。集光レンズを調整して合焦スポットの間隔をダイスの寸法の整数倍にすることは当たり前で望ましい。もちろん、較正と、スケーリングと、ウェーハのわずかな回転のような配向の差とを説明する小さな矯正因子が、ビームステアリング機構を用いて適用される必要があるかもしれない。このやり方でレンズ及び/又は合焦スポットを配置することは、各スポットが異なるダイスの同じ対応するリンク及びリンクバンクを同時に投射することを可能にする。マルチビームシステムを使って、同時に2個または3個以上のダイスを加工し、かつ、同時に2個または3個以上のダイスの同じ対応するリンクを加工することは好ましい動作モードである。
【0183】
例えば、各ダイスがX方向に加工される必要のあるタイプA、B、C及びDの4種類のリンクランを有するとする。全てのレンズが一度にタイプAのリンクランの同じリンクを加工するように合焦スポット間の相対配置を調整することによって、XYステージを使ってクロスアクシス方向にウェーハの場所をたんに調整することは、タイプBのリンクランの全てを同時に加工することを可能にする。この技術の1つの利点は、レンズ及び合焦スポットの粗い場所が各リンクラン方向について一度に調整できる点である。全ての合焦スポットがリンクに当たることができることを担保するためにリンクランの間を調整する必要はない。この技術の第2の利点は、合同速度プロフィールを作成するのが非常に容易で、ギャッププロファイリングの機会が多いであろう点である。これは、プロファイリング可能なギャップが各ダイス上のあるタイプのリンクランの同じ場所で起こる場合があるために生じる。レーザを純粋なクロスアクシス配置でトリガすることも、合焦レーザスポットが同時に複数のダイスの上の同じ対応するリンクをヒットするために容易である。
【0184】
レンズ配置がウェーハマスクサイズ(合焦したマスクサイズ)の整数倍に適合することも望ましい場合がある。これは、1つのパターン化ステップでウェーハ上にパターン形成されるダイスが同一レンズによって全て加工されることを可能にする。マスクステップの間に生じる小さなステップ及び繰り返しエラーはより容易に較正して取り除くことができる。
【0185】
複数の異なるダイスを同時に加工する複数レンズシステムは、単一レンズシステムと比較してギャッププロファイリングの機会がより少ない場合がある。単一レンズシステムは、ダイス上のリンクが修理不能又は完全であるため、該リンクを加工する必要がないときには、いつでもギャッププロファイリングによって時間を節約する機会がある。複数の異なるダイスが複数レンズシステムで動じに加工される場合があるため、1個のダイスを完全にスキップする機会がある。しかし、複数のスポットを用いることによって節約された時間は、ギャッププロファイリングが少なかったために失った時間よりも多いであろう。ギャッププロファイリングが少ない高速システムの1つの利点は、移動ステージによって発生する熱が少ない点である。移動ステージの規格が緩和されて、より安いコストと、より容易に製造されるシステムと、よりコンパクトなシステムとが得られる場合がある。
【0186】
複数レンズ加工システムでは、レンズの配置が数ミリメートルで調整できる機構を含むことが望ましい。これは、レンズ配置が、異なる顧客の製品のダイスの寸法の整数倍に適合することを可能にする。いったん集光レンズが機械的に調整されると、FSM(高速ステアリングミラー)のようなビームステアリングミラーがスポットの場所を微調整できるので、集光レンズの完全な配置は必要がない。
【0187】
複数集光レンズシステムの最後の局面は、集光レンズのそれぞれから発する複数のスポットを作成することが可能である点である。そうすることによって、リンクラン速度はさらに上昇でき、及び/又は、必要なリンクランの数がさらに減らせるので、システムスループットがさらに向上する。単一集光レンズからの複数のスポットの上述の利点は、複数の集光レンズからの複数のスポットに適用できる。これらの組み合わされた利点は、それぞれがオンアクシス及び/又はクロスアクシスで合焦したスポットをワークピースに送達する、オンアクシス及び/又はクロスアクシス配置の集光レンズで可能である。
【0188】
複数スポット加工の他の重要な局面は、並列した加工されるべきリンクと、合同速度プロフィールとを決定し、コンピュータ又はハードウェアを制御する回路にリンクランデータを伝達するためのソフトウェア方法論である。
【0189】
名目的に固定されたオフセットがスポット間に存在する複数スポットリンクランについては、各スポットについて加工されるべきリンクコーディネートの全てを送信する必要はない。「マスタースポット」を指定して、リンクランを指定するシステム制御コンピュータからハードウェア制御コンピュータへ該マスタースポットに対する他のスポットのオフセットを伝達することで十分である。その後、前記マスタースポットによって加工されるべき前記「マスターリンク」のコーディネートは、各ビームについてスイッチ750が各マスターリンクに対応するパルスを送信すべきかブロックすべきかを指定する、各スポットあたり1データビットとともに伝達される場合がある。これは、送信される必要があるデータ量を劇的に減らすであろう。それぞれが多数のバイト数であるリンクコーディネートの代わりに、加工されるべき追加のスポットのそれぞれについてたった1ビットの情報しか送信される必要がないであろう。
【0190】
VIII.エラー矯正
米国特許第6,816,294号明細書は、XY移動ステージで起こる相対位置エラーを矯正するために合焦レーザスポットの位置をシフトするFSMの使用を説明する。当該特許に説明された技術は本明細書に説明される複数レーザビーム加工システムと完全に適合可能である。本明細書に説明されるとおり、レーザビームはコーディネート位置コマンドに応答してワークピース上の標的の場所に向けられる。そのコマンドに応答して、XY移動ステージはワークピースのコーディネート位置の上にレーザビームを配置する。システムは、前記コーディネートの位置に対するワークピースの実際の位置も感知して、位置の差がもしある場合には該位置の差を示すエラーシグナルを発生する。XY移動ステージと関連するサーボ制御システムが前記位置の差を補償する位置矯正シグナルを発生して、レーザビームを標的の場所により正確に誘導する。類似のサーボ制御システムが複数のレーザビームを複数の標的の場所に誘導するのに利用できる。例えば、2個のスポットのシステムでは、XY移動ステージエラーを原因とする相対位置エラーは両方のスポットに等しく影響を与えるので、図28に示すとおり複数スポットの場合について、、最終XYビームステアリング機構772の追加がこれらのエラーを矯正して再誘導するのに利用される場合がある。しかし、XYステージの回転によって生じるエラーは両方のスポットに等しく影響を与えることはないので、いずれかの感知された回転エラーは、回転コーディネート変換及び前記2個のビームステアリング機構764を利用して類似のやり方で矯正できる。
【0191】
さらに、1本又は2本以上のビーム光路のステアリング機構と、最終ステアリングミラーとを備える構成のシステムは、スポットの動きを指令し、エラーを矯正するさらなる柔軟性を提供する。XYビームステアリング機構の全てと、いずれかの最終FSMビームステアリング機構とは、ひとまとめにして所望のスポットの動きを伝達するために用いられる。例えば、最終XYビームステアリング機構は両方のスポットをX方向に+20μmだけ動かすことができ、その後、独立したビームステアリング機構が1つのスポットをX方向に+20μm、1つのスポットをX方向に−0μmだけ動かすことができる場合がある。得られた構成は、一方のスポットはもとの位置と変わらないが、他方のスポットは+40μmだけ位置が変化しているが、どのアクチュエータも20μmを越える動きを伝達してはいない。かかる構成の1つの利点は、いずれかのビームステアリング機構によって伝達された変位の量が減らせることである。さらに、スポットのオフセットを発生させるのと協働して、ビームステアリング機構の全てがエラーを補償するためにいっしょに機能できる。
【0192】
上述の構成のさらなる利点は、アクチュエータが異なる性能諸元を有するときに生じる。例えば、一部のアクチュエータは移動範囲が長いが帯域幅は狭い場合がある。他のアクチュエータは帯域幅は非常に広いが移動範囲が短い場合がある。所望のビームステアリングコマンドの周波数成分及び範囲を異なるアクチュエータに適合するように選択的に配分することは、移動範囲が長くエラー矯正及びコマンドオフセットに必要な応答も速いシステムを得ることができる。集光レンズの入射瞳の近傍により大きな位置オフセットを伝達するビームステアリング機構と、該集光レンズから離れた場所により小さなオフセットを伝達するビームステアリング機構とを配置することも合焦スポットの歪みを少なくすることにつなげられる。
【0193】
一部の光学的構成では、追加のFSMのXYビームステアリング機構はXYステージのエラーを矯正するのには不要な場合がある。例えば、両方のビームがX方向とY方向の両方にシフトすることを可能にするステアリング機構を有する場合(例えば、図19に示すとおり)で、かつ、これらのステアリング機構がステージエラーを矯正するのに十分な帯域幅及び範囲を有する場合には、エラー矯正用の最終出力FSMは余分である。前記2個のスポットを互いに対してシフトするのに用いられるステアリング機構のコマンドは、エラー矯正に必要なコマンドと組み合わせることができる。得られたステアリングミラーの動きは、ウェーハ表面での互いに対して前記スポットの位置を正確に定め、相対的な定位エラーを矯正する。
【0194】
前記2本のビームについて独立したステアリングミラーを有することは、各スポットと、所望の標的の場所とを位置決めする能力に影響を与えるエラー又は較正及びスケーリング因子の矯正を可能にする。例えば、ウェーハ製造エラーは、わずかの異なるスケーリング因子又はウェーハ上の異なるダイスの回転を起こす場合があり、ビームステアリングはこれらの差違を矯正できる。代替的には、光学コンポーネントの光−テーブル共鳴、光共振、熱ドリフトその他のシステムの変化がワークピース740上の各合焦スポットと標的リンク構造との間の異なる相対定位エラーを発生させる場合がある。位置エラーを検出するセンサーに連結された独立して駆動するステアリングミラーが、前記異なるビーム光路に独立した矯正を行うことを可能にする。かかる位置センサーは、光学エンコーダ、干渉計、歪みゲージセンサー、誘導位置センサー、容量位置センサー、線形可変差動変換器(LVDTs)、位置検出素子(PSDs)、ビームの動きを監視するためのセンサー又はクァッド(quad)光検出器その他のセンサーの場合がある。したがって、2個のステアリングミラーを使用することは、単一のステアリングミラーよりもエラー矯正及び較正のために多くの柔軟性及び利益を提供する。
【0195】
先に引用した特許出願に記載されていない定位エラーのその他の原因もステアリングミラーを用いて矯正できる。例えば、レーザ、AOMスイッチ及びレーザレール(laser rail)のコンポーネントの定位安定性は、光学的又は機械的なセンサーを使って出てでき、矯正的な動作はシステムのステアリングミラーによって行うことができる。
