走行画像撮影装置、走行画像撮影方法及び走行画像撮影プログラム
【課題】連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことを可能にする走行画像撮影装置を提供する。
【解決手段】走行画像撮影装置は、走行している移動体から外部の風景を撮影する装置であり、撮影手段と、方向変化量検出手段と、制御手段と、を備える。撮影手段は、例えば、カメラを含む装置であり、移動体に搭載されると共に移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する。方向変化量検出手段は、移動体の進行方向の角度の変化量を検出する。制御手段は、方向変化量検出手段により検出された変化量に基づいて、撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように撮影手段を制御する。方向変化量検出手段、及び、制御手段は、例えばシステムコントローラである。このようにすることで、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【解決手段】走行画像撮影装置は、走行している移動体から外部の風景を撮影する装置であり、撮影手段と、方向変化量検出手段と、制御手段と、を備える。撮影手段は、例えば、カメラを含む装置であり、移動体に搭載されると共に移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する。方向変化量検出手段は、移動体の進行方向の角度の変化量を検出する。制御手段は、方向変化量検出手段により検出された変化量に基づいて、撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように撮影手段を制御する。方向変化量検出手段、及び、制御手段は、例えばシステムコントローラである。このようにすることで、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行している移動体の外部の風景を撮影する走行画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、道路データの整備のため、全国を2台のカメラを搭載した車両で走行して、5m間隔で車両外部の風景を撮影することが行われている。撮影された画像は、走行画像として記録され、地図整備作業の際に参照情報として利用される。具体的には、地図情報を整備する作業者は、記録された走行画像を連続して再生することで、画像間の関連を確認しながら、車両の移動状況を把握し、地図情報の整備作業を行う。例えば、以下の特許文献1には、道路上の実写画像を撮影するための複数の撮像手段を備え、ハンドル部の操作に応じて移動体の方向転換を検出し、当該ハンドル部の回転角度に基づいて撮像手段を制御する撮像システムが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−202227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に搭載されたカメラは、車両が5m進む毎に画像を記録しているため、車両の走行軌跡が曲がっている場所では、曲がる前と後とで大きく撮影方向が変化して、撮影されない物体が存在することがある。このようにして撮影された画像を閲覧した場合、地図整備に有用な情報が多いはずの交差点の情報を十分に得ることが出来ないため、連続する前後の画像の関係が掴み難くなり、地図情報の整備作業をスムーズに行うことが出来なくなる恐れがある。特許文献1に記載の撮像システムでは、交差点に入る前の画像1枚と、交差点を出てからの画像1枚を記録することを目的としているため、車両が交差点で曲がっている間においては、画像を全く撮影しておらず、上記の問題を解決することができない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことを可能にする走行画像撮影装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、走行画像撮影装置であって、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法であって、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムであって、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの観点では、走行画像撮影装置は、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
上記の走行画像撮影装置は、走行している移動体から外部の風景を撮影する装置であり、撮影手段と、方向変化量検出手段と、制御手段と、を備える。撮影手段は、例えば、カメラを含む装置であり、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する。方向変化量検出手段は、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する。制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する。方向変化量検出手段、及び、制御手段は、例えばシステムコントローラである。このようにすることで、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0011】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記所定の撮影間隔を変化させる。このようにすることで、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0012】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量が所定値よりも大きい場合には、前記所定の撮影間隔に該当しない場合であっても、前記撮影手段を制御して前記移動体の外部の風景を撮影する。このようにしても、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、この態様によれば、処理を簡単にすることができる。
【0013】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記移動体の進行方向に対する前記撮影手段の撮影方向の角度を変化させる。このようにしても、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、この態様によれば、撮影間隔を常に一定に保つことができる。
【0014】
本発明の他の観点では、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法は、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備える。この方法によっても、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0015】
本発明の更なる他の観点では、コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムは、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させる。この走行画像撮影プログラムをコンピュータに実行させることにより、上記の走行画像撮影装置を実現することができる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0017】
[走行画像撮影装置]
図1に、各実施例に係る走行画像撮影装置100の構成を示す。走行画像撮影装置100は、車両70に搭載される装置であり、走行している車両70の外部の風景を撮影するためのものである。走行画像撮影装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、データ記憶ユニット36、表示ユニット40、撮影装置50、入力装置60を備える。
【0018】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両70の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両70の方向変換時における車両70の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両70の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0019】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両70の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0020】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。本発明の走行画像撮影装置は、CPU22が、予めROM23などに記録されたプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
システムコントローラ20、データ記憶ユニット36、表示ユニット40、カメラ50、入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0022】
撮影装置50は、車両70に搭載され、車両70の前方の風景を撮影する。撮影装置50は、カメラ51とカメラ制御部52とより構成されている。図2は、撮影装置50が車両70の前方の風景を撮影する様子を示している。カメラ51は、図2に示すように、車両70の前方の風景を撮影する。なお、以下において、撮影装置50の撮影方向とは、カメラ51の撮影方向のことを示すものとする。カメラ制御部52は、システムコントローラ20からの制御信号に基づいて、カメラ51の撮影タイミングの制御や、カメラ51の撮影方向の制御を行う。撮影装置50は、本発明における撮影手段として機能する。
【0023】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDやDVDなどであり、地図データベース(以下、「地図DB」と称す)を保持している。当該地図DBでは、例えば、地図情報が、複数のノードと、当該ノード間を結ぶリンク(道路リンク)から構成されるベクタデータの形式で表現されている。また、データ記憶ユニット36には、撮影装置50によって撮影された走行画像が記録される。
【0024】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、走行画像撮影装置100全体の制御を行う。具体的には、システムコントローラ20は、撮影装置50により撮影された走行画像をデータ記憶ユニット36に記録する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように撮影装置50を制御する。従って、システムコントローラ20は、方向変化量検出手段、及び、制御手段として機能する。
