説明

車体前部構造

【課題】パワートレインを支持するペリメータフレームを備えた車体前部構造において車両運転時の応答性を向上させる。
【解決手段】略矩形枠状に形成され且つ後端部が車室部下部のフロアフレーム13、13の前端部に取り付けられると共に、パワートレインPTを支持するペリメータフレーム3と、左右一対の各サスペンションダンパ63の上端部が取り付けられる左右一対のサスペンション支持部22と、ペリメータフレーム3の左右一対の側辺フレーム33それぞれに取り付けられて前輪を支持する左右一対のロアアーム61、61とを備える車体前部構造であって、左右それぞれの側においてペリメータフレーム3の各側辺フレーム33と各サスペンション支持部22とを連結する前側サスタワーメンバ43及び後側サスタワーメンバ44をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワートレインを支持するペリメータフレームを備える車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペリメータフレームを備える車体前部構造が知られている(特許文献1参照)。このペリメータフレームは平面視で略矩形枠状をした高剛性の部材であって、重量物であるパワートレインが支持される。そして、このペリメータフレームはボディに取り付けられている。
【0003】
詳しくは、特許文献1に係る車体前部構造では、ペリメータフレームとボディとを、スペーサを介して剛結状態で連結したり、水平方向の揺動を規制する規制手段を内蔵するマウントゴムを介して連結したりしている。
【特許文献1】特開平8−40301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る車体前部構造では、ペリメータフレームがスペーサ又はマウントゴムを介してボディに連結されているため、重量物であるパワートレインの荷重は、ペリメータフレームから、スペーサ又はマウントゴムとボディとを介してボディに設けられたサスペンション装置まで伝達することになる。このように、ペリメータフレームをボディに取り付けて、パワートレインの荷重がボディを介してサスペンション装置に伝達する構成においては、パワートレインの荷重がサスペンション装置に伝達するまでの経路が長くなる。それと同時に、ペリメータフレームとボディとを連結する必要があるため、パワートレインとサスペンション装置との間の結合剛性が低くなる。その結果、車両運転時の応答性が悪くなって車両の操縦性が低下してしまう。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パワートレインを支持するペリメータフレームを備えた車体前部構造において車両運転時の応答性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パワートレインを支持するペリメータフレームと、サスペンションダンパの上端部が取り付けられるサスペンション支持部とを連結するようにしたものである。
【0007】
第1の発明は、前辺部、後辺部及び左右一対の側辺部を有して略矩形枠状に形成され且つ後端部が車室部下部に取り付けられると共に、パワートレインを支持するペリメータフレームと、左右一対の各サスペンションダンパの上端部が取り付けられる左右一対のサスペンション支持部と、上記左右一対の側辺部それぞれに取り付けられて前輪を支持する左右一対のサスペンションアームとを備える車体前部構造が対象である。
【0008】
そして、左右それぞれの側において上記ペリメータフレームの各側辺部と上記各サスペンション支持部とを連結するサスタワーメンバをさらに備えるものとする。
【0009】
上記の構成の場合、最重量物であるパワートレインの荷重を、ペリメータフレームからサスタワーメンバを介してサスペンション支持部に伝達させることによって、パワートレインの荷重がサスペンションダンパにより直接的に作用するため、車両運転時の応答性を大きく向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、車幅方向に延びて、その両端部それぞれが上記左右一対の各側辺部と上記サスタワーメンバとの結合部と車体前後方向において同じ位置で該各側辺部に結合されると共に、上記パワートレインの支持マウントが取り付けられる底部クロスメンバをさらに有するものとする。
【0011】
上記の構成の場合、支持マウントを介して底部クロスメンバに作用したパワートレインの荷重は、該底部クロスメンバの両端部から各側辺部に伝達する。そして、各側辺部の、底部クロスメンバの両端部が取り付けられている部分は、上記サスタワーメンバが側辺部に結合されている部分と車体前後方向において同じ位置であるため、側辺部に伝達するパワートレインの荷重は、サスタワーメンバを介してサスペンション支持部へ効率よく伝達する。つまり、パワートレインの荷重がサスペンションダンパまで伝達する距離を可及的に短くすることによって、パワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に作用させて、車両運転時の応答性を向上させることができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記各サスタワーメンバは、左右それぞれの側で、上記各サスペンション支持部から車体前方斜め下方に延びて上記各側辺部に結合される前側サスタワーメンバと、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて上記各側辺部に結合される後側サスタワーメンバとを有するものとする。
【0013】