【0196】
図29は、独立XYビームステアリング機構764を、(1)相対オフセットコマンドを使って一方の合焦スポットに対する他方の合焦スポットのオフセットを発生させるため、(2)XYステージサーボシステム784で検出されるワークピースに対する合焦スポットの定位エラーを矯正するため、及び、(3)他の位置センサーで検出されたその他の相対的な定位エラーについて矯正するために使用する例を示す。この図では、PSDs780がレーザ定位安定性、AOM定位安定性及び光学系の取付けが原因となるビームの動きを測定するのに用いられる。AOM定位安定性及び光学エレメントの動きに起因する各ビーム光路で測定されるエラーは各ビーム光路で異なる場合があるので、図29は、独立した測定、シグナル処理及びXYビームステアリング機構764に伝達されるべきコマンドを示す。
【0197】
ビームステアリング機構は、合焦スポットの場所と標的リンクの場所との間の望ましい関係を形成し維持するためにリンクランの開始前と、リンクランの実行中とに調整されるのが好ましい場合がある。例えば、これらの調整は、システムエラーと、ウェーハの周りの異なる場所のリンクに適用される異なるコーディネートシステム、較正パラメータ、スケーリング因子及びオフセットとを補償する場合がある。
【0198】
複数スポット加工システムにおけるスポット間の距離はより正確なウェーハの定位を必要とする場合がある。この必要は、アッベ(abbe)オフセットエラーに起因して生じるが、該エラーは、有意なレバーアームでの小さな角度オフセットに起因する平行移動の定位エラーである。単一スポットの装置は、レーザパルスがトリガされるとき、ワークピース上の正しいポイントに合焦ビームが投射することだけが要求される。これは、ワークピースに小さな回転エラーがある場合でも、合焦スポットに対するワークピースの純粋なXY平行移動で達成可能である。複数スポットの装置は、全てのスポットがワークピースの適切な場所に同時に投射することが要求される。スポットの固定された構成については、小さな回転エラーが正しいワークピースの場所を同時に投射することを妨げるであろう。これは、スポットの間隔がより離れた複数レンズの実施態様では特に当てはまるが、単一レンズの実施態様にも同じように当てはまる。3以上の自由度で複数の合焦スポットに対するワークピースの制御、特にフィードバック制御は、複数スポット加工システムでは単一スポット加工システムよりも重要である。この制御は、チャック及びウェーハのX、Y及びテータ(ヨー(yaw))のコーディネートが関与する平面的な動きと、Z、ピッチ及びロールがさらに関与する完全な3次元的な制御とに関する。
【0199】
感知機構は、複数スポットシステムでのアッベオフセットエラーを含むエラーの制御及び矯正に有用な場合がある。例えば、干渉計その他のセンサーを複数レンズシステム中の各レンズと並べることは、各レンズの近傍の定位エラーが検出できるために、エラー低減のために有用な技術の場合がある。さらに、中央プロセッサ又はFPGAは、多くのセンサーからのデータを組み合わせて、合焦スポットの場所、ステアリングミラーの位置、ビーム光路の位置、レンズ、チャック、リンク等のような異なるシステムコンポーネントの間の幾何学的関係を決定するために利用できる。コンポーネント間の所望の幾何学的関係と測定された幾何学的関係との間のエラーを決定したとき、定位エラーは軽減できる。これは、ワークピース、チャック、ステージその他のシステムのコンポーネントの多次元的制御を通じて行われる場合がある。エラーは、オンアクシス及びクロスアクシス方向に前記スポットと動かすように1個または2個以上のFSMsを使って補償できる。
【0200】
コンポーネント間の幾何学的関係は、レーザのトリガにも有用である。1個のレンズか、複数のレンズかのいずれかを通じて複数のスポットを発生させるために1個のレーザが使われる場合には、システムは、1個または2個以上のスポットが所望の場所でワークピースに投射するように位置の推定値又は測定値に基づいてレーザ発光をトリガできる。複数の合焦スポットの場所と、所望のブローの場所とのそれぞれの間での平均エラーを最小にする、推定された位置又は時刻でレーザをトリガすることは、1つの好ましいパルストリガ法である。同様に、複数のレーザが複数のスポットを発生させるために使われる場合に、各レーザは合焦スポットの場所と、標的ワークピースの場所との間のエラーを最小sにする時刻又は位置でトリガできる。他のパルストリガ法も実行される場合がある。
【0201】
IX.較正、アライメント及び集光
複数ビーム光路リンク加工システムの利用は、各レーザビームについてビームエネルギーパラメータ及びスポット位置パラメータの較正を必要とする場合がある。図30に示すとおり、エネルギー較正を達成する1つのやり方は、各ビームから一部の光学出力を分流して独立のパルスデテクタ790を使って、パルスエネルギーと、パルス高と、パルス幅と、おそらくその他のパラメータとのようなパルス特性を感知することである。光学的なパラメータを感知した後、ビーム光路内に構成可能なハードウェア又はレーザが調整を行うために使用できる。1つの実施態様では、パルスデテクタ790からの情報がエネルギー制御のために各ビーム光路内の構成可能なアッテネータ792の独立したチューニングを可能にする場合がある。アッテネータ792は、標準的な光学系、AOMsその他のアッテネータの場合がある。パルスデテクタ790からのフィードバックはレーザでのパルスの発生を修正するのにも使うことができる。これは、複数のレーザ光源を使うときにさらなる利点を提供する。
【0202】
複数のレーザスポットを有するシステムの位置較正を実行することは、単一スポットの較正を提供するのと類似する。しかし、各合焦ビームウェストと、各標的リンクとの間のZ−高関係は、合焦スポットと標的リンクとの間のXY位置関係とともに確認されるべきである。これらの関係の両方とも、ウェーハ上のアライメント標的を走査することによって決定できる。この走査工程は、ウェーハの表面に連続波かパルスかのいずれかの光エネルギーを送達すること、及び、光がウェーハ上の既知のコーディネートを有するアライメント標的から反射するように横方向にXYステージを走査することを伴う。標的及びステージ位置センサーから反射するエネルギー量を監視することは、アライメント標的に対するレーザスポットの位置を正確に決定することを可能にする。これらの監視されたシグナルは、レンズ及びアライメント構造との間の現在のZ高距離でサイズが形成されたスポットの決定を可能にする。これを行うためのシステムは図31に示されるが、図31には、ビームスプリッタ794及び反射光デテクタ798が反射したシグナルを検出するために配置される。4分の1波長板796がワーク表面740に送達されるための円偏光光入力を発生するために任意的に利用される場合がある。
【0203】
複数スポットシステムで合焦するために、標的が複数の焦点高で走査され、これらの焦点高でのコントラスト又はスポットサイズの測定値が合焦ビームウェストを予測し反復的に改善するために使われる。単一レンズを伴う複数スポットシステムは一度に1つのレンズからリンクへの構造又はアライメント標的距離しかないため、複数スポットシステムの合焦スポットの全てが実質的に同じ焦点高を有するように該スポットの全てをプレアライメントをさせる必要があるかもしれない。これを行う1つの方法は、1個または2個以上の焦点深度の標的に複数のレーザビームを導くこと、さまざまなビームについて焦点深度の測定値を得ること、これらの焦点深度の測定値に基づいて相対的な焦点深度の差を決定すること、及び、好ましくは該相対的な焦点深度の差を減らすために、レーザビームの光路を調整することを伴う。その工程は、相対的な合焦のプレアライメントを達成するために、反復的に、あるいは、フィードバック制御システムによって繰り返される。その後、本番のウェーハ加工環境での合焦が、前記合焦レーザスポットの1つだけを使って達成できる。合焦は、焦点視野(focus field)内の単一の標的か、焦点視野内の3個又は4個の標的のような、複数の標的かで達成される場合がある。その後、前記焦点視野内XYの場所の位置での焦点高の距離は、異なる合焦標的の場所での焦点高から計算される。
【0204】
複数スポットシステムでの焦点は、1個または2個以上の合焦スポットビームウェストを他の合焦ビームウェストからZ方向にオフセットするために、集光制御光学系769(図22)を追加又は移動することによって増強される場合もある。
【0205】
有用な独立した集光機構であることに加えて、集光制御光学系769は、集光の方法論を増強するために、他のスポットに対する合焦ビームウェストの既知のZ焦点オフセットを伝達できる。これらの2個または3個以上のZ−オフセットスポットでアライメント標的を走査することによって、合焦を達成するために移動しなければならないZ方向がわかる。合焦方向だけでなく、焦点までの距離も予測するために3個又は4個以上のZ−オフセットスポットが使用できる。
【0206】
別の集光技術は、各レンズの短移動範囲焦点アジャスタと、約1枚のウェーハの厚さにアライメントされ、その場でロックできる単一の粗Z調節とを伴う。これは、リンクランを加工する間にウェーハの傾斜を矯正するためにレンズが上下してシフトしなくてもよいように、実質的に扁平で水平なチャックを有するシステムで実施されるのが好ましい。これは、やらなければならない合焦作業の量を大きく減らす。その後焦点は、ウェーハの下のダスト粒子か、チャックが扁平でないことのために生じる(一般的には約10μm未満の)小さなゆらぎだけを追跡しなければならない。各レンズは前記チャックの異なる部分で合焦する場合があるので、焦点を調整するために少量だけ垂直方向に移動できるように圧電アクチュエータが各レンズに装備される場合がある。焦点は、合焦ビームウェストが各レンズの下の局所的なウェーハの位置関係(topology)を追尾するように、これらの圧電アクチュエータによって調整できる。もちろん、圧電アクチュエータの代わりにボイスコイルその他のアクチュエータを使うような、この集光技術の代替的な実施態様は可能である。
【0207】
複数スポットシステムのための1つのアライメント手順は、アライメント標的に対する全てのスポットの位置と、この関係にZ高依存性があるかどうかを決定することを伴う。最も単純な実施態様では、まず、これらのスポットの互いに対するXYオフセットと、場合によってはZオフセットとを決定するために、XYアライメント標的が走査され、システム内の全スポットによって測定される。つぎに、前記相対的なオフセットが異なる焦点高で測定される場合もある。この手順は、単一の標的か、ウェーハ上の異なる場所での多くの合焦標的か、較正グリッドかについて実行される場合がある。ワークピース加工場所での前記スポットの相対位置について収集された情報は、ウェーハの異なる領域を加工するときのスポットの場所の差違について較正及び矯正するために、装置を制御する1個または2個以上のコンピュータによって処理される場合がある。
【0208】
