説明

車載情報端末及び車両用情報提供システム

【課題】同乗者に運転者のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保する車載情報端末及び車両用情報提供システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る車載情報端末1は、該車載情報端末の運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末であって、同乗者の有無を判定する乗車者判定手段18と、乗車者判定手段18により前記同乗者が有りと判定されたとき、乗車者判定手段18は、前記同乗者の同乗者属性を判定し、乗車者判定手段18により判定された前記同乗者属性に基づいて、前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載情報端末及び車両用情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載ナビゲーションシステムにおいては、走行ルートの学習に始まり、よく立ち寄る地点の嗜好を学習したり、利用履歴を学習することにより、操作回数を減らすなど乗車者の利便性を向上させる学習機能が多く搭載されるようになっている。学習されたこれらの情報は、ルート検索時の検索条件に用いられたり、検索に用いられるまでもなく目的地の選択リストなどに登録される。
【0003】
こうしたナビゲーションシステムに関連するものとして、乗車人数あるいは乗員の嗜好を含む車内の状況を検出して、検出された車内状況に基づいて検索条件を生成し、生成された検索条件でもって目的地の検索を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−10035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、学習機能搭載のナビゲーションシステムや特許文献1に記載される発明によれば運転者の利便性は向上するが、学習されたこれらの情報にはプライバシー情報も含まれており、この点にも配慮が求められる。つまり、日常よく行くルートや目的地には、プライベートな情報、自分以外の同乗者には見られたくない情報も含まれている。例えば、目的地に病院が設定されてしまっている場合、同乗者に通院の事実など知られたくないことがある。
【0005】
ここで、自分以外の同乗者には見られたくない情報を隠すには、学習情報を無効にし、ナビゲーションシステムの初期状態のような状態で用いればよいが、今度は逆に使用したい学習情報まで用いることができなくなってしまい、目的地設定や施設表示が行いにくくなる。
【0006】
本発明では上記のような問題に鑑みて、同乗者に運転者のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保する車載情報端末及び車両用情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る車載情報端末は、該車載情報端末の運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末であって、
同乗者の有無を判定する乗車者判定手段と、
前記乗車者判定手段により前記同乗者が無しと判定されたとき、前記運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供することを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る車載情報端末において、
前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記同乗者が無しと判定されたときに前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、第3の発明に係る車載情報端末は、該車載情報端末の運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末であって、
同乗者の有無を判定する乗車者判定手段と、
前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記乗車者判定手段は、前記同乗者の同乗者属性を判定し、
前記乗車者判定手段により判定された前記同乗者属性に基づいて、前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段とを有すること特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第3の発明に係る車載情報端末において、
前記提供情報の項目を前記同乗者属性に対応させて設定する設定手段を有し、