上記の構成の場合、前側サスタワーメンバと後側サスタワーメンバと側辺部とによって上記サスペンション支持部を頂点とする三角形状のトラスが形成されて、ペリメータフレームとサスペンションダンパとの結合剛性を向上させることができ、その結果、ペリメータフレームで支えるパワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に作用させることができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、上記各サスペンションアームは、上記各側辺部における上記各前側サスタワーメンバとの結合部と上記各後側サスタワーメンバとの結合部との間の部分にピボットを介して取り付けられるものとする。
【0015】
上記の構成の場合、上記前側サスタワーメンバと後側サスタワーメンバとサスペンションダンパとサスペンションアームとによって上記サスペンション支持部を頂点とする略四角錐が形成されるため、高剛性のサスペンション装置を形成することができ、その結果、ペリメータフレームで支えるパワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に作用させることができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜第4の何れか1つの発明において、上記車室部下部には車体前後方向に延びて配設される左右一対のフロアフレームが設けられており、上記ペリメータフレームの後端部は、上記左右一対のフロアフレームの前端部に取り付けられており、左右それぞれの側において、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて該ペリメータフレームの後端部に結合される第2のサスタワーメンバをさらに備えるものとする。
【0017】
上記の構成の場合、サスペンション支持部と側辺部とが上記第2のサスタワーメンバによってさらに連結されるため、ペリメータフレームとサスペンションダンパとの結合剛性をさらに向上させることができる。それに加えて、車両衝突時には上記サスペンション支持部に作用する衝突荷重を第2のサスタワーメンバを介して車室部下部のフロアフレームに伝達させることができ、その結果、衝突荷重をフロアフレームに分散させることができるため、衝突荷重による車室部の変形を可及的に抑制することができる。
【0018】
第6の発明は、車室部よりも車体前方に配設されたラジエータシュラウドと、前辺部、後辺部及び左右一対の側辺部によって略矩形枠状に形成されて、前端部が上記ラジエータシュラウド下部に取り付けられる一方、該各側辺部の後端部が車室部下部において車体前後方向に延びて配設される左右一対の各フロアフレームの前端部に取り付けられると共に、パワートレインを支持するペリメータフレームと、上記ラジエータシュラウドと車室部との間に設けられ、左右一対の各サスペンションダンパの上端部が取り付けられる左右一対のサスペンション支持部と、上記左右一対の側辺部それぞれに取り付けられて前輪を支持する左右一対のサスペンションアームとを備える車体前部構造が対象である。
【0019】
そして、左右それぞれの側において、上記各サスペンション支持部から車体前方斜め下方に延びて、上記ペリメータフレームの各側辺部と上記各サスペンションアームとの結合部よりも車体前後方向における前方位置で該側辺部に結合される前側サスタワーメンバと、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて、上記ペルメータフレームの各側辺部と上記各サスペンションアームとの結合部よりも車体前後方向における後方位置で該側辺部に結合される後側サスタワーメンバと、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて、上記ペリメータフレームの各側辺部の後端部に結合される第2のサスタワーメンバと、上記各サスペンション支持部から車体前方に延びて、上記ラジエータシュラウド上部に結合される第1前側アッパフレームと、上記各サスペンション支持部から車体後方に延びて、車室部の前端部を構成するカウル部に結合される後側アッパフレームと、上記各サスペンション支持部から車体前方に延びて、上記ラジエータシュラウドと上記第1前側アッパフレームとの結合部よりも下方位置で該ラジエータシュラウドに結合される第2前側アッパフレームとをさらに備えるものとする。
【0020】
上記の構成の場合、前方衝突時にラジエータシュラウドに作用する衝突荷重は、第1前側アッパフレームと後側アッパフレームとを介してカウル部に効果的に伝達されると共に、該ラジエータシュラウドに作用する衝突荷重は、ペリメータフレームを介して車室部下部に効果的に伝達される。このように衝突荷重を車室部の上部と下部とに分散させて伝達させることができ、衝撃吸収性を向上させることができる。その結果、車室部の変形を可及的に抑制することができる。
【0021】
また、第2前側アッパフレームを設けることによって、側面視で、第1前側アッパフレームと第2前側アッパフレームとラジエータシュラウドとで略三角形が形成されるため、ラジエータシュラウド、第1前側アッパフレーム、第2前側アッパフレーム、及びペリメータフレームの前側部分で構成される、サスペンション支持部よりも車体前方のフレーム構成体の剛性を向上させることができる。
【0022】
また、上下のフレームは、前側サスタワーメンバ、後側サスタワーメンバ及び第2のサスタワーメンバによって連結されることになるため、いわゆるトラス構造となって、サスペンション支持部の補強のみならず、全体的な高剛性化、特に高いねじり剛性を確保することができる。さらには、上記ペリメータフレームや第1前側アッパフレームや前側サスタワーメンバ等のフレーム部材による所謂スペースフレーム構造となっているため、全体として高い剛性を保持しつつ軽量化を図ることができる。
【0023】
