説明

車両用駆動装置

【課題】ステータの温度を検出する温度検出手段を備え、鏡面対称に配置される一対の電動機の部品の共通化を可能として、組立工程を簡素化すると共に製造コストを抑制することができる車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】一対の電動機2A、2Bは、それぞれステータ14と、該ステータ14の内周側に回転可能に設けられるロータ15と、を備え、互いに鏡面対称に配置される。各電動機2A、2Bのステータ14A、14Bは、分割鉄心86と、該分割鉄心86に装着される絶縁ボビン87と、該絶縁ボビン87に巻回されるコイル88と、をそれぞれ有する複数の分割ステータ片82を円周方向に連結配置することで構成される。温度センサ100は、ロータ15の最下部Pよりも高く、且つ、各ステータ14A、14Bの円周方向基準位置Sに対して同一位相αとなる位置に位置する分割ステータ片82Aに配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの温度を検出可能な温度検出手段が装着された一対の電動機を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車などの車両に用いられる駆動装置として、左右の車軸に独立して駆動力を出力可能な2つの電動機を備えるものが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、電動機では、過熱が生じたまま長期に使用すると、電動機の絶縁性能等に影響を及ぼす可能性があるため、電動機に温度検出装置を組み込んで、電動機の過熱を監視することが知られている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載の回転電機の温度検出装置では、隣接配置された一対の回転電機のうち、一方の回転電機については両回転電機同士が隣接する部位に、また他方の回転電機については作動油の液面直下に、温度センサをそれぞれ配置して、最小の数の温度センサにより回転電機の温度を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−236674号公報
【特許文献2】特開2005−86882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の駆動装置では、2つの電動機が鏡面対称に配置されており部品の共通化が図られているが、温度検出装置については開示されていない。また、特許文献2に記載の温度検出装置は、互いの大きさが異なるモータとジェネレータとの一対の回転電機が、ディファレンシャル装置と共に共通の駆動装置ケースに組み込まれた構成を有しており、それぞれの回転電機の異なる位置に温度センサを配置して回転電機の温度を検知している。このため、両回転電機の部品を共通化することについては考慮されておらず、組立工程が複雑になり、製造コストが増大する虞があった。また、他方の回転電機に設けられた温度センサは、作動油内に油没しており、油温によって検出精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステータの温度を検出する温度検出手段を備え、ステータの一部が互いに鏡面対称に配置される一対の電動機の部品を共通化して、組立工程を簡素化すると共に製造コストを抑制することができる車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ステータ(例えば、後述の実施形態におけるステータ14)と、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータ(例えば、後述の実施形態におけるロータ15)と、をそれぞれ備え、前記ステータの少なくとも一部が同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機(例えば、後述の実施形態における電動機2A、2B)を備えた車両用駆動装置(例えば、後述の実施形態における車両用駆動装置1)であって、
前記各電動機のステータは、前記各ステータに共通の円周方向基準位置(例えば、後述の実施形態における円周方向基準位置S)に対して同一位相となる位置に、前記ステータの温度を検出可能な温度検出手段(例えば、後述の実施形態における温度センサ100)をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成に加えて、
前記温度検出手段は、前記ロータの最下部(例えば、後述の実施形態における最下部P)よりも高い位置に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の構成に加えて、
前記各電動機のステータは、分割鉄心(例えば、後述の実施形態における分割鉄心86)と、該分割鉄心に装着される絶縁ボビン(例えば、後述の実施形態における絶縁ボビン87)と、該絶縁ボビンに巻回されるコイル(例えば、後述の実施形態におけるコイル88)と、をそれぞれ備える複数の分割ステータ片(例えば、後述の実施形態における分割ステータ片82)を円周方向に連結配置することで構成され、
前記複数の分割ステータ片は、前記絶縁ボビンが前記温度検出手段を装着する温度検出手段装着部(例えば、後述の実施形態における挿通孔93、矩形孔95、及び係止孔96)を有する装着部付分割ステータ片(例えば、後述の実施形態における装着部付分割ステータ片82A)を含むことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかの構成に加えて、
