説明

車両の運動制御装置の支持構造

【課題】車両の運動制御装置の支持構造において、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができるようにして、車両の運動制御装置における車両挙動の検出精度を向上させる。
【解決手段】車両の各ホイールシリンダに付与される液圧を個別に制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニット21と、車両の挙動を検出する車両挙動センサが設けられているとともに液圧ユニット21を制御するコントロールユニット22と、が一体化されてなる車両の運動制御装置13を、車両Mの車体Bに固定されたブラケット70に3つの支持弾性部材81〜83を介して支持する車両の運動制御装置の支持構造であって、支持弾性部材81〜83の各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各ホイールシリンダに付与される液圧を個別に制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニットと、車両の挙動を検出する車両挙動センサが設けられているとともに液圧ユニットを制御するコントロールユニットと、が一体化されてなる車両の運動制御装置を、車両の車体に支持する車両の運動制御装置の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運動制御装置の支持構造としては、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図1および図2に示されているように、車両の運動制御装置は、液圧ユニット(2,3)、コントロールユニット(4)、および車両挙動センサ(5)を含んでいる。液圧ユニット3は3つの支持部材(11)を介して支持ブラケット(10)に支持されている。車両の運動制御装置は、支持ブラケット(10)に支持するための3以上の支持点(7,8,9)を備えている。これら支持点により一つの平面(E)が定義され、この平面が車両の運動制御装置の重心(S)近傍に配置されている。
【0003】
また、車両の運動制御装置の支持構造の他の一形式として、特許文献2に示されているものが知られている。特許文献2の図4に示されているように、弁ブロック19はねじ24と緩衝要素22を介してホルダー25に弾性的に懸吊され、コントローラユニット1はねじ24′を介してホルダー25に振動を減衰しないように固定され、コントローラユニット1は中間室15を介して弁ブロック19から切り離されている。弁ブロック19からコントローラユニット1の方に突出する弁ドーム12は、コントローラユニット1内に配置された弁コイル16によって取り囲まれている(磁気プラグ)。弁コイル16は弾性的で導電性である取外し可能な接続部材13によって、コントローラユニット1内の印刷回路基板8に接続されている。
【0004】
また、車両の運動制御装置の支持構造の他の一形式として、特許文献3に示されているものが知られている。特許文献3の図9に示されているように、ブラケット160は略U字型の本体161であり、電子油圧弁ユニット162がそれに載っている。電子油圧弁ユニット162は、少なくとも1つの加速度計と、少なくとも1つの角速度センサを担持するECU(電子制御ユニット)163を含む。電子油圧弁ユニット162は、複数のねじ付きした締め具164(1つのみを図示)によってブラケット160に固定されている。
【特許文献1】国際公開第WO2005/039946号パンフレット
【特許文献2】特表2004−506572号公報
【特許文献3】特表2004−535325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された車両の運動制御装置の支持構造においては、3つの支持部材(11)の液圧ユニット(3)に対する支持方向は互いに平行な関係であり、すなわち支持方向は一方向のみである。このため、その一方向に関しては、車体から入力する振動は適切に減衰され、車両の運動制御装置の液圧機器の作動で発生する振動の伝達は適切に抑制される。しかし、前記一方向以外の方向に関しては、支持部材(11)の減衰特性が支持方向に対して劣るため、車体から入力する振動は減衰されにくく、車両の運動制御装置の液圧機器の作動で発生する振動は抑制されにくい。このように、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができず、車両挙動センサ(5)による挙動検出の精度向上が阻まれるおそれがある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された車両の運動制御装置の支持構造においても、支持している少なくとも3箇所における車両の運動制御装置に対する支持方向は互いに平行な関係であり、すなわち支持方向は一方向のみである。さらに、弁ブロック19とコントローラユニット1の間は支持方向に弾性的な接続部材13によって支持されている。このため、特許文献1と同様に、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができず、車両挙動センサ(5)による挙動検出の精度向上が阻まれるおそれがある。
【0007】
また、上記特許文献3に記載された車両の運動制御装置の支持構造においては、電子油圧弁ユニット162は、「複数のねじ付きした締め具164(1つのみを図示)によってブラケット160に固定されている。」という記載はあるが、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得るための技術に関する具体的な記載はない。
