説明

車両制御装置および車両制御プログラム

【課題】車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制する。
【解決手段】可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、エンジン始動の際に、飲酒判定手段14により飲酒ありと判定された場合に調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整すると共に、位置判定手段11によって車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段12によって車両の移動速度がゼロであると判定された場合に調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両における飲酒運転を抑制する技術としての車両制御装置および車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲酒運転と、それに伴う交通事故が問題となってきている。このため、運転免許の取り消しなどの罰則を厳しくする等の法規制もされてきているが、十分な効果を上げていない。
【0003】
また、以下の特許文献1にあるように、エンジン始動前に運転者の呼気中のアルコール濃度を検出し、アルコールが検出された場合には、イグニッションキーを回してもエンジンを始動できなくする装置も諸外国では既に使用されつつある。
【特許文献1】特開2005-96663号公報
【特許文献2】特開2004−249847号公報
【特許文献3】特開2005−206128号公報
【特許文献4】特開2005−24507号公報
【特許文献5】登録実用新案第3050109号公報
【特許文献6】実願昭62−164086号(実開平1−67119号)のマイクロフィルム
【特許文献7】特開平5−347186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のように、運転者の呼気中にアルコールが検出された場合にエンジン始動ができないとすると、停車中に冷房あるいは暖房を使用することができなくなり、場合によっては、冬であれば低体温症や凍死、夏であれば熱中症などの重篤な症状を引き起こすおそれがある。たとえば、低体温症や熱中症まで発症しないものの、寒さや暑さで体力を消耗することになる。
【0005】
また、高速道路のパーキングエリアで長距離トラックの運転者が仮眠をとるような場合も、飲酒したことによってエンジンの始動ができないとすると、仮眠中に冷房あるいは暖房を使用することができなくなり、寒さや暑さで体力を消耗することになる。
【0006】
また、上記特許文献2では、運転席アルコールセンサ1により、運転者の呼気中のアルコールを検知し、酩酊あり(飲酒あり)と判定されると、変速機中立位置ロック指令信号5,点火系統作動阻止指令信号7,操向系統作動阻止指令信号9,始動電動機作動阻止指令信号11,燃料供給遮断指令信号13の内の少なくともいずれか一つを出力し、当該自動車が発進できないようにする車両制御装置の発明が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献2で、飲酒を検知した場合に、点火阻止,スターター阻止,燃料遮断などによってエンジンの回転を阻止した場合には、停車中に冷房あるいは暖房を使用することができなくなり、場合によっては、冬であれば低体温症や凍死、夏であれば熱中症などの重篤な症状を引き起こすおそれがある。たとえば、低体温症や熱中症まで発症しないものの、寒さや暑さで体力を消耗することになる。
【0008】
また、上記特許文献3では、電源を入れエンジンを駆けると(エンジン動作中)に車両内のアルコールを検知するアルコールセンサを備え、走行中にアルコール反応が検出(飲
酒ありと判定)された場合、ハザードランプを点滅させると共に速度制限を行い退避処置を取るように警告を発しながら、サービスエリア又は料金所で一旦停止した後走行速度10km以下とし3分程度退避走行時間走行としその後(駐停車可能な位置までの移動が完了した後)、車両を走行不能とするようにした車両制御装置の発明が記載されている。しかし、特許文献3は、飲酒を検知した場合には、燃料噴射制御によって走行速度や走行時間を制限するものであり、一定時間や一定距離の飲酒運転による走行を認めてしまっている問題がある。
【0009】
また、上記特許文献4には、アルコール検知時に、車両の位置と速度を検出し、ハザードランプ表示させ、車両の速度を低下させ、安全に停車できるまで誘導を行うナビゲーション部を備えた車両制御装置が記載されている。しかし、この特許文献4は、飲酒を検知した場合には、ハザード点滅とナビ誘導と燃料噴射制御・速度制限を実行するものであり、やはり、一定時間の飲酒運転を認めてしまっている問題がある。
【0010】
また、上記特許文献5では、自動車が発進できないようする方法として、フロントガラスに覆いを掛けることで、前方を見えなくする方法が記載されておりますが、運転者以外の第三者の人手に頼る技術であり、飲酒運転の抑止としては効果の薄い手法である。
【0011】
また、上記特許文献6では、2枚の透明電導膜(透明電極)間に分散型液晶シート(可視光線を遮る液晶層)を封入(挟入)し、2枚の透明電導膜(透明電極)に所定の電圧を印加して、液晶分子の状態をコントロール(配向性を変化させる)することにより、調光ガラスの透過率を調整し、フロントロアウインド2(ウインドガラス)を透明状態とスリガラス状態(見えない状態)との間で可逆的に調節できるようにした調光ガラスの発明が記載されている。しかし、この特許文献6は、飲酒とは関係なく走行速度だけに応じて調光ガラスの透過率を制御するものであり、かつ、高速走行時に不透明/低速や停止時に透明に制御するものであり、左折などをする際に横断歩道を渡っている歩行者を見えやすくするものであって、飲酒運転の抑止には何ら効果を及ぼさない。
【0012】
また、上記特許文献7では、透明な蛍光膜4(発光層)を2枚の透明導電膜(透明電極)間に挟入して成るフルカラーの表示も可能なマトリックス表示の車載用エレクトロルミネッセンス・ディスプレイの発明が記載されている。しかし、この特許文献7は、車内の表示装置としてELディスプレイなどを用いるものであり、車両の内部での表示手段や調光手段が示されているだけであり、警告表示などのディスプレイに用いることは可能であるものの、飲酒運転の抑止には効果の薄いことが予想される。
【0013】
本発明は、このような状況に鑑み創案されたもので、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、かつ車両を適法な状態に保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する発明は、以下に述べるようなものである。
(1)請求項1記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である

【0015】
(2)請求項2記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である。
【0016】
(3)請求項3記載の発明は、前記制御手段は、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していないと判定された場合には、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整せず、エンジンの始動を行わない、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置である。
【0017】
(4)請求項4記載の発明は、前記制御手段は、エンジンの始動時における前記飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行わない、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置である。
【0018】
(5)請求項5記載の発明は、該運転者の生体データ値を検出する生体センサと、該生体センサの検出結果により、該運転者を識別する識別手段と、を備え、前記制御手段は、前記識別手段により識別された同一の運転者について前記飲酒履歴の制御を行う、ことを特徴とする請求項4記載の車両制御装置である。
【0019】
(6)請求項6記載の発明は、前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、前記制御手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0020】
(7)請求項7記載の発明は、前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、ことを特徴とする、請求項6記載の車両制御装置である。
【0021】
(8)請求項8記載の発明は、前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、
前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、前記制御手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0022】
(9)請求項9記載の発明は、前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、ことを特徴とする、請求項8記載の車両制御装置である。
【0023】
(10)請求項10記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段、として該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラムである。
【0024】
(11)請求項11記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、前記車両の移動速度を検出する速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度が、ゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段、エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段、として該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラムである。
【0025】
(12)上記における位置検出手段は、自動車等に一般的に装備されているカーナビゲーションシステムのGPS機能を用いることを特徴とする車両制御装置である。
(13)前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限する、ことを特徴とする上記(1)〜(11)の車両制御装置である。
【0026】
(14)前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合には変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、ことを特徴とする上記(1)〜(11)の車両制御装置である。
【0027】
(15)前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、ことを特徴とする上記(1)〜(11)の車両制御装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
なお、この発明において、特定領域とは、車両の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域である。また、車両運送の保安基準により定められた、ウインドウの可視光線の透過率70%を規定値とした場合、この規定値未満の値(透過率70%未満)を所定値とする。
【0029】
(1)請求項1記載の発明では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合には、ウインドウの調光ガラスの透過率が所定値(規定値未満)に調整されて、エンジンの始動が行われる。
【0030】
この車両制御装置によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値(規定値未満)に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値(規定値未満)となり走行に適しない状態になる。
【0031】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から車両を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0032】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0033】
(2)請求項2記載の発明では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していて、速度がゼロであると判定された場合には、ウインドウの調光ガラスの透過率が所定値(規定値未満)に調整されて、エンジンの始動が行われる。ここで、特定領域とは、車両の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域、すなわち私有地などである。
【0034】
この車両制御装置によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値(規定値未満)に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値(規定値未満)となり走行に適しない状態になる。
【0035】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から車両を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0036】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0037】
(3)請求項3記載の発明では、制御手段は、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、位置判定手段によって車両の所在位置が前記特定領域(公
道・私道以外の私有地などの領域)に属していないと判定された場合には、調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に調整せず、エンジンの始動を行わない、ように制御する。
【0038】
この車両制御装置によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率は所定値(規定値未満)に調整しないが、エンジンの始動を行わないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0039】
(4)請求項4記載の発明では、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラスの前記透過率を所定値(規定値未満)に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0040】
(5)請求項5記載の発明では、生体センサの検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラスの前記透過率を所定値(規定値未満)に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0041】
(6)請求項6記載の発明では、調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、制御手段が、2枚の透明電極に所定の電圧を印加して液晶分子の配向性を変化させることにより、調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に調整する。
【0042】
すなわち、調光ガラスとして液晶フィルムを含むものを用いた場合には、2枚の透明電極間に所定の電圧を印加するだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にして、走行に適さない状態にすることができる。これにより、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0043】
(7)請求項7記載の発明では、上記(6)において、調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる。
【0044】
すなわち、調光ガラスとして有機エレクトロルミネッセンス素子層を含むものを用いた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層の発光層に所定色の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にすることができる。この場合も、有機エレクトロルミネッセンス素
子層を含む調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0045】
(8)請求項8記載の発明では、上記(1)〜(5)において、調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、制御手段が、発光層に特定波長の光を発光させフォトクロミックガラス層を着色させることにより、調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に調整する。
【0046】
すなわち、調光ガラスとして有機エレクトロルミネッセンス素子層およびフォトクロミックガラス層を含むものを用いた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層の発光層に特定波長の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値(規定値未満)に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にすることができる。
【0047】
このとき、有機エレクトロルミネッセンス素子層から発した光によりフォトクロミックガラス層が着色されるので、透過率の低下変更が充分に行なわれる一方、フォトクロミックガラス層を着色させる波長の光以外の光を有機エレクトロルミネッセンス素子層に発光させた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層を含む調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0048】
(9)請求項9記載の発明では、上記(8)において、発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる。
【0049】
すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子層における発光層を、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成し、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色や任意の画像の表示を行なうことが可能になり、ウインドウガラスを外部に対する表示装置として用いることができる。
【0050】
ここで、運転者が飲酒状態であって走行できずに車停止中には、リアウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの有機エレクトロルミネッセンス素子層において、飲酒による停止状態を示す表示を実行することにより、他車や歩行者などに対して停止中であることを明確に伝えることができ、停止中の安全性を高めることができる。
【0051】
また、例えば、車両の停止中に全てのウインドウガラスの色を車両外面と同じ色にすることで、外観上、お洒落で極めて目立つ状態となるので、悪意をもった第三者が盗難等の不法行為を行ない辛くなり、その車両に対する不法行為の防止に大きく寄与することになる。
【0052】
また、車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの有機エレクトロルミネッセンス素子層において、車両のブレーキ操作に連動した表示や車両の方向指示器の動作に連動した表示を実行することにより、ブレーキランプやウインカーだけでなくリアウインドウガラスを用いた大きな表示によって、後方の車両の運転者に対し運転者のブレーキングや移動方向の意志を明確に伝えることが可能になり、走行移動中の安全性を高めることができる。
【0053】
(10)請求項10記載の発明では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段によ
り運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合には、ウインドウの調光ガラスの透過率が所定値(規定値未満)に調整されて、エンジンの始動が行われる。ここで、特定領域とは、車両の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域である。
【0054】
この車両制御装置によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値(規定値未満)に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値(規定値未満)となり走行に適しない状態になる。
【0055】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から車両を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0056】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0057】
(11)請求項11記載の発明では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していて、速度がゼロであると判定された場合には、ウインドウの調光ガラスの透過率が所定値(規定値未満)に調整されて、エンジンの始動が行われる。ここで、特定領域とは、車両の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域、すなわち私有地などである。