前記各ステータは、前記ステータの径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置される、前記コイルに電力を供給するための複数の給電端子(例えば、後述の実施形態における給電端子112)をそれぞれ備え、
前記各ステータに共通の円周方向基準位置は、前記複数の給電端子のいずれかの位置であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4の構成に加えて、
前記複数の給電端子のうち、少なくとも円周方向中央に位置する前記給電端子(例えば、後述の実施形態における給電端子112V)は、前記ステータの鉛直方向および水平方向に対して傾斜した位置に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれかの構成に加えて、
前記一対の電動機を収容するケース(例えば、後述の実施形態における減速機ケース11)をさらに備え、
前記ケース内に貯留する、前記各電動機の冷却及び/又は潤滑に供される液状媒体の液面高さが、前記車両用駆動装置が水平な状態において、前記ロータの最下部よりも低い位置に設定されることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、ステータと、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータと、をそれぞれ備え、前記ステータの少なくとも同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機を備えた車両用駆動装置であって、
前記各電動機のステータは、前記ロータの最下部よりも高い位置に、前記ステータの温度を検出可能な温度検出手段をそれぞれ備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7の構成に加えて、
前記各温度検出手段は、前記各ステータに共通の円周方向基準位置に対して同一位相となる位置に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7または8の構成に加えて、
前記各電動機のステータは、分割鉄心と、該分割鉄心に装着される絶縁ボビンと、該絶縁ボビンに巻回されるコイルと、をそれぞれ備える複数の分割ステータ片を円周方向に連結配置することで構成され、
前記複数の分割ステータ片は、前記絶縁ボビンが前記温度検出手段を装着する温度検出手段装着部を有する装着部付分割ステータ片を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項8または9の構成に加えて、
前記各ステータは、前記ステータの径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置される、前記コイルに電力を供給するための複数の給電端子を備え、
前記各ステータに共通の円周方向基準位置は、前記複数の給電端子のいずれかの位置であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項10の構成に加えて、
前記複数の給電端子のうち、少なくとも円周方向中央に位置する前記給電端子は、前記ステータの鉛直方向および水平方向に対して傾斜した位置に配置されることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項7から11のいずれかの構成に加えて、
前記一対の電動機を収容するケースをさらに備え、
前記ケース内に貯留する、前記各電動機の冷却及び/又は潤滑に供される液状媒体の液面高さが、前記車両用駆動装置が水平な状態において、前記ロータの最下部よりも低い位置に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、ステータの少なくとも一部が同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機において、ステータの温度を検出する温度検出手段を備えた各ステータの構造を共通化することができ、組立工程を簡素化すると共に製造コストを抑制することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、温度検出手段がロータの最下部より高い位置に配置されることで、電動機の冷却や潤滑に供される液状媒体が温度検出手段に掛かることなどが抑制され、ステータの温度を精度よく検出することができる。特に、ステータの少なくとも一部を同一構造とし、且つ、互いに鏡面対称に配置すると共に、温度検出手段を各ステータに共通の円周方向基準位置に対して同一位相となる位置とした上で、温度検出手段をロータの最下部より高い位置に配置するように構成したので、各ステータの構造を共通化しつつ、上記効果を奏することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、温度検出手段を備える分割ステータ片と、温度検出手段を備えない分割ステータ片と、の2種類の分割ステータ片で各ステータを形成することができ、ステータを構成する部品点数の増加を抑制することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、円周方向において形状が異なる複数の給電端子のいずれかの位置に対して温度検出手段の位相が決定されるので、温度検出手段の位置を容易に設定することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