さらに、第1の発明と同様に、ペリメータフレームが前側サスタワーメンバと後側サスタワーメンバとによってサスペンション支持部に連結されているため、最重量物であるパワートレインの荷重を、ペリメータフレームからサスタワーメンバを介してサスペンションダンパにより直接的に作用させて、車両運転時の応答性を大きく向上させることができる。それに加えて、ラジエータシュラウド、ペリメータフレーム、前側サスタワーメンバ、後側サスタワーメンバ、第2のサスタワーメンバ、第1前側アッパフレーム、第2前側アッパフレーム及び後側アッパフレームによって構成されるフレーム構造体にサスペンション支持部が支承されているため、パワートレインとサスペンションダンパとの結合剛性を向上させることができ、パワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に作用させて、車両運転時の応答性をさらに向上させることができる。また、第3の発明と同様に、前側サスタワーメンバと後側サスタワーメンバと側辺部とによって上記サスペンション支持部を頂点とする三角形状のトラスが形成されて、ペリメータフレームとサスペンションダンパとの結合剛性を向上させることができ、その結果、ペリメータフレームに作用するパワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に伝達させることができる。さらにまた、第4の発明と同様に、上記前側サスタワーメンバと後側サスタワーメンバとサスペンションダンパとサスペンションアームとによって上記サスペンション支持部を頂点とする三角錐が形成されるため、高剛性のサスペンション装置を形成することができ、その結果、ペリメータフレームに作用するパワートレインの荷重をサスペンションダンパにより直接的に伝達させることができる。また、第5の発明と同様に、第2のサスタワーメンバによってペリメータフレームとサスペンションダンパとの結合剛性をさらに向上させることができると共に、車両衝突時には上記サスペンション支持部に作用する衝突荷重を第2のサスタワーメンバを介して車室部下部のフロアフレームに伝達させることができ、その結果、衝突荷重をフロアフレームに分散させることができるため、衝突荷重による車室部の変形を可及的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、パワートレインを支持するペリメータフレームと、サスペンションダンパの上端部が取り付けられるサスペンション支持部とを、サスタワーメンバで連結することによって、パワートレインの荷重がサスペンションダンパへより直接的に作用するため、車両運転時の応答性を大きく向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1〜3には、本発明の実施形態に係る車体前部構造を採用した車体の概略図を示す。符号1は車室を、符号2は車室1の車体前方に位置するエンジンルームを示す。尚、本明細書においては、車両前後方向における前方を単に前方と、車両前後方向における後方を単に後方ともいう。
【0027】
この車室1は、所謂モノコック構造のボディによって区画されている。すなわち、車室1を区画するボディは、複数枚の板金を結合することによって全体として応力を分散して吸収する構造として構成され、強度が要求される部分は、板金を結合して閉断面構造とすることにより、部分的な強度も十分に確保されている。
【0028】
この車室1の下部には水平方向に拡がるフロアパネル11が設けられており、このフロアパネル11によって車室1の下側が区画されている。このフロアパネル11の車幅方向両端部には前後方向に延びる左右一対のサイドシル12、12が設けられている。また、サイドシル12、12の車幅方向内方位置には、前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム13、13がフロアパネル11の下面に車室外側から結合されている。このフロアフレーム13、13の前端部は、後述のダッシュパネル14の下端部まで延設されている。
【0029】
また、車室1の前部には、フロアパネル11の前端部から立設するダッシュパネル14が設けられており、このダッシュパネル14によって車室1とエンジンルーム2とが区画されている。このダッシュパネル14の車幅方向両端部には上下方向に延びる左右一対のヒンジピラー15、15が設けられており、このヒンジピラー15、15の下端部は、左右それぞれのサイドシル12、12の前端部と結合されている。また、ダッシュパネル14の上端部には車幅方向に延びるカウルボックス16が設けられており、このカウルボックス16の両端部は、それぞれ左右のヒンジピラー15、15の上端部と結合されている。さらに、ヒンジピラー15、15の上端部には、後方斜め上方に延びるフロントピラー17、17(図2では図示省略)の下端部が結合されている。
【0030】
エンジンルーム2の前端部には、ラジエータ(図示省略)を支持するためのラジエータシュラウド21が設けられている。このラジエータシュラウド21は、車幅方向に延びる上辺部としての上側フレーム21aと、この上側フレーム21aの下方において上側フレーム21aと平行に延びる下辺部としての下側フレーム21bと、上下方向に延びて上側フレーム21a及び下側フレーム21bの各端部に結合される左右一対の縦辺部として縦フレーム21c、21cとを有して、正面視で略矩形枠状に構成されている。また、縦フレーム21c、21cの前面には、クラッシュカンを介してバンパレインフォースメント及びバンパが設けられている(図示省略)。このように、ラジエータシュラウド21は、ラジエータの取付に好適な形状とされ且つ、前方衝突時に広い面積でもって衝突対象物(特に車高の高い大型車両)に当接可能なように設定されている。
【0031】
上記ラジエータシュラウド21とダッシュパネル14とは、複数のフレーム部材を組み合わせて一種のスペースフレームを構成するフレーム構造体Fによって連結されている。
【0032】
以下に、上記フレーム構造体Fについて詳しく説明する。
【0033】
