説明

車両管理方法

【課題】
本発明は、車両情報の提供を情報利用希望機関に提供できることを可能にすると共に、車両利用者にも音や映像の情報を提供して車両の総合的双方向管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
人工衛星1を介してセンタ側送られる上り情報5は緊急情報と定周期情報である。一方、センタ側から衛星1を介して各車両に送られる下り情報6は音や映像の情報である。基地局には移動体総合情報管理システム13があって、各種データベース14や分析システム15を備える。このシステムを介して、車検情報やユーザ情報,道路情報,安全情報などが各情報希望機関16〜18に配信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星通信システム、あるいは、その他の移動体通信システム(地上波デジタル通信,携帯電話,DSRC等)を利用して、移動体の情報収集を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置を画面に表示するカーナビゲーションシステムが実用化され、普及しており、近年は携帯電話とカーナビゲーションシステムとを接続した通信ナビゲーションシステムも実用化されている。
【0003】
車両状態情報を入手する手段としては、リアルタイム方式ではなく、ディーラーにおける車両の点検時に一部履歴データを作成し、有線通信などを通じて完成車メーカ或いは車両部品メーカに伝達することが行われる。
【0004】
現行の車両保険制度は、車の利用頻度の大小に関わらず年間契約による料金支払方式が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両状態情報を入手する手段としては、ディーラーにて、車の点検時に一部履歴データを有線接続により吸い上げる仕組みがある。この方法は回収頻度の低さと、自社ディーラーへの点検持込みの不確定さから、完成車メーカや部品メーカが統計解析・車種毎にマーケティングし、設計へフィードバックすることには困難がある。また移動体通信技術として急速に普及した携帯電話で、自社の車種毎のデータを収集管理するには、各ユーザの電話番号の把握が必要であり、特定複数台の情報を一斉収集し、一斉配信することには困難がある。
【0006】
また、車の利用状況が現状は統計的に把握できないため、損害保険会社には車の利用頻度の大小に関わらず年間契約するしかなく、利用頻度,利用状況に比例した料金支払等の多種多様なニーズに応じた、保険料支払ができない。
【0007】
更には、中古車査定時はチェックシートの記入と写真などのやり取りによる、漠然とした査定であり、同車種,同年代,類似走行距離では、外見以外の車状態の善し悪しを把握することが困難である。
【0008】
従って、現在の車両状態情報をリアルタイムで継続して収集することは行われていないか、または、行われていても収集する情報は極く限られたものであり、その利用性は小さいものと言わざるを得ないものであった。車両状態情報を継続して収集することは、その車両・車種別の統計解析によって欠くことができない事項であり、統計がなければその後の診断解析を行うことができない。
【0009】
以上の車両保険について見れば、本発明はかかる点に鑑みて、現在の車両状態情報を詳細に、かつ確実にリアルタイムで継続して収集し、統計することによって車両の利用頻度,利用状況に応じた保険料支払いすることのできる車両保険料請求処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、この提案を機に、保険分野以外の車両情報の提供を情報提供機関に提供できることを可能にすると共に、車両利用者にも各種放送,通信の情報提供を行う車両の総合的双方向管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両管理方法は、音楽配信及び/または映像配信の契約車両の各車両に対し、衛星を介して音楽及び/または映像を配信すると共に、或いは音楽情報,映像情報,ナビ情報,道路情報,緊急情報,新車情報の群から選ばれる情報を1または2以上を配信すると共に、各契約車両から該車両の定周期情報を前記衛星経由で受信し、当該受信情報を車両毎に分析して該分析情報を予め定められた分析情報提供先へ送信することを特徴とする。
【0012】
ここで前記定周期情報は、例えば当該車両の位置,速度,方向,車の状態情報の少なくとも一つである。特に定周期情報はこれらの情報を組み合わせて得られるであろう運転時間と運転した地点,領域または経路の通過データであることが実用的である。また、各契約車両から前記衛星に向けて送信される定周期情報に加え、当該車両に関する緊急情報も送信することが望ましい。更に前記分析情報提供先は、保険会社,道路管理会社,監督官庁,監督機関,車管理会社,車メンテンナンス会社,車のディーラーの群から選ばれる者であることが好ましい。尚、車から定周期で発進する情報を定周期より短い周期で記憶装置に蓄積し、纏めて定周期で発進することがより望ましい。
【0013】
本発明に利用するのに好適な人工衛星システムは例えば楕円軌道を周回する非静止衛星を利用するものであり、特開平11−34996号公報に詳細かつ具体的に説明されている。
【0014】
また、本発明の車両管理方法の情報の受発信について代表的なところを列挙すれば次のようになる。
【0015】
(1)対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集し、車両制御情報、または車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両からDSRC(専用挟域通信、以下同じ)或いは携帯電話などの移動体通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集する。
【0016】
(2)対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集し、かつ車両センサー情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両から
DSRC或いは携帯電話などの通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集すること、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報及び利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集する。
【0017】
(3)対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集し、かつ車両制御情報および車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両からDSRC或いは携帯電話などの通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集し、車両に搭載された診断システムから注出された自動車状態情報を当該診断システムの診断結果情報発信指示に基づいて当該車両から人工衛星に発信し、該人工衛星から反射された信号を受信し、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報及び利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集する。
【0018】
(4)対象車両の車両制御情報、または車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集する。
【0019】
(5)対象車両の車両センサー情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集することと、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報及び利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集する。
【0020】
(6)対象車両の車両制御情報及び車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって車両に搭載された診断システムから注出された自動車状態情報を当該診断システムの診断結果発信指示に基づいて当該車両から人工衛星に発信し、該人工衛星から反射された信号を受信し、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報及び利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集する。
【0021】