【0025】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36の地図DBから地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によって読み出された地図情報を、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。また、表示ユニット40は、撮影装置50によって撮影された走行画像を表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記録するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。
【0026】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン等から構成されている。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0027】
以下に各実施例に係る走行画像撮影装置100について具体的に述べることとする。
【0028】
[第1実施例]
第1実施例に係る走行画像撮影装置100について図3、図4を用いて具体的に述べる。図3は、一般的な走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図であり、図4は、第1実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図3、図4において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図3、図4において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。なお、第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、撮影装置50の撮影方向は、常に、車両70の進行方向と同じ方向に設定される。
【0029】
図3に示すように、一般的な走行画像撮影装置の撮影方法では、撮影装置50は、例えば、車両が5m進む毎に車両70の前方の風景を撮影する。このときの撮影範囲を撮影範囲51gとして示す。車両70が直進している場合には、撮影装置50の撮影方向は常に同じ方向となるため、撮影範囲51gは大きく変化することはない。そのため、ユーザは、撮影装置50により連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することができる。
【0030】
しかしながら、車両70が方向転換する場合には、図3に示すように、撮影装置50の撮影方向は大きく変化するため、撮影範囲51gも大きく変化する。そのため、撮影装置50の撮影間隔が5m程度といった比較的長い場合には、図3に示すように、車両70が方向転換する際に、何れの撮影範囲51gにも入らない領域CAが発生してしまう。そのため、ユーザは、撮影装置50により連続して撮影された走行画像間の繋がりを掴み難くなる。
【0031】
そこで、第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50の撮影間隔を変化させることとする。具体的には、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値よりも大きい場合には、車両70が方向転換しているとして、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値以下の場合(即ち、車両70が直進している場合)と比較して、撮影装置50の撮影間隔を短くすることとする。この所定値は、予め、ユーザにより決定され、RAMなどに記録されている。具体的には、ユーザは、撮影装置50により撮影された走行画像をディスプレイ44に表示し、ディスプレイ44に表示された走行画像を見ながら、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように当該所定値を決定する。
【0032】
図4に示す例では、車両70が直進している場合には、システムコントローラ20は撮影装置50の撮影間隔を5mとし、車両70が方向転換している場合には、システムコントローラ20は撮影装置50の撮影間隔を1mとしている。このようにすることで、図4に示すように、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりLAを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0033】
(第1実施例に係る走行画像撮影処理)
第1実施例に係る走行画像撮影処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。図5は第1実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0034】
まず、ステップS101において、システムコントローラ20は、撮影間隔RIの初期値を設定する。例えば、システムコントローラ20は、撮影間隔RIの初期値を5mに設定する。この撮影間隔RIの初期値は、車両70の直進時における撮影装置50の撮影間隔となる。
【0035】
ステップS102において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS102の処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。その後、ステップS103へ進む。
【0036】
ステップS103において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0037】
図6は、車両70の方向変化の様子を示す模式図である。図6において、位置P2は、現在の車両70の位置を示し、位置P1は、直近の撮影時における車両70の位置を示している。また、位置P2における車両70の進行方向をD2とし、位置P1における車両70の進行方向をD1とする。従って、車両70が位置P1に来たときの走行距離がRRとなり、そのときの車両70の進行方向D1の角度(特定の方向に対する車両70の進行方向D1の角度)がDRとなる。また、車両70が位置P2に来たときの走行距離がRCとなり、そのときの車両70の進行方向の角度(特定の方向に対する車両70の進行方向D2の角度)がDCとなる。従って、直近に撮影された位置からの車両70の走行距離は、位置P1と位置P2との間の距離であるRC−RRとなる。また、車両70の進行方向の角度の変化量DDは、進行方向D1と進行方向D2との間の角度たる|DC−DR|となる。
【0038】
ステップS104において、システムコントローラ20は、単位走行距離当たりの車両70の進行方向の角度の変化量DDLを求める。変化量DDLは、|(DC−DR)/(RC−RR)|として求められる。
【0039】
ステップS105において、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DXよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DXよりも大きいと判定した場合には(ステップS105:Yes)、撮影間隔RIを1mに設定する(ステップS111)。一方、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DX以下であると判定した場合には(ステップS105:No)、ステップS106に進む。このステップS105の処理は、車両70が方向転換し始めたか否か、を判定するための処理である。
【0040】
ステップS106において、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DYよりも小さいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DYよりも小さいと判定した場合には(ステップS106:Yes)、撮影間隔RIを5mに設定する(ステップS112)。一方、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DY以上であると判定した場合には(ステップS106:No)、ステップS107に進む。このステップS106の処理は、車両70の方向転換が終了したか否か、を判定するための処理である。
【0041】
ここで、所定値DX、DYは、予め、ユーザにより決定され、RAMなどに記録されている。具体的には、車両70が方向転換している間、ユーザは、撮影装置50により撮影された走行画像をディスプレイ44に表示し、ディスプレイ44に表示された走行画像を見ながら、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように所定値DX、DYを決定する。
【0042】
ステップS107において、システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRI以上になっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRIよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS107:No)、ステップS110へ進む。一方、システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRI以上になっていると判定した場合には(ステップS107:Yes)、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する(ステップS108)。つまり、ステップS107の処理により、車両70が撮影間隔RI進む毎に、撮影装置50による撮影が行われる。
【0043】
ステップS109において、システムコントローラ20は、ステップS103で求められた現在の走行距離RC、車両70の現在の進行方向の角度DCを夫々、直近の撮影時における走行距離RR、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS109)。ステップS110において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS110:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS110:No)、ステップS103へ戻る。
【0044】
第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50の撮影間隔を変化させることとする。このようにすることで、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0045】
[第2実施例]
