説明

車両の駆動力制御装置

【課題】 運転者のアクセル踏込み過程における車両加速感を向上させた車両の駆動力制御装置を提供する。
【解決手段】 運転者のアクセル踏込み動作が反映されるアクセル開度xaを変数とする所定関数190に従って車両要求駆動力Fdが算出される。所定関数190は、アクセル開度の零点(xa=0%)および全開点(xa=100%)を結ぶ基準直線170に対して変曲点195を持つように設定される。さらに、所定関数190は、変曲点195よりもアクセル開度xaが大きい領域では基準直線170に対して上に凸となる一方で、変曲点195よりもアクセル開度xaが小さい領域では基準直線170に対して下に凸となるように定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の駆動力制御装置に関し、より特定的には、アクセル開度に応じて車両の要求駆動力を算出する車両の駆動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では運転者の加速意思はアクセルペダルの踏込み量に反映される。したがって、電子制御装置を備えた自動車では、アクセルペダルの踏込み量に応じたアクセル開度を検出し、このアクセル開度に応じて車両の要求駆動力を算出する。さらに、算出された要求駆動力が出力されるように、エンジンやモータ等の車両駆動力発生源を制御する必要がある。
【0003】
したがって、運転者の加速要求に応じて車両を運転するためには、アクセル開度に応じて車両の要求駆動力を的確に算出する構成が必要となる。たとえば、特開2002−171778号公報(特許文献1)には、ハイブリッド自動車において、アクセル開度の増大に応じて、上に凸形状の所定関数に従って車両駆動力を発生するモータの目標トルクを設定する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2002−171778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者が車両を加速させようとするときには、期待する加速度に到達するまで車両の応答に合わせてアクセルペダルを踏込んでいく動作が行なわれる。このため、アクセル開度に対する車両への要求駆動力の算出が不適切であると、運転者が期待する加速感を得られず運転快適性を損なう可能性がある。
【0005】
特に、特許文献1の図3に開示されるようなアクセル開度−車両駆動力(目標トルク)設定特性に従えば、アクセル開度が比較的小さい領域ではアクセル開度の増加に応じて目標トルク(車両駆動力)が増大する一方で、運転者の加速意思が明確に表われるアクセル開度が大きい領域では、アクセル開度の増加に対する目標トルク(車両駆動力)の増加が鈍くなるので、運転者が期待する加速感を得られないことが予想される。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、運転者のアクセル踏込み過程における車両加速感を向上させた車両の駆動力制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車両の駆動力制御装置は、運転者の加速指示操作をアクセルペダルに受ける車両の駆動力制御装置であって、アクセル開度検知手段と、駆動力算出手段と、駆動制御手段とを備える。アクセル開度検知手段は、アクセルペダルへの操作量に応じたアクセル開度を検知する。駆動力算出手段は、アクセル開度に応じて車両の要求駆動力を算出する。駆動制御手段は、駆動力算出手段によって算出された駆動力を発生するように車両を制御する。特に、駆動力算出手段は、アクセル開度を横軸とし、車両の要求駆動力を縦軸とした平面上で規定される所定関数に従って、要求駆動力を算出しする。ここで、所定関数は、所定関数上のアクセル開度の零点および全開点の間を結ぶ基準直線に対して変曲点を持つように定められる。さらに、所定関数は、変曲点よりもアクセル開度が大きい領域では所定関数は基準直線に対して上に凸となる一方で、変曲点よりもアクセル開度が小さい領域では所定関数は基準直線に対して下に凸となるように定められる。
【0008】
上記車両の駆動力制御装置によれば、変曲点よりもアクセル開度が小さい領域では所定関数を基準直線に対して下に凸とすることでアクセル開度の増加に応じた車両駆動力の増加を抑制し、その一方で、変曲点よりもアクセル開度が大きい運転者の加速意思が明確な領域では、所定関数を上に凸としてアクセル開度の増加に対する車両駆動力の増加量を大きくしている。この結果、運転者による加速意思が明確な変曲点を超えてアクセル開度が増加した領域でも、アクセル開度の増加に対応して車両の駆動力を増加させることができるので、アクセル開度の増加に応じて車両のジャーク(加速度の時間微分)を増加させることができる。これにより、運転者のアクセル踏込み過程における車両加速感をより明確に運転者に感じさせることができる。
