説明

車両用警報装置

【課題】車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報をより適切なタイミングで出力可能な車両用警報装置を提供すること。
【解決手段】車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する車両用警報装置10において、停止線から交差点までの距離L1を検出する距離検出手段24と、車両が走行する道路の制限速度VLを検出する制限速度検出手段26と、距離検出手段24及び制限速度検出手段26の検出結果に基づいて、警報の出力タイミングTaを変化させる変化手段28と、警報出力後の走行状況を検出する走行状況検出手段32と、走行状況検出手段32の検出結果に応じて、次回以降の警報の出力タイミングTaを調整する調整手段34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する車両用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する車両用警報装置として、停止線までの距離と車速とに基づいて、停止線に関する警報(例えば、一時停止や減速を促す警報)の出力を制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。上記従来の車両用警報装置では、例えば、停止線までの距離と車速との関係が監視され、停止線で停止できる車速であるか否かが判定される。停止線で停止できる車速でないと判定された場合、一時停止を促す警報を出力する。
【特許文献1】特開2004−86363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の車両用警報装置のように、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する発明がこれまでにもなされているが、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報をより適切なタイミングで出力可能な車両用警報装置が望まれていた。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報をより適切なタイミングで出力可能な車両用警報装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、第1の発明は、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する車両用警報装置において、
前記停止線から前記交差点までの距離を検出する距離検出手段と、
前記車両が走行する道路の制限速度を検出する制限速度検出手段と、
前記距離検出手段及び前記制限速度検出手段の検出結果に基づいて、前記警報の出力タイミングを変化させる変化手段と、
前記警報出力後の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
前記走行状況検出手段の検出結果に応じて、次回以降の前記警報の出力タイミングを調整する調整手段と、を備える。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る車両用警報装置であって、
前記変化手段は、更に前記車両が走行する道路の形状を考慮して、前記警報の出力タイミングを変化させる。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る車両用警報装置であって、
前記走行状況検出手段は、警報出力後の車両の停車位置と前記停止線との位置関係を検出する。
【0008】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明に係る車両用警報装置であって、
前記走行状況検出手段は、警報出力後の車両の停車位置と前記停止線との位置関係を検出すると共に、警報出力後から停車までの車両の減速度を検出する。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明に係る車両用警報装置であって、