次に、第2実施例に係る走行画像撮影装置100について図7を用いて具体的に述べる。図7は、第2実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図7において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図7において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。なお、第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、撮影装置50の撮影方向は、常に、車両70の進行方向と同じ方向に設定される。
【0046】
第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量が所定値よりも大きい場合には、予め設定された撮影間隔に該当しない場合であっても、撮影装置50を制御して撮影を行うこととする。具体的には、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離が予め設定された撮影間隔よりも小さい場合であっても、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)が所定値よりも大きい場合(車両70が方向転換している場合)には、撮影装置50による撮影を行うこととする。この所定値は、後に詳しく述べるが、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。
【0047】
図7に示す例では、システムコントローラ20は、撮影装置50の撮影間隔を5mとしている。システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)が所定値よりも大きいと判定した場合には、直近に撮影された位置からの走行距離が、撮影間隔5mよりも小さい場合であっても、撮影装置50による撮影を行っている。このようにすることで、第1実施例と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0048】
(第2実施例に係る走行画像撮影処理)
第2実施例に係る走行画像撮影処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8は第2実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の例では、撮影間隔は5mに設定されているものとする。
【0049】
ステップS201において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS201における処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。
【0050】
ステップS202において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0051】
ステップS203において、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが、撮影間隔たる5m以上になっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRが5m以上となっていると判定した場合には(ステップS203:Yes)、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する(ステップS206)。一方、システムコントローラ20は、RC−RRが5mよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS203:No)、ステップS204へ進む。
【0052】
ステップS204において、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)を求める。続いて、ステップS205において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいと判定した場合には(ステップS205:Yes)、車両70は方向転換しているとして、ステップS206に進む。ステップS206において、システムコントローラ20は、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶ユニット36に記録する。一方、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DT以下であると判定した場合には(ステップS205:No)、車両70は直進しているとして、ステップS202へ戻る。
【0053】
ステップS203〜S205の処理から分かるように、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが、予め設定された撮影間隔5mよりも小さい場合であっても、車両70の方向変化の変化量DDが所定値DTよりも大きい場合には、撮影装置50による撮影を行うこととする。この所定値DTは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。具体的には、カメラ51の画角をαとし、連続して撮影された走行画像間の重なりの部分の1つの走行画像中に占める割合をLgとすると、DT=α×(1−Lg)として求められる。これにより、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように所定値DTが決定される。
【0054】
ステップS207において、システムコントローラ20は、ステップS202で求められた現在の走行距離RC、車両70の現在の進行方向の角度DCを夫々、直近の撮影時における走行距離RR、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する。ステップS208において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS208:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS208:No)、ステップS202へ戻る。
【0055】
第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量が所定値よりも大きい場合には、予め設定された撮影間隔に該当しない場合であっても、撮影装置50による撮影を行うこととする。このようにしても、第1実施例に係る走行画像撮影装置と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、第2実施例に係る走行画像撮影装置100は、進行方向の角度の変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かによって撮影を行うか否かを決定しているので、第1実施例に係る走行画像撮影装置100と比較して、処理を簡単にすることができる。
【0056】
[第3実施例]
次に、第3実施例に係る走行画像撮影装置100について図9を用いて具体的に述べる。図9は、第3実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図9において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図9において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。
【0057】
第3実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。具体的には、コントローラ20は、撮影装置50の撮影間隔を常に一定とした上で、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値よりも大きい場合(車両70が方向転換している場合)には、車両70の進行方向に対し、カメラ51を左右の方向に回転させることにより、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。
【0058】
例えば、車両70が右折などのように進行方向に対し右方向に曲がった場合には、コントローラ20は、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を左方向に回転させる。また、車両70が左折などのように進行方向に対し左方向に曲がった場合には、コントローラ20は、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を右方向に回転させる。回転させる角度の大きさは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。図9では、車両70が交差点を左折している間、コントローラ20が、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を右方向に回転させていく例を示している。このようにすることで、第1実施例と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0059】
(第3実施例に係る走行画像撮影処理)
第3実施例に係る走行画像撮影処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。図10は第3実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の例では、撮影間隔は5mに設定されているものとする。
【0060】
まず、ステップS301において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS301における処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。
【0061】
ステップS302において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0062】
ステップS303において、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが撮影間隔である5m以上となっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRが5m以上となっていると判定した場合には(ステップS303:Yes)、ステップS304へ進む。一方、システムコントローラ20は、RC−RRが5mよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS303:No)、ステップS302の処理に戻る。
【0063】