【0058】
この車両制御装置によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値(規定値未満)に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値(規定値未満)となり走行に適しない状態になる。
【0059】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から車両を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0060】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を所定値(規定値未満)に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0061】
(12)なお、近年、自動車等に一般的に装備されているカーナビゲーションシステムのGPS機能を用いることで、特別な位置検出手段を新たにそなえることなく、極めて容易に車両の所在位置を検出することができる。
【0062】
また、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従えば、少なくとも運転者の前方および両側方におけるウインドウガラスを、位置判定手段および速度判定手段による判定結果に従った透過率調整対象とすればよく、これらの対象ウインドウガラス以外のウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの透過率については、車両の停止中/移動中に関係なくまた車両の所在位置に関係なく、規定値未満か以上のいずれか一方に選択的に
切り換え可能に構成することで、対象ウインドウガラス以外のウインドウガラスについては、車両の乗員の意志やアルコール検知結果によって透明/高濃度の切換をいつでも行なうことが可能であり、安全性や利便性を高めることができる。
【0063】
(13)飲酒やアルコールが検知された場合に、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限することにより、上述したウインドウの高濃度化と共に、飲酒運転抑制を一層確実なものにすることができる。
【0064】
(14)飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合には変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させないことにより、上述したウインドウの高濃度化と共に、飲酒運転抑制を一層確実なものにすることができる。
【0065】
(15)飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御することにより、上述したウインドウの高濃度化と共に、飲酒運転抑制を一層確実なものにすることができる。
【0066】
さらに、車両の外部の明度に応じて調光ガラスの透過率を調整することにより、車両外が暗い場合には透過率を高めて視界を確保することができる一方、車両外が極めて明るい場合には透過率を低くして運転者や乗員の受ける眩しさを低減することができるので、運転者は車両外の状況を確実に視認することが可能になり、安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔1〕本実施形態の車両制御装置の構成:
図1は本発明の一実施形態としての車両制御装置101の構成を示すブロック図である。この図1に示すように、本実施形態の車両制御装置101は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラス110を、ウインドウガラス111〜116としてそなえた自動車(車両)100において、各調光ガラス110の透過率を制御したり、エンジン40の始動などを制御するものである。
【0068】
〔1−1〕本実施形態のガラスの構成:
本実施形態における車両としての自動車100は、ここでは、一般的な4ドアタイプの乗用車を具体例とし、6枚のウインドウガラス111〜116(フロントウインドウガラス111,右前サイドウインドウガラス112,左前サイドウインドウガラス113,右後サイドウインドウガラス114,左後サイドウインドウガラス115およびリアウインドウガラス116)をそなえている。
【0069】
これらのウインドウガラス111〜116を成す調光ガラス110としては、図2に示すような調光ガラス110A、もしくは、図3に示すような調光ガラス110B、もしくは、図4に示すような調光ガラス110Cのいずれかを用いることができる。
【0070】
ここで、「調光ガラス」とは、ガラスそのものの可視光線の透過率や着色具合などを自由に調整可能とすることで、カーテンやシャッタなどを用いることなく、当該ガラスの隔てた側を視認不可能なもの(高濃度な状態)とすることが可能なガラスである。
【0071】
また、ここでいう「調光ガラス」の「ガラス」とは、いわゆる二酸化珪素を主成分とするガラスという材質を限定的に指すのではなく、窓などに利用され得る、通常、略無色透明である板状のものを指す広義の「ガラス」であり、アクリルやポリカーボネートといったプラスチックなどの材質のものも含まれる。
【0072】
図2は調光ガラス(第1例)110Aの構造を模式的に示す断面図で、この図2に示すように、調光ガラス110Aは、液晶を用いて調光可能に構成されたものであり、通常は透明な状態であったものが、電圧の印加により液晶分子の配向性が変わることにより光が遮られる構成を有している。
【0073】
より具体的に説明すると、調光ガラス110Aは、2枚のガラス板(透明板)120,130の間に有機エレクトロルミネッセンス素子層140が挟入されることによって構成されている。なお、以下では「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略記する場合がある。
【0074】
有機EL素子層140は、陽極透明電極141と陰極透明電極142とが有機EL層143を挟入することにより構成されている。そして、陽極透明電極141と陰極透明電極142との間に電圧を印加することにより、有機EL層143が発光するようになっている。この有機EL層143は、陽極側から順に正孔輸送層144,発光層145および電子輸送層146の3層を積層されて構成されており、陽極透明電極141と陰極透明電極142との間に電圧が印加されることにより発光層146から陽極方向に向けて発光光が発せられるのである。
【0075】
また、発光層146は、光の3原色である赤(R),緑(G),青(B)を各々発光する発光体を、マトリクス状に規則正しく配列して構成されており、このような構成により、調光ガラス110Aを、カラー表示装置として機能させることが可能になっている。調光ガラス110Aにおいて、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、後述する調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
【0076】
なお、本実施形態においては、有機EL層143は正孔輸送層144,発光層145および電子輸送層146の3層により構成されているが、本発明はこれに限らず、単一の層からなるものや、正孔輸送層と発光層の2層からなるもの等、有機EL層と呼ばれるものによって構成されていればよい。
【0077】
そして、調光ガラス110Aでは、可視光線の透過率を調整すべく、液晶フィルム150が車室内側に貼付されている。液晶フィルム150を調光ガラス110Aの車室内側つまりガラス板130に貼付することで、この液晶フィルム150による調光(可視光線の透過率の変更・調整;後述)を行なっても、有機EL素子層140による外部(車室外)に対する表示(後述)が液晶フィルム150によって遮られることはない。
【0078】
液晶フィルム150は、2枚の透明薄膜151,152の間に、透明電極153,154および液晶層(液晶分子)155が挟入されることによって構成されている。液晶層155は、透明電極153,154の間に挟入されている。そして、これらの透明電極153,154の間に所定の電圧を印加することにより、液晶層155における液晶分子の配向性を変化させることで可視光線が遮られるように構成されている。
【0079】
すなわち、液晶フィルム150つまりは調光ガラス110Aは、電圧を印加しない状態で透明な状態(可視光線の透過率が規定値である70%以上の状態)であるが、所定の電圧を印加すると高濃度な状態(可視光線の透過率が規定値である70%未満の状態)に切り換えられるようになっている。この液晶フィルム150に対する印加電圧は、後述する調整手段10bによって調整・制御される。
【0080】
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Aにおいて、有機EL素子層140および液晶フィルム150をそなえることにより、有機EL素子層140によるカラー表示装置としての機能と、液晶フィルム150による一般的な調光ガラスとしての機能との両方を実現することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Aにおいて、カラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はない。
【0081】
図3は調光ガラス(第2例)110Bの構造を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、調光ガラス110Bは、フォトクロミック方式を用いて調光可能に構成されたもので、図2に示した調光ガラス110Aとほぼ同様に構成されているが、調光ガラス110Bでは、調光ガラス110Aの液晶フィルム150に代え、フォトクロミックガラス層160がそなえられている。このフォトクロミックガラス層160は、特定の波長の光を照射することにより、着色する物質を用いたもので、調光ガラス110Bの車室外側つまりガラス板120に貼付されている。なお、図3中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その説明は省略する。
【0082】
より具体的に説明すると、調光ガラス110Bにおいては、可視光線の透過率を調整すべく、陽極側のガラス板120の外側に、特定波長の光の照射により着色する機能を有するフォトクロミックガラス層160が設けられている。このフォトクロミックガラス層160つまりは調光ガラス110Bは、通常、透明な状態(可視光線の透過率が規定値である70%以上の状態)であるが、有機EL層143(発光層145)に当該特定波長を有する光を発光させると着色され高濃度な状態(可視光線の透過率が規定値である70%未満の状態)に切り換えられるようになっている。フォトクロミックガラス層160を着色すべく有機EL層143(発光層145)に当該特定波長を有する光を発光させる指示・制御は、後述する調整手段10bによって行なわれる。
【0083】
このとき、調光ガラス110Bにおいて、フォトクロミックガラス層160は、特定の紫外線光により着色するものとし、有機EL素子層140の発光層145は、赤(R),緑(G),青(B)の光の3原色および当該特定の紫外線光を発する4種類の発光体をマトリクス状に規則正しく配列して構成されているものとする。この場合、紫外線光用発光体の発光状態の制御は、後述する調整手段10bによって行なわれる一方、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、調光ガラス110Aと同様、後述する調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
【0084】
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Bにおいて、有機EL素子層140およびフォトクロミックガラス層160をそなえることにより、有機EL素子層140によるカラー表示装置としての機能と、有機EL素子層140(紫外線用発光体)およびフォトクロミックガラス層160の協働動作による調光ガラスとしての機能との両方を実現することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Bにおいてカラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はなく、また、フォトクロミックガラス層160を着色するための光は紫外線光に限らず、赤外線光や、単色表示時であれば表示用の光と異なる波長の光でもよく、表示装置として使用する際に用いられる波長の光でなければよい。
【0085】
図4は調光ガラス(第3例)110Cの構造を模式的に示す断面図で、この図4に示すように、調光ガラス110Cは、図2に示す調光ガラス110Aの液晶フィルム150を取り除いたもの、もしくは、図3に示す調光ガラス110Bのフォトクロミックガラス層160を取り除いたものと等価な構成になっている。なお、フォトクロミックガラス層160をそなえていないので、当然、調光ガラス110Bについて上述した、有機EL素子
層140における紫外線用発光体も不要になる。また、図4中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その説明は省略する。
【0086】
より具体的に説明すると、調光ガラス110Cにおいては、有機EL素子層140が、カラー表示を行なうだけでなく、可視光線の透過率を調整するものとして機能する。つまり、有機EL素子層140つまりは調光ガラス110Cは、通常、透明な状態(可視光線の透過率が規定値である70%以上の状態)であるが、有機EL層143(発光層145)を発光させ何らかのカラー表示を行なうと高濃度な状態(可視光線の透過率が規定値である70%未満の状態)に切り換えられるようになっている。
【0087】
このとき、調光ガラス110Cを高濃度にすることを目的とする有機EL層143の発光制御は、後述する調整手段10bによって行なわれる一方、調光ガラス110Cにおいてカラー表示を行なうことを目的とする有機EL層143の発光制御は、後述する後述する調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能によって行なわれる。この調光ガラス110Cにおいても、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、調光ガラス110A,110Bと同様、後述する調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
【0088】
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Cにおいて、有機EL素子層140をそなえることにより、カラー表示装置としての機能と調光ガラスとしての機能との両方を実現することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Cにおいてカラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はない。
【0089】
〔1−2〕本実施形態の車両制御装置101の構成:
図1に示す本実施形態の自動車100においては、エンジン40の駆動がオルタネーター(図示略)に伝わり該オルタネーターによる発電が行なわれ、その電力は、通常のバッテリと本実施形態の車両制御装置101のための専用バッテリと(いずれも図示略)に蓄積される。ここで、通常のバッテリは、エンジン40の点火プラグや各種装備品を作動させるための電源であり、専用バッテリは本実施形態に係る調光ガラス110を動作させるための専用の電源である。このように、他の装備品等を作動させるための電源と、調光ガラス110を作動させるための電源とを分離することにより、エンジン40非作動時に調光ガラス110が電力を消費していても、エンジン40始動のためのバッテリが上がってしまうのを防止できるようになっている。
【0090】
そして、本実施形態の車両制御装置101は、図1に示すように、6枚のウインドウガラス111〜116を成す調光ガラス110のそれぞれに接続され、各調光ガラス110における可視光線の透過率を調整制御するとともに、各調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示を制御し、さらに、エンジン40の各種制御を行うものである。
【0091】
すなわち、車両制御装置101は、制御手段としてのCPU10,位置検出手段としてのGPS位置検出部21,速度検出手段としての速度センサ22,明度検出手段としての明度センサ23,ROMおよびRAMからなる記憶部30,をそなえて構成されている。
【0092】
ここで、記憶部30のROM(Read Only Memory)は、車両制御装置101としての機能を実現すべくCPU10が実行すべき各種プログラム(調光制御プログラム/表示制御プログラム/飲酒運転抑制プログラム)や、これらのプログラムを実行するために必要になる初期データ(デフォルト値等)や、後述する位置判定手段11および速度判定手段1
2ならびに飲酒判定手段14による判定でそれぞれ必要となる位置判定条件および速度判定条件ならびに飲酒判定条件や、その判定に必要となる領域情報(後述する特定領域の経度・緯度情報)および速度情報(後述する速度ゼロの情報)ならびに飲酒判定基準情報や、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110における有機EL素子層140で表示されるオリジナル画像データ(後述するブレーキ用表示画像データや方向指示用表示画像データのほか、ユーザの好みによって格納された各種表示画像データ等)などを記憶するものである。この記憶部30のROMには、識別手段19で必要となる運転者識別のプログラムなども格納されている。
【0093】
なお、本実施形態において、位置判定条件は、自動車100の所在位置が、予め指定された特定領域(より具体的には、自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していることである。また、本実施形態において、速度判定条件は、自動車100の移動速度(車速)がゼロであることである。
【0094】
また、飲酒判定条件は、道路交通法における酒気帯びの基準(呼気1リットルにつきアルコール0.15ミリグラム)に準拠してもよいし、さらに厳しい基準を適用してもよい。
【0095】
記憶部30のRAM(Random Access Memory)は、ROMに記憶されたプログラムをCPU10が実行する際に使用するデータ(フラグや変数の値など)を一時的に記憶するほか、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110における有機EL素子層140によってカラー表示を行なう際に有機EL素子層140で表示すべき画像データを一時的に記憶するものである。
【0096】
なお、本実施形態において、記憶部30のRAMには、エンジンの始動時における飲酒判定結果の履歴を蓄積しておく。この場合、生体センサの検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における飲酒判定結果の履歴を蓄積しておくことが望ましい。また、記憶部30のRAMには、識別手段19で必要となる運転者識別のための識別や照合のテンプレートや各種データなども格納されている。
【0097】
GPS位置検出部21は、自動車100の所在位置(現在位置;緯度・経度情報)を、例えば既設のカーナビゲーションのGPS(Global Positioning System)機能を用いて
検出するものである。速度センサ22は、自動車100の移動速度(車速)を検出するもので、この速度センサ22も、自動車100に既設のものが用いられる。明度センサ23は、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い;単位:ルクス(lx))を検出するものである。
【0098】
また、車両制御装置101には、各種センサや各種操作入力部が接続されており、アクセルペダル51,ブレーキペダル52,方向指示器操作部53,切換スイッチ54,表示指示入力部55,運転者の飲酒を検知するアルコールセンサ57、運転者を識別するための生体データを取得する生体センサ59などが接続されている。また、車両制御装置101からの指示を受けて各種表示を行う表示部60を備えている。なお、表示部60は、速度計などの表示部と兼用したり、カーナビゲーション装置の表示部と兼用することが可能である。
【0099】
切換スイッチ54は、各調光ガラス110の透明状態から高濃度状態への切換指示や各調光ガラス110の高濃度状態から透明状態への切換指示を、CPU10(後述する調整手段10b)に対して行なうもので、フロントウインドウガラス111,右前サイドウインドウガラス112,左前サイドウインドウガラス113,右後サイドウインドウガラス114,左後サイドウインドウガラス115およびリアウインドウガラス116の全てに
ついて同時に切り換える指示や、これらのウインドウガラス111〜116のうちの少なくとも一つを指定して選択的に切り換える指示を行なえるようになっている。また、切換スイッチ54は、後述するごとく明度センサ23による検出結果(明度)に応じた透過率調整を行なう明度調整モードの設定・解除も行なえるようになっている。
【0100】
表示指示入力部55は、各調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示や解除指示を、CPU10(後述する調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能)に対して行なうもので、例えば、各調光ガラス110で表示されるべき画像を記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定しその画像の表示指示や解除指示を行なったり、各調光ガラス110で発光されるべき色を指定しその色による表示指示や解除指示を行なったり、図5を参照しながら後述するようなブレーキ用表示画像を運転者のブレーキペダル52の操作に応じてリアウインドウガラス116(調光ガラス110)に表示させるブレーキ表示モードの設定や解除を指示したり、図6(a)を参照しながら後述するような方向指示用表示画像を、運転者によって操作される方向指示器操作部53の動作に応じて表示させる方向指示表示モードの設定や解除を指示したりするものである。
【0101】