前記警報の出力は、警報音の出力、音声メッセージの出力、図形画像の出力のうち少なくともいずれか1つである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報をより適切なタイミングで出力可能な車両用警報装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明による車両用警報装置10の一実施例を示すシステム構成図である。図1に示す如く、車両用警報装置10は、ナビゲーション装置用電子制御ユニット20(以下、「ナビゲーションECU20」と称す)を中心に構成されている。ナビゲーションECU20は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMやRAMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0013】
ナビゲーションECU20には、CAN(Controller Area Network)や高速通信バス等の適切なバスを介して、地図データが記録されているハードディスクやDVD等の記録媒体42と、GPS(Global Positioning System)受信機44と、経路案内メッセージや停止線に関する警報等を音声出力するスピーカ46と、自車両周辺の地図画像や停止線に関する警報等を画像表示する液晶ディスプレイ等のディスプレイ48と、車両の速度を検出する車速センサ52及び車両の走行方向を検出するジャイロセンサ54、車両の減速度を検出するGセンサ56等の各種センサとが接続されている。
【0014】
記録媒体42の地図データは、一般的なデータからなるものであってよく、例えば、地図データには、地図上の交差点・高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標(緯度経度)、隣接するノードを接続するリンク、各リンクに対応する道路の幅員、各隣接ノード間の距離および旅行時間、各リンクに対応して記憶された国道・県道・高速道路等の道路種別が含まれている。また、地図データには、一時停止すべき交差点(即ち交差点付近に停止線があり且つ信号の無い交差点(以下、「一時停止交差点」と称す))等の交差点種別、停止線の位置、及び道路の制限速度が含まれている。
【0015】
GPS受信機44は、GPSアンテナを介してGPS衛星が出力する信号を受信する。GPS受信機44は、受信した信号を所定形式の信号に変換してナビゲーションECU20に供給する。ナビゲーションECU20は、GPS受信機44や各種センサ52、54から供給された信号に基づいて、現在の車両位置及び車両方位を演算する。
【0016】
また、ナビゲーションECU20には、停止線に関する情報を取得すべく、画像処理装置14が接続されている。この画像処理装置14には、車両前方の風景を撮像するように搭載され、例えば車室内のルームミラー付近に固定されるCCD(ステレオ)カメラ12が接続されている。
【0017】
画像処理装置14は、CCDカメラ12が撮像した画像データを受信及び処理することにより、停止線及び一時停止交差点の存在を検出すると共に、当該停止線から一時停止交差点までの距離L1、現在の車両位置から一時停止交差点までの距離L2、及び現在の車両位置から停止線までの距離L3(L3=L2−L1)を例えば三角測量の原理を用いて算出する。画像処理装置14は、停止線及び一時停止交差点の存在を検出すると、当該停止線から一時停止交差点までの算出距離L1、現在の車両位置から一時停止交差点までの算出距離L2、及び現在の車両位置から停止線までの算出距離L3をナビゲーションECU20に供給する。
【0018】
ナビゲーションECU20は、以下で詳説するように、一時停止交差点に自車両が接近した際、停止線に関する警報(例えば、一時停止や減速を促す警報)を出力する。
【0019】
図2は、本実施例のナビゲーションECU20の主要機能を示すブロック図である。ナビゲーションECU20は、例えば、図2に示すように、制御手段22と、距離検出手段24と、制限速度検出手段26と、変化手段28と、走行状況検出手段32と、調整手段34とを含む。ナビゲーションECU20は、各種手段22乃至34に対応するプログラムをROMに格納して、これらのプログラムをCPUに実行させて各種手段22乃至34を実現する。
【0020】
以下、各種手段22乃至34について、図3を参照して説明していく。図3は、一時停止交差点と車両との位置関係例を示す平面図であり、(A)は車両停車前の位置関係例を示す平面図であり、(B)は車両停車時の位置関係例を示す平面図である。図3(B)には、車両が停止線を超えて停車するような状況を示している。図3において、L1は停止線から一時停止交差点までの距離であり、L2は現在の車両位置から一時停止交差点までの距離であり、L3は現在の車両位置から停止線までの距離である(L3=L2−L1)。
【0021】
