説明

車載ナビゲーション装置

【課題】ハンズフリー通話中での安全運転を適切に確保する。
【解決手段】運転手がハンズフリー通話を開始すると、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えるので、運転支援機能が動作することにより、運転手に十分な注意を喚起することができ、ハンズフリー通話中での安全運転を適切に確保することができる。また、オートクルーズ機能よりも普及度が高いナビゲーション機能を利用して実現することができるので、実現性をも高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自装置が単独で行う運転支援機能や自装置が他装置と連携して行う運転支援機能のオンオフ状態を切替可能な制御手段を備えた車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転中での通話を可能とするハンズフリー装置が広く普及しており、それに伴って、ハンズフリー通話中での安全運転を確保すべく、自車両の前方を走行する前方走行車両との距離が一定となるように車間距離を制御するオートクルーズECUにおいて、ハンズフリー通話中である旨を検出した場合に、前方走行車両との車間距離を通常(ハンズフリー通話中でない場合)よりも大きく設定するものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−293158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、オートクルーズECUはいわゆる高級車と区分される一部の限られた車両にしか搭載されていないのが実情であり、そのため、上記した特許文献1に記載されているオートクルーズECUを利用してハンズフリー通話中での安全運転を確保する構成は実現性に乏しいという問題がある。また、上記した特許文献1に記載されている構成では、単純に前方走行車両との車間距離を通常よりも大きく設定するのみであり、例えばハンズフリー通話の通話時間が長くなり、その大きく設定された車間距離が当然のようになってしまうと(慣れてしまうと)、運転手に十分な注意を喚起することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実現性に優れ、且つ、運転手に十分な注意を喚起することができ、ハンズフリー通話中での安全運転を適切に確保することができる車載ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明によれば、制御手段は、自装置が単独で行う運転支援機能(例えばカーブ警告、踏み切り警告及び事故多発地点警告など)や自装置が他装置と連携して行う運転支援機能(例えば自動シフトダウン制御及び制限速度考慮制御など)のオンオフ状態を切替可能であり、ハンズフリー通話中である旨がハンズフリー通話状態検出手段により検出されると、その時点でオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替える。これにより、運転手がハンズフリー通話を開始すると、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えるので、運転支援機能が動作することにより、運転手に十分な注意を喚起することができ、ハンズフリー通話中での安全運転を適切に確保することができる。また、この場合、オートクルーズ機能よりも普及度が高いナビゲーション機能を利用して実現することができるので、実現性をも高めることができる。
【0006】
請求項2に記載した発明によれば、制御手段は、ハンズフリー通話中である旨がハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えると、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた旨を報知手段から報知させる。これにより、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた旨を運転手に知らせることができ、通常ではオフ状態の運転支援機能がオン状態に切替わったことで運転手が戸惑ってしまうことを回避することができる。
【0007】
請求項3に記載した発明によれば、制御手段は、ハンズフリー通話中である旨がハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた後に、ハンズフリー通話中でない旨がハンズフリー通話状態検出手段により検出されると、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替える。これにより、運転手がハンズフリー通話を終了すると、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えるので、運転支援機能のオンオフ状態をハンズフリー通話を開始する前の状態に速やかに復帰させることができる。
【0008】
請求項4に記載した発明によれば、制御手段は、ハンズフリー通話中でない旨がハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオン状態の運転支援機能をオフ状態に切替えると、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えた旨を報知手段から報知させる。これにより、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えた旨を運転手に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態として図面を参照して説明する。
本発明でいう車載ナビゲーション装置1は、ナビゲーションECU2(本発明でいう制御手段、ハンズフリー通話状態検出手段)と表示/入力装置3(本発明でいう報知手段)とを備えて構成されている。ナビゲーションECU2は、現在位置を特定する現在位置特定機能、現在位置を地図にマップマッチングして表示/入力装置3に表示させる表示機能、運転手や同乗者による表示/入力装置3の操作(例えば目的地を入力する操作や音声の音量を調節する操作など)を受付ける操作受付機能、現在位置から目的地までの経路を演算する経路演算機能、演算した経路にしたがって案内するための案内音声をスピーカ4(本発明でいう報知手段)から出力させる案内機能などのナビゲーション動作を実現する各種の機能を有していると共に、運転支援機能として、図2に示すように、例えばカーブ警告、踏み切り警告、事故多発地点警告、レーン減少警告、合流警告、ルート上渋滞警告、自動シフトダウン制御及び制限速度考慮制御を有している。