上記ラジエータシュラウド21の下部とダッシュパネル14の下部とはペリメータフレーム3によって連結されている。このペリメータフレーム3は、車幅方向に延びる前辺部としての前側フレーム31と、この前側フレーム31の後方において前側フレーム31と平行に延びる後辺部としての後側フレーム32と、前後方向に延びて前側フレーム31及び後側フレーム32の各端部に結合される左右一対の側辺部としての側辺フレーム33、33とを有して、平面視で略矩形枠状に構成されている。また、側辺フレーム33、33の前後方向中間部よりも前方の部分には、車幅方向に延びて該側辺フレーム33、33間に架設される前下側クロスメンバ34が設けられている。一方、側辺フレーム33、33の前後方向中間部よりも後方の部分には、車幅方向に延びて該側辺フレーム33、33間に架設される後下側クロスメンバ35が設けられている。この後下側クロスメンバ35には、後述のパワートレインPTを支持する底部クロスメンバを構成する。
【0034】
前端部である前側フレーム31は、上記ラジエータシュラウド21の下側フレーム21bの下面に結合されている(図1参照)。一方、側辺フレーム33、33の後端部には、後方に突出する突出部33a、33aが設けられており、この突出部33a、33aが、それぞれ上記左右一対のフロアフレーム13、13の前端部に結合されている。つまり、左右の側辺フレーム33、33の間隔と、左右のフロアフレーム13、13の間隔とは略同じであって、左右それぞれの側において、各側辺フレーム33と各フロアフレーム13とが平面視で略一直線上に並ぶように結合されている(図2参照)。
【0035】
各側辺フレーム33の前後方向中間位置であって各側辺フレーム33よりも上方位置には、左右一対の各サスペンション支持部22が設けられている。この各サスペンション支持部22は、後述するサスペンションダンパ63の上端部を取り付けるための取付面部が上端部に設けられた筒状部材である。
【0036】
そして、左右それぞれの側において、各サスペンション支持部22とラジエータシュラウド21の上側フレーム21aの長手方向の端部とが、前後方向に延びる第1前側アッパフレーム41によって連結されている。この各第1前側アッパフレーム41は、後方に向かうにつれて、上方且つ車幅方向外方に位置するように傾斜している。また、各サスペンション支持部22とカウルボックス16の車幅方向の各端部とが、前後方向に延びる後側アッパフレーム42によって連結されている。この各後側アッパフレーム42は、後方に向かうにつれて、上方且つ車幅方向外方に位置するように傾斜している。このとき、各後側アッパフレーム42は、後方に向かうにつれて、上記各第1前側アッパフレーム41よりも車体幅方向外方に大きく傾斜している(図2参照)。尚、各後側アッパフレーム42の後端部は、各ヒンジピラー15の上端部に接合されるように構成してもよい。
【0037】
また、左右それぞれの側において、各サスペンション支持部22と各側辺フレーム33とは、前側サスタワーメンバ43、第1後側サスタワーメンバ44及び第2後側サスタワーメンバ45によって連結されている。これら前側サスタワーメンバ43及び第1後側サスタワーメンバ44がサスタワーメンバを構成し、第2後側サスタワーメンバ45が第2のサスタワーメンバを構成する。
【0038】
詳しくは、上記各前側サスタワーメンバ43は、下方に向かうにつれて前方且つ車幅方向内方に位置するように傾斜しており、その下端部は、各側辺フレーム33と上記前下側クロスメンバ34との結合部と前後方向において同じ位置で、該側辺フレーム33の車幅方向外側面に結合されている。
【0039】
上記各第1後側サスタワーメンバ44は、下方に向かうにつれて後方且つ車幅方向内方に位置するように傾斜している。そして、第1後側サスタワーメンバ44の下端部は、各側辺フレーム33と上記後下側クロスメンバ35との結合部と前後方向において同じ位置で、該側辺フレーム33の上面に結合されている。
【0040】
上記各第2後側サスタワーメンバ45は、下方に向かうに連れて後方且つ車幅方向内方に位置するように傾斜しており、その下端部は、各側辺フレーム33の後端部に結合されている。
【0041】
さらにまた、左右それぞれの側において、各サスペンション支持部22とラジエータシュラウド21の縦フレーム21cとは、第2前側アッパフレーム47によって連結されている。この各第2前側アッパフレーム47は、前側に向かうにつれて下方且つ車幅方向内方に位置するように傾斜していて、各縦フレーム21cの上下方向略中間部分に連結されている。
【0042】
また、左右のサスペンション支持部22、22は、車幅方向に延びる連結クロスメンバ48によって連結されている。さらに、この連結クロスメンバ48には、その車幅方向中間部分とカウルボックス16の車幅方向の両端部とをそれぞれ連結する左右一対の補強メンバ49、49が設けられている。この各補強メンバ49は、後方に向かうにつれて上方且つ車幅方向外方に位置するように傾斜している。
【0043】
このように、各サスペンション支持部22に結合される、各第1前側アッパフレーム41、各第2前側アッパフレーム47、各後側アッパフレーム42、各前側サスタワーメンバ43、各第1後側サスタワーメンバ44、各第2後側サスタワーメンバ45及び連結クロスメンバ48は、図1に示すように、サスペンション支持部22の側周面に結合され手いると共に、各フレーム及びメンバの軸線は、図2に示すように、平面視で、サスペンション支持部22の中心に集合している。すなわち、各フレーム及びメンバは、それぞれの軸線が筒状部材であるサスペンション支持部22の中心軸と交差するように、円筒部材の側周面に結合されている。こうすることによって、各フレーム及びメンバ間での衝突荷重の伝達が容易に行われる。
【0044】