、ステータの上下及び左右方向への給電端子の突出量が少なくなり、従来デッドスペースとなり易かったステータの斜め方向の空間を有効利用することで、電動機を小型化することができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、電動機の冷却や潤滑に供される液状媒体の液面は、ロータによる攪拌を防止すべくロータの最下部よりも低い位置に設定されるので、温度検出手段がロータの最下部より高い位置に配置されることで、温度検出手段が該液状媒体に浸漬することがなく、ステータの温度を精度よく検出することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、温度検出手段がロータの最下部より高い位置に配置されることで、電動機の冷却や潤滑に供される液状媒体が温度検出手段に掛かることなどが抑制され、ステータの温度を精度よく検出することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、ステータの温度を検出する温度検出手段を備えた各ステータの構造を共通化することができ、組立工程を簡素化すると共に製造コストを抑制することができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、温度検出手段を備える分割ステータ片と、温度検出手段を備えない分割ステータ片と、の2種類の分割ステータ片で各ステータを形成することができ、ステータを構成する部品点数の増加を抑制することができる。
【0028】
請求項10の発明によれば、円周方向において形状が異なる複数の給電端子のいずれかの位置に対して温度検出手段の位相が決定されるので、温度検出手段の位置を容易に設定することができる。
【0029】
請求項11の発明によれば、ステータの上下及び左右方向への給電端子の突出量が少なくなり、従来デッドスペースとなり易かったステータの斜め方向の空間を有効利用することで、電動機を小型化することができる。
【0030】
請求項12の発明によれば、電動機の冷却や潤滑に供される液状媒体の液面は、ロータによる攪拌を防止すべくロータの最下部よりも低い位置に設定されるので、温度検出手段がロータの最下部より高い位置に配置されることで、温度検出手段が該液状媒体に浸漬することがなく、ステータの温度を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る車両用駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示す駆動装置の部分拡大図である。
【図4】図1の車両用駆動装置がフレームに搭載された状態を示す斜視図である。
【図5】図2に示す電動機のステータの分解斜視図である。
【図6】図5に示すステータの分割ステータ片の斜視図である。
【図7】図6に示す分割ステータ片の要部正面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】ステータの円周方向基準位置に対する温度検出手段の配置位置を示す一方の電動機の正面図である。
【図10】ステータの円周方向基準位置に対する温度検出手段の配置位置を示す他方の電動機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に係る車両用駆動装置は、電動機を車輪駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の電動機2A、2Bは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
【0033】
図2は、後輪駆動装置1の全体を示す縦断面図であり、同図において、10A、10Bは、車両3の後輪Wr側の左右の車軸であり、車幅方向に同軸上に配置されている。駆動装置1の減速機ケース11は全体が略円筒状に形成され、その内部には、車軸駆動用の電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する遊星歯車式減速機12A、12Bとが、車軸10A、10Bと同軸上に配置されている。この電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを制御し、電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを制御し、電動機2A及び遊星歯車式減速機12Aと電動機2B及び遊星歯車式減速機12Bは、減速機ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。そして、減速機ケース11は、図4に示すように、車両3の骨格となるフレームの一部であるフレーム部材13の支持部13a、13bと、不図示の駆動装置1のフレームで支持されている。支持部13a、13bは、車幅方向でフレーム部材13の中心に対し左右に設けられている。なお、図4中の矢印は、駆動装置1が車両3に搭載された状態における位置関係を示している。
【0034】
減速機ケース11の左右両端側内部には、それぞれ電動機2A、2Bのステータ14A、14Bが固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸で相対回転可能となるように減速機ケース11の端部壁17A、17Bと中間壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって減速機ケース11の端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。このように構成される、一対の電動機2A,2Bは、対称軸Lを中心として左右対称に配置され、且つ、ステータ14A,14Bは互いに鏡面対称に配置され、また、同一構造を有している。