アルコールセンサ57は、運転者の呼気中のアルコール濃度を検知するもので、該アルコールセンサ57の検知結果は、飲酒判定手段14で判定される。そして、飲酒判定手段14の判定結果(飲酒なし/飲酒あり)は、調整手段10bに伝達される。そして、後述する調整手段10bやエンジンコントローラ10aにより、飲酒運転抑制プログラムが実行され、飲酒運転抑制制御機能が働く。
【0102】
なお、このアルコールセンサ57は、たとえば、図15(a)のようにステアリングホイール58に埋め込まれていてもよい。また、アルコールセンサ57は、たとえば、図15(b)のように、ダッシュボードDの運転席に近いいずれかの位置で未使用時にはホルダ57bに保持された状態にあり、使用時にはコード57aが伸びることにより運転者の口元に容易に届くものである。さらに、運転席側のピラーや、サンバイザーなどに取り付けられていてもよい。
【0103】
また、運転者識別のための生体センサ59としては、図15(b)(c)のように顔や虹彩を撮影するカメラや、図15(a)のように指紋や掌の血管をスキャンするセンサや、呼気中の成分を検出するセンサ(図示せず)や、運転者の声紋を取得するマイクロホン(図示せず)などを、ダッシュボードDやステアリングホイール58などに設けることが可能である。
【0104】
CPU(Central Processing Unit)10は、記憶部30のROMに記憶されている調
光制御プログラム/表示制御プログラム/飲酒運転抑制プログラムを読み出して実行することにより、後述する位置判定手段11,速度判定手段12,エンジンコントローラ10aおよび調整手段10bの飲酒運転抑制制御機能や飲酒運転抑制制御機能としての機能を果たすものである。
【0105】
位置判定手段11は、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の所在位置(現在位置;緯度・経度情報)が、記憶部30のROMに記憶されている位置判定条件を満たしているか否か、すなわち、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するものである。この位置判定手段11による判定は、GPS位置検出部21によって検出された所在位置の緯度・経度情報が、記憶部30のROMに予め登録されている特定領域の経度・緯度情報に属しているか否かを判定することによって行なわれる。
【0106】
速度判定手段12は、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)が、記憶部30のROMに記憶されている速度判定条件を満たしているか否か、すなわち、ゼロであるか否かを判定するものである。
【0107】
飲酒判定手段14は、アルコールセンサ57で検知される運転者の呼気中のアルコール濃度に基づいて、飲酒なし/飲酒ありといった判定を行い、判定結果を調整手段10bに伝達する。
【0108】
なお、飲酒ではないものの、栄養ドリンクなどに含まれるアルコール成分がアルコールセンサ57に検出されることもあるため、飲酒なし/アルコール検知(酒気帯び未満)/飲酒あり(酒気帯びあるいは酒酔い)、といった判定を行うようにしてもよい。
【0109】
識別手段19は、生体センサ59の検出結果により、テンプレートマッチングなどの各種手法を用いて、該運転者を識別し、識別結果を調整手段10bに伝達する。
エンジンコントローラ10aは、アクセルペダル51,ブレーキペダル52などに基づいてエンジン40の回転数を制御するほか、上述した飲酒判定手段14による判定結果に基づいて、後述する調整手段と共に飲酒運転抑制制御機能を実行する。
【0110】
調整手段10bは、図7を参照しながら後述するように、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従い、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113を、位置判定手段11および速度判定手段12による判定結果と切換スイッチ54によって行なわれる切換指示とに従った透過率調整対象とする一方、図8を参照しながら後述するように、上記ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116を、切換スイッチ54によって行なわれる切換指示のみに従った透過率調整対象としている。
【0111】
ここで、車のフロントウインドウおよびサイドウインドウ(運転者席のサイド部)については、道路運送車両の保安基準(第29条第4項)で、下記のような規定が定められている。
前面ガラスおよび側面ガラス(運転者席よりも後方の部分を除く)には、次のもの以外の標識、ポスター等を貼り付けおよび塗装を行なってはならない。
1.国土交通大臣または地方運輸局長が指定したもの,
2.臨時検査合格標章,
3.検査標章,
4.道路交通法に定める違法駐車ステッカ,故障ステッカ,
5.車室内に備える貼り付け式の後写鏡,
6.貼り付けられまたは塗装された状態において、透明であり、かつ、運転者が交通状況を確認するために、必要な視野の範囲における可視光線の透過率が70%以上確保できるもの。
これらの項目1〜6の中で特に重要なものが項目6であり、この項目6は、走行中に運転者の視界を妨げることを防ぐための規定であり、走行中に、フロントウインドウおよび運転者席横のサイドウインドウにおける可視光線の透過率が70%未満になることを禁止している。
従って、特許文献1,2に開示された技術では、いずれも、基本的にキーを抜脱した場合にのみ自動車の全てのウインドウ(液晶フィルムや調光ガラス)を不透明な状態に切り換えるようにしている。これにより、走行中にウインドウにおける可視光線の透過率が70%未満になることを防止している。
【0112】
また、調整手段10bは、飲酒運転抑制制御のため、飲酒判定手段14の判定結果に従い、少なくともウインドウガラス111〜113、望ましくはウインドウガラス111〜
116を、透過率調整対象とする。
【0113】
つまり、調整手段10bは、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を切換スイッチ54から受けると、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率を規定値未満(例えば70%未満)に調整し、各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える。
【0114】
このようにウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110を高濃度状態へ切り換えた後も、所定制御周期毎に、GPS位置検出部21および速度センサ22による検出、および、その検出結果に基づく位置判定手段11および速度判定手段12による判定が実行されており、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロでないと判定された場合には、直ちに、調整手段10bが、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率を規定値以上(例えば70%以上)に調整し、各調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える。
【0115】
また、調整手段10bは、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象外であるウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を切換スイッチ54から受けると、位置判定手段11および速度判定手段12による判定結果と関係なく、各調光ガラス110の透過率を規定値未満(例えば70%未満)に調整し、各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える。
【0116】
さらに、調整手段は13は、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を受けると、各調光ガラス110の透過率を規定値以上(例えば70%以上)に調整し、各調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える。
【0117】
また、本実施形態の調整手段10bは、切換スイッチ54により前記明度調整モードが設定されている場合、明度センサ23によって検出された、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い)に応じて、各調光ガラス110の透過率を調整する機能も有している。例えば、自動車100外部の明度が低い場合(つまり車外が暗い場合)、各調光ガラス110の透過率を高めるように調整する一方、自動車100外部の明度が高い場合(つまり車外が明るい場合)、各調光ガラス110の透過率を低くするように調整する。
【0118】
また、イグニッションキー(図示せず)が操作されてエンジン始動の指示が発生しても、本実施形態のエンジンコントローラ10aと調整手段10bとは、飲酒運転抑制制御のため、エンジン始動前に運転者がアルコールセンサ57に呼気を吹き込み、これによりアルコールセンサ57の検知結果が飲酒判定手段14で判定されて調整手段10bに伝達されてからでないと、エンジンの始動は行えないように制御する。
【0119】
そして、本実施形態の調整手段10bは、運転者の呼気中に酒気帯びの基準以上のアルコールが検知されると、運転に適さない状態にまで各調光ガラス110の透過率を下げる機能を有している。
【0120】
すなわち、アルコールが検知されて判定手段14で飲酒と判定された場合には、調整手段10bは、各調光ガラス110の透過率を透明状態から高濃度状態へ切り換える。この場合、調整手段10bは、少なくともウインドウガラス111〜113、望ましくはウインドウガラス111〜116を、高濃度の透過率調整対象とする。これにより、飲酒した
状態で、車両を運転することができない状態になる。
【0121】
なお、各調光ガラス110が図2に示す調光ガラス110Aである場合、調整手段10bは、液晶フィルム150における2枚の透明電極153,154に所定の電圧を印加し、液晶層155における液晶分子の配向性を変化させることにより、調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整する。また、各調光ガラス110が図3に示す調光ガラス110Bである場合、調整手段10bは、有機EL素子層140の透明電極141,142に所定の電圧を印加し、発光層145に特定波長の光(本実施形態では紫外線光)を発光させフォトクロミックガラス層160を着色させることにより、調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整する。さらに、各調光ガラス110が図4に示す調光ガラス110Cである場合、調整手段10bは、有機EL素子層140の透明電極141,142に所定の電圧を印加し、発光層145に所定色の光を発光させることにより、調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整する。
【0122】
調整手段10bの表示制御機能は、各調光ガラス110における有機EL素子層140の発光層145の各発光体の発光状態を制御することにより、有機EL素子層140において任意の発色もしくは任意のカラー画像の表示を実行させるものである。
【0123】
特に、本実施形態の調整手段10bの表示制御機能は、図10を参照しながら後述するように、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従い、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113でのカラー表示についての実行指示を表示指示入力部55から受けた場合には、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の有機EL素子層140に、表示指示入力部55によって指定された画像等のカラー表示を実行させる。
【0124】
また、調整手段10bの表示制御機能は、図9や図11を参照しながら後述するように、ウインドウガラス114〜116でのカラー表示についての実行指示を表示指示入力部55から受けた場合には、上述のごとき判定を行なうことなく、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の有機EL素子層140に、表示指示入力部55によって指定された画像等のカラー表示を実行させる。
【0125】
さらに、調整手段10bの表示制御機能は、図9を参照しながら後述するように、リアウインドウガラス116について、上述したブレーキ表示モードを表示指示入力部55により設定された場合には、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100の運転者によるブレーキペダル52の操作に連動した表示を実行させる。
【0126】
このブレーキ表示モードの設定時には、例えば運転者がブレーキペダル52を操作するとブレーキランプが点灯すると同時に、リアウインドウガラス116において例えば図5に示すようなブレーキ用表示画像(「ブレーキ!」を含む画像)が表示される。なお、ブレーキ用表示画像は図5に示す例に限定されるものではない。
【0127】
同様に、調整手段10bの表示制御機能は、図9を参照しながら後述するように、リアウインドウガラス116について、上述した方向指示表示モードを表示指示入力部55により設定された場合には、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100の運転者によって操作される方向指示器操作部53の動作に連動した表示を実行させる。この方向指示表示モードの設定時には、例えば運転者が方向指示器操作部53を操作すると指示方向に
応じたウインカーが点灯すると同時に、リアウインドウガラス116において例えば図6(a)に示すような方向指示用表示画像(右方向指示に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される。なお、方向指示用表示画像は図6(a)に示す例に限定されるものではない。
【0128】
また、同様に、調整手段10bの表示制御機能は、リアウインドウガラス116について、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、飲酒運転抑制制御時には、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(大きな右矢印と左矢印とを含む画像)を表示させる。なお、画像は図6(b)に示す例に限定されるものではない。これにより、飲酒した状態で、車両を運転することが適さない状態になる。
【0129】
なお、以上の構成において、運転者の識別を行わない場合には、生体センサ59と識別手段19とを設けることを要しない。
〔2〕本実施形態の車両制御装置の動作:
以下、本実施形態の車両制御装置101の動作説明を行う。なお、車両制御装置101の動作は、本発明の実施形態である車両制御プログラムの実行手順をも意味している。
【0130】
なお、この実施形態において、車両運送の保安基準により定められたウインドウの可視光線の透過率70%を規定値とした場合、この規定値未満の値(透過率70%未満)が請求項における所定値に該当する場合を具体例にして説明を行う。
【0131】
〔2−1〕本実施形態の車両制御装置の調光制御動作:
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(調整手段10bの動作)について、図7および図8を参照しながら説明する。なお、図7は本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(フロントウインドウガラス111およびフロントサイドウインドウガラス112,113に対する調光制御動作)を説明するためのフローチャート、図8は本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(リアサイドウインドウガラス114,115およびリアウインドウガラス116に対する調光制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【0132】
CPU10(調整手段10b)は、前述した通り、切換スイッチ54からの指示に応じて動作し、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図7に示すフローチャート(ステップS11〜S20)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう一方、それ以外のウインドウガラス114〜116については、図8に示すフローチャート(ステップS21〜S25)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう。
【0133】
図7に示すように、ウインドウガラス111〜113が透明な状態〔可視光線の透過率が規定値(70%)以上の状態〕に設定されている際(ステップS11のYESルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS12のYESルート)、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する(ステップS13)。
【0134】
そして、自動車100の現在位置が特定領域に属し且つ自動車100が停車していると判定された場合(ステップS14のYESルート)、調整手段10bにより、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が規定値(70%)未満に調整され、各調光ガラス110が透明状態から高濃度状態へ切り換えられる一方(ステップS15)、自動車100の現在位置が特定領域に属していない、もしくは、自動車100が停車していないと判定された場合(ステップS14のNOルート)、調整手段10bによる高濃度状態への切換調整を行なわず、切換を行なえない旨を運転者(切換操作者)に対しエラーとして通知する(ステップS16)。なお、エラー通知は、ビープ音や、コンソールディスプレイでのエラー表示等によって行なう。
【0135】
ウインドウガラス111〜113が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が規定値(70%)未満の状態〕に設定されている際(ステップS11のNOルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS17のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が規定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS20)。
【0136】
また、ウインドウガラス111〜113が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が規定値(70%)未満の状態〕に設定され(ステップS11のNOルート)、且つ、切換スイッチ54から、調光ガラス110の高濃度状態から透明状態への切換指示がCPU10に入力されない状態(ステップS17のNOルート)では、所定制御周期毎に、GPS位置検出部21および速度センサ22による検出、および、その検出結果に基づく位置判定手段11および速度判定手段12による判定が実行され(ステップS18)、位置判定手段11によって自動車100の現在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、速度判定手段12によって自動車100が動き出したと判定された場合には(ステップS19のNOルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が規定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS20)。
【0137】
図8に示すように、ウインドウガラス114〜116が透明な状態〔可視光線の透過率が規定値(70%)以上の状態〕に設定されている際(ステップS21のYESルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス114〜116のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS22のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の透過率が規定値(70%)未満に調整され、各調光ガラス110が透明状態から高濃度状態へ切り換えられる(ステップS23)。
【0138】
そして、ウインドウガラス114〜116が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が規定値(70%)未満の状態〕に設定されている際(ステップS21のNOルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス114〜116のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS24のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の透過率が規定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS25)。
【0139】
なお、ウインドウガラス111〜116のうちの少なくとも一つが透明な状態に設定さ
れている場合で、且つ、切換スイッチ54により前記明度調整モードが設定されている場合には、透明な状態に設定されたウインドウガラスの調光ガラス110について、調整手段10bにより、明度センサ23によって検出された、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い)に応じて、透過率が調整される。例えば、自動車100外部の明度が低い場合(つまり車外が暗い場合)、各調光ガラス110の透過率を高く調整して視界を確保する一方、自動車100外部の明度が高い場合(つまり車外が明るい場合)、各調光ガラス110の透過率を低く調整して運転者や乗員の受ける眩しさを低減する。ただし、透過率を低く調整する場合、ウインドウガラスが高濃度な状態になってしまうほど透過率を低く調整することはなく、ウインドウガラス(調光ガラス110)を通しての視界を確保しながら眩しさを低減できる程度、透過率を低く調整する。
