車両操縦用画像表示装置および方法
【課題】夜間または濃霧などの視界の悪い状況下で、車両前方の路面領域を画像表示することができ、これにより舗装路、未舗装路を区別することなく移動体を操縦することができる車両操縦用画像表示装置および方法を提供する。
【解決手段】車両1に搭載された赤外線カメラ10により車両前方の特定範囲の赤外線画像2を撮影し、車両に搭載された3次元形状測定装置20により前記特定範囲の3次元形状3を計測し、演算処理装置30により3次元形状から車両が通りやすい路面領域4を検出し、赤外線画像2上において路面領域を強調した補正赤外線画像5を形成し、表示装置40により補正赤外線画像5を表示する。
【解決手段】車両1に搭載された赤外線カメラ10により車両前方の特定範囲の赤外線画像2を撮影し、車両に搭載された3次元形状測定装置20により前記特定範囲の3次元形状3を計測し、演算処理装置30により3次元形状から車両が通りやすい路面領域4を検出し、赤外線画像2上において路面領域を強調した補正赤外線画像5を形成し、表示装置40により補正赤外線画像5を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視界の悪い状況下で車両を操縦するための車両操縦用画像表示装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間または濃霧などの視界の悪い状況下において、人間の視覚を補うために、赤外線カメラを車両に搭載し、運転席のモニタやヘッドアップディスプレーに表示することにより、安全性と運転のしやすさを向上させることができる。
このような目的で、赤外線カメラを用いた装置が既に提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
また、本出願に関連する技術が、特許文献4、5及び非特許文献1に開示されている。なお特許文献5は本願の出願時において未公開である。
【0003】
特許文献1は、赤外線センサ、画像化手段、高温領域抽出手段、及び距離計測手段を備え、運転を補助するための赤外線画像を車両の操縦者に提示するものである。なお、この文献では、車両に乗った操縦者による運転を想定しているが、画像を無線などで伝送することにより遠隔操縦を行う場合にも適用可能である。
特許文献2は、可視撮像手段、赤外撮像手段、重畳手段、表示手段、及び領域設定手段を備え、可視画像と赤外画像を取捨選択して重畳して表示するものである。なお、このような画像を無線で伝送することで、一つの画面を見るだけで遠隔操縦が行えるため、遠隔操縦にさらに適した情報提示を行うことができる。
特許文献3は、検出する対象(人)の温度や対象外の温度を想定して、検出対象の温度を強調し、また、対象外の温度を除外することによって、赤外線画像を見やすくするものである。さらに、状況に応じて、強調対象と除外対象を切り替えることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−158900号公報、「障害物検出装置」
【特許文献2】特開2008−230358号公報、「表示装置」
【特許文献3】特開2001−23095号公報、「車両の周囲情報報知装置」
【特許文献4】特開2008−202971号公報、「赤外線カメラ調整装置及び赤外線カメラ調整方法」
【特許文献5】特許2008−077984号、「移動ロボットの走行領域判別装置及び走行領域判別方法」、未公開
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「距離画像センサ」、インターネット<http://denko.panasonic.biz/Ebox/kyorigazou/feature.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
赤外線は光源を必要としないため、どのような暗いところでも暗視でき、かつ波長が長いため煙や霧が濃い環境でも透過して観察できるメリットがある。このメリットを利用して上述した特許文献1〜3は、人間が見えないため操縦しにくい状態を克服しようとしたものである。しかし、これらの従来技術には以下のような弱点がある。
【0007】
図1〜図3は、夜間における可視光(A)と赤外線(B)の画像であり、図1は舗装路、図2は未舗装路、図3は草道(轍:わだち)である。
赤外線画像の明るさは温度の影響が大きく、材質や表面粗さの違いは見えるものと、あまり明確に見ないものがある。このため、夜間のような温度差が出ない状況においては、図1の舗装路のようなコンクリートとアスファルトという赤外線の放射(輻射)率の違いが顕著な材質のみ見分けることができ、図2のような土と草のような材質は、ノイズに埋もれてしまい、道の部分の状態や、その周辺を見分けるのが非常に困難になる。
また、赤外線画像は物質の輻射熱を撮影しており、可視光画像のように光の影を見ることができないため、形状を撮影することができない。このため、周囲の物体の温度差が小さく、さらに同じ物質でできている場合(例えば図3のような草で覆われた道(轍)の赤外線画像)には、形状としては大きく変化しているはずの部分なども見分けがつかなくなる。
このため、特に未舗装路や草道で、赤外線画像を見ながら安全に運転することが難しくなる。
【0008】
また、特許文献3の手段は、どのような特徴を持つ部分(特定の明るさなど)をどのように画質向上すればよいかの画質向上ルールが不可欠である。
しかし、視界の悪い状況下で車両を操縦する場合、赤外線カメラの画像は一般的な屋外環境(舗装路、未舗装路を問わず、夜、天候を問わず)であり、環境変化により路面(および、路面の境界)の見え方(明るさやコントラスト)がさまざまになるため、一定の画質向上ルールを適用することができず、路面とその周囲を見やすくできなかった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、夜間または濃霧などの視界の悪い状況下で、車両前方の路面領域を画像表示することができ、これにより舗装路、未舗装路を区別することなく移動体を操縦することができる車両操縦用画像表示装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、車両に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影する赤外線カメラと、
車両に搭載され前記特定範囲と重なりを持つ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測する3次元形状測定装置と、
前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する演算処理装置と、
前記補正赤外線画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする車両操縦用画像表示装置が提供される。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記演算処理装置は、前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出する路面検出手段と、前記赤外線画像を補正し前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する赤外線画像補正手段とを有する。
【0012】
また、前記赤外線画像補正手段は前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し手段と、路面領域の周辺輝度の輝度変化を大きくする輝度変換を行う画像補正手段を有する。