制御手段22は、スピーカ46やディスプレイ48の出力を制御する。ここで、制御手段22により実現される警報出力制御の処理について図4を参照して説明する。図4は、制御手段22により実現される処理の一例を示すフローチャートである。
【0022】
図4のS11では、制御手段22は、現在の車両位置から一時停止交差点までの距離L2(図3参照)を監視しており、距離L2が所定値L2a(例えば、100m)以下であるか否かを判定する。距離L2は、地図データの一時停止交差点の位置情報に基づいて概算により算出される。地図データを用いることによって、CCDカメラ12の撮影範囲が停止線等に到達する前の段階で、一時停止交差点への自車両の接近を検出することができる。
【0023】
尚、地図データの一時停止交差点の位置情報は、ナビゲーション装置の経路設定機能により目的地までの案内経路が設定されている場合には、案内経路上の最も近い一時停止交差点の位置情報であってよく、案内経路が設定されていない場合には、現在の車両位置及び車両方位、並びに地図データ等に基づいて推定される確度の最も高い経路上の最も近い一時停止交差点の位置情報であってよい。
【0024】
上記S11で一時停止交差点までの距離L2が所定値L2a超の場合(S11、NO)、所定時間経過後に、S11に戻り、S11以降の処理を続行する。
【0025】
一方、上記S11で一時停止交差点までの距離L2が所定値L2a以下の場合(S11、YES)、S12に進み、制御手段22は、スピーカ46やディスプレイ48を介して、減速を促す第1の警報(例えば、「この先、一時停止があります」という趣旨の警報)を出力する。第1の警報の出力は、例えば、警報音の出力、音声メッセージの出力、図形画像(例えば、一時停止の標識を模した画像)の出力のうち少なくともいずれか1つである。
【0026】
続くS13では、制御手段22は、現在の車両位置から一時停止交差点までの予想通過時間Tを監視しており、予想通過時間Tが閾値Ta以下であるか否かを判定する。予想通過時間Tは、距離L2、及び現在の車速Vに基づいて決定され、T=L2/Vにより演算される。距離L2には、地図データに基づく算出距離が用いられ、画像処理装置14からの出力信号を受信した段階で、画像処理装置14の画像処理(CCDカメラ12の撮像画像)に基づく算出距離が用いられる。画像処理装置14の画像処理に基づく算出距離は、地図データに基づく算出距離に比して精度が高く、それ故に、続くS14以降の処理が高精度に実現される。
【0027】
上記S13で予想通過時間Tが閾値Ta超の場合(S13、NO)、所定時間経過後に、S13に戻り、S13以降の処理を続行する。
【0028】
一方、上記S13で一時停止交差点までの予想通過時間Tが閾値Ta以下の場合(S13、YES)、S14に進み、制御手段22は、車両が減速されているか(若しくは、ブレーキペダルの踏み込みが検出されたか)否か、又は、アクセルペダルの踏み込みが解除されているか否かを判定する。具体的には、車速センサ52が検出する車速(若しくは、マスタシリンダの圧力スイッチからのオン信号)又はアクセルポジションセンサが検出するアクセルポジション等に基づいて、所定の減速(若しくは、ブレーキ操作)若しくはアクセルオフが検出されるか否かを判定する。
【0029】
上記S14で減速等が検出された場合(S14、YES)、運転者が進行方向にある一時停止交差点の存在を認識しているとして、そのまま、今回の処理は終了する。
【0030】
一方、上記S14で減速等が検出されない場合、S15に進み、制御手段22は、スピーカ46やディスプレイ48を介して、一時停止を促す第2の警報(例えば、「ブレーキ操作をしてください」という趣旨の警報)を出力する。第2の警報の出力は、例えば、警報音の出力、音声メッセージの出力、図形画像(例えば、「ブレーキ!」の文字を含む画像)の出力のうち少なくともいずれか1つである。
【0031】
距離検出手段24は、車両の進行方向にある停止線から一時停止交差点までの距離L1(図3参照)を検出する。距離L1は、例えば、地図データの停止線位置情報や一時停止交差点位置情報に基づいて検出されてもよいし、画像処理装置14の画像処理に基づいて検出されてもよい。このようにして検出された距離L1は、後述の如く、出力タイミングTaを変化させる際に用いられる。
【0032】
制限速度検出手段26は、車両が走行する道路の制限速度VLを検出する。制限速度VLは、例えば、地図データの道路制限速度情報に基づいて検出される。このようにして検出された制限速度VLは、後述の如く、警報出力タイミングTaを変化させる際に用いられる。
