説明

車載地図表示装置、車両制御システム

【課題】車々間通信により他車両からのデータを受信し、そのデータに基づいて特定される他車両の位置を地図上に表示する車載地図表示装置において、表示対象となる他車両の数が多くなっても処理負荷の増大を抑える。
【解決手段】地図を表示し(ステップS20)、自車両の位置を示す自車マークをその地図上に表示する(ステップS30)と共に、受信された他車両の位置情報に基づいて、他車両の位置を示す他車マークを地図上に表示する(ステップS140)。複数の他車両から位置情報が送信された場合、他車マークに替えて、複数の他車両の位置をまとめて示す他車群マークを地図上に表示する(ステップS120、S130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて地図を表示する車載地図表示装置と、車載地図表示装置を有する車両制御システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車々間通信により他車両からのデータを受信し、そのデータに基づいて特定される他車両の位置を地図上に表示する車載装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−141324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される従来の車載装置は、車々間通信可能な他車両の位置を全て地図上に表示するため、表示対象となる他車両の数が多くなるほど処理負荷が増大するという問題が生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による車載地図表示装置は、通信により送信された他車両の位置情報を受信する通信装置と接続され、地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、自車両の位置を示す自車マークを地図上に表示する自車マーク表示制御手段と、通信装置により受信された位置情報に基づいて、他車両の位置を示す他車マークを地図上に表示する他車マーク表示制御手段と、複数の他車両から位置情報が送信されて通信装置により受信された場合に、他車マークに替えて、複数の他車両の位置をまとめて示す他車群マークを地図上に表示する他車群マーク表示制御手段とを備える。
また、本発明の第2の態様による車載地図表示装置は、通信により送信された他車両の位置情報を受信する通信装置と接続され、地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、自車両の位置を示す自車マークを地図上に表示する自車マーク表示制御手段と、通信装置により受信された位置情報に基づいて、他車両の位置を示す他車マークを地図上に表示する他車マーク表示制御手段とを備え、他車マーク表示制御手段は、自車両と対向する方向に向かって走行している他車両に対しては他車マークを表示しないものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示対象となる他車両の数が多くなっても処理負荷の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による車両制御システムの構成図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成図である。
【図3】地図上に自車マークと他車マークまたは他車群マークを表示する際の処理のフローチャートである。
【図4】自車マークと他車マークおよび他車群マークが表示された地図画面の例を示す図である。
【図5】車両の形状を模擬した他車群マークの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態による車両制御システムの構成を図1に示す。この車両制御システムは、自車両1と他車両2とが無線通信である車々間通信によって互いの位置情報を交換し、それによって相手方の走行状態をそれぞれ判断することで、必要に応じて様々な車両制御を行うものである。自車両1には、ナビゲーション装置10、車両制御装置11、通信制御装置12およびアンテナ13が備えられている。同様に、他車両2には、ナビゲーション装置20、車両制御装置21、通信制御装置22およびアンテナ23が備えられている。なお、図1では1台の他車両2のみを示しているが、実際には通信エリア内に存在する複数の他車両2と自車両1との間で車々間通信が行われる。
【0009】
ナビゲーション装置10は、自車両1から所定範囲内の地図を表示モニタに表示する。このときナビゲーション装置10は、自車両1の位置を示す自車マークをその地図上に表示すると共に、通信制御装置12により受信される他車位置情報に基づいて、他車両2の位置を示す他車マークを地図上に表示する。さらに、複数の他車両2から送信された他車位置情報が後述するような条件を満たす場合には、他車マークに替えて、その複数の他車両2の位置をまとめて示す他車群マークを地図上に表示する。こうした地図表示を行うことにより、自車両1と他車両2との位置関係をユーザに対して知らせる。
【0010】
またナビゲーション装置10は、車両制御装置11からの指示により、必要に応じて警告音の出力や警告メッセージの表示を行う。これにより、自車両1に向かって走行している他車両2の存在などをユーザに知らせることができる。
【0011】