前記提供情報変更手段は、前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記設定手段により設定された項目に関する情報に基づいて、前記提供情報を変更することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第3又は4の発明に係る車載情報端末において、
他車両に搭載された車載情報端末と前記提供情報を送受信する通信手段を有し、
前記通信手段は、他車両の所有者が同乗者であったときの提供情報を、前記他車両に搭載された車載情報端末に送信することを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、第6の発明に係る車両用情報提供システムは、提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末と、前記車載情報端末と前記提供情報の送受信を行う情報提供サーバと、からなる車両用情報提供システムであって、
前記車載情報端末は、
前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段と、
前記情報提供サーバと前記提供情報を送受信する通信手段を有し、
前記提供情報変更手段は、前記情報提供サーバから受信した提供情報に、前記提供情報を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同乗者に運転者のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保する車載情報端末及び車両用情報提供システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0015】
はじめに、本実施の形態のナビゲーション装置1の概略を説明する。本実施の形態のナビゲーション装置1は、いわゆる学習機能を備え、走行ルート、停車地点、検索/設定/登録目的地などの運転者のナビゲーション装置1の利用履歴情報、また、さらにはナビゲーション装置に含まれる又は連携されるテレビやオーディオ等の視聴コンテンツを含む利用履歴情報に基づいて、運転者の嗜好を学習する。運転者の嗜好は、操作回数を減らすなど乗車者の利便性を向上させるために利用される。例えば、よく行く目的地リストに登録されて表示されたり、ルート検索時の検索条件に用いられる。また、運転者の嗜好に適う目的地(レストラン、娯楽施設)が提供されたり、通信部を介して運転者の嗜好に適うコンテンツがダウンロードされて該ダウンロードされた情報が提供される。運転者の嗜好に基づいたこれら情報(以下、提供情報という)は、例えば、表示部等を介して、運転者、同乗者に提供される。
【0016】
上述の如く提供情報により運転者の利便性は向上するが、提供情報には運転者の嗜好が反映されたものであるためプライバシー情報も含まれており、例えば、ナビゲーション装置1の表示部に提供情報が表示されると、運転者以外の乗車者(同乗者)にもプライバシー情報を見られてしまうことになる。本実施の形態のナビゲーション装置1は、学習機能に加え、乗車者判定部を備え、運転者及び同乗者(及び同乗者属性)を検出する。同乗者がいる場合には、提供情報テンプレートを参照して提供すべき提供情報を提供(表示)する。提供情報テンプレートには、同乗者の特性(属性)に応じて提供可能な提供情報が、運転者によって規定されている。該提供情報テンプレートの参照しての提供情報の提供により、例えば、同乗者が家族の場合には、運転者に表示する全ての提供情報の表示が可能だが、同乗者が初めて乗車する人の場合には、運転者に表示する提供情報のほとんどを表示されないといったことが可能となる。即ち、本実施の形態のナビゲーション装置1は、状況により提供する提供情報を変更(制御)するので、運転者は、同乗者に運転者のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保することが可能となる。以下、本実施の形態のナビゲーション装置1について詳しく説明を行う。
【0017】
(構成)
図1は、本発明によるナビゲーション装置1の一実施形態の概略構成図を示す。
【0018】
本発明によるナビゲーション装置1は、制御部10、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信部11、地図データを記憶した地図データベース12(以下、地図DBという)、乗車者にルート案内等を行うナビゲーション部13、車外設備と通信を行う通信部14、ナビゲーション装置1を操作するための入力部15、地図に現在位置やその他の情報を表示する表示部16、音声等を出力するスピーカー17、運転者の特定、同乗者の乗車の有無及び同乗者の属性を判定する乗車者判定部18、ナビゲーション装置1の運転者の利用履歴から嗜好を学習して提供情報を取得する学習部19、同乗者属性等に応じて提供される提供情報を変更(制御)する提供情報変更部20、ナビゲーション装置1の運転者の利用履歴、提供情報及び提供情報テンプレートなどが記憶される記憶部21を含む構成である。
