説明

車両用エンジン

【課題】部品点数を削減することのできる車両用エンジンを提供する。
【解決手段】車両用エンジン10は、カムハウジング12と、カムハウジング12の上部に固定されるカムキャップ14と、カムハウジング12とカムキャップ14との間で回転可能に支持されるカムシャフト16と、カムシャフト16に設けられているカム18によって押圧されるロッカアーム20と、ロッカアーム20に押圧されることで作動するバルブ22とを備えている。車両用エンジン10は、カム18とロッカアーム20との間に潤滑用のオイルを供給するための給油パイプ32を備えている。給油パイプ32は、カムハウジング12に対して一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジングと、前記カムハウジングの上部に固定されるカムキャップと、前記カムハウジングと前記カムキャップとの間で回転可能に支持されるカムシャフトと、前記カムシャフトに設けられているカムによって押圧されるロッカアームと、前記ロッカアームに押圧されることで作動するバルブとを備えた車両用エンジンが知られている。このような車両用エンジンにおいて、カムとロッカアームとの間に潤滑用のオイルを供給するためのシャワーパイプを備えたものが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−106701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両用エンジンにおいて、シャワーパイプは、カムキャップもしくはカムキャップの上方に被せられるヘッドカバーに別体の部品として取り付けられるのが一般的であった。したがって、カムキャップもしくはヘッドカバーとは別体の部品としてシャワーパイプを準備する必要があるために、車両用エンジンの部品点数が増加してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減することのできる車両用エンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジングと、前記カムハウジングの上部に固定されるカムキャップと、前記カムハウジングと前記カムキャップとの間で回転可能に支持されるカムシャフトと、前記カムシャフトに設けられているカムによって押圧されるロッカアームと、前記ロッカアームに押圧されることで作動するバルブとを備えた車両用エンジンであって、前記カムと前記ロッカアームとの間に潤滑用のオイルを供給するための給油パイプを備えており、前記給油パイプが前記カムハウジングに対して一体的に設けられていることを特徴とする車両用エンジンである。
【0007】
本発明によれば、給油パイプがカムハウジングに対して一体的に設けられているために、車両用エンジンの部品点数を削減することが可能である。
【0008】
また、本発明は、シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジングと、前記カムハウジングの上部に固定されるカムキャップと、前記カムハウジングと前記カムキャップとの間で回転可能に支持されるカムシャフトと、前記カムシャフトに設けられているカムによって押圧されるロッカアームと、前記ロッカアームに押圧されることで作動するバルブとを備えた車両用エンジンであって、前記カムと前記ロッカアームとの間に潤滑用のオイルを供給するための給油路を備えており、前記給油路が前記カムハウジングと前記カムキャップとの間に形成されていることを特徴とする車両用エンジンである。
【0009】
本発明によれば、給油路がカムハウジングとカムキャップとの間に形成されているために、車両用エンジンの部品点数を削減することが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数を削減することのできる車両用エンジンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の車両用エンジンの断面図であり、カムハウジングに対してカムキャップを組み付ける前の状態を示している。
【図2】第1実施形態の車両用エンジンの断面図であり、カムハウジングに対してカムキャップを組み付けた後の状態を示している。
【図3】第1実施形態におけるカムハウジング、カムシャフト、及びカムキャップの斜視図である。
【図4】第2実施形態の車両用エンジンの断面図であり、カムハウジングに対してカムキャップを組み付ける前の状態を示している。
【図5】第2実施形態の車両用エンジンの断面図であり、カムハウジングに対してカムキャップを組み付けた後の状態を示している。
【図6】第2実施形態におけるカムハウジング、カムシャフト、及びカムキャップの斜視図である。
【図7】給油路の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、図2に示すように、第1実施形態に係る車両用エンジン10は、シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジング12と、カムハウジング12の上部に固定されるカムキャップ14と、カムハウジング12とカムキャップ14との間で回転可能に支持されるカムシャフト16と、カムシャフト16に設けられているカム18によって押圧されるロッカアーム20と、ロッカアーム20に押圧されることで作動するバルブ22とを備えている。車両用エンジン10は、いわゆるDOHC方式のエンジンであり、吸気用と排気用のバルブ22をそれぞれ作動させるための左右一対のカムシャフト16を備えている。
【0013】
カムハウジング12は、図示しないシリンダヘッドの上部にボルト止めによって固定されている。カムハウジング12の内部には、ロッカアーム20、バルブ22、ラッシュアジャスタ24、及びバルブスプリング26が格納されている。ロッカアーム20の一方の端部は、ラッシュアジャスタ24によって下方から支持されており、ロッカアーム20の他方の端部は、バルブ22のステム部22aに上方から当接している。図示しないクランクシャフトの回転に伴ってカムシャフト16が回転すると、カムシャフト16に設けられているカム18がロッカアーム20のローラ20aを上方から押圧する。これにより、ロッカアーム20はラッシュアジャスタ24の上端部を支点として上下方向に揺動するとともに、バルブスプリング26の弾性力に抗してバルブ22を上下方向に往復作動させるようになっている。つまり、カムハウジング12に格納されているカムシャフト16、カム18、ロッカアーム20、ラッシュアジャスタ24、及びバルブスプリング26によって、バルブ22を作動させるための動弁系が構成されている。
【0014】
カムハウジング12の上部には、カムキャップ14がボルト止めによって固定されている。カムハウジング12及びカムキャップ14は、アルミニウム合金等の金属材料によって形成されている。カムハウジング12及びカムキャップ14は、例えば、ダイキャスト成形によって製造することが可能である。
【0015】