さらにナビゲーション装置10は、目的地が設定されることにより、自車両1をその目的地まで案内するためのナビゲーション処理を実行する。すなわち、ユーザの操作などによりナビゲーション装置10に対して目的地が設定されると、ナビゲーション装置10はその目的地までの推奨経路を地図データに基づいて探索する。そして、探索された推奨経路を地図上に表示し、その推奨経路に従ってユーザに進行方向の指示を行うことにより、自車両1を目的地まで案内する。なお、このときにも前述のように自車マークと他車マークが地図上に表示される。
【0012】
車両制御装置11は、自車両1の挙動やユーザの運転操作等に応じて、自車両1における様々な動作の制御を行う。たとえば、アクセルペダルの踏み込み量やエンジン回転数などに応じてアクセル開度を調節することで、自車両1に生じる加速度を制御する。さらに車両制御装置11は、ナビゲーション装置10による自車位置の検出結果と他車位置の特定結果とに基づいて、自車両1と他車両2との位置関係やその変化状態を判断し、この判断結果に応じて、ナビゲーション装置10に対する警告の指示や自車両1の駆動制御を必要に応じて行う。たとえば、自車両1の走行道路と交差する道路を走行中の他車両2が、自車両1に向かって所定距離以内に接近していると判断されたとする。このような場合、車両制御装置11は、他車両2が接近している旨の警告をナビゲーション装置10に対して指示すると共に、必要であれば自車両1のブレーキを制御して自車両1を停止させる。
【0013】
通信制御装置12は、アンテナ13を用いて、他車両2に搭載された通信制御装置22との間で無線による車々間通信を行う装置である。この通信制御装置12が行う車々間通信により、通信制御装置12において、他車両2の位置を表す他車位置情報が受信されると共に、自車両1の位置を表す自車位置情報が送信される。なお、このときに車々間通信を行う車両の各々を特定するための車両ID情報と、各車両の進行方向を示す進行方向情報とが、自車位置情報または他車位置情報と共に送信される。こうして自車両1と他車両2の位置情報が交換される。
【0014】
通信制御装置12において受信された他車位置情報は、通信制御装置12からナビゲーション装置10に対して出力される。この他車位置情報に基づいて、ナビゲーション装置10は前述のように他車両2の位置を特定し、その結果を車両制御装置11へ出力する。こうしてナビゲーション装置10から他車位置の特定結果が出力されると、それに基づいて車両制御装置11は、前述のような制御を自車両1に対して行う。なお、通信制御装置12および22を用いて自車両1と他車両2との間で行われる車々間通信には、たとえばDSRC(Dedicated Short Range Communications)による通信方式などを利用することができる。
【0015】
自車両1に搭載されているナビゲーション装置10、車両制御装置11、通信制御装置12およびアンテナ13は、以上説明したような処理や動作を行う。なお、他車両2に搭載されているナビゲーション装置20、車両制御装置21、通信制御装置22およびアンテナ23も、それぞれに同様の処理や動作を行う。
【0016】
次に、ナビゲーション装置10の構成を図2に示す。ナビゲーション装置10は、制御部101、振動ジャイロ102、車速センサ103、ハードディスク(HDD)104、GPS受信部105、表示モニタ106および入力装置107を備えている。
【0017】
制御部101は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD104に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部101により、ナビゲーション装置10における様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、自車位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の処理などが実行される。
【0018】
制御部101は車両制御装置11および通信制御装置12と接続されており、これらとの間で様々な信号やデータが入出力される。たとえば通信制御装置12に対して、制御部101により検出された自車位置の情報が所定時間ごとに出力される。この自車位置情報は、通信制御装置12が行う車々間通信によって自車両1から他車両2へと送信される。一方、通信制御装置12から制御部101には、他車両2から受信した他車位置情報が入力される。
【0019】
通信制御装置12から他車位置情報が入力されると、制御部101は、その他車位置情報に基づいて他車両2の位置を特定する。このとき、他車位置情報とHDD104に記録されている地図データとに基づいてマップマッチングを行うことにより、他車両2が地図上でどの道路を走行しているかを判断し、その判断結果を反映して他車両2の位置を特定するようにしてもよい。この他車位置の特定結果は、自車位置の検出結果と共に、制御部101から車両制御装置11へ出力される。車両制御装置11は、これらに基づいて自車両1と他車両2との位置関係やその変化状態を判断し、前述のような警告指示や駆動制御を必要に応じて行う。
【0020】
振動ジャイロ102は、自車両1の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ103は、自車両1の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて自車両1の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、自車両1の移動量が求められ、それによって自車両1の現在位置が検出される。
【0021】