上記の如く、フレーム構造体Fに支承されたサスペンション支持部22、22には、図1に示すように、左右一対のサスペンション装置6、6が配設されている。各サスペンション装置6は、前輪を支持する車輪支持部材18とフレーム構造体Fとを連結するサスペンションアームとしてのロアアーム61と、サスペンションダンパ63と、コイルスプリング64とを有する。
【0045】
上記各ロアアーム61は、前側ロアアーム61a及び後側ロアアーム61bの2本のアームが一体に形成されている。この前側ロアアーム61aは、車幅方向に延びて形成され、車幅方向外端部は車輪支持部材18に連結される一方、車幅方向内端部は側辺フレーム33に連結されている。また、後側ロアアーム61bは、前側ロアアーム61aの車幅方向略中間部から斜め後方へ向かって延びて、車幅方向内端部は側辺フレーム33に連結されている。詳しくは、前側ロアアーム61aの車幅方向内端部には前後方向に延びる円筒状の弾性ブッシュ61cが設けられており、この弾性ブッシュ61cが側辺フレーム33に設けられたブラケット33bに対して前後方向軸回りに回動可能に軸支されている。また、後側ロアアーム61bの車幅方向内端部には鉛直方向に延びる円筒状の弾性ブッシュ61dが設けられており、この弾性ブッシュ61dが側辺フレーム33に設けられたブラケット33cに対して鉛直方向軸回りに回動可能に軸支されている。これら弾性ブッシュ61c、61dとブラケット33b、33cによってピボットが構成される。こうして、各ロアアーム61は、各側辺フレーム33に対して、上記前側サスタワーメンバ43の下端部との結合部と上記第1後側サスタワーメンバ44の下端部との結合部との間の位置にで、前後方向軸回り及び鉛直方向軸回りに所定量だけ回動可能に支持されている。
【0046】
上記サスペンションダンパ63は、上端部が上記サスペンション支持部22、22に支持されると共に、下方に向かうにつれて車幅方向外方に位置するように傾斜して配設され、下端部が連結部材18aを介して車輪支持部材18に連結されている。さらに詳しくは、サスペンションダンパ63の上端部にはアッパシート(図示省略)が設けられており、このアッパシートを介してサスペンションダンパ63の上端部がサスペンション支持部22に連結されている。一方、サスペンションダンパ63の中間部にはロアシート(図示省略)が設けられていて、このロアシートと上記アッパシートとの間にコイルスプリング64が配設されている。
【0047】
このようにフレーム構造体Fが形成されたエンジンルーム2内には、ラジエータシュラウド21にラジエータが配設されると共に、ラジエータの後方に左右2つのファンを有するラジエータファンRFが配設されている(図2参照)。また、ラジエータファンRFの後方斜め上方には、左側にエアクリーナCが、右側にバッテリBが配設されている。さらに、これら、ラジエータファンRF、エアクリーナC及びバッテリBの後方にはパワートレインPTが配設されている。
【0048】
上記パワートレインPTは、前側にロータリーエンジン(以下、単にエンジンという。)Eが、後側にトランスミッションTが配設されるように縦置きに配設されている。このエンジンEには、図4、5に示すように、車幅方向両側面にマウントブラケット71、71が設けられており、各マウントブラケット71には支持マウントとしてのマウントラバー72が取り付けられている。そして、このマウントラバー72を上記後下側クロスメンバ35に取り付けることによって、エンジンEが後下側クロスメンバ35に支持される。
【0049】
詳しくは、マウントブラケット71は、このマウントブラケット71をエンジンEに取り付けるためのフランジ71a、71aが設けられていると共に、マウントラバー72を取り付けるフランジ71bが設けられている。このフランジ71bには、後述するマウントラバー72の係合凸部72cと係合する係合凹部71cが形成されている。このように構成されたマウントブラケット71は、フランジ71a、71aをエンジンEにボルト締結することによってエンジンEに取り付けられる。
【0050】
また、マウントラバー72は、円筒状のラバー部材であって、このマウントラバー72を後下側クロスメンバ35に取り付けるためのフランジ72a、72aが設けられていると共に、マウントブラケット71を取り付けるための取付部72bが設けられている。この取付部72bには、係合凸部72cが形成されている。このように構成されたマウントラバー72は、係合凸部72cをマウントブラケット71の係合凹部71cに係合させると共に、取付部72bをマウントブラケット71のフランジ71bにボルト締結することによって、エンジンEに取り付けられる。そして、フランジ72a、72aを後下側クロスメンバ35にボルト締結することによって、エンジンEが後下側クロスメンバ35に取り付けられる。
【0051】
こうして、パワートレインPTがペリメータフレーム3に支持される。尚、パワートレインPTは、上述のエンジンEだけでなく、トランスミッションTの後端部、及びトランスミッションTとプロペラシャフト(図示省略)を介して連結されているリアディファレンシャル(図示省略)が車体に対して支持されている。
【0052】
尚、上述の各フレーム部材や各メンバ部材との結合は、ボルト結合や溶接等の公知の結合方法を採用することができる。
【0053】
このように、上記実施形態によれば、パワートレインPTをペリメータフレーム3に支持すると共に、このペリメータフレーム3を前側サスタワーメンバ43、第1後側サスタワーメンバ44及び第2後側サスタワーメンバ45によってサスペンション支持部22に連結することによって、上記特許文献1に係る車体前部構造のように重量物であるパワートレインPTの荷重がペリメータフレームから、スペーサ(又はマウントゴム)とボディとを介してサスペンション装置6に伝達する構成と比較して、パワートレインPTの荷重がサスペンション装置6まで伝達する経路が短くなり、該荷重が各サスタワーメンバ43〜45を介してサスペンション支持部22に直接的に作用するため、車両運転時の応答性を大きく向上させることができる。また、これら前側サスタワーメンバ43、第1後側サスタワーメンバ44及び第2後側サスタワーメンバ45は、ペリメータフレーム3とサスペンション支持部22とを連結するだけでなく、第1前側アッパフレーム41と後側アッパフレーム42とからなる上側フレーム部とペリメータフレーム3からなる下側フレーム部との間隔を保持する補強部材としても機能するため、車両衝突時に上側フレーム部や下側フレーム部が屈曲することを可及的に抑制することができる。