【0009】
好ましくは、本発明による車両の駆動力制御装置では、変曲点は、アクセル開度が全開状態に対して20%以上の領域に設定される。
【0010】
上記車両の駆動力制御装置によれば、運転者の加速意思が明確になるアクセル開度領域において、運転者に十分な加速感を与えることができる。
【0011】
また好ましくは、本発明による車両の駆動力制御装置では、所定関数は、アクセル開度を変数とする三次関数の逆関数である。
【0012】
上記車両の駆動装置によれば、所定関数を3次関数の逆関数として、より低い次数で実現することができるため、所定関数の設定を容易化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両の駆動力制御装置によれば、運転者のアクセル開度踏込み過程において十分な車両加速感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中での同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰返さないものとする。
【0015】
図1は、この発明に従う車両の駆動力制御装置によって制御されるハイブリッド車両100の概略構成を示すブロック図である。
【0016】
図1を参照して、ハイブリッド車両100は、バッテリ10と、電力変換部(PCU:Power Control Unit)20と、電動機(モータ)30と、エンジン40と、動力分割機構50と、発電機(ジェネレータ)60と、変速機70と、駆動輪80a,80bと、ハイブリッド車両100の全体動作を制御するECU(Electronic Control Unit)90と、アクセルペダル装置110と、アクセル開度センサ120とを備える。
【0017】
バッテリ10は、充電可能な二次電池(たとえばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池)から構成される。電力変換部20は、バッテリ10から供給された直流電圧をモータ30駆動用の交流電圧に変換するインバータ(図示せず)を含む。このインバータは、双方向の電力変換が可能なように構成され、モータ30の回生制動動作による発電電力(交流電圧)およびジェネレータ60による発電電力(交流電圧)を、バッテリ10充電用の直流電圧に変換する機能を併せ持つものとする。
【0018】
さらに、電力変換部20は、直流電圧のレベル変換を行なう昇降圧コンバータ(図示せず)をさらに含んでもよい。このような昇降圧コンバータを配置することにより、バッテリ10の供給電圧よりも高電圧を振幅とする交流電圧によってモータ30を駆動することができるので、モータ駆動効率を向上することができる。
【0019】
エンジン40は、ガソリン等を燃料とする内燃機関であり、燃料の燃焼による熱エネルギを駆動力となる運動エネルギに変換して出力する。動力分割機構50は、エンジン40からの出力を、変速機70を介して駆動輪80a,80bへ伝達する経路と、ジェネレータ60へ伝達する経路とに分割可能である。ジェネレータ60は、動力分割機構50を介して伝達されたエンジン40からの出力によって回転されて発電する。ジェネレータ60による発電電力は、電力変換部20によって、バッテリ10の充電電力、あるいはモータ30の駆動電力として用いられる。
【0020】
モータ30は、電力変換部20から供給された交流電圧によって回転駆動されて、その出力は、変速機70を介して駆動輪80a,80bへ伝達される。また、モータ30が駆動輪80a,80bの減速に伴って回転される回生制動動作時には、モータ30は発電機として作用する。
【0021】
アクセルペダル装置110は、運転者によって踏込まれるアクセルペダル105の踏力に応じたアクセル開度を設定する。アクセル開度センサ120は、アクセルペダル装置110と接続されて、アクセル開度xaに応じた出力電圧をECU90へ送出する。
【0022】
ハイブリッド車両100では、発進時および低速走行時、あるいは緩やかな坂を下るとき等の軽負荷時には、エンジン効率の低い領域を避けるために、エンジン40の出力を用いることなく、モータ30のみによる出力で走行する。すなわち、アクセル開度の小さい領域では、ハイブリッド車両100は、モータ30のみの出力により走行する。この場合には、暖機運転が必要な場合を除いてエンジン40の運転が停止される。なお、暖機運転が必要な場合には、エンジン40はアイドル運転される。
【0023】