HDD104は、データの書き換えが可能な不揮発性の記録媒体であり、地図データを含む各種のデータが記録されている。HDD104に記録されている地図データは、必要に応じて制御部101の制御により読み出され、制御部101が実行する様々な処理や制御に利用される。この地図データには、経路計算データと、経路誘導データと、道路データと、背景データとが含まれている。経路計算データは、目的地までのルート探索に用いられる。経路誘導データは、設定された経路に従って自車両1を目的地まで誘導するために用いられ、交差点名称や道路名称などを表す。道路データは、道路の形状や種別を表す。背景データは、河川や鉄道などの道路以外の地図形状や、各種施設の位置などを表す。
【0022】
GPS受信部105は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部101へ出力する。GPS信号には、自車両1の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて自車両1の現在位置と現在時刻を算出することができる。
【0023】
表示モニタ106は、ナビゲーション装置10において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ106により、前述したように自車両1の周辺について地図が表示され、その地図上に自車マークと他車マークまたは他車群マークが表示される。表示モニタ106に表示される画面の内容は、制御部101が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ106は、たとえば自車両1のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0024】
入力装置107は、ナビゲーション装置10を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザはこの入力装置107を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。入力装置107は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、表示モニタ106と一体化されたタッチパネルにより入力装置107を実現してもよい。
【0025】
ユーザが入力装置107を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置10は、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、目的地までの推奨経路を探索する。そして、自車両1の現在位置を検出し、その周辺の道路地図を表示しながら、探索された推奨経路に従って自車両1を目的地まで誘導する。
【0026】
ナビゲーション装置10が地図上に自車マークと他車マークおよび他車群マークを表示する際の処理のフローチャートを図3に示す。このフローチャートは、制御部101において所定の処理サイクル間隔で実行される。
【0027】
ステップS10において、制御部101は、自車位置の検出を行う。ここでは前述したように、振動ジャイロ102および車速センサ103の検出結果に基づいて、自車両1の位置を検出する。なお、このときHDD104に記録された地図データに基づいてマップマッチングを行うことにより、自車両1が地図上でどの道路を走行しているかを判断し、その判断結果を反映して自車位置を検出してもよい。これにより、自車両1が走行している道路に合わせて自車位置を補正することができる。
【0028】
ステップS20において、制御部101は、HDD104に記録されている地図データに基づいて、ステップS10で検出した自車位置の周囲の地図を表示モニタ106に表示する。次のステップS30において、制御部101は、ステップS10で検出した自車位置を示す自車マークを、ステップS20で表示した地図上に表示する。
【0029】
ステップS40において、制御部101は、通信制御装置12により他車位置情報を受信する。ここでは前述のように、通信制御装置12を用いて自車両1と他車両2との間で行われる車々間通信により、他車両2の位置を示す他車位置情報が他車両2から送信される。このとき同時に、車両ID情報や進行方向情報も送信される。こうして送信された他車位置情報が通信制御装置12によって受信され、通信制御装置12から制御部101に対して出力される。
【0030】
ステップS50において、制御部101は、ステップS40で位置情報を取得した他車両2を走行道路および進行方向ごとに分類する。この際、他車両2の走行道路は、受信した他車位置情報が示す他車両2の位置と、HDD104に記録された地図データとに基づいて判断される。また、他車両2の進行方向は、他車位置情報と共に送信された進行方向情報に基づいて判断される。あるいは、進行方向情報を用いずに、他車両2の位置の履歴に基づいて進行方向を判断してもよい。この場合は進行方向情報を他車両2から自車両1へ送信しなくてもよい。なお、ステップS20で表示した地図の範囲外に位置する他車両2は、ステップS50において分類の対象から除外してもよい。
【0031】
ステップS50が実行されることにより、通信制御装置12において位置情報が受信された複数の他車両2が複数のグループ(他車群)に分類される。各他車群は、地図範囲内において同一の道路を同一の方向に向かって走行している複数の他車両2によって構成される。なお、分類の結果、1つのグループを構成する他車両2が1台しか存在しない場合もある。このような場合であっても、便宜上以下の説明では、その1台の他車両2を他車群と称する。
【0032】