【0054】
特に、上記実施形態では、パワートレインPTを支持する後下側クロスメンバ35の両端部が側辺フレーム33に結合している部分と前後方向において同じ位置で第1後側サスタワーメンバ44の下端部を側辺フレーム33に結合することによって、該パワートレインPTの荷重がサスペンション装置6へより直接的に作用するため、車両運転時の応答性を向上させることができる。
【0055】
また、前側サスタワーメンバ43と第1後側サスタワーメンバ44と側辺フレーム33とで三角形状のトラスを形成することによって、ペリメータフレーム3とサスペンション支持部22との結合剛性を向上させることができる。その結果、パワートレインPTの荷重がサスペンション装置6へより直接的に且つ確実に作用するため、車両運転時の応答性を向上させることができると共に、サスペンション支持部22の支持剛性、ひいてはサスペンションダンパ63の支持剛性が向上するため、操縦安定性を向上させることができる。また、図1、2に示すように、前側サスタワーメンバ43の下端部は、側辺フレーム33の車幅方向外側面に結合されているのに対し、第1後側サスタワーメンバ44の下端部は側辺フレーム33の上面に結合されている。つまり、前側サスタワーメンバ43の下端部と第1後側サスタワーメンバ44の下端部とは車幅方向において少しずれているため、サスペンション支持部22を三次元的に支承することができ、両下端部を車幅方向において同一位置に設定した場合と比較して、サスペンション支持部22の支持剛性を向上させることができる。
【0056】
さらに、第2後側サスタワーメンバ45を設けることによって、ペリメータフレーム3とサスペンションダンパ63との結合剛性をさらに向上させることができるだけでなく、エンジンルーム2の前後方向幅が長い場合等においてサスペンション支持部22からダッシュパネル14までの距離が長くなっても、サスペンション支持部22よりも後方のフレーム構造体F(即ち、後側アッパフレームや側辺フレーム33の後半分)の強度を補強することができる。また、車両衝突時には、サスペンション支持部22に作用する衝突荷重を、側辺フレーム33の後端部に伝達させて、該衝突荷重をフロアフレーム13、13に分散させることができ、その結果、衝突荷重によるダッシュパネル14の車室側への変形を可及的に抑制することができる。
【0057】
さらにまた、ロアアーム61を、側辺フレーム33における前側サスタワーメンバ43との結合部と第1後側サスタワーメンバ44との結合部との間の部分に取り付けることによって、前側サスタワーメンバ43と第1後側サスタワーメンバ44と側辺フレーム33とロアアーム61とサスペンションダンパ63とにより略四角錐が形成されるため、サスペンションダンパ63の支持剛性を向上させることができ、操縦安定性をさらに向上させることができる。
【0058】
また、上記フレーム構造体Fは所謂スペースフレームを構成するため、車両衝突時には衝突荷重を各フレームやメンバを介して分散させて後方へ伝達させることができる。
【0059】
この点について、図6を用いて、さらに詳しく説明する。尚、図6における矢印は衝突荷重の伝達方向を示す。
【0060】
車両前方衝突時には、図示省略のバンパに衝突荷重が入力され、ラジエータシュラウド21の前部に取り付けられたクラッシュカンが潰れて、該衝突荷重がラジエータシュラウド21に作用する。
【0061】
このラジエータシュラウド21に作用する衝突荷重は、第1前側アッパフレーム41及び第2前側アッパフレーム47を介してフレーム構造体Fの上部に設けられたサスペンション支持部22まで伝達される。また同時に、該衝突荷重は、ペリメータフレーム3の側辺フレーム33を介してフレーム構造体Fの下部を通って車体後方へ伝達される。さらに、この側辺フレーム33を介して後方へ伝達する衝突荷重の一部は、前側サスタワーメンバ43を介してサスペンション支持部22へ伝達される。このように、ラジエータシュラウド21に作用する衝突荷重は、一部がフレーム構造体Fの上部(サスペンション支持部22)へ、残りがフレーム構造体Fの下部(ペリメータフレーム3)へ上下に分散して伝達される。
【0062】
上記衝突荷重が大きいと、フレーム構造体Fのうちサスペンション支持部22よりも前方の部分は大きく変形する。尚、このとき、フレーム構造体Fのうちサスペンション支持部22よりも後方の部分はほとんど変形しない。
【0063】
詳しくは、フレーム構造体Fの前部側方においては、第1前側アッパフレーム41と第2前側アッパフレーム47とラジエータシュラウド21の縦フレーム21cとで三角形が形成されているため、衝突時には、ラジエータシュラウド21が単に後方へ変位するように変形するのではなく、上記三角形を維持しようして、第1前側アッパフレーム41の前端部及び第2前側アッパフレーム47の前端部が下方へ大きく曲げ変形され、それに合わせて、ペリメータフレーム3の側辺フレーム33の前端部も下方へ大きく曲げ変形される。こうして、第1前側アッパフレーム41、第2前側アッパフレーム47及び側辺フレーム33の前端部が下方へ変形することによって、サスペンション支持部22を相対的に上方へ変位させる。つまり、第1前側アッパフレーム41と第2前側アッパフレーム47とラジエータシュラウド21の縦フレーム21cとで形成される三角形によって、フレーム構造体F前部の強度が補強されるていると共に、衝突荷重が大きくて、フレーム構造体Fの前部が潰れるときには、単に後方へ潰れるのではなく、フレーム構造体Fの上下方向の間隔を押し広げながら後方へ潰れる。
