説明

車両用駆動ユニットの防振支持構造

【課題】車両衝突時に駆動ユニットの衝突入力方向への離脱を可能とする。
【解決手段】車両衝突時にマウント部材13に衝突荷重が作用すると、車体側ブラケット11の第2ブラケット16が離脱手段20によって第1ブラケット15に対して衝突入力方向に離脱し、駆動ユニット2が衝突入力方向に移動して車体の潰れ変形ストロークを拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のディファレンシャルギヤユニットやエンジン等の車両用駆動ユニットの防振支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用駆動ユニットの防振支持構造の中には、例えば車体側ブラケットに対してマウント部材を介して連結されたエンジン側ブラケットの前後縁部に切欠部を設けて、車両前面衝突時に前記防振支持部分に所要の衝突荷重が作用した場合に、前記エンジン側ブラケットが切欠部分から破断して、エンジンが脱落得るようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−231018号公報(第6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エンジン側ブラケットを切欠部の形成部分で破断させてエンジンを脱落させる構造であるため、エンジンの揺動や駆動系からの反力、更には車両走行時の上下Gによるエンジンの上下動等に耐え、かつ、車両衝突時には確実に前記切欠部分で破断させるためには、前記切欠部の設計が困難となってしまう。
【0004】
そこで、本発明は簡単な構造により、駆動ユニットの防振支持を確実に行えることは勿論、車両衝突時には駆動ユニットを衝突荷重の入力方向に容易に離脱させることができる車両用駆動ユニットの防振支持構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用駆動ユニットの防振支持構造にあっては、駆動ユニットに設けたユニット側ブラケットと、
車体側部材に設けた車体側ブラケットと、をマウント部材の支軸を介して連結した構造において、
前記ユニット側ブラケットと前記車体側ブラケットとは、駆動源による駆動力に対しては互いの連結を保持する一方、車両衝突による衝突荷重の入力発生時のみに離脱可能でることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の車両用駆動ユニットの防振支持構造によれば、駆動源による駆動力に対しては、ユニット側ブラケットと車体側ブラケットとは離脱せず、車両衝突時に駆動ユニットに衝突荷重が作用した場合のみに、ユニット側ブラケットと車体側ブラケットとが離脱する。
【0007】
この結果、車両衝突時に、衝突入力方向のみによって2つのブラケットを離脱可能とするものであるため、常態にあっては駆動ユニットのマウント部材による防振支持効果を些かも損なうことなく、
従来のユニット側ブラケットを切欠部で破断させるものよりも、設計を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の車両用駆動ユニットの防振支持構造の実施形態を図面と共に詳述する。
【0009】
図1〜図3は本発明にかかわる車両用駆動ユニットの防振支持構造の第1実施形態を示し、図1は本発明を適用した車両の駆動ユニットと車台フレームとの関係を示す斜視図、図2は図1のA範囲部の拡大斜視図、図3は車体側ブラケットとユニット側ブラケットとの関係を示す分解斜視図、第4は車体側ブラケットの配設状態を示す斜視図、図5は図2のB−B線に沿う断面図である。
【0010】
本実施形態の防振支持構造は4輪駆動タイプの車両の駆動系に適用され、図1に示すように車台フレーム1には、前輪F・Wの駆動用のフロントディファレンシャルギヤユニット2と、図外の後輪の駆動用のリヤディファレンシャルギヤユニット3と、それらの中間部にプロペラシャフト5,6を介して連結したトランスファユニット4と、が搭載され、本実施形態では前記フロントディファレンシャルギヤユニット2の防振支持に適用される。
【0011】
車台フレーム1のフロント部には、第1クロスメンバ1Aと第2クロスメンバ1Bとが前後方向に所要の間隔をおいて設けられ、これら第1,第2クロスメンバ1A,1B間に、駆動ユニットとしての前記フロントディファレンシャルギヤユニット(以下、ディファレンシャルギヤユニットと称する)2が搭載される。