【0035】
また、遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21A,21Bに噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して出力されるようになっている。
【0036】
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、例えば図3に示すように、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはプラネタリキャリア23A、23Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して中間壁18A、18Bに支持されている。
【0037】
なお、中間壁18A、18Bは電動機2A、2Bを収容する電動機収容空間と遊星歯車式減速機12A、12Bを収容する減速機空間とを隔て、外径側から内径側に互いの軸方向間隔が広がるように屈曲して構成されている。そして、中間壁18A、18Bの内径側、且つ、遊星歯車式減速機12A、12B側にはプラネタリキャリア23A、23Bを支持する軸受33A、33Bが配置されるとともに中間壁18A、18Bの外径側で、且つ、電動機2A、2B側には、後述のステータ14A、14B用の集配電部材84A、84Bが配置されている(図2参照)。
【0038】
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径で減速機ケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。この実施形態の場合、リングギヤ24A、24Bの最大半径は、第1ピニオン26A、26Bの車軸10A、10Bの中心からの最大距離よりも小さくなるように設定されている。小径部29A、29Bは、それぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように構成されている。
【0039】
ところで、減速機ケース11とリングギヤ24A、24Bの間には円筒状の空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60A、60Bが第1ピニオン26A、26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27A、27Bと軸方向でラップして配置されている。油圧ブレーキ60A、60Bは、減速機ケース11の内径側で軸方向に伸びる筒状の外径側支持部34の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35A、35Bと、リングギヤ24A、24Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36A、36Bが軸方向に交互に配置され、これらのプレート35A、35B,36A、36Bが環状のピストン37A、37Bによって係合及び開放操作されるようになっている。ピストン37A、37Bは、減速機ケース11の中間位置から内径側に延設された左右分割壁39と、左右分割壁39によって連結された外径側支持部34と内径側支持部40間に形成された環状のシリンダ室38A、38Bに進退自在に収容されており、シリンダ室38A、38Bへの高圧オイルの導入によってピストン37A、37Bを前進させ、シリンダ室38A、38Bからオイルを排出することによってピストン37A、37Bを後退させる。なお、油圧ブレーキ60A、60Bは図4に示すように、前述したフレーム部材13の支持部13a、13b間に配置されたオイルポンプ70に接続されている。
【0040】
また、さらに詳細には、ピストン37A、37Bは、軸方向前後に第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bを有し、これらのピストン壁63A、63B,64A、64Bが円筒状の内周壁65A、65Bによって連結されている。したがって、第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bの間には径方向外側に開口する環状空間が形成されているが、この環状空間は、シリンダ室38A、38Bの外壁内周面に固定された仕切部材66A、66Bによって軸方向前後に仕切られている。減速機ケース11の左右分割壁39と第2ピストン壁64A、64Bの間は高圧オイルが直接導入される第1作動室とされ、仕切部材66A、66Bと第1ピストン壁63A、63Bの間は、内周壁65A、65Bに形成された貫通孔を通して第1作動室と導通する第2作動室とされている。第2ピストン壁64A、64Bと仕切部材66A、66Bの間は大気圧に導通している。
【0041】
この油圧ブレーキ60A、60Bでは、第1作動室と第2作動室に高圧油(作動油)が導入され、第1ピストン壁63A、63Bと第2ピストン壁64A、64Bに作用する作動油の圧力によって固定プレート35A、35Bと回転プレート36A、36Bを相互に押し付けが可能である。したがって、軸方向前後の第1,第2ピストン壁63A、63B,64A、64Bによって大きな受圧面積を稼ぐことができるため、ピストン37A、37Bの径方向の面積を抑えたまま固定プレート35A、35Bと回転プレート36A、36Bに対する大きな押し付け力を得ることができる。