【0033】
変化手段28は、距離検出手段24及び制限速度検出手段26の検出結果に基づいて、第2の警報(停止線に関する警報)の出力タイミングTa(以下、「警報出力タイミングTa」と称す)を変化させる。具体的には、変化手段28は、ナビゲーションECU20のRAMに予め格納されたテーブルを用いて警報出力タイミングTaを変化させる。
【0034】
図5は、本実施例の変化手段28が警報出力タイミングTaを変化させる際に使用するテーブルである。このデーブルでは、警報出力タイミングTaは、停止線から一時停止交差点までの距離L1と、道路の制限速度VLとに基づいて変化する。尚、警報出力タイミングTaは、図5に示す例では2mの距離L1毎に変化するが、0.1mの距離L1毎に変化してもよい。
【0035】
警報出力タイミングTaは、車速が高速になるほど制動時間が長くなるため、道路の制限速度VLが高速になるほど第2の警報が早い段階で出力されるように変化する。図5に示す例では、距離L1が0mの場合、制限速度VLが10km/hから100km/hに高速になると、警報出力タイミングTaが3.0sから20.0sに増加する。
【0036】
また、警報出力タイミングTaは、停止線から一時停止交差点までの距離L1が長くなるほど、つまり、停止線の位置が一時停止交差点の手前になるほど、第2の警報が早い段階で出力されるように変化する。図5に示す例では、制限速度が10km/hの場合、距離L1が0mから10mになると、警報出力タイミングTaが3.0sから8.0sに増加する。
【0037】
制御手段22は、第2の警報を出力する際に、変化手段28によって変化させた警報出力タイミングTaに基づいて第2の警報を出力する。
【0038】
本実施例によれば、上述の如く、第2の警報を出力するタイミングTaが制限速度VLや停止線から一時停止交差点までの距離L1に応じて変化するので、一時停止交差点手前の道路環境に適したタイミングで第2の警報(停止線に関する警報)を出力することができる。
【0039】
また、変化手段28は、更に車両が走行する道路の形状を考慮して、第2の警報の出力タイミングTaを変化させてもよい。この場合、変化手段28が使用するテーブルは、道路形状に応じて複数用意され(図5に示すテーブルもその一例)、一時停止交差点手前の道路形状に応じて適宜切り替えられる。例えば、変化手段28が使用するテーブルは、直線用及びカーブ用の2種類用意され、カーブ用のテーブルは、直線用のテーブルに比して、第2の警報が早い段階で出力されるように、警報出力タイミングTaが設定されている。
【0040】
本実施例によれば、上述の如く、第2の警報を出力するタイミングTaが一時停止交差点手前の道路形状に応じて変化するので、一時停止交差点手前の道路環境に適したタイミングで第2の警報(停止線に関する警報)を出力することができる。これにより、一時停止交差点手前の道路形状がカーブ形状である場合のように、停止線や一時停止交差点の視認が困難な場合に、運転者の注意を早い段階で喚起することができる。
【0041】
走行状況検出手段32は、第2の警報出力後の車両の走行状況を検出する。
【0042】
例えば、走行状況検出手段32は、第2の警報出力後の車両の停車位置と停止線との位置関係、即ち、第2の警報出力後の車両の停車位置から停止線までの距離D(図3(B)参照)を検出する。尚、距離Dは、停車位置が停止線を超える方向を正とし、停車位置が停止線の手前になる方向を負として定義される。
【0043】
距離Dは、例えば、GPS受信機44や各種センサ52、54の出力信号に基づいて演算される停車時の車両位置と、地図データの停止線の位置情報とに基づいて算出される。
【0044】
また、距離Dは、画像処理装置14の出力信号受信時の停止線までの距離L3(図3(A)参照)と、出力信号受信時から停車までの車両の移動距離L4(図3(B)参照)とに基づいて算出されてもよく、この場合、D=L4−L3により算出される。車両の移動距離L4は、出力信号受信時から停車まで車速Vを時間積分して算出される。例えば、移動距離L4は、出力信号受信時から停車までの間に所定時間毎に検出される車速V、V、・・・、Vに当該所定時間を乗算し、これらの乗算値を総和して算出される。
【0045】
また、走行状況検出手段32は、第2の警報出力後の車両の停車位置と停止線との位置関係を検出すると共に、第2の警報出力後から停車までの車両の減速度を検出してもよい。第2の警報出力後から停車までの車両の減速度G(G≧0)は、Gセンサ56からの出力信号に基づいて検出される。
【0046】