本発明は更に次のシステムを提供する。すなわち、車から位置情報,速度情報,車の状態情報(エンジン,電気系,機械系情報),安全・危機管理情報などをリアルタイムで収集し、これらデータを総合管理し、データを分析することによって車の運行管理状況把握,安全・危機へ即応,道路渋滞状況把握,車の使われ方把握等を把握し、種々サービスに役立てる移動体情報総合管理システムを構築し、総合情報管理システムから、輸送業者,道路監督機関,車メーカ,道路情報提供者などに有償でデータを供給するとともに、輸送業者,道路監督機関,車メーカから車に乗車している人への個別情報配信を行う。また、このシステムにおいて、移動体情報管理システムと車を利用する人,移動体管理システムと輸送業者,道路監督機関,車メーカとの間で情報交換に関する契約を結び、移動体管理システムをこれら契約に基づく収入により成立させることが望ましい。更に、このシステムにおいて、双方向通信に加えて、移動体情報システムから音楽或いは映像を放送し、車を利用する人の利便性を高めて、移動体管理システムの運営を行うことが好ましい。
【0022】
また、車から得られる情報を移動体管理システムにおいて分析し、車のトラブルが予想される場合にその予想情報をドライバーに連絡すると共に、車メーカ或いは保守業者などの指定業者に連絡し、指定業者が、ドライバーからの指示場所に保守点検が可能な人を派遣し、必要あれば保守部品を持参して、指示場所において迅速な保守を行う。このシステムにおいてドライバーの運転特性を分析し、保険料を勘案することが好ましい。
【0023】
本発明を保険請求に反映する場合、車両状態情報を車両位置情報とその他の情報、例えば車両制御情報,車両部品状態情報,車体情報,利用者情報,車両整備経歴情報などに分け、車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集することにある。従来、アンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置を求めてナビゲーションに使用することが行われて来たが求めた車両位置情報を収集し、統計することは行われていない。また、本発明を保険請求に用いる場合、このようにして収集した車両位置情報に合わせて他の車両情報を収集することによって、両者を合わせた統計を行うことができるようにすることが実用的である。この二つの手段によって個々の車両についてリアルタイムで詳細かつ確実な車両情報の蓄積が可能となって、車両の保険料請求処理に活用することができる。
【0024】
更に本発明を保険請求に反映させる場合、契約された車両について一定期間(一日の場合もある。)内における運転時間を求めて収集し、運転時間データを統計し、かつ、当該車両の運転した地点,領域,移動経路(以下、地点と総称する)について通過データを求めて収集し、統計する方法を実行することによって車の利用頻度,利用状況に対応した保険料支払いを可能にする。このようにすることによって実現される重要なポイントの1つは、従来年間契約によって先払いしていた保険料支払いを利用頻度,利用状況に対応して保険料支払いを後払いとすることができるようになることである。勿論、このようにした収集統計したデータによって現行の契約の料金を改定することは可能である。
【0025】
本発明を保険請求に用いる場合を例にとれば、具体的には次に掲げる方法が挙げられる。すなわち車両の利用者との契約によって車両の保険料を確定して車両保険料を請求する車両保険料請求処理方法において、契約された車両について一定期間内における運転時間を求めて収集し、かつ当該車両の運転で通過した地点についての通過データを求めて収集し、前記運転時間から課金対象時間データを、そして該課金対象時間データ,通過データの一方または双方に基づいて保険料重み付けを設定し、課金対象時間データ,通過データ及び保険料重み付けに基づいて保険料請求額を表示し、車両保険料請求処理を行う。更に前記保険料重み付けは、保険料率とする。更に、前記通過データは、既知として登録された地点,未知として非登録の地点及び事故多発点として登録された地点を含み、既知として登録された地点は保険料重み付けが安く、未知として非登録の地点および事故多発点として登録された地点は保険料重み付けが高く設定する。そして更に前記保険料重み付けのため、車両制御情報,車両部品状態情報,車両及び利用者についての利用者情報あるいは整備履歴情報などのその他の情報が使用されるようにする。また、課金対象時間と保険料重み付けされた通過データからポイントを計算し、ポイントに基づいて保険料率または保険額を定める。
【0026】
更に本発明の実施態様を挙げれば次の通りである。すなわち、音楽,影像の基本情報を車に向けて発信して、聴取者より聴取料を集める有料サービスにおいて、車から発せられる情報を総合情報センタにて収集し、これらを分析して、車管理機関,道路管理機関,保険機関などに伝送し、これら管理センタからの情報を車に伝送する事により聴取者に対するサービス機能を向上させ、有料サービスの聴取料を引き上げる。
【0027】
データ分析の第1の具体例は、車からの情報を車の位置,速度及び方向とするもので、これら情報を道路上にある全車より定周期で収集する事により、各道路上の車の移動速度がわかるため、道路の混雑状況が判明する。また道路管理センタの情報と合わせる事により、道路混雑情報の精度を向上させることが出来る。一方、車の運転手は、近傍の状況だけでなく、離れた目的地の混雑状況を把握でき、道路管理機関より、道路迂回情報、より混雑の少ない道路情報などを得ることが可能となる。また、トンネル,橋,工事区間などに相当する区間の車からの情報の分析により、これら区間の異常状態を検出できる。これら情報に、時刻を加味することにより、ユーザの車の使い方の特性、すなわちウイークエンドに行楽地で利用,普段の買い物で利用,夜間の利用中心などユーザの車の使い方を分析することが出来る為、次の車の買い替え時の推薦車選択に役立つデータとして、車ディーラーは活用できる。また、急ブレーキ,最高速度などのユーザの車の使い方,運転の特性を分析できる為、上気車ディーラーによるデータ活用に加えて、保険会社によるドライバーの危険予測分析にも活用できる為、有料ドライバーには保険料率の低減などに活用できる。
【0028】
データ分析の第2の具体例は、車からの情報の特に燃料の残料や走行距離を利用するものである。燃料の残量と、走行距離より車の燃費が分析できるため、車の評価や、性能向上のためのデータとして、車管理機関は活用できる。またユーザにこれらデータが解放されれば、車選択のデータが公表されることになり、ユーザの利便性が増加する。
【0029】
データ分析の第3の具体例は、車からの情報の特に排気ガス(CO2 ,CO,NO,
NO2 ,SO2 ,すすなどの粒子量)を利用するものである。車の排気ガスを分析することにより、車の状態を把握し、車のメンテナンスの必要性,オイルや部品の交換の必要性などを、ユーザに連絡する。また車管理機関ではエンジンの調子などを分析し、どのような道路状態で、車の特性がどのように変化するかのデータを取得でき、車の開発,改良に役立てることが可能となる。
【0030】
データ分析の第4の具体例は、車からの情報の内、エアバッグ作動状況,衝突加速度,車の傾き(ある角度以上は横転などとみなす),ドライバーよりの非常連絡(ボタン或いは音声)を用いるものである。これら情報により、車の異常状態,緊急連絡内容が含まれている為、車管理センタ或いは道路管理センタは、緊急出場が可能となる。
【0031】
データ分析の第5の具体例は、車からの情報は、一定周期で発信されるが、車ではもっと短い周期でデータを計測して記憶装置に蓄積し、これらを纏めて一定周期で発信する事が可能であることから、次のような情報を連続的に収集することが可能となる。すなわち、車の速度,方向,加速度,ブレーキ回数,車間距離(レーダーにより計測)などを詳しく収集できるため、上記例で挙げた、ユーザの車の使い方,特性のより詳しい分析に役立てる事が可能である。これら情報の分析により車が通った道路の軌跡を正確に分析できるので、道路状況の更に詳しい状況把握が可能とある。
【0032】
データ分析の第6の具体例は、車からの情報として道路の渋滞情報の分析情報を用いるものである。これら情報から道路管理センタは、渋滞の起き易い場所,時間帯などを把握できる為、車利用者に事前に適切な混雑回避予測情報を提供できる。またユーザは、道路渋滞予測情報により予め渋滞を回避する経路や時間帯を選択でき、結果として道路渋滞緩和に貢献できる。
【0033】
データ分析の第7の具体例は、自社の車の運転情報の分析と最適配置,運転スケジュール立案をすることである。自社の車の運行状況を適切に管理することにより、車の運行,積み荷管理の最適化が可能であり、双方向の特性を利用して、車に次の作業の指示ができる。また運転手の疲労度チェックにより、休憩指示などの健康管理と安全運転管理が可能となる。
【0034】
データ分析の第8の具体例は、運転手の疲労度チェックによるものである。運転状態すなわち運転手の眼球の動きのモニタ,ハンドルの切り方,加速,ブレーキのチェックによる運転手の疲労度をモニタし、運転手に安全面から見た休憩指示などを徹底できる。また、レーダーによる車間距離,急ブレーキなどの回数などから運転手の疲労度チェック,居眠り運転チェックなどを分析藺,検出し、事故発生まえに運転手に警告するという事故未然防止機能を発揮できる。センタからは、双方向通信機能を利用して、ブザーなどの警告データを緊急発進できるようにして対応する。
【0035】
尚、いずれにせよ本願では車両を中心に説明するが、船舶を含む他の移動体にも適用できる。また移動体における受信は必須であるが、他に自宅などの固定局端末で情報を受けることを妨げるものではない。
