説明

車両の作動方法

【課題】従来技術における欠点に鑑みこれを解決すべく改善を行うこと。
【解決手段】変速機と駆動エンジンの間で惰性走行モードが実施され、前記惰性走行モードの経過後にアクセルペダルが操作された場合に、推奨変速段が提供されると共に駆動エンジンの現下の回転数が推奨回転数まで加速され、前記推奨回転数は、車両の現下の速度状況のもとで推奨変速段に対応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両の作動方法及びその装置に関している。
【背景技術】
【0002】
車両のいわゆる惰力走行モードとも称される、惰性走行実施の際には、変速機入力側と駆動エンジンの間のドライブトレーンが解離されるか又はニュートラル段が用いられ、それによって車両が惰性走行のための運動学的エネルギーを使い切ることができる。その間駆動エンジンは、燃料節約のために遮断される。ドライバーがこの惰力走行モードから車を再び加速させるときには、ドライブトレーンが再び閉成されるが、その際には意図しない回転数の上昇によって不所望な制動が引き起こされてしまう可能性がある。
【0003】
例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第100 31 771号公報から公知のような自動変速機においては、発進過程の際に、クラッチによって伝達されるトルクが高められ、このトルクに対しては典型的な手法で予め定められた値に制御することが行われる。これによって車両の快適な発進が実現されるようになる。いずれにせよこの発進のためには、車両は停止状態に置かれていなければならない。しかしながら前述の公知文献に記載されている手法は、より速い速度までの加速過程の場合で、惰力走行モードには必ずしも適したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第100 31 771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は前述したような従来技術における欠点に鑑みこれを解決すべく改善を行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は本発明により、変速機と駆動エンジンとの間に惰性走行モード部を設け、惰性走行モードの経過後にアクセルペダルが操作された場合に、推奨変速段が準備されると共に駆動エンジンの現下の回転数が推奨回転数まで加速され、前記推奨回転数は、車両の現下の速度状況のもとで推奨変速段に対応するようにして解決される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による方法の第1実施例を実施するための本発明による装置を備えた車両の概略図
【図2】本発明による第2実施例を表わすフローチャート
【図3】図2のフローチャートの詳細を示した図
【発明を実施するための形態】
【0008】
この発明の実施のもとでは、惰性走行モードの経過後の内燃機関として構成されている駆動エンジンのイグニッションスイッチオン過程ないし発進過程において、変速機のマニュアルシフト又は自動シフトに対する推奨変速段と車両の駆動エンジンの回転数の適応化が提供される。
【0009】
本発明によれば、いわゆる惰力走行モードとも称される惰性走行モードから、駆動エンジンと変速機入力側との間でクラッチ接続が行われる通常走行モードへの快適な移行が保証されるようになる。
【0010】
本発明の枠内では、変速機と駆動エンジンとの間で惰性走行ないし惰力運転が実施され、制動作用なしのクラッチ接続が可能になります。惰力運転ないし惰力走行の提供の際には、変速機入力側と駆動エンジンとの間のドライブトレーンがクラッチによって中断され、それに伴って変速機入力側が駆動エンジンから接続解除される。通常モードにおいては、変速機入力側と駆動エンジンがドライブトレーンとクラッチを介して相互に接続され、それによって連結される。
【0011】
惰力走行モードないし惰性走行期間の経過後に、走行ペダルが操作された場合、詳細には自動変速機のケースではアクセルペダルがそしてマニュアル変速機のケースではクラッチペダルが操作された場合には、本発明の構成によれば、まずドライバーに及び/又は当該装置ないしは対応するシステムに、推奨変速段が通知され、その後でエンジン回転数が回転数制御を介して次のような回転数まで高められる。すなわち目下の速度のもとで推奨変速段に対応するような回転数まで加速される。この推奨変速段は、惰力運転モードないし惰力運転期間中も伝達され表示される。
【0012】
惰性走行期間中は、内燃機関は最適な方式で停止される。そこでは推奨変速段が、車両の速度及び/又は車両の速度の勾配と局所的変化に依存して選択される。
【0013】
内燃機関が停止している惰力走行モードの後、つまり惰性走行の後では、変速機入力側と駆動エンジンの間で、マニュアル操作及び/又は自動操作によってどの変速段が投入されるべきかに関する情報をドライバー及び/又は自動変速機に提供するために、当該の投入される変速段が相応の装置または対応するシステムによって、速度状況、すなわち速度及び/又はその勾配に基づいて求められ、マニュアルシフトされる変速機においてドライバーに表示される。