このようにして検出された距離D、及び減速度Gは、後述の如く、次回以降の警報出力タイミングTaを調整する際の判断材料として利用される。
【0047】
調整手段34は、走行状況検出手段32の検出結果に応じて、次回以降の第2の警報の出力タイミングTaを調整する。この調整は、例えば、変化手段28が今回使用したテーブルを書き換えることによって行われる。この際、調整手段34は、変化手段28が今回使用したテーブルのうち、制御手段22が今回使用した警報出力タイミングTaを後述の調整量ΔTaを加算した値(Ta+ΔTa)に書き換え、一方、その他の警報出力タイミングTaを書き換えない。
【0048】
ここで、調整手段34により実現される調整処理について図6を参照して説明する。図6は、調整手段34により実現される処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図6のS21では、調整手段34は、第2の警報出力後の車両の停車位置と停止線との距離Dが所定値Da以下であるか否かを判定する。尚、所定値Daは、停止線から一時停止交差点までの距離L1に基づいて決定され、例えば、Da=L1+Wにより演算される(Wは、一時停止交差点における道路の幅員である)。
【0050】
上記S21で距離Dが所定値Da超の場合(S21、NO)、車両が一時停止交差点で停車せずに通過してしまったとして、警報出力タイミングTaを調整せずに、今回の処理は終了する。
【0051】
一方、上記S21で距離Dが所定値Da以下の場合(S21、YES)、S22に進み、調整手段34は、距離Dが0以下か否かを判定する。
【0052】
上記S22で距離Dが0超の場合(S22、NO)、停車位置が停止線を超えているので、S23に進み、調整手段34は、次回以降の第2の警報が今回の第2の警報より早い段階で出力されるように警報出力タイミングTaを調整する。警報出力タイミングTaの調整量ΔTaは、距離Dに基づいて決定され、例えばΔTa=D/VAにより演算される(VAは警報出力時の車速Vである)。また、調整量ΔTaは、今回の演算値(D/VA)に過去の演算値(D/VA)を加味して決定されてもよい。
【0053】
一方、上記S22で距離Dが0以下の場合(S22、YES)、停車位置が停止線を超えていないので、S24に進み、調整手段34は、警報出力後から停車までの車両の減速度Gが所定値Ga以下であったか否かを判定する。
【0054】
上記S24で減速度Gが所定値Ga以下の場合(S24、YES)、車両が緩やかに停車されたとして、警報出力タイミングTaを調整せずに、今回の処理は、終了する。
【0055】
一方、上記S24で減速度Gが所定値Ga超の場合(S24、NO)、車両が急停車されたとして、S23に進み、調整手段34は、次回以降の第2の警報が今回の第2の警報より早い段階で出力されるように警報出力タイミングTaを調整する。警報出力タイミングTaの調整量ΔTaは、例えば、車両の減速度Gと所定値Gaとの差分ΔG(=G−Ga>0)の推移に基づいて決定され、車両が所定値Ga以下の減速度で停止線の手前に緩やかに停車することができるように決定される。
【0056】
制御手段22は、次回以降、第2の警報を出力する際に、調整手段34によって調整済みの警報出力タイミングTaに基づいて警報を出力する。
【0057】
本実施例によれば、上述の如く、第2の警報(停止線に関する警報)を出力するタイミングTaが警報出力後の走行状況に基づいて調整されるので、運転者の運転技能や性格等、運転者の個人差を考慮して警報出力タイミングTaを調整することができる。これにより、次回以降、各運転者に適したタイミングで第2の警報を出力することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0059】
例えば、上述した実施例では、停止線のある一時停止交差点について言及されているが、本発明は、特にこれに限定されることはなく、停止線のある踏み切り地点にも適用可能である。また、上述した実施例では、本発明の車両用警報装置10は、ナビゲーションECU20により具現化されているが、ナビゲーションECU20に接続される他の電子制御ユニット(ECU)により具現化されてもよい。
【0060】
また、上述の図6に示した処理において、警報出力タイミングTaは、次回以降の第2の警報が今回の第2の警報より早い段階で出力されるように調整されるが、遅い段階で出力されるように調整されてもよい。例えば、警報出力タイミングTaの調整量ΔTaは、距離Dが0以下の場合、距離Dが0超の場合と同様に、距離Dに基づいて決定され、例えばΔTa=D/VAにより演算されてもよい。これにより、運転者に煩わしさを感じさせることのないように、第2の警報を出力することができる。