【0036】
更に本発明において、定周期情報は、5〜10分間に1回が好適である(この程度であれば、移動体の移動距離から道路の混み具合を判定できる)。定周期情報の伝送に時間がかかっても(1〜2分遅れても)、送る情報には測定した時刻をつけているので問題ない。また、途中で周期を変える(この場合親局からの指示が必要)ことも可能である。
【発明の効果】
【0037】
以上説明した通り、本発明によれば衛星を介しての双方向通信を用いて音或いは映像の情報配信を受ける契約をした者の車両がプローブカー機能を具備することになって交通管制が円滑に行えるようになり、また車側契約者の情報吸い上げで各種公共の対応や保険の対応が可能になるという効果がある。そして、移動体利用者が意識せず、何ら煩わしさなく管理側へ諸情報を吸い上げ、そしてその情報提供の見返りに利用者に適切なサービスが提供できるという利便性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明にかかる一実施例を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1は本発明に用いる双方向衛星通信サービスの概念図である。本例では人工衛星1と各契約車両4との間で双方向通信6が可能になっており、また、サービスセンタ2と人工衛星1との間もアンテナ3を介して双方向通信5が可能になっている。尚、通信システムとはいえ、前提となる映像や音の配信は放送でも良い。本願明細書において以下同様とする。
【0040】
本例のシステムでは、サービスセンタ2の提供サービスは次のものが挙げられる。(1)渋滞情報の提供:統計情報と自車軌跡を比較して走行予定地域の交通状況を予測する。このサービスの必要通信帯域例(車両→センタ)は数kbps×車両台数である。(2)車両位置の管理:車両の動態管理であり、配送指示による高効率経営の実現を図る。このサービスの必要通信帯域例(車両→センタ)は数kbps×車両台数である。(3)テレメトリサービス:各種制御情報を車で収集し、ネットワーク経由で情報提供する。このサービスの必要通信帯域例(車両→センタ)も数kbps×車両台数である。(4)課金方式:限定受信,eコマースなどのユーザ管理である。このサービスの必要通信帯域(車両→センタ)はせいぜい数bps×車両台数である。(5)音声映像通信:MPEG,AAC等の標準フォーマットによる音声映像通信である。このサービスの必要通信帯域(センタ→車両)は数百kbps×番組数である。(6)セキュリティサービス:緊急情報システム(ヘルプネット)の適用である。このサービスの必要通信帯域(車両→センタ)は数
kbps×車両台数である。
【0041】
図2にアップリンク利用例として渋滞情報提供をする場合について説明する。この場合、図1のセンタ2は例えば渋滞情報センタ7となる。このセンタ7では交通情報の編集,交通情報の配信,各種情報マージ,走行車両情報の分析を行うことになる。このセンタ7と衛星1とは双方向通信されるわけだが、センタ7から衛星1に向けて交通情報8が送信され、逆にセンタ7では衛星1経由の走行車両データ9が受信されることになる。交通情報8は衛星1を介して各契約車両4に届くが、各車両4からは走行車両データ9が吸い上げられることになる。各車両は会員車両であるが、或いはプローブカー(道路情報などを把握する車)となる。いずれにせよ各車両は走行車両データ(位置,速度)を収集することになる。
【0042】
この例を日本を例に述べれば、例えば東京都内主要幹線道路で平均情報更新間隔を5分としたときに、全領域でリアルタイム情報をカバーすることにする。関東臨界地区平均車両速度約20km/h(東京都地域防災計画HPより)から5分間での移動距離は20×5/60=1.67kmであり、東京都内国道+都道道路総延長2625.0km(1998.4.1時点) 上下方向で2625.0×2=5250kmである。そこでリアルタイム情報取得に必要な台数として5250/1.67 =3150台あった方が効果的となる。次に、ある瞬間における東京都主要幹線道路の推定走行台数は平均密度×道路総延長=交通量/平均速度×道路総延長=(13190(12時間交通量)/12/20)×5250=
288,531 台であるから、従ってプローブカー率γ=3150/288,531=
1.09% となり、プローブカーが一定間隔で配置された場合、ランダム間隔でこの2〜3倍あることが望ましい。実際には、車載端末を備えた車両の一部しか走行していないことを考慮すると、東京都内の自動車保有台数(1996年末で二輪,特殊車両を除くと)4,108,109台であるとすれば、必要端末数=自動車保有台数×プローブカー率=4,108,109×1.09/100=44778個あることが効果的である。
【0043】
図3に渋滞情報の提供画面を示す。この図は走行地図上に速度別走行軌跡を示したものであり、例図では白黒図面上で識別し易いように実線を順調,破線を混雑,点線を渋滞としたが、実際にはこのように線種別ではなく色分けでも勿論良い。図中の符号10で示す部分には表示地図をスクール指示する矢印などと拡大,縮小の指示釦表示がある。符号
11は「プローブカー」をタイトルとする子画面であり、符号12は凡例である。尚、更に子画面として或いは独立して図4の運転者行動履歴や図5のような統計交通情報を表示しても良い。図5の統計交通情報は走行別帳票の自動作成として紙などに出力しても良く、いずれにせよ統計情報と自車軌跡を比較して走行予定地域の交通情報を予測することに供せる。尚、図5の各データ線は判別し易くする為、色分けすることが好ましい。
【0044】
次に呼損率シミュレーションを行った結果を図6に説明する。なお、ここで呼損率とは、情報を伝送しようとして、伝送できない割合(電話で、100回電話をして3回かからないと呼損率は3%)を言う。今回のデータでは呼損率は0.2(20%) で一見高く見えるが、リトライを行うことにより、つながる確立は大きく改善される。呼損率0.2 でリトライを3回(すなわち全部で4回信号を送る)すると、トータルの呼損率は0.2×0.2×0.2×0.2×0.2=0.0016、すなわちつながる率は0.9984になる。
【0045】
センタ2を基地局とし100チャンネル持っているとする。空きチャンネル情報で0.1秒間隔で衛星に向け情報を送出し、契約車両4等の移動体(10000台)で受ける。各移動体からは空きチャンネルに対しアロハ方式で衛星に送信し、基地局2で受けることとする。更に前提として(1)全国約5000万台の車の内10%、500万台を会員と仮定、(2)上記500万台の内20%の100万台が道路上で運行、(3)各車から10分周期で200byteの情報を収集、(4)回線は2kbps×10000回線(QPSK変調方式により所要帯域は20MHz)、(5)下り回線は、音楽放送,車への情報提供などに使用するが、原則同一コンテンツを対象全車に送るので、10MHzを分割して各コンテンツに周波数帯を割り当てるので、シミュレーション対象から除外、(6)上り回線について検討、とする。以上を前提にシミュレーションし、10分当たりの発呼数と呼損率及び回線使用率の関係で表すと図6のようになる。
【0046】
ここでアロハ方式とは、情報を伝送する場合に、伝送したい方がランダムに信号を発進して、ぶつかったら再送信(リトライ)をする方式で、特に情報発信の仕方を制御しない方式をいう(イーサーネットにおける、ぶつかったら時間を置いてリトライする方式もアロハ方式の一つである)。
【0047】
図6にて説明したシミュレーションをベースに移動体側と基地局との送受信関係の例をタイミングチャートで示すと、一例ではあるが図7のようになる。図中aはチャンネル使用権未確定状態で0.5 秒要し、bはチャンネル使用権確定状態で0.3 秒、cは通信終了待ち+空きチャンネル化伝達完了待ち状態で0.5 秒を要した。尚、dはシミュレーションタイムスライスで0.1 秒である。
【0048】
図6の横軸の10000の箇所が、本モデルにおいて、各移動体が10分に1回アップリンクを上げた場合に相当する。同図に示した理論最大回線使用率は、全体シーケンス時間がa+b+c+d(a,b,c,dは上表の値)、その内データの通信時間がa+bであることから、(a+b)/(a+b+c+d)で求められる。これは、各チャネルに淀みなく理想的に接続が行われた場合の、チャネル稼働時間に対するuplinkデータを受信している時間の割合であり、本シミュレーションでは57%である。同図から10分に1回の発呼で、呼損は2割程度であり、呼損を補うリトライ分を含めても、呼損3割以内に十分収めることができる。モデルの縮小率が、実システムに近づけば、呼の衝突する確率が相対的に小さくなるものと予想されることから、目的としている100万ユーザ1万チャンネルによるメガアクセスの場合においても、uplink帯域を充填し尽くすことなく、通信が可能である。このように、呼損率は約20%で済むから、リトライ分の帯域を考慮しても輻輳を回避できることになる。
【0049】
図8には基地局側の1チャンネル当たりの状態遷移を図説し、図9には移動体側1台当たりの状態遷移を図説する。
【0050】