【0014】
引き続き推奨変速段に適合する回転数が設定され、それによって車両とドライバーが不快な制動トルクないし加速トルクに晒されることが可及的に僅かになる。
【0015】
マニュアルシフトの変速機の場合には、ドライバーは回転数の変化に基づいて、自身が場合によっては推奨された変速段とは別の変速段を選択したことに気が付く。通常は内燃機関の始動と回転数の上昇は、マニュアルシフトの変速機の場合には、クラッチペダルによってトリガされ解決される。
【0016】
自動変速機の場合には、内燃機関の始動と回転数の上昇はアクセルペダルによってトリガされ解決される。ここでは機械的な制動ロスの最小化のために、ブレーキペダルの操作も内燃機関と変速機の結合を引き起こす。
【0017】
惰性走行モード期間中に速度状況に応じて推奨変速段が連続的に求められ、マニュアル変速機の場合にはドライバーに表示される。この変速段をドライバーが投入するか又は自動変速機がこの推奨された変速段を設定し、それによって内燃機関の始動が自動変速機の場合には例えばドライブ位置(D)にてドライバーによってアクセルペダルを介して行われ、マニュアル変速機の場合にはクラッチ操作が当該装置ないしシステムによって要求される。
【0018】
本発明は、その構成において、自動化されたクラッチ操作のための車両用装置を駆動エンジンと変速機を含んだ車両のドライブトレーンに含んでいる。この装置は、制御ユニットと該制御ユニットによって制御された、クラッチ操作のためのアクチュエータとを有している。この装置の作動の際には、発進過程の際のアクセルペダルの操作のもとで、クラッチによって伝達されるトルクが現下の実際値Mから高められ、典型的には、制御ユニットによって設定される、推奨変速段に相応するトルク目標値Msollに制御される。この場合有利な実施形態によれば、エンジン回転数と変速機回転数の間で、回転数の一致が達成される前に、クラッチによって伝達可能なトルクが少なくとも短期間だけ高められ再び低減され得る。
【0019】
本発明によれば、通常の内燃機関として構成されている駆動エンジンの惰力走行モード経過後のイグニッションスイッチオン過程において、推奨変速段と回転数一致が提供される。
【0020】
推奨変速段(G)ないし推奨シフトチェンジは、通常は速度(v)と速度勾配(v′)に依存している以下のような関数、
G=F(v,v′)
で表わされる。
【0021】
速度勾配からは、装置によって惰力走行モードの終了に対する基準が求められる。このことは例えば次のようなケースであってもよい。すなわち車両が坂に到達するか若しくは勾配が生じている場合である。それにより、速度勾配によって表わすことのできる速度の空間的ないし局所的変化が生じる。
【0022】
推奨される変速段"Gx"(xはこの場合各変速段の数値である)ないしは変速段の推奨は、車両と変速機に応じて変更される。そのため例えば速度vに依存して以下のような変速段"Gx"が提案される:
0km/h<v<15km/hの場合、変速段G1
15km/h<v<40km/hの場合、変速段G2
40km/h<v<65km/hの場合、変速段G3
65km/h<v<90km/hの場合、変速段G4
90km/h<vの場合、変速段G5。
【0023】
速度勾配v′が、速度に依存して車両が徐々に停止するような転がり速度値よりも遙かに小さい場合には、より低い変速段が推奨される。なぜなら車両が所望の制動状況となり、より高いエンジントルクがさらなる制動のために有効利用できるからである。
【0024】
この速度勾配v′が速度に依存して車両が徐々に停止するような転がり速度値よりも遙かに大きい場合には、より低い変速段が選択される。このより低い変速段によってより大きなトルクによる加速が可能となる。
【0025】
マニュアルシフトされる変速機の場合、又は自動変速機の場合には、この推奨変速段に対して駆動エンジンの回転数(nmot)が、マニュアル変速機の場合にはクラッチの踏込みにより、自動変速機の場合にはアクセルペダルの操作により、クラッチがつながる前に設定される。
【0026】
例えば速度v=60km/hで、変速段G=3、i×R(すなわち変速比×タイヤ周面長さ)=0.4mであるならば、
回転数nmot=v/(i×R)=60km/h(60min×0.4m)=2500 1/min
が得られる。
【0027】
本発明によれば、惰力走行モードからのシフト過程に対して回転数適応化ないしは回転数適合化が得られる。従来技法ではマニュアル変速機の発進過程において通常は生じていた制動作用がここでは排除されるか少なくとも低減される。
【0028】
CVT(Continuously Variable Transmission)変速機ないしは無段階変速機に対しては上述の方法が次のように変更され得る。すなわち最初に駆動エンジンと変速機入力側との間の摩擦結合の前に、できるだけ大きな変速比が変速機に設定され、その後で速度vと速度勾配v′並びに通常はアクセルペダルとして構成される走行ペダルの位置に依存して調整されるように変更される。
【0029】