【0008】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、車両の運動制御装置の支持構造において、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができるようにして、車両の運動制御装置における車両挙動の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両の各ホイールシリンダに付与される液圧を個別に制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニットと、車両の挙動を検出する車両挙動センサが設けられているとともに液圧ユニットを制御するコントロールユニットと、が一体化されてなる車両の運動制御装置を、車両の車体に固定されたブラケットに少なくとも3つ以上の支持弾性部材を介して支持する車両の運動制御装置の支持構造であって、支持弾性部材のうち少なくとも3つのものの各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向であることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、3次元座標系は直交座標系であることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、支持弾性部材は、支持方向に圧縮された状態で車両の運動制御装置を支持することである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、各支持方向は車両の運動制御装置の互いに異なりかつ隣接する3面に垂直な方向であり、各支持弾性部材は少なくとも3面を支持していることである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、各支持弾性部材による車両の運動制御装置の支持箇所は、支持弾性部材によって支持される各面において、3面によって形成される頂角から該頂角と各面の中心との距離以上離れた部分でありかつ互いに所定距離以上離れた関係である部分であることである。
【0014】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項4または請求項5において、液圧ユニットは、ほぼ六面体形状の本体を備えており、本体は、液圧機器であるポンプを駆動するモータが取り付けられるモータ取付面と、モータ取付面の反対側の面であってコントロールユニットが取付けられるコントロールユニット取付面と、各ホイールシリンダと連通するためのポートが形成されているポート形成面と、ポート形成面の反対側の面、コネクタが形成されているコントロールユニットのコネクタ形成面と合わされるコネクタ面、およびコネクタ面の反対側の面を有し、3面は、モータ取付面、ポート形成面の反対側の面、およびコネクタ面の反対側の面であることである。
【0015】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項6の何れか一項において、コントロールユニットは制御基板を収容し、車両挙動センサは制御基板上であって、支持弾性部材のうち制御基板に最も近い支持弾性部材に、それ以外の支持弾性部材よりも近接して配置されることである。
【0016】
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項7の何れか一項において、支持弾性部材が3つである場合には、車体に固定されるブラケットの固定部は、支持弾性部材による全ての支持点を含む一平面に対して車両の運動制御装置の重心側に設けられている第1固定部と、一平面に対して車両の運動制御装置の重心と反対側に設けられている第2固定部と、から少なくとも構成されていることである。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、車両の挙動を検出する車両挙動センサが備えられた車両の運動制御装置は、少なくとも3つ以上の支持弾性部材を介して車体に固定されたブラケットに支持される。このとき、支持弾性部材のうち少なくとも3つのものの各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向である。したがって、車両の運動制御装置に対する支持方向は、従来技術のごとく一方向ではなく、互いに異なる三方向であるので、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。これにより、車両の運動制御装置が車両挙動を正確に検出する。