図10は本発明につき日本全国をサービス対象領域とした場合の総合システム概念図である。衛星1を介してセンタ側送られる上り情報5は、事故,救急情報,エンジン/ブレーキ異常などの緊急情報と、位置・速度・方向,車の状態情報(エンジン,電気系,機械系)などの定周期情報である。一方、センタ側から衛星1を介して各車両に送られる下り情報6は、音楽情報,映像情報,ナビ情報,道路情報,緊急情報(呼出し),新車情報などである。この衛星に先の特開平11−34996号公報記載のような長楕円衛星システム(以下単に長楕円衛星という)を用いればサービス対象領域のあまねく広い全国網羅サービスを達成できることになる。尚、基地局側の中心は移動体総合情報総合管理システム13となり、ここには各種データベース14や分析システム15を備えることになる。この分析システム15を介して、車検情報やユーザ情報なら情報希望者16に、道路情報なら情報希望者17に、安全情報なら情報希望者18に配信される。情報希望者16は例えば車管理会社,車のメンテナンス会社,車のディーラーである。情報希望者17は例えば道路管理会社,監督官庁または監督機関である。情報希望者18は例えば保険会社である。
【0051】
図11に更にGPSとも組み合わせたシステムを例示する。尚、本例は長楕円衛星自身がGPS機能を持つことを妨げるものではない。GPS衛星19から各移動体(図では船舶や車)20に対しGPS信号が送られる。各移動体20と長楕円衛星1とは自動情報送信22が行われる。この双方向通信は衛星1,送受信信号23,アンテナ3,送受信信号24,情報センタ25,送受信信号26を介して情報利用・サービス提供者27に繋がっている。移動体20側から情報センタ25側に当該移動体20に関わる種々の情報を自動的に送信し、情報センタ25では、受信した情報をベースにサービス提供者27へ自動連絡することになる。移動体20が稼働状態、及び停止状態になったとき、及び緊急事態
(事故)発生時(送受信器が故障していないとき)には、移動体側からセンタ側に自動的に情報を送信する。これは基本的にランダムである。また、移動体20の稼働中(運転中)の送受信方式には、(1)センタ25側から10分毎に移動体を呼び出し、情報送信を要求し、これに答える形で移動体20側からセンタ25側に情報送信するやり方と、(2)移動体20側から10分毎にセンタ25側に情報送信するやり方とがあるが、いずれにするかは回線設計上有利な方式にすれば良い。
【0052】
図12,図13に図11のシステム例での双方向通信の例示動作を説明する。尚、この検討は回線仕様を1KHz(帯域幅),QPSK(伝送方式),2kbps(伝送速度)とし、自動送受信データ量は最大200Byte/台・交信(=1.6kb /台・交信)と仮定し、1交信に必要な時間は1秒を仮定し(回線速度からは200Byteは0.8 秒で送信完了する)、最大許容交信回数(1分当たりの1回線としての通信容量)は60回/分・回線とし、全交信帯域として10MHz取れるとして全回線数10000回線,論理的交信可能回数60万回/分とした。
【0053】
移動体20ではエンジン停止直後28に即時送信するが、情報受信確認信号が受信できなかった場合はG分間隔で最大H回送信する。例えばG=1,H=2である。情報受信確認信号受信またはF回送信完了後停止状態29となる。次いでキーインしてエンジン稼働直後30の状態になり、エンジン稼働B分後に送信情報受信確認信号を受信するまではC分間隔で繰り返し送信する。例えばB=1,C=2である。次に情報受信確認信号受信にてエンジン稼働中31の状態になり、情報送信要求信号受信後送信なるが、基本的にはD分毎に送信する。情報受信確認信号受信できなかったときはE分間隔で送信処理を継続する。例えばD=10,E=1である。次に事故発生にてセンサー作動し緊急状態32となる。緊急状態32では即時送信となり、情報受信確認信号が受信できなかった場合はF分間隔で送信処理を継続する。例えばF=1である。次に情報受信確認信号を受信してエンジン停止直後の状態となる。尚、エンジン稼働直後30,エンジン稼働中31,緊急状態32夫々からキーオフにてエンジン停止直後28の状態に至る。情報センタ25側と移動体20との間は、エンジン稼働直後30には情報受信確認信号送信が行われ、エンジン稼働中31には情報送信要求信号送信(ポーリング)と情報受信確認信号送信とが行われ、緊急状態32には情報受信信号送信が行われる。情報センタ25側では受信情報の確認,情報利用・サービス提供者への自動配信を行う。情報センタ25からは希望者毎に各種分析情報が情報利用・サービス提供者27へ送られ、受信情報の確認と必要なアクションが採られる。
【0054】
また、移動体20において、待ち受け状態33で呼び出し信号を受信すると呼び出し信号受信連絡処理34を行い、次いで要求情報収集処理35を経て要求情報送信処理36に至る。要求情報送信処理36においては、要求情報受信確認信号が受信できなかったときはM分間隔で送信処理継続となり、但し、自動送信処理中は当該処理終了後実行する、例えばM=1である。次いで要求情報受信確認信号受信にて終了37となり、更に待ち受け状態33に戻る。情報センタ25側では移動体20側での呼び出し信号受信連絡処理34からの呼び出し信号受信連絡信号をステップ39で受けるが、ステップ39では呼び出し信号受信連絡信号を受信するまでは繰り返し送信することになり、次にステップ40または41に移る。ステップ40では、繰り返し回数1回まではJ分間隔、繰り返し回数I回を超えたらK時間間隔で繰り返し送信とする。例えばI=10,J=1,K=12である。またステップ39で呼び出し信号受信連絡信号が無いときはステップ41になり、繰り返し回数L回を超えて応答がなかった場合は、繰り返し送信中断し、警報を出力する。例えばL=70である。尚、このステップ41では当該移動体20とのコンタクトが不能な状態になっている。ステップ40を経ると次にステップ38へ移り、移動体20側のステップ33へ呼び出し及び要求情報送信依頼信号を送ることになる。このステップ38では、特定移動体への呼び出し及び要求信号送信依頼信号を送信することになるが、これは情報利用・サービス提供者の要求により発信することになる。移動体側のステップ36から情報センタ25側のステップ42へは要求情報が送信され、逆にステップ42からステップ36へは要求情報受信確認信号を送信することになる。このステップ42では要求情報を受信するまでは最大N分間待ち状態となる。例えばN=1である。N分後ステップ43になり、更にステップ38に至る。ステップ43では、繰り返し回数P回まではQ分間隔、繰り返し回数P回を超えたら繰り返し送信中断し、警報出力する。例えばP=10,Q=1である。
【0055】
図14に移動体側送受信端末の基本機能を示す。すなわち、情報処理・蓄積機能49に対し夫々相互に、長楕円軌道衛星経由情報センタとの双方向通信機能44,PHS経由情報センタとの双方向通信機能45,携帯電話経由情報センタとの双方向通信機能46,マンマシンインタフェース(入出力)機能47,移動体情報モニタリング機能48が関係している。
【0056】
送信情報を表1に一覧する。
【0057】
【表1】

【0058】
図15は、本発明のシステム例の概念図である。図において、車両51からの車両状態情報は二つに分けられ、その一つである車両位置情報は車両51に設けた各種制御装置を載せた車載器52を介してアンテナ53から人工衛星54に発信される。車両位置情報は、ナビゲーション端末からの緯度・経度を含む情報でも構わない。尚、音楽及び/または映像の情報配信を契約の前提にしていることは本発明範囲故当然のこととして以下実施例説明の中ではこれらの点は詳細省略する。
【0059】
人工衛星54(衛星は、楕円軌道などを周回する準天頂衛星に分類される非静止衛星が好ましい)で反射される信号は、例えばS−バンド衛星通信・放送システム(一例として、長楕円衛星システム、以下HEOという)55によって車両情報として一括管理センタ56に送られる。
【0060】
車両には、車両運転状態を検知する各種のセンサーが設けており、車センサー情報が得られる。各種センサー情報の送信に先立って車種を判別するための車体情報、例えば車種,車体番号,製造年月日,登録都道府県名などの情報、或いは利用者情報などの情報が予め発信させて登録しておくことができる。また、車両にはカードリーダ/ライター57が設けてあり、利用者専用のカード58、例えば道路使用料金支払いのためのクレジットカードが設けられる。このカード58には、利用者情報、例えば利用者名,運転免許証取得年月日,運転歴,銀行振替口座番号などが記録される。また、このカードは、後述する車両保険を利用するときの利用料金を支払うためにも使用することができる。
【0061】
車体情報と車センサー情報の一部は概略情報として車載器52を介してアンテナ53から人工衛星54に発信され、車両位置情報と同じようにS−バンド衛星通信・放送システム55によって一括管理センタに収集される。
【0062】
残りの車両情報は、例えば汎用DSRC(専用狭域通信,DEDICATED SHORT RANGE