本発明による装置は、本発明による方法の全てが実施され得るように構成されている。その際本発明による方法の個々のステップは本発明による装置の個々の構成要素によっても実施され得る。さらに当該装置の機能、又は当該装置の個々の構成要素の機能は、本発明による方法のステップとして置換えられてもよい。その他にも本発明による方法のステップが当該装置の少なくとも1つの構成要素の機能として実現されてもよいし、当該装置全体の機能として実現されてもよい。
【0030】
本発明のさらなる利点及び実施形態は以下の明細書と任意の図面からも明らかとなる。
【0031】
前述してきた特徴及び以下の明細書で詳細に説明する特徴は、そのつどの明記された組み合わせにおいてのみ利用されるだけではなく、本願発明の枠を逸脱しない限りは単独でも利用可能であることを理解されたい。
【実施例】
【0032】
本発明は図面に概略的に示されている実施形態に基づいて以下の明細書で詳細に説明される。以下では図面に付されている参照番号に基づいて説明を続ける。
【0033】
図面は統合的にかつ包括的に示されており、同じ構成要素には同じ符号が付されている。
【0034】
図1には、自動車として構成されている車両2が、内燃機関として構成されている駆動エンジン4と、変速機6と、駆動輪8と共に描写されている。ここでは駆動エンジン4のエンジンシャフト10と変速機6の変速機入力側12が(これらはドライブトレーンとも称される)クラッチ14を介して相互に接続可能である。さらに前記変速機6と駆動輪8は、ドライブシャフト16を介して相互に接続されている。
【0035】
車両2は、さらに当該車両2のドライバーによって操作される走行ペダル18を含んでいる。本発明の可能な実施例によれば、前記走行ペダル18として、当該車両2がマニュアルシフト可能な変速機6を有している場合にはクラッチペダルが使用され、当該車両2が自動シフト可能な変速機6を有している場合には、アクセルペダルが使用される。
【0036】
さらに図1には、本発明による装置20の実施形態が示されており、この装置20はここでは車両2の内部に配設されている。この装置20は、その構成要素として制御ユニット22とセンサ24と第1のアクチュエータ26と第2のアクチュエータ28を含んでいる。前記第1のアクチュエータ26は、駆動エンジン4への負荷供給のために構成されており、前記第2のアクチュエータ28は、クラッチ14への負荷供給のために構成されている。
【0037】
ここでは、車両2が惰性走行モードで作動されることを想定しており、そこでは駆動エンジン4が変速機6から接続解除されている。これに対してクラッチ14は開かれ、それによって駆動エンジン4と変速機6との間には摩擦結合が何も生じない。さらに、このような惰力走行モードにおいては駆動エンジン4が遮断ないし停止されることも想定される。前述の惰性走行モードは惰力走行モードないし惰力運転モードとも称される。
【0038】
さらに前述の本発明による方法の第1実施形態では、ドライバーによる走行ペダル18の操作によってスタートされることが想定されている。走行ペダル18の操作の後では、センサ24によって車両2の速度状況が確定される。この速度状況を用いて車両2の目下の運動学的なパラメータが求められる。
【0039】
この種の第1の運動学的パラメータは、車両2の目下の速度である。第2の運動学的パラメータは、速度の勾配であり、速度の局所的導関数である。速度の勾配を用いることによって車両2が目下走行している道路がどのような高度経過を有しているかが求められる。速度勾配の検出によって車両2が上り坂ないしは坂道を上っているのか、高度変化のない直線路ないし平坦路を走行しているのか、それとも下り坂ないし坂道を下っているのかが求められる。
【0040】
目下の速度状況に対するパラメータは、センサ24から制御ユニット22に伝送される。速度状況の考慮のもとで、すなわち速度と速度勾配の考慮のもとで、惰性走行モードないし惰性走行期間の経過後に、制御ユニット22によって、機関により駆動される車両2の継続走行のための推奨変速段が提供される。その際制御ユニット22からは、エンジン駆動による走行をどの変速段で継続するかが自動的に決定される。
【0041】
車両2がマニュアル変速機6を有しているケースならば、トライバーに対して推奨変速段が視覚的及び/又は聴覚的に表示される。それによりドライバーは推奨された変速段をクラッチ接続させることが可能となる。
【0042】
車両2が自動変速機6を有しているケースならば、第2のアクチュエータ28が制御ユニット22によって駆動制御され、第2のアクチュエータ28には提供される推奨変速段が通知される。それにより、第2のアクチュエータ28によって駆動制御されるクラッチ14により、推奨変速段が投入される。
【0043】
さらに変速段の推奨の他にも、駆動エンジン4に対応付けられている第1のアクチュエータ26が駆動制御される(これは駆動エンジン4の制御機器でもあり得る)。推奨変速段の考慮のもとで、駆動エンジン4の目下の回転数が、推奨変速段の通常回転数に相応する、推奨回転数まで加速される。
【0044】
本発明による方法の枠内で実施される手段によって、惰性走行モードの終了後に、車両2のショックのない再発進及び/又は制動作用の生じない再発進が可能となる。