【0042】
この油圧ブレーキ60A、60Bの場合、固定プレート35A、35Bが減速機ケース11から伸びる外径側支持部34に支持される一方で、回転プレート36A、36Bがリングギヤ24A、24Bに支持されているため、両プレート35A、35B,36A、36Bがピストン37A、37Bによって押し付けられると、両プレート35A、35B,36A、36B間の摩擦係合によってリングギヤ24A、24Bに制動力が作用し固定され、その状態からピストン37A、37Bによる係合が開放されると、リングギヤ24A、24Bの自由な回転が許容される。
【0043】
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、内径側支持部40により位置決めされるとともに、回り止めされている。
【0044】
一方向クラッチ50は、車両が前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に、一方向クラッチ50は、リングギヤ24A、24Bに作用するトルクの作用方向によってリングギヤ24A、24Bをロック又は切り離すように構成されており、車両が前進する際のサンギヤ21A、21Bの回転方向を正転方向とするとリングギヤ24A、24Bに逆転方向のトルクが作用する場合にリングギヤ24A、24Bの回転をロックする。
【0045】
このように本実施形態の車両用駆動装置1では、電動機2A、2Bと車輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60A、60Bとが並列に設けられている。なお、油圧ブレーキ60A、60Bは、車両の走行状態や一方向クラッチ50の係合・非係合状態に応じて、オイルポンプ70から供給されるオイルの圧力により、解放状態、弱締結状態、締結状態に制御される。例えば、車両3が電動機2A、2Bの力行駆動により前進する時(低車速時、中車速時)は、一方向クラッチ50が締結するため動力伝達可能な状態となるが油圧ブレーキ60が弱締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの順方向の回転動力の入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、電動機2A、2B側と車輪Wr側とで動力伝達不能になることが抑制される。また、車両3が内燃機関4及び/又は電動機5の力行駆動により前進する時(高車速時)は、一方向クラッチ50が非係合となりさらに油圧ブレーキが解放状態に制御されることで、電動機2A、2Bの過回転が防止される。一方、車両3の後進時や回生時には、一方向クラッチ50が非係合となるため油圧ブレーキ60が締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの逆方向の回転動力が車輪Wr側に出力され、又は車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力される。
【0046】
次に、図5から図9を参照して各電動機2A,2Bのステータ14について詳述する。図5に示すように、ステータ14は、ステータホルダ81と、複数の分割ステータ片82,…,82を円周方向に連結配置することで構成される環状ステータ群83と、環状の集配電部材84(84A,84B)と、中点連結部材85と、を備えている。
【0047】
ステータホルダ81は、筒状部81aと、この筒状部81aの軸方向一端部において径方向外方に張り出すように設けられたフランジ部81bとを備え、筒状部81a内には、円周方向に連結配置された複数の分割ステータ片82,…,82(即ち、環状ステータ群83)が圧入等によって収容されている。また、各ステータ14A,14Bの各ステータホルダ81のフランジ部81bは、各ステータホルダ81が鏡面対称に配置されるように張り出して形成されている。
【0048】
各分割ステータ片82は、例えば略T字型の複数の珪素鋼板が積層されて構成された分割鉄心86と、分割鉄心86に装着される絶縁性樹脂材からなる絶縁ボビン87と、絶縁ボビン87に巻線が巻回されてなるコイル88と、を備えている。
【0049】
分割鉄心86は、互いの軸方向厚さが同等とされたティースおよびヨークを備え、ティースの径方向基端部に一体に設けられたヨークの周方向幅は、ティースの周方向幅よりも大きくなるようにして形成されている。そして、複数の分割ステータ片82,…,82が円環状に配列された状態で、周方向で隣り合うヨーク同士が面接触して、円環状の環状ステータ群83が形成される。
【0050】
絶縁ボビン87は、例えば、軸方向に分割可能とされて2分割された絶縁ボビン部材によって分割鉄心86を軸方向の両側から挟み込むようにして、分割鉄心86に装着される。
【0051】
図6に示すように、絶縁ボビン87は、分割鉄心86のティースに外嵌するボビン部89と、ボビン部89から径方向外方に延出してヨークの軸方向他端面を覆う集配電部材収容部90と、ボビン部89から径方向内方に延出する中点連結部材収容部91とを備えている。絶縁ボビン87のボビン部89には、巻線が集中巻きにて巻回されてなるコイル88が収容され、集配電部材収容部90には集配電部材84が収容され、中点連結部材収容部91には中点連結部材85が収容される。
【0052】