【0018】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に係る発明において、3次元座標系は直交座標系であるので、様々な方向の振動に対してよりバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0019】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2に係る発明において、支持弾性部材は、支持方向に圧縮された状態で車両の運動制御装置を支持するので、支持剛性を高く維持した状態で様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0020】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか一項に係る発明において、各支持方向は車両の運動制御装置の互いに異なりかつ隣接する3面に垂直な方向であり、各支持弾性部材は少なくとも3面を支持しているので、簡単な構成かつ省スペースで様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0021】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項4に係る発明において、各支持弾性部材による車両の運動制御装置の支持箇所は、支持弾性部材によって支持される各面において、3面によって形成される頂角から該頂角と各面の中心との距離以上離れた部分でありかつ互いに所定距離以上離れた関係である部分であるので、支持弾性部材による支持箇所間の距離をできるだけ長くすることができる。すなわち、車両の運動制御装置のできるだけ端部を支持することができる。したがって、自身に搭載されている液圧機器の作動に伴う揺動運動など(例えばポンプ用モータのトルク変動による回転振動)を極力抑制することができる。
【0022】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項4または請求項5に係る発明において、液圧ユニットは、ほぼ六面体形状の本体を備えており、本体は、液圧機器であるポンプを駆動するモータが取り付けられるモータ取付面と、モータ取付面の反対側の面であってコントロールユニットが取付けられるコントロールユニット取付面と、各ホイールシリンダと連通するためのポートが形成されているポート形成面と、ポート形成面の反対側の面、コネクタが形成されているコントロールユニットのコネクタ形成面と合わされるコネクタ面、およびコネクタ面の反対側の面を有し、3面は、モータ取付面、ポート形成面の反対側の面、およびコネクタ面の反対側の面であるので、組立性よくかつコンパクトに車両の運動制御装置を車体に搭載することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項1乃至請求項6の何れか一項に係る発明において、コントロールユニットは制御基板を収容し、車両挙動センサは制御基板上であって、支持弾性部材のうち制御基板に最も近い支持弾性部材に、それ以外の支持弾性部材よりも近接して配置されるので、自身に搭載されている液圧機器の作動に伴う揺動運動の影響がより少ない場所に車両挙動センサを配置することにより、車両の運動制御装置が車両挙動をより正確に検出することができる。
【0024】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、請求項1乃至請求項7の何れか一項に係る発明において、支持弾性部材が3つである場合には、車体に固定されるブラケットの固定部は、支持弾性部材による全ての支持点を含む一平面に対して車両の運動制御装置の重心側に設けられている第1固定部と、一平面に対して車両の運動制御装置の重心と反対側に設けられている第2固定部と、から少なくとも構成されている。これにより、車両の運動制御装置がブラケットに対して支持弾性部材による全ての支持点を含む一平面を挟んで相対的に振動した場合、車両の運動制御装置を支持しているブラケットが第1および第2固定部により車体に固定されており、そのブラケットが車体に対して前記一平面を挟んで相対的に振動するのを抑制するので、ブラケットを含んだ全体として様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明による車両の運動制御装置の支持構造について図面を参照して説明する。図1は、この車両の運動制御装置の支持構造を適用した液圧ブレーキ装置10の概要を示す図である。図2〜図4は、ブラケット70を介して車体Bに支持された車両の運動制御装置13を示す正面図、上面図および側面図である。
【0026】
液圧ブレーキ装置10は、車両の車輪Wに制動力を付与するものである。液圧ブレーキ装置10は、図1に示すように、マスタシリンダ12、ホイールシリンダWC、車両の運動制御装置13、およびリザーバタンク14を備えている。
【0027】
マスタシリンダ12は、ブレーキペダル11の踏み込みによるブレーキ操作状態に対応した液圧(基礎液圧)を生成して車両の車輪Wの回転を規制するホイールシリンダWCに供給するものである。なお、車両は4つの車輪Wおよびそれら車輪Wにそれぞれ対応した4つのホイールシリンダWCを備えている。図1においては、4つの車輪Wのうち一つのみの構成を示している。
【0028】
各ホイールシリンダWCは、各キャリパCLに設けられており、液密に摺動するピストン(図示省略)を収容している。各ホイールシリンダWCに基礎液圧または制御液圧が供給されると、各ピストンが摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して各車輪Wと一体回転する回転部材であるディスクロータDRを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。ブレーキパッドとディスクロータDRとから摩擦ブレーキが構成されている。
【0029】
なお、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。この場合、各ホイールシリンダWCに基礎液圧または制御液圧が供給されると、各ピストンが一対のブレーキシュー(図示省略)を押圧(拡張)して各車輪Wと一体回転するブレーキドラム(図示省略)の内周面に当接してその回転を規制するようになっている。