互いに対して複数のスポットを特徴付けした後、異なるアライメント視野でのウェーハのXYアライメントは単一スポットシステムでのアライメントと類似のやり方で実行できる。単数又は複数の標的が、合焦スポットと標的リンク構造との幾何学的関係を決定するために走査でき、前記スポットの場所の間の既知のマッピングが、システム合焦スポットの残りの位置を正確に決定するために適用できる。つぎに、XYビームステアリング機構及び焦点オフセット機構は、リンクラン及びリンクランのセグメントについて所望の場所に全ての合焦レーザスポットを正確に定位するために位置決めコマンドを送られる場合がある。これは、ワークピースの領域でのレーザからワークピースへの較正が画定される3次元参照表面を生成することによって実行されるのが好ましい。標的リンクコーディネートと、ステージ、ビームステアリング機構及び焦点オフセット機構の軌跡コマンドとは、リンクブロー場所と、前記参照表面と、いずれかの追加の較正情報とCADデータとから作成できる。
【0209】
一部のXY及び焦点の較正は、一度に複数のスポットのうちの1個だけを実行することができる。しかし、同時に送達された複数のスポットで標的を走査することが有利な他の手順がある。例えば、同時に全てのスポットを使ってXYアライメント標的を走査することは、全てのスポットが合焦していること、及び、スポット間の相対的なオフセットは較正の手順を通じて前記XYビームステアリング機構を用いて除去されていることを確認できる。つぎに、走査された標的からの反射シグナルは、単一スポットがしっかりと(tight)合焦していることの反射シグネチュア(signature)があるようにみえる。前記ビームのいずれかが適切にアライメントしていないか、合焦していない場合には、複数のおそらくは重複した反射シグネチュアが観察されるか、あるいは、小さなスポットとスーパーインポーズした大きなスポットの反射シグネチュアが観察される場合がある。
【0210】
ウェーハに同時に送達される複数のスポットを使う別の較正の手順は、走査測定値の品質を向上するために平均化技術を用いる。この技術は図32に示される。2個のスポットの間のオフセット関係がわかっていて、正確に設定できる場合には、2個(又は3個以上)のスポットは、アライメント標的810が走査される軸に沿って小さな横方向のオフセット(例えば、2ミクロン)を有するようにセットアップできる。つぎに、反射光センサーのデータと、ステージ位置データとを収集するアライメント標的の1回の走査が、前記2個のスポットの場所を決定するために利用できる。この情報は、指令されたスポットのオフセットと組み合わせて、前記2個のスポットの場所を平均化することによってより高い精度で標的の場所を決定することができる。この技術は、走査方向でのスポットの互いに対する精度を改良するために利用できる。実施例として、走査方向でのオフセット距離が5μmとする。さらに、アライメント標的810を通過するスポット1の走査は、Xの位置が10,005.020μmのときに最大反射強度になり、アライメント標的810を通過するスポット2の走査はXの位置が10,000.000μmのときに最大反射強度になるとする。このとき、既知のオフセットを考慮に入れて前記2つの位置の測定値を平均すると、得られる位置は10,000.010μmになる。その平均値は単一の測定値よりも多くのデータに基づいているため、より信頼できる結果である。
【0211】
との反射光がどの入射した合焦スポットによって生じたかを決定できるシステムでは、この平均化の手順を完全に重複するスポットを用いて実施することができる。時間スライス化と、偏光又は波長のような異なるスポット特性の活用とは、反射スポットを入射スポットと関連づけることが可能な技術である。これらの技術は、前記スポットが相対的なオフセットがゼロであるような部分的重複又は完全重複であるときに有用な場合がある。
【0212】
図32に示される第2の場合では、前記2個の走査されたスポットがオンアクシスオフセットとクロスアクシスオフセットの両方とも有する。それがアライメント標的820に沿った異なる点で測定された測定値を用いてアライメント標的810の場所の2つの推定値を提供する。これらの複数の測定値は、アライメント標的820が均一でないときであってもウェーハ上の絶対的な定位を決定するために有用である。
【0213】
つぎに、複数スポットシステムのビームはXYビームステアリング機構を備えている場合があるため、XYステージではなくてこれらの機構が、アライメント標的810を横切る合焦スポットを走査するのに利用される場合がある。その後較正のルーティンが、アライメント標的810−820の反射シグナルのエネルギーを感知したXYビームステアリング機構の位置と対応させて、これとXYステージ位置とを組み合わせてスポット定位を決定する。独立なXYビームステアリング機構は前記ビーム光路のそれぞれに配置できるため、XYアライメント標的810−820を異なる合焦スポットで独立に走査することが可能である。どちらがXシグナルでどちらがYシグナルかを決定する適当な方法を用いて、一方の標的810−820がYで走査されている間に他方の標的がXで走査される場合がある。これは、エネルギーを変化させるためにAOMその他のアッテネータを使って特定の周波数でのスポットの出力をディザーし、該周波数情報を使ってどの反射シグナルが各スポットから来るのかを決定することによって行われる場合がある。代替的には、異なる速度で移動するスポットでアライメント標的810−820を走査することが反射シグナルの成分を特定のスポットと関連付けるために利用できる。スポットは、一度に1個のスポットだけが存在するように時間スライス化又は高速で変調される場合がある。そのとき、反射シグナルは時間スライスを使って直接分離され、複数の標的か、1個のX及び1個のY標的かを同時に走査することを可能にする。偏光又は波長のような光学特性に基づく分離も一部の実施態様では適当な場合がある。
【0214】
複数のレーザ光源が半導体リンク加工システムに使用される場合には、適切なアライメントが最高品質のリンク加工をもたらすであろう。複数のレーザヘッドをアライメントする1つの技術は、レーザヘッドから連続波又はパルスの発光を発生させること、ビームの互いに対する伝搬を測定すること、及び、前記ビームを所望の重複又は相対位置に調整することを伴う。前記ビームを互いに対して測定することは、合焦レーザスポットを使ってウェーハ上のアライメント標的810−820を走査することによって行われる場合があるが、PSDsその他の光学的デテクタを異なる場所で前記ビーム光路に配置することを伴う場合もある。代替的な技術は、最終集光レンズの代わりに、PSDアライメントツールを前記ビーム光路内に配置することである。そのとき、ビーム位置は前記PSDの位置を変化させるためにZステージを使いながら測定でき、傾斜板及びミラーのような光学エレメントがビーム位置を矯正するために調整できる。ビーム又は合焦スポットの場所の測定は全てのレーザヘッドが個別又は同時に発光する状態で起こる場合がある。
【0215】
1つの望ましいビームアライメントは、各レーザヘッドからの発光が正確に重複するようなものである。したがって、得られた単一ビームシステムは、どのレーザヘッドがパルスを発生するかに関係なく、同じ位置に合焦ビームウェストがあるであろう。同様に、2個のビームのシステムは2個の合焦スポットを発生するであろう。
【0216】
別の望ましいビームアライメントは、異なるレーザヘッドによって発生する合焦スポットに意図的にオンアクシス及び/又はクロスアクシスの相対的なオフセットを導入することである。かかるオフセットは、あるレーザヘッドからのパルスがあるリンクの列に投射している間に別のレーザヘッドからのパルスが別のリンクの列を投射するように実施される場合がある。
【0217】
前記レーザビーム光路のアライメントは、装置のセットアップの差違に調整され、その後はさらなる調整を必要としない場合がある。しかし合焦スポットの熱ドリフトを矯正するような状況が生じる場合があり、かかる場合には動的又は定期的なビーム調整が望ましい。アクチュエータは、ビーム調整アクチュエータとしてシステムに配置される場合があり、アライメント標的810−820からの走査データか、ビーム位置のPSD測定値かに基づいて、これらのアクチュエータを構成するために、制御システムが配置できる。
【0218】
アクチュエータは、ウェーハ加工中に時々異なるレーザヘッドによって発生したビームのアライメントを再構成するために使用される場合もある。例えば、X軸のリンクランの加工とY軸のリンクランの加工との間か、異なる配置を必要とするリンクランのあるセグメントの加工と別のセグメントの加工との間かで、異なるレーザヘッドから発する合焦スポットの位置をシフトすることが望ましい場合がある。さらに、同じレンズを通る複数のスポットで加工するとき、リンクランの間、前記スポットの相対位置又は絶対位置の微調整を行うことが望ましい場合がある。例えば、合焦スポットのXY位置にZ高に基づくなんらかの依存性があるかもしれない。前記ビームが傾斜する場合には、傾斜したチャックか、チャックとウェーハとの位置関係の変化かのために異なる高さで合焦することがスポットを彷徨わせる。かかるエラーは、複数のビームアクチュエータ及び/又はビームステアリング機構を使用することによって矯正できる。
【0219】
本明細書に図示又は説明された方法及びシステム(例えば、合同速度プロフィールの計算)は、活性及び不活性の両方のさまざまな形態で存在する場合がある。例えば、これらは、ソースコード、オブジェクトコード、実行可能コードその他のフォーマットでのプログラム指令を含む、1個または2個以上のソフトウェアプログラムとして存在する場合がある。前記フォーマットのいずれかが、コンピュータで読み取り可能な媒体上に埋め込まれる(embedded)場合があるが、該媒体は、圧縮又は非圧縮状態の記憶素子及び信号を含む。代表的なコンピュータで読み取り可能な素子は、従来のコンピュータシステムのRAM(random access memory)と、ROM(read only memory)と、EPROM(erasable,
programmable ROM)と、EEPROM(electrically erasable, programmable ROM)と、フラッシュメモリと、磁気又は光学ディスク又はテープとを含む。搬送波を利用して変調するか否かに関わらず、代表的なコンピュータで読み取り可能な信号は、コンピュータプログラムのホストとなっているか、あるいは、コンピュータプログラムを走らせている、コンピュータシステムがアクセスするように構成されている場合がある信号であって、インターネットその他のネットワークを通じてダウンロードされる信号を含む。上述の具体的な例は、CDROM上か、あるいは、インターネットのダウンロード経由かによるソフトウェアの配布を含む。ある意味では、抽象的な存在としてのインターネットそのものがコンピュータで読み取り可能な媒体である。同じことがコンピュータネットワーク一般についてもいえる。
【0220】