【0045】
前述した車両2を作動させるための装置20によれば、惰性走行モードないしは惰力走行モード経過後の走行ペダル8の操作のもとで、推奨変速段ないしは推奨シフトチェンジが提供され、駆動エンジン4の目下の回転数が推奨回転数まで加速される。この推奨回転数は車両2の目下の速度状況のもとで推奨変速段に相応する。
【0046】
図2には、本発明による方法の第2実施形態のフローチャートが示されている。この場合このフローチャートは上方の第1の部分線図40と下方の第2の部分線図42に分けられる。これらの2つの部分線図40,42には、時間軸44に対応する横軸が割当てられている。
【0047】
上方の第1の部分線図40には、さらに5つの縦座標46,48,50,52,54が割当てられている。この場合第1の縦座標46に沿っては駆動エンジンの毎分毎の回転数"nmot_w"がプロットされている。この回転数"nmot_w"は、第1の部分線図40の内部において第1の曲線56によって表わされている。第2の縦座標48に沿って、車両の速度"vfzg_w"が時間毎の走行キロメータでプロットされている。さらにこの速度は第1の部分線図40の内部において第2の特性曲線58によって表わされている。第3の縦座標50に沿って、パーセント値"wped_w"が表わされており、これは、車両の走行ペダルがどの位踏み込まれているかを表わしている。これに対する値は図2の第1の部分線図40内の第3の特性曲線60によってから表わされている。第4の縦座標52に沿って車両の変速機の変速段に対する値が示されている。これについては、第1の部分線図40内で第4の特性曲線62が推奨変速段"gangsolstrt"示し、第5の特性曲線64が目下投入されている変速段"gangi"を示している。第5の縦座標54に沿って、セレクトレバーがニュートラルポジション"Gbx_stNPos"にあるのか否かが示される。このことは第1の部分線図40内で第6の特性曲線66に基づいて示されている。
【0048】
下方の部分線図42には上下に亘って上から第7の特性曲線68"B_brems"−Bit=これはブレーキペダル位置を示す、第8の特性曲線70"B_kuppt"−Bit=これはクラッチ位置を示す、第9の特性曲線72"B_II"−Bit=これはアイドリング状態を表わす、が示されており、この第9の特性曲線72では回転数が閾値以下である場合には値1が、それ以外のときには値0が返される。それに従って第9の特性曲線72は、ドライバーの視点からのアイドリングに対する条件を表わし、この場合アクセルペダルが操作されていないときには"B_II"−Bit 1ないし"TRUE"となる。
【0049】
第10の特性曲線74"B_staanf"−Bitは、始動要求に対して形成され、第11の特性曲線76"B_stoanf"−Bitは停止要求に対して形成され、第12の特性曲線78"B_stend"−Bitは始動終了に対して形成される。始動過程が終了し、エンジン回転数が所定の閾値以上になった場合には、前記"B_stend"−Bitは値1を返し、その他の場合は値0を返す。
【0050】
双方向矢印80は、部分線図40と42に対して、10秒の時間間隔を表わしている。点線の中括弧82によって示されている線図区分は、図2からのフローチャート区分の詳細を図3で拡大して描写するためのものである。
【0051】
図3のフローチャートには、前記中括弧82によってピックアップされた図2の線図区分の詳細が表わされている。当該図3の上方の部分線図86には図2の上方からの第1部分線図40の詳細が示され、下方の部分線図88には、図2の下方からの第2部分線図42の詳細が示されている。図3の縮尺を表わす尺度として、双方向矢印84は、1秒の時間間隔を表わす。
【0052】
前記図2及び図3のフローチャートは、内燃機関をとして構成された駆動エンジンがまず回転数n_mot=0を有する。引き続き始動の後では回転数が、推奨される第3変速段に対して設定される。速度が時速50km以下の場合には、推奨される第4変速段が設定される。
【0053】
この方法の実施は、惰性走行モードの経過した後でのみ所定の期間だけ行われ、通常の変速過程のもと、例えば通常の第3変速段から第4変速段への加速のもとでは行われない。
【0054】
本発明の枠内では、さらに拡張された機能性を設けることも可能である。それにより例えば、変速段がニュートラルNに切り替り、クラッチペダルが解離され、車両速度が約100km/hの閾値を下回っている場合には、停止要求が発生する。また始動要求は、クラッチペダルとして構成された走行ペダルが新たに踏み込まれた場合に生じる(これは通常クラッチペダルが約10%まで踏み込まれた場合に該当する)。変速段の推奨と、速度に依存した内燃機関の回転数上昇は、惰性走行モードからの再始動の後で行われる。
【0055】
最新の車両の変速機に関してはこの種の車両の変速機が自動化された部分とマニュアル化可能な部分を兼ね備えるように構成されたものなので、ドライバーの嗜好に応じて、自動化部分とマニュアル部分の間で往復する切換が行われる。それによって、この種の車両の変速段は、マニュアルシフトと自動シフトを交互に行うことが可能となり、それに伴って自動変速機、又はマニュアル変速機として操作が可能である。当該方法はこの種の車両に対し、シフトチェンジの形式に依存してクラッチペダルの操作又はアクセルペダルの操作によりトリガされる。