【0013】
また本発明によれば、車両に搭載された赤外線カメラにより車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影し、
車両に搭載された3次元形状測定装置により前記特定範囲と重なりを持つ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測し、
演算処理装置により前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成し、
表示装置により前記補正赤外線画像を表示する、ことを特徴とする車両用画像表示方法が提供される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記演算処理装置により、
(A) 前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出し、
(B) 前記赤外線画像上の前記路面領域を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求め、
(C) 前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し、路面領域の輝度変化を大きくする輝度変換テーブルを作成し、
(D) 前記赤外線画像全体を前記輝度変換テーブルにより輝度変換して前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する。
【0015】
また、前記輝度変換テーブルは、前記路面領域の輝度を中心に、一定幅で急峻なテーブル勾配を持ち、それ以外の部分でなだらかなテーブル勾配を持つ単調増加テーブルであり、輝度変換前の0%、100%の輝度点は、輝度変換後も0%、100%であり、変換前後で輝度は変化しない、ように設定されている。
【0016】
また、前記補正赤外線画像を、ノイズ除去フィルタを用いて後処理する。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の装置と方法によれば、演算処理装置により、路面領域を強調した補正赤外線画像(路面領域とその周囲に観測される物質、質感、形状の微妙な変化を捉えやすい大きな階調変化に変換した赤外線画像)を形成し、表示装置により前記補正赤外線画像を表示する。これにより、車両を操縦するために重要な情報が操縦者に見やすくなる。
またこのような画像処理により、もともとも赤外線が苦手としていた、温度変化に乏しい環境、似たような材質が大きな形状を形作っている環境においても、操縦しやすい赤外線画像を操縦者に提示することが可能になる。
【0018】
さらに、輝度変換を用い、路面領域と同じ輝度(赤外線放射量が同じ部位)を強調することで、すべての路面と同じ材質の部分も強調できるため、路面として検出できている部分以外で実際は走行可能な領域も同時に強調することが可能となる。これにより、路面検出機能が特に有望な路面しか路面領域を検出できない場合においても走れる場所全面を強調することが可能となり、機能を安定して発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】夜間における舗装路の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図2】夜間における未舗装路の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図3】夜間における草道(轍:わだち)の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図4】本発明による車両操縦用画像表示装置の全体配置図である。
【図5】人が乗車して直接操縦する乗車操縦時の構成図である。
【図6】無人で遠隔操縦する遠隔操縦時の構成図である。
【図7】LRFによるレーザのラインスキャンの模式図である。
【図8】LRFによるレーザの面スキャンの模式図である。
【図9】赤外線画像補正方法の説明図である。
【図10】(A)は、3次元形状3から路面検出手段32により車両が通りやすい路面領域4を検出した画像であり、(B)は、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像2に路面領域4を重ね合わせた画像である。
【図11】車両上の3次元座標系(X、Y、Z)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
【図12】鳥瞰地図上の2次元座標系(X、Y、0)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
【図13】画面全体と路面領域の輝度ヒストグラムを示す図である。
【図14】変換テーブルの例を示す図である。
【図15】本発明の車両操縦用画像表示装置による処理例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図4は、本発明による車両操縦用画像表示装置の全体配置図であり、図5、図6は全体構成図である。なお、図5は人が乗車して直接操縦する乗車操縦時の構成図であり、図6は無人で遠隔操縦する遠隔操縦時の構成図である。
【0022】
図4〜図6に示すように、本発明の車両操縦用画像表示装置は、赤外線カメラ10、3次元形状測定装置20、演算処理装置30、及び表示装置40を備える。
【0023】
車両1は、夜間または濃霧などの視界の悪い状況下で屋外を走行するための車両であり、人が乗車して直接操縦する車両(例えば乗用車やトラック)でも、無人で走行し遠隔操作する移動体(例えば、遠隔操作車両やロボット)でもよい。
【0024】
赤外線カメラ10は、車両1に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像2を撮影する。「車両前方」とは移動時の前方であり、車両後退時の後方を含む。「特定範囲」とは、車両の操縦時に必要となる視界範囲であり、この範囲は前後左右に可変であっても、視界範囲の広さが可変であってもよい。
【0025】
3次元形状測定装置20は、車両1に搭載され車両前方の特定範囲の3次元形状3を計測する。なお、特定範囲は、3次元形状測定装置20による範囲と赤外線カメラ10による範囲とで、一致することが好ましいが、完全に一致せず、必要な範囲で一致すればよい。
演算処理装置30は、3次元形状3から車両1が通りやすい路面領域4を検出し、赤外線画像2上において路面領域4を強調した補正赤外線画像5を形成する。
表示装置40は、補正赤外線画像5を表示する。
【0026】
図5、図6において、矢印はデータの流れ(および、データの内容)を示す。
またそれぞれの構成要素は車両1中に図4のように配置され、図中に示された方向の環境をセンシングし、図5では車両内部で情報提示を行い、図6では遠隔操作用の表示端末に情報提示する。
【0027】
赤外線カメラ10は、物体の温度に応じて放射(輻射)される遠赤外光(波長:8μm〜13μmの光)を撮影するカメラである。赤外線カメラ10は、熱い物体、表面が粗い物体、輻射率(赤外光の放射率)が高い物体が明るく写る特徴がある。
【0028】
3次元形状測定装置20は、レーザレンジファインダ(以下、「LRF」という)、もしくは、距離画像カメラである。距離画像カメラは、光源からの光の往復時間をカメラの画素上で計測する機能を持った遠隔で形状測定する装置であり、例えば非特許文献1に開示されている。
3次元形状測定装置20は、車両1の周囲の、立体形状を計測するための装置であり、車両1の進行方向に15mないし40m程度(最高速度による)まで計測できれば良く、計測範囲は前方に限定しても、全周囲を計測してもかまわない。