以上で使用された用語及び説明は、例示だけのために列挙されるのであって、限定としての意図はない。当業者は本発明の基礎となる原理から逸脱することなく上述の実施態様の詳細に対して多くの変更を行うことができることを認識するであろう。例えば、半導体基板上の導電性リンクの他の構造が複数のレーザスポットで加工される場合がある。他の例として、リンク加工の全てがリンクを切断して導通しないようにする目的ではない。時には、レーザ照射の目的は、照射しないと導通性がない「リンク」を導通性があるようにすることであったり、リンクの特性を変化させることである。したがって本発明の範囲は、添付する請求の範囲と、特記されない限り、全ての用語がその最も広い合理的な意味で理解されるべきである、均等の範囲とによってのみ決定される。
【符号の説明】
【0221】
120、420、510、520 リンクラン
140 未加工のリンク
150 切断されたリンク
210 静止光学テーブル
220、720 レーザ
225、775 ミラー
230 合焦レンズ
240 ウェーハ
250 チャック
260、660 移動ステージ
270 X軸リンクラン
280 Y軸リンクラン
410 リンクラン速度プロフィール
430 バンク
440 定速
450 ギャップ
460 ギャッププロフィール
470 加速
480 定常状態
490 減速
530、540、550、560、570、580 リンクバンク
610 第1レーザパルス
620 第2レーザパルス
630 第3レーザパルス
680 位置センサー
690 コントローラ
695 標的マップ
700 N個のスポットのシステム
722 ビーム形成視準光学系
723、765 ビームコンバイナ
724 半波長板
725 最終ミラー
730 集光レンズ
731 遅延エレメント
735 光学系
740 ワーク表面
745、754、794 ビームスプリッタ
750 スイッチ
752 ビームサイズ制御光学系
755 追加の光学エレメント
756 投射光デテクタ
758、798 反射光デテクタ
760 ビームステアリング機構
761 X軸AOM
762 中継ミラー
763 Y軸AOM
764 XYビームステアリング機構
766 Xビームステアリング機構
767 回折エレメント
768 Yビームステアリング機構
769 集光制御光学系
770 リレー・レンズ
772 最終XYビームステアリング機構
780 PSD
784 XYステージサーボシステム
790 パルスデテクタ
792 アッテネータ
796 4分の1波長板
800 2個のスポットのレーザ加工システム
810、820 アライメント標的

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板(740)の上又は内部の構造を複数のレーザビームを使って選択的に照射する方法であって、
前記構造は、ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置され、
ある時刻に半導体基板(740)の上又は内部の第1の場所に入射する第1光軸を有する第1伝搬光路に沿って第1レーザビームを伝搬させるステップであって、第1の場所は、複数の構造のうちの第1列の1個の構造の上か、第1列の隣接する2個の構造の間かのいずれかである、第1レーザビームを伝搬させるステップと、
前記時刻に半導体基板(740)の上又は内部の第2の場所に入射する第2光軸を有する第2伝搬光路に沿って第2レーザビームを伝搬させるステップであって、第2の場所は、複数の構造のうちの第2列の1個の構造の上か、第2列の隣接する2個の構造の間かのいずれかであり、第2の場所は第1の場所から前記列の長手方向に少しオフセットがあり、第2列は第1列とは別個である、第2レーザビームを伝搬させるステップと、
第1列及び第2列の構造をそれぞれ第1及び第2のレーザビームで選択的に照射するために、第1及び第2のレーザビーム光軸を半導体基板(740)に対して前記列の長手方向に実質的に一斉に動かすステップとを含む、半導体基板(740)の上又は内部の構造を複数のレーザビームを使って選択的に照射する方法。
【請求項2】
第1列の構造は第2列の構造から前記列の長手方向にオフセットがある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1列の構造は第2列の構造と前記列の長手方向に整列しているが、第1及び第2の場所はそれぞれ第1列及び第2列の構造に対応し、該構造は前記列の長手方向に互いにオフセットがある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1及び第2レーザビームはそれぞれ第1及び第2セットの光学特性を有し、第1及び第2セットの光学特性は互いに異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1レーザビームが第1の場所に到達することを選択的にブロックするステップと、第2レーザビームが第2の場所に到達することを選択的にブロックするステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1及び第2レーザビームは実質的に同時に前記ワークピースに到達する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1レーザビームは第1列の選択された構造を第1の期間照射し、第2レーザビームは第1レーザビームで既に照射された第2列の構造を第2の期間照射する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動かすステップの際に、半導体基板(740)上の第1及び第2レーザビーム光軸の入射場所の間の相対間隔を動的に調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造は導電性のあるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
半導体基板(740)は複数のダイスを含み、第1レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の1個のダイスに投射し、第2レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の別の1個のダイスに投射する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1列及び第2列は隣接する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第1及び第2の場所の近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1の場所は第2の場所から離れている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法で加工された半導体基板(740)。
【請求項14】
少なくとも第1レーザビーム及び第2レーザビームを発生するレーザ光源と、第1及び第2レーザビームの伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のレーザビームを使って半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステムであって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置され、
第1レーザビームの伝搬光路は、ある時刻に半導体基板(740)の上又は内部の第1の場所で第1スポットに投射する第1光軸を有し、第1の場所は、複数の構造のうち第1列の1個の構造の上か、第1列の隣接する2個の構造の間かのいずれかであり、
第2レーザビームの伝搬光路は、前記時刻に半導体基板(740)の上又は内部の第2の場所で第2スポットに投射する第2光軸を有し、第2の場所は、複数の構造のうち第2列の1個の構造の上か、第2列の隣接する2個の構造の間かのいずれかであり、第2の場所は第1の場所から前記列の長手方向に少しオフセットがあり、第2列は第1列とは別個であり、
移動ステージ(660)は、第1列及び第2列の構造をそれぞれ第1及び第2のレーザビームで選択的に照射するために、第1及び第2のレーザビーム光軸を半導体基板(740)に対して前記列の長手方向に実質的に一斉に動かす、複数のレーザビームを使って半導体基板の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステム。
【請求項15】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
第2レーザビーム伝搬光路内に配置され、第2の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
ほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置される複数の構造を有する半導体基板(740)を加工するための方法であって、
前記複数の構造は複数のレーザビームで選択的に照射され、
半導体基板(740)の上又は内部で第1標的の場所と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームを発生するステップと、
半導体基板(740)の上又は内部で第2標的の場所と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームを発生するステップであって、第2標的の場所は、第1標的の場所が複数の構造の第1列の上の1個の構造であるとき、第2標的の場所が第1列とは別個の第2列の上の1個の構造か、隣接する2個の構造の間かであるように、第1標的の場所から前記列の長手方向と垂直な方向に少しオフセットがある、第2レーザビームを発生するステップと、
第1列の選択された構造を第1の期間照射するために第1列に沿って第1標的の場所を通過するように、かつ、第2列に沿った第1標的の場所の前回の通過の際に第1レーザビームによって以前照射された構造を第2の期間照射するために第2列に沿って第2標的の場所を同時に通過するように、第1及び第2のレーザ光軸に対して前記列の構造とほぼ平行な方向に半導体基板(740)を動かすステップとを含む、複数の構造を有する半導体基板(740)を加工するための方法。
【請求項25】
第1及び第2レーザビームはそれぞれ第1セットの光学特性及び第2セットの光学特性を有し、第1セットの光学特性と第2セットの光学特性とは互いに異なる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1レーザビーム光軸は、第2レーザビーム光軸から前記列の長手方向と平行な方向に少しオフセットがある、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
第1レーザビームが第1標的の場所に到達することを選択的にブロックするステップと、
第2レーザビームが第2標的の場所に到達することを選択的にブロックするステップとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
第1及び第2レーザビームは実質的に同時に半導体基板(740)に到達する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記動かすステップの際に、半導体基板(740)上に第1及び第2レーザビーム光軸が投射する場所の間の相対間隔を動的に調整するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記構造は導電性があるリンクであり、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
