説明

車両用物体検知装置

【課題】高反射物体と低反射物体とを精度良く識別して歩行者などの低反射物体の検出が遅れることのないようにした車両用物体検知装置を提供する。
【解決手段】電磁波で水平方向をスキャンして反射レベルが検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出すると共に(S10)、レイヤで反射レベルが検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか判定し(S14)、肯定されるとき、他のレイヤの検知方向に低反射波があるか判定し(S16)、肯定されるとき、低反射波に相当する低反射物体を高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する一方(S18)、否定されるとき、検知しきい値を上げると共に、電磁波のスキャン方向を水平方向から垂直方向に変更させ、高反射物体が検出された場所を除く、その近傍を再スキャンさせ、高反射物体とは別の物体と識別する(S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用物体検知装置に関し、より具体的にはデリニエータ(視線誘導標)などの高反射物体の影響によって歩行者などの低反射物体の検出が遅れないようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車進行方向にレーザ光(電磁波)を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信し、受信された反射波のうち検知しきい値を超える反射波に基づいて歩行者や車両など物体を検出することは良く行われており、その例として下記の特許文献1記載の技術を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−115660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デリニエータなどの高反射物体が設置される道路において歩行者などの低反射物体がその付近にいる場合、電磁波の反射波を受信するとき、高反射物体は反射レベルが大きいため、その幅が拡大し、歩行者などがデリニエータと融合して検出が遅れることがある。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、高反射物体と低反射物体とを精度良く識別して歩行者などの低反射物体の検出が遅れることのないようにした車両用物体検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、自車進行方向に電磁波を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段と、前記受信された反射波のうち反射レベル検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段とを備えた車両用物体検知装置において、上下方向に領域を異ならせた複数の検知領域において前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段と、前記複数の検知領域の一つに前記高反射波があると判定されるとき、前記複数の検知領域の前記一つ以外の領域において前記高反射波があると判定された検知方向に低反射波があるか否か判定する低反射波判定手段と、前記低反射波があると判定されるとき、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段とを備える如く構成した。
【0007】
請求項2にあっては、自車進行方向に電磁波を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段と、前記受信された反射波のうち反射レベルが検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段とを備えた車両用物体検知装置において、前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段と、前記高反射波があると判定されるとき、前記検知しきい値を前記高反射物検知しきい値に上げると共に、前記電磁波送受信手段の電磁波のスキャン方向を前記路面に平行な水平方向から前記路面に垂直な垂直方向に変更させ、前記高反射波に相当する高反射物体が検出された場所の除く、その近傍を再スキャンさせ、前記再スキャンによって前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段とを備える如く構成した。
【0008】
請求項3に係る車両用物体検知装置にあっては、前記物体識別手段は、前記再スキャンで受信される反射波を積分することで、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する如く構成した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る車両用物体検知装置にあっては、上下方向に領域を異ならせた複数の検知領域において反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか否か判定し、複数の検知領域の一つに高反射波があると判定されるとき、複数の検知領域のそれ以外の領域において高反射波があると判定された検知方向に低反射波があるか否か判定し、低反射波があると判定されるとき、低反射波に相当する低反射物体を高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する如く構成したので、反射レベルをしきい値を比較することで、デリニエータなどの高反射物体と歩行者などの低反射物体とを精度良く識別することができ、歩行者などの低反射物体の検出が遅れることがない。
【0010】