【0029】
図7、図8は3次元形状測定装置20がLRFである場合のレーザのスキャンを示す模式図であり、図7はラインスキャン、図8は面スキャンを示している。
LRFの場合、レーザ6をライン状(図7)、もしくは面状(図8)にスキャンし、レーザ6が物体に当たり反射が得られるまでの時間で距離を計測する。
ライン状にスキャンするレーザレンジファインダの場合には、図7に示すように、スキャンを行いながら車両1が前進することで、周囲(車両前方の特定範囲)の立体形状を計測する。
面状にスキャンするレーザレンジファインダの場合には、図8のようにレーザが面をスキャンするため自動的に周囲(車両前方の特定範囲)の立体形状を計測することができる。
【0030】
演算処理装置30は、赤外線カメラ10と3次元形状測定装置20からのセンサ情報(赤外線画像2と3次元形状3)をもとに、以下の2つの処理を実施する。
【0031】
(A)路面検出手段32による路面検出機能
路面検出手段32は、車両1の周囲の3次元形状3を元に、車が通りやすい領域、すなわち、なだらかで、進行方向に連続している領域を路面領域4として検出する。つまり、路面検出手段32は、3次元形状3の起伏の大小を評価して車両1が走行可能な領域と走行不能な領域に区分し、走行可能領域を路面領域4として検出する。
従って、本願において「路面領域」とは、3次元形状3から判断された、車が通りやすい領域、なだらかで進行方向に連続している領域、車両が走行可能な領域を意味し、実際の路面と一致していなくてもよい。
例えば、車両前方の特定範囲の3次元形状3から、その範囲の勾配と表面粗さを求め、車両が走行可能な勾配と表面粗さであり、かつ進行方向に連続している領域を路面領域として検出する。
なお路面検出の具体的な手段は、特許文献5に開示されている。
【0032】
(B)赤外線画像補正手段34による赤外線画像補正機能
赤外線画像補正手段34は、赤外線カメラ10の赤外線画像2を、路面検出手段32で検出した路面情報を元に、路面領域4が強調されて見やすくなるように変換を施す。
赤外線画像補正機能の具体的な動作は後述する。
【0033】
表示装置40は、以下のどちらか又は両方を装備し、操縦者に画像処理の結果を表示する。
(A) 図5のように車両1に人が乗車して運転する場合には、運転席に備え付けた画面、もしくは、運転席のガラス面に投影して半透過型の画像として運転者に周囲の情報を提示する。
(B) 図6のように、遠隔操縦で車両を運転する場合には、演算処理装置30での処理で得られた補正赤外線画像5を無線送信装置42と無線受信装置44を介して無線で、遠隔表示端末46に送信する。遠隔表示端末46では、画像情報を受信し、表示装置40に表示する。
通信は無線LANのようなデジタル方式を用いても、テレビ画像トランスミッタのようなアナログ方式を用いても良い。
【0034】
(赤外線画像補正方法)
図9は、赤外線画像補正方法の説明図である。
この図において、赤外線画像補正手段34による赤外線画像補正は、S1〜S5の5つのステップ(工程)からなり、撮影した赤外線画像の路面部分を見やすくするように変換する。
ただし、S5ステップ(後処理フィルタによる処理)は、必須ではなく省略してもよい。
【0035】
1.表示位置対応付け(S1ステップ)
図10(A)は、3次元形状3から路面検出手段32により車両が通りやすい路面領域4を検出した画像であり、図10(B)は、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像2に路面領域4を重ね合わせた画像である。
LRF20の情報から得られる路面領域4は図10(A)のように、車両1を軸とした3次元、もしくは車両1を真上から見る二次元の位置関係として得られる。図10(B)に示すように、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像上で路面領域4に対応する領域が画像中のどの範囲に相当するかを求める。
【0036】
図11は、車両上の3次元座標系(X、Y、Z)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。また、図12は、鳥瞰地図上の2次元座標系(X、Y、0)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
図11の車体1の向きを軸とした座標系(X:進行方向、Y:左、Z:上)の任意の点(X,Y,Z)、もしくは、図12の鳥瞰地図上の点(X,Y,0)で観測されたデータが赤外線画像上のどの画素(x,y)に相当するかは、数1の式(1)で求められる。
ここでAは、カメラパラメータであり、画像上の光軸中心Cx,Cy、焦点距離fx,fyにより数1の式(2)のように示される。
また、Rは、車体の進行軸座標系とカメラの画像平面座標系(右:x、下:y、手前:z)を変換する行列であり、数1の式(3)より求まる。
【0037】
【数1】
【0038】
式(3)のパラメータRxは、車体とカメラ間のロールズレ角により数2の式(4)となり、パラメータRyは、車体からのカメラの仰角により式(5)となり、パラメータRzは、カメラの車体からのヨー方向ズレによる回転式(6)となる。
【0039】
【数2】
【0040】
また式(1)におけるtは、車体中心からみた赤外線カメラの設置位置であり、車体中心からのカメラ設置のオフセット位置tx,ty,tzより、数3の式(7)と求まる。
【0041】
【数3】
【0042】
必要に応じてひずみ除去を撮影後の前処理として実施する。その際カメラは予めひずみパラメータを求めておき、ひずみ除去を行うことになる。(例えば特許文献4に校正板を利用した方法が提示されている)。
カメラの向きを正確に求める場合にも、特許文献4に示すような、校正板を既知の位置に設置し、カメラと構成板の位置関係を画像処理で求め、カメラの向き・位置を校正板の位置から逆算することでR,tを決定する。
路面領域4は輪郭の線分、もしくは、分布全域をメッシュ(升目)で区切り、区画ごとに路面部分の有無を示す形で与えられている。輪郭の各点、各升目の中央点が画像上でどこに相当するかを上記の対応画素計算式で求め、輪郭形状を変換して形状を得る、もしくは全区画の対応する位置へ有無の情報を投影して分布を得る。
【0043】
2.路面輝度統計処理(S2ステップ)
S2ステップでは、路面領域4内の輝度分布を対象に統計処理を行う。
平均や分散、もしくは最頻値、上位10%の輝度、下位10%の輝度など統計的な輝度値を求める。統統計値は後述する輝度変換パラメータの決定に用いる。
【0044】
3.輝度変換パラメータ計算(S3ステップ)
図13は、画面全体と路面領域4の輝度ヒストグラムを示す図である。
S3ステップでは、以下の特徴をもつ変換式、もしくは変換テーブルを作成する。
図13における路面領域の平均輝度(El)の周囲(幅は路面輝度分散σlに比例)で、輝度が変換前より大きく変化し、それ以外の部分で変換前より小さく変化するような変換式・もしくは変換テーブル。
【0045】
図14は、このような変換テーブルの例を示す図である。
図14において、横軸は入力輝度(変換前の輝度)、縦軸は出力輝度(変換後の輝度)である。
この例では、路面領域の平均輝度(El)が変換後に50%の明るさになり、輝度El?2・σlで明るさが15%、輝度El+2・σlで明るさが85%となるような数4のシグモイド関数(8)を設定している。ここで、a=1/(2・σl)である。
【0046】
【数4】
【0047】
変換テーブルは、上記例に限定されず、例えば、最小の輝度が明るさ0%となり、路面輝度の下位10%が明るさの25%に、路面輝度の上位10%が75%の明るさに、最大の輝度が100%の明るさをとなるように、以上の4点を通るスプライン曲線をテーブルにしたものを用意してもよい。