【0019】
ナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1を制御するナビECU(Electrical Control Unit)といわれる制御部10により制御される。制御部10は、プログラムを実行するCPU、ナビゲーションプログラムを記憶した記憶装置(ハードディスクドライブ、ROMなど)、データやプログラムを一時的に記憶するRAM、データを入力及び出力する入出力装置、NV(Non Volatile)−RAM等がバスを介して接続された周知のコンピュータとして構成される。
【0020】
GPS受信部11は、GPS衛星からの受信情報と地図DB12内の詳細な地図情報に基づいて、自車の地図上での位置情報を取得するものである。地図DB12は、ハードディスクやCD−ROM、DVD−ROM等で構成され、道路網や交差点などの道路地図情報が、緯度・経度に対応づけて格納されている。地図DB22には実際の道路網に対応づけて、ノード(道路と道路が交差する点、交差点から所定間隔毎に区切った点等)に関係する情報と、リンク(ノードとノードを接続する道路)に関係する情報とからなるテーブル状のデータベースに格納される。
【0021】
ナビゲーション部13は、乗車者の入力部15への操作/POI(Point of Interest)情報等から設定された目的地を特定し、GPS衛星からの受信情報と地図DB12内の詳細な地図情報に基づいて、目的地までのルート、距離、推定時間等をナビゲーションする。また、地図DB22に記憶された主要施設についてジャンル別(駅、施設、観光地、温泉、飲食店等)に検索して情報を提供する。
【0022】
通信部14は、様々な車外との情報通信を行う通信手段である。車外設備からの交通情報を受信するための電波ビーコンアンテナ、光ビーコンアンテナ、VICS(Vehicle Information & Communication System)コンピュータ、同様にFM多重放送信号を受信するためのラジオアンテナが含まれる。道路交通情報通信システムは、日本道路交通情報センターが渋滞、事故、工事、駐車場の満席状況等の収集された交通情報を処理・編集してVICSセンターに送る。VICSセンターから、該編集された交通情報を電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を通じて受信する。また、通信部14は、Bluetooth、無線LAN(Local Area network)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、DCM(Date Communication Module)等の通信手段を備え、例えば、乗車者の携帯電話からPOI情報やその他の情報の受信、他車両との車車両間通信、車外設備(情報センター等)やさらにはインターネットとの情報通信が可能である。
【0023】
入力部15は、タッチパネル、押下式のキーボード、ボタン、リモコン、十字キー等で構成される、運転者からの操作を入力するためのインターフェイスである。また、マイクを備え運転者の発する音声を音声認識回路で認識して操作を入力してもよい。目的地までのルート検索を行う場合、運転者は目的地を住所、地名、ランドマーク名、郵便番号等で入力することができる。
【0024】
表示部16は、液晶や有機EL、HUD(Head Up Display)等により構成され、自車両周辺の道路地図や指定された地域の道路地図を、指定された縮尺に合わせ表示すると共に、必要に応じて、自車両の位置及び目的地までの経路等を道路地図に表示する。また、表示部16はスピーカー17を備え、スピーカー17により右左折する交差点など経路に沿った進行方向を音声により案内する。
【0025】
乗車者判定部18は、運転者を特定、同乗者の乗車の有無及び同乗者の属性を検出・判定する。運転者(ドライバー)が誰であるか、同乗者は乗車しているのか、同乗者が乗車している場合には同乗者がどの属性(家族、友人、初めて乗車する人等)に属する者なのかを判定する。乗車者判定部18で判定された乗車者に関する情報は、提供情報変更部20が、提供情報テンプレートに従って、提供すべき提供情報を変更する際に用いられる。乗車者判定部18は、乗車者に関する情報を得るために様々な手段を備える。例えば、運転者を判定するにあっては、車内カメラで画像を撮影し、画像と運転者をリンクさせて登録しておく。画像認識により運転者の判定が可能である。また、ハンドルに指紋認証手段を備えて指紋と運転者をリンクさせて登録しておく。また、キーに付した識別子によりキーが差し込まれた際に運転者を判定する。また、個人所有の携帯電話で識別情報を(通信部14を介し)送信し運転者を判定する。同乗者の有無及び同乗者の属性を判定するにあっては、車内カメラで画像を撮影し、画像と同乗者(同乗者属性)をリンクさせて登録しておく。画像認識により同乗者(及び同乗者属性)の判定が可能である。その他、圧力センサで同乗者の有無を判定してもよいし、会話認識手段等により同乗者(同乗者属性)を判定すればよい。