【0010】
この場合、カーブ警告、踏み切り警告、事故多発地点警告、レーン減少警告、合流警告及びルート上渋滞警告は、車両が該当する地点に到達すると、ナビゲーションECU2が各種の表示情報を表示/入力装置3に表示させたり各種の警告音声をスピーカ4から出力させたりして実現されるものであり、本発明でいう車載ナビゲーション装置1が単独で行う運転支援機能に相当する。また、自動シフトダウン制御及び制限速度考慮制御は、車両が該当する地点に到達すると、ナビゲーションECU2が各種の信号をパワートレイン制御ECU10に出力して実現されるものであり、本発明でいう車載ナビゲーション装置1が他装置(本実施形態ではパワートレイン制御ECU10)と連携して行う運転支援機能に相当する。これらの運転支援機能は、例えば運転手や同乗者が表示/入力装置3を操作することにより、「通常ユーザ設定」と「ハンズフリー通話中設定」との各々でオンオフ状態が設定され、オン状態に設定される運転支援機能の数は「ハンズフリー通話中設定」の方が「通常ユーザ設定」よりも多い。尚、ナビゲーションECU2は、例えばアクセサリスイッチに連動して電源が投入されるように構成されている。
【0011】
ハンズフリーECU5は、運転手のハンズフリー通話を実現するもので、運転手が発した送話音声を車室内に配置されているマイクロホン6が入力すると、その送話音声を電話装置7から移動通信網を介して通話相手に送信させると共に、通話相手から移動通信網を介して電話装置7に受信された受話音声を車室内に配置されているスピーカ8から出力させる。また、ハンズフリーECU5は、マイクロホン6やスピーカ8と電話装置7との間で音声経路を確立したか否かに基づいてハンズフリー通話中であるか否かを表すハンズフリー通話状態信号を車載LAN9を介してナビゲーションECU2に出力する。
【0012】
パワートレイン制御ECU10は、自動変速装置やエンジンを制御するもので、ナビゲーションECU2から例えば地図情報に含まれている道路の形状を表す道路形状情報に基づいた自動シフトダウン信号を車載LAN9を介して入力すると、その道路形状に追従するように自動変速装置による自動シフトダウン制御を行い、また、ナビゲーションECU2から例えば地図情報に含まれている道路の制限速度を表す制限速度情報に基づいた制限速度考慮信号を車載LAN9を介して入力すると、その制限速度に追従するようにエンジンによる制限速度考慮制御を行う。尚、上記した構成において、装置間やECU間は有線接続であっても良いし無線接続であっても良い。
【0013】
次に、上記した構成の作用について、図3を参照して説明する。
ナビゲーションECU2は、電源が投入されると、運転支援機能を「通常ユーザ設定」に設定し(ステップS1)、ハンズフリーECU5からのハンズフリー通話状態信号に基づいてハンズフリー通話中であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、ナビゲーションECU2は、運転手がハンズフリー通話を開始したことにより、ハンズフリーECU5からのハンズフリー通話状態信号に基づいてハンズフリー通話中である旨を検出すると(ステップS2にて「YES」)、いずれかの運転支援機能を動作中であるか否かを判定する(ステップS3)。そして、ナビゲーションECU2は、全ての運転支援機能を動作中でない旨を検出すると(ステップS3にて「YES」)、運転支援機能を「通常ユーザ設定」から「ハンズフリー通話中設定」に切替える(ステップS4)。
【0014】
これにより、複数の運転支援機能のうちオフ状態の運転支援機能(本実施形態ではカーブ警告、事故多発地点警告及び自動シフトダウン制御)がオン状態に切替わることにより、ハンズフリー通話中での運転支援動作が頻繁に行われるようになる。そして、このとき、ナビゲーションECU2は、例えば「運転支援機能を通常ユーザ設定からハンズフリー通話中設定に切替えました」という表示情報を表示/入力装置3に表示させたり報知音声をスピーカ4から出力させたりし、運転支援機能を「通常ユーザ設定」から「ハンズフリー通話中設定」に切替えた旨を運転手に報知する(ステップS5)。
【0015】
ナビゲーションECU2は、このようにして運転支援機能を「通常ユーザ設定」から「ハンズフリー通話中設定」に切替えた後では、ハンズフリーECU5からのハンズフリー通話状態信号に基づいてハンズフリー通話中であるか否かを再度判定する(ステップS6)。ここで、ナビゲーションECU2は、運転手がハンズフリー通話を終了したことにより、ハンズフリーECU5からのハンズフリー通話状態信号に基づいてハンズフリー通話中でない旨を検出すると(ステップS6にて「YES」)、運転支援機能を「ハンズフリー通話中設定」から「通常ユーザ設定」に切替える(ステップS7)。
【0016】
これにより、複数の運転支援機能のうちオフ状態からオン状態に切替わった運転支援機能(本実施形態ではカーブ警告、事故多発地点警告及び自動シフトダウン制御)がオフ状態に切替わることにより、運転支援動作がハンズフリー通話を開始する前の状態に復帰する。そして、このとき、ナビゲーションECU2は、例えば「運転支援機能をハンズフリー通話中設定から通常ユーザ設定に切替えました」という表示情報を表示/入力装置3に表示させたり報知音声をスピーカ4から出力させたりし、運転支援機能を「ハンズフリー通話中設定」から「通常ユーザ設定」に切替えた旨を運転手に報知し(ステップS8)、上記したステップS2に戻る。
【0017】
ところで、以上は、複数の運転支援機能を有することから、ハンズフリー通話中であるか否かに基づいて複数の運転支援機能のうち幾つかのオンオフ状態を切替える場合を説明したが、運転支援機能を1つのみ有するものであれば、ハンズフリー通話中であるか否かに基づいて1つの運転支援機能のオンオフ状態を切替えても良い。また、「ハンズフリー通話中設定」で全ての運転支援機能が例えば製品出荷する段階や販売する段階で強制的にオン状態に設定されても良い。また、「通常ユーザ設定」でオン状態の運転支援機能が「ハンズフリー通話中設定」で自動的にオン状態に設定されても良い。