一方、アクセル開度が所定値より大きい通常走行時には、エンジン40が始動され、エンジン40からの出力は、動力分割機構50によって駆動輪80a,80bの駆動力と、ジェネレータ60での発電用駆動力とに分割される。ジェネレータ60による発電電力は、モータ30の駆動に用いられる。したがって、通常走行時には、エンジン40による出力をモータ30からの出力でアシストして、駆動輪80a,80bが駆動される。ECU90は、動力分割機構50による動力分割比率を、全体の効率が最大となるように制御する。
【0024】
さらに、高加速時には、バッテリ10から供給される電力がモータ30の駆動にさらに用いられて、駆動輪80a,80bの駆動力がさらに増加する。
【0025】
減速および制動時には、モータ30は、駆動輪80a,80bによって回転駆動されて発電する。モータ30の回生発電によって回収された電力は、電力変換部20によって直流電圧に変換されてバッテリ10の充電に用いられる。さらに、車両停止時には、エンジン40は自動的に停止される。
【0026】
ハイブリッド車両100では、運転者によるアクセルペダルの操作に対応した車両要求駆動力を、エンジン40からの出力と電気エネルギを源としたモータ30からの出力との組合せによって満足する。すなわち、車両要求に応じてエンジン40およびモータ30の運転を制御することにより燃費を向上させた車両運転を行なう。
【0027】
図2は、ECU90による、アクセル開度に応じた車両駆動力制御装置に対応する機能部分を説明する概略ブロック図である。
【0028】
図2を参照して、駆動力制御装置150は、要求駆動力算出部155と、駆動力制御部160とを含む。
【0029】
要求駆動力算出部は、アクセル開度センサ120からのアクセル開度xaに応じて車両の要求駆動力Fdを算出する。駆動力制御部160は、要求駆動力算出部155によって算出された要求駆動力Fdと現在の車速とに応じて、ハイブリッド車両100全体での出力パワーを計算し、この全体出力パワーの配分制御を行なう。すなわち、駆動力制御部160は、算出された目標出力パワーを満足するように、エンジン40の動作を制御するエンジンECU(図示せず)に対してスロットル開度指令を発し、モータ30の動作を指示するPCU20に対してモータトルク指令を出力し、変速機70に対して変速比指令および/またはロックアップ指令を発生する。
【0030】
駆動力制御部160による指令に従ってハイブリッド車両100が動作することにより、運転者の要求駆動力を満足するような車両推進力が得られる。
【0031】
図3は、図2に示した要求駆動力算出部155における要求駆動力の算出に用いられる関数を示す図である。
【0032】
図3の横軸はアクセル開度xaを示し、縦軸は要求駆動力Fdを示している。図3では、アクセル開度xaを全開状態に対する百分率(%)で表わす。
【0033】
図3には、要求駆動力算出部155で用いられる本実施の形態に従う所定関数190と、比較のために示された関数170および関数180が示されている。
【0034】
関数170,180,190の各々は、アクセル開度xa=0(%)を始点、アクセル開度全開に対するxa=100(%)を終点として、アクセル開度xaに応じた要求駆動力Fdを算出する。
【0035】
これらの関数の始点、すなわちxa=0(%)において、車両要求駆動力Fdはエンジンブレーキに対応する負の値に設定される。その後、アクセル開度xaの増加に従って、要求駆動力Fdが増加するように、各関数170,180,190は設定される。
【0036】
関数170は、始点(アクセル開度零点)および終点(アクセル開度全開点)の間を直線で結ぶ「基準直線」に対応する。以下では、関数170を比例関数170とも称する。比例関数170に従えば、要求駆動力Fdはアクセル開度xaに比例して算出される。
【0037】
関数180は、特許文献1の図3と同様に、アクセル開度xaの全範囲において基準直線170に対して上に凸状となるように設定されている。以下では、関数180を従来関数180とも称する。
【0038】
これに対して、本発明の実施の形態に従う所定関数190は、基準直線に対する凸方向が変化する変曲点195を有するように設定されている。具体的には、所定関数190は、変曲点195よりもアクセル開度xaが小さい領域では基準直線(関数170)に対して下に凸状となり、その一方で、変曲点195よりもアクセル開度xaが大きい領域では基準直線に対して上に凸状となるように設定されている。この変曲点195は、好ましくは、運転者の加速意思が明確な場合に到達するアクセル開度に対応させて、xa=20(%)よりも大きい領域に設けられる。
【0039】
この結果、所定関数190では、変曲点195よりもアクセル開度が小さい領域ではアクセル開度の増加に応じた車両駆動力の増加量を抑制し、その一方で、変曲点195よりもアクセル開度xaが大きく、運転者の加速意思が明確な領域では、アクセル開度の増加に対する車両駆動力の増加量を大きくしている。
【0040】