【0140】
〔2−2〕本実施形態の車両制御装置の表示制御動作:
ついで、本実施形態の車両制御装置の表示制御動作(調整手段10bの表示制御機能の動作)について、図9〜図11を参照しながら説明する。なお、図9は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(リアウインドウガラス116に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャート、図10は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(フロントウインドウガラス111およびフロントサイドウインドウガラス112,113に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャート、図11は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(リアサイドウインドウガラス114,115に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【0141】
CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、表示指示入力部55からの指示に応じて動作し、リアウインドウガラス116については、図9に示すフローチャート(ステップS31〜S42)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行ない、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図10に示すフローチャート(ステップS51〜S58)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行ない、それ以外のウインドウガラス114,115については、図11に示すフローチャート(ステップS61〜S65)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう。
【0142】
図9に示すように、表示指示入力部55から、リアウインドウガラス116を指定してこのリアウインドウガラス116の調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示がCPU10に入力されると(ステップS31のYESルート)、その実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものであるか否かを判定される(ステップS32)。
【0143】
実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものであった場合(ステップS32のYESルート)、以降、表示指示入力部55からこれらのモードの設定解除指示が入力されるまで(ステップS37でYES判定となるまで)、調整手段10bの表示制御機能によりステップS33〜S36の処理が実行される。つまり、運転者がブレーキペダル52を操作すると(ステップS33のYESルート)、ブレーキランプが点灯すると同時に、調整手段10bの表示制御機能により、リアウインドウガラス116において例えば図5に示すようなブレーキ用表示画像(「ブレーキ!」を含む画像)が表示される(ステップS34)。また、運転者が方向指示器操作部53を操作すると(ステップS33のNOルートからステップS35のYESルート)、指示方向に応じたウインカーが点灯すると同時に、調整手段10bの表示制御機能により、リアウインドウガラス116において例えば図6(a)に示すような方向指示用表示画像(右方向指示に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(ステップS36)。そして、表示指示入力部55からこれらのモードの設定解除指示が入力されると(ステップS37のY
ESルート)、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードの設定が解除される(ステップS38)。
【0144】
一方、実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものでなかった場合(ステップS32のNOルート)、その実行指示は、記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示であると、調整手段10bの表示制御機能によって判断される。そして、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS39)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色がリアウインドウガラス116において発光・表示される(ステップS40)。このステップS40による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで(ステップS41でYES判定となるまで)継続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されると(ステップS41のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS42)。
【0145】
なお、図9に示す例では、ブレーキ表示モードおよび方向指示表示モードの両方を設定している場合について説明しているが、ブレーキ表示モードまたは方向指示表示モードのいずれか一方のみが指定されている場合には、指定されたモードに対応するブレーキ表示もしくは方向指示表示を行なうようにする。
【0146】
図10に示すように、表示指示入力部55から、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示(記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示)がCPU10に入力されると(ステップS51のYESルート)、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する(ステップS52)。
【0147】
そして、自動車100の現在位置が特定領域に属し且つ自動車100が停車していると判定された場合(ステップS53のYESルート)、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS54)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(ステップS55)。このステップS55による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで、もしくは、位置判定手段11によって自動車100の現在位置が特定領域に属していないと判定されるまで、もしくは、速度判定手段12によって自動車100が動き出したと判定されるまで(ステップS56でYES判定となるまで)継続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるか、自動車100の現在位置が特定領域外になるか、自動車100が移動し始めると(ステップS56のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS57)。
【0148】
一方、ステップS53において、自動車100の現在位置が特定領域に属していない、もしくは、自動車100が停車していないと判定された場合(NOルート)、調整手段10bの表示制御機能による表示制御を行なわず、表示を行なえない旨を運転者(切換操作者)に対しエラーとして通知する(ステップS58)。なお、エラー通知は、ビープ音や、コンソールディスプレイでのエラー表示等によって行なう。
【0149】
図11に示すように、表示指示入力部55から、ウインドウガラス114,115のうちの少なくとも一つを指定して調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示(記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示)がCPU10に入力されると(ステップS61のYESルート)、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS62)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(ステップS63)。このステップS63による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで(ステップS64でYES判定となるまで)継続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されると(ステップS64のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS65)。
【0150】
〔2−3〕本実施形態の車両制御装置の飲酒運転抑制制御動作:
〔2−3−1〕始動時飲酒運転抑制制御動作:
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の始動時の飲酒運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
【0151】
なお、ここでは、自動車のウインドウが標準状態(規定値(70%)以上)の状態にあることを前提に説明を行う。また、初期状態でウインドウが高濃度状態(規定値未満)である場合の動作については、後述する。
【0152】
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、運転者によってイグニッションキーがオン操作されると、この図12のフローチャートに従った制御シーケンスを実行開始し、たとえば、エンジン始動の前に、表示部60にアルコール検査実行の手順などを表示する。
【0153】
運転者がアルコールセンサ57に呼気を注入したことが検知されると、アルコールセンサ57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の飲酒判定手段14が、アルコールセンサ57の検知結果から飲酒の有無を判定する(図12中のステップS121、S122)。
【0154】
また、生体センサ59によって取得された指紋や掌紋や顔写真などの生体データにより、CPU10内の識別手段19が運転者毎の識別を行う。予め登録された運転者のデータに一致すれば、その運転者、一致するデータが無ければ、新規登録運転者#1などとして、登録を行う(図12中のステップS121、S122)。
【0155】
すなわち、飲酒の有無については、必要に応じて、運転者毎に判定され、後述するように履歴が記憶されたり、過去の飲酒履歴と比較がなされる。
飲酒判定手段14は、アルコールセンサ57で検知される運転者の呼気中のアルコール濃度に基づいて、飲酒なし/飲酒ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
【0156】
飲酒判定手段14で飲酒なしと判定された場合(図12のステップS123でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図12中のステップS128)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
【0157】
そして、エンジン停止の指示があれば(図12中のステップS129でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図12中のステップS130)、調整手段10bは飲酒判定なしの履歴を記憶部に格納する(図12中のステップS131)。
【0158】
一方、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現在位置(緯度
・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図12中のステップS124)。
【0159】
なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
【0160】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図12中のステップS124でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図12中のステップS131)。
【0161】
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンの始動を行わないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0162】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図12中のステップS124でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図12中のステップS125)。この場合、飲酒ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
【0163】
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合、さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態からより一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
【0164】
また、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111
とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図12中のステップS126)。この場合、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
【0165】
さらに、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図12中のステップS127)。この場合、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
【0166】
そして、以上のように、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図12中のステップS128)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
【0167】
そして、エンジン停止の指示があれば(図12中のステップS129でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図12中のステップS130)、調整手段10bは特定領域で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納する(図12中のステップS131)。
【0168】
なお、以上の実施形態では、特定領域において、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES、S124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行した後に、エンジン40を始動(図12中のステップS128)させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせてもよい。また、エンジン始動直後にウインドウの高濃度化や各種表示を実行させてもよい。この場合には、バッテリーの負担を軽減させることが可能になる。
【0169】
また、飲酒ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、酒酔い状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。
【0170】
また、以上の実施形態では、特定領域において飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図12のステップS123でYES、S124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行していたが、飲酒状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
【0171】
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0172】
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0173】
なお、この実施形態では、調整手段10bが、エンジンの始動時における飲酒の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御してもよい。
【0174】
この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0175】
また、この実施形態では、調整手段10bが、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御することも可能である。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0176】
なお、複数の運転者が同一の車両を交互に使用する場合には、このように、運転者を生体データで識別してから、本実施形態の制御を行うことが望ましい。逆に、一人だけが使用する車両の場合には、生体センサ59による運転者識別をすることを要しない。
【0177】
〔2−3−2〕走行中飲酒運転抑制制御動作:
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の走行中の飲酒運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図13
のフローチャートを参照しながら説明する。なお、実際にはエンジンは始動しているが走行を開始していない状態も、走行開始可能な状態であるため、ここでは、走行中飲酒運転抑制制御として扱うことにする。
【0178】
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、エンジンの始動後あるいは車両の走行中に、図13の走行中飲酒運転抑制制御動作のプログラムを定期的に実行する。
【0179】
この実施形態の車両制御装置101では、エンジンの始動後や車両の走行中にはアルコールセンサ57はダッシュボード付近の所定の収納場所に収納された状態になっているが、この状態のまま、運転席近傍の空気中のアルコール濃度を検知する(図13中のステップS131)。なお、走行中に運転者の呼気中のアルコール濃度を有効に検出できるように、アルコールセンサ57が運転者に近い位置に収納されることが望ましい。
【0180】
アルコールセンサ57が一定時間の検知を行うと、アルコールセンサ57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の飲酒判定手段14が、アルコールセンサ57の検知結果から車両内の空気中のアルコールの有無を判定する(図13中のステップS132)。飲酒判定手段14は、アルコールセンサ57で検知されるアルコール濃度に基づいて、アルコール検出なし/アルコール検出ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
【0181】
なお、代行運転や、家族の出迎えなどで、助手席や後部座席に飲酒者を乗せることが
ある。この場合、助手席や後部座席の同乗者の呼気によるアルコールを検出しないように、アルコールセンサ57については、運転者の呼気のみを検出できるように、検出方向に鋭い指向性を有することが望ましい。
【0182】
また、運転者以外の呼気に反応するような場合には、車両を一時停止させた状態でアルコールセンサ57に運転者の呼気を検出させて飲酒なしであることを確認したうえで、これ以後の飲酒判定手段14の判定基準を緩くするなどの対策も有効である。
【0183】
さらには、ステアリングホイール58に内蔵されたアルコールセンサ57が、掌からの汗に含まれるアルコール濃度で検出を行うことで、運転者のみの飲酒を確実に検出することができるため、同乗者の飲酒による誤動作を避けることができる。
【0184】
飲酒判定手段14でアルコール検出なしと判定された場合(図13のステップS133でNO)には、調整手段10bは特別な指示を出さず、通常の走行状態を維持させる(図13中のステップS133でNO→エンド)。
【0185】
一方、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図13のステップS133でYES)には、調整手段10bは、GPS位置検出部21の検出結果とナビゲーションプログラムとにより、最寄りの駐停車可能場所までの検索を実行する(図13中のステップS134)。そして、その駐停車可能場所までの誘導を表示部60に行う(図13中のステップS135、S136)。あるいは、CPU10は、図示されないカーナビゲーション装置に対して、最寄りの駐停車可能場所までの検索を指示し、その駐停車可能場所までの誘導を行わせる(図13中のステップS135、S136)。
【0186】
そして、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、誘導目的地に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が誘導目的地に停車しているか否か
を判定する(図13中のステップS136)。
【0187】
自動車100が誘導目的地に達していれば(図13中のステップS136でYES)、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図13中のステップS137)。この場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
【0188】
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、飲酒運転抑を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
【0189】