【0012】
ディファレンシャルギヤユニット2の後端部には一側に張り出してユニット側ブラケット12が設けられている一方、車体側部材である前記第2クロスメンバ1Bには、前記ユニット側ブラケット12に対応する部位に車体側ブラケット11が設けられていて、これらユニット側ブラケット12と車体側ブラケット11とを、マウント部材13を介して連結することにより、前記ディファレンシャルギヤユニット2の後端部が第2クロスメンバ1Bに弾性的に防振支持される(図2〜図5参照)。
【0013】
マウント部材13として、金属製の内筒13aと、外筒(本実施形態ではユニット側ブラケット12の端部で形成される)13bと、これら内,外筒13a,13b間に圧入したゴム等の弾性材13cと、からなる防振ブッシュが用いられる。
【0014】
そして、このマウント部材13は、前記内筒13aに挿通した支軸としてのボルト14を、車両前面衝突時にディファレンシャルギヤユニット2に作用する前後方向の入力方向と略平行にして、該ボルト14を介して前記車体側ブラケット11に連結されている。
【0015】
前記車体側ブラケット11は、前記第2クロスメンバ1Bに接合固定した第1ブラケット15と、前記マウント部材13のボルト14を介してユニット側ブラケット12を軸支した第2ブラケット16と、で構成してある。
【0016】
そして、これら第1ブラケット15と第2ブラケット16とを、車両前面衝突時に前記マウント部材13に作用する所要の衝突入力Fによって、前記第2ブラケット16を第1ブラケット15に対してこの衝突入力F方向に離脱可能な離脱手段20を介して結合してある。
【0017】
具体的には、前記車体側ブラケット11は、図3〜図5に示すように前壁11aと、後壁11bと、これら前壁11aと後壁11bとを連設する上壁11cと、で全体として略コ字形、即ち、側面門型に形成してあり、第2ブラケット16における前壁11aと後壁11bとに形成したボルト挿通孔11dに前記マウント部材13のボルト14を挿通して、該マウント部材13を第2ブラケット16におけるこれら前,後壁11a,11bで支持するようにしてある。
【0018】
第2ブラケット16における前壁11aの側面には、前記ボルト挿通孔11dと同心的にウェルドナット14aを設けてあり、前記ボルト14をこのウェルドナット14aに締結することによって、マウント部材13を第2ブラケット16に連結している。
【0019】
第1ブラケット15は、第2クロスメンバ1Bの前,後壁にボルト・ナットにより固定されて前記前,後壁11a,11bを構成する前後2枚のプレートで構成している。
【0020】
そして、こられ第1ブラケット15と第2ブラケット16とを、固定ボルト18,18に対して離脱可能なスリット15b′,16a′を設けたフランジ部15a,15bと、16a,16bとを重合して、これらスリット15b′16a′を通して前記固定ボルト18とナット19とにより締結することにより、前記離脱手段20を構成してある。
【0021】
前記各スリット15b′16a′は、その形成方向をディファレンシャルギヤユニット2が駆動力によって車軸7を中心に回転する方向に対して略垂直に、かつ、前記衝突入力F方向と略平行な方向としてある。
【0022】
即ち、前記第1ブラケット15のフランジ部15a,15bは、該第1ブラケット15の前,後縁に略水平に曲折成形してある一方、第2ブラケット16のフランジ部16a,16bは、該第2ブラケット16の前,後縁に略水平に曲折成形してあり、これらフランジ部15a,15bと、16a,16bとを上下方向に重合して、車幅方向両側部で固定ボルト18とナット19とにより締結することにより、これら第1ブラケット15と第2ブラケット16とを連結している。
【0023】
ここで、前記第1ブラケット15の前側フランジ部15aのボルト挿通孔15a′は円孔として形成してある一方、後側フランジ部15bのボルト挿通孔15b′は後縁に至るスリットとして形成してある。
【0024】
また、第2ブラケット16の前側フランジ部16aのボルト挿通孔16a′は前縁に至るスリットとして形成してある一方、後側フランジ部16bのボルト挿通孔16b′は円孔として形成してある。
【0025】
これにより、スリット15b′16a′の方向が、ディファレンシャルギヤユニット2が駆動力によって車軸7を中心に回転する方向に対して略垂直に、かつ、車両衝突入力F方向と略平行な方向とされ、しかも、マウント部材13に前方より所要の衝突入力Fが作用すると、前側の固定ボルト18に対して第2ブラケット16側のスリット16a′が後方へ擦り抜け、第1ブラケット15側のスリット15b′に対して後側の固定ボルト18が後方へ擦り抜けて、第2ブラケット16を第1ブラケット15に対して衝突入力F方向に離脱可能とする前記離脱手段20が構成される。