半導体基板(740)は複数のダイスを含み、第1レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の1個のダイスに投射し、第2レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の別のダイスに投射する、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
ある構造に第2レーザビームが投射する場所は、該構造に第1レーザビームが投射する場所から該構造の長手方向にオフセットがある、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法で加工された半導体基板(740)。
【請求項34】
少なくとも第1レーザビーム及び第2レーザビームを発生するレーザ光源と、第1レーザビームの伝搬光路と、第2レーザビームの伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のレーザビームで選択的に照射される複数の構造を有する半導体基板(740)を加工するためのシステムであって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置され、
第1レーザビーム伝搬光路は、前記レーザ光源から半導体基板(740)へ行き、半導体基板(740)の上又は内部の第1標的の場所と交差する第1レーザビーム光軸を有し、
第2レーザビーム伝搬光路は、前記レーザ光源から半導体基板(740)へ行き、半導体基板(740)の上又は内部の第2標的の場所と交差する第2レーザビーム光軸を有し、第2標的の場所は、第1標的の場所が複数の構造の第1列の上の1個の構造であるとき、第2標的の場所が第1列とは別個の第2列の上の1個の構造か、隣接する2個の構造の間かであるように、前記列の長手方向に垂直な方向に第1標的の場所から少しオフセットがあり、
移動ステージ(660)は、第1列の選択された構造を第1の期間照射するために第1列に沿って第1標的の場所を通過するように、かつ、第2列に沿った第1標的の場所の前回の通過の際に第1レーザビームによって以前照射された構造を第2の期間照射するために第2列に沿って第2標的の場所を同時に通過するように、第1及び第2のレーザ光軸に対して前記列の構造とほぼ平行な方向に半導体基板(740)を動かす、半導体基板(740)を加工するためのシステム。
【請求項35】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項41】
第2レーザビーム伝搬光路内に配置され、第2の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項42】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項43】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項44】
スループットの利益を得るためにN組のレーザパルスを使う、半導体基板(740)の上又は内部の構造の加工における使用のための方法であって、
Nは2又は3以上であり、前記構造はほぼ長手方向に延びる実質的に平行な複数の列をなして配置され、前記N組のレーザパルスは、N本のそれぞれ別個の列の選択された構造に投射するまでN本のそれぞれのビーム光軸に沿って伝搬し、
前記N本の列の構造を加工するように、実質的に一斉に前記N本のレーザビーム光軸を半導体基板に対して長手方向に同時に動かすための合同速度プロフィールを決定するステップを含み、
前記合同速度プロフィールは、前記N組のレーザパルスのそれぞれと該N組のレーザパルスで加工される構造のN本の列のそれぞれとについて前記合同速度プロフィールが実施可能な速度を表すことを担保しつつ、スループットの利益が達成されるように決定される、方法。
【請求項45】
前記決定するステップは、
前記N本の列のそれぞれについて、各組のレーザパルスで構造を加工するように、半導体基板(740)に対する各レーザビーム光軸を長手方向へ動かすための速度プロフィール(410)を決定して、N個の個別の速度プロフィール(410)を得るステップと、
前記N個の個別の速度プロフィール(410)を比較して、前記合同速度プロフィールを決定するステップとを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記合同速度プロフィールは、該プロフィールに沿った各点での前記N個の個別の速度プロフィール(410)の最小速度数値である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記合同速度プロフィールは、構造がレーザパルスで加工されている間は、前記N個の個別の速度プロフィール(410)の最小数値を超えない、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記N個の個別の速度プロフィール(410)はそれぞれの一定速度を有する整列したセクション(440)を含み、前記合同速度プロフィールは、前記N個の対応する一定速度の最小値である一定速度を有する対応するセクションを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記N本の列のうちの1本又は2本以上は照射されるべき構造を有さないギャップ(460)を含み、N本の列の全てが互いに整列したギャップを含む場合には、前記合同速度プロフィールはギャッププロフィールを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記合同速度プロフィールは、一定速度のセクションを1個または2個以上含む、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記N組のレーザパルスを発生させるステップと、
前記N本の列の構造をそれぞれN組のレーザパルスで選択的に照射するように、前記合同速度プロフィールに従って、半導体基板(740)に対して一斉に前記N本のレーザビーム光軸を長手方向に動かすステップとを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記決定するステップは、
1セットのマスターコーディネートを作成するステップと、
レーザ照射されるべき前記N本の列の各構造について、マスターコーディネートからの相対オフセットコーディネートを決定するステップと、
前記セットのマスターコーディネートに基づいて前記N本の列について合同速度プロフィールを決定するステップとを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記構造は導電性のあるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
半導体基板(740)は複数のダイスを含み、第1レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の1個のダイスに投射し、第2レーザビーム光軸は半導体基板(740)上の別の1個のダイスに投射する、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
請求項44に記載の方法を実行するプログラムが埋め込まれたコンピュータで読み取り可能な媒体。
【請求項56】
半導体基板(740)であって、
該基板の上に単一レーザビームによってよりも迅速にN本のレーザビームによって照射されるように定位され、Nは2又は3以上であり、前記N本のレーザビームは半導体基板(740)の上を1つの配向で投射するように配置され、
半導体基板(740)は、ほぼ長手方向に延びる複数の列をなして配置された複数の構造を含み、少なくともN本のかかる列は、該N本の列が前記配向に実質的に適合するように配置された1個または2個以上のセクションを有するように、構成及び配置され、半導体基板(740)は、前記N本のレーザビームの使用によって高いスループットで照射加工でき、各レーザビームスポットは、N列の前記セクションのうちの1個のそれぞれの列の構造の上に同時に投射する、半導体基板(740)。
【請求項57】
前記列の長手方向に前記N個のレーザビームスポットを同時に動かすための前記合同速度プロフィールを最大化するように前記構造が配置される、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項58】
前記N本の列は照射加工されるべき構造がない整列したギャップを含み、該ギャップは前記N本の列に沿った長手方向に実質的に整列して配置される、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項59】
前記N本の列に沿った構造の配置は該列の長手方向ではほぼ同一である、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項60】
前記N本の列は、前記N本のレーザビームが単一のレンズを使って半導体基板(740)上に合焦できるほど互いに十分近接して前記列の長手方向と垂直な方向に配置される、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項61】
前記セクションはほぼ一定ピッチで間隔を置いて配置される隣接した構造を有する、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項62】
前記配向は、前記列の長手方向と実質的に垂直な方向でほぼコリニアである、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項63】
半導体基板(740)の実質的に全ての構造が長手方向に整列した列をなして配置される、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項64】
半導体基板(740)内の列の総数がNの整数倍である、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項65】
前記構造はリンクである、請求項56に記載の半導体基板(740)。
【請求項66】
複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法であって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームを発生するステップと、
半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームを発生するステップと、
第1及び第2レーザビームを前記列の別々の第1及び第2構造の上に同時に導くステップと、