また、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図13のステップS133でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図13中のステップS136でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図13中のステップS138)。この場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
【0190】
さらに、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図13のステップS133でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図13中のステップS136でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図13中のステップS139)。この場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
【0191】
そして、以上のように、飲酒判定手段14で車両の空気中にアルコール検出ありと判定された場合(図13のステップS133でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行するが、調整手段10bはエンジンの停止は行わない。
【0192】
なお、アルコール検出ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、酒酔い状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このよう
な走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。
【0193】
また、以上の実施形態では、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図13のステップS134でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行していたが、アルコール検出状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
【0194】
この実施形態の車両制御装置101によれば、車両の空気からアルコールが検出されてアルコール検出有りと判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0195】
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0196】
なお、以上の説明での走行中とは、道路(公道、私道)を走行中の場合だけでなく、道路上で渋滞や信号待ちなどで一時的に停止している場合を含むだけでなく、駐車場でエンジンを始動した状態など、すぐにも走行が可能な状態も含むものとする。
【0197】
ここで、エンジン始動後であって走行開始前、すなわち、駐車場などの駐停車可能な場所でエンジンを始動した後に車両と停めたままで飲酒をしたような場合は、以上の誘導の部分を省略して、その場で調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行すればよい。
【0198】
また、この実施形態においても、生体センサ59による運転者識別を実行して、飲酒判定結果の履歴を保存し、同一運転者が飲酒運転を繰り返す場合には、その対応を厳しくするように調整手段10bが制御を変更してもよい。
【0199】
〔2−4〕本実施形態の車両制御装置の調光・表示・飲酒運転抑制制御動作:
以上の実施形態では、調光制御、表示制御、飲酒運転抑制制御がそれぞれ独立した状態であるとして説明を行ってきた。ここでは、図14のフローチャートを参照しつつ、調光制御と表示制御と飲酒運転抑制制御(始動時飲酒運転抑制制御と走行中飲酒運転抑制制御)とを一連の制御としてまとめて実行する場合について説明する。
【0200】
なお、この実施形態の車両制御装置101では、図15のように、エンジンの始動後や車両の走行中にアルコールセンサ57は、ステアリングホイール58内蔵か、あるいは、ダッシュボードD付近の所定の収納場所に収納された状態になっていて、運転席近傍の空気中のアルコール濃度を検知するできるように構成されているとする。
【0201】
〔2−4−1〕始動時飲酒運転抑制制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、運転者によってイグ
ニッションキーがオン操作されると、この図14のフローチャートに従った制御シーケンスを実行開始し、たとえば、エンジン始動の前に、表示部60にアルコール検査実行の手順などを表示する。
【0202】
運転者がアルコールセンサ57に呼気を注入したことが検知されると、アルコールセンサ57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の飲酒判定手段14が、アルコールセンサ57の検知結果から飲酒の有無を判定する(図14中のステップS201、S202)。
【0203】
また、生体センサ59によって取得された指紋や掌紋や顔写真などの生体データにより、CPU10内の識別手段19が運転者毎の識別を行う。予め登録された運転者のデータに一致すれば、その運転者、一致するデータが無ければ、新規登録運転者#1などとして、登録を行う(図14中のステップS201、S202)。
【0204】
すなわち、飲酒の有無については、必要に応じて、運転者毎に判定され、後述するように履歴が記憶されたり、過去の飲酒履歴と比較がなされる。
飲酒判定手段14は、アルコールセンサ57で検知される運転者の呼気中のアルコール濃度に基づいて、飲酒なし/飲酒ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
【0205】
飲酒判定手段14で飲酒なしと判定された場合(図14のステップS203でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図14中のステップS210)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
【0206】
一方、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現在位置(緯度
・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図14中のステップS204)。なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
【0207】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図14中のステップS204でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図14中のステップS231)。
【0208】
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンの始動を行わないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0209】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車1
00の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS205)。この場合、飲酒ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
【0210】
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合、さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態からより一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
【0211】
また、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図14中のステップS206)。この場合、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
【0212】
さらに、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図14中のステップS207)。この場合、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
【0213】
そして、以上のように、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図14中のステップS208)。
【0214】
すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
そして、CPU10は以上のウインドウの高濃度化制御などを続け、飲酒運転抑制制御
を実行しつつ、エンジン停止の指示があれば(図14中のステップS209でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図14中のステップS230)、調整手段10bは特定領域で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納する(図14中のステップS231)。
【0215】
なお、以上の実施形態では、特定領域において、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES、S204でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行した後に、エンジン40を始動(図14中のステップS208)させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせてもよい。また、エンジン始動直後にウインドウの高濃度化や各種表示を実行させてもよい。この場合には、バッテリーの負担を軽減させることが可能になる。
【0216】
また、飲酒ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、酒酔い状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。なお、マニュアルトランスミッション車の場合にはニュートラル制御はできないが、万が一、車両が移動し始めたことが検知されれば、CPU10がエンジン40を停止させればよい。
【0217】
また、以上の実施形態では、特定領域において飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図14のステップS203でYES、S204でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行していたが、飲酒状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
【0218】
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0219】
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0220】
なお、この実施形態では、調整手段10bが、エンジンの始動時における飲酒の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっ
ても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御してもよい。
【0221】
この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0222】
また、この実施形態では、調整手段10bが、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御することも可能である。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0223】
なお、複数の運転者が同一の車両を交互に使用する場合には、このように、運転者を生体データで識別してから、本実施形態の制御を行うことが望ましい。逆に、一人だけが使用する車両の場合には、生体センサ59による運転者識別をすることを要しない。
【0224】
〔2−4−2〕走行中飲酒運転抑制制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、飲酒なし(図14中のステップS203でNO)の場合には、エンジンを始動(図14中のステップS210)し、走行中飲酒運転抑制制御ルーチンとして以下の処理を実行する。なお、実際にはエンジンは始動しているが走行を開始していない状態も、走行開始可能な状態であるため、ここでは、走行中飲酒運転抑制制御として扱うことにする。
【0225】
この実施形態の車両制御装置101では、エンジン始動後や車両の走行中にはアルコールセンサ57はダッシュボードD付近の所定の収納場所に収納された状態、あるいはステアリングホイール58にに内蔵された状態になっているが、この状態のまま、運転席近傍の空気中のアルコール濃度を検知する(図14中のステップS211)。
【0226】
アルコールセンサ57が一定時間の検知を行うと、アルコールセンサ57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の飲酒判定手段14が、アルコールセンサ57の検知結果から車両内の空気中のアルコールの有無を判定する(図14中のステップS212)。飲酒判定手段14は、アルコールセンサ57で検知されるアルコール濃度に基づいて、アルコール検出なし/アルコール検出ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
【0227】
なお、代行運転や、家族の出迎えなどで、助手席や後部座席に飲酒者を乗せることがある。この場合、助手席や後部座席の同乗者の呼気によるアルコールを検出しないように、アルコールセンサ57については、運転者の呼気のみを検出できるように、検出方向に鋭い指向性を有することが望ましい。または、上述した、運転席の顔写真や、ステアリングホイール58を握っている手の指紋や掌紋などによって運転者識別を行い、真の運転者とアルコールの検出結果とを関連づけて制御を行う。
【0228】
また、運転者以外の呼気に反応するような場合には、CPU10が表示部60に警告表示と確認手順の表示を行った後に、車両を一時停止させた状態でアルコールセンサ57に
運転者の呼気を検出させて飲酒なしであることを確認したうえで、これ以後の一定期間は飲酒判定手段14の判定基準を緩くするなどの対策も有効である。
【0229】
さらには、ステアリングホイール58に内蔵されたアルコールセンサ57が、掌からの汗に含まれるアルコール濃度で検出を行うことで、運転者のみの飲酒を確実に検出することができるため、同乗者の飲酒による誤動作を避けることができる。
【0230】
飲酒判定手段14でアルコール検出なしと判定された場合(図14のステップS213でNO)には、調整手段10bは特別な指示を出さず、通常のエンジン制御状態や走行状態を維持させつつ、後述するようにウインドウガラスの調光制御や表示制御を行う。
【0231】
一方、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bは、GPS位置検出部21の検出結果とナビゲーションプログラムとにより、車両が駐停車可能な場所に位置しているかを判定する(図14中のステップS214)。
【0232】
ここで、駐停車可能な場所に位置しているとは、位置としては駐車場や私有地内であり、かつ、車両が静止して位置する場合を意味する。なお、駐停車が禁止されていない道路上の左側、チケットあるいは料金納付により路上駐車が認められている道路上の左側などで車両が静止して位置する場合も、駐停車可能場所に位置していると判定してよい。
【0233】
また、車両が道路(公道、私道)上を走行中の場合は、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。また、道路上で渋滞や信号待ちなどで一時的に停止している場合も、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。また、道路の端に寄せて停めている場合も、駐停車が禁止されている場所であれば、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。
【0234】
なお、ショッピングモールなどの広大な駐車場内などであっても、車両が移動中であれば、駐停車が可能な場所に位置していないと判断して、近くの空きスペースに停止するように促す。
【0235】
また、以上の場合の車両の位置については、GPS位置検出部21の検出結果を参照し、車両の移動速度についてはGPS位置検出部21の検出結果もしくは車両の車速センサー(図示せず)の検出結果を参照すればよい。
【0236】
ここで、車両が駐停車可能場所に位置していない状態(図14中のステップS214でNO)であれば、最寄りの駐停車可能場所までの検索を実行する(図14中のステップS215)。そして、その駐停車可能場所までの誘導を表示部60に行う(図14中のステップS216、S217)。あるいは、CPU10は、図示されないカーナビゲーション装置に対して、最寄りの駐停車可能場所までの検索を指示し、その駐停車可能場所までの誘導を行わせる(図14中のステップS216、S217)。なお、駐車場内であっても移動中の場合には、最寄りの空きスペースに駐車するようにとの警告メッセージを、車両が移動中の間は表示し続けるようCPU10が制御を行う。
【0237】
そして、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、誘導目的地に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が誘導目的地に停車しているか否かを判定する(図14中のステップS217)。
【0238】
自動車100が誘導目的地に達していれば(図14中のステップS217でYES)、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS218)。
【0239】
そして、CPU10は、変速レバーをパーキングの位置に操作するように促すメッセージを表示部60に表示する。運転者がこのメッセージに従わない場合には、オートマチック車の場合には電気的に変速機をニュートラルに制御することが可能である。なお、マニュアル車の場合には走行してしまって危険が生じるため、エンジンを停止させてもよい。
【0240】
また、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所な特定領域に停止している(図14中のステップS214でYES)場合、すなわち、駐車場などでエンジンを始動させた後に飲酒をしたような場合にも、同様にして、その場において、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS218)。
【0241】
以上の場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
【0242】
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、飲酒運転抑を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
【0243】
また、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、誘導目的地に達した後(図14中のステップS217でYES)、または、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所に停止している(図14中のステップS214でYES)場合、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図14中のステップS219)。この場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
【0244】
さらに、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図14中のステップS217でYES)、または、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所に停止している(図14中のステップS214でYES)場合、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図14中のステップS220)。この
場合、車両の空気中にアルコール検出ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
【0245】
そして、以上のように、エンジン始動後に飲酒判定手段14で車両の空気中にアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS218)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS219)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS220)を実行するが、調整手段10bはエンジンの停止は行わない。
【0246】
すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を動作させており、イグニッションスイッチの操作によってエンジン停止とされる(図14中のステップS209でYES)まで、CPU10は以上のウインドウの高濃度化制御などを続け、飲酒運転抑制制御を実行する。
【0247】
そして、CPU10は以上の飲酒運転抑制制御を実行しつつ、エンジン停止の指示があれば(図14中のステップS209でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図14中のステップS230)、調整手段10bは特定領域で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納する(図14中のステップS231)。