【0026】
また、前記第1ブラケット15および第2ブラケット16の前記衝突入力F方向に対して後側に位置するフランジ部相互、つまり、後側フランジ部15b,16b相互の突き合わせ位置を、図5に示すようにマウント部材13の下縁位置よりも低い高さ位置に設定してある一方、前記衝突入力F方向に対して前側に位置するフランジ部15a,16a相互の突き合わせ位置を、第2ブラケット16におけるマウント部材13のボルト14の支持点に近接した高さ位置に設定してある。
【0027】
前記ディファレンシャルギヤユニット2の後端部は前述のようにして車台フレーム1の第2クロスメンバ1Bに防振支持される一方、該ディファレンシャルギヤユニット2の前端部も第1クロスメンバ1Aに図外のマウント部材によって防振支持されるが、このディファレンシャルギヤユニット2の前端部は、該前側のマウント部材に対して後方へ離脱可能とされる。
【0028】
以上の構成により本実施形態の駆動ユニットの防振支持構造によれば、車両の前面衝突時にディファレンシャルギヤユニット2に後退方向に衝突荷重が作用し、この衝突荷重がユニット側ブラケット12を介してマウント部材13と車体側ブラケット11の第2ブラケット16に作用すると、離脱手段20により図5の鎖線に示すように第2ブラケット16が第1ブラケット15に対して衝突入力F方向に、つまり、車両後方に離脱してディファレンシャルギヤユニット2を車両後方へ移動させる。
【0029】
この結果、ディファレンシャルギヤユニット2が車体前部の潰れ残りとなって存在することがなく、車体前部の潰れ変形ストロークを拡大できるため、エネルギー吸収効果を高めることができる。
【0030】
この離脱手段20は車両前面衝突時に衝突入力F方向にのみ第2ブラケット16を第1ブラケット15に対して離脱可能とするものであるため、常態にあってはディファレンシャルギヤユニット2のマウント部材13による防振支持効果を些かも損なうことはない。
【0031】
しかも、このように衝突入力Fにより第2ブラケット16を第1ブラケット15に対して衝突入力F方向に離脱させる構造であるため、前記従来のユニット側ブラケットを切欠部で破断させるものと異なり、設計を容易に行うことができる。
【0032】
ここで、本実施形態では前記第1ブラケット15と第2ブラケット16とを、固定ボルト18に対して離脱可能なスリット15b′16a′を設けたフランジ部15a,15b、および16a,16bを重合して、これらスリット15b′16a′を通して固定ボルト18により締結することにより離脱手段20を構成し、そして、これらスリット15b′16a′の形成方向を、ディファレンシャルギヤユニット2が駆動力によって車軸7を中心に回転する方向に対して略垂直、かつ、車両衝突時の入力方向と略平行な方向となる、車両前後方向に略水平に形成してあるので、簡単な構造により常態にあってはディファレンシャルギヤユニット2の揺動や車両走行時の上下Gによるエンジンの上下動等に十分に耐える剛体連結構造で、かつ、前面衝突時にはディファレンシャルギヤユニット2を衝突入力でその作用線方向に容易に離脱させ得る構造とすることができる。
【0033】
また、前記第1ブラケット15と第2ブラケット16の衝突入力F方向に対して後側に位置する後側ブラケット15b,16b相互の突き合わせ位置を、マウント部材13の下縁位置よりも低い高さ位置に設定し更には、外筒73bの下縁を後側ブラケット16bと略同じ高さ位置に設定してあるため、前述の第2ブラケット16が第1ブラケット15に対して車両後方へ離脱する際に、マウント部材13が第1ブラケット15に引掛かることがなく、外筒13bの下縁が後側ブラケット16bの離脱方向へ真すぐに力を伝達するため、該第2ブラケット16の離脱をスムーズに行わせることができる。
【0034】
更に、第1ブラケット15と第2ブラケット16の衝突入力F方向に対して前側に位置する前側ブラケット15a,16a相互の突き合わせ位置を、第2ブラケット16に軸支したマウント部材13のボルト14の支持点に近接した高さ位置に設定してあるため、第2ブラケット16がマウント部材13のボルト14により車両後方へ押動力を受けた際に、該第2ブラケット16の前壁がボルト14とフランジ部16aとの間の撓み変形を抑制でき、この押動力を該フランジ部16aにそのままスリット16a′の抜け力として伝えられるため、該第2ブラケット16の離脱をより一層スムーズに行わせることができる。ナット14aと前側ブラケット15aとが近接することにより、ボルト14を組み込む際のナット14aの止め工具スペースが狭くなるが、ナット14aを第2ブラケット16に溶接固定しておくことで対応できる。