なお、上記のステップS50において他車両2を分類する際には、自車両1と同じ道路を走行しており、かつ自車位置から所定距離以内(たとえば、10m以内)に位置する他車両2を、他のグループとは別のグループに分類する。このグループは、自車両1に近接する他車両2によって構成されている。以下の説明では、これを近接他車群と称する。
【0033】
ステップS60において、制御部101は、ステップS50で走行道路および進行方向ごとに分類した他車群のいずれかを選択する。
【0034】
ステップS70において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群の中に、他車群マーク表示対象外の車両が含まれているか否かを判定する。ここでいう他車群マーク表示対象外の車両とは、単独でその位置を地図上に表示してユーザに注意を喚起すべき車両のことである。たとえば、救急車やパトカーなどの緊急車両、路線バス、スクールバス、タクシーなどのように頻繁に停止する可能性がある車両、路面清掃車や除雪車などのように低速で走行する車両などが該当する。また、ユーザが予め他車群マーク表示対象外とする車両の種類を指定できるようにしてもよい。なお、他車群マーク表示対象外の車両であるか否かの判定は、他車位置情報と共に送信された車両ID情報に基づいて行うことができる。あるいは、車両の種類を示す情報を他車位置情報と共に送信し、これに基づいて判定してもよい。
【0035】
ステップS70において、選択した他車群の中に他車群マーク表示対象外の車両が含まれていると判定した場合、制御部101はステップS80へ進む。ステップS80では、ステップS70で他車群マーク表示対象外の車両であると判断した他車両2の位置に他車マークを表示する。なお、ここで他車マークが表示された他車両2は、以降の処理対象から除外される。これにより、特定の車種を他車群マークの表示対象から除外する。ステップS80を実行したら、制御部101はステップS90へ進む。一方、ステップS70において、選択した他車群の中に他車群マーク表示対象外の車両が含まれていないと判定した場合、制御部101はステップS80を実行せずにステップS90へ進む。
【0036】
ステップS90において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群が対向車であるか否かを判定する。他車群が対向車である場合、すなわち自車両1と同一の道路を自車両1と対向する方向に向かって走行している単数または複数の他車両2によって構成される他車群をステップS60で選択していた場合には、制御部101はステップS150へ進む。これにより、自車両1の走行に影響を与えない対向車に対しては、他車マークまたは他車群マークを表示しないようにして、制御部101の処理負荷を軽減する。一方、他車群が対向車でない場合、制御部101はステップS100へ進む。
【0037】
ステップS100において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群の中に複数の他車両2が含まれるか否かを判定する。他車群の中に複数の他車両2が含まれる場合、制御部101はステップS110へ進む。一方、他車群の中に複数の他車両2が含まれない場合、すなわち1台の他車両2のみによって他車群が構成されている場合には、制御部101はステップS140へ進む。
【0038】
ステップS110において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群が前述の近接他車群であるか否かを判定する。選択した他車群が近接他車群である場合、すなわち自車両1と同じ道路を走行しており自車両1の位置から所定距離以内に位置する複数の他車両2によって当該他車群が構成されている場合には、制御部101はステップS120へ進む。一方、選択した他車群が近接他車群でない場合、制御部101はステップS130へ進む。
【0039】
ステップS120において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群に対応する他車群マークを、ステップS20で表示した地図上に表示する。ここでは、ステップS30で表示した自車マークに重ねて他車群マークを表示する。ステップS120を実行したら、制御部101はステップS150へ進む。
【0040】
ステップS130において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群に対応する他車群マークを、ステップS20で表示した地図上に表示する。ここでは、当該他車群に含まれる他車両2のうち、自車両1から最も近い他車両2の位置に他車群マークを表示する。このとき他車両2の台数を他車群マークと共に表示することとしてもよい。ステップS130を実行したら、制御部101はステップS150へ進む。
【0041】
ステップS140において、制御部101は、ステップS60で選択した他車群に対応する他車マークを、ステップS20で表示した地図上に表示する。ここでは、当該他車群を構成する一台の他車両2の位置に他車マークを表示する。ステップS140を実行したら、制御部101はステップS150へ進む。
【0042】
複数の他車両2から位置情報が送信されて通信制御装置12により受信されると、その複数の他車両2が他車群に分類される。こうして分類された他車群が複数の他車両2によって構成される場合には、以上説明したようなステップS120またはステップS130の処理が実行される。これにより、他車マークに替えて、複数の他車両2の位置をまとめて示す他車群マークが地図上に表示される。一方、他車群が1台の他車両2によって構成される場合には、以上説明したようなステップS140の処理が実行されることにより、他車マークが地図上に表示される。