ボビン部89の上鍔部89aには、保持溝89bが軸方向に設けられている。また、集配電部材収容部90は、ボビン部89の上鍔部89aと、上鍔部89aから立設される縦壁90aと、縦壁90aの上端から軸方向前方に延設される庇部90bと、で囲まれた断面コの字型の空間であり、縦壁90aの径方向中間部には、溝92aを有する位置決め部92が、ボビン部89の保持溝89bの上方に突出して形成されている。そして、コイル88から径方向外方に引き出される引き出し線部88aが、ボビン部89の保持溝89bと、位置決め部92の溝92aに狭持されて絶縁ボビン87に位置決め固定されている。
【0053】
また、複数の分割ステータ片82のうち、1個の装着部付分割ステータ片82Aは、図6に示すように、絶縁ボビン87に温度検出手段としての温度センサ100が装着される温度検出手段装着部を有する。
【0054】
具体的に、絶縁ボビン87の上鍔部89aには、この上鍔部89aを貫通し、縦壁90aとコの字状の側壁とによって矩形状の挿通孔93が形成されている。また、庇部90bには、この挿通孔93と同じ大きさを有し、挿通孔93と同一軸上に形成された矩形孔95と、温度センサ100を係止するための係止孔96が設けられている。従って、これら挿通孔93、矩形孔95、及び係止孔96は、温度センサ100を絶縁ボビン87に装着するための温度検出手段装着部を構成する。
【0055】
温度センサ100は、絶縁ボビン87に巻回されたコイル88の温度を検出するためのものであり、例えば、サーミスタなどからなるセンサ部101と、センサ部101を保持する保持部であるホルダ部102とを備える。ホルダ部102は、庇部90bの係止孔96に係止される係止片102aを有する。温度センサ100は、センサ部101が庇部90bの矩形孔95、及び上鍔部89aの挿通孔93に挿通され、係止片102aが係止孔96に係止されて絶縁ボビン87に装着される。このとき、センサ部101の先端は、挿通孔93からボビン部89内に突出してコイル88と直接接触または近接対向する(図8参照)。
【0056】
このように、複数の分割ステータ片82は、温度検出手段装着部を備えた1個の装着部付分割ステータ片82Aと、温度検出手段装着部を備えない残りの分割ステータ片82Bとの、2種類の分割ステータ片82(82A、82B)が円周方向に連結配置されて構成されている(図10及び11参照。)。換言すれば、両電動機2A、2Bのステータ14A、14Bは、装着部付分割ステータ片82Aと分割ステータ片82Bとの2種類の分割ステータ片82で構成することができる。
【0057】
図5に戻り、集配電部材84A、84Bは、例えば、各相(U相、V相、W相)ごとに複数のコイル88,…,88に接続される環状のバスリング110U,110V,110Wを備える。各相のバスリング110U,110V,110Wは、円環状のリードフレーム111と、このリードフレーム111に設けられた給電端子112と、リードフレーム111の周方向所定位置に固定されて、複数のコイル88と接続される複数の接続端子113,…,113と、環状のバスリング110U,110V,110Wの所定周方向位置に装着されてバスリング110U,110V,110Wを固定する複数の固定部材114,…,114と、各バスリング110U,110V,110Wの給電端子112近傍の部位を固定する端子部固定部材115と、を備えている。各相の給電端子112は、ステータ14の径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置されて、U相、V相、W相のそれぞれのコイル88に電力を供給する。
【0058】
そして、各ステータ14A,14Bの各相の給電端子112は、図9及び図10に示すように、鏡面対称となる位置で径方向外方にそれぞれ突出して、減速機ケース11側に設けられたバスバーに接続されている。例えば、各ステータ14A,14BのV相の給電端子112Vは、水平ラインHLに対して同一角度βだけ下方に傾斜した位置に配置されている。即ち、ステータ14Aの給電端子112Vは、水平ラインHLに対して反時計方向に角度βの位置に配置され(図9参照)、また、ステータ14Bの給電端子112Vは、水平ラインHLに対して時計方向に角度βの位置に配置される(図10参照)。このように、円周方向中央に位置する給電端子112Vを水平ラインHLに対して角度βだけ傾斜させて配置することにより、各給電端子112U、112V、及び112Wは、ステータ14A、14Bから斜め下方に向かって突出して配置される。
【0059】
ここで、図9及び図10に示すように、U相、V相、及びW相の給電端子112U、112V、及び112Wのうち、円周方向中央に位置するV相の給電端子112Vの位置、即ち、V相の給電端子112Vが取り付けられる分割ステータ片82Bの位置を円周方向基準位置Sとすると、各ステータ14A、14Bの装着部付分割ステータ片82Aは、ステータ14A、14Bに共通の円周方向基準位置Sから、図中反時計方向に角度αの同一位相となる位置に組み付けられる。従って、温度センサ100及び複数の分割ステータ片82A,82Bを備えた環状ステータ群83と集配電部材84との配置は、各ステータ14A,14Bにおいて共通化されている。なお、各ステータ14A,14Bに共通の円周方向基準位置Sは、いずれの給電端子112を基準としてもよい。
【0060】
また、電動機2A、2Bの冷却や潤滑に供されるオイルなどの液状媒体105の液面高さは、駆動装置1が水平な状態において、ロータ15A,15Bによる攪拌を防止すべくロータ15A,15Bの最下部よりも低い位置に設定されている。温度センサ100は、浸漬することで液状媒体105の液温によって検出精度が低下するのを抑制するため、ロータ15A、15Bの最下部よりも高い位置に設定される。このため、各ステータ14A、14Bの装着部付分割ステータ片82Aは、ロータ15A、15Bの最下部Pを通る水平線と交差する位置にある分割ステータ片82よりも上方に配置される。