【0248】
なお、アルコール検出ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、酒酔い状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。なお、マニュアルトランスミッション車の場合にはニュートラル制御はできないが、万が一、車両が移動し始めたことが検知されれば、CPU10がエンジン40を停止させればよい。
【0249】
また、以上の実施形態では、飲酒判定手段14でアルコール検出ありと判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS217)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS218)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS219)を実行していたが、アルコール検出状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
【0250】
この実施形態の車両制御装置101によれば、車両の空気からアルコールが検出されてアルコール検出有りと判定されれば、車両が駐停車可能場所に停止していない状態であれば駐停車可能場所まで誘導した後に、駐停車可能場所に位置している状態であればその場で、調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0251】
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定し
ていないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0252】
また、この実施形態では、調整手段10bが、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、運転中の飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、
駐停車後の車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを停止させるように制御することも可能である。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン停止とにより、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0253】
なお、複数の運転者が同一の車両を交互に使用する場合には、このように、運転者を生体データで識別してから、本実施形態の制御を行うことが望ましい。逆に、一人だけが使用する車両の場合には、生体センサ59による運転者識別をすることを要しない。
【0254】
〔2−4−3〕調光制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、飲酒なし(図14中のステップS203でNO)の場合にはエンジンを始動(図14中のステップS210)し、車両空気中からアルコールが検知されなければ(図14のステップS213でNO)、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを実行する。
【0255】
すなわち、CPU10(調整手段10b)は、前述した通り、切換スイッチ54からの指示に応じて動作し、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図7に示すフローチャート(ステップS21〜S20)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう(図14中のステップS221)。
【0256】
また、CPU10は、それ以外のウインドウガラス114〜116については、図8に示すフローチャート(ステップS21〜S25)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう(図14中のステップS222)。
【0257】
〔2−4−4〕表示制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、飲酒なし(図14中のステップS203でNO)の場合にはエンジンを始動(図14中のステップS210)し、車両空気中からアルコールが検知されなければ(図14のステップS213でNO)、上述した調光制御に続いて、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを実行する。
【0258】
すなわち、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、表示指示入力部55からの指示に応じて動作し、図10に示すフローチャート(ステップS51〜S58)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14中のステップS223)。
【0259】
また、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、リアウインドウガラス116については、図9に示すフローチャート(ステップS31〜S42)に従
って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14中のステップS224)。さらに、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、上記以外のウインドウガラス114,115については、図11に示すフローチャート(ステップS61〜S65)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14中のステップS224)。
【0260】
そして、CPU10は、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を動作させており、イグニッションスイッチの操作によってエンジン停止とされる(図14中のステップS225でYES)まで、アルコール検出(図14中のステップS213)と以上のウインドウの調光制御(図14中のステップS221,222)や表示制御(図14中のステップS223,224)を続ける。
【0261】
そして、CPU10は以上の調光制御や表示制御を実行しつつ、エンジン停止の指示があれば(図14中のステップS225でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図14中のステップS230)、調整手段10bは特定領域で飲酒判定なしの履歴を記憶部に格納する(図14中のステップS231)。
【0262】
この場合、アルコールが検出されない場合には、通常のウインドウガラスの調光制御(透明→高濃度、高濃度→透明)、ウインドウガラスへの各種の表示制御を実行することができるため、公道上での停車中の安全性や、公道上や私道上以外の領域での移動中の安全性を確保しながら、公道上や私道上以外の特定の場所(例えば私有地やコンビニの駐車場など)では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができるので、停止中の車内温度上昇を確実に抑制できるとともに、プライバシイやセキュリティを確実に保護できる。また、キーを抜脱しなくても済むので、自動車100内での食事や睡眠に際してエンジン40を起動させエアコン等を作動させながら、ウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができる。
【0263】
また、走行中は以上のウインドウガラスの調光制御(図14中のステップS221,222)や表示制御(図14中のステップS223,224)を行いつつアルコール検出(図14中のステップS211,S212,S213)を繰り返すため、アルコールが検出されれば駐停車可能場所までの誘導(図14中のステップS215,216,217)と飲酒運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御など(図14中のステップS218,219,220)を実行することになり、飲酒運転抑制の効果を期待することができる。
【0264】
また、エンジン始動後であって走行開始前など、駐停車可能場所に停止していれば、以上のウインドウガラスの調光制御(図14中のステップS221,222)や表示制御(図14中のステップS223,224)を行いつつアルコール検出(図14中のステップS211,S212,S213)を繰り返すため、エンジン始動後にアルコールが検出されれば、その場で、飲酒運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御など(図14中のステップS218,219,220)を実行することになり、飲酒運転抑制の効果を期待することができる。
【0265】
〔3〕本実施形態の車両制御装置の効果:
以上の実施形態では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合には、ウインドウの調光ガラス110の透過率が規定値未満に調整されて、エンジンの始動が行われる。すなわち、この自動車制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれ
ば調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整される。従って、自動車100の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス110)の透過率が規定値未満となり走行に適しない状態になる。
【0266】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、自動車100中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から自動車100を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0267】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、自動車100運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0268】
また、以上の実施形態では、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により運転者飲酒ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が特定領域に属していて、速度がゼロであると判定された場合には、ウインドウの調光ガラス110の透過率が規定値未満に調整されて、エンジンの始動が行われる。ここで、特定領域とは、自動車100の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域、すなわち私有地などである。
【0269】
この自動車制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整される。従って、自動車100の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス110)の透過率が規定値未満となり走行に適しない状態になる。
【0270】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、自動車100中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から自動車100を移動させることができず、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0271】
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、自動車100運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0272】
従って、例えば道路上での停車中や、道路上でなくとも移動中には、ウインドウガラス111〜113(調光ガラス110)の透過率を規定値未満に切り換えることはできず、つまりウインドウガラス111〜113を高濃度な状態に切り換えることができないので、公道上での停車中の安全性や、公道上や私道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
【0273】
また、以上の実施形態では、制御手段は、エンジンの始動時において、飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が前記特定領域(公道・私道以外の私有地などの領域)に属していないと判定された場合には、調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整せず、エンジンの始動を行わない、ように制御する。この自動車制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンの始動を行わないように制御しているため、自動車100運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0274】
また、以上の実施形態では、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラス110の前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、自動車100運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0275】
また、以上の実施形態では、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に飲酒ありと判定され、自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラス110の前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンの始動を行わない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、自動車100運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0276】
このように安全性を確保しながら、公道上や私道上以外の特定の場所(例えば私有地やコンビニの駐車場など)では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができるので、停止中の車内温度上昇を確実に抑制できるとともに、プライバシイやセキュリティを確実に保護できる。また、キーを抜脱しなくても済むので、自動車100内での食事や睡眠に際してエンジン40を起動させエアコン等を作動させながら、ウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができる。
【0277】
ここで、調光ガラス110として液晶フィルム150を含むもの(図2に示す調光ガラス110A)を用いた場合には、2枚の透明電極153,154の間に所定の電圧を印加するだけで、極めて容易に調光ガラス110Aの透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。
【0278】
調光ガラス110として有機EL素子層140およびフォトクロミックガラス層160を含むもの(図3に示す調光ガラス110B)を用いた場合には、有機EL素子層140の発光層145に特定波長の光(紫外線光)を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラス110Bの透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。このとき、有機EL素子層140から発した光によりフォトクロミックガラス層160が着色されるので、透過率の低下変更が充分に行なわれる一方、フォトクロミックガラス層160を着色させる波長の光以外の光を有機EL素子層140に発光させた場合には、有機EL素子層140を含む調光ガラス110Bを、上述したように外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0279】
調光ガラス110として有機エレクトロルミネッセンス素子層140のみを含むもの(図4に示す調光ガラス110C)を用いた場合には、有機EL素子層140の発光層145に所定色の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラス110Cの透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。この場合も、有機EL素子層140を含む調光ガラス110Cを、上述したように外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0280】
また、有機EL素子層140における発光層145を、光の3原色である赤,緑,青を
各々発光する発光体をマトリクス状に規則正しく配列して構成し、各発光体の発光状態を制御することにより、有機EL素子層140において任意の発色や任意の画像の表示を行なうことが可能になり、ウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)を外部に対する表示装置として用いることができる。
【0281】
例えば、自動車100の停車中もしくは駐車中に全てのウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の色を車体外面と同じ色にすることで、外観上、お洒落で極めて目立つ状態となるので、悪意をもった第三者が盗難等の不法行為を行ない辛くなり、その自動車100に対する不法行為の防止に大きく寄与することになる。
【0282】
また、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100のブレーキペダル52の操作に連動した表示や自動車100の方向指示器操作部53の動作に連動した表示を実行することにより、ブレーキランプやウインカーだけでなくリアウインドウガラス116を用いた大きな表示によって、後方の車両の運転者に対し運転者のブレーキングや移動方向の意志を明確に伝えることが可能になり、走行移動中の安全性を高めることができる。
【0283】
なお、近年、自動車等に一般的に装備されているカーナビゲーションシステムのGPS機能を用いることで、特別な位置検出手段を新たにそなえることなく、極めて容易に自動車100の所在位置(現在位置)を検出することができる。
【0284】
また、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従えば、少なくとも運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113を透過率調整対象とすればよく、これらの対象ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116として用いられる調光ガラス110の透過率については、自動車100の停止中/移動中に関係なくまた自動車100の所在位置に関係なく、切換スイッチ54により、規定値未満か以上のいずれか一方に選択的に切り換え可能に構成することで、対象ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116については、自動車100の乗員の意志によって透明/高濃度の切換をいつでも行なうことが可能であり、利便性を高めることができる。
【0285】
さらに、自動車100の外部の明度に応じて調光ガラス110の透過率を調整することにより、自動車100の外部が暗い場合には透過率を高めて視界を確保することができる一方、自動車の外部が極めて明るい場合(紫外線が多い場合等)には透過率を低くして運転者や乗員の受ける眩しさを低減することができるので、運転者は自動車100の外部の状況を確実に視認することが可能になり、安全性を高めることができる。
【0286】
また、本実施形態では、調整手段10bの表示制御機能により、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象であるウインドウガラス111〜113においてカラー表示を行なう場合、自動車100の所在位置が特定領域(公道上や私道上以外の領域)に属していると判定され且つ自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、調光ガラス110(有機EL素子層140)によるカラー表示が行なわれる一方、自動車100の所在位置が特定領域に属していない(つまり、例えば公道上に属している)と判定された場合、または、自動車100の移動速度がゼロでないと判定された場合、カラー表示が解除調整される。従って、例えば公道上での停車中や、公道上でなくとも移動中には、ウインドウガラス111〜113(調光ガラス110)によるカラー表示を行なうことはできないので、公道上での停車中の安全性や、公道上や私道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
【0287】
また、この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者の呼気からアルコールが検
出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0288】
さらに、この実施形態の車両制御装置101によれば、車両の空気からアルコールが検出されてアルコール検出有りと判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
【0289】
また、この実施形態の車両制御装置101によれば、飲酒運転抑制制御(始動時飲酒運転抑制制御と走行中飲酒運転抑制制御)と調光制御と表示制御とを一連の制御として実行した場合であっても、始動時に運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になり、また、駐停車可能場所に位置していない車両の空気からアルコールが検出されてアルコール検出有りと判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になり、さらに、ウインドウガラスの調光制御や表示制御を行いつつアルコール検出を繰り返すため、アルコールが検出されれば駐停車可能場所までの誘導と飲酒運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御などを実行することになり、飲酒運転抑制の効果を期待することができる。また、エンジンの始動後の走行開始前の駐停車可能場所に位置している車両の空気からアルコールが検出されてアルコール検出有りと判定されれば、その場で、調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。