このような所定関数190は、たとえば三次関数の逆関数として最小の次数で実現することができる。この場合、アクセル開度xaに応じた要求駆動力Fdの算出は、下記(1),(2)式に従って行なわれる。
【0041】
Fd=f-1(xa) …(1)
f(xa)=a・xa3+b・xa2+c・xa+d …(2)
なお、(2)式中のa〜dは定数であり、所定関数190を所望の特性とするために調整可能である。
【0042】
図4および図5には、図3に示した関数170〜190に従った要求駆動力算出時における車両の加速度およびジャーク(加速度の時間微分値)のシミュレーション結果が示される。
【0043】
図4および図5を参照して、今回のシミュレーションでは、アクセル開度を0〜1(秒)期間は一定の初期値とし、1〜3(秒)期間でアクセル開度をこの初期値から全開状態(xa=100(%))まで一定の割合で増加させている。3〜5(秒)期間ではアクセル開度xa=100(%)に維持している。
【0044】
図4では、符号190xに示すアクセル開度操作に応答して、所定関数190を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両加速度Faの推移を符号190aに示している。同様に、符号170aは、符号170xに示すアクセル開度操作に応答して、比例関数170を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両加速度Faの推移を示しており、符号180aは、符号180xに示すアクセル開度操作に応答して、従来関数180を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両加速度Faの推移を示している。
【0045】
なお、符号170x,180x,190xでのアクセル開度初期値(0〜1(秒)期間での開度)は、各関数170〜190の使用時に1(秒)時点における車両加速度Faが同一の値となるように定めている。
【0046】
図4から理解されるように、従来関数180を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(加速度推移180a)には、アクセル開度xaの増加に応じて車両加速度Faが増加する特性が得られる。ただし、加速度推移180aでは、加速度の増加割合は加速度推移190aと比較して大きく、加速度が飽和するタイミングも相対的に早い。したがって、加速度推移180aでは、アクセル開度が小さい領域より加速度を上昇できる一方で、アクセル開度が大きい領域では、アクセル開度の増加に応答した加速度の増加を得られない可能性がある。
【0047】
さらに、比例関数170を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(加速度推移170a)にも、アクセル開度xaの増加に応じて車両加速度Faは増加するが、アクセル開度が大きい領域では、アクセル開度の増加に応答した加速度の増加が鈍くなっている。このため、運転者がアクセル踏込みに応答した加速感を得られない可能性がある。
【0048】
一方、所定関数190を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(加速度推移190a)には、アクセル開度の全領域において、アクセル開度xaの増加に応じて車両加速度Faがほぼ比例して増加する特性が得られる。特に、所定関数190では変曲点195を設けることにより、変曲点195よりもアクセル開度が大きい領域において、アクセル開度の増加に応答して加速度の増加を確保できるようにしている。これにより、運転者に適切な加速感を感じさせることが可能となる。
【0049】
図5には、アクセル開度操作190xに応答して、所定関数190を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両ジャーク加速度Fjの推移を符号190jに示している。同様に、符号170jは、アクセル開度操作170xに応答して、比例関数170を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両ジャークFjの推移を示しており、符号180jは、アクセル開度操作180xに応答して、従来関数180を用いて要求駆動力Fdを算出した場合での車両ジャークFjの推移を示している。なお、アクセル開度操作170x〜190xは、図4と同様である。
【0050】
図5から理解されるように、従来関数180を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(ジャーク推移180j)には、アクセル開度が小さい領域でジャークFjは飽和してしまい、運転者の加速意思が明確であるアクセル開度が大きい領域では、アクセル開度の増加に伴ってジャークFjはかえって減少してしまう。