【0061】
また、上述の図6に示した処理において、警報出力タイミングTaの調整量ΔTaは、距離Dが0超の場合、減速度Gに関係なく決定されるが、減速度Gに基づいて決定されてもよい。例えば、警報出力タイミングTaの調整量ΔTaは、距離Dが0超の場合、距離Dが0以下の場合と同様に、車両の減速度Gと所定値Gaとの差分ΔG(=G−Ga)の推移に基づいて決定され、車両が所定値Ga以下の減速度で停止線の手前に緩やかに停車することができるように決定されてよい。
【0062】
また、上述の実施例では、調整手段34は、変化手段28が今回使用したテーブルを書き換える際、制御手段22が今回使用した警報出力タイミングTaを、調整量ΔTaを加算した値(Ta+ΔTa)に書き換え、一方、その他の警報出力タイミングTaを書き換えないが、その他の警報出力タイミングTaを書き換えてもよい。また、調整手段34は、変化手段28が今回使用したテーブルを書き換えると共に、変化手段28が今回使用しなかったテーブルを書き換えてもよい。これにより、迅速に各運転者に適したタイミングで第2の警報を出力することができる。
【0063】
また、上記第1及び第2の警報に代わり又はそれらのいずれかに加えて、車両に搭載されたオーディオ装置の音量を下げることも有効である。特に、警報とともに実行される場合には警報の注意喚起度を実質的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明による車両用警報装置10の一実施例を示すシステム構成図である。
【図2】本実施例のナビゲーションECU20の主要機能を示すブロック図である。
【図3】一時停止交差点と車両との位置関係例を示す平面図である。
【図4】制御手段22により実現される処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施例の変化手段28が警報出力タイミングTaを変化させる際に使用するテーブルである。
【図6】調整手段34により実現される処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
10 車両用警報装置
12 CCDカメラ
14 画像処理装置
20 ナビゲーションECU
22 制御手段
24 距離検出手段
26 制限速度検出手段
28 変化手段
32 走行状況検出手段
34 調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両進行方向にある交差点付近の停止線に関する警報を出力する車両用警報装置において、
前記停止線から前記交差点までの距離を検出する距離検出手段と、
前記車両が走行する道路の制限速度を検出する制限速度検出手段と、
前記距離検出手段及び前記制限速度検出手段の検出結果に基づいて、前記警報の出力タイミングを変化させる変化手段と、
前記警報出力後の走行状況を検出する走行状況検出手段と、
前記走行状況検出手段の検出結果に応じて、次回以降の前記警報の出力タイミングを調整する調整手段と、を備える車両用警報装置。
【請求項2】
前記変化手段は、更に前記車両が走行する道路の形状を考慮して、前記警報の出力タイミングを変化させる請求項1記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記走行状況検出手段は、警報出力後の車両の停車位置と前記停止線との位置関係を検出する請求項1又は2記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記走行状況検出手段は、警報出力後の車両の停車位置と前記停止線との位置関係を検出すると共に、警報出力後から停車までの車両の減速度を検出する請求項1〜3いずれか一項記載の車両用警報装置。
【請求項5】
前記警報の出力は、警報音の出力、音声メッセージの出力、図形画像の出力のうち少なくともいずれか1つである請求項1〜4いずれか一項記載の車両用警報装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−15254(P2010−15254A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172613(P2008−172613)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】