【0026】
学習部19は、ナビゲーション装置1の運転者の利用履歴から嗜好を学習して提供情報を取得する。走行ルート、停車地点、検索/設定/登録目的地などの運転者のナビゲーション装置1の利用履歴情報、また、さらにはナビゲーション装置に含まれる又は連携されるテレビやオーディオ等の視聴コンテンツを含む利用履歴情報に基づいて、運転者の嗜好を学習する。例えば、運転者のよく行くレストランのジャンル(和食、中華、洋食等)から和食を好む、よく聴く音楽から洋楽を好むなどの嗜好(嗜好傾向)を学習する。また、学習された嗜好情報に基づいて、運転者に提供すべき提供情報を取得して提供する。例えば、和食を好む運転者に対してルート上に積極的に和食レストラン情報を提供(表示)したり、洋楽を好む運転者に対して(通信部を介して)洋楽新曲情報をダウンロードして提供(表示)する。
【0027】
提供情報変更部20は、同乗者属性等に応じて提供される提供情報を変更(制御)する。上述の如く学習部19は提供情報を提供するが、提供情報は嗜好を反映するものであるため、提供情報変更部20は提供される提供情報を条件に応じて変更(制御)を行う。
提供情報変更部20は、提供される提供情報の変更にあたって、提供情報テンプレートを生成し、提供情報テンプレートに従って動作する。提供情報変更部20によって、提供される提供情報は、例えば、変更されない場合の提供情報と比べて一部隠される(提供されない)ことになったり、全く提供されなくなったり、また代替する提供情報に切り替わることになる。この提供情報テンプレートについては後述する。
【0028】
記憶部21は、ハードディスクドライブなどで構成され、ナビゲーション装置1の運転者の利用履歴、提供情報及び提供情報テンプレートなどが記憶される。説明の都合上、運転者の利用履歴、提供情報及び提供情報テンプレートは記憶部21に記憶される構成としたが、制御部10(CPU、プログラム等)が利用可能であれば構成上どこに記憶されてもよい。
【0029】
なお、ナビゲーション装置1の上述した各機能部に関する動作は、実際にはCPUがナビゲーションプログラム(又はナビゲーションプログラムに含まれるプログラム)を実行することにより実現される。
【0030】
[実施例1]
(動作)
図2は、本実施例のナビゲーション装置1により提供される提供情報が変更(制御)されるまでの流れを説明するフローチャートである。
【0031】
ステップS201において、乗車者判定部18は、運転者(ドライバー)が誰であるか判定する。判定方法は、上述した方法等によればよい。運転者が判定されると、該運転者の利用履歴、嗜好、嗜好に応じた提供情報が決まる。
【0032】
ステップS202に進み、乗車者判定部18は、同乗者の乗車の有無を判定する。判定方法は、上述した方法等によればよい。
【0033】
ステップS202で同乗者が無しと判定された場合はステップS205に進み、制御部10はプライベートモードでナビゲーション装置1を起動する。プライベートモードで起動されると、提供される提供情報は該運転者に対し何の制約も無く全て提供される。この場合の提供情報は、嗜好やプライベート情報を含む提供情報であり、該運転者は、学習部19で学習された嗜好に基づく提供情報を利用することができ、ナビゲーション装置1の備える学習機能本来のサービスを全て享受可能である。なお、プライベートモードとせず、提供情報テンプレートモードを起動し、その上で、提供情報変更部20は同乗者無しの場合の変更条件に従う構成としてもよい。
【0034】
一方、ステップS202で同乗者が有りと判定された場合はステップS203に進み、乗車者判定部18は、同乗者の属性を判定する。判定方法は、上述した方法等によればよい。また、同乗者の属性とは、該運転者に対しての属性で、例えば、妻、家族、友人、恋人、初めて乗車する人等であり、この属性は、提供情報テンプレートの属性の区分に対応する。この点、提供情報テンプレートの説明において後述する。
【0035】
ステップS204に進み、制御部10は同乗者属性対応の提供情報テンプレートモードでナビゲーション装置1を起動する(提供情報変動部20を動作させる)。提供情報テンプレートモードで起動されると、提供情報変更部20は、該運転者に対する同乗者の属性に応じて該運転者に提供される提供情報を変更する。提供情報変更部20は、提供される提供情報の変更にあたって、提供情報テンプレートに従って動作する。
【0036】