【0030】
車両の運動制御装置13は、車両Mの各ホイールシリンダWCに付与される液圧を個別に制御するための複数の液圧機器を搭載した液圧ユニット21と、車両の挙動を検出する車両挙動センサ60が設けられているとともに液圧ユニット21を制御するコントロールユニット22と、が一体化されてなる1つの構成体(一体構造体)である。
【0031】
液圧ユニット21は、一般的によく知られているものであり、差圧制御弁、ABS制御弁を構成する増圧制御弁および減圧制御弁、リザーバ、ポンプ、そのポンプを駆動させるモータなどを一つのケースにパッケージすることにより構成されている。液圧ユニット21は、マスタシリンダ12からの基礎液圧をホイールシリンダWCに直接付与することができる。また、液圧ユニット21は、ポンプの駆動と液圧制御弁の制御によって形成された制御液圧を各車輪WのホイールシリンダWCに発生することができる。すなわち、液圧ユニット21は、運転者のブレーキペダル11の操作状態(踏込状態)に応じた液圧をホイールシリンダWCに発生することもできるし、運転者のブレーキペダル11の操作状態(踏込状態)に関係なくホイールシリンダWCへの液圧を制御することが可能でもある。
【0032】
液圧ユニット21は、金属材で形成されたほぼ六面体形状の本体23を備えている。本体23は、図1に模式的に示すように、配管17を介してマスタシリンダ12と連通し、配管18を介してホイールシリンダWCに連通している。具体的には、本体23の右側面すなわちモータ33が取り付けられるモータ取付面23aに設けられた2つのポートP1,P2が(図4参照)、マスタシリンダ12の2つのポート(図1では1つのみ表示)とそれぞれ連通している。本体23の上面すなわちポート形成面23cに形成されたポートP3〜P6が(図3参照)、各ホイールシリンダWC(図1では1つのみ表示)とそれぞれ連通している。
【0033】
本体23内には、上記各ポートP1〜P6に接続される油路が形成されている。その油路上に、差圧制御弁、ABS制御弁を構成する増圧制御弁および減圧制御弁である電磁弁31、リザーバ(図示省略)、ポンプ32などが配置されるようになっている。差圧制御弁、ABS制御弁を構成する増圧制御弁および減圧制御弁である電磁弁31や、ポンプ32が、各ホイールシリンダWCに付与される液圧を個別に制御するための液圧機器である。
【0034】
電磁弁31は、本体23のモータ取付面23aと反対側の面(左側面)であってコントロールユニット22が取り付けられるコントロールユニット取付面23bに組み付けられている。電磁弁31は、ソレノイド部が第1室R1内に突出した状態で本体23に取り付けられている。電磁弁31の端子31b3は隔壁41bを貫通し、その先端が制御基板50に半田付けされている。電磁弁31の端子31b3はバスバーなどを介して間接的に制御基板50に接続されるようにしてもよい。電磁弁31は、リニア弁(例えば差圧制御弁)でも、オン・オフ弁(例えばABS制御弁)でもよい。
【0035】
ポンプ32は例えば回転式ポンプであり、本体23内に配設されている。ポンプ32は、モータ33によって駆動するものである。ポンプ32は、本体23のモータ取付面23aに組み付けられているモータ33の作動によって駆動して、本体23内に設けたリザーバ(図示省略)または吸入開閉弁経由でマスタシリンダ12からブレーキ液を必要に応じて汲み上げる。
【0036】
なお、本体23は、上述したモータ取付面23a、コントロールユニット取付面23bおよびポート形成面23c以外に、ポート形成面23cの反対側の面(下面)23d、コネクタ22gが形成されているコントロールユニット22のコネクタ形成面22eと合わされるコネクタ面(背面)23e、およびコネクタ面23eの反対側の面(正面)23fを有している。
【0037】
コントロールユニット22は、ケーシング40と制御基板50から構成されている。ケーシング40は、ケース41およびカバー42から構成されている。
ケース41は開口41aを有するトレイ状に形成されている。ケース41は、基台部である基部41bと基部41bの周縁から立設された側部41cが一体的に合成樹脂で形成されたものである。開口41aの開口端(側部41cの先端)は、液圧ユニット21の本体23のコントロールユニット取付面23bに気密に当接している。本体23とケース41との間には、電磁弁31を収納する第1室R1が形成されている。
【0038】
カバー42は、開口42aを有するトレイ状に形成されている。カバー42は、基部42bと基部42bの周縁から立設された側部42cが一体的に合成樹脂で形成されたものである。開口42aの開口端(側部42cの先端)は、ケース41の基部41bの外側壁面に振動溶着などにより接着されている。ケース41とカバー42との間には、制御基板50を収納する第2室R2が形成されている。
【0039】
このように、ケーシング40は、開口41aを有し、その開口端を本体23のコントロールユニット取付面23bに気密に当接させ電磁弁31を覆うようにブロック21に取り付けられるものである。
【0040】
また、上記ケース41の基部41bは、上記ケーシング40内を第1室R1と第2室R2に区画する隔壁である。この隔壁41bは、制御基板50に対向して配設されている。
【0041】