COMMUNICATION)58によって、ディーラー59を介して、或いは直接的に一括管理センタに入力,収集される。残りの車両情報としては、利用者情報および車センサー情報の一部である詳細情報並びに車体情報などがある。カード58を使用してのガソリンの購入は、ガソリンスタンド60を介して同様に情報として一括管理センタ56に入力,収集されてよい。このことによって燃費,エンジン情報が得られる。その他の車両情報は、バックアップ回線61である無線通信手段によって一括管理センタ56に入力,収集される。
【0063】
一括管理センタ56に収集された車両情報は、統計され、統計解析或いは診断解析に活用される。統計解析或いは診断解析に使用された車両情報は、コンピュータのデータベース(DB)69に記録されると共に、ネットワークバークボーン63、すなわち公衆回線,インタネットなどを介して損害保険会社64,完成車メーカ・部品メーカ65,中古車査定業者66,省庁・自治体67,レンタルカー管理業者68に情報提供される。勿論、この情報提供は無原則で行われるのではなく、契約その他の制約の下に行われることになる。また、個々の車両からの車両情報提供も無原則に行われるのではなく、契約その他の制約の下に行われることになる。また、情報提供を許す利用者に何等かの恩典が与えられてもよい。
【0064】
図16は車載器を示す。図において、送信装置71,カーナビゲーション装置72,車両の駆動系73および指示/補機系74から構成される。
【0065】
アンテナ53からの信号は送受信回路81と変調復調回路82を介して取り込まれ、変調復調回路82で復調され、送信受信制御回路83で暗号処理され、バス84を介し、
CPU85に取り込まれる。
【0066】
CPU85は、送信すべき情報を送信受信制御回路83で暗号処理するなど必要な処理を施し、変調復調回路82で変調し、送信受信制御回路83を介してアンテナ53から送信される。
【0067】
カードがカードリーダー/ライター57で読み取られリードライト制御回路86を介してCPU85に取り込まれる。逆にカードに書き込むデータはCPU85によりリードライト制御回路86に送られ、リードライト制御回路86はカードリーダー/ライター57を介してカードに書き込む。
【0068】
使用者は入出力部88を操作し、CPU85に処理を指示する。CPU85は必要な表示を入出力部88の表示画面89に表示し、また図示されていないが音声でも出力する。
【0069】
ナビゲーション装置72は、受信部91,表示部92,操作部93,アンテナ94を有し、現在位置や移動した経路,地図(道路情報)情報を記録しており、CPU85からの要求に応じ、必要な情報をCPU85へ供給できる。
【0070】
四角で囲んだ、アンテナ53,送受信回路81と変調復調回路82,送信受信制御回路83,CPU85,入出力部88,カードリーダー/ライター57,リードライト制御回路86からなる送受信装置71が本発明の実施に使用されるシステムであり、必要な情報を得るために他の装置やシステムと更につながっている。
【0071】
これらの装置やシステムは次の通りである。
【0072】
車の駆動系73は、エンジン制御装置95や自動変速装置96,ブレーキ制御装置97(アンチスキッド制御),パワーステアリング装置98、これらの装置の診断を時々刻々行う駆動系診断システム99からなり、これらは内部バス1000でつながっている。駆動系診断システム99はそれぞれの内部のセンサーの値が規定範囲を外れていないか、電圧や電流が規定範囲を外れていないか、を診断し、その内容を一定時間毎および不具合が検出される毎に記憶する。この記憶内容は駆動系インタフェイス101を介してCPU85に取り込まれる。
【0073】
指示/補機系74は、ライトや方向指示器,ブレーキの操作表示、等のライト指示灯制御装置102,パワーウィンドー制御装置103,車高の上げ下げや車のダンパー調整のための車高制御装置104,発電機やエアコン105からなり、これらは内部バス106でつながっている。これらの装置が正常に動作しているかどうかまたこれらは装置の操作の有無は指示/補機系診断システム107で診断され、不具合や使用状況が保持される。CPU85は必要に応じ、指示/補機系インタフェイス108を介してこれらの保持データを取り込むことができる。
【0074】
CPU85は、診断システム100,107の診断結果情報発信があると、その情報を人工衛星に送信するかどうかを判断し、送信するとしたときに送信受信制御回路83に診断結果の送信を指示する。この場合、送信受信制御回路83は、人工衛星に対し送信許可を求めるチャンネルを持っており、人工衛星から送信のためのチャンネルの割り当てを受け、このチャンネルを使用して人工衛星への送信が行われる。CPU85は、診断結果の送信に先立って当該車両の車種,車両、或いは利用者名等を送信受信制御回路83に指示して人工衛星に送信することによって一括管理センタ56にデータを入力させることができる。診断システム100,107に介さないで車両に載せた各種センサー情報の発信を受けてCPU85が同様の機能を果たしてセンサー情報を一括管理センタ56に入力し、収集された情報に基づいて診断を行うようにしてもよい。このようにしても車両情報を収集することができる。
【0075】
図17は各車両からの情報を受ける一括管理センタ側のシステムである。アンテナ111,送受信回路112,変調復調回路113,送受信制御回路114,CPU115,入出力部116は上と同じ機能を有する。CPU115とは別にコンピュータすなわち処理装置118を有する業務処理システム117があり、大量のデータを保持する。バス168を介してサーバ119がつながっている。業務処理システム117は、車種毎や利用者毎、車の製造番号毎にデータを整理し、サーバの保管をする。必要に応じ保管しているデータをサーバ119から取り出して提供する。
【0076】
図18に、衛星通信・放送システムの概要を示す。図において、150は放送局、160は放送用人工衛星(図15における54)、170はGPS衛星、180は車両、200はカーナビゲーションシステム、190はカーナビゲーションシステム200上の情報表示を表している。尚、カーナビゲーションシステム200は、受信装置を備える。また、カーナビゲーションシステム200は、車両180に搭載され、車上で位置検知,経路探索,情報提示を行う。
【0077】
また、240は放送局150からの衛星放送発信信号、155は放送用人工衛星160からの衛星放送信号、165はGPS衛星170からの位置確認用信号、220は情報の伝達対象となる全領域範囲、185は車両180の移動経路、210は全領域範囲220上における車両180の移動経路185に対応する領域、230は全領域範囲220上における情報を伝達する対象の領域、185は全領域範囲220上における車両180の現在存在する領域、を表している。
【0078】
今、情報の伝達対象となる全領域範囲220を、図15の様に小領域に区分するものとする。この小領域の区分に関する情報は、放送局150,カーナビゲーションシステム
200、ともに同一のものを保有するものとする。また、カーナビゲーションシステム
200は、車両180の位置を特定でき、また、衛星放送信号155を受信し、情報を提示できるものとする。
【0079】
放送局150は、情報を伝達する対象の領域を、領域230と決め、その情報に、領域230を特定する情報を付加して、衛星放送発信信号240で、放送用人工衛星160へ送る。衛星放送発信信号240を受けた放送用人工衛星160は、衛星放送信号155で、信号を転送する。
【0080】
一方、カーナビゲーションシステム200は、GPS衛星170からの位置確認用信号165を受信して、車両180の位置を求めている。また、カーナビゲーションシステム200は、全領域範囲220上における車両180の存在する領域175を特定している。また、カーナビゲーションシステム200は、運転者による予め入力により保有している、或いは、経路探索機能により求めた移動経路185から、対応する領域210を求めている。
【0081】
放送を受信すると、カーナビゲーションシステム200は、衛星放送信号155を受信し、含まれている情報,領域を特定する情報を取り出す。ここでは、領域230を特定する情報を取り出すことになる。カーナビゲーションシステム200は、車両180の現在存在する領域175,移動経路185,移動地点を求めることができる。
【0082】
放送用人工衛星160は、地上から見て、常に天頂方向に位置するような人工衛星とし、カーナビゲーションシステム200の受信感度を当該人工衛星に絞り受信するものであっても良い。その場合、ビルなどの建造物による受信障害を低減することができ、放送が中断することはない、各移動体の状況に応じた情報提示を行う放送システムを実現することができる。
【0083】
図19に車両状態情報の収集・解析および処理方法をフローチャートとして示す。この図において、まず(1)運転者である利用者が車両にキーインし、エンジンをスタートさせた直後に、自動的に車両から一括管理センタへ起動開始信号を発信する(S1)。通信方式は最も通話不能状態が少ないと思われる、HEO経路を中心とし、DSRCや携帯電話でも通信可能なものとする。
【0084】
次に(2)センタが上記信号を受信後、センタから車両に情報提供を許すかの確認メッセージを発信する(S2)。
【0085】
次に(3)運転者に情報提供を許可するかの確認をする(S3)。確認内容提供方法としては、音声応答かまたはディスプレイ表示による。回答方法は、車載器の2つ以上のボタンによる。