第1及び第2レーザビームのうちの1個または2個以上で前記列の構造を選択的に照射するように、半導体基板(740)に対して第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に前記列の長手方向と実質的に平行な方向に動かすステップとを含む、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法。
【請求項67】
第1及び第2構造は隣接していない、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
第1及び第2構造の近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1構造は第2構造から離れている、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
第1及び第2構造の間には2個又は3個以上の構造がある、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
第1及び第2構造の間の構造の数は偶数である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
半導体基板(740)と交差する第3レーザビーム光軸に沿って伝搬する第3レーザビームを発生するステップと、
第3レーザビームを前記列の構造の上に導くステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
第1及び第2レーザビームは、それぞれ第1及び第2セットの光学特性を有し、第1及び第2セットの光学特性は互いに異なる、請求項66に記載の方法。
【請求項73】
第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップと、
第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップとを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記動かすステップの際に、第1及び第2のレーザビーム光軸の投射場所の間の相対間隔を動的に調整するステップを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項75】
前記構造は導電性があるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項66に記載の方法。
【請求項76】
請求項66に記載の方法に従って加工された半導体基板(740)。
【請求項77】
少なくとも第1及び第2レーザビームを生成するレーザ光源と、第1及び第2レーザビームの伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステムであって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
第1レーザビームは第1レーザビームの伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向けて伝搬し、第1レーザビームの伝搬光路は第1スポットで半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸を有し、
第2レーザビームは第2レーザビームの伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向けて伝搬し、第2レーザビームの伝搬光路は第2スポットで半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸を有し、第1及び第2スポットは前記列のそれぞれ第1及び第2構造に同時に投射し、第1構造は第2構造とは別個であり、
移動ステージ(660)は、第1及び第2レーザビームのうちの1個または2個以上で同時に前記列の構造を選択的に照射するように、半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かす、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステム。
【請求項78】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項77に記載のシステム。
【請求項80】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項77に記載のシステム。
【請求項81】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項80に記載のシステム。
【請求項82】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項80に記載のシステム。
【請求項83】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項84】
第2レーザビーム伝搬光路内に配置され、第2の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項85】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項86】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項77に記載のシステム。
【請求項87】
複数のパルス発光レーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法であって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1パルス発光レーザビームを発生するステップと、
半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2パルス発光レーザビームを発生するステップと、
構造あたり単一のレーザパルスで前記構造を完全に照射するように、第1及び第2パルス発光レーザビームからのそれぞれ第1及び第2パルスを前記列の第1及び第2構造上に向けるステップと、
第1レーザビームか第2レーザビームかのいずれかで前記列の構造を選択的に照射するように、半導体基板(740)に対して前記列の長手方向に実質的に平行な方向に第1パルス発光レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かすステップとを含み、
第1構造は第2構造とは別個のものであり、前記動かすステップは、単一のレーザビームだけが前記列の構造を照射するのに用いられる場合の速度より速い速度で動かす、複数のパルス発光レーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法。
【請求項88】
第1及び第2パルスはそれぞれ第1及び第2構造に同時に送達される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記構造は導電性があるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断につながる、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記構造は、潜在的に導電性があるリンクを含み、リンクの照射は該リンクを電気的に接続することにつながる、請求項87に記載の方法。
【請求項91】
第1及び第2構造は隣接しない、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
第1及び第2構造の近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1構造は第2構造から離れている、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
第1及び第2構造の間には2個又は3個以上の構造がある、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
第1及び第2構造の間の構造の数は偶数である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
第1及び第2レーザビーム光軸はそれぞれ第1及び第2スポットで半導体基板(740)と交差し、第1及び第2スポットは前記列の長手方向と実質的に垂直な方向に互いに少しオフセットがある、請求項87に記載の方法。
【請求項96】
半導体基板(740)と交差する第3レーザビーム光軸に沿って伝搬する第3レーザビームを発生するステップと、
第3レーザビームを前記列の構造の上に導くステップとを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項97】
第1及び第2レーザビームはそれぞれ第1セットの光学特性及び第2セットの光学特性を有し、第1セットの光学特性と第2セットの光学特性とは互いに異なる、請求項87に記載の方法。
【請求項98】
第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップと、
第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップとを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項99】
前記動かすステップの際に、第1及び第2スポットの間の相対間隔を動的に調整するステップを含む、請求項87に記載の方法。
【請求項100】
請求項87に記載の方法に従って加工された半導体基板(740)。
【請求項101】
少なくとも第1及び第2レーザビームを生成するレーザ光源と、第1及び第2レーザビームの伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のパルス発光レーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステムであって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
第1レーザビームは第1レーザビームの伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向けて伝搬し、第1レーザビームの伝搬光路は第1スポットで半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸を有し、
第2レーザビームは第2レーザビームの伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向けて伝搬し、第2レーザビームの伝搬光路は第2スポットで半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸を有し、第1及び第2スポットは前記列のそれぞれ第1及び第2構造に投射し、第1構造は第2構造とは別個であり、