ステップS304において、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)を求める。続いて、ステップS305において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも小さいと判定した場合には(ステップS305:Yes)、撮影装置50の撮影方向を車両の進行方向に設定し、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCの値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS306)。つまり、ステップS305の処理では、システムコントローラ20は、車両70が直進しているか否かを判定している。システムコントローラ20は、車両70が直進していると判定した場合には、ステップS306において、撮影装置50の撮影方向を車両70の進行方向に設定している。
【0064】
ここで、この所定値DTは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。具体的には、第2実施例でも述べたように、カメラ51の画角をαとし、連続して撮影された走行画像間の重なりの部分の1つの走行画像中に占める割合をLgとすると、DT=α×(1−Lg)として求められる。
【0065】
ステップS305において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DT以上であると判定した場合には(ステップS305:No)、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し右方向か否かを判定する(ステップS307)。システムコントローラ20は、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し右方向であると判定した場合には(ステップS307:Yes)、撮影装置50の撮影方向を、車両70の進行方向に対し左方向に|DD−DT|だけ回転させると共に、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCより|DD−DT|を引いた値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS308)。一方、システムコントローラ20は、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し左方向であると判定した場合には(ステップS307:No)、撮影装置50の撮影方向を、車両70の進行方向に対し右方向に|DD−DT|だけ回転させると共に、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCに|DD−DT|を足した値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS309)。
【0066】
ここで、ステップS307〜S309の処理について、図11(a)、(b)を用いて具体的に説明する。図11(a)、(b)は、撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示す模式図である。図11(a)は、車両70の進行方向と同じ方向に撮影装置50の撮影方向が設定されている場合における、撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示している。図11(b)は、第3実施例に係る撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示している。図11(a)、(b)では、車両70が角度DDで左折することにより、車両70の進行方向がD1からD2へ変化したものとし、それに伴い、撮影装置50の撮影方向もV1からV2へと変化したものとする。車両70の進行方向がD1の場合における撮影装置50の撮影範囲を51g1とし、車両70の進行方向がD2の場合における撮影装置50の撮影範囲を51g2とする。
【0067】
車両70の進行方向と同じ方向に撮影装置50の撮影方向が設定されている場合、即ち、V1がD1と同じ方向になっており、V2がD2と同じ方向になっている場合には、図11(a)に示すように、車両70が方向転換することにより、撮影装置50の撮影範囲51g1、51g2の何れにも入らない領域CAが発生する可能性がある。それに対し、第3実施例に係る撮影装置50では、図11(b)に示すように、システムコントローラ20は、車両70が方向転換する際に、撮影装置50の撮影方向V2を、車両70の進行方向D2に対して右方向に角度|DD−DT|だけ回転させる。このようにすることで、図11(b)に示すように、撮影装置50の撮影範囲51g1、51g2の間には一定の重なりLAを設けることができ、撮影範囲51g1、51g2の何れにも入らない領域CAが発生するのを防ぐことができる。
【0068】
図10のフローチャートに戻り、説明を続ける。ステップS306〜S309の処理が終了して、撮影装置50の撮影方向が決定されると、システムコントローラ20は、ステップS310へ処理を進める。ステップS310において、システムコントローラ20は、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する。ステップS311において、システムコントローラ20は、ステップS302で求められた現在の走行距離RCの値を、直近の撮影時における走行距離RRに代入する。ステップS312において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS312:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS312:No)、ステップS302へ戻る。
【0069】
第3実施例に係る走行画像撮影装置では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。このようにしても、第1実施例に係る走行画像撮影装置と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、第3実施例に係る走行画像撮影装置では、第1実施例及び第2実施例に係る走行画像撮影装置と異なり、撮影間隔は常に一定に保たれる。
【0070】
以上に述べたことから分かるように、本発明の走行画像撮影装置は、移動体に搭載されると共に当該移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、当該移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、当該方向変化量検出手段により検出された当該変化量に基づいて、当該撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように当該撮影手段を制御する制御手段と、を備える。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0071】
[変形例]
なお、上述の各実施例に係る走行画像撮影装置100は、車両70の前方の風景を撮影するカメラ51を備えるとしているが、これに限られるものではない。走行画像撮影装置100は、カメラ51の代わりに、又は、更に加えて、車両70の前方以外の方向の風景を撮影するカメラを備えるとしても本発明を適用可能である。例えば、走行画像撮影装置100は、車両70の前方の風景を撮影するカメラ51に加えて、車両70の後方の風景を撮影するカメラ(以下、単に「後方カメラ」と称す)を備えるとしても良い。第1及び第2実施例に係る走行画像撮影装置100において、カメラ51に加えて後方カメラが備えられた場合には、後方カメラは、カメラ51の撮影タイミングと同じ撮影タイミングとなるように制御される。また、第3実施例に係る走行画像撮影装置100において、カメラ51に加えて後方カメラが備えられた場合には、後方カメラは、その撮影方向がカメラ51の撮影方向と常に略180度をなすように制御される。このようにすることで、ユーザは、後方カメラによって連続して撮影された走行画像についても、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】各実施例による走行画像撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】各実施例による走行画像撮影装置を搭載した車両の模式図を示す。
【図3】一般的な走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図4】第1実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図5】第1実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図6】車両の方向変化の様子を示す模式図である。
【図7】第2実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図8】第2実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図9】第3実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図10】第3実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図11】撮影装置の撮影方向の変化の様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0073】
10・・・自立測位装置
20・・・システムコントローラ
36・・・データ記憶ユニット
40・・・表示ユニット
50・・・撮影装置
100・・・走行画像撮影装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行している移動体の外部の風景を撮影する走行画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、道路データの整備のため、全国を2台のカメラを搭載した車両で走行して、5m間隔で車両外部の風景を撮影することが行われている。撮影された画像は、走行画像として記録され、地図整備作業の際に参照情報として利用される。具体的には、地図情報を整備する作業者は、記録された走行画像を連続して再生することで、画像間の関連を確認しながら、車両の移動状況を把握し、地図情報の整備作業を行う。例えば、以下の特許文献1には、道路上の実写画像を撮影するための複数の撮像手段を備え、ハンドル部の操作に応じて移動体の方向転換を検出し、当該ハンドル部の回転角度に基づいて撮像手段を制御する撮像システムが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−202227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に搭載されたカメラは、車両が5m進む毎に画像を記録しているため、車両の走行軌跡が曲がっている場所では、曲がる前と後とで大きく撮影方向が変化して、撮影されない物体が存在することがある。このようにして撮影された画像を閲覧した場合、地図整備に有用な情報が多いはずの交差点の情報を十分に得ることが出来ないため、連続する前後の画像の関係が掴み難くなり、地図情報の整備作業をスムーズに行うことが出来なくなる恐れがある。特許文献1に記載の撮像システムでは、交差点に入る前の画像1枚と、交差点を出てからの画像1枚を記録することを目的としているため、車両が交差点で曲がっている間においては、画像を全く撮影しておらず、上記の問題を解決することができない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことを可能にする走行画像撮影装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、走行画像撮影装置であって、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法であって、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムであって、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの観点では、走行画像撮影装置は、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】