ステップS204、205からステップS206に進み、モードに応じて該運転者に提供情報が提供される。一例として、プライベートモードの場合、よく行くレストランに関する情報が表示されるが、提供情報テンプレートモードでは、表示されない。
【0037】
(提供情報テンプレート)
図3は、提供情報テンプレートの一例を示す図である。提供情報変更部20は、提供情報テンプレートに基づいて提供情報の変更を行う。提供情報テンプレートは、運転者によって予め設定される。運転者は同乗者の属性ごとに提供可能な提供情報を項目ごとに提供するか否か、また一部提供するかを設定する。
【0038】
表の縦ラインの「提供情報」欄は、運転者の嗜好に基づいて学習された提供情報を一例である。ジャンル、カテゴリごとの項目に分類されている。本例では、「食事ジャンル」、「和食の店名」、「イタリアンの店名」、「買い物ジャンル」、「洋服店の店名」、「よく通るルート」、「検索条件」、及び「音楽ジャンル」の項目に分類されて提供情報テンプレートに設定されている。
【0039】
表の横ラインの「同乗者属性」欄は、運転者に対する同乗者の属性の一例である。本例では、「本人」、「家族(配偶者)」、「家族(その他)」、「友人」、「恋人」、及び「初めて乗車する人」の属性に分類されて提供情報テンプレートに設定されている。
【0040】
以下、例を挙げて説明する。例えば、(図2、ステップ202、203で)乗車者判定部18で同乗者が「有り」で同乗者の属性が「初めて乗車する人」と判定された場合、(図2、ステップ204で)提供情報テンプレートモードでナビゲーション装置1を起動する(提供情報変動部20を動作させる)。提供情報変更部20は、該運転者に対する同乗者の属性に応じて該運転者に提供される提供情報を変更する。即ち、同乗者の属性が「本人」である場合に提供される提供情報に対して、同乗者の属性が「初めて乗車する人」に提供許可される項目についての提供情報に変更する。「よく通るルート(国道のみ)」、「探索条件」の項目に関する提供情報のみが提供される。この場合、「初めて乗車する人」が乗車しても、該運転者の嗜好を表す項目についての提供情報は提供(表示)されないので、該運転者のプライバシーの保護が可能となる。
【0041】
なお、本実施例の提供情報テンプレートは、同乗者の属性単位によって区分されているが、同乗者の個人レベルにまで設定することができ、この場合同乗者個々に応じて詳細なレベルで提供情報を変更可能である。また、提供情報の項目は一例であって、情報の内容は問わない。
【0042】
以上、本実施例によれば、本実例のナビゲーション装置1は、同乗者により提供する提供情報を変更(制御)するので、運転者は、同乗者に運転者のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保することが可能となる。
【0043】
[実施例2]
本実施例のナビゲーション装置1は、車車両間通信を用いて提供情報(交換情報)を他車両と交換、入れ替えることにより、車ユーザのコミュニティ間で情報の共有を行うことができる。これにより車両間で自車の行動範囲、行動地域の提供情報(交換情報)を交換するなどして、初めて行く地域であっても、嗜好の類似する友人との情報交換により自分の嗜好にマッチしたレストランなどを検索しやすくなる。以下、詳しく説明を行う。
【0044】
図4は、本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車車両間での提供情報の交換の一例を示す図である。また、図5、6は、車両A及び車両Bの交換情報テンプレートの一例を示す図(説明に必要な項目、属性のみ記載)である。なお、実施例2において、交換情報、他車両の属性はそれぞれ実施例1の提供情報、同乗者の属性に対応する。交換情報は、車両の運転者のナビゲーション装置1の利用履歴及び学習された嗜好情報に基づいて該運転者に提供される提供情報であって、他車両と交換されるものである。他車両の属性は、自車両の運転者に対する他車両の所有者の属性である。他車両の運転者、同乗者の属性とすることも可能であるが、交換された情報が他車両に残ることを考えると好ましくは他車両の所有者の属性とする。
【0045】
図5、車両Aの交換情報テンプレートにおいて、他車両属性「友人」に対しては、「食べ物屋情報」、「ショップ情報」、「レジャー」、及び「便利な場所」の交換可能となっている。また、図6、車両Bの交換情報テンプレートにおいて、他車両属性「友人」に対しては、「食べ物屋情報」、「ショップ情報」、及び「レジャー」の交換可能となっている。車両A及び車両Bは互いに「友人」属性を有するとすると、交換情報テンプレートに応じた(従った)交換情報を通信部14を介して交換される。図4において、本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車車両間での提供情報の交換の一例を示す。