移動ステージ(660)は、第1パルス発光レーザビームか、第2パルス発光レーザビームかのいずれかで前記列の構造を選択的に照射して、前記列のいずれかの構造がたった1個のレーザビームパルスによって照射されるように、半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かし、これによって、移動ステージ(660)は単一のレーザビームが前記列の構造を照射するのに用いられる場合に要する時間より短い時間で前記列の全長を横切る、複数のパルス発光レーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステム。
【請求項102】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項101に記載のシステム。
【請求項104】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項101に記載のシステム。
【請求項105】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項104に記載のシステム。
【請求項106】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項104に記載のシステム。
【請求項107】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項108】
第2レーザビーム伝搬光路内に配置され、第2の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項109】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項110】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項101に記載のシステム。
【請求項111】
複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法であって、該構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームを発生するステップと、
半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームを発生するステップと、
前記列の第1及び第2構造の上に第1及び第2レーザビームを導くステップと、
半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に前記列に沿って第1及び第2レーザビームを実質的に一斉に動かすステップとを含み、
第1構造は第2構造とは隣接しない、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法。
【請求項112】
第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップと、
第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップとを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
第1レーザビームは前記列の1個の構造を第1の期間照射し、その後、第2レーザビームは該1個の構造を第2の期間照射する、請求項111に記載の方法。
【請求項114】
前記列の選択された構造は、第1レーザビームか第2レーザビームかのいずれかによって照射されるが、第1レーザビーム及び第2レーザビームの両方によって照射されることはなく、前記動かすステップは、単一のレーザビームだけが前記列の構造を照射するのに利用される場合の速度よりも速い速度で動かすことができる、請求項111に記載の方法。
【請求項115】
第1及び第2構造の近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1構造は第2構造から離れている、請求項111に記載の方法。
【請求項116】
第1及び第2構造の間には2個又は3個以上の構造がある、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
第1及び第2構造の間の構造の数は偶数である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
第1及び第2レーザビーム光軸はそれぞれ第1及び第2スポットで半導体基板(740)と交差し、第1及び第2スポットは前記列の長手方向と実質的に垂直な方向に互いに少しオフセットがある、請求項111に記載の方法。
【請求項119】
第1及び第2スポットの近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1スポットは第2スポットから離れている、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
半導体基板(740)と交差する第3レーザビーム光軸に沿って伝搬する第3レーザビームを発生するステップと、
第3レーザビームを前記列の構造の上に導くステップとを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項121】
第1及び第2レーザビームは、それぞれ第1及び第2セットの光学特性を有し、第1及び第2セットの光学特性は互いに異なる、請求項111に記載の方法。
【請求項122】
前記動かすステップの際に、第1及び第2のレーザビーム光軸の間の相対間隔を動的に調整するステップを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項123】
前記構造は導電性があるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項111に記載の方法。
【請求項124】
第1及び第2レーザビームはパルス発光レーザビームである、請求項111に記載の方法。
【請求項125】
第1及び第2レーザビームはそれぞれ第1及び第2構造の上に同時にパルス発光する、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
請求項111に記載の方法に従って加工された半導体基板(740)。
【請求項127】
少なくとも第1及び第2レーザビームを発生するレーザ光源と、第1及び第2レーザビームの伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステムであって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向かって伝搬し、第1レーザビーム伝搬光路は第1スポットで半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸を有し、
第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向かって伝搬し、第2レーザビーム伝搬光路は第2スポットで半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸を有し、第1及び第2スポットは前記列の第1及び第2構造の上に投射し、第1構造は第2構造とは隣接せず、
移動ステージ(660)は半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かす、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するためのシステム。
【請求項128】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項127に記載のシステム。
【請求項130】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項127に記載のシステム。
【請求項131】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項130に記載のシステム。
【請求項133】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項134】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項135】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項136】
複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法であって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸に沿って伝搬する第1レーザビームを発生するステップと、
半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸に沿って伝搬する第2レーザビームを発生するステップと、
第1及び第2レーザビームを前記列のそれぞれ第1及び第2構造の上の第1及び第2スポットの上に導くステップと、
半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かすステップとを含み、
第1スポットは第2スポットとは別個であり、第2スポットは、第1スポットから前記列の長手方向と垂直な方向に少しオフセットがある、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法。
【請求項137】
第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップと、
第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのを選択的にブロックするステップとを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
第1レーザビームは前記列の1個の構造を第1の期間照射し、その後、第2レーザビームは該1個の構造を第2の期間照射する、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記列の選択された構造は、第1レーザビームか第2レーザビームかのいずれかによって照射されるが、第1レーザビーム及び第2レーザビームの両方によって照射されることはなく、前記動かすステップは、単一のレーザビームだけが前記列の構造を照射するのに利用される場合の速度よりも速い速度で動かすことができる、請求項136に記載の方法。
【請求項140】
第1構造は第2構造とは隣接しない、請求項136に記載の方法。
【請求項141】
第1及び第2構造の間には2個又は3個以上の構造がある、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
第1及び第2構造の間の構造の数は偶数である、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
第1及び第2構造の近傍の半導体基板(740)に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるために十分な距離だけ第1構造は第2構造から離れている、請求項136に記載の方法。