【0086】
(4)提供許可な場合のみ、個別の車両についての個別車両情報収集され、統計がなされる(S4)。また、これらのデータに基づいて、例えば、保険会社別などの目的別車両情報収集・統計がなされる(S5)。
【0087】
(5)提供許可な場合のみ、サービスポイントを積算するシステムが立ち上がる(S6)。このサービスポイントは走行距離や、エンジン始動中の時間に比例して増える仕組みとし、たくさん乗車すればするほど、受けられるサービスが増える仕組みとする。サービスポイントは車毎だけでなく、利用者毎に管理できるものとし、それには各自のIDカードを車載器に差し入れ、年齢・性別・血液型などの情報が送信されるものとする。
【0088】
(6)ここで車両状態情報とは以下をさし、提供許可の場合でも、公開するレベルは選択できるものとする。(1)車両位置情報:ナビ端末から緯度・経度情報、(2)車両制御情報:ブレーキ量,ハンドル確度,アクセル開度,ギア数,ABS作動時間,VSC作動時間、(3)車両部品状態情報:油温,油圧,電圧,燃料残量,CPU状態,マフラー温度、VSC:横滑り抑上制御機構。
【0089】
(7)データを暗号化し(S7)、センタへ送信する(S8)。ここまでが情報収集機能である。引き続き情報処理・解析機能について説明する。そして(8)データをセンタにて複合化し(S9)、(9)各メーカの車種毎に生データを保存DB化する。
【0090】
(10)車種毎に統計解析を実施(S10,S11)する。すなわち、(1)他社に対して特徴を出す機能として取り付けた、新機能がどれくらい使用されているか?,(2)車種毎の利用形態に特徴が無いか?,Ex.時間帯・曜日・商用か否か?である。
【0091】
(11)部品毎の性能解析を実施(S10,S12)する。すなわち、(1)温度に異常はないか?,(2)圧力に異常はないか?,(3)製品寿命は妥当か?である。そして(12)解析データをDBに保存する(S13)。
【0092】
次に、完成車メーカ・部品メーカ向けデータ提供サービスについて説明する。前述のフローの情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータを、完成車メーカまたは部品メーカに販売・提供するサービスである。(1)完成車メーカまたは部品メーカからの購入希望により、ネットワークを介してデータを販売提供する(S14,S15)。ネットワークは公衆網全搬で顧客ニーズに合う手段を選択できる。(2)データは他社に傍受されないよう、暗号化して送付する。(3)受信したメーカはデータを以下のように活用することが期待できる。
【0093】
次に統計解析データの応用について説明する。(1)ある車種が、どの世代に、どのような曜日のどんな時間帯に使用されているかの統計解析情報を分析し、その車種の不足している機能や、余分な機能,価格設定などの検討を行う。(2)他社に対して特徴を出す機能として取り付けた、新機能がどれくらい使用されているかを確認し多く用いられている場合は、他車種への適用を検討,利用が少ない場合は標準装備からはずしたり、価格設定の見直し、その機能の採用取り止めなどの検討を行う。(3)ディーラーに現在の年齢・性別に応じた売れ筋の車種,機能を紹介し、顧客の世代・性別に応じた販売PRが可能である。
【0094】
次に部品毎の性能解析データの応用を説明する。(1)部品毎の故障頻度を把握する事で、その製品寿命の妥当性を検証できる。(2)ユーザ(運転実)からの異常連絡があった際に、その前後の生情報及び性能解析データをパッケージ化して、修理業者・ディーラーに提供し、再現しにくい異常の原因把握に役立てる。
【0095】
次に、中古車関連業者向けデータ提供サービスについて説明する。システム例1の情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータを、中古車販売業者やディーラーに販売・提供するサービスである(S18)。(1)車を購入しようとしている者が自分の車の査定額を把握するため、センタに接続、(2)センタでは、査定依頼のあった車の点検履歴や、走行距離,車種・形式に加え、機器の内部状態を把握するための情報(Ex.エンジン制御情報,ハンドル角速度情報,ABS累積作動時間,VSC累積作動時間など)や車に害する位置の通過情報(海岸,雪上:両方共に塩害)などから、査定額を木目細かに、決定、(3)上記方式は、下取り車を持ち込む可能性の高い、ディーラーや中古車販売業者,解体業者,自動整備工場にもサービスすることができる。
【0096】
次に、環境庁向けデータ提供サービスについて説明する。前述したフローの情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータの内、環境に関わる情報を環境庁に提供するサービスである。(1)エンジンから排出される、有害ガスが環境基準値をクリアしているかを、無作為にピックアップして、検査。(2)車種毎に統計解析し、基準値をクリアしない車種がある台数以上見つかった場合、環境庁はメーカにその車種の改善勧告をする。
【0097】
レンタカー会社及びレンタカー利用者向けデータ提供サービスについて説明する。前述したフローの情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータの内、位置情報をレンタカー会社に提供するサービスである。
【0098】
レンタカー会社向け:(1)レンタカーやCOMMUNITY TRANSPORT で利用される車のレンタル期限が過ぎると、レンタカーが自車位置をHEO経由でセンタに自動送出。(2)センタから車管理会社に送信し、管理会社が期限切れした車のモニタリングを可能とする。提供方法としては、a)緯度・経度情報,b)地名情報,c)地図表示グラフィック画面情報が考えられる。ここでコミュニティトランスポートとは、ある地域内で共同利用乗り捨てを可能とする都心版レンタカーシステムである。
【0099】
レンタカー利用者向け:(1)今回の分担で別の該当ではあるが、その地域のコマーシャル情報を利用者に送信するサービス。(2)コマーシャル提供会社とレンタカー会社が提携し、利用者がコマーシャル情報を流す事を受け入れた場合は、レンタル料をキャッシュバックする。(3)提供媒体はナビ用モニタか、音声だけによる提供が考えられる。
【0100】
自治体ELECTRONIC ROAD PRICING 向けデータ提供サービスについて説明する。前述したフローの情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータの内、ある規制エリア通過情報
(自治体境界など)・進入時刻・規制エリア内移動中積算時間を自治体に提供するサービスである。(1)規制エリアに接近した車は、自動的にHEO経由センタの自動発信し、HEO(長楕円衛星、以下同じ)から●規制エリアであること●現在通過すると一定時間でいくら徴収されること、を車に知らせる。規制エリアに入った事の判断は、車載のGPS機能連動による位置情報把握や、HEOを用いず路側DSRCで検知する方法がある。
(2)上記(1)が連絡された後に、規制エリアを通過したかどうかを車載器側で常時チェックし、通過した時点で、進入時刻とその車の利用実,エリア移動中積算時間をHEO経由でセンサー側に送信。(3)決済方法としては、事後一括請求とETCによる即時決済,プリペード支払がある。
【0101】
損害保険会社向けデータ提供サービスについて説明する。前述したフローの情報収集・処理/解析機能で貯えられたデータを、損害保険会社に料率算定や事故責任割合の算定などのために販売・提供するサービスである(S14)。(1)車を利用している時間帯だけ保険料を払うサービスが提供できる。オンデマンド保険(頻繁に車に乗らない人向け、WEEKEND 利用者向き。保険を年間契約せずに安価に)支払方法については、これまでの前払い方法に加え、一定期間(Ex.1ヶ月)分纏めた後払い方式や、ETCカードによる即時決済,運転終了時にカード決済するなどの方法も考えられる。(2)走行位置を、よく利用する道と、そうでない(初めての)道,事故の多く発生する場所とそうでない場所などの通過を判別し、保険料を算出する。なおプライバシーの保護から、必ずしも緯度・経度の情報を提供しなくてもよく、車載器内で、上記判別を行いそれぞれに対応したコード情報を送信するのでも良い。例えば、過去1年以内に利用していない道を0、その反対を1、事故多発箇所の通過を2などとし、いつどこを移動したかまで提供しないでも良い。
【0102】
以下、車両保険料について損害保険会社向けの車両情報提供サービスについて図20のフローチャートを使用して詳細に説明する。この例も今までと同様、当該車両について音楽/映像配信契約を結んである。(1)運転者である利用者が車両にキーインし、エンジンをスタートさせた直後に、自動的に車両から一括管理センタへ起動開始信号を発信する(S21)。これによって、図16に示すフローによって、(1)車両位置情報、(2)車両制御情報、(3)車両部品状態情報が行われ、前述したようにこれらの情報に加えて車種,利用者名等の添付情報が別途一括管理センタに収集されていき、統計される。
【0103】
