説明

車載情報装置

【課題】操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することのできる車載情報装置を提供する。
【解決手段】車載情報装置100は、要求された各種情報を所定の表示画面に表示する装置であって、操作者が細かい操作を行うことができるHMI(Human Machine Interface)を実現する第1のソフトウェア部品と、操作者の操作を補助するHMIを実現する第2のソフトウェア部品とを含むHMIを実現する複数のソフトウェア部品を、所定の記憶領域に格納し保持する保持手段15と、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する判断手段31と、判断手段31による判断結果を基に、保持手段15により保持されたHMIを実現する複数のソフトウェア部品のいずれか1つを実行し、HMIの入力パターンを切り替える切替手段32と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要求された各種情報を所定の表示画面に表示する車載情報装置に関し、特に、操作する乗員に対して当該装置の操作環境を提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、主に目的地までの経路情報を表示することを目的とし、車輌にナビゲーション装置が搭載されることは一般的となっている。
【0003】
このようなナビゲーション装置では、上記経路情報を表示する他に、運転者を含む乗員(以下、「操作者」と言う。)が操作画面(HMI(Human Machine I/F))を介して所定の操作(動作要求や設定)を行うことで、データ通信装置を介して情報管理センターや他の車輌から収集した様々な情報を操作者に提示することが可能で、1つの情報端末としての性質を有している。そのため、使用用途は多岐に渡る。
【0004】
そこで重要となるのが装置の操作性である。例え様々な情報が取り扱え利便性が良いと言っても、操作者にとって操作しづらい操作画面であれば、操作者の使用感に悪影響を及ぼしてしまう。
【0005】
そのため、従来では、特許文献1に記載されているような「ナビゲーション装置の操作性を向上させるための技術」が提案されている。
【特許文献1】特開2006−308310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記に挙げた従来のナビゲーション装置では、操作者の直感的な操作(フリーカーソル操作)を受け付けることができる点で優れた操作性(自由度のある操作)を実現できているが、ナビゲーション装置の設置位置と操作者との位置関係によっては、細かい操作を行うことが困難であると言う問題点がある。
【0007】
車輌に搭載されるナビゲーション装置は、設置可能なスペースが限られた車内に設置することから、必ずしも設置された位置が操作者にとって操作しやすい位置とは限らない。例えば、運転者の右利きで、ナビゲーション装置の操作画面がフロントパネルの中央に設置されている場合には、運転者が利き腕でない左手で操作を行うこととなる。このように、ナビゲーション装置の設置位置と操作者の利き腕とが逆の位置関係にある場合などでは、操作者が日頃から使い慣れていない手で操作をしなければならないことから、誤った操作を行う可能性が高く、細かい操作を行うことは困難である。
【0008】
このように、ナビゲーション装置の操作性を向上させるには、操作者とナビゲーション装置との位置関係などを考慮して、操作者が細かい操作を行うことが可能な状態であるか否かを判断して最適な操作画面を提供することが効果的である。
【0009】
本発明では、上記従来技術の問題点を鑑み、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することのできる車載情報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、要求された各種情報を所定の表示画面に表示する車載情報装置であって、操作者が細かい操作を行うことができるHMI(Human Machine Interface)を実現する第1のソフトウェア部品と、操作者の操作を補助するHMIを実現する第2のソフトウェア部品とを含む前記HMIを実現する複数のソフトウェア部品を、所定の記憶領域に格納し保持する保持手段と、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段による判断結果を基に、前記保持手段により保持された前記HMIを実現する複数のソフトウェア部品のいずれか1つを実行し、HMIの入力パターンを切り替える切替手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