【請求項144】
第1及び第2レーザビームは、それぞれ第1及び第2セットの光学特性を有し、第1及び第2セットの光学特性は互いに異なる、請求項136に記載の方法。
【請求項145】
前記構造は導電性があるリンクを含み、リンクの照射は該リンクの切断をもたらす、請求項136に記載の方法。
【請求項146】
請求項136に記載の方法に従って加工された半導体基板(740)。
【請求項147】
少なくとも第1及び第2レーザビームを発生するレーザ光源と、第1及び第2レーザビーム伝搬光路と、移動ステージ(660)とを含む、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法であって、
前記構造はほぼ長手方向に延びる列をなして配置され、
第1レーザビームは第1レーザビーム伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向かって伝搬し、第1レーザビーム伝搬光路は第1スポットで半導体基板(740)と交差する第1レーザビーム光軸を有し、
第2レーザビームは第2レーザビーム伝搬光路に沿って半導体基板(740)に向かって伝搬し、第2レーザビーム伝搬光路は第2スポットで半導体基板(740)と交差する第2レーザビーム光軸を有し、第1及び第2スポットは前記列の第1及び第2構造の上に投射し、第1構造は第2構造とは別個であり、第1及び第2スポットは前記列の長手方向と垂直な方向に少しの距離だけ離れており、
移動ステージ(660)は、半導体基板(740)に対して前記列の長手方向と実質的に平行な方向に第1及び第2レーザビーム光軸を実質的に一斉に動かす、複数のレーザビームを使って半導体基板(740)の上又は内部の構造を選択的に照射するための方法。
【請求項148】
前記レーザ光源は、それぞれ第1及び第2のレーザ(720−1、720−2、...)を含む、請求項147に記載のシステム。
【請求項149】
前記レーザ光源は、レーザ(720)と、ビームスプリッタ(745)とを含み、
ビームスプリッタ(745)は、レーザ(720)と、半導体基板(740)との間の第1及び第2両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される、請求項147に記載のシステム。
【請求項150】
第1光学スイッチ(750)と第2光学スイッチ(750)とを含み、
第1光学スイッチ(750)は、第1レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第1レーザビームを透過させるか、第1レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができ、
第2光学スイッチ(750)は、第2レーザビームの伝搬光路内に配置され、選択的に第2レーザビームを透過させるか、第2レーザビームが半導体基板(740)に到達するのをブロックすることができる、請求項147に記載のシステム。
【請求項151】
第1及び第2光学スイッチ(750)はAOMsである、請求項150に記載のシステム。
【請求項152】
第1及び第2光学スイッチ(750)に接続されたコントローラ(690)を含み、
コントローラ(690)は、選択された構造だけを照射するように第1及び第2光学スイッチ(750)の状態を設定する、請求項150に記載のシステム。
【請求項153】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置され、第1の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項147に記載のシステム。
【請求項154】
第2レーザビーム伝搬光路内に配置され、第2の場所を調整できるビームステアリング機構(760、764、766、768)を含む、請求項147に記載のシステム。
【請求項155】
第1及び第2のレーザビーム伝搬光路の両方に配置されるビームコンバイナ(765)と、
ビームコンバイナ(765)と半導体基板(740)との間の第1及び第2の両方のレーザビーム伝搬光路内に配置される集光レンズ(730)とを含む、請求項147に記載のシステム。
【請求項156】
第1レーザビーム伝搬光路内に配置される第1集光レンズ(730A)と、第2レーザビーム伝搬光路内に配置される第2集光レンズ(730B)とを含む、請求項147に記載のシステム。
【請求項157】
半導体基板(740)の上又は内部の選択された構造を加工するためにレーザパルスを使用する方法であって、
前記構造は表面と幅と全長とを有し、前記レーザパルスが前記選択された構造を照射するとき、該レーザパルスは前記基板に対して走査ビーム光路に沿って動く光軸に沿って伝搬し、
前記選択された構造の上に第1及び第2レーザビームパルスを同時に発生するステップであって、第1及び第2レーザビームパルスはそれぞれ第1及び第2レーザビーム光軸に沿って伝搬し、第1及び第2レーザビーム光軸は第1及び第2の場所で前記選択された構造と交差し、第1の場所は第2の場所とは別個であり、第1及び第2レーザビームパルスはそれぞれ第1及び第2ビームスポットを前記選択された構造の上に投射し、該ビームスポットのそれぞれは前記選択された構造の少なくとも幅を包含し、第1及び第2ビームスポットは、第1及び第2ビームスポットの両方に覆われた重複領域と、第1及び第2ビームスポットのうちの一方又は両方に覆われた全領域とを画定するために、前記選択された構造の全長に沿った互いからの空間的なオフセットを有し、前記全領域は、第1ビームスポットより大きく、第2ビームスポットよりも大きい、ステップと、
前記全領域の少なくとも一部で前記選択された構造の幅を横切って該構造の完全な深さ方向加工を起こすために、第1及び第2レーザビームパルスのそれぞれ第1及び第2エネルギー値を設定するステップとを含む、半導体基板(740)の上又は内部の選択された構造を加工するためにレーザパルスを使用する方法。
【請求項158】
第1及び第2レーザビーム光軸が前記走査ビーム光路に沿って動くときに、前記選択された構造の完全な深さ方向加工をオンザフライで起こすために、第1及び第2レーザビームパルスの間の時間遅延を確立するステップを含む、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記時間遅延は、前記選択された構造の近傍に有害な濃度のエネルギーが吸収されることを避けるのに十分な大きさである、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
第1及び第2ビームスポットは、前記選択された構造の長手方向と垂直な方向に互いからの空間的なオフセットを有する、請求項158に記載の方法。
【請求項161】
第1及び第2レーザエネルギービームパルスはほぼ等しいエネルギーを有する、請求項157に記載の方法。
【請求項162】
第1及び第2ビームスポットはレーザビームサイズがほぼ等しい、請求項157に記載の方法。
【請求項163】
第1及び第2ビームスポットの前記空間的なオフセットは、前記レーザビームスポットのサイズの約50%未満である、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
第2レーザビームパルスは第1レーザビームパルスと異なる光学特性が少なくとも1つある、請求項157に記載の方法。
【請求項165】
前記選択された構造は導電性のあるリンクで、前記加工の目的は、前記リンクを切断するためである、請求項157に記載の方法。
【請求項166】
前記分割するステップは、
前記単一のレーザビームを予め定められた角度だけ離れた2本のビームに回折するステップを含み、
前記2本のビームは、前記選択された構造の全長に沿って該選択された構造の上に第1及び第2ビームスポットを形成するために、1個または2個以上の光学コンポーネントを通過し、第1及び第2ビームスポットの空間的なオフセットを達成する、請求項165に記載の方法。
【請求項167】
請求項157に記載の方法に従って加工された半導体基板(740)。
【請求項168】
パルス発光レーザと、第1及び第2レーザビーム伝搬光路とを含むシステムであって、
第1及び第2レーザビーム伝搬光路は前記パルス発光レーザから半導体基板(740)の上の第1及び第2の場所に延び、第1の場所は第2の場所とは別個であり、半導体基板(740)は前記パルス発光レーザからの照射によって加工できる構造を含み、該構造は表面と幅と全長とを有し、1個のパルスの間に第1及び第2ビームスポットは、該ビームスポットのそれぞれが前記構造の少なくとも幅を包含するように、前記構造の上の第1及び第2の場所の上を投射し、第1及び第2ビームスポットは、第1及び第2ビームスポットの両方に覆われた重複領域と、第1及び第2ビームスポットのうちの一方又は両方に覆われた全領域とを画定するために、前記選択された構造の全長に沿った互いからの空間的なオフセットを有し、前記全領域は、第1ビームスポットより大きく、第2ビームスポットよりも大きく、前記パルスは、前記全領域の少なくとも一部で前記構造の幅を横切って完全な深さ方向加工を起こすエネルギーで、前記選択された構造の第1及び第2ビームスポットを照射する、システム。
【請求項169】
第1及び第2の両方の伝搬光路内に配置されるビームスプリッタ(745)を含み、
ビームスプリッタ(745)は、RF出力レベル及びRF周波数を有するRFシグナルを受け入れるための入力を有し、ビームスプリッタ(745)を通過するレーザビームをビームスプリッタ(745)は予め定められた角度だけ離れた2本のビームに回折する、請求項168に記載のシステム。
【請求項170】
第1及び第2ビームスポットの前記空間的なオフセットは前記レーザビームスポットのサイズの約50%未満であり、該空間的なオフセットはビームスプリッタ(745)に供給される前記RFシグナルのRF周波数によって決定される、請求項169に記載のシステム。
【請求項171】
第1及び第2伝搬光路は全長が異なり、前記構造の上に入射する第1及び第2ビームスポットの間の前記レーザパルスの時間遅延を確立する、請求項168に記載のシステム。
【請求項172】
第1及び第2伝搬光路のうちの1つは予め定められた全長のファイバーを含む、請求項168に記載のシステム。
【請求項173】
第1及び第2伝搬光路のうちの1つは光学エレメント(735)を含み、光学エレメント(735)は、第1及び第2ビームスポットに到達するパルスが異なる光学特性を有するように、光学特性を変化させる、請求項168に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−138597(P2012−138597A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−35216(P2012−35216)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2007−516763(P2007−516763)の分割
【原出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】