【0064】
そして、第1前側アッパフレーム41、第2前側アッパフレーム47及び前側サスタワーメンバ43を介してサスペンション支持部22へ伝達された衝突荷重の一部は、後側アッパフレーム42を介してカウルボックス16の車幅方向の各端部へ伝達される。このカウルボックス16の車幅方向の各端部へ伝達された衝突荷重は、フロントピラー17を介してルーフピラー(図示省略)等の車体上部へ伝達される。一方、サスペンション支持部22へ伝達された衝突荷重の残りは、第1後側サスタワーメンバ44及び第2後側サスタワーメンバ45を介してペリメータフレーム3の側辺フレーム33へ伝達される。この側辺フレーム33は、後端部がフロアフレーム13の前端部に連結されているため、側辺フレーム33へ伝達した衝突荷重は、フロアフレーム13へ伝達され、フロアフレーム13を介して車体下部へ伝達される。このとき、第2後側サスタワーメンバ45の下端部は側辺フレーム33の後端部に結合されているため、第2後側サスタワーメンバ45によって衝突荷重をサスペンション支持部22からフロアフレーム13へ直接的に伝達させることができる。
【0065】
尚、図2に示すように、左右それぞれの第1前側アッパフレーム41と後側アッパフレーム42とは一直線状には連結されておらず、車幅方向内側に折れ曲がって連結されているため、前方から衝突荷重が伝達すると、第1前側アッパフレーム41と後側アッパフレーム42の連結部、即ちサスペンション支持部22には、第1前側アッパフレーム41と後側アッパフレーム42とが車幅方向内方にさらに折れ曲がるように、車幅方向内方への力が作用する。この車幅方向内方への力は連結クロスメンバ48によって吸収されると共に、連結クロスメンバ48に取り付けられた補強メンバ49、49を介してカウルボックス16の車幅方向の各端部へ伝達される。このように、サスペンション支持部22に作用する衝突荷重の一部は、連結クロスメンバ48で吸収されると共に、補強メンバ49、49を介してカウルボックス16の車幅方向の各端部へ伝達される。
【0066】
このように、衝突荷重を車体上側と下側とに分散して伝達させることによって、車室1の変形を可及的に抑制することができる。
【0067】
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態1について、以下のような構成としてもよい。
【0068】
上記ペリメータフレームは、側辺フレームの後端部がフロアフレームの前端部に連結されているが、これに限られるものではない。つまり、後辺フレームがフロアフレームの前端部に結合される構成であってもよい。かかる場合は、第2後側サスタワーメンバの下端部が、サスペンション支持部に作用する衝突荷重が該第2後側サスタワーメンバを介してフロアフレームに伝達するように、後辺フレームとフロアフレームとの結合部と車幅方向において同じ位置で後辺フレームと結合されることが好ましい。ただし、側辺フレームの後端部とフロアフレームの前端部とが結合されて、該側辺フレームとフロアフレームとが連続した1本のフレーム状に配置される構成の方が、ペリメータフレームに作用する衝突荷重が、側辺フレームを介してフロアフレームに伝達されやすいため、好ましい。
【0069】
また、上記サスペンション装置6は、車輪支持部材18がロアアーム61とサスペンションダンパ63とによって支持されるストラット型サスペンションであるが、これに限られるものではなく、車輪支持部材18をロアアームとアッパアームとによって支持し、該ロアアームとアッパアームとの間にサスペンションダンパを取り付けるダブルウィッシュボーン型サスペンションを採用してもよい。かかる場合であっても、ロアアームを前側サスタワーメンバ43の下端部と第1後側サスタワーメンバ44の下端部との間で側辺フレーム33に支持することによって、前側サスタワーメンバ43と第1後側サスタワーメンバ44と側辺フレーム33とロアアームとサスペンションダンパとにより略四角錐を形成して、サスペンションダンパの支持剛性を向上させることができる。
【0070】
さらに、上記ロアアーム61は、後側ロアアーム61bの車幅方向内端部には鉛直方向に延びる円筒状の弾性ブッシュ61dが設けられると共に、側辺フレーム33に対して鉛直方向軸回りに回動可能に軸支されているが、これに限られるものではない。つまり、前側ロアアーム61aと同様に、後側ロアアーム61bの車幅方向内端部には前後方向に延びる円筒状の弾性ブッシュが設けられ、この弾性ブッシュを介して側辺フレーム33に対して前後方向軸回りに回動可能に軸支されるように構成してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、サスタワーメンバとして、前側サスタワーメンバ43及び第1後側サスタワーメンバ44を採用しているが、これに限られるのもではない。すなわち、何れか1つのサスタワーメンバだけでもよいし、さらにサスタワーメンバを増設してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、本発明は、エンジンルーム内にペリメータフレームを有して、このペリメータフレームでパワートレインを支持する車体前部構造について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る車体前部構造の斜視図である。
【図2】車体前部構造の平面図である。
【図3】車体前部構造の側面図である。
【図4】エンジンの支持構造を示す要部斜視図である。
【図5】エンジンの支持マウントを示す展開斜視図である。
【図6】前方衝突時のフレーム構造体の変形の様子を示す側面図である。
【符号の説明】
【0074】
PT パワートレイン
1 車室
13 フロアフレーム
15 ヒンジピラー