【0048】
4.輝度変換(S4ステップ)
S4ステップでは、入力画像の全画素を対象とし、個々の画素について、輝度値の変換を実施する。
上述した変換関数、もしくは、変換テーブルに基づいて、入力画像の輝度値をすべて変換して、同じ場所の画素値を置き換え、出力画像を生成する。
【0049】
5.後処理フィルタ(S5ステップ)
本発明で対象とする領域の赤外線画像は、対象の温度差などが小さく輝度の差がでにくいために可視光にくらべSNが悪くなり、大きなノイズが載りやすい傾向がある。このためS5ステップでは、上述したでS1ステップで得られた路面領域4に選択的に細かいノイズ除去を行う。
細かいノイズ除去フィルタとしては、3×3の中央値フィルタ、ないしは、σ=2画素程度のガウシアンフィルタを用いるのがよい。
【0050】
図15は、本発明の車両操縦用画像表示装置による処理例を示すフロー図である。
以下のこの図を参照して本発明の装置の作動を説明する。
(1) LRF計測(T1)でLRFを連続的に動作させ、車両前方の特定範囲(特に前方0〜30m、横幅20m程度)の形状(起伏や障害物)を計測する。
(2) 路面検出(T2)でLRF20の計測結果から路面領域4(路面と推測される領域)を抽出する。T1、T2は対象領域全体を計測、抽出するまで繰り返す。
(3) 路面分布集計(T3)で路面領域4の分布を継続的に蓄積、集計して路面分布地図を作成する。
(4) 赤外線画像撮影(T4)で遠赤外カメラが一定時間毎に車両前方の前記特定範囲の赤外線画像2を撮影する。
(5) 赤外線画像への重ね合わせ(T5)で赤外線カメラ10と同じ視点で、路面の分布がどのように見えるかを計算で求める。
(6) 路面部輝度の統計処理(T6)で立体形状から路面領域4に重なる赤外画像2の輝度を統計処理して、平均や分散を求める
(7) 輝度変換テーブル生成(T7)で路面領域4の輝度変化が明るさの25%〜75%の変化に相当し、最も暗いところで輝度が0%、最も明るい場所の輝度が100%の明るさになるように、スプライン曲線で輝度変換テーブルを作成する。
(8) 輝度変換の実施(T8)で赤外線画像2に輝度変換処理を施し、路面領域4の微妙な変化が強調して表示された画像を生成する。
(9) 後処理フィルタ(T9)で輝度変換済み赤外線画像において路面領域4(立体形状から路面と判定した部分に重なる領域)にのみに3×3の中央値フィルタをかける。
(10) 画像表示(T10)で逐次、無線端末、もしくは車内で、処理結果の画像を操縦者に提示する。
【0051】
上述した本発明では、以下の4つの処理を行う事で、赤外線画像2中に注目したい部分(路面領域4、および、それと同じ赤外線放射となる部分)の輝度変化を大きくし、見やすくしている。
(1) LRF20からの3次元形状情報3を用いて、路面領域4(路面らしき領域)の分布を検出する。
(2) 赤外線画像2中で路面領域4が写る部分を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求める。
(3) 路面領域4の赤外線画像の輝度分布を統計処理し、路面領域4と似たような明るさを持つ所の輝度変化が見分けやすくなるように、注目している明るさ付近の変化を大きくするような明るさ変換テーブルを作成する。
(4) 画像全体に明るさ変換を適用する。
【0052】
上述した本発明の装置と方法によれば、演算処理装置30により、路面領域4を強調した補正赤外線画像5(路面領域とその周囲に観測される物質、質感、形状の微妙な変化を捉えやすい大きな階調変化に変換した赤外線画像)を形成し、表示装置40により補正赤外線画像5を表示する。これにより、車両を操縦するために重要な情報が操縦者に見やすくなる。
またこのような画像処理により、もともとも赤外線が苦手としていた、温度変化に乏しい環境、似たような材質が大きな形状を形作っている環境においても、操縦しやすい赤外線画像を操縦者に提示することが可能になる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両(移動体)、2 赤外線画像、3 3次元形状、
4 路面領域、5 補正赤外線画像、
10 赤外線カメラ、
20 3次元形状測定装置(レーザレンジファインダ)、
30 演算処理装置、32 路面検出手段、
34 赤外線画像補正手段、40 表示装置、
42 無線送信装置、44 無線受信装置、
46 遠隔表示端末
【技術分野】
【0001】
本発明は、視界の悪い状況下で車両を操縦するための車両操縦用画像表示装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間または濃霧などの視界の悪い状況下において、人間の視覚を補うために、赤外線カメラを車両に搭載し、運転席のモニタやヘッドアップディスプレーに表示することにより、安全性と運転のしやすさを向上させることができる。
このような目的で、赤外線カメラを用いた装置が既に提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
また、本出願に関連する技術が、特許文献4、5及び非特許文献1に開示されている。なお特許文献5は本願の出願時において未公開である。
【0003】
特許文献1は、赤外線センサ、画像化手段、高温領域抽出手段、及び距離計測手段を備え、運転を補助するための赤外線画像を車両の操縦者に提示するものである。なお、この文献では、車両に乗った操縦者による運転を想定しているが、画像を無線などで伝送することにより遠隔操縦を行う場合にも適用可能である。
特許文献2は、可視撮像手段、赤外撮像手段、重畳手段、表示手段、及び領域設定手段を備え、可視画像と赤外画像を取捨選択して重畳して表示するものである。なお、このような画像を無線で伝送することで、一つの画面を見るだけで遠隔操縦が行えるため、遠隔操縦にさらに適した情報提示を行うことができる。
特許文献3は、検出する対象(人)の温度や対象外の温度を想定して、検出対象の温度を強調し、また、対象外の温度を除外することによって、赤外線画像を見やすくするものである。さらに、状況に応じて、強調対象と除外対象を切り替えることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−158900号公報、「障害物検出装置」
【特許文献2】特開2008−230358号公報、「表示装置」
【特許文献3】特開2001−23095号公報、「車両の周囲情報報知装置」
【特許文献4】特開2008−202971号公報、「赤外線カメラ調整装置及び赤外線カメラ調整方法」
【特許文献5】特許2008−077984号、「移動ロボットの走行領域判別装置及び走行領域判別方法」、未公開
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「距離画像センサ」、インターネット<http://denko.panasonic.biz/Ebox/kyorigazou/feature.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
赤外線は光源を必要としないため、どのような暗いところでも暗視でき、かつ波長が長いため煙や霧が濃い環境でも透過して観察できるメリットがある。このメリットを利用して上述した特許文献1〜3は、人間が見えないため操縦しにくい状態を克服しようとしたものである。しかし、これらの従来技術には以下のような弱点がある。
【0007】
図1〜図3は、夜間における可視光(A)と赤外線(B)の画像であり、図1は舗装路、図2は未舗装路、図3は草道(轍:わだち)である。