請求項2に係る車両用物体検知装置にあっては、反射レベルが検知しきい値より高く設定された高反射物しきい値を超える高反射波があるか否か判定し、高反射波があると判定されるとき、検知しきい値を上げると共に、スキャン方向を路面に垂直な垂直方向に変更させ、高反射波に相当する高反射物体が検出された場所を除く、その近傍を再スキャンさせ、再スキャンによって低反射波に相当する低反射物体を高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する如く構成したので、同様に高反射物体と低反射物体とを精度良く識別することができ、歩行者などの低反射物体の検出が遅れることがない。
【0011】
請求項3に係る車両用物体検知装置にあっては、再スキャンで受信される反射波を積分することで、低反射波に相当する低反射物体を高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する如く構成したので、低反射物体を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例に係る車両用物体検知装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示すレーダの水平方向の検知領域(スキャン範囲)を示す車両(自車)の平面図である。
【図3】図1に示すレーダの垂直方向の検知領域(レイヤ)を示す車両の側面図である。
【図4】車両の走行路を室内から撮影した画像とその走行路をレーダでスキャンするときの説明図である。
【図5】図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図6】図5フロー・チャートの処理を説明する説明である。
【図7】図1に示すレーダの水平方向の検知領域を示す、図2と同様な車両(自車)の平面図である。
【図8】図5フロー・チャートの処理を説明する、図6と同様な説明である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に即してこの発明に係る車両用物体検知装置を実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、この発明の実施例に係る車両用物体検知装置を全体的に示す概略図である。
【0015】
図1において、符号10は自車(車両)を示し、その前部には4気筒の内燃機関(図1で「ENG」と示し、以下「エンジン」という)12が搭載される。エンジン12の出力は自動変速機(図1で「T/M」と示す)14に入力される。エンジン12の出力は自動変速機14で適宜変速されて左右の前輪16に伝えられ、左右の前輪16を駆動しつつ、左右の後輪20を従動させて自車10を走行させる。
【0016】
自車10の運転席にはオーディオスピーカとインディケータからなる警報装置22が設けられ、音声と視覚によって運転者に警報する。自車10の運転席床面に配置されたブレーキペダル24は、マスタバック26、マスタシリンダ30およびブレーキ油圧機構32を介して左右の前輪16と後輪20のそれぞれに装着されたブレーキ(ディスクブレーキ)34に接続される。
【0017】
運転者がブレーキペダル24を操作すると(踏み込むと)、その踏み込み力(踏力)はマスタバック26で増力され、マスタシリンダ30は増力された踏み込み力で制動圧を発生し、ブレーキ油圧機構32を介して前輪16と後輪20のそれぞれに装着されたブレーキ34を動作させ、自車10を減速させる(制動する)。ブレーキペダル24の付近にはブレーキスイッチ36が配置され、運転者によってブレーキペダル24が操作されるとき、オン信号を出力する。
【0018】
ブレーキ油圧機構32は、リザーバに接続される油路に介挿された電磁ソレノイドバルブ群、油圧ポンプ、および油圧ポンプを駆動する電動モータ(全て図示せず)などを備える。電磁ソレノイドバルブ群は駆動回路(図示せず)を介してECU(電子制御ユニット)40に接続され、よって4個のブレーキ34は、運転者によるブレーキペダル24の操作とは別に、ECU40によっても相互に独立して作動するように構成される。
【0019】
自車10の前部にはレーダ(レーザスキャンレーダ)42が設けられる。レーダ42は自車10の進行方向の周辺に向けて所定の時間間隔でレーザ光(電磁波)を送信し、周辺に存在する物体にレーザ光を反射させて得た反射波を受信することにより、物体を検知する。
【0020】
レーダ42の出力は、マイクロコンピュータからなるレーダ出力処理ECU(電子制御ユニット)44に送られる。レーダ出力処理ECU44では、検知しきい値(図2、図8)を超える反射波の反射点を2次元平面に投影して得た点群の配列に基づいて物体の輪郭を構成する線分を認識すると共に、認識された線分に基づいて物体の端点を抽出する。また、反射波の入射方向から物体の方位を検知し、物体の二次元情報を得る。
【0021】
またレーダ出力処理ECU44は、レーザ光を発射してから抽出された端点での反射光を受信するまでの時間を測定して物体までの相対距離(相対位置)を算出し、さらに相対距離を微分することで物体との相対速度を求める。
【0022】
図2と図3において、符号42aはレーダ42の水平方向の検知領域(スキャン範囲)を示す。即ち、レーダ42は所定の時間間隔、例えば100msecで図2に示すように自車10の周辺の路面Rと平行な水平方向と、図3に示すように路面Rに直交する垂直方向にレーザ光を送信する。
【0023】
より具体的には、レーダ42は、図2に示すように細いレーザビーム42bを左から右に照射して水平方向の検知領域42aをスキャン(走査)すると共に、検知領域42aを図3に示すように垂直方向に1度ずつ上下させる。図3に示す垂直方向において上下の(換言すれば上下方向に領域を異ならせた)検知領域42aをレイヤといい、上から順にレイヤ1、レイヤ2、レイヤ3という。
【0024】
図4は自車10が走行する走行路を自車10の室内から撮影した画像である。図4において(a)は画像、(b)(c)(d)は(a)に示される走行路をレーダ42でスキャンするときの説明図である。図4(b)においてレイヤ1,2,3の窓のそれぞれがレーザビーム42bに対応する。図示の如く、レーザビーム42bはレイヤごとに図において常に左から右にスキャンされる。
【0025】