【0061】
従って、円周方向基準位置Sから反時計方向の角度αの位置に配置される、各ステータ14A、14Bの装着部付分割ステータ片82Aは、図9及び図10のγの範囲にある分割ステータ片82の中のいずれかの位置から選択される。これにより、温度センサ100が液状媒体105に浸漬することがなく、ステータ14の温度を精度よく検出することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用駆動装置1によれば、ステータ14A,14Bが同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機2A、2Bにおいて、各電動機2A,2Bのステータ14A,14Bは、各ステータ14A,14Bに共通の円周方向基準位置Sに対して同一位相となる位置に、ステータ14A,14Bの温度を検出可能な温度センサ100をそれぞれ備える。これにより、ステータ14A,14Bの温度を検出する温度センサ100を備えた各ステータ14A,14Bの構造を共通化することができ、組立工程を簡素化すると共に製造コストを抑制することができる。
【0063】
また、上述した、ステータ14A,14Bを同一構造とし、且つ、互いに鏡面対称に配置すると共に、温度センサ100を各ステータ14A,14Bに共通の円周方向基準位置Sに対して同一位相となる位置とした上で、温度センサ100をロータ15の最下部Pより高い位置に配置するように構成したので、各ステータ14A,14Bの構造を共通化しつつ、ステータ14A,14Bの温度を精度よく検出することができる。
【0064】
また、本実施形態に係る車両用駆動装置1によれば、ステータ14A,14Bが互いに鏡面対称に配置され、且つ、ステータ14A,14Bが同一構造とされる一対の電動機2A、2Bにおいて、各電動機2A,2Bのステータ14A,14Bは、ロータ15の最下部Pよりも高い位置に、ステータ14A,14Bの温度を検出可能な温度センサ100を備える。これにより、電動機の冷却や潤滑に供されるオイルなどの液状媒体105が温度センサ100に掛かることなどが抑制され、ステータ14A,14Bの温度を精度よく検出することができる。
【0065】
さらに、ステータ14A,14Bは、分割鉄心86、絶縁ボビン87、及びコイル88をそれぞれ備える複数の分割ステータ片82を円周方向に連結配置することで構成され、複数の分割ステータ片82は、絶縁ボビン87が温度センサ100を装着する挿通孔93、矩形孔95、及び係止孔96を有する装着部付分割ステータ片82Aを備える。これにより、温度センサ100を備える分割ステータ片82Aと、温度センサ100を備えない分割ステータ片82Bと、の2種類の分割ステータ片で各ステータ14A,14Bを形成することができ、ステータ14A,14Bを構成する部品点数の増加を抑制することができる。
【0066】
また、各ステータ14A,14Bは、ステータ14A,14Bの径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置される、コイル88に電力を供給するための複数の給電端子112(112U、112V、112W)をそれぞれ備え、各ステータ14A,14Bに共通の円周方向基準位置Sは、V相の給電端子112Vの位置としたので、円周方向において形状が異なるV相の給電端子112Vの位置に対して温度センサ100の位相が決定されるので、温度センサ100の位置を容易に設定することができる。
【0067】
さらに、複数の給電端子112のうち、少なくとも円周方向中央に位置する給電端子112Vは、ステータ14A,14Bの鉛直方向および水平方向に対して傾斜した位置に配置されるので、ステータ14の上下及び左右方向への給電端子112の突出量が少なくなり、従来デッドスペースとなり易かったステータ14の斜め方向の空間を有効利用することができ、電動機2A,2Bを小型化することができる。
【0068】
また、一対の電動機2A,2Bを収容する減速機ケース11をさらに備え、減速機ケース11内に貯留する、各電動機2A,2Bの冷却及び/又は潤滑に供される液状媒体105の液面高さが、車両用駆動装置1が水平な状態において、ロータ15A,15Bの最下部Pよりも低い位置に設定されるので、温度センサ100がロータ15A,15Bの最下部Pより高い位置に配置されることで、温度センサ100が該液状媒体105に浸漬することがなく、ステータ14A、14Bの温度を精度よく検出することができる。
【0069】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。本発明の適用車両としては、ハイブリッド自動車、モータのみを駆動源とする電気自動車の何れにも適用可能である。
【0070】
本発明の温度検出手段は、本実施形態の温度センサ100に限定されるものでなく、例えば、感熱手段であってもよい。
【0071】
また、本実施形態の2つの電動機は、駆動装置の対称軸Lを中心に左右対称に配置されて、ステータが互いに鏡面対称に配置されているが、ステータの少なくとも一部が互いに鏡面対称に配置されるものであれば、これに限定されるものではない。
また、本実施形態の2つの電動機の各ステータは同一構造を有しているが、各ステータの少なくとも一部が同一構造を有するものであればよい。
【0072】
さらに、本実施形態の2つの電動機のステータでは、コイルが集中巻きによって巻回されているが、本発明は、コイルが分布巻きによって巻回されるステータにおいても適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 車両用駆動装置