このような構成によって、本発明の車載情報装置は、操作可能状態判断部(判断手段)によって、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断し、その判断結果に応じて、操作モード切替部(切替手段)によって、「細かい操作を可能とするモード」である詳細入力モードと、「操作者の操作を補助するモード」である補助入力モードとの2つの操作モード(HMIの2つの入力パターン)を切り替える。すなわち、車載情報装置では、運転者が細かい操作を行える状態であれば詳細入力モードへ、また操作者が細かい操作を行えない状態であれば補助入力モードへ操作モードを切り替える。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記切替手段において、前記判断手段が、操作者が細かい操作を行えると判断した場合に、前記保持手段により保持された前記第1のソフトウェア部品を実行し、操作者が細かい操作を行うことができるHMIの入力パターンへ切り替えることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記判断手段が、操作者の乗車位置と、当該車載情報装置の設置位置との位置関係に応じて、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記判断手段が、車輌に設置されたハンドルの位置情報と、運転者の利き腕に関する利き腕情報とに基づいて判断することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記判断手段が、操作者が運転者か助手席に乗車した助手席者かを識別する識別情報に基づいて判断することを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記判断手段が、車輌の走行状態に応じて、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の車載情報装置は、前記判断手段が、車輌の走行速度に基づいて判断することを特徴とする。
【0018】
これによって、本発明の車載情報装置は、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することができ(最適な入力パターンへ切り替えることができ)、操作者の操作性向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することができ、操作者の操作性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
<ハードウェア構成>
では、本実施形態に係る車載情報装置のハードウェア構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る車載情報装置100のハードウェア構成例を示す図である。
【0022】
本実施形態に係る車載情報装置100は、制御回路11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、現在地検出装置14と、補助記憶装置15と、表示装置16と、入力装置17と、データ通信装置20と、ドライブ装置21と、インタフェース装置23とから構成され、車輌の現在地(以下、「自車位置」と言う。)を検出して、自車位置周辺の道路地図を表示する機能や、出発地から目的地までの推奨経路を演算する機能、演算された推奨経路に基づいて経路誘導を行う機能などを兼ね備えている。車載情報装置100は、いわゆるナビゲーションあるいは道路案内などを行う装置である。
【0023】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM12は、制御回路11で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM13は、制御回路11がROM12に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。よって、制御回路11が、所定の記憶領域に格納された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うことで、その処理結果が推奨経路として表示される。
【0024】
次に、現在地検出装置14は、車輌の現在地を検出する装置であり、例えば、車輌の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14cなどから構成される。このように、現在地検出装置14により検出された車輌の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地が表示される。
【0025】
また、補助記憶装置15は、ナビゲーション処理に使用する道路地図データやPOI情報(Point of Interest 観光地や各種施設の情報)など各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)が用いられる。なお、上記各種情報は、補助記憶装置15以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体22であってもよく、これらの記録媒体22に格納された各種情報は、ドライブ装置21を介して読み取ることが可能である。よって、必要に応じて記録媒体22をドライブ装置21にセットすることで、各種情報が得られる。
【0026】
また、上記道路地図データは、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などから構成される。地図表示用データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者などに走行経路を誘導する際に用いられる。
【0027】
次に、表示装置16は、制御回路11から画像メモリ(非図示)に一時的に格納された画像データなどの各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、表示装置16の表示画面には、自車位置を表す自車位置マークや経路情報及び誘導情報などが道路地図とともに表示される。また、表示装置16には、車載情報装置100が有する機能に対して操作者が動作要求や設定を行うための操作画面も表示される。