【0043】
ステップS150において、制御部101は、ステップS50において分類された全ての他車群をステップS60で選択したか否かを判定する。全ての他車群を選択済みである場合、制御部101は図3のフローチャートを終了する。一方、まだ選択していない他車群がある場合、制御部101はステップS60へ戻る。そして、ステップS60において未選択の他車群のうちいずれかを選択した後、前述したような処理を繰り返す。
【0044】
以上説明したような処理を実行することにより、自車マーク、他車マークおよび他車群マークが地図上に表示される。このときの地図画面の例を図4に示す。図4の地図画面では、自車マーク30に重ねて他車群マーク31が表示されている。この他車群マーク31は、図3のステップS120の処理により、自車両1から所定距離以内を走行している複数の他車両2に対して表示されたものである。また、他車群マーク32は、図3のステップS130の処理により、自車両1と同じ道路を走行している複数の他車両2に対して表示されたものである。
【0045】
他車群マーク33および34は、図3のステップS130の処理により、自車両1と異なる道路を走行している複数の他車両2に対して表示されたものである。なお、他車群マーク33および34には、前述のように他車両2の台数が共に表示されている。このような台数の表示をする際に、自車両1との間で車々間通信ができない車両の数を含めるようにしてもよい。たとえば、他車両2にカメラを搭載し、このカメラによって他車両2が撮影した周囲の車両の情報を車々間通信により自車両1へ送信する。こうして送信された情報に基づいて判断された車々間通信ができない車両の数と、車々間通信によって位置情報を受信した他車両2の数とを合計した値を、他車群マークに添えて表示する。
【0046】
一方、他車マーク35および36は、図3のステップS140の処理により、1台の他車両2に対して表示されたものである。同じ道路を同一の方向に走行する車両が他にない場合、他車群マークは表示されず、このような他車マークが表示される。
【0047】
なお、図4の他車群マーク31〜34に替えて、図5のように車両の形状を模擬した他車群マークを表示してもよい。図5(a)は、複数の他車両2が地図の上下方向に向かって走行している場合の他車群マークの例であり、図5(b)は、複数の他車両2が地図の左右方向に向かって走行している場合の他車群マークの例である。これ以外にも、様々な表示形態による他車群マークを地図上に表示することができる。
【0048】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)車載地図表示装置であるナビゲーション装置10は、他車両2から無線通信により送信された他車両2の位置情報(他車位置情報)を受信する通信制御装置12と接続されている。また、ナビゲーション装置10は、制御部101の処理により、地図を表示モニタ106に表示し(ステップS20)、自車両1の位置を示す自車マークをその地図上に表示する(ステップS30)と共に、通信制御装置12により受信された他車両2の位置情報に基づいて、他車両2の位置を示す他車マークを地図上に表示する(ステップS140)。さらにナビゲーション装置10は、制御部101の処理により、複数の他車両2から位置情報が送信されて通信制御装置12により受信された場合に、他車マークに替えて、複数の他車両2の位置をまとめて示す他車群マークを地図上に表示する(ステップS120、S130)。このようにしたので、ナビゲーション装置10は、複数の他車両に対して、その数に関係なく1つの他車群マークを表示すればよい。したがって、表示対象となる他車両の数が多くなっても処理負荷の増大を抑えることができる。
【0049】
(2)制御部101は、ステップS120およびS130において、同一の道路を走行している複数の他車両2や、同一の方向に向かって走行している複数の他車両2に対して、他車群マークを1つ表示する。このようにしたので、複数の他車両2の位置を他車群マークにより見やすく効率的に地図上に示すことができる。
【0050】
(3)ただし、自車両1と対向する方向に向かって走行している単数または複数の他車両2に対しては、ステップS90の処理により、他車マークまたは他車群マークを表示しないこととした。これにより、自車両1の走行にあまり影響を及ぼさない対向車に対しては、他車マークまたは他車群マークが表示されないようにして、制御部101の処理負荷を軽減することができる。
【0051】
(4)制御部101は、ステップS120において、自車両1と同じ道路を走行しており自車位置から所定距離以内に位置する複数の他車両2に対して、他車群マークを1つ自車マークに重ねて表示する。このようにしたので、自車両1に近接する複数の他車両2を1つの他車群マークによって表すことができる。
【0052】
(5)制御部101は、ステップS120またはS130において他車群マークを表示する際に、その他車群マークが示す他車両2の数を他車群マークと共に表示することができる。このようにすれば、何台の他車両2が他車群に含まれているのかをユーザに容易に知らせることができる。
【0053】
(6)制御部101は、複数の他車両2のうち特定の車種を他車群マークの表示対象から除外する(ステップS70、S80)。このようにしたので、救急車やパトカーなどの緊急車両、路線バスやスクールバスなどの頻繁に停止する車両、路面清掃車や除雪車などの低速で走行する車両、ユーザが予め指定した車両などについて、単独でその位置を地図上に表示してユーザに注意を喚起することができる。
【0054】