【0056】
さらに別の有利な実施形態によれば、アクセルペダルの踏込みのみでなく、ブレーキペダルの軽い踏込み(通常は正の速度勾配のもとで生じる)によって、惰性走行モードが終了され得る。このようなケースにおいては、回転数が所望の値に同期するまで駆動エンジンの回転数が上昇されても良い。
【0057】
このオプションは例えば自動変速機を備えた車両においては次のようなケース、すなわち惰性走行モード中の車両が急な下り坂に接近し、ドライバーがアクセルペダルの操作を避けて、エンジンブレーキを望むようなケースにおいても応用できる。
【0058】
交差点近傍での発進時において急な赤信号に反応するようなケースでは、通常は車両の速度に依存する。
【0059】
マニュアル変速機の場合では、ドライバーによってクラッチ操作が行われ、これによって駆動エンジンは自動的にスイッチオンされ、速度が高い場合にのみドライブトレーンが接続される。
【0060】
ブレーキの踏込みの際のシフトチェンジとドライブトレーンの接続の際のシフトチェンジは、アクセルペダルの踏込みのときとは異なって選択され得る。このことはエンジンブレーキを活動させるために低い変速段への切換によって行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
2 車両
4 駆動エンジン
6 変速機
8 駆動輪
10 エンジンシャフト
12 変速機入力側
14 クラッチ
16 ドライブシャフト
18 走行ペダル
20 装置
22 制御ユニット
24 センサ
26 第1のアクチュエータ
28 第2のアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)を作動させるための方法であって、
変速機(6)と駆動エンジン(4)との間で惰性走行モードが実施され、
前記惰性走行モードの経過後に走行ペダル(18)が操作された場合に、推奨変速段が提供されると共に駆動エンジン(4)の現下の回転数が推奨回転数まで加速され、
前記推奨回転数は、車両(2)の現下の速度状況のもとで推奨変速段に対応していることを特徴とする方法。
【請求項2】
最初に推奨変速段が提供され、それに続いて現下の回転数が推奨回転数まで加速される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記車両(2)の速度は、速度状況によって考慮される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記車両(2)の速度の勾配は、速度状況によって考慮される、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記車両がマニュアル変速機(6)によって操作される場合において、推奨変速段の提供が、クラッチペダルとして構成された走行ペダル(18)によってトリガされ、ドライバーに推奨変速段が表示される、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記車両が自動変速機(6)によって操作される場合において、推奨変速段の提供が、アクセルペダルとして構成された走行ペダル(18)によってトリガされ、前記自動変速機(6)が、推奨された変速段への変速のためのシフト過程を駆動制御する、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記駆動エンジン(4)は、惰性走行フェーズ中に停止され、回転数の設定によって再び始動される、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、内燃機関として構成された駆動エンジン(4)を備える車両(2)のために実施される、請求項1から7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
惰性走行モード中に変速段の推奨によって推奨される変速段が連続的に求められる、請求項1から8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
車両(2)を作動させるための装置であって、
変速機(6)と駆動エンジン(4)の間で惰性走行モードが実施され、
さらに装置(20)が設けられており、該装置(20)は、
惰性走行モードの経過後に走行ペダル(18)が操作された場合に、推奨変速段を提供し、駆動エンジン(4)の現下の回転数を、車両(2)の現下の速度状況のもとで推奨変速段に相応するような推奨回転数まで加速するように構成されていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219087(P2011−219087A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85668(P2011−85668)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】