【0051】
同様に、比例関数170を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(ジャーク推移170j)にも、運転者の加速意思が明確であるアクセル開度が大きい領域では、アクセル開度の増加に伴うジャークFjの増加が鈍くなる。
【0052】
このため、関数170,180に従った要求駆動力Fdの算出では、運転者には、アクセル開度の増加に伴う満足な加速感が得られなくなってしまう。
【0053】
これに対して、所定関数190を用いて要求駆動力Fdを算出した場合(ジャーク推移190j)には、アクセル開度の全領域において、アクセル開度xaの増加に応じてジャークFjがほぼ比例して増加する特性が得られる。特に、所定関数190では変曲点195を設けることにより、変曲点195よりもアクセル開度が大きい領域において、アクセル開度の増加に応答してジャークの増加を確保できるようにしている。これにより、運転者に十分な加速感を感じさせることが可能となる。
【0054】
なお、本実施の形態では、エンジンおよび電動機を駆動力源とするハイブリッド車両における要求駆動力の算出について説明したが、本発明の適用はこのような形態に限定されるものではない。すなわち、他の駆動力源の組合せによるハイブリッド車両や単一の駆動力源(エンジンのみ、電動機のみ等)を備えた車両についても、アクセル開度に応じた要求駆動力の算出を本発明に従ったものとすることができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明に従う車両の駆動力制御装置によって制御されるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ECUによるアクセル開度に応じた車両駆動力制御装置に対応する機能部分を説明する概略ブロック図である。
【図3】要求駆動力の算出に用いられる所定関数を示す図である。
【図4】図3に示した各関数に従った要求駆動力算出時における車両加速度のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】図3に示した各関数に従った要求駆動力算出時における車両ジャーク(加速度の時間微分値)のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 バッテリ、20 電力変換部、30 電動機(モータ)、40 エンジン、50 動力分割機構、60 ジェネレータ、70 変速機、80a,80b 駆動輪、90 ECU、100 ハイブリッド車両、105 アクセルペダル、120 アクセル開度センサ、150 駆動力制御装置、155 要求駆動力算出部、160 駆動力制御部、170 比例関数(基準直線)、180 従来関数、190 所定関数(本発明)、170a,180a,190a 加速度推移、170j,180j,190j ジャーク推移、170x,180x,190x アクセル開度操作、195 変曲点、Fd 車両駆動力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の加速指示操作をアクセルペダルに受ける車両の駆動力制御装置であって、
前記アクセルペダルへの操作量に応じたアクセル開度を検知するアクセル開度検知手段と、
前記アクセル開度に応じて前記車両の要求駆動力を算出する駆動力算出手段と、
前記駆動力算出手段によって算出された駆動力を発生するように前記車両を制御する駆動制御手段とを備え、
前記駆動力算出手段は、前記アクセル開度を横軸とし、前記車両の要求駆動力を縦軸とした平面上で規定される所定関数に従って、前記要求駆動力を算出し、
前記所定関数は、前記所定関数上の前記アクセル開度の零点および全開点の間を結ぶ基準直線に対して変曲点を持ち、かつ、前記変曲点よりも前記アクセル開度が大きい領域では前記所定関数は前記基準直線に対して上に凸となる一方で、前記変曲点よりも前記アクセル開度が小さい領域では前記所定関数は前記基準直線に対して下に凸となるように定められる、車両の駆動力制御装置。
【請求項2】
前記変曲点は、前記アクセル開度が前記全開状態に対して20%以上の領域に設定される、請求項1記載の車両の駆動力制御装置。
【請求項3】
前記所定関数は、前記アクセル開度を変数とする三次関数の逆関数である、請求項1記載の車両の駆動力制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−274962(P2006−274962A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97179(P2005−97179)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】