【0035】
図6〜図8は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図6は車体側ブラケットの配設状態を示す図4と同様の斜視図、図7は車体側ブラケットとマウント部材との連結状態を示す図5と同様の断面図、図8は車両衝突時におけるマウント部材の離脱挙動を(A),(B)に順を追って説明する断面図である。
【0036】
本実施形態にあっては前記第1実施形態と同様に車体側ブラケット11Aを、前記衝突入力F方向と略直角な前壁11aと、後壁11bと、これら前壁11aと後壁11bとを連設する上壁11cと、により略コ字形、即ち、側面門型に形成してあり、これら前,後壁11a,11b間にユニット側ブラケット12端に装着したマウント部材13をボルト14とウェルドナット14aとにより締結して連結してある。
【0037】
この車体側ブラケット11Aの前記衝突入力F方向に対して後側に位置する前記後壁11bは、その中間部分で上下に分割してあり、これらの分割端部を重合して該重合部分に前記ボルト14を貫通して結合するようにしている。
【0038】
前記前壁11aのボルト挿通孔11dは円孔として形成してある一方、後壁11bにおける前記分割端部のボルト貫通部は、それぞれボルト14に対して離脱可能なスリット11d′,11d′として形成してある。
【0039】
即ち、下側の分割端部のスリット11d′は上縁に開放し、上側の分割端部のスリット11d′は下縁に開放するそれぞれ上下方向のスリットとして形成して、これら分割端部の重合部分にマウント部材13を介して衝突荷重Fが入力すると、上下の分割端部がスリット11d′,11d′によりボルト14に対して擦り抜けて、上下方向に展開するようにして離脱手段20を構成している。
【0040】
また、マウント部材13は、前記衝突入力Fにより内筒13aの後端がボルト14の頭部14′に係合すると、弾性材13cが外筒13b(ユニット側ブラケット12の端部)と一体に、内筒13aから後方へ離脱し得るようにしてある。
【0041】
従って、この第2実施形態の構造によれば、車両の前面衝突時にディファレンシャルギヤユニット2に後退方向に衝突荷重が作用し、この衝突荷重がユニット側ブラケット12を介してマウント部材13と車体側ブラケット11Aとの連結部に作用すると、マウント部材13がボルト14に対して車両後方へ移動して車体側ブラケット11Aの後壁11bを押圧する。
【0042】
このとき、マウント部材13の内筒13aはボルト14のボルト頭部14′により反力を受けて制止し、弾性材13cが外筒(ユニット側ブラケット12の端部)13bと一体に内筒13aに対して、図8(A)に示すように車両後方へ抜け出して、後壁11bの分割端部を上,下方向に押し開き、図8(B)に示すように該後壁11bを上下方向に展開して車体側ブラケット11Aから離脱する。
【0043】
この結果、ディファレンシャルギヤユニット2が車両後方へ移動して車体前部の潰れ残りとなることがなく、車体前部の潰れ変形ストロークを拡大して、エネルギー吸収効果を高めることができる。
【0044】
一方、常態にあっては、後壁11bの上下分割端部のスリット11d′,11d′は前後に重なって一つの円孔を形成しており、かつ、後壁11bに前面衝突時のような過大な押圧力が作用することはないので、ディファレンシャルギヤユニット2のマウント部材13による防振支持効果を些かも損なうことはない。
【0045】
なお、前記各実施形態では本発明の防振支持構造を4輪駆動車のディファレンシャルギヤユニット2の防振支持に適用した場合を示したが、この他、エンジンマウント構造に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態における駆動ユニットと車台フレームとの関係を示す斜視図。
【図2】図1のA範囲部の拡大斜視図。
【図3】車体側ブラケットとユニット側ブラケットとの関係を示す分解斜視図。
【図4】車体側ブラケットの配設状態を示す斜視図。
【図5】図2のB−B線に沿う断面図。