【0018】
また、以上は、ハンズフリー通話中である旨を検出した時点で運転支援機能を動作中であれば、その動作中の運転支援機能が終了した後に運転支援機能を「通常ユーザ設定」から「ハンズフリー通話中設定」に切替える場合を説明したが、ナビゲーションECU2にて運転支援機能の重複動作を回避する排他制御を可能であれば、ハンズフリー通話中である旨を検出した後に排他制御を行ってから運転支援機能を「通常ユーザ設定」から「ハンズフリー通話中設定」に切替えても良い。
【0019】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載ナビゲーション装置1において、運転手がハンズフリー通話を開始すると、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えるように構成したので、運転支援機能が動作することにより、運転手に十分な注意を喚起することができ、ハンズフリー通話中での安全運転を適切に確保することができ、この場合、オートクルーズ機能よりも普及度が高いナビゲーション機能を利用して実現することができるので、実現性をも高めることができる。また、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた旨を報知するように構成したので、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた旨を運転手に知らせることができ、通常ではオフ状態の運転支援機能がオン状態に切替わったことで運転手が戸惑ってしまうことを回避することができる。
【0020】
また、運転手がハンズフリー通話を終了すると、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えるように構成したので、運転支援機能のオンオフ状態をハンズフリー通話を開始する前の状態に速やかに復帰させることができる。また、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えた旨を報知するように構成したので、オン状態の運転支援機能をオフ状態に切替えた旨を運転手に知らせることができる。
【0021】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
ハンズフリーECUがナビゲーションECUに組込まれ、ハンズフリー通話のためのスピーカとナビゲーション動作のためのスピーカとを共用する構成であっても良く、その場合、受話音声と警告音声とをミキシングして出力させたり音量定位を持たせて出力させたりしても良い。
ハンズフリー通話中であるか否かに基づいてオンオフ状態が切替えられる運転支援機能は、例えば車載レーダや車載カメラと連携して実現される歩行者警告や対向車警告などの他のものであっても良い。
【0022】
単に運転支援機能について「通常ユーザ設定」と「ハンズフリー通話中設定」との各々のオンオフ状態が設定される構成に限らず、その運転支援機能をどのような条件で動作させるかを表す条件パラメータ(例えばカーブ警告であれば曲率を表すパラメータ)についても「通常ユーザ設定」と「ハンズフリー通話中設定」とが設定される構成であっても良い。また、それら運転支援機能についての「通常ユーザ設定」と「ハンズフリー通話中設定」及び条件パラメータについての「通常ユーザ設定」と「ハンズフリー通話中設定」が連動する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】運転支援機能のオンオフ状態を示す図
【図3】フローチャート
【符号の説明】
【0024】
図面中、1は車載ナビゲーション装置、2はナビゲーションECU(制御手段、ハンズフリー通話状態検出手段)、3は表示/入力装置(報知手段)、4はスピーカ(報知手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置が単独で行う運転支援機能や自装置が他装置と連携して行う運転支援機能のオンオフ状態を切替可能な制御手段を備えた車載ナビゲーション装置であって、
ハンズフリー装置によるハンズフリー通話中であるか否かを検出するハンズフリー通話状態検出手段を備え、
前記制御手段は、ハンズフリー通話中である旨が前記ハンズフリー通話状態検出手段により検出された場合に、その時点でオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車載ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、ハンズフリー通話中である旨が前記ハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた場合に、オフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた旨を報知手段から報知させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した車載ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、ハンズフリー通話中である旨が前記ハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオフ状態の運転支援機能をオン状態に切替えた後に、ハンズフリー通話中でない旨が前記ハンズフリー通話状態検出手段により検出された場合に、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載した車載ナビゲーション装置において、
前記制御手段は、ハンズフリー通話中でない旨が前記ハンズフリー通話状態検出手段により検出されたことに伴ってオン状態の運転支援機能をオフ状態に切替えた場合に、オフ状態からオン状態に切替えた運転支援機能をオフ状態に切替えた旨を前記報知手段から報知させることを特徴とする車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−316914(P2007−316914A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145369(P2006−145369)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】