赤外線画像の明るさは温度の影響が大きく、材質や表面粗さの違いは見えるものと、あまり明確に見ないものがある。このため、夜間のような温度差が出ない状況においては、図1の舗装路のようなコンクリートとアスファルトという赤外線の放射(輻射)率の違いが顕著な材質のみ見分けることができ、図2のような土と草のような材質は、ノイズに埋もれてしまい、道の部分の状態や、その周辺を見分けるのが非常に困難になる。
また、赤外線画像は物質の輻射熱を撮影しており、可視光画像のように光の影を見ることができないため、形状を撮影することができない。このため、周囲の物体の温度差が小さく、さらに同じ物質でできている場合(例えば図3のような草で覆われた道(轍)の赤外線画像)には、形状としては大きく変化しているはずの部分なども見分けがつかなくなる。
このため、特に未舗装路や草道で、赤外線画像を見ながら安全に運転することが難しくなる。
【0008】
また、特許文献3の手段は、どのような特徴を持つ部分(特定の明るさなど)をどのように画質向上すればよいかの画質向上ルールが不可欠である。
しかし、視界の悪い状況下で車両を操縦する場合、赤外線カメラの画像は一般的な屋外環境(舗装路、未舗装路を問わず、夜、天候を問わず)であり、環境変化により路面(および、路面の境界)の見え方(明るさやコントラスト)がさまざまになるため、一定の画質向上ルールを適用することができず、路面とその周囲を見やすくできなかった。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、夜間または濃霧などの視界の悪い状況下で、車両前方の路面領域を画像表示することができ、これにより舗装路、未舗装路を区別することなく移動体を操縦することができる車両操縦用画像表示装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、車両に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影する赤外線カメラと、
車両に搭載され前記特定範囲と重なりを持つ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測する3次元形状測定装置と、
前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する演算処理装置と、
前記補正赤外線画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする車両操縦用画像表示装置が提供される。
【0011】
本発明の実施形態によれば、前記演算処理装置は、前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出する路面検出手段と、前記赤外線画像を補正し前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する赤外線画像補正手段とを有する。
【0012】
また、前記赤外線画像補正手段は前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し手段と、路面領域の周辺輝度の輝度変化を大きくする輝度変換を行う画像補正手段を有する。
【0013】
また本発明によれば、車両に搭載された赤外線カメラにより車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影し、
車両に搭載された3次元形状測定装置により前記特定範囲と重なりを持つ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測し、
演算処理装置により前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成し、
表示装置により前記補正赤外線画像を表示する、ことを特徴とする車両用画像表示方法が提供される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記演算処理装置により、
(A) 前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出し、
(B) 前記赤外線画像上の前記路面領域を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求め、
(C) 前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し、路面領域の輝度変化を大きくする輝度変換テーブルを作成し、
(D) 前記赤外線画像全体を前記輝度変換テーブルにより輝度変換して前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する。
【0015】
また、前記輝度変換テーブルは、前記路面領域の輝度を中心に、一定幅で急峻なテーブル勾配を持ち、それ以外の部分でなだらかなテーブル勾配を持つ単調増加テーブルであり、輝度変換前の0%、100%の輝度点は、輝度変換後も0%、100%であり、変換前後で輝度は変化しない、ように設定されている。
【0016】
また、前記補正赤外線画像を、ノイズ除去フィルタを用いて後処理する。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の装置と方法によれば、演算処理装置により、路面領域を強調した補正赤外線画像(路面領域とその周囲に観測される物質、質感、形状の微妙な変化を捉えやすい大きな階調変化に変換した赤外線画像)を形成し、表示装置により前記補正赤外線画像を表示する。これにより、車両を操縦するために重要な情報が操縦者に見やすくなる。
またこのような画像処理により、もともとも赤外線が苦手としていた、温度変化に乏しい環境、似たような材質が大きな形状を形作っている環境においても、操縦しやすい赤外線画像を操縦者に提示することが可能になる。
【0018】
さらに、輝度変換を用い、路面領域と同じ輝度(赤外線放射量が同じ部位)を強調することで、すべての路面と同じ材質の部分も強調できるため、路面として検出できている部分以外で実際は走行可能な領域も同時に強調することが可能となる。これにより、路面検出機能が特に有望な路面しか路面領域を検出できない場合においても走れる場所全面を強調することが可能となり、機能を安定して発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】夜間における舗装路の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図2】夜間における未舗装路の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図3】夜間における草道(轍:わだち)の可視光(A)と赤外線(B)の画像である。
【図4】本発明による車両操縦用画像表示装置の全体配置図である。
【図5】人が乗車して直接操縦する乗車操縦時の構成図である。
【図6】無人で遠隔操縦する遠隔操縦時の構成図である。
【図7】LRFによるレーザのラインスキャンの模式図である。
【図8】LRFによるレーザの面スキャンの模式図である。
【図9】赤外線画像補正方法の説明図である。
【図10】(A)は、3次元形状3から路面検出手段32により車両が通りやすい路面領域4を検出した画像であり、(B)は、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像2に路面領域4を重ね合わせた画像である。
【図11】車両上の3次元座標系(X、Y、Z)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