上記の走行画像撮影装置は、走行している移動体から外部の風景を撮影する装置であり、撮影手段と、方向変化量検出手段と、制御手段と、を備える。撮影手段は、例えば、カメラを含む装置であり、移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する。方向変化量検出手段は、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する。制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する。方向変化量検出手段、及び、制御手段は、例えばシステムコントローラである。このようにすることで、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0011】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記所定の撮影間隔を変化させる。このようにすることで、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0012】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量が所定値よりも大きい場合には、前記所定の撮影間隔に該当しない場合であっても、前記撮影手段を制御して前記移動体の外部の風景を撮影する。このようにしても、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、この態様によれば、処理を簡単にすることができる。
【0013】
上記の走行画像撮影装置の他の一態様は、前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記移動体の進行方向に対する前記撮影手段の撮影方向の角度を変化させる。このようにしても、移動体が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、この態様によれば、撮影間隔を常に一定に保つことができる。
【0014】
本発明の他の観点では、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法は、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備える。この方法によっても、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0015】
本発明の更なる他の観点では、コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムは、前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させる。この走行画像撮影プログラムをコンピュータに実行させることにより、上記の走行画像撮影装置を実現することができる。
【実施例】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0017】
[走行画像撮影装置]
図1に、各実施例に係る走行画像撮影装置100の構成を示す。走行画像撮影装置100は、車両70に搭載される装置であり、走行している車両70の外部の風景を撮影するためのものである。走行画像撮影装置100は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、データ記憶ユニット36、表示ユニット40、撮影装置50、入力装置60を備える。
【0018】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両70の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両70の方向変換時における車両70の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両70の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0019】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両70の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0020】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。本発明の走行画像撮影装置は、CPU22が、予めROM23などに記録されたプログラムを実行することにより実現される。
【0021】
システムコントローラ20、データ記憶ユニット36、表示ユニット40、カメラ50、入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0022】
撮影装置50は、車両70に搭載され、車両70の前方の風景を撮影する。撮影装置50は、カメラ51とカメラ制御部52とより構成されている。図2は、撮影装置50が車両70の前方の風景を撮影する様子を示している。カメラ51は、図2に示すように、車両70の前方の風景を撮影する。なお、以下において、撮影装置50の撮影方向とは、カメラ51の撮影方向のことを示すものとする。カメラ制御部52は、システムコントローラ20からの制御信号に基づいて、カメラ51の撮影タイミングの制御や、カメラ51の撮影方向の制御を行う。撮影装置50は、本発明における撮影手段として機能する。
【0023】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDやDVDなどであり、地図データベース(以下、「地図DB」と称す)を保持している。当該地図DBでは、例えば、地図情報が、複数のノードと、当該ノード間を結ぶリンク(道路リンク)から構成されるベクタデータの形式で表現されている。また、データ記憶ユニット36には、撮影装置50によって撮影された走行画像が記録される。
【0024】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、走行画像撮影装置100全体の制御を行う。具体的には、システムコントローラ20は、撮影装置50により撮影された走行画像をデータ記憶ユニット36に記録する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように撮影装置50を制御する。従って、システムコントローラ20は、方向変化量検出手段、及び、制御手段として機能する。
【0025】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36の地図DBから地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によって読み出された地図情報を、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。また、表示ユニット40は、撮影装置50によって撮影された走行画像を表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記録するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。
【0026】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン等から構成されている。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0027】
以下に各実施例に係る走行画像撮影装置100について具体的に述べることとする。
【0028】
[第1実施例]
第1実施例に係る走行画像撮影装置100について図3、図4を用いて具体的に述べる。図3は、一般的な走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図であり、図4は、第1実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図3、図4において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図3、図4において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。なお、第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、撮影装置50の撮影方向は、常に、車両70の進行方向と同じ方向に設定される。
【0029】
図3に示すように、一般的な走行画像撮影装置の撮影方法では、撮影装置50は、例えば、車両が5m進む毎に車両70の前方の風景を撮影する。このときの撮影範囲を撮影範囲51gとして示す。車両70が直進している場合には、撮影装置50の撮影方向は常に同じ方向となるため、撮影範囲51gは大きく変化することはない。そのため、ユーザは、撮影装置50により連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することができる。
【0030】
しかしながら、車両70が方向転換する場合には、図3に示すように、撮影装置50の撮影方向は大きく変化するため、撮影範囲51gも大きく変化する。そのため、撮影装置50の撮影間隔が5m程度といった比較的長い場合には、図3に示すように、車両70が方向転換する際に、何れの撮影範囲51gにも入らない領域CAが発生してしまう。そのため、ユーザは、撮影装置50により連続して撮影された走行画像間の繋がりを掴み難くなる。
【0031】