図3に示すように、カムハウジング12は、矩形状の外枠部12aと、その外枠部12aに囲まれた空間を複数に仕切る仕切壁12bを備えている。同様に、カムキャップ14は、矩形状の外枠部14aと、その外枠部14aに囲まれた空間を複数に仕切る仕切壁14bを備えている。仕切壁12b、14bによって仕切られたそれぞれの空間内には、車両用エンジン10に搭載されている各気筒のバルブ22を作動させるための動弁系の構成部品が格納されている。
【0016】
カムシャフト16は、STKM材等の金属材料によって丸棒状に形成されている。カムシャフト16の外周には、複数のカム18が軸方向に並ぶようにして一体的に設けられている。
【0017】
カムシャフト16は、カムハウジング12とカムキャップ14との間で回転可能な状態で支持されている。具体的には、カムシャフト16は、カムハウジング12の上面に形成された断面略半円状の軸受凹部28と、カムキャップ14の下面に形成された断面略半円状の軸受凹部30との間で回転可能に支持されている(図1参照)。
【0018】
カムハウジング12には、カム18とロッカアーム20のローラ20aとの間に潤滑用のオイルを供給するための2本の給油パイプ32が一体的に設けられている。給油パイプ32は、例えば、ダイキャスト成形によってカムハウジング12を製造する際に、当該カムハウジング12に対して一体的に形成することが可能である。2本の給油パイプ32は、それぞれ、2本のカムシャフト16の軸方向とほぼ平行に延びるように形成されている。また、2本の給油パイプ32は、カムハウジング12に設けられた複数の仕切壁12bを厚み方向に貫通するように形成されている。給油パイプ32の軸心には、潤滑用のオイルの流路となる中心孔34がドリル等の工具によって穿設されている。
【0019】
給油パイプ32には、直径が1mmから2mm程度の複数の給油孔36が軸方向に沿って所定の間隔で形成されている。複数の給油孔36は、給油パイプ32の管壁を中心孔34から斜め上方に向かって貫通するように形成されている。
【0020】
オイルポンプによってオイルパンより汲み上げられたオイルは、カムハウジング12の内部に形成されている図示しないオイルギャラリを通って給油パイプ32内に圧送された後に、複数の給油孔36からカム18及びロッカアーム20に向かって噴射される。これにより、カム18とロッカアーム20との間に潤滑用のオイルを供給することが可能となっている。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の車両用エンジン10によれば、給油パイプ32がカムハウジング12に対して一体的に設けられているために、カムハウジング12もしくはカムキャップ14とは別体の部品として給油パイプ32を準備する必要がなくなる。したがって、車両用エンジン10の部品点数を削減することが可能である。
【0022】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
第2実施形態に係る車両用エンジン50は、カムハウジングとカムキャップとの間に給油路が形成されている他は、第1実施形態に係る車両用エンジン10と同様の構成を有している。したがって、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0023】
図4〜図7に示すように、第2実施形態に係る車両用エンジン50は、カムハウジング12とカムキャップ14との間に給油路52が形成されている。具体的には、カムハウジング12の外枠部12aの上面に形成された断面略半円状の溝部54aと、カムキャップ14の外枠部14aの下面に形成された断面略半円状の溝部54bとの間に給油路52が形成されている。溝部54a、54bは、カムハウジング12及びカムキャップ14に対して切削加工などによって形成することが可能である。
【0024】
給油路52には、直径が1mmから2mm程度の複数の給油孔56が軸方向に沿って所定の間隔で形成されている。複数の給油孔56は、給油路52の管壁をカムシャフト16側に向かって横方向に貫通するように形成されている(図7参照)。
【0025】
オイルポンプによってオイルパンより汲み上げられたオイルは、カムハウジング12の内部に形成されている図示しないオイルギャラリを通って給油路52内に圧送された後に、複数の給油孔56からカム18及びロッカアーム20に向かって噴射される。これにより、カム18とロッカアーム20との間に潤滑用のオイルを供給することが可能となっている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の車両用エンジン50によれば、給油路52がカムハウジング12とカムキャップ14との間に形成されているために、カムハウジング12もしくはカムキャップ14とは別体の部品として給油路52を準備する必要がなくなる。したがって、車両用エンジン50の部品点数を削減することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10、50…車両用エンジン
12…カムハウジング
14…カムキャップ
16…カムシャフト
18…カム
20…ロッカアーム
22…バルブ
32…給油パイプ
52…給油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジングと、前記カムハウジングの上部に固定されるカムキャップと、前記カムハウジングと前記カムキャップとの間で回転可能に支持されるカムシャフトと、前記カムシャフトに設けられているカムによって押圧されるロッカアームと、前記ロッカアームに押圧されることで作動するバルブとを備えた車両用エンジンであって、
前記カムと前記ロッカアームとの間に潤滑用のオイルを供給するための給油パイプを備えており、
前記給油パイプが前記カムハウジングに対して一体的に設けられていることを特徴とする車両用エンジン。
【請求項2】
シリンダヘッドの上部に固定されるカムハウジングと、前記カムハウジングの上部に固定されるカムキャップと、前記カムハウジングと前記カムキャップとの間で回転可能に支持されるカムシャフトと、前記カムシャフトに設けられているカムによって押圧されるロッカアームと、前記ロッカアームに押圧されることで作動するバルブとを備えた車両用エンジンであって、
前記カムと前記ロッカアームとの間に潤滑用のオイルを供給するための給油路を備えており、
前記給油路が前記カムハウジングと前記カムキャップとの間に形成されていることを特徴とする車両用エンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−80384(P2011−80384A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231654(P2009−231654)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000185488)株式会社オティックス (305)
【Fターム(参考)】