【図12】鳥瞰地図上の2次元座標系(X、Y、0)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
【図13】画面全体と路面領域の輝度ヒストグラムを示す図である。
【図14】変換テーブルの例を示す図である。
【図15】本発明の車両操縦用画像表示装置による処理例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図4は、本発明による車両操縦用画像表示装置の全体配置図であり、図5、図6は全体構成図である。なお、図5は人が乗車して直接操縦する乗車操縦時の構成図であり、図6は無人で遠隔操縦する遠隔操縦時の構成図である。
【0022】
図4〜図6に示すように、本発明の車両操縦用画像表示装置は、赤外線カメラ10、3次元形状測定装置20、演算処理装置30、及び表示装置40を備える。
【0023】
車両1は、夜間または濃霧などの視界の悪い状況下で屋外を走行するための車両であり、人が乗車して直接操縦する車両(例えば乗用車やトラック)でも、無人で走行し遠隔操作する移動体(例えば、遠隔操作車両やロボット)でもよい。
【0024】
赤外線カメラ10は、車両1に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像2を撮影する。「車両前方」とは移動時の前方であり、車両後退時の後方を含む。「特定範囲」とは、車両の操縦時に必要となる視界範囲であり、この範囲は前後左右に可変であっても、視界範囲の広さが可変であってもよい。
【0025】
3次元形状測定装置20は、車両1に搭載され車両前方の特定範囲の3次元形状3を計測する。なお、特定範囲は、3次元形状測定装置20による範囲と赤外線カメラ10による範囲とで、一致することが好ましいが、完全に一致せず、必要な範囲で一致すればよい。
演算処理装置30は、3次元形状3から車両1が通りやすい路面領域4を検出し、赤外線画像2上において路面領域4を強調した補正赤外線画像5を形成する。
表示装置40は、補正赤外線画像5を表示する。
【0026】
図5、図6において、矢印はデータの流れ(および、データの内容)を示す。
またそれぞれの構成要素は車両1中に図4のように配置され、図中に示された方向の環境をセンシングし、図5では車両内部で情報提示を行い、図6では遠隔操作用の表示端末に情報提示する。
【0027】
赤外線カメラ10は、物体の温度に応じて放射(輻射)される遠赤外光(波長:8μm〜13μmの光)を撮影するカメラである。赤外線カメラ10は、熱い物体、表面が粗い物体、輻射率(赤外光の放射率)が高い物体が明るく写る特徴がある。
【0028】
3次元形状測定装置20は、レーザレンジファインダ(以下、「LRF」という)、もしくは、距離画像カメラである。距離画像カメラは、光源からの光の往復時間をカメラの画素上で計測する機能を持った遠隔で形状測定する装置であり、例えば非特許文献1に開示されている。
3次元形状測定装置20は、車両1の周囲の、立体形状を計測するための装置であり、車両1の進行方向に15mないし40m程度(最高速度による)まで計測できれば良く、計測範囲は前方に限定しても、全周囲を計測してもかまわない。
【0029】
図7、図8は3次元形状測定装置20がLRFである場合のレーザのスキャンを示す模式図であり、図7はラインスキャン、図8は面スキャンを示している。
LRFの場合、レーザ6をライン状(図7)、もしくは面状(図8)にスキャンし、レーザ6が物体に当たり反射が得られるまでの時間で距離を計測する。
ライン状にスキャンするレーザレンジファインダの場合には、図7に示すように、スキャンを行いながら車両1が前進することで、周囲(車両前方の特定範囲)の立体形状を計測する。
面状にスキャンするレーザレンジファインダの場合には、図8のようにレーザが面をスキャンするため自動的に周囲(車両前方の特定範囲)の立体形状を計測することができる。
【0030】
演算処理装置30は、赤外線カメラ10と3次元形状測定装置20からのセンサ情報(赤外線画像2と3次元形状3)をもとに、以下の2つの処理を実施する。
【0031】
(A)路面検出手段32による路面検出機能
路面検出手段32は、車両1の周囲の3次元形状3を元に、車が通りやすい領域、すなわち、なだらかで、進行方向に連続している領域を路面領域4として検出する。つまり、路面検出手段32は、3次元形状3の起伏の大小を評価して車両1が走行可能な領域と走行不能な領域に区分し、走行可能領域を路面領域4として検出する。
従って、本願において「路面領域」とは、3次元形状3から判断された、車が通りやすい領域、なだらかで進行方向に連続している領域、車両が走行可能な領域を意味し、実際の路面と一致していなくてもよい。
例えば、車両前方の特定範囲の3次元形状3から、その範囲の勾配と表面粗さを求め、車両が走行可能な勾配と表面粗さであり、かつ進行方向に連続している領域を路面領域として検出する。
なお路面検出の具体的な手段は、特許文献5に開示されている。
【0032】
(B)赤外線画像補正手段34による赤外線画像補正機能
赤外線画像補正手段34は、赤外線カメラ10の赤外線画像2を、路面検出手段32で検出した路面情報を元に、路面領域4が強調されて見やすくなるように変換を施す。
赤外線画像補正機能の具体的な動作は後述する。
【0033】
表示装置40は、以下のどちらか又は両方を装備し、操縦者に画像処理の結果を表示する。
(A) 図5のように車両1に人が乗車して運転する場合には、運転席に備え付けた画面、もしくは、運転席のガラス面に投影して半透過型の画像として運転者に周囲の情報を提示する。
(B) 図6のように、遠隔操縦で車両を運転する場合には、演算処理装置30での処理で得られた補正赤外線画像5を無線送信装置42と無線受信装置44を介して無線で、遠隔表示端末46に送信する。遠隔表示端末46では、画像情報を受信し、表示装置40に表示する。
通信は無線LANのようなデジタル方式を用いても、テレビ画像トランスミッタのようなアナログ方式を用いても良い。
【0034】
(赤外線画像補正方法)
図9は、赤外線画像補正方法の説明図である。
この図において、赤外線画像補正手段34による赤外線画像補正は、S1〜S5の5つのステップ(工程)からなり、撮影した赤外線画像の路面部分を見やすくするように変換する。
ただし、S5ステップ(後処理フィルタによる処理)は、必須ではなく省略してもよい。
【0035】
1.表示位置対応付け(S1ステップ)
図10(A)は、3次元形状3から路面検出手段32により車両が通りやすい路面領域4を検出した画像であり、図10(B)は、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像2に路面領域4を重ね合わせた画像である。
LRF20の情報から得られる路面領域4は図10(A)のように、車両1を軸とした3次元、もしくは車両1を真上から見る二次元の位置関係として得られる。図10(B)に示すように、赤外線カメラ10で撮影した赤外線画像上で路面領域4に対応する領域が画像中のどの範囲に相当するかを求める。
【0036】
図11は、車両上の3次元座標系(X、Y、Z)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。また、図12は、鳥瞰地図上の2次元座標系(X、Y、0)と赤外線画像上の2次元座標系(x、y)の関係を示す模式図である。
図11の車体1の向きを軸とした座標系(X:進行方向、Y:左、Z:上)の任意の点(X,Y,Z)、もしくは、図12の鳥瞰地図上の点(X,Y,0)で観測されたデータが赤外線画像上のどの画素(x,y)に相当するかは、数1の式(1)で求められる。