【0290】
〔4〕その他:
〔4−1〕各種の変形:
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0291】
例えば、本実施形態では、車両が自動車である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、クルーザ,小型船等の船や、航空機や、電車のごとくウインドウガラスのある車両であれば、本発明は、上述した実施形態と同様に適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0292】
また、カラー表示等の表示を一切行なわない場合には、有機EL素子層140をそなえない通常のガラス板に図2に示すような液晶フィルム150のみを貼付して各調光ガラス110を構成するとともに、CPU10が位置判定手段11,速度判定手段12および調整手段10bとしての機能を果たすように構成し、調整手段10bが、図7および図8に
て説明した手順で各調光ガラス110の透過率を調整するように構成してもよい。
【0293】
このような構成によれば、有機EL素子層140によるカラー表示は行なえないが、自動車100について、例えば公道上での停車中の安全性を確保しながら、公道上や私道上以外の特定の場所では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウを高濃度な状態に切り換えられるようにすることができ、上述した本願発明特有の作用効果を得ることができるのである。
【0294】
また、本実施形態においては6枚の調光ガラス110が使用されているが、本発明は、これに限定されず、本発明の車両制御装置101を搭載する車両に使用されるウインドウガラスの枚数分の調光ガラス110が使用される。
【0295】
さらに、調光ガラス110は全体が1つの有機ELパネルから成るものでなくてもよく、複数の有機ELパネルを組み合わせて1つの調光ガラス110とするように構成してもよい。このように構成することにより、大型の有機ELパネルが、技術的または経済的な理由などにより入手が困難な場合であっても、有機ELパネルからなる調光ガラス110の大型化が可能となるのである。
【0296】
〔4−2〕始動時飲酒運転抑制制御動作の変形例:
なお、上述した車両制御装置101の始動時の飲酒運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図16のフローチャートに示す変形例を説明する。
【0297】
ここでは、既に、私有地などの特定領域に自動車が駐車あるいは停車しており、ウインドウが所定値(規定値未満)の高濃度状態を維持した状態で存在しているものとする。この高濃度化は、飲酒運転抑制によるものであっても、日射しを避けたりプライバシーを確保するための設定操作に基づくものであってもよい。
【0298】
この図16は、既に説明した図12のフローチャートと同一ステップについては同一ステップ番号を付し、重複した説明を省略する。
飲酒判定手段14で飲酒なしと判定された場合(図16のステップS123でNO)には、各ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより低濃度(規定値(70%)以上)に調整される(図16中のステップS132)。これにより、通常の運転操作に適した状態になる。
【0299】
さらに、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図16中のステップS128)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
【0300】
そして、エンジン停止の指示があれば(図16中のステップS129でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図16中のステップS130)、調整手段10bは飲酒判定なしの履歴を記憶部に格納する(図16中のステップS131)。
【0301】
一方、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図16のステップS123でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現在位置(緯度
・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図16中のステップS124)。
【0302】
なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
【0303】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図16のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図16中のステップS124でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、各ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより低濃度(規定値(70%)以上)に調整される(図16中のステップS133)。
【0304】
そして、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で飲酒判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図16中のステップS131)。
【0305】
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率を規定値未満にせず低濃度状態にするが、エンジンの始動を行わないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0306】
ここで、飲酒判定手段14で飲酒ありと判定された場合(図16のステップS123でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図16中のステップS124でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整されたままの状態になる(図16中のステップS125)。これにより、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0307】
なお、この場合、調光ガラス110は、高濃度が維持される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、飲酒運転抑を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
【0308】
なお、ここでは、図12のフローチャートに対応する変形例を図16のフローチャートを用いて説明したが、この変形例を図14のフローチャートで説明した実施形態にも適用することが可能である。
【0309】
〔4−3〕各種のプログラムへの応用:
また、上述した位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよびエンジンコントローラ10aの表示制御機能としての機能(各手段の全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(調光制御プログラムもしくは表示制御プログラム)を実行することによって実現される。
【0310】
また、上述した位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよび調整手段
10bならびにエンジンコントローラ10aの飲酒運転抑制制御機能としての機能(各手段の全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(飲酒運転抑制プログラム)を実行することによって実現される。
【0311】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど),半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から調光制御プログラムを読み取って内部記憶装置もしくは外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,半導体メモリ等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0312】
ここで、コンピュータとは、ハードウエアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウエアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウエアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたプログラムを読み取るための手段とをそなえている。上記の調光制御プログラムもしくは表示制御プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよび調整手段10bの表示制御機能や飲酒運転抑制制御機能としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0313】
さらに、本実施形態における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0314】
〔5〕付記:
(付記1)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両において、前記調光ガラスの前記透過率を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する調整手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両制御装置。
【0315】
(付記2A)
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、
前記調整手段が、前記調光ガラスの前記透過率を規定値未満の所定値に調整する、
ことを特徴とする付記1記載の車両制御装置。
【0316】
(付記2B)
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロでないと判定された場合、前記調整手段が、前記調光ガラスの前記透過率を規定値以上に調整する、
ことを特徴とする付記1記載の車両制御装置。
【0317】
(付記3)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、
前記調整手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
【0318】
(付記4)
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記3記載の車両制御装置。
【0319】
(付記5)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
【0320】
(付記6)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記5記載の車両制御装置。
【0321】
(付記7)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に所定色の光を発光させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
【0322】
(付記8)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層
において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記7記載の車両制御装置。
【0323】
(付記9)
前記表示制御機能が、前記車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記車両のブレーキ操作に連動した表示を実行させることを特徴とする、付記4,付記6,付記8に記載の車両制御装置。
【0324】
(付記10)
前記表示制御機能が、前記車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記車両の方向指示器の動作に連動した表示を実行させることを特徴とする、付記4,付記6,付記8,付記9のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0325】
(付記11)
前記車両が自動車であり、
前記特定領域が、前記自動車の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域であることを特徴とする、付記1〜付記10のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0326】
(付記12)
前記位置検出手段が、GPS(Global Positioning System)を用いて前記車両の所在
位置を検出することを特徴とする、付記1〜付記11のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0327】
(付記13)
前記調整手段は、少なくとも前記車両の運転者の前方および両側方におけるウインドウガラスとして用いられる調光ガラスを、前記位置判定手段および前記速度判定手段による判定結果に従った前記透過率の調整対象とすることを特徴とする、付記1〜付記12のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0328】
(付記14)
前記車両の運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス以外のウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記透過率については、前記速度判定手段および前記位置判定手段による判定結果と関係なく、前記調整手段によって前記所定値もしくは前記規定値以上のいずれか一方に選択的に切り換えさせる切換手段を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記13記載の車両制御装置。
【0329】
(付記15)
前記車両の外部の明度を検出する明度検出手段をさらにそなえ、
前記調整手段が、前記明度検出手段によって検出された明度に応じて前記調光ガラスの透過率を調整することを特徴とする、付記1〜付記14のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0330】
(付記16)
運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、を更に備え、
前記制御手段は、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する、
ことを特徴とする付記1〜付記15のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【0331】
(付記17)
前記制御手段は、前記アルコールセンサによる運転者の呼気中のアルコールを検知の後に、エンジンの始動を行う、
ことを特徴とする付記16記載の車両制御装置。
【0332】
(付記18)
前記アルコールセンサは、エンジン動作中には車両内の空気中のアルコールを検知する、
ことを特徴とする付記16または付記17に記載の車両制御装置。
【0333】
(付記19)
地図データと前記車両の所在位置とに基づいて誘導を行うナビゲーション部を更に備え、
前記制御手段は、前記アルコールセンサによって車両内の空気中にアルコールが検知された場合、前記ナビゲーション部に駐停車可能な位置までの誘導を行わせ、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記誘導位置に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合には前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する、
ことを特徴とする付記18記載の車両制御装置。
【0334】
(付記20)
前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限する、
ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
【0335】
(付記21)
前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、
ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
【0336】
(付記22)
前記制御手段は、飲酒やアルコールが検知された場合に、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、
ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
【0337】
(付記A1)付記A1記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である。
【0338】
付記A1記載の発明では、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両において、アルコールセンサによる運転者呼気の検知結果から運転者の飲酒の有無を判定手段が判定し、飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に調光ガラスの透過率を所定値に調整する。この場合、所定値は、法令が定める規定値よりも高濃度な透過率を意味する。
【0339】
この車両制御装置によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定
されれば調光ガラスの透過率は所定値に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値となり走行に適しない状態になる。
【0340】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0341】
(付記A2)付記A2記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整すると共に、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である。
【0342】
付記A2記載の発明では、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両において、アルコールセンサによる運転者呼気の検知結果から運転者の飲酒の有無を判定手段が判定し、飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に調光ガラスの透過率を所定値に調整し、また、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段によって車両の移動速度がゼロであると判定された場合に調光ガラスの透過率を所定値に調整する。この場合、所定値は、法令が定める規定値よりも高濃度な透過率を意味する。
【0343】
この車両制御装置によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値となり走行に適しない状態になる。
【0344】
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0345】
また、車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ車両の移動速度がゼロであると判定されれば調光ガラスの透過率は所定値に調整される一方、車両の所在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、車両の移動速度がゼロでないと判定された場合、調光ガラスの透過率は規定値以上に調整される。
【0346】
従って、車両等が、例えば公道上での停車中や、公道上でなくとも移動中には、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率を所定値に切り換えることはできず、つまりウインドウガラスを高濃度な状態に切り換えることができないので、公道上での停車中の安全性や、公道上や私道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
【0347】
このように安全性を確保しながら、公道上や私道上以外の特定の場所では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウガラス(調光ガラス)の透過率を所定値に切り換え
てウインドウガラスを高濃度な状態に切り換えることができるので、停止中の車両内温度上昇を確実に抑制できるとともに、プライバシイやセキュリティを確実に保護できる。また、キーを抜脱しなくても済むので、車両内での食事や睡眠に際してエンジンを起動させエアコン等を作動させながら、ウインドウガラスを高濃度な状態に切り換えることができる。
【0348】
(付記A3)付記A3記載の発明は、前記制御手段は、前記アルコールセンサによる運転者の呼気中のアルコールを検知の後に、エンジンの始動を行う、ことを特徴とする付記A1または付記A2のいずれかに記載の車両制御装置である。
【0349】