(7)制御部101は、ステップS130において他車群マークを表示する際に、複数の他車両2のうち自車両1から最も近い他車両2の位置に他車群マークを表示する。このようにしたので、他車群を構成する複数の他車両2のうち、自車両1の走行に与える影響が最も大きい他車両2の位置に他車群マークを表示することができる。
【0055】
以上説明した実施の形態では、ナビゲーション装置10により、図3のフローチャートに示す処理を実行する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、様々な車載電子装置に適用することができる。
【0056】
以上説明した実施の形態や各種の変形例は、あくまで一例である。したがって、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【0057】
以上説明した実施の形態では、特許請求の範囲に記載された各手段を、ナビゲーション装置10の制御部101において実行される処理によりそれぞれ実現することとした。すなわち、ナビゲーション装置10の制御部101は、地図表示制御手段、自車マーク表示制御手段、他車マーク表示制御手段および他車群マーク表示制御手段として機能する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、各実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。
【符号の説明】
【0058】
1:自車両 2:他車両
10,20:ナビゲーション装置 11,21:車両制御装置
12,22:通信制御装置 13,23:アンテナ
101:制御部 102:振動ジャイロ
103:車速センサ 104:HDD
105:GPS受信部 106:表示モニタ
107:入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信により送信された他車両の位置情報を受信する通信装置と接続された車載地図表示装置であって、
地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、
自車両の位置を示す自車マークを前記地図上に表示する自車マーク表示制御手段と、
前記通信装置により受信された位置情報に基づいて、前記他車両の位置を示す他車マークを前記地図上に表示する他車マーク表示制御手段と、
複数の前記他車両から前記位置情報が送信されて前記通信装置により受信された場合に、前記他車マークに替えて、複数の前記他車両の位置をまとめて示す他車群マークを前記地図上に表示する他車群マーク表示制御手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、同一の道路を走行している複数の前記他車両に対して前記他車群マークを表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、同一の方向に向かって走行している複数の前記他車両に対して前記他車群マークを表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、前記自車両と対向する方向に向かって走行している複数の前記他車両に対しては前記他車群マークを表示しないことを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、前記自車両と同じ道路を走行しており前記自車両の位置から所定距離以内に位置する複数の前記他車両に対して前記他車群マークを前記自車マークに重ねて表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、前記他車群マークが示す前記他車両の数を前記他車群マークと共に表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、複数の前記他車両のうち特定の車種を前記他車群マークの表示対象から除外することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載地図表示装置において、
前記他車群マーク表示制御手段は、複数の前記他車両のうち前記自車両から最も近い他車両の位置に前記他車群マークを表示することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項9】
通信により送信された他車両の位置情報を受信する通信装置と接続された車載地図表示装置であって、
地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、
自車両の位置を示す自車マークを前記地図上に表示する自車マーク表示制御手段と、
前記通信装置により受信された位置情報に基づいて、前記他車両の位置を示す他車マークを前記地図上に表示する他車マーク表示制御手段とを備え、
前記他車マーク表示制御手段は、前記自車両と対向する方向に向かって走行している前記他車両に対しては前記他車マークを表示しないことを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の車載地図表示装置と通信装置とを有する車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−271272(P2010−271272A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125355(P2009−125355)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】