ここでAは、カメラパラメータであり、画像上の光軸中心Cx,Cy、焦点距離fx,fyにより数1の式(2)のように示される。
また、Rは、車体の進行軸座標系とカメラの画像平面座標系(右:x、下:y、手前:z)を変換する行列であり、数1の式(3)より求まる。
【0037】
【数1】
【0038】
式(3)のパラメータRxは、車体とカメラ間のロールズレ角により数2の式(4)となり、パラメータRyは、車体からのカメラの仰角により式(5)となり、パラメータRzは、カメラの車体からのヨー方向ズレによる回転式(6)となる。
【0039】
【数2】
【0040】
また式(1)におけるtは、車体中心からみた赤外線カメラの設置位置であり、車体中心からのカメラ設置のオフセット位置tx,ty,tzより、数3の式(7)と求まる。
【0041】
【数3】
【0042】
必要に応じてひずみ除去を撮影後の前処理として実施する。その際カメラは予めひずみパラメータを求めておき、ひずみ除去を行うことになる。(例えば特許文献4に校正板を利用した方法が提示されている)。
カメラの向きを正確に求める場合にも、特許文献4に示すような、校正板を既知の位置に設置し、カメラと構成板の位置関係を画像処理で求め、カメラの向き・位置を校正板の位置から逆算することでR,tを決定する。
路面領域4は輪郭の線分、もしくは、分布全域をメッシュ(升目)で区切り、区画ごとに路面部分の有無を示す形で与えられている。輪郭の各点、各升目の中央点が画像上でどこに相当するかを上記の対応画素計算式で求め、輪郭形状を変換して形状を得る、もしくは全区画の対応する位置へ有無の情報を投影して分布を得る。
【0043】
2.路面輝度統計処理(S2ステップ)
S2ステップでは、路面領域4内の輝度分布を対象に統計処理を行う。
平均や分散、もしくは最頻値、上位10%の輝度、下位10%の輝度など統計的な輝度値を求める。統統計値は後述する輝度変換パラメータの決定に用いる。
【0044】
3.輝度変換パラメータ計算(S3ステップ)
図13は、画面全体と路面領域4の輝度ヒストグラムを示す図である。
S3ステップでは、以下の特徴をもつ変換式、もしくは変換テーブルを作成する。
図13における路面領域の平均輝度(El)の周囲(幅は路面輝度分散σlに比例)で、輝度が変換前より大きく変化し、それ以外の部分で変換前より小さく変化するような変換式・もしくは変換テーブル。
【0045】
図14は、このような変換テーブルの例を示す図である。
図14において、横軸は入力輝度(変換前の輝度)、縦軸は出力輝度(変換後の輝度)である。
この例では、路面領域の平均輝度(El)が変換後に50%の明るさになり、輝度El?2・σlで明るさが15%、輝度El+2・σlで明るさが85%となるような数4のシグモイド関数(8)を設定している。ここで、a=1/(2・σl)である。
【0046】
【数4】
【0047】
変換テーブルは、上記例に限定されず、例えば、最小の輝度が明るさ0%となり、路面輝度の下位10%が明るさの25%に、路面輝度の上位10%が75%の明るさに、最大の輝度が100%の明るさをとなるように、以上の4点を通るスプライン曲線をテーブルにしたものを用意してもよい。
【0048】
4.輝度変換(S4ステップ)
S4ステップでは、入力画像の全画素を対象とし、個々の画素について、輝度値の変換を実施する。
上述した変換関数、もしくは、変換テーブルに基づいて、入力画像の輝度値をすべて変換して、同じ場所の画素値を置き換え、出力画像を生成する。
【0049】
5.後処理フィルタ(S5ステップ)
本発明で対象とする領域の赤外線画像は、対象の温度差などが小さく輝度の差がでにくいために可視光にくらべSNが悪くなり、大きなノイズが載りやすい傾向がある。このためS5ステップでは、上述したでS1ステップで得られた路面領域4に選択的に細かいノイズ除去を行う。
細かいノイズ除去フィルタとしては、3×3の中央値フィルタ、ないしは、σ=2画素程度のガウシアンフィルタを用いるのがよい。
【0050】
図15は、本発明の車両操縦用画像表示装置による処理例を示すフロー図である。
以下のこの図を参照して本発明の装置の作動を説明する。
(1) LRF計測(T1)でLRFを連続的に動作させ、車両前方の特定範囲(特に前方0〜30m、横幅20m程度)の形状(起伏や障害物)を計測する。
(2) 路面検出(T2)でLRF20の計測結果から路面領域4(路面と推測される領域)を抽出する。T1、T2は対象領域全体を計測、抽出するまで繰り返す。
(3) 路面分布集計(T3)で路面領域4の分布を継続的に蓄積、集計して路面分布地図を作成する。
(4) 赤外線画像撮影(T4)で遠赤外カメラが一定時間毎に車両前方の前記特定範囲の赤外線画像2を撮影する。
(5) 赤外線画像への重ね合わせ(T5)で赤外線カメラ10と同じ視点で、路面の分布がどのように見えるかを計算で求める。
(6) 路面部輝度の統計処理(T6)で立体形状から路面領域4に重なる赤外画像2の輝度を統計処理して、平均や分散を求める
(7) 輝度変換テーブル生成(T7)で路面領域4の輝度変化が明るさの25%〜75%の変化に相当し、最も暗いところで輝度が0%、最も明るい場所の輝度が100%の明るさになるように、スプライン曲線で輝度変換テーブルを作成する。
(8) 輝度変換の実施(T8)で赤外線画像2に輝度変換処理を施し、路面領域4の微妙な変化が強調して表示された画像を生成する。
(9) 後処理フィルタ(T9)で輝度変換済み赤外線画像において路面領域4(立体形状から路面と判定した部分に重なる領域)にのみに3×3の中央値フィルタをかける。
(10) 画像表示(T10)で逐次、無線端末、もしくは車内で、処理結果の画像を操縦者に提示する。
【0051】
上述した本発明では、以下の4つの処理を行う事で、赤外線画像2中に注目したい部分(路面領域4、および、それと同じ赤外線放射となる部分)の輝度変化を大きくし、見やすくしている。
(1) LRF20からの3次元形状情報3を用いて、路面領域4(路面らしき領域)の分布を検出する。
(2) 赤外線画像2中で路面領域4が写る部分を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求める。
(3) 路面領域4の赤外線画像の輝度分布を統計処理し、路面領域4と似たような明るさを持つ所の輝度変化が見分けやすくなるように、注目している明るさ付近の変化を大きくするような明るさ変換テーブルを作成する。
(4) 画像全体に明るさ変換を適用する。
【0052】
上述した本発明の装置と方法によれば、演算処理装置30により、路面領域4を強調した補正赤外線画像5(路面領域とその周囲に観測される物質、質感、形状の微妙な変化を捉えやすい大きな階調変化に変換した赤外線画像)を形成し、表示装置40により補正赤外線画像5を表示する。これにより、車両を操縦するために重要な情報が操縦者に見やすくなる。
またこのような画像処理により、もともとも赤外線が苦手としていた、温度変化に乏しい環境、似たような材質が大きな形状を形作っている環境においても、操縦しやすい赤外線画像を操縦者に提示することが可能になる。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 車両(移動体)、2 赤外線画像、3 3次元形状、
4 路面領域、5 補正赤外線画像、
10 赤外線カメラ、
20 3次元形状測定装置(レーザレンジファインダ)、
30 演算処理装置、32 路面検出手段、
34 赤外線画像補正手段、40 表示装置、
42 無線送信装置、44 無線受信装置、
46 遠隔表示端末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影する赤外線カメラと、