(2)センタにて車種,利用者名から利用料金算出し、その車両に料金案内と確認メッセージ発信する(S22)。保険を利用するかどうかの判断が車両の利用者に求められる(S23)。この例では、車両から車両保険を利用するかどうかを問合せしてその場での契約締結を行うようにしているが、この契約を予めしておくことは勿論可能であり、その場合に期限を限って一定期間とすることができる。また、この例のように短期間、すなわちその日のみとか、旅行日程に合わせた日数とかを設定することができる。ここでは、これらの期間も契約上明示されることになるので一定期間として取扱う。
【0104】
(3)保険を利用することが発信されると、一定時間おきに積算された、車利用時間データ,通過データを車載器で暗号化し、センタに送信される(S24)。一定時間おきではなく、継続して測定することもできる。この場合、収集による記録は特異事項のみにとどめることができる。ここでは、運転時間データが求められ、このデータは課金対象時間データ計算のために使用される。契約の内容によって全運転時間が課金対象時間になる場合もあるし、一部の運転時間を以って課金対象時間とすることもできる。更に車両の通過する既知/未知/事故多発地点についての通過データが収集される。これらの地点についてはセンタにおける中央管理システムが登録を行うか、或いは未登録であることを確認できる。その他の運転或いは車両情報をデータ化しても良い。例えば、急ブレーキ,急ハンドル,急発信の頻度と各々の項目の加速度積算値データを収集しても良い。また、地点でなく、その地点を含む領域としても良い。ここでは地点について説明する。これらのデータは、センタで復号化し(S25)、ユーザ別に生データとして記録される(S26)。すなわち損害保険会社(損保),料金計算アウトソーシングサービス会社及び利用者向けに生データが記録される。
【0105】
(4)収集,統計されたデータは、生データの損保向け販売に利用され(S27)、また料金計算アウトソーシングサービス会社に提供される(S28)。また、別途、整備履歴情報がデータとして保険料計算に反映されるべく当該料金計算アウトソーシングサービス会社に提供される(S29)。過去の定期点検・整備履歴情報、例えば整備後の経過日数は?等が収集される。車両にメモリがあれば、車両から発信し、なければ車整備業者からネットワークを経由して収集する。
【0106】
(5)このサービス会社は、運転時間データに基づいて課金対象時間を計算し、確定し、例えば回数券精算計算後払課金計算を行う。また、通過データによる既知地点は安く、未知地点は高く、事故多発点は高く保険料率を設定し、計算を行う。ここでは、この設定を保険料重み付けと称する。基礎保険料に対する保険料率でなく、保険料そのものを計算してよいことは当然である。
【0107】
契約された車両について一定期間内における運転時間を求めて収集し、かつ当該車両の運転で通過した地点(前述したように移動経路,領域を含む。)についての通過データを求めて収集し、前記運転時間データから課金対象時間データを、そして該課金対象時間データ,通過データの一方または双方に基づいて保険料重み付けを設定し、課金対象時間データ,通過データおよび保険料重み付けに基づいて保険料請求額を計算し、表示を行う。勿論、運転時間データから何ポイント、特定した地点を通過した点数から何ポイントであるかを計算し、該ポイントに基づいて保険料請求額を算定することができる。この手法であっても、計算対象として課金対象時間を設定し、通過データを使用し、何ポイントであることを設定することが保険料重み付けを採用していることになる。また、この保険料重み付けのため、車両制御情報,車両部品状態情報,車両(例えば古いか新しいか)及び利用者についての利用者情報,整備履歴情報の1つまたは組み合わせてその他の情報として使用されても良い。
【0108】
(6)保険料請求額に基づいて利用者請求処理が行われる(S32)。例えば、前述したカードからの銀行引き落しが後払い方式によってなされることになる。この利用者請求処理は、車両或いはその部品製造メーカに対するPL(PRODUCT LIABILITY)保険料請求処理,事故時過失割合分析に基づく保険料請求処理を含む。
【0109】
尚、前述した車両状態情報を確実に収集し、統計することによって統計分析を行うことができるから現行の先払い方式による車両保険料の支払い額を更新の契約時に見直して料金を改定することが可能である。
【0110】
以上本発明を車両保険に用いた場合には、車両の利用頻度,利用状況をリアルタイムで統計的に把握できるようになるため、車両の利用頻度,利用状況に対応した料金支払請求処理を行うことができる。これによって年間契約による料金支払いに限定されることなく保険の契約の仕方を多様化させることができる。例えば、保険料金の支払が後払い方式となる。
【0111】
具体的には、HEOを用いて、日本全国に広がった車両の概略状態情報をセンタで一括管理し、かつDSRCやIMT−2000などの広帯域移動体通信との連携により、詳細状態情報も収集、このデータをマイニングし、その情報を有償提供するサービスが提供される。
【0112】
図21に「音楽・放送+双方向通信」の基本ビジネスにおける情報サービスの流れ、及び契約金の流れを示す。
【0113】
車両4を所有する移動体利用者400と放送音楽会社(放送,音楽を配信する会社)
300、及び移動体総合情報管理システム管理会社13の間の契約により、移動体総合情報管理システム13に対して音楽及び/または映像を放送し、移動体総合情報管理システム管理会社13から移動体利用者400に向けて音楽・映像放送サービスを提供する。その見返りに移動体利用者400は移動体総合情報管理システム管理会社13に対して音楽・放送受信料を支払い、管理会社13から放送音楽会社300に対しては音楽放送提供料を支払う。本発明においては、多数の利用者の受信料を管理会社が纏めた上で放送音楽会社へ払っても良い。
【0114】
料金支払の実際はファイナンス会社に委託しても良いし、銀行振込など多種多様可能である。本発明は、移動体利用者が、音楽・映像をサービスの基本として受け取り、それに対する受信料を支払うが、その受信機と同じ装置(すなわち送受信装置として活用)で、移動体利用者が自ら意識しないで定周期で情報を発進することを可能としており、これら発進情報を管理システムで、分析して付加価値のある情報とすることにより、新たなサービスを生み出すようにして、移動体利用者の利便性を高めると共に、受信料の補填が可能となるようにする点にある。
【0115】
利用者の受信料は管理会社がまとめて、コンテンツ提供料として放送音楽会社に支払う。従って、管理会社は受信料収集と、受信者確保のリスクを負い放送音楽会社には一定額の放送・音楽コンテンツ提供料を支払う。放送・音楽会社はあくまでもコンテンツを供給する役割であり、従って放送・音楽コンテンツ供給会社と同義である。総合管理会社が衛星を所有し、アップリンクする(別途会社を経由する可能性はあるが、実施態様上はアップリンクする)。要するに放送・音楽受信用の端末と、発信用の端末を共用化することにより、サービスの利便性を高めることが本発明の狙いである。保険会社とシステム会社の間にも相互情報交換契約は締結される。すなわち、日頃の運転状態から、急ブレーキが少ないなどと判明した利用者は保険料の低減を受けられる。車の運転者は放送・音楽を聴いているだけで無意識の内に情報が発進し、これら情報が多数の運転者から集められて分析されることになる。
【0116】
以上の放送契約成立を前提として、車管理会社16(メンテナンス会社,ディーラー,自動車会社など)は移動体総合情報管理システム13経由でユーザ400に対して新車情報,顧客別広告を提供する。ユーザ400からは移動体総合情報管理システム管理会社
13に対して移動体設備運用情報,位置情報とその時刻,緊急/事故発生情報が提供される。管理会社13からは、移動体設備運用情報は移動体設備・運用分析情報として、位置情報・時刻は渋滞分析情報や緊急/事故発生情報として車管理会社16に送られる。また車管理会社16からは総合管理システム管理会社13を経由して当該ユ−ザに緊急対応情報が提供され、システム会社から移動体利用者400へは緊急対応情報が提供される。なお、移動体総合情報管理システム13と車管理会社16との間では相互情報交換契約が締結されている。
【0117】
また道路管理会社17(監督官庁,監督機関,警察を含む概念)と移動体総合管理システム会社13との間でも相互情報交換契約がなされており、道路管理会社17からは道路情報・ナビ情報がシステム会社13に提供され、システム会社13からは渋滞分析情報,緊急/事故発生情報が道路管理会社17に提供される。更に保険会社18からシステム会社13へは、保険会社18から緊急対応情報が提供され、逆にシステム会社13から保険会社18へは緊急/事故発生情報や移動体設備・運用情報が提供される。なお、システム会社13から保険会社18へは緊急対応料・保険料が支払われる。
【0118】
システム会社13から移動体利用者400へは道路管理会社17から提供された道路情報やナビ情報が配信されるが、前提として利用者400〜システム会社13の間では相互情報交換契約が締結されており、利用者400は道路情報使用料をシステム会社13に支払い、また緊急対応料・保険料をシステム会社13経由で保険会社18へ支払うことになる。なお、緊急対応料・保険料は直接保険会社に支払う方法もあり、システム会社経由に際して手数料が加わることも本案の範囲である。更に、移動体総合情報システム社13と国家・自治体500内では諸情報の緊急利用が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施例のシステム概念図である。