【0028】
また、入力装置17は、操作者が上記操作画面を介して各種入力操作を行うための装置である。入力装置17は、表示装置16の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチや、カーソルの移動や表示画面のスクロールを指示するジョイスティックなどを含む。更に、入力装置17は、リモコンスイッチであってもよく、表示画面周辺に設けられたハードウェアキーであってもよい。
【0029】
次に、データ通信装置20は、外部の通信網に接続してインターネット上の各種情報を取得したり、要求元に所定の情報を発信したりする装置である。よって、インターネットを介して情報管理センター(情報管理サーバ)へアクセスし、渋滞情報などの道路交通情報が取得される。
【0030】
次に、インタフェース装置23は、車輌に搭載された他の装置(外部装置)から構成される外部システム24と車載情報装置100との間で、データ伝送路(非図示)を介して双方向のデータ通信を行う装置である。よって、外部システム24から所定の情報を取得することで、車載情報装置100において新たな情報提供が実現される(機能拡張が行える)。
【0031】
このように、本実施形態に係る車載情報装置100では、現在地検出装置14により取得した自車位置情報と、記録媒体22や補助記憶装置15などに格納されている地図情報とに基づき各種のナビゲーションを行う。例えば、自車位置とその近辺の道路地図とを表示装置16に表示し、経路探索によって得られた走行経路に従ってドライバーを誘導する。
【0032】
<操作モード切替機能>
本実施形態に係る車載情報装置100は、経路情報を表示する他に、操作者が操作画面を介して所定の操作を行うことで、データ通信装置20を介して情報管理センターや他の車輌から収集した様々な情報を表示装置16に表示する。この中で、車載情報装置100は、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示する操作モード切替機能を有している。以降に、その機能の構成と動作について説明を行う。
【0033】
<<構成>>
図2は、本発明の第1の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。本実施形態に係る車載情報装置100は、運転者が細かい操作が可能な状態か否かを判断する操作可能状態判断部31と、操作可能状態の判断結果に応じて適切な操作画面を提示する(適切な操作環境を提供する)ように操作モードを切り替える操作モード切替部32と、指示された操作モードに従って操作画面を表示する表示部33と、運転者からの動作要求や設定を受け付ける操作部34と、を有し、上記操作モード切替機能を実現している。
【0034】
操作可能状態判断部31は、インタフェース装置23を介して接続された個人認証システム24aの認証部51(認証方法は、パスワード認証の他、声紋、静脈、網膜といった生体認証など、予め登録された認証用データと入力データとの比較によって認証を行う。)によって乗車した運転者の個人認証が行われた後に、認証された運転者の個人情報41に含まれる利き腕に関する情報(以下、「利き腕情報」と言う。)と、車輌情報42に含まれるハンドル(非図示)の設置位置に関する情報(以下、「ハンドル位置情報」と言う。)とに基づいて、運転者が細かい操作が可能な状態か否かを判断する。
【0035】
一般的に車載情報装置100は、乗車した乗員が共通して操作可能な位置、すなわちフロントパネルの中央付近に設置されることが多い。
【0036】
このような設置位置から考えると、例えば右ハンドル車の場合には、車載情報装置100の操作は、運転者から見て左側に位置することから左手で行うことになる。また、左ハンドル車の場合には、運転者から見て右側に位置することから右手で行うことになる。
【0037】
よって、右ハンドル車の場合には、運転者が左利きであれば細かい操作が可能であるが、運転者が右利きであれば細かい操作は困難である。また、左ハンドル車の場合には、右ハンドル車と逆のことが言える。
【0038】
この点を踏まえて、操作可能状態判断部31は、予め車内に設置された車載情報装置100の位置に対するハンドルの設置位置(運転者の乗車位置)と、運転者の利き腕との位置関係から、運転者が細かい操作が可能な状態か否かを判断する。
【0039】
ここで、操作可能状態判断部31が、状態を判断する際に参照するデータについて簡単に説明する。
【0040】
(判断用データ:運転者の個人情報)
個人情報41は、運転者個人に関する情報であり、その中に利き腕情報が含まれる。通常、運転者が車載情報装置100を操作することから、車輌1台に対して1人の運転者の個人情報41が登録されていればよい。もし、車輌1台に対して複数の運転者がいる場合(例えば「営業車」などの業務用車輌)には、運転者を識別する運転者識別情報を基に個人情報41を一意に特定可能なように登録しておけばよい。
【0041】
また、個人情報41は、運転者が始めて乗車したときに、所定の方法によって設定・登録される。例えば、搭載情報装置100の表示装置16に対話形式の設定画面を表示し、運転者によって入力装置17から、利き腕情報を含む運転者個人に関する情報を入力させる。その他、音声ガイダンスの応答により設定・登録する方法などであってもよい。その中でも、利き腕情報については、車載カメラ(非図示)で撮像した運転者の映像を基に利き腕を推測し、推測結果を基に設定・登録する方法であってもよい。