そこで、第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50の撮影間隔を変化させることとする。具体的には、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値よりも大きい場合には、車両70が方向転換しているとして、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値以下の場合(即ち、車両70が直進している場合)と比較して、撮影装置50の撮影間隔を短くすることとする。この所定値は、予め、ユーザにより決定され、RAMなどに記録されている。具体的には、ユーザは、撮影装置50により撮影された走行画像をディスプレイ44に表示し、ディスプレイ44に表示された走行画像を見ながら、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように当該所定値を決定する。
【0032】
図4に示す例では、車両70が直進している場合には、システムコントローラ20は撮影装置50の撮影間隔を5mとし、車両70が方向転換している場合には、システムコントローラ20は撮影装置50の撮影間隔を1mとしている。このようにすることで、図4に示すように、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりLAを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0033】
(第1実施例に係る走行画像撮影処理)
第1実施例に係る走行画像撮影処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。図5は第1実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0034】
まず、ステップS101において、システムコントローラ20は、撮影間隔RIの初期値を設定する。例えば、システムコントローラ20は、撮影間隔RIの初期値を5mに設定する。この撮影間隔RIの初期値は、車両70の直進時における撮影装置50の撮影間隔となる。
【0035】
ステップS102において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS102の処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。その後、ステップS103へ進む。
【0036】
ステップS103において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0037】
図6は、車両70の方向変化の様子を示す模式図である。図6において、位置P2は、現在の車両70の位置を示し、位置P1は、直近の撮影時における車両70の位置を示している。また、位置P2における車両70の進行方向をD2とし、位置P1における車両70の進行方向をD1とする。従って、車両70が位置P1に来たときの走行距離がRRとなり、そのときの車両70の進行方向D1の角度(特定の方向に対する車両70の進行方向D1の角度)がDRとなる。また、車両70が位置P2に来たときの走行距離がRCとなり、そのときの車両70の進行方向の角度(特定の方向に対する車両70の進行方向D2の角度)がDCとなる。従って、直近に撮影された位置からの車両70の走行距離は、位置P1と位置P2との間の距離であるRC−RRとなる。また、車両70の進行方向の角度の変化量DDは、進行方向D1と進行方向D2との間の角度たる|DC−DR|となる。
【0038】
ステップS104において、システムコントローラ20は、単位走行距離当たりの車両70の進行方向の角度の変化量DDLを求める。変化量DDLは、|(DC−DR)/(RC−RR)|として求められる。
【0039】
ステップS105において、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DXよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DXよりも大きいと判定した場合には(ステップS105:Yes)、撮影間隔RIを1mに設定する(ステップS111)。一方、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DX以下であると判定した場合には(ステップS105:No)、ステップS106に進む。このステップS105の処理は、車両70が方向転換し始めたか否か、を判定するための処理である。
【0040】
ステップS106において、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DYよりも小さいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DYよりも小さいと判定した場合には(ステップS106:Yes)、撮影間隔RIを5mに設定する(ステップS112)。一方、システムコントローラ20は、変化量DDLが所定値DY以上であると判定した場合には(ステップS106:No)、ステップS107に進む。このステップS106の処理は、車両70の方向転換が終了したか否か、を判定するための処理である。
【0041】
ここで、所定値DX、DYは、予め、ユーザにより決定され、RAMなどに記録されている。具体的には、車両70が方向転換している間、ユーザは、撮影装置50により撮影された走行画像をディスプレイ44に表示し、ディスプレイ44に表示された走行画像を見ながら、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように所定値DX、DYを決定する。
【0042】
ステップS107において、システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRI以上になっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRIよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS107:No)、ステップS110へ進む。一方、システムコントローラ20は、RC−RRの大きさがRI以上になっていると判定した場合には(ステップS107:Yes)、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する(ステップS108)。つまり、ステップS107の処理により、車両70が撮影間隔RI進む毎に、撮影装置50による撮影が行われる。
【0043】
ステップS109において、システムコントローラ20は、ステップS103で求められた現在の走行距離RC、車両70の現在の進行方向の角度DCを夫々、直近の撮影時における走行距離RR、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS109)。ステップS110において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS110:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS110:No)、ステップS103へ戻る。
【0044】
第1実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、撮影装置50の撮影間隔を変化させることとする。このようにすることで、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0045】
[第2実施例]
次に、第2実施例に係る走行画像撮影装置100について図7を用いて具体的に述べる。図7は、第2実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図7において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図7において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。なお、第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、撮影装置50の撮影方向は、常に、車両70の進行方向と同じ方向に設定される。
【0046】
第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量が所定値よりも大きい場合には、予め設定された撮影間隔に該当しない場合であっても、撮影装置50を制御して撮影を行うこととする。具体的には、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離が予め設定された撮影間隔よりも小さい場合であっても、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)が所定値よりも大きい場合(車両70が方向転換している場合)には、撮影装置50による撮影を行うこととする。この所定値は、後に詳しく述べるが、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。
【0047】
図7に示す例では、システムコントローラ20は、撮影装置50の撮影間隔を5mとしている。システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)が所定値よりも大きいと判定した場合には、直近に撮影された位置からの走行距離が、撮影間隔5mよりも小さい場合であっても、撮影装置50による撮影を行っている。このようにすることで、第1実施例と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0048】
(第2実施例に係る走行画像撮影処理)
第2実施例に係る走行画像撮影処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。図8は第2実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の例では、撮影間隔は5mに設定されているものとする。
【0049】
ステップS201において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS201における処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。
【0050】
ステップS202において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0051】
ステップS203において、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが、撮影間隔たる5m以上になっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRが5m以上となっていると判定した場合には(ステップS203:Yes)、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する(ステップS206)。一方、システムコントローラ20は、RC−RRが5mよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS203:No)、ステップS204へ進む。