21 ラジエータシュラウド
22 サスペンション支持部
3 ペリメータフレーム
31 前側フレーム(前辺部)
32 後側フレーム(後辺部)
33 側辺フレーム(側辺部)
33b ブラケット(ピボット)
33c ブラケット(ピボット)
35 後下側クロスメンバ(底部クロスメンバ)
41 第1前側アッパフレーム
42 後側アッパフレーム
43 前側サスタワーメンバ(前側サスタワーメンバ)
44 第1後側サスタワーメンバ(後側サスタワーメンバ)
45 第2後側サスタワーメンバ(第2のサスタワーメンバ)
47 第2前側アッパフレーム
61 ロアアーム(サスペンションアーム)
61c 弾性ブッシュ(ピボット)
61d 弾性ブッシュ(ピボット)
63 サスペンションダンパ
72 マウントラバー(支持マウント)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前辺部、後辺部及び左右一対の側辺部を有して略矩形枠状に形成され且つ後端部が車室部下部に取り付けられると共に、パワートレインを支持するペリメータフレームと、左右一対の各サスペンションダンパの上端部が取り付けられる左右一対のサスペンション支持部と、上記左右一対の側辺部それぞれに取り付けられて前輪を支持する左右一対のサスペンションアームとを備える車体前部構造であって、
左右それぞれの側において上記ペリメータフレームの各側辺部と上記各サスペンション支持部とを連結するサスタワーメンバをさらに備えることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体前部構造において、
車幅方向に延びて、その両端部それぞれが上記左右一対の各側辺部と上記サスタワーメンバとの結合部と車体前後方向において同じ位置で該各側辺部に結合されると共に、上記パワートレインの支持マウントが取り付けられる底部クロスメンバをさらに有することを特徴とする車体前部構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車体前部構造において、
上記各サスタワーメンバは、左右それぞれの側で、上記各サスペンション支持部から車体前方斜め下方に延びて上記各側辺部に結合される前側サスタワーメンバと、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて上記各側辺部に結合される後側サスタワーメンバとを有することを特徴とする車体前部構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車体前部構造において、
上記各サスペンションアームは、上記各側辺部における上記各前側サスタワーメンバとの結合部と上記各後側サスタワーメンバとの結合部との間の部分にピボットを介して取り付けられることを特徴とする車体前部構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の車体前部構造において、
上記車室部下部には車体前後方向に延びて配設される左右一対のフロアフレームが設けられており、
上記ペリメータフレームの後端部は、上記左右一対のフロアフレームの前端部に取り付けられており、
左右それぞれの側において、上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて該ペリメータフレームの後端部に結合される第2のサスタワーメンバをさらに備えることを特徴とする車体前部構造。
【請求項6】
車室部よりも車体前方に配設されたラジエータシュラウドと、前辺部、後辺部及び左右一対の側辺部によって略矩形枠状に形成されて、前端部が上記ラジエータシュラウド下部に取り付けられる一方、該各側辺部の後端部が車室部下部において車体前後方向に延びて配設される左右一対の各フロアフレームの前端部に取り付けられると共に、パワートレインを支持するペリメータフレームと、上記ラジエータシュラウドと車室部との間に設けられ、左右一対の各サスペンションダンパの上端部が取り付けられる左右一対のサスペンション支持部と、上記左右一対の側辺部それぞれに取り付けられて前輪を支持する左右一対のサスペンションアームとを備える車体前部構造であって、
左右それぞれの側において、
上記各サスペンション支持部から車体前方斜め下方に延びて、上記ペリメータフレームの各側辺部と上記各サスペンションアームとの結合部よりも車体前後方向における前方位置で該側辺部に結合される前側サスタワーメンバと、
上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて、上記ペルメータフレームの各側辺部と上記各サスペンションアームとの結合部よりも車体前後方向における後方位置で該側辺部に結合される後側サスタワーメンバと、
上記各サスペンション支持部から車体後方斜め下方に延びて、上記ペリメータフレームの各側辺部の後端部に結合される第2のサスタワーメンバと、
上記各サスペンション支持部から車体前方に延びて、上記ラジエータシュラウド上部に結合される第1前側アッパフレームと、
上記各サスペンション支持部から車体後方に延びて、車室部の前端部を構成するカウル部に結合される後側アッパフレームと、
上記各サスペンション支持部から車体前方に延びて、上記ラジエータシュラウドと上記第1前側アッパフレームとの結合部よりも下方位置で該ラジエータシュラウドに結合される第2前側アッパフレームとをさらに備えることを特徴とする車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−106345(P2007−106345A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301506(P2005−301506)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】