【図6】本発明の第2実施形態における車体側ブラケットの配設状態を示す斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態における図5と同様の断面図。
【図8】前面衝突時におけるマウント部材の挙動を(A),(B)に順を追って説明する断面図。
【符号の説明】
【0047】
1B 第2クロスメンバ(車体側部材)
2 ディファレンシャルギヤユニット(駆動ユニット)
11,11A 車体側ブラケット
11a 前壁
11b 後壁
11c 上壁
11d ボルト挿通孔
11d′ 分割端部のスリット
13 マウント部材
13a 内筒
13b 外筒
13c 弾性材
14 ボルト(支軸)
15 第1ブラケット
15a,15b,16a,16b フランジ部
15a′,16b′ スリット
15b′,16a′ ボルト挿通孔
16 第2ブラケット
18 固定ボルト
20 離脱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ユニットに設けたユニット側ブラケットと、
車体側部材に設けた車体側ブラケットと、をマウント部材の支軸を介して連結した構造において、
前記ユニット側ブラケットと前記車体側ブラケットとは、
駆動源による駆動力に対しては互いの連結を保持する一方、車両衝突による衝突荷重の入力発生時のみに離脱可能であることを特徴とする車両用ユニットの防振支持構造。
【請求項2】
駆動ユニットに設けたユニット側ブラケットと、
車体側部材に設けた車体側ブラケットと、をマウント部材の支軸を介して連結した構造において、
前記車体側ブラケットを、車体側部材に固定した第1ブラケットと、
前記マウント部材の支軸を介してユニット側ブラケットを軸支した第2ブラケットと、で構成し、
これら第1ブラケットと第2ブラケットとを、それぞれ固定ボルトに対して離脱可能なスリットを設けたフランジ部を重合して、このスリットを通して前記固定ボルトにより締結することにより、前記離脱手段を構成してあり、
前記スリットの方向を、ディファレンシャルギヤユニットが駆動力によって車軸を中心に回転する方向に対して略垂直、かつ、車両衝突時の入力方向と略平行な方向としたことを特徴とする車両用駆動ユニットの防振支持構造。
【請求項3】
第1ブラケットおよび第2ブラケットのフランジ部が車両前後方向に略水平に曲折成形されていて、これらフランジ部が上下方向に突き合わせて結合され、
少なくとも前記衝突入力方向に対して後側に位置する前記フランジ部相互の突き合わせ位置をマウント部材の下縁位置よりも低い高さ位置に設定したことを特徴とする請求項2に記載の車両用駆動ユニットの防振支持構造。
【請求項4】
第1ブラケットおよび第2ブラケットのフランジ部が車両前後方向に略水平に曲折成形されていて、これらフランジ部が上下方向に突き合わせて結合され、
前記衝突入力方向に対して前側に位置する前記フランジ部相互の突き合わせ位置を、第2ブラケットにおけるマウント部材の支軸の支持点に近接した高さ位置に設定したことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用駆動ユニットの防振支持構造。
【請求項5】
駆動ユニットに設けたユニット側ブラケットと、
車体側部材に設けた車体側ブラケットと、を車両衝突時の入力方向と略平行な支軸を備えたマウント部材を介して連結した構造において、
前記車体側ブラケットを、前記衝突入力方向と略直角な一対の側壁と、これら側壁を連結する上壁と、を備えた略コ字形断面に形成し、
前記衝突入力方向に対して後側に位置する一方の側壁を上下に分割して、それらの分割端部を重合して該重合部分に前記支軸を貫通して結合するとともに、
これら分割端部の支軸貫通部を、それぞれ支軸に対して離脱可能なスリットとして形成し、
車両衝突時に前記マウント部材の支軸と略平行に作用する衝突入力によって、マウント部材が支軸から離脱可能に、かつ、前記一方の側壁の上下の分割端部が前記支軸から離脱したマウント部材の押圧力によって上下方向に展開可能としたことを特徴とする車両用駆動ユニットの防振支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−132852(P2008−132852A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319911(P2006−319911)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】