【0052】
ステップS204において、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)を求める。続いて、ステップS205において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいと判定した場合には(ステップS205:Yes)、車両70は方向転換しているとして、ステップS206に進む。ステップS206において、システムコントローラ20は、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶ユニット36に記録する。一方、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DT以下であると判定した場合には(ステップS205:No)、車両70は直進しているとして、ステップS202へ戻る。
【0053】
ステップS203〜S205の処理から分かるように、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが、予め設定された撮影間隔5mよりも小さい場合であっても、車両70の方向変化の変化量DDが所定値DTよりも大きい場合には、撮影装置50による撮影を行うこととする。この所定値DTは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。具体的には、カメラ51の画角をαとし、連続して撮影された走行画像間の重なりの部分の1つの走行画像中に占める割合をLgとすると、DT=α×(1−Lg)として求められる。これにより、連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように所定値DTが決定される。
【0054】
ステップS207において、システムコントローラ20は、ステップS202で求められた現在の走行距離RC、車両70の現在の進行方向の角度DCを夫々、直近の撮影時における走行距離RR、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する。ステップS208において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS208:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS208:No)、ステップS202へ戻る。
【0055】
第2実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量が所定値よりも大きい場合には、予め設定された撮影間隔に該当しない場合であっても、撮影装置50による撮影を行うこととする。このようにしても、第1実施例に係る走行画像撮影装置と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、第2実施例に係る走行画像撮影装置100は、進行方向の角度の変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かによって撮影を行うか否かを決定しているので、第1実施例に係る走行画像撮影装置100と比較して、処理を簡単にすることができる。
【0056】
[第3実施例]
次に、第3実施例に係る走行画像撮影装置100について図9を用いて具体的に述べる。図9は、第3実施例に係る走行画像撮影装置100の撮影方法を示す模式図である。図9において、破線矢印は、車両70の進む方向を示しており、車両70は道路の交差点を左折することにより方向転換している。また、図9において、車両70が記載されている位置は、撮影装置50による撮影が行われる位置を示している。
【0057】
第3実施例に係る走行画像撮影装置100では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。具体的には、コントローラ20は、撮影装置50の撮影間隔を常に一定とした上で、車両70の進行方向の角度の変化量が所定値よりも大きい場合(車両70が方向転換している場合)には、車両70の進行方向に対し、カメラ51を左右の方向に回転させることにより、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。
【0058】
例えば、車両70が右折などのように進行方向に対し右方向に曲がった場合には、コントローラ20は、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を左方向に回転させる。また、車両70が左折などのように進行方向に対し左方向に曲がった場合には、コントローラ20は、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を右方向に回転させる。回転させる角度の大きさは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。図9では、車両70が交差点を左折している間、コントローラ20が、車両70の進行方向に対し、撮影装置50の撮影方向を右方向に回転させていく例を示している。このようにすることで、第1実施例と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0059】
(第3実施例に係る走行画像撮影処理)
第3実施例に係る走行画像撮影処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。図10は第3実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。この処理は、システムコントローラ20が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。なお、以下の例では、撮影間隔は5mに設定されているものとする。
【0060】
まず、ステップS301において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RC、及び、直近の撮影時における走行距離RRとする。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DC、及び、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRとする。つまり、ステップS301における処理は、変数RC、RR、DC、DRの夫々の初期値を設定するための処理である。
【0061】
ステップS302において、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の走行距離を求め、当該走行距離を、現在の走行距離RCに代入する。また、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の進行方向の角度を求め、当該車両70の進行方向の角度を、車両70の現在の進行方向の角度DCに代入する。
【0062】
ステップS303において、システムコントローラ20は、直近に撮影された位置からの走行距離RC−RRが撮影間隔である5m以上となっているか否かについて判定する。システムコントローラ20は、RC−RRが5m以上となっていると判定した場合には(ステップS303:Yes)、ステップS304へ進む。一方、システムコントローラ20は、RC−RRが5mよりも小さくなっていると判定した場合には(ステップS303:No)、ステップS302の処理に戻る。
【0063】
ステップS304において、システムコントローラ20は、車両70の進行方向の角度の変化量DD(=|DC−DR|)を求める。続いて、ステップS305において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも大きいか否かについて判定する。システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DTよりも小さいと判定した場合には(ステップS305:Yes)、撮影装置50の撮影方向を車両の進行方向に設定し、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCの値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS306)。つまり、ステップS305の処理では、システムコントローラ20は、車両70が直進しているか否かを判定している。システムコントローラ20は、車両70が直進していると判定した場合には、ステップS306において、撮影装置50の撮影方向を車両70の進行方向に設定している。
【0064】
ここで、この所定値DTは、カメラ51の画角に基づいて設定され、RAMなどに記録されている。具体的には、第2実施例でも述べたように、カメラ51の画角をαとし、連続して撮影された走行画像間の重なりの部分の1つの走行画像中に占める割合をLgとすると、DT=α×(1−Lg)として求められる。
【0065】
ステップS305において、システムコントローラ20は、変化量DDが所定値DT以上であると判定した場合には(ステップS305:No)、自立測位装置10からの信号を基に、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し右方向か否かを判定する(ステップS307)。システムコントローラ20は、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し右方向であると判定した場合には(ステップS307:Yes)、撮影装置50の撮影方向を、車両70の進行方向に対し左方向に|DD−DT|だけ回転させると共に、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCより|DD−DT|を引いた値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS308)。一方、システムコントローラ20は、車両70の方向転換の向きが、進行方向に対し左方向であると判定した場合には(ステップS307:No)、撮影装置50の撮影方向を、車両70の進行方向に対し右方向に|DD−DT|だけ回転させると共に、ステップS302で求められた車両70の現在の進行方向の角度DCに|DD−DT|を足した値を、直近の撮影時における車両70の進行方向の角度DRに代入する(ステップS309)。
【0066】
ここで、ステップS307〜S309の処理について、図11(a)、(b)を用いて具体的に説明する。図11(a)、(b)は、撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示す模式図である。図11(a)は、車両70の進行方向と同じ方向に撮影装置50の撮影方向が設定されている場合における、撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示している。図11(b)は、第3実施例に係る撮影装置50の撮影方向の変化の様子を示している。図11(a)、(b)では、車両70が角度DDで左折することにより、車両70の進行方向がD1からD2へ変化したものとし、それに伴い、撮影装置50の撮影方向もV1からV2へと変化したものとする。車両70の進行方向がD1の場合における撮影装置50の撮影範囲を51g1とし、車両70の進行方向がD2の場合における撮影装置50の撮影範囲を51g2とする。