付記A3記載の発明では、制御手段は、アルコールセンサによる運転者の呼気中のアルコールを検知の後に、エンジンの始動を行う。すなわち、この車両制御装置によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば、調光ガラスの透過率は所定値に調整されると共にエンジンの始動が行われる。また、運転者の呼気からアルコールが検出されなければ、通常通りにエンジンの始動が行われる。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、エンジンは始動するものの、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値となり走行に適しない状態になる。したがって、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、飲酒運転を有効に抑制することが可能になる。
【0350】
(付記A4)付記A4記載の発明は、前記アルコールセンサは、エンジン始動前には運転者の呼気中のアルコールを検知すると共に、エンジン動作中には車両内の空気中のアルコールを検知する、ことを特徴とする付記A1〜付記A3のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0351】
付記A4記載の発明では、アルコールセンサは、エンジン始動前には運転者の呼気中のアルコールを検知すると共に、エンジン動作中には車両内の空気中のアルコールを検知するため、エンジン動作中(運転中、あるいは、エンジンは始動した状態での停車中)に、車両内の空気中にアルコールが検出された場合、飲酒の可能性もあるため、駐停車可能な位置までの誘導などを実行してから、調光ガラスの透過率を所定値にして走行に適さない状態にする。したがって、飲酒運転を確実に抑制することができる。
【0352】
(付記A5)付記A5記載の発明は、地図データと前記車両の所在位置とに基づいて誘導を行うナビゲーション部を更に備え、前記制御手段は、前記アルコールセンサによって車両内の空気中にアルコールが検知された場合、前記ナビゲーション部に駐停車可能な位置までの誘導を行わせ、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記誘導位置に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合には前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整する、ことを特徴とする付記A4記載の車両制御装置である。
【0353】
付記A5記載の発明では、地図データと車両の所在位置とに基づいて誘導を行うナビゲーション部を更に備えており、制御手段は、アルコールセンサによって車両内の空気中にアルコールが検知された場合、ナビゲーション部に駐停車可能な位置までの誘導を行い、位置判定手段によって車両の所在位置が誘導位置に属していると判定され且つ速度判定手段によって車両の移動速度がゼロであると判定された場合には調光ガラスの透過率を所定値に調整する。
【0354】
すなわち、この車両制御装置によれば、エンジン動作中(運転中、あるいは、エンジンは始動した状態での停車中)に、車両内の空気中にアルコールが検出された場合、飲酒の可能性もあるため、駐停車可能な位置まで誘導して速やかに停車させ、調光ガラスの透過率を所定値にして走行に適さない状態にする。したがって、飲酒運転を確実に抑制するこ
とができる。
【0355】
(付記A6)付記A6記載の発明は、前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、前記制御手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記A1〜付記A5のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0356】
付記A6記載の発明では、上記(付記A1)〜(付記A5)において、調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、制御手段が、2枚の透明電極に所定の電圧を印加して液晶分子の配向性を変化させることにより、調光ガラスの透過率を所定値に調整する。
【0357】
すなわち、調光ガラスとして液晶フィルムを含むものを用いた場合には、2枚の透明電極間に所定の電圧を印加するだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にして、走行に適さない状態にすることができる。
【0358】
(付記A7)付記A7記載の発明は、前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、ことを特徴とする、付記A6記載の車両制御装置である。
【0359】
付記A7記載の発明では、上記(付記A6)において、調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる。
【0360】
すなわち、調光ガラスとして有機エレクトロルミネッセンス素子層を含むものを用いた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層の発光層に所定色の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にすることができる。この場合も、有機エレクトロルミネッセンス素子層を含む調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0361】
(付記A8)付記A8記載の発明は、前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、前記制御手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記A1〜付記A5のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0362】
付記A8記載の発明では、上記(付記A1)〜(付記A5)において、調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エ
レクトロルミネッセンス素子層と、発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、制御手段が、発光層に特定波長の光を発光させフォトクロミックガラス層を着色させることにより、調光ガラスの透過率を所定値に調整する。
【0363】
すなわち、調光ガラスとして有機エレクトロルミネッセンス素子層およびフォトクロミックガラス層を含むものを用いた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層の発光層に特定波長の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にすることができる。
【0364】
このとき、有機エレクトロルミネッセンス素子層から発した光によりフォトクロミックガラス層が着色されるので、透過率の低下変更が充分に行なわれる一方、フォトクロミックガラス層を着色させる波長の光以外の光を有機エレクトロルミネッセンス素子層に発光させた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層を含む調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0365】
(付記A9)付記A9記載の発明は、前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、前記制御手段が、前記発光層に所定色の光を発光させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、付記A1〜付記A5のいずれか一項に記載の車両制御装置である。
【0366】
付記A9記載の発明では、上記(付記A1)〜(付記A5)において、調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、制御手段が、発光層に所定色の光を発光させることにより、調光ガラスの透過率を所定値に調整することを特徴とする。
【0367】
すなわち、調光ガラスとして有機エレクトロルミネッセンス素子層のみを含むものを用いた場合には、有機エレクトロルミネッセンス素子層の発光層に所定色の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラスの透過率を所定値に切り換えてウインドウガラスを高濃度な状態にすることができる。この場合も、有機エレクトロルミネッセンス素子層を含む調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
【0368】
(付記A10)付記A10記載の発明は、前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、ことを特徴とする、付記A8または付記A9に記載の車両制御装置である。
【0369】
付記A10記載の発明では、上記(付記A8)または(付記A9)において、発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる。
【0370】
すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子層における発光層を、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成し、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色や任意の画像の表示を行なうことが可能になり、ウインドウガラスを外部に対する表示装置として用いることができる。
【0371】
例えば、車両の停止中に全てのウインドウガラスの色を車両外面と同じ色にすることで、外観上、お洒落で極めて目立つ状態となるので、悪意をもった第三者が盗難等の不法行為を行ない辛くなり、その車両に対する不法行為の防止に大きく寄与することになる。
【0372】
また、車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの有機エレクトロルミネッセンス素子層において、車両のブレーキ操作に連動した表示や車両の方向指示器の動作に連動した表示を実行することにより、ブレーキランプやウインカーだけでなくリアウインドウガラスを用いた大きな表示によって、後方の車両の運転者に対し運転者のブレーキングや移動方向の意志を明確に伝えることが可能になり、走行移動中の安全性を高めることができる。
【0373】
(付記A11)付記A11記載の発明は、前記アルコールセンサによってアルコールが検知された場合、前記制御手段は、前記車両のリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、ハザードランプの表示を実行させる、ことを特徴とする付記A7または付記A10に記載の乗物用ウインドウガラスの車両制御装置である。
【0374】
付記A11記載の発明では、アルコールセンサによってアルコールが検知された場合、制御手段は、車両のリアウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの有機エレクトロルミネッセンス素子層において、ハザードランプの表示を実行させる。
【0375】
すなわち、有機エレクトロルミネッセンス素子層における発光層を、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成し、各発光体の発光状態を制御することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子層により、ウインドウガラスを停車中のハザードランプとして用いることができる。
【0376】
(付記B1)付記B1記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能であると共に発光体を含んで構成された調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整すると共に、前記発光体の発光状態を制御することにより飲酒ありを示す表示の制御を実行する制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である。
【0377】
この車両制御装置によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値となり走行に適しない状態になる。また、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることをウインドガラスに表示し、外部に知らしめることができる。
【0378】
(付記B1)付記B2記載の発明は、可視光線の透過率を調整可能であると共に発光体を含んで構成された調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定された場合であって、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特
定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整すると共に、前記発光体の発光状態を制御することにより飲酒ありを示す表示の制御を実行する制御手段と、を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置である。
【0379】
この車両制御装置によれば、運転者の呼気からアルコールが検出されて飲酒ありと判定されれば調光ガラスの透過率は所定値に調整される。従って、車両の運転者が飲酒をしていれば、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率が所定値となり走行に適しない状態になる。また、飲酒ありと判定されて走行ができない状態であることをウインドガラスに表示し、外部に知らしめることができる。
【0380】
(付記C1)以上の各付記記載の発明は、始動時に行うことが最も望ましいが、走行中に実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0381】
【図1】本発明の一実施形態としての車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの第1例の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】本実施形態のウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの第2例の構造を模式的に示す断面図である。
【図4】本実施形態のウインドウガラスとして用いられる調光ガラスの第3例の構造を模式的に示す断面図である。
【図5】本実施形態のリアウインドウガラスにおいて走行中に表示される表示画像例を示す説明図である。
【図6】本実施形態のリアウインドウガラスにおいて走行中に表示される表示画像例を示す説明図である。
【図7】本実施形態の車両制御装置の調光制御動作(フロントウインドウガラスおよびフロントサイドウインドウガラスに対する調光制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図8】本実施形態の車両制御装置の調光制御動作(リアサイドウインドウガラスおよびリアウインドウガラスに対する調光制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施形態の車両制御装置の表示制御動作(リアウインドウガラスに対する表示制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図10】本実施形態の車両制御装置の表示制御動作(フロントウインドウガラスおよびフロントサイドウインドウガラスに対する表示制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態の車両制御装置の表示制御動作(リアサイドウインドウガラスに対する表示制御動作)を説明するためのフローチャートである。
【図12】本実施形態の車両制御装置の飲酒運転抑制制御時の始動時動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本実施形態の車両制御装置の飲酒運転抑制制御時の走行中の動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】本実施形態の車両制御装置の始動時飲酒運転抑制制御、走行中飲酒運転抑制制御、調光制御、表示制御を一連の動作として行う際の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本実施形態のアルコールセンサの配置の様子を示す説明図である。
【図16】本実施形態の車両制御装置の飲酒運転抑制制御時の始動時動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0382】
1 車両制御装置
1 CPU
10a エンジンコントローラ
10b 調整手段
11 位置判定手段
12 速度判定手段
14 飲酒判定手段
19 識別手段
21 GPS位置検出部(位置検出手段)
22 速度センサ(速度検出手段)
23 明度センサ(明度検出手段)
30 記憶部(ROM,RAM)
40 エンジン
51 アクセルペダル
52 ブレーキペダル
53 方向指示器操作部
54 切換スイッチ(切換手段)
55 表示指示入力部
59 生体センサ
60 表示部
100 自動車(車両)
110,110A,110B,110C 調光ガラス
111 フロントウインドウガラス
112 右前サイドウインドウガラス
113 左前サイドウインドウガラス
114 右後サイドウインドウガラス
115 左後サイドウインドウガラス
116 リアウインドウガラス
120,130 ガラス板(透明板)
140 有機エレクトロルミネッセンス素子層
141 陽極透明電極
142 陰極透明電極
143 有機エレクトロルミネッセンス層
144 正孔輸送層
145 発光層(発光体)
146 電子輸送層
150 液晶フィルム
151,152 透明薄膜
153,154 透明電極
155 液晶層(液晶分子)
160 フォトクロミックガラス層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、
前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段と、
を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサと、
前記アルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段と、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段と、
を備えて構成されていることを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していないと判定された場合には、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整せず、エンジンの始動を行わない、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
エンジンの始動時における前記飲酒判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、飲酒有りの判定が所定回数以上の場合には、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に、前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行わない、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
該運転者の生体データ値を検出する生体センサと、
該生体センサの検出結果により、該運転者を識別する識別手段と、を備え、
前記制御手段は、前記識別手段により識別された同一の運転者について前記飲酒履歴の制御を行う、
ことを特徴とする請求項4記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、
前記制御手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、
ことを特徴とする、請求項6記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、
前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、
前記制御手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値に調整することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されている、
ことを特徴とする、請求項8記載の車両制御装置。
【請求項10】
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、
運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段、
として該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラム。
【請求項11】
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度が、ゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
運転者の呼気中のアルコールを検知するアルコールセンサの検知結果から運転者の飲酒の有無を判定する飲酒判定手段、
エンジンの始動時において、前記飲酒判定手段により飲酒ありと判定され、前記位置判
定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され、且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値に調整し、エンジンの始動を行う制御手段、
として該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−132961(P2008−132961A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156696(P2007−156696)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(592112938)クオリティ株式会社 (121)
【Fターム(参考)】