【0042】
このようにして入力された個人情報41は、補助記憶装置15の所定の記憶領域に格納され、データベース又はファイルシステムなどにより管理される。よって、個人情報41は、上記方法によって1度だけ設定・登録されればよい。
【0043】
(判断用データ:車輌情報)
車輌情報42は、車輌に関する情報であり、その中にハンドル位置情報が含まれる。車輌情報42は、車載情報装置100が始めて動作したときに、情報を構成する上で必要なデータを各装置やシステムから収集し、自動的に設定・登録される。車輌情報42も、個人情報41と同様に、補助記憶装置15の所定の記憶領域に格納され、データベース又はファイルシステムなどにより管理される。よって、車輌情報42も、上記方法によって1度だけ設定・登録されればよい。
【0044】
本実施形態では、上記のように判断用データが管理されていることから、操作可能状態判断部31が、補助記憶装置15に格納された個人情報41と車輌情報42とを参照し、取得した利き腕情報とハンドル位置情報とを基に判断する。
【0045】
次に、操作モード切替部32は、操作可能状態判断部31による判断結果に基づいて、予め用意しておいた複数の操作モードのうち、運転者のおかれている状態に応じた最適な操作モードを選択し、現在動作中のモードと異なる操作モードが選択された場合に、選択された操作モードへ切り替える。
【0046】
本実施形態では、運転者のおかれる状態を想定し、2つの操作モードを有している。以下にこれらの操作モードについて説明する。
【0047】
(操作モード1:細かい操作を可能とするモード)
1つ目の操作モードは、利き腕の方の手で操作されることを想定し、フリーカーソル操作などの方法によって細かい操作が可能な操作画面が表示されるモードである。
【0048】
(操作モード2:運転者の操作を補助するモード)
2つ目の操作モードは、利き腕でない方の手で操作されることを想定し、運転者の操作を補助するような操作画面が表示されるモードである。
【0049】
本実施形態において、上記の2つの操作モードが選択された場合に、運転者に対してどのような操作画面が提示されるのかについて、操作画面例を基に具体的に説明する。また、以下の説明では、操作モードによる操作画面の違いを分かりやすく説明するために、同じ目的で操作を行った場合の操作モードごとの画面例を比較する。更に、入力装置17にはタッチパネルスイッチを例に説明する。
【0050】
(操作画面例:地図位置合わせ時)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る地図位置合わせ時の操作画面例を示す図である。図3(A)は、上記操作モード1により提示された地図位置合わせ時の操作画面例であり、(B)は、上記操作モード2により提示された地図位置合わせ時の操作画面例である。
【0051】
図3(A)に示すように、上記操作モード1により表示装置16が提示する操作画面では、地図の位置合わせを行うときに、ドラッグスクロール(図中の矢印線)を可能としており、目的地の位置合わせを微調整することができる。これによって、運転者は、操作画面に表示された地図をドラッグした状態で自由に移動することができ、細かい操作が可能となる。
【0052】
一方、上記操作モード2により表示装置16が提示する操作画面では、(B)に示すように、地図の位置合わせを行うときに、移動させたいポイント(図中の破線円)をタッチすることで、画面中心に表示された焦点位置がタッチしたポイントに移動するタッチスクロールを可能としており、大まかな目的地の位置合わせを行うことができる。これによって、運転者は、操作画面に表示された地図を簡便な操作で移動する(楽に移動する)ことができる。
【0053】
(操作画面例:文字入力時)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力時の操作画面例を示す図である。図4(A)は、上記操作モード1により提示された文字入力時の操作画面例であり、(B)は、上記操作モード2により提示された文字入力時の操作画面例である。
【0054】
図4(A)に示すように、上記操作モード1により表示装置16が提示する操作画面では、文字入力を行うときに、フリーハンド入力を可能としており、入力画像を基に文字認識機能によって入力された文字を取り込むことができる。これによって、運転者は、操作画面上で自由に文字を入力することができ、柔軟な文字入力操作が可能となる。
【0055】
一方、上記操作モード2により表示装置16が提示する操作画面では、(B)に示すように、文字入力を行うときに、50音順に整列され表示された入力候補文字群の中から、入力したい文字(図中の破線枠)をタッチすることで、一文字ずつの選択入力を可能としており、フリーハンド入力のときのような柔軟性はないものの、画面タッチのみで確実な文字入力を行うことができる。これによって、運転者は、フリーハンド入力が困難な場合でも簡便な操作で文字を入力する(楽に入力する)ことができる。
【0056】
このように、操作モード切替部32は、「細かい操作を可能とするモード」である詳細入力モードと、「運転者の操作を補助するモード」である補助入力モードとのHMIの2つの入力パターンを、運転者のおかれている状態に応じて切り替えている。そのため、車載情報装置100は、上記複数の操作モード(入力パターン)に対応して設計された異なるHMIを実現するプログラム及び各種データ(ソフトウェア部品群)を、予め補助記憶装置15の所定の記憶領域に格納している。