図1の説明に戻ると、レーダ出力処理ECU44の出力は、ECU(電子制御ユニット)40に送られる。図示は省略するが、ECU40は、CPU,RAM,ROM、入出力回路などからなるマイクロコンピュータから構成される。
【0026】
前輪16と後輪20の付近には車輪速センサ46がそれぞれ配置され、各車輪の所定回転角度ごとにパルス信号を出力する。自車10の運転席に設けられたステアリングホイール50の付近には操舵角センサ52が配置され、運転者によって入力されたステアリングホイール50の操舵角に比例する出力を生じる。また、自車10の中央位置付近にはヨーレートセンサ54が配置され、自車10の重力軸回りのヨーレート(角速度)に応じた出力を生じる。
【0027】
上記したセンサ群の出力も、ECU40に送出される。ECU40は4個の車輪速センサ46の出力をカウントし、その平均値を算出するなどして自車10の走行速度(車速)を検出する。
【0028】
図5は、図1に示す車両用物体検知装置の動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムはECU40において所定時間、例えば100msecごとに実行される。
【0029】
以下説明すると、S10においてレーダ出力処理ECU44を含む、各センサの検知情報を取り込む。
【0030】
次いでS12に進み、車輪速センサ46から検出された自車10の速度Vとヨーレートセンサ54から検出されたヨーレートなどから、自車10の進路を推定する。
【0031】
次いでS14に進み、レイヤ1,2,3において検知しきい値(図2(a)あるいは図8(a)に示す)を超える反射波のうち反射レベルが検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値(図8(a)に示す)を超える高反射波があるか否か判定する。
【0032】
S14で否定されるときは以降の処理をスキップする。即ち、この場合は、検知しきい値を超える反射波に基づいて歩行者、車両などの物体を検出する。
【0033】
他方、S14で肯定されてレイヤ1,2,3のいずれかで高反射波があると判定されるとき、S16に進み、他のレイヤにおいて判定された検知方向に低反射波があるか否か判定する。
【0034】
図5フロー・チャートの説明を続ける前に、図2などを参照してこの発明の課題を再説する。
【0035】
図2と図3に示すようなデリニエータ(視線誘導標)などの高反射物体100が設置される走行路において、歩行者などの低反射物体102がその付近にいる場合、レーザ光の反射波を受信するとき、高反射物体100は反射レベルが大きいため、その幅が拡大し、図2(c)(d)に示す如く、レイヤ2,3では歩行者などがデリニエータと融合してしまう。
【0036】
尚、図2(a)(および後記する図8(a))は受光角度に対する反射波の反射レベルを示し、図2(c)(d)(および後記する図8(b))は検知角度に対する反射波の検知距離を示す。
【0037】
他方、レイヤ1では分離可能であるが、車両用物体検知装置の場合、短時間に処理する必要があることから、レイヤごとに処理するのは困難であり、通例、中央のレイヤ2の検知情報に基づいて物体を検出する。
【0038】
尚、レイヤ2の検知情報に基づく場合であっても、時刻4,5では高反射物体(デリニエータ)100は検知エリア外になるため、低反射物体102を識別可能となるが、その時刻では検出が遅れる。この発明はそのような不都合を解消することを課題とする。
【0039】
図5フロー・チャートの説明に戻ると、S16で肯定されて低反射波があると判定されるとき、S18に進み、レイヤ1,2,3の検知情報を別々に処理する。
【0040】
即ち、レイヤ2のみではなく、レイヤ1,3の検知情報も別々に処理し、いずれかに、例えば図6に示す如く、レイヤ3においてレイヤ2で高反射波が検知された方向に低反射波に相当する低反射物体のデータが存在する場合、それを分離して出力、即ち、低反射波に相当する低反射物体102を、高反射波に相当する高反射物体100とは別の物体と識別する。
【0041】
他方、S16で否定され、低反射波がないと判定されるときはS20に進み、検知しきい値を高反射物検知しきい値(図8(a))に上げる(換言すればレーザレーダ42の感度を下げる)と共に、スキャン方向を路面に平行な水平方向から路面に垂直な垂直方向に変更させ、前記高反射波に相当する高反射物体が検出された場所を除く、即ち、検出された場所は除外してその近傍を再スキャンさせる。
【0042】
図4を参照して説明すると、同図(a)に示すような高反射物体100の付近に歩行者(低反射物体102)がいる走行路において、通常は同図(b)に示す如く、30msecごとにレイヤ1,2,3をスキャンする。即ち、90msecかけて3つのレイヤをスキャンする。ただし、物体検出はレイヤ2の検知情報に基づいて行うことは前記した通りである。
【0043】
そのとき、レーザレーダ42の反射レベルから高反射物体があることが検知された場合、感度を下げ(検知しきい値を上げ)、同図(c)に示す如く、30msecかけてレイヤ2を水平方向にスキャンする。
【0044】
次いで、残りの60secの間、同図(d)に示す如く、高反射物体の横側(自車10に近い側)をスキャン方向を垂直方向に変更しつつ、レイヤ1,2,3を部分的に上下に3回スキャンする。
【0045】
より具体的には、図8(c)(d)に示す如く、低反射物体(歩行者など)102の反射レベルを積分しつつ、レイヤ1,2,3を部分的に上下に3回スキャンする。このように高反射物体の横側をスキャン密度を上げてスキャンすることで、低反射波に相当する低反射物体102を高反射波に相当する高反射物体100とは別の物体と識別する。
【0046】