車両に搭載され前記特定範囲と重なりをもつ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測する3次元形状測定装置と、
前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する演算処理装置と、
前記補正赤外線画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする車両操縦用画像表示装置。
【請求項2】
前記演算処理装置は、前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出する路面検出手段と、前記赤外線画像を補正し前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する赤外線画像補正手段とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両操縦用画像表示装置。
【請求項3】
前記赤外線画像補正手段は前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し手段と、路面領域の周辺輝度の輝度変化を大きくする輝度変換を行う画像補正手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車両操縦用画像表示装置。
【請求項4】
車両に搭載された赤外線カメラにより車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影し、
車両に搭載された3次元形状測定装置により前記特定範囲と重なりをもつ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測し、
演算処理装置により前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成し、
表示装置により前記補正赤外線画像を表示する、ことを特徴とする車両用画像表示方法。
【請求項5】
前記演算処理装置により、
(A) 前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出し、
(B) 前記赤外線画像上の前記路面領域を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求め、
(C) 前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し、路面領域の輝度変化を大きくする輝度変換テーブルを作成し、
(D) 前記赤外線画像全体を前記輝度変換テーブルにより輝度変換して前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載の車両用画像表示方法。
【請求項6】
前記輝度変換テーブルは、前記路面領域の輝度を中心に、一定幅で急峻なテーブル勾配を持ち、それ以外の部分でなだらかなテーブル勾配を持つ単調増加テーブルであり、輝度変換前の0%、100%の輝度点は、輝度変換後も0%、100%であり、変換前後で輝度は変化しない、ように設定されている、ことを特徴とする請求項5に記載の車両用画像表示方法。
【請求項7】
前記補正赤外線画像を、ノイズ除去フィルタを用いて後処理する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両用画像表示方法。
【請求項1】
車両に搭載され車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影する赤外線カメラと、
車両に搭載され前記特定範囲と重なりをもつ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測する3次元形状測定装置と、
前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する演算処理装置と、
前記補正赤外線画像を表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする車両操縦用画像表示装置。
【請求項2】
前記演算処理装置は、前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出する路面検出手段と、前記赤外線画像を補正し前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する赤外線画像補正手段とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両操縦用画像表示装置。
【請求項3】
前記赤外線画像補正手段は前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し手段と、路面領域の周辺輝度の輝度変化を大きくする輝度変換を行う画像補正手段を有することを特徴とする請求項2に記載の車両操縦用画像表示装置。
【請求項4】
車両に搭載された赤外線カメラにより車両前方の特定範囲の赤外線画像を撮影し、
車両に搭載された3次元形状測定装置により前記特定範囲と重なりをもつ車両前方の特定範囲の3次元形状を計測し、
演算処理装置により前記3次元形状から車両が通りやすい路面領域を検出し、前記赤外線画像上において路面領域を強調した補正赤外線画像を形成し、
表示装置により前記補正赤外線画像を表示する、ことを特徴とする車両用画像表示方法。
【請求項5】
前記演算処理装置により、
(A) 前記3次元形状から車両が通りやすい前記路面領域を検出し、
(B) 前記赤外線画像上の前記路面領域を、3次元形状測定装置と赤外線カメラの設置位置と姿勢から求め、
(C) 前記路面領域の赤外線画像上の輝度分布を統計処理し、路面領域の輝度変化を大きくする輝度変換テーブルを作成し、
(D) 前記赤外線画像全体を前記輝度変換テーブルにより輝度変換して前記路面領域を強調した補正赤外線画像を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載の車両用画像表示方法。
【請求項6】
前記輝度変換テーブルは、前記路面領域の輝度を中心に、一定幅で急峻なテーブル勾配を持ち、それ以外の部分でなだらかなテーブル勾配を持つ単調増加テーブルであり、輝度変換前の0%、100%の輝度点は、輝度変換後も0%、100%であり、変換前後で輝度は変化しない、ように設定されている、ことを特徴とする請求項5に記載の車両用画像表示方法。
【請求項7】
前記補正赤外線画像を、ノイズ除去フィルタを用いて後処理する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両用画像表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−39732(P2011−39732A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185707(P2009−185707)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(500302552)株式会社IHIエアロスペース (298)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(500302552)株式会社IHIエアロスペース (298)
【Fターム(参考)】
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