【図2】本発明の実施例のシステム概念図である。
【図3】本発明の実施例を用いた場合の渋滞情報提供の例示画面である。
【図4】本発明の実施例を用いた場合の運転者行動履歴の例示図面である。
【図5】本発明の実施例を用いた場合の統計交通情報の例示部分画面である。
【図6】本発明の実施例を用いた場合の呼損率シミュレーション結果の特性図である。
【図7】本発明の実施例に係る、移動体と基地局の送受信関係図である。
【図8】図7における基地局側の状態遷移図である。
【図9】図7における移動体側の状態遷移図である。
【図10】本発明を用いた移動体総合情報管理システム例の概念図である。
【図11】本発明を用いた移動体総合情報管理システム例の概念図である。
【図12】本発明の実施例システムを用いた場合の双方向通信動作図である。
【図13】本発明の実施例システムを用いた場合の双方向通信動作図である。
【図14】本発明の実施例システムを用いた場合の送受信端末の基本機能説明図である。
【図15】本発明の実施例のシステム概念図である。
【図16】車載器の機能を示すブロック図である。
【図17】一括管理センタの機能を示すブロック図である。
【図18】放送システムの機能を示す概念図である。
【図19】車両状態オンライン管理方法を示すフローチャート図である。
【図20】車両情報提供サービス方法を示すフローチャート図である。
【図21】「音楽・放送+双方向通信」の基本ビジネスを示すビジネスフロー図である。
【符号の説明】
【0120】
1,54…人工衛星、2…サービスセンタ、3,53…アンテナ、4,51…契約車両、5,6…双方向通信、7…渋滞情報センタ、8…交通情報、9…走行車両データ、10…指示釦表示、11,12…子画面、13…移動体総合情報総合管理システム、14…データベース、15…分析システム、16,17,18…情報希望者、19…GPS衛星、20…移動体、25…情報センタ、27…情報利用・サービス提供者、52…車載器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽配信及び/または映像配信の契約車両の各車両に対し、衛星を介して音楽及び/または映像を配信すると共に、各契約車両から該車両の定周期情報を前記衛星経由で受信し、当該受信情報を車両毎に分析して該分析情報を予め定められた分析情報提供先へ送信することを特徴とする車両管理方法。
【請求項2】
音楽配信及び/または映像配信の契約車両の各車両に対し、衛星を介して音楽情報,映像情報,ナビ情報,道路情報,緊急情報,新車情報の群から選ばれる情報を1または2以上配信すると共に、各契約車両から該車両の定周期情報を前記衛星経由で受信し、当該受信情報を車両毎に分析して該分析情報を予め定められた分析情報提供先へ送信することを特徴とする車両管理方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記定周期情報は、当該車両の位置,速度,方向,車の状態情報の少なくとも一つであることを特徴とする車両管理方法。
【請求項4】
請求項1または2において、前記各契約車両から前記衛星に向けて送信される定周期情報に加え、当該車両に関する緊急情報も送信することを特徴とする車両管理方法。
【請求項5】
請求項1または2において、前記分析情報提供先は、保険会社,道路管理会社,監督官庁,監督機関,車管理会社,車メンテンナンス会社,車のディーラーの群から選ばれる者であることを特徴とする車両管理方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記衛星は楕円軌道を周回する非静止衛星であることを特徴とする車両管理方法。
【請求項7】
請求項1において、車から定周期で発進する情報を定周期より短い周期で記憶装置に蓄積し、まとめて定周期で発進することを特徴とする車両管理方法。
【請求項8】
音楽配信及び/または映像配信の契約車両の各車両に対し、衛星を介して音楽及び/または映像を配信すると共に、各契約車両から該車両の定周期情報を前記衛星経由で受信し、当該受信情報を車両毎に分析して該分析情報を予め定められた分析情報提供先へ送信し、前記定周期情報が運転時間と運転した地点,領域または経路の通過データであることを特徴とする車両管理方法。
【請求項9】
請求項1,2または8において、対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置を求めて収集し、かつ車両制御情報、または車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両からDSRC(専用挟域通信)あるいは携帯電話などの移動体通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集することを特徴とする車両管理方法。
【請求項10】
請求項1,2または8において、対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集し、かつ車両センサー情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両からDSRC(専用狭域通信)あるいは携帯電話などの通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集すること、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報および利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集することを特徴とする車両管理方法。
【請求項11】
請求項1,2または8において、対象車両に設けたアンテナから人工衛星に発信した信号の反射信号によって車両位置情報を求めて収集し、かつ車両制御情報および車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって、または当該車両からDSRC(専用狭域通信)あるいは携帯電話などの通信装置を介して送信して、当該送信信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集し、車両に搭載された診断システムから注出された自動車状態情報を当該診断システムの診断結果情報発信指示に基づいて当該車両から人工衛星に発信し、該人工衛星から反射された信号を受信し、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報および利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集することを特徴とする車両管理方法。
【請求項12】
請求項1,2または8において、対象車両の車両制御情報、または車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集することを特徴とする車両管理方法。
【請求項13】
請求項1,2または8において、対象車両の車両センサー情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって収集して個別の車両状態情報を収集することと、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報および利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集することを特徴とする車両管理方法。
【請求項14】
請求項1,2または8において、対象車両の車両制御情報および車両部品状態情報を当該車両に設けたアンテナから人工衛星に発信し、人工衛星で反射された信号を受信することによって車両に搭載された診断システムから注出された自動車状態情報を当該診断システムの診断結果発信指示に基づいて当該車両から人工衛星に発信し、該人工衛星から反射された信号を受信し、当該車両について別途入力された車種,車番などの車体情報および利用者情報と合わせて個別の車両状態を収集することを特徴とする車両管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−79600(P2006−79600A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233899(P2005−233899)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【分割の表示】特願2001−56117(P2001−56117)の分割
【原出願日】平成13年3月1日(2001.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ヘルプネット
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】