隔壁41bには制御基板50を支持するための支柱45がケース41と一体的に形成されている。この支柱45は、先端に形成されたスナップフィット45aと制御基板50に形成された係合孔が係合することにより制御基板50を支持(保持)するものである。
【0042】
制御基板50は、車輪Wの回転速度(車輪速度)を検出する車輪速度センサ(図示省略)、車両挙動センサ60などから入力した信号に基づいてモータ33(ポンプ32)、各電磁弁31を制御して、通常ブレーキ、アンチロックブレーキ制御(ABS)、横滑り防止制御(ESC)などを実施するものである。
【0043】
通常ブレーキは、ブレーキペダル11の操作によって発生するマスタシリンダ12からの基礎液圧をそのまま各ホイールシリンダWCに供給して制動力を各車輪Wに付与する。このとき、差圧制御弁および増圧制御弁は開状態であり、減圧制御弁は閉状態であり、ポンプ32は作動させない。
【0044】
アンチロックブレーキ制御は、ブレーキ時に車輪ロックの発生を防ぎ、滑りやすい路面などでも最適なブレーキ力と車両の安定性、操舵性を確保する制御である。このとき、ブレーキペダル11が操作されブレーキ制動が行われていることを検知すると、車輪速度と車体速度との差が所定値以上とならないように、各車輪に最適な制動力を付与する制御を実施する。
【0045】
具体的には、車輪Wに対して割り当てられている一対の増圧制御弁,減圧制御弁を増圧・保持・減圧モードに制御すべく、増圧制御弁および減圧制御弁が各モードに応じて励磁・非励磁される。増圧制御弁および減圧制御弁は、増圧モードではそれぞれ非励磁されて増圧制御弁および減圧制御弁が開状態・閉状態とされ、保持モードではそれぞれ励磁・非励磁されて増圧制御弁および減圧制御弁がそれぞれ閉状態とされ、減圧モードでは、それぞれ励磁されて増圧制御弁および減圧制御弁がそれぞれ閉状態・開状態とされる。他の車輪も同様に制御される。また、ABS制御中は、モータ33が通電されて、ポンプ32が作動するように制御される。
【0046】
横滑り防止制御は、旋回中の車両が横滑りしそうな状況を検知すると、自動的にブレーキおよび/またはエンジンをコントロールして車両の安定性を確保する制御である。このとき、ヨーレートセンサ61により車両が旋回中であることを検知すると、ヨーレートセンサ61が検出する実ヨーレートと、車体速度、車両の操舵角およびスタビリティファクタに基づいて算出される目標ヨーレートとの差が所定範囲内となるように、所定の車輪に制動力を付与したり、エンジンの出力を制御したりする。
【0047】
例えば、左旋回中に後輪が横滑りしそうな場合、これを抑制するために右前輪にのみ制動力を付与する制御が実施される。このとき、モータ33が通電されて、ポンプ32が作動するように制御される。マスタシリンダ12と右前輪のホイールシリンダとの間に配設された差圧制御弁は励磁されて差圧状態とされ、右前輪以外の車輪には液圧を付与しないようにそれらの車輪に対応した増圧制御弁および減圧制御弁がそれぞれ励磁・非励磁されて閉状態とされ、右前輪に対応した増圧制御弁および減圧制御弁が非励磁されてそれぞれ開状態・閉状態とされる。
【0048】
車両挙動センサ60は、車両Mの挙動を検出するものである。車両挙動センサ60は、制御基板50に搭載されている。本実施形態では、車両挙動センサ60は、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ61や、車両の前後方向や左右方向の加速度を検出する加速度センサ62である。
【0049】
ヨーレートセンサ61は、例えば、振動型ヨーレートセンサであり、音叉型の振動体(検知部を兼ねる)を備えている。車両Mのヨー方向回転軸(車両Mの重心付近に位置し水平面に対してほぼ垂直な軸)に対して垂直な励振方向に沿って励振振動が加えられている振動体に、前記回転軸回りにヨーレートが発生すると、前記回転軸と励振方向にそれぞれ垂直な方向である検出方向にヨーレートに比例したコリオリ力が発生し、すなわち検出振動が発生する。ヨーレートセンサ61は、この検出振動の変位信号を電子制御装置である制御基板50に出力している。また、振動用の櫛歯状電極を有する方形状の重り(マス)で構成する形式の振動体を備えたヨーレートセンサでもよい。
【0050】
加速度センサ62は、例えばビームで支持されたマスを備えたものである。加速度センサ62は、車両に加速度が生じると、ビームがたわみ、このひずみを計測して検出信号として電子制御装置である制御基板50に出力している。
また、車両挙動センサ60は制御基板50上であって、支持弾性部材81〜83のうち制御基板50に最も近い支持弾性部材に、それ以外の支持弾性部材よりも近接して配置されることが望ましい。
【0051】
また、リザーバタンク14は、ブレーキ液を貯蔵してマスタシリンダ12と液圧ユニット21にそのブレーキ液を供給するものである。なお、リザーバタンク14は配管19を介してマスタシリンダ12にブレーキ液を補給している。
【0052】
このように構成された車両の運動制御装置13は、車両Mの車体Bに固定されたブラケット70に3つの支持弾性部材81〜83を介して支持されている。ブラケット70は、支持部71と固定部72から構成されている。
【0053】
支持部71は、第1プレート71a、第2プレート71bおよび第3プレート71cが一体的に接続されて形成されたものであり、車両の運動制御装置13を支持するためのものである。
【0054】