【0067】
車両70の進行方向と同じ方向に撮影装置50の撮影方向が設定されている場合、即ち、V1がD1と同じ方向になっており、V2がD2と同じ方向になっている場合には、図11(a)に示すように、車両70が方向転換することにより、撮影装置50の撮影範囲51g1、51g2の何れにも入らない領域CAが発生する可能性がある。それに対し、第3実施例に係る撮影装置50では、図11(b)に示すように、システムコントローラ20は、車両70が方向転換する際に、撮影装置50の撮影方向V2を、車両70の進行方向D2に対して右方向に角度|DD−DT|だけ回転させる。このようにすることで、図11(b)に示すように、撮影装置50の撮影範囲51g1、51g2の間には一定の重なりLAを設けることができ、撮影範囲51g1、51g2の何れにも入らない領域CAが発生するのを防ぐことができる。
【0068】
図10のフローチャートに戻り、説明を続ける。ステップS306〜S309の処理が終了して、撮影装置50の撮影方向が決定されると、システムコントローラ20は、ステップS310へ処理を進める。ステップS310において、システムコントローラ20は、撮影装置50を制御して、車両70の前方の風景を撮影し、撮影された走行画像をデータ記憶部ユニット36に記録する。ステップS311において、システムコントローラ20は、ステップS302で求められた現在の走行距離RCの値を、直近の撮影時における走行距離RRに代入する。ステップS312において、システムコントローラ20は、走行調査が終了したか否かを判定する。システムコントローラ20は、走行調査が終了したと判定した場合には(ステップS312:Yes)、本処理を終了し、走行調査が終了していないと判定した場合には(ステップS312:No)、ステップS302へ戻る。
【0069】
第3実施例に係る走行画像撮影装置では、システムコントローラ20は、自立測位装置10からの信号に基づいて、車両70の進行方向の角度の変化量を検出し、検出された当該変化量に基づいて、車両70の進行方向に対する撮影装置50の撮影方向の角度を変化させることとする。このようにしても、第1実施例に係る走行画像撮影装置と同様、車両70が方向転換している場合において、連続する撮影範囲間に一定の重なりを設けることができる。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。また、第3実施例に係る走行画像撮影装置では、第1実施例及び第2実施例に係る走行画像撮影装置と異なり、撮影間隔は常に一定に保たれる。
【0070】
以上に述べたことから分かるように、本発明の走行画像撮影装置は、移動体に搭載されると共に当該移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、当該移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、当該方向変化量検出手段により検出された当該変化量に基づいて、当該撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように当該撮影手段を制御する制御手段と、を備える。これにより、ユーザは、連続して撮影された走行画像について、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【0071】
[変形例]
なお、上述の各実施例に係る走行画像撮影装置100は、車両70の前方の風景を撮影するカメラ51を備えるとしているが、これに限られるものではない。走行画像撮影装置100は、カメラ51の代わりに、又は、更に加えて、車両70の前方以外の方向の風景を撮影するカメラを備えるとしても本発明を適用可能である。例えば、走行画像撮影装置100は、車両70の前方の風景を撮影するカメラ51に加えて、車両70の後方の風景を撮影するカメラ(以下、単に「後方カメラ」と称す)を備えるとしても良い。第1及び第2実施例に係る走行画像撮影装置100において、カメラ51に加えて後方カメラが備えられた場合には、後方カメラは、カメラ51の撮影タイミングと同じ撮影タイミングとなるように制御される。また、第3実施例に係る走行画像撮影装置100において、カメラ51に加えて後方カメラが備えられた場合には、後方カメラは、その撮影方向がカメラ51の撮影方向と常に略180度をなすように制御される。このようにすることで、ユーザは、後方カメラによって連続して撮影された走行画像についても、繋がりを持ったものとして認識することが可能となり、連続する前後の走行画像の関係を容易に掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】各実施例による走行画像撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】各実施例による走行画像撮影装置を搭載した車両の模式図を示す。
【図3】一般的な走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図4】第1実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図5】第1実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図6】車両の方向変化の様子を示す模式図である。
【図7】第2実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図8】第2実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図9】第3実施例に係る走行画像撮影装置の撮影方法を示す模式図である。
【図10】第3実施例に係る走行画像撮影処理を示すフローチャートである。
【図11】撮影装置の撮影方向の変化の様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0073】
10・・・自立測位装置
20・・・システムコントローラ
36・・・データ記憶ユニット
40・・・表示ユニット
50・・・撮影装置
100・・・走行画像撮影装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、
前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする走行画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記所定の撮影間隔を変化させることを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量が所定値よりも大きい場合には、前記所定の撮影間隔に該当しない場合であっても、前記撮影手段を制御して前記移動体の外部の風景を撮影することを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記移動体の進行方向に対する前記撮影手段の撮影方向の角度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項5】
移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法であって、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、
前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする走行画像撮影方法。
【請求項6】
コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムであって、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、
前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする走行画像撮影プログラム。
【請求項1】
移動体に搭載されると共に前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する撮影手段と、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段と、
前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする走行画像撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記所定の撮影間隔を変化させることを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量が所定値よりも大きい場合には、前記所定の撮影間隔に該当しない場合であっても、前記撮影手段を制御して前記移動体の外部の風景を撮影することを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記移動体の進行方向に対する前記撮影手段の撮影方向の角度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の走行画像撮影装置。
【請求項5】
移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影方法であって、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出工程と、
前記方向変化量検出工程により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする走行画像撮影方法。
【請求項6】
コンピュータにより実行され、移動体に搭載される撮影手段を用いて前記移動体の外部の風景を所定の撮影間隔で撮影する走行画像撮影プログラムであって、
前記移動体の進行方向の角度の変化量を検出する方向変化量検出手段、
前記方向変化量検出手段により検出された前記変化量に基づいて、前記撮影手段により撮影される連続する撮影範囲間に一定の重なりが存在するように前記撮影手段を制御する制御手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする走行画像撮影プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−65472(P2009−65472A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231851(P2007−231851)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】
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