【0057】
次に、表示部33と操作部34とは、操作モード切替部32によって指示された詳細入力モードと補助入力モードとのどちらか一方の操作画面を表示し、操作可能な状態にする。また、表示部33には、運転者の操作で操作モードを切り替え可能なように、操作モードの切り替えを指示する切替ボタンを表示する。例えば、詳細入力モードの操作画面を表示している場合には補助入力モードへの切替ボタンを表示し、一方補助入力モードの操作画面を表示している場合には詳細入力モードへの切替ボタンを表示する。このように表示された切替ボタンは入力装置17の操作部34を介して選択可能で、操作部34は、切替ボタンが選択されると、操作モード切替部32へ操作モード切り替えを指示し、操作モード切替部32が所望する操作モードへの切り替えを行う。
【0058】
更に、上記表示部33に、運転者が利き腕にて操作可能か否かを設定する設定ボタンを表示し、操作部34を介して設定ボタンが押下されたことを受け付け、操作可能状態判断部32が、その設定に基づいて、運転者が利き腕にて細かい操作を行えるかを判断するようにしてもよい。
【0059】
これまでに説明を行った各機能部の動作は、例えば、車載情報装置100が有するROM12に格納された操作モード切替プログラム(ソフトウェア部品)がRAM13上に読み出され、制御回路11によって実行されることで実現される。
【0060】
また、上記各機能部の間で行われる各種データの送受信については、以降の各機能部の動作手順で説明を行う。
【0061】
本実施形態に係る車載情報装置100は、上記各機能部によって構成される操作モード切替機能を動作させることによって、操作者のおかれている状態に応じて操作モードを切り替え、最適な操作環境を提示する。
【0062】
<<動作>>
本実施形態に係る操作モード切替機能を実現する各機能部の動作手順についてフローチャートを用いて説明する。
【0063】
(1)操作者の利き手による操作モード切替動作
図5は、本発明の第1の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例(その1)を示す図である。
【0064】
車載情報装置100は、個人認証システム24aの認証部51によって運転者の個人認証を行い(ステップS101)、操作可能状態判断部31が、個人認証されたことを受けて、補助記憶装置15にアクセスし所定の記憶領域から車輌情報42と個人情報41とを取得する(ステップS102とS103)。
【0065】
続いて、車載情報装置100は、操作可能状態判断部31が、取得した車輌情報42のハンドル位置情報を基に、右ハンドル車か否かを判断する(ステップS104)。
【0066】
ステップS104の判断が右ハンドル車の場合には(ステップS104がYESの場合には)、操作可能状態判断部31が、取得した個人情報41の利き腕情報を基に、運転者が右利きか否かを判断する(ステップS105)。
【0067】
ステップS105の判断が右利きの場合には(ステップS105がYESの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして補助入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS106)。
【0068】
また、ステップS105の判断が左利きの場合には(ステップS105がNOの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして詳細入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS108)。
【0069】
ステップS104の判断が左ハンドル車の場合には(ステップS104がNOの場合には)、操作可能状態判断部31が、取得した個人情報41の利き腕情報を基に、運転者が右利きか否かを判断する(ステップS107)。
【0070】
ステップS107の判断が右利きの場合には(ステップS107がYESの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして補助入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS106)。
【0071】
また、ステップS107の判断が左利きの場合には(ステップS107がNOの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして詳細入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS108)。
【0072】
このように、車載情報装置100は、上記処理手順によって、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0073】
(2)操作能力判定による操作モード切替動作
また、運転者が操作を開始すれば、その操作履歴から運転者が操作に慣れているか否かを推測することができる。例えば操作履歴の中で、操作画面上の戻るボタンを押下する回数が所定の回数以上の場合には、操作中の手戻りが多いと判断でき、運転者が操作に慣れていないと推測される。また、操作ボタンを押下するまでの所要時間(動作要求や設定を行うまでにかかる所要時間)が所定の時間以上の場合には、操作方法が把握できていないと判断でき、運転者が操作に慣れていないと推測される。