第1プレート71aは、モータ取付面23aに対向して平行に配設されている。第1プレート71aには、第1支持弾性部材81が嵌着されている。第1支持弾性部材81は第1支持弾性部材81を貫通する締結ボルト91によりモータ取付面23aに螺着されている。これにより、モータ取付面23aは第1支持弾性部材81を介して第1プレート71aに支持されている。このとき、第1支持弾性部材81の支持方向は、第1支持弾性部材81の軸方向すなわちモータ取付面23aに垂直な方向であり、X軸方向(図2および図3参照)と平行な方向である。なお、X軸、Y軸およびZ軸は直交座標系である3次元座標系の3つの座標軸である。X軸方向は図2において左右方向であり、Y軸方向は図2において上下方向であり、Z軸方向は図2において紙面垂直方向である。
【0055】
第2プレート71bは、ポート形成面23cの反対側の面23dに対向して平行に配設されている。第2プレート71bには、第2支持弾性部材82が嵌着されている。第2支持弾性部材82は第2支持弾性部材82を貫通する締結ボルト92により面23dに螺着されている。これにより、面23dは第2支持弾性部材82を介して第2プレート71bに支持されている。このとき、第2支持弾性部材82の支持方向は、第2支持弾性部材82の軸方向すなわち面23dに垂直な方向であり、Y軸方向(図2および図4参照)と平行な方向である。
【0056】
第3プレート71cは、コネクタ面23eの反対側の面23fに対向して平行に配設されている。第3プレート71cには、第3支持弾性部材83が嵌着されている。第3支持弾性部材83は第3支持弾性部材83を貫通する締結ボルト93により面23fに螺着されている。これにより、面23fは第3支持弾性部材83を介して第3プレート71cに支持されている。このとき、第3支持弾性部材83の支持方向は、第3支持弾性部材83の軸方向すなわち面23fに垂直な方向であり、Z軸方向(図3および図4参照)と平行な方向である。
【0057】
また、上述した各支持弾性部材81〜83による車両の運動制御装置13の支持箇所A1〜A3は、各支持弾性部材81〜83によって支持される各面23a,23d,23fにおいて、それら3面23a,23d,23fによって形成される頂角P10から該頂角P10と各面23a,23d,23fの中心との距離以上離れた部分でありかつ互いに所定距離以上離れた関係である部分であることが 望ましい。なお、前記所定距離は、例えば支持箇所A1〜A3が頂角P10の各面における対頂角部に設定された場合の各支持箇所間距離の半分の値に設定されている。
【0058】
支持箇所A1は、図4に示すように、面23aであって頂角P10に対向する辺の周縁部に設けられている。支持箇所A2は、図2および図4から理解できるように、面23dであって頂角P10に対向する辺の周縁部に設けられている。支持箇所A3は、図2に示すように、面23fであって頂角P10に対向する辺の周縁部に設けられている。
【0059】
また、上述した各支持弾性部材81〜83は、支持方向に圧縮された状態で車両の運動制御装置13を支持している。第1支持弾性部材81を例に挙げて詳述する。図5に示すように、第1支持弾性部材81は、弾性材(例えばゴム材)で円筒状に形成されたものである。第1支持弾性部材81は、軸方向中心に貫通穴81aが形成され、外周壁面の軸方向中央部に環状の溝81bが形成されている。貫通穴81aは、第1金具85の筒部85aが挿入されるようになっており、その筒部85a内を締結ボルト91が貫通するようになっている。環状の溝81bは、第1プレート71aの切欠き部または穴部の周縁部に嵌入されるようになっており、環状の溝81bによって分けられている第1部81c,第2部81dが第1プレート71aの切欠き部または穴部の周縁部を挟持することになる。
【0060】
第1金具85は、筒部85aと筒部85aの一端に接続されるフランジ85bとから構成される。フランジ85bが車両の運転制御装置13の面23aに当接するように、第2部81d側から第1金具85の筒部85aが挿入されている。また、第1金具85の反対側には、ワッシャ86が配設されている。第1支持弾性部材81は、第1および第2金具85,86に挟まれた状態で、締結ボルト91をモータ取付面23aのねじ孔にねじ込んで結合されている。締結ボルト91はモータ取付面23aに垂直に螺合され、第1支持弾性部材81の軸方向がモータ取付面23aに垂直となるようになっている。
【0061】
なお、筒部85aの全長は第1支持弾性部材81の軸方向の長さより短くなるように設定されている。締結ボルト91を螺合したとき、第1支持弾性部材81が軸方向に圧縮されて、軸方向の剛性が規定値となるようになっている。
【0062】
さらに、支持部材81〜83の支持部71への取付挿入の切欠方向は、頂角P10と逆側に配設することが望ましい。例えば、図3に示すように、支持部材83に対しては頂角P10と反対となる図の上側(紙面垂直上側)に切欠103を配設する。支持部材81,82も同様とすることにより、切欠方向への剛性低下を極力少なくすることができる。
【0063】
固定部72は、支持部71を車体Bに固定するためのものである。固定部72は、主として図3に示すように、支持弾性部材81〜83による全ての支持点A1〜A3を含む一平面に対して車両の運動制御装置13の重心側に設けられ、支持部71の正面右側部に接続されている第1固定部72aと、一平面に対して車両の運動制御装置13の重心と反対側に設けられ、支持部71の背面左側部に接続されている第2固定部72bと、支持部71の正面左側部に接続されている第3固定部72cと、支持部71の背面右側部に接続されている第4固定部72dと、から構成されている。それら第1〜第4固定部72a〜72dの基部は例えば締結ボルトにより車体Bに結合される。