上記した如く、この実施例にあっては、自車進行方向に電磁波(レーザ光)を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段(レーザレーダ42、レーダ出力処理ECU44,ECU40,S10)と、前記受信された反射波のうち反射レベル検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段(ECU40,S10)とを備えた車両用物体検知装置において、上下方向に領域を異ならせた複数の検知領域(レイヤ1,2,3)において前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段(ECU40,S14)と、前記複数の検知領域の一つに前記高反射波があると判定されるとき、前記複数の検知領域の前記一つ以外の領域において前記高反射波があると判定された検知方向に低反射波があるか否か判定する低反射波判定手段と(ECU40,S16)、前記低反射波があると判定されるとき、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段(ECU40,S18)とを備える如く構成したので、反射レベルをしきい値と比較することで、デリニエータなどの高反射物体100と歩行者などの低反射物体102とを精度良く識別することができ、歩行者などの低反射物体102の検出が遅れることがない。
【0047】
また、自車進行方向に電磁波(レーザ光)を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段(レーザレーダ42、レーダ出力処理ECU44,ECU40,S10)と、前記受信された反射波のうち反射レベルが検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段(ECU40,S10)とを備えた車両用物体検知装置において、前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段(ECU40,S14)と、前記高反射波があると判定されるとき、前記検知しきい値を前記高反射物検知しきい値に上げると共に、前記電磁波送受信手段の電磁波のスキャン方向を前記路面に平行な水平方向から前記路面に垂直な垂直方向に変更させ、前記高反射波に相当する高反射物体が検出された場所を除く、その近傍を再スキャンさせ、前記再スキャンによって前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段(ECU40,S20)とを備える如く構成したしたので、同様にデリニエータなどの高反射物体100と歩行者などの低反射物体102とを精度良く識別することができ、歩行者などの低反射物体102の検出が遅れることがない。
【0048】
また、前記物体識別手段は、前記再スキャンで受信される反射波、より正確には反射レベルを積分することで、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する(ECU40,S20)如く構成したので、歩行者などの低反射物体102を精度良く検出することができる。
【0049】
尚、上記において、高反射物体100の例としてデリニエータ、低反射物体102の例として歩行者を挙げたが、それらに限られるものではなく、同種のものであればどのようなものでも良い。
【0050】
また、レーザレーダの出力から物体を検知するようにしたが、それに代え、あるいはそれに加え、ミリ波レーダを用いても良い。
【符号の説明】
【0051】
10 自車(車両)、12 エンジン(内燃機関)、16 前輪、20 後輪、22 警報装置、34 ブレーキ、36 ブレーキスイッチ、40 ECU(電子制御ユニット)、42 レーダ、44 レーダ出力処理ECU、100 高反射物体、102 低反射物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車進行方向に電磁波を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段と、前記受信された反射波のうち反射レベルが検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段とを備えた車両用物体検知装置において、上下方向に領域を異ならせた複数の検知領域において前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段と、前記複数の検知領域の一つに前記高反射波があると判定されるとき、前記複数の検知領域の前記一つ以外の領域において前記高反射波があると判定された検知方向に低反射波があるか否か判定する低反射波判定手段と、前記低反射波があると判定されるとき、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段とを備えることを特徴とする車両用物体検知装置。
【請求項2】
自車進行方向に電磁波を送信して路面に平行な水平方向をスキャンし、反射物からの反射波を受信する電磁波送受信手段と、前記受信された反射波のうち反射レベルが検知しきい値を超える反射波に基づいて物体を検出する物体検出手段とを備えた車両用物体検知装置において、前記反射レベルが前記検知しきい値より高く設定された高反射物検知しきい値を超える高反射波があるか否か判定する高反射波判定手段と、前記高反射波があると判定されるとき、前記検知しきい値を上げると共に、前記電磁波送受信手段の電磁波のスキャン方向を前記路面に平行な水平方向から前記路面に垂直な垂直方向に変更させ、前記高反射波に相当する高反射物体が検出された場所を除く、その近傍を再スキャンさせ、前記再スキャンによって前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別する物体識別手段とを備えることを特徴とする車両用物体検知装置。
【請求項3】
前記物体識別手段は、前記再スキャンで受信される反射波を積分することで、前記低反射波に相当する低反射物体を前記高反射波に相当する高反射物体とは別の物体と識別することを特徴とする請求項2記載の車両用物体検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−249668(P2010−249668A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99620(P2009−99620)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】