【0074】
このような観点から、車載情報装置100は、操作可能状態判断部31によって、操作者のおかれている状態の判断に加えて操作者の操作能力をも判断し、その判断結果を基に操作モード切替部32によって、最適な操作モードへ切り替えることができる。
【0075】
以下に、操作者の操作能力に応じて操作モードを切り替える処理手順について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例(その2)を示す図である。
【0076】
車載情報装置100は、操作可能状態判断部31が、運転者の操作が記録された操作履歴情報を補助記憶装置15の所定の記憶領域から取得する(ステップS201)。
【0077】
続いて、車載情報装置100は、操作可能状態判断部32が、取得した操作履歴情報を基に、運転者の操作能力を判断する(ステップS202)。
【0078】
ステップS202の判断が高い操作能力(操作に慣れている)である場合には(ステップS202がYESの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0079】
また、ステップS202の判断が低い操作能力(操作に慣れていない)である場合には(ステップS202がNOの場合には)、現在動作中の操作モードが補助入力モードか否かを判断し(ステップS203)、補助入力モードで動作中の場合には(ステップS203がYESの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0080】
また、補助入力モードでなく詳細入力モードが動作中の場合には(ステップS203がNOの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして補助入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS204)。
【0081】
このように、車載情報装置100は、上記処理手順によって、操作者の操作能力に応じても補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0082】
<まとめ>
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、本実施形態に係る車載情報装置100は、運転者のおかれる状態を想定し、「細かい操作を可能とするモード」である詳細入力モードと、「運転者の操作を補助するモード」である補助入力モードとの2つの操作モードを有している。
【0083】
車載情報装置100は、操作可能状態判断部31によって、補助記憶装置15に格納されている個人情報41の利き腕情報と車輌情報42のハンドル位置情報とに基づいて、運転者が細かい操作を行えるか否かを判断する。その後、車載情報装置100は、操作モード切替部32によって、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、運転者が細かい操作を行える状態であれば詳細入力モードへ、また運転者が細かい操作を行えない状態であれば補助入力モードへ操作モードを切り替える。
【0084】
これによって、車載情報装置100では、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0085】
よって、車載情報装置100は、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することができる。また、操作者の操作能力に応じても最適な操作環境を提示することができ、操作者の操作性向上を図ることができる。
【0086】
更に、このような車載情報装置100によって、操作者のおかれている状態に応じて細かい操作が可能な操作画面を提示できることから、操作者がこれまでより自由度のある操作を行うことができる。また、車載情報装置100の開発側(ベンダ側)にとっては、これまでのHMIの仕様により操作制限されていたことで実現することができなかった機能などを、より高度なHMIにより操作可能な機能を実現することができる。
【0087】
[第2の実施形態]
車載情報装置100において、操作者が細かい操作を行えるか否かは、例えば車輌が走行中や停止中などの状態が大きく影響する。すなわち、車輌がある程度の車速で走行中の場合には、運転者は走行中の車輌操舵に集中していることから、車載情報装置100の操作に集中することができないため、細かい操作は困難である。その一方で、車輌が停止中又は低速で走行中の場合には、車載情報装置100の操作に集中することができることから、細かい操作も可能である。
【0088】
そこで、本実施形態に係る車載情報装置では、第1の実施形態において説明を行った基本機能構成に加えて、車輌の走行状態を考慮して操作モードを切り替える機能を有している。
【0089】
以下に、上記本実施形態に係る車載情報装置について説明するが、本実施形態に係る車載情報装置と、第1の実施形態に係る車載情報装置との違いは、上記車輌の走行状態を考慮して操作モードを切り替える機能のみであることから、それ以外の技術的事項については、第1の実施形態と同じ図面と符号を参照し説明を省略する。
【0090】
<操作モード切替機能>
車載情報装置100は、車輌の走行状態を考慮した操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示する操作モード切替機能を有している。以降に、その機能の構成と動作について説明を行う。
【0091】