【0064】
なお、固定部72は、少なくとも第1固定部72aおよび第2固定部72bを含む3点以上の固定部から構成されるのが望ましい。
【0065】
上述した説明から明らかなように、本実施形態においては、車両の挙動を検出する車両挙動センサ60が備えられた車両の運動制御装置13は、少なくとも3つ以上の支持弾性部材81〜83を介して車体Bに固定されたブラケット70に支持される。このとき、支持弾性部材81〜83の各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向である。したがって、車両の運動制御装置13に対する支持方向は、従来技術のごとく一方向ではなく、互いに異なる三方向であるので、様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。これにより、車両の運動制御装置が車両挙動を正確に検出する。
【0066】
また、3次元座標系は直交座標系であるので、様々な方向の振動に対してよりバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0067】
また、支持弾性部材81〜83は、支持方向に圧縮された状態で車両の運動制御装置13を支持するので、支持剛性を高く維持した状態で様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0068】
また、上記各支持方向は車両の運動制御装置13の互いに異なりかつ隣接する3面に垂直な方向であり、各支持弾性部材81〜83は少なくとも3面を支持しているので、簡単な構成かつ省スペースで様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0069】
また、各支持弾性部材81〜83による車両の運動制御装置13の支持箇所A1〜A3は、支持弾性部材81〜83によって支持される各面23a,23d,23fにおいて、3面23a,23d,23fによって形成される頂角P10から該頂角P10と各面23a,23d,23fの中心との距離以上離れた部分でありかつ互いに所定距離以上離れた関係である部分であるので、支持弾性部材81〜83による支持箇所間の距離をできるだけ長くすることができる。すなわち、車両の運動制御装置13のできるだけ端部を支持することができる。したがって、自身に搭載されている液圧機器の作動に伴う揺動運動など(例えばポンプ用モータのトルク変動による回転振動)を極力抑制することができる。
【0070】
また、液圧ユニット21は、ほぼ六面体形状の本体23を備えており、本体23は、液圧機器であるポンプ32を駆動するモータ33が取り付けられるモータ取付面23aと、モータ取付面23aの反対側の面であってコントロールユニット22が取付けられるコントロールユニット取付面23bと、各ホイールシリンダWCと連通するためのポートP3〜P6が形成されているポート形成面23cと、ポート形成面23cの反対側の面23d、コネクタ22gが形成されているコントロールユニット22のコネクタ形成面22eと合わされるコネクタ面23e、およびコネクタ面23eの反対側の面23fを有し、前記3面は、モータ取付面23a、ポート形成面23cの反対側の面23d、およびコネクタ面23eの反対側の面23fであるので、組立性よくかつコンパクトに車両の運動制御装置13を車体Bに搭載することができる。
【0071】
また、コントロールユニット22は制御基板50を収容し、車両挙動センサ60は制御基板50上であって、支持弾性部材81〜83のうち制御基板50に最も近い支持弾性部材に、それ以外の支持弾性部材よりも近接して配置されることにより、車両の運動制御装置13が車両挙動をより正確に検出することができる。
【0072】
また、支持弾性部材が3つである場合には、車体に固定されるブラケット70の固定部72は、支持弾性部材81〜83による全ての支持点A1〜A3を含む一平面に対して車両の運動制御装置13の重心G側に設けられている第1固定部72aと、一平面に対して車両の運動制御装置13の重心Gと反対側に設けられている第2固定部72bと、から少なくとも構成されている。これにより、車両の運動制御装置13がブラケット70に対して支持弾性部材による全ての支持点を含む一平面を挟んで相対的に振動した場合、車両の運動制御装置13を支持しているブラケット70が第1および第2固定部72a,72bにより車体に固定されており、そのブラケット70が車体Bに対して前記一平面を挟んで相対的に振動するのを抑制するので、ブラケット70を含んだ全体として様々な方向の振動に対してバランスのよい入力振動減衰特性および振動伝達抑制特性を得ることができる。
【0073】
なお、上述した実施形態においては、3つの支持弾性部材で車両の運動制御装置13を支持するようにしたが、4つ以上の支持弾性部材で車両の運動制御装置13を支持するようにしてもよい。このとき、支持弾性部材のうち少なくとも3つのものの各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向であることが望ましい。
【0074】
上記各実施形態は、FF車にX配管しても、FR車に前後配管してもよい。上記実施形態は、倍力装置としてバキュームブースタを用いても、ポンプにより発生した液圧をアキュムレータに蓄圧し、この液圧を利用して倍力する倍力装置を用いてもよい。また、本発明を、ブレーキ・バイ・ワイヤ式の液圧ブレーキ装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による車両の運動制御装置の支持構造の一実施形態を示す概要図である。