【0046】
提供情報変更部20は、交換情報テンプレートに基づいて交換情報の交換を行う。交換情報テンプレートは、運転者によって予め設定される。運転者は他車両の属性ごとに提供可能な交換情報を項目ごとに提供するか否か、また一部提供するかを設定する。
【0047】
以上、本実施例によれば、本実例のナビゲーション装置1は、他車両と交換する交換情報を変更(制御)するので、自車両(の運転者)は、他車両に自車両(の運転者)のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を共有・享受することが可能となる。
【0048】
[実施例3]
本実施例のナビゲーション装置1は、無線LAN、DSRC、DCM等の通信手段を備え、車外設備やさらにはインターネットの情報提供サーバとの情報通信が可能である。該通信手段を用いて提供情報(交換情報)を情報提供サーバにアップロード/ダウンロードし他車両と交換、入れ替えることにより、車ユーザのコミュニティ間で情報の共有をおこなうことができる。これにより車両間で自車の行動範囲、行動地域の提供情報(交換情報)を交換するなどして、初めて行く地域であっても、嗜好の類似する運転者との情報交換により自分の嗜好にマッチしたレストランなどを検索しやすくなる。以下、詳しく説明を行う。また、好きなタレントや有名人の車両を含めて情報の共有をおこなえば、タレントになりきってドライブが楽しめたり、新たな自分探しの一助となったり、同乗者がいるときにも適したサービス提供を容易にしたりすることが可能となる。もちろん、この好きなタレントや有名人の車両は、現実の情報でなく仮想的な情報でもよい。
【0049】
図7は、本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車両間での情報提供サーバを介して提供情報の交換(アップロード/ダウンロード)の一例を示す図である。また、図8は、車両Aのアップロード情報テンプレートの一例を示す図(説明に必要な項目、属性のみ記載)である。なお、実施例3において、アップロード情報、アップロードレベルはそれぞれ実施例1の提供情報、同乗者の属性に対応する。アップロード情報は、車両の運転者のナビゲーション装置1の利用履歴及び学習された嗜好情報に基づいて該運転者に提供される提供情報であって、情報提供サーバにアップロードされるものである。アップロードレベルは、アップロード情報をアップロードする項目に対応する区分である。
【0050】
図8、車両Aのアップロード情報テンプレートにおいて、アップロードレベル「2」に対しては、「渋谷地域のレストラン」、「吉祥寺のレジャースポット」、及び「吉祥寺のドライブルート」のアップロード可能となっている。車両Aはアップロードレベル「2」を選択しているとすると、アップロード情報テンプレートに応じた(従った)アップロード情報を通信部14を介して情報提供サーバにアップロードする。図7において、本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車両A、情報提供サーバ、車両B間でのアップロード情報の交換(アップロード/ダウンロード)の一例を示す。
【0051】
提供情報変更部20は、アップロード情報テンプレートに基づいてアップロード情報の交換(アップロード/ダウンロード)を行う。アップロード情報テンプレートは、運転者によって予め設定される。
【0052】
車両Bは、車両Aによりアップロードされたアップロード情報をダウンロード可能である。車両Bは、他車両(の運転者)の嗜好に基づく提供情報を共有・享受できる。車両Aに代わって好きなタレントや有名人の車両を含めて情報の共有を行えば、タレントになりきってドライブが楽しめたり、新たな自分探しの一助となったり、同乗者がいるときにも適したサービス提供を容易にしたりすることが可能となる。
【0053】
以上、本実施例によれば、本実例のナビゲーション装置1は、情報提供サーバにアップロードするアップロード情報を変更(制御)するので、自車両(の運転者)は、自車両(の運転者)のプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を共有・享受することが可能となる。
【0054】
[実施例4]
実施例1において、同乗者が有りと判定され、同乗者の属性が判定された場合、提供情報テンプレートに応じて提供情報は一部変更されて提供されることを説明した。本実施例のナビゲーション装置1は、変更された一部を情報提供サーバからの該運転者の嗜好に類似する提供情報で補うことも可能である。図9は、情報提供サーバからの情報で提供される提供情報を補うことを説明する図である。これにより変更する一部の項目(ジャンル、カテゴリ)については、人気の高いお店や一般的なお店などの抽象的な提供情報に変更するので、よく行く地点の特定が難しくなる。