2、2A、2B 電動機
11 減速機ケース(ケース)
14、14A、14B ステータ
15、15A、15B ロータ
82、82B 分割ステータ片
82A 装着部付分割ステータ片
86 分割鉄心
87 絶縁ボビン
88 コイル
93 挿通孔(温度検出手段装着部)
95 矩形孔(温度検出手段装着部)
96 係止孔(温度検出手段装着部)
100 温度センサ(温度検出手段)
112、112U、112V、112W 給電端子
P ロータの最下部
S ステータに共通の円周方向基準位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータと、をそれぞれ備え、前記ステータの少なくとも一部が同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機を備えた車両用駆動装置であって、
前記各電動機のステータは、前記各ステータに共通の円周方向基準位置に対して同一位相となる位置に、前記ステータの温度を検出可能な温度検出手段をそれぞれ備えることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記温度検出手段は、前記ロータの最下部よりも高い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記各電動機のステータは、分割鉄心と、該分割鉄心に装着される絶縁ボビンと、該絶縁ボビンに巻回されるコイルと、をそれぞれ備える複数の分割ステータ片を円周方向に連結配置することで構成され、
前記複数の分割ステータ片は、前記絶縁ボビンが前記温度検出手段を装着する温度検出手段装着部を有する装着部付分割ステータ片を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記各ステータは、前記ステータの径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置される、前記コイルに電力を供給するための複数の給電端子をそれぞれ備え、
前記各ステータに共通の円周方向基準位置は、前記複数の給電端子のいずれかの位置であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記複数の給電端子のうち、少なくとも円周方向中央に位置する前記給電端子は、前記ステータの鉛直方向および水平方向に対して傾斜した位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記一対の電動機を収容するケースをさらに備え、
前記ケース内に貯留する、前記各電動機の冷却及び/又は潤滑に供される液状媒体の液面高さが、前記車両用駆動装置が水平な状態において、前記ロータの最下部よりも低い位置に設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
ステータと、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータと、をそれぞれ備え、前記ステータの少なくとも一部が同一構造とされ、且つ、互いに鏡面対称に配置される一対の電動機を備えた車両用駆動装置であって、
前記各電動機のステータは、前記ロータの最下部よりも高い位置に、前記ステータの温度を検出可能な温度検出手段をそれぞれ備えることを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項8】
前記各温度検出手段は、前記各ステータに共通の円周方向基準位置に対して同一位相となる位置に配置されることを特徴とする請求項7に記載の車両用駆動装置。
【請求項9】
前記各電動機のステータは、分割鉄心と、該分割鉄心に装着される絶縁ボビンと、該絶縁ボビンに巻回されるコイルと、をそれぞれ備える複数の分割ステータ片を円周方向に連結配置することで構成され、
前記複数の分割ステータ片は、前記絶縁ボビンが前記温度検出手段を装着する温度検出手段装着部を有する装着部付分割ステータ片を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の車両用駆動装置。
【請求項10】
前記各ステータは、前記ステータの径方向外方にそれぞれ突出し、且つ円周方向に並んで配置される、前記コイルに電力を供給するための複数の給電端子を備え、
前記各ステータに共通の円周方向基準位置は、前記複数の給電端子のいずれかの位置であることを特徴とする請求項8または9に記載の車両用駆動装置。
【請求項11】
前記複数の給電端子のうち、少なくとも円周方向中央に位置する前記給電端子は、前記ステータの鉛直方向および水平方向に対して傾斜した位置に配置されることを特徴とする請求項10に記載の車両用駆動装置。
【請求項12】
前記一対の電動機を収容するケースをさらに備え、
前記ケース内に貯留する、前記各電動機の冷却及び/又は潤滑に供される液状媒体の液面高さが、前記車両用駆動装置が水平な状態において、前記ロータの最下部よりも低い位置に設定されることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−217303(P2012−217303A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82125(P2011−82125)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】