【図2】ブラケットを介して車体に支持された車両の運動制御装置を示す正面図である。
【図3】ブラケットを介して車体に支持された車両の運動制御装置を示す上面図である。
【図4】ブラケットを介して車体に支持された車両の運動制御装置を示す側面図である。
【図5】支持弾性部材による支持状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10…液圧ブレーキ装置、11…ブレーキペダル、12…マスタシリンダ、13…車両の運動制御装置、14…リザーバタンク、21…液圧ユニット、22…コントロールユニット、23…本体、23a…モータ取付面、23b…コントロールユニット取付面、23c…ポート形成面、23d…ポート形成面の反対側の面、23e…コネクタ面、23f…コネクタ面の反対側の面、31…電磁弁(液圧機器)、32…ポンプ(液圧機器)、33…モータ(液圧機器)、40…ケーシング、50…制御基板、60…車両挙動センサ、61…ヨーレートセンサ、62…加速度センサ、70…ブラケット、71…支持部、72…固定部、72a…第1固定部、72b…第2固定部、81〜83…支持弾性部材、B…車体、M…車両、W…車輪、WC…ホイールシリンダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(M)の各ホイールシリンダ(WC)に付与される液圧を個別に制御するための複数の液圧機器(31,32,33)を搭載した液圧ユニット(21)と、前記車両の挙動を検出する車両挙動センサ(60,61,62)が設けられているとともに前記液圧ユニットを制御するコントロールユニット(22)と、が一体化されてなる車両の運動制御装置(13)を、前記車両の車体(B)に固定されたブラケット(70)に少なくとも3つ以上の支持弾性部材(81〜83)を介して支持する車両の運動制御装置の支持構造であって、
前記支持弾性部材のうち少なくとも3つのものの各支持方向は、3次元座標系の3つの座標軸と平行である三方向であることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項2】
請求項1において、前記3次元座標系は直交座標系であることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記支持弾性部材は、前記支持方向に圧縮された状態で前記車両の運動制御装置を支持することを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記各支持方向は前記車両の運動制御装置の互いに異なりかつ隣接する3面(23a,23d,23f)に垂直な方向であり、前記各支持弾性部材は少なくとも前記3面を支持していることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項5】
請求項4において、前記各支持弾性部材による前記車両の運動制御装置の支持箇所は、前記支持弾性部材によって支持される各面において、前記3面によって形成される頂角(P10)から該頂角と前記各面の中心との距離以上離れた部分でありかつ互いに所定距離以上離れた関係である部分であることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、前記液圧ユニットは、ほぼ六面体形状の本体(23)を備えており、前記本体は、前記液圧機器であるポンプ(32)を駆動するモータ(33)が取り付けられるモータ取付面(23a)と、前記モータ取付面の反対側の面であって前記コントロールユニットが取付けられるコントロールユニット取付面(23b)と、前記各ホイールシリンダと連通するためのポートが形成されているポート形成面(23c)と、前記ポート形成面の反対側の面(23d)、コネクタが形成されている前記コントロールユニットのコネクタ形成面と合わされるコネクタ面(23e)、および前記コネクタ面の反対側の面(23f)を有し、
前記3面は、前記モータ取付面、前記ポート形成面の反対側の面、および前記コネクタ面の反対側の面であることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項において、前記コントロールユニットは制御基板(50)を収容し、前記車両挙動センサは前記制御基板上であって、前記支持弾性部材のうち前記制御基板に最も近い支持弾性部材に、それ以外の支持弾性部材よりも近接して配置されることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項において、前記支持弾性部材が3つである場合には、前記車体に固定される前記ブラケットの固定部(72)は、前記支持弾性部材による全ての支持点を含む一平面に対して前記車両の運動制御装置の重心(G)側に設けられている第1固定部(72a)と、前記一平面に対して前記車両の運動制御装置の重心と反対側に設けられている第2固定部(72b)と、から少なくとも構成されていることを特徴とする車両の運動制御装置の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149898(P2008−149898A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340032(P2006−340032)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】