【0055】
本実施例によれば、本実例のナビゲーション装置1は、変更する一部の項目(ジャンル、カテゴリ)については、抽象的な提供情報に変更するので、運転者は、さらにプライバシー情報を知られることなく、学習機能による利便性を確保することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明によるナビゲーション装置1の一実施形態の概略構成図である。
【図2】本実施例のナビゲーション装置1により提供される提供情報が変更(制御)されるまでの流れを説明するフローチャートである。
【図3】提供情報テンプレートの一例を示す図である。
【図4】本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車車両間での提供情報の交換の一例を示す図である。
【図5】車両Aの交換情報テンプレートの一例を示す図である。
【図6】車両Bの交換情報テンプレートの一例を示す図である。
【図7】本実施例のナビゲーション装置1を搭載した車両間での情報提供サーバを介して提供情報の交換の一例を示す図である。
【図8】車両Aのアップロード情報テンプレートの一例を示す図である。
【図9】情報提供サーバからの情報で提供される提供情報を補うことを説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ナビゲーション装置
10 制御部
11 GPS受信部
12 地図DB
13 ナビゲーション部
14 通信部
15 入力部
16 表示部
17 スピーカー
18 乗車者判定部
19 学習部
20 提供情報変更部
21 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
該車載情報端末の運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末であって、
同乗者の有無を判定する乗車者判定手段と、
前記乗車者判定手段により前記同乗者が無しと判定されたとき、前記運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供すること、
を特徴とする車載情報端末。
【請求項2】
前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記同乗者が無しと判定されたときに前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の車載情報端末。
【請求項3】
該車載情報端末の運転者の利用履歴情報に基づいて提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末であって、
同乗者の有無を判定する乗車者判定手段と、
前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記乗車者判定手段は、前記同乗者の同乗者属性を判定し、
前記乗車者判定手段により判定された前記同乗者属性に基づいて、前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段と、
を有すること特徴とする車載情報端末。
【請求項4】
前記提供情報の項目を前記同乗者属性に対応させて設定する設定手段を有し、
前記提供情報変更手段は、前記乗車者判定手段により前記同乗者が有りと判定されたとき、前記設定手段により設定された項目に関する情報に基づいて、前記提供情報を変更すること、
を特徴とする請求項3に記載の車載情報端末。
【請求項5】
他車両に搭載された車載情報端末と前記提供情報を送受信する通信手段を有し、
前記通信手段は、他車両の所有者が同乗者であったときの提供情報を、前記他車両に搭載された車載情報端末に送信すること、
を特徴とする請求項3又は4項に記載の車載情報端末。
【請求項6】
提供情報を前記運転者に提供する車載情報端末と、前記車載情報端末と前記提供情報の送受信を行う情報提供サーバと、からなる車両用情報提供システムであって、
前記車載情報端末は、
前記運転者に提供する前記提供情報を変更する提供情報変更手段と、
前記情報提供サーバと前記提供情報を送受信する通信手段を有し、
前記提供情報変更手段は、前記情報提供サーバから受信した提供情報に、前記提供情報を変更すること、
を特徴とする車両用情報提供システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−244204(P2009−244204A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93619(P2008−93619)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】