<<構成>>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。本実施形態に係る車載情報装置100は、操作可能状態判断部31と、操作モード切替部32と、表示部33と、操作部34と、を有し、上記操作モード切替機能を実現している。
【0092】
その中で、操作可能状態判断部31には、車載情報装置100が備える現在地検出装置14の車速センサ14bからの検出された車速が渡される構成となっている。
【0093】
操作可能状態判断部31は、運転者が乗車しエンジンを始動し走行する間では、第1の実施形態において説明を行った判断方法によって操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する。しかし、車輌が走行し始めると、その後は、車速センサ14bの検出部61からの検出車速に基づいて、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する。
【0094】
より具体的には、操作可能状態判断部31は、検出部61からの検出車速と、予め設定された所定の閾値とを比較し、検出車速が所定の閾値以上となった場合に、操作モード切替部32に対して、補助入力モードへの切り替えを指示する。検出車速が所定の閾値より遅い場合には、操作モードの切り替えを行わない。
【0095】
上記各機能部の動作(機能)は、例えば、車載情報装置100が有するROM12に格納された操作モード切替プログラム(ソフトウェア部品)がRAM13上に読み出され、制御回路11によって実行されることで実現される。
【0096】
また、上記各機能部の間で行われる各種データの送受信については、以降の各機能部の動作手順で説明を行う。
【0097】
本実施形態に係る車載情報装置100は、上記各機能部によって構成される操作モード切替機能を動作させることによって、車輌の走行状態を考慮した操作者のおかれている状態に応じて操作モードを切り替え、最適な操作環境を提示する。
【0098】
<<動作>>
図8は、本発明の第2の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例を示す図である。
【0099】
車載情報装置100は、現在地検出装置14のGPSセンサ14cによって車輌が走行中であるか否かを判断する(ステップS301)。
【0100】
ステップS301の判断が、車輌が停車中である場合には(ステップS301がNOの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0101】
また、ステップS301の判断が、車輌が走行中である場合には(ステップS301がYESの場合には)、車速センサ14bの検出部61によって走行中の車輌速度を検出する(ステップS302)。
【0102】
続いて、車載情報装置100は、操作可能状態判断部32が、検出部61からの検出車速と、予め設定された所定の閾値とを比較し、検出車速が所定の速度以上か否かを判断する(ステップS303)。
【0103】
ステップS303の判断が、検出車速が所定の速度より遅い場合には(ステップS303がNOの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0104】
また、ステップS303の判断が、検出車速が所定の速度以上の場合には(ステップS303がYESの場合には)、現在動作中の操作モードが補助入力モードか否かを判断し(ステップS304)、補助入力モードで動作中の場合には(ステップS304がYESの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0105】
また、補助入力モードでなく詳細入力モードが動作中の場合には(ステップS304がNOの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして補助入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS305)。
【0106】
このように、車載情報装置100は、上記処理手順によって、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0107】
また、上記ステップS301からS305の処理手順は、第1及び第2の実施形態において説明を行った各処理手順と組み合わせて実行可能である。
【0108】
<まとめ>
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、本実施形態に係る車載情報装置100は、操作可能状態判断部31によって、補助記憶装置15に格納されている個人情報41の利き腕情報と車輌情報42のハンドル位置情報とを基に、運転者が細かい操作を行えるか否かを判断するのに加えて、車載情報装置100が備える車速センサ14bの検出部61からの検出車速を基に、運転者が細かい操作を行えるか否かを判断する。その後、車載情報装置100は、操作モード切替部32によって、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、運転者が細かい操作を行える状態であれば詳細入力モードへ、また運転者が細かい操作を行えない状態であれば補助入力モードへ操作モードを切り替える。
【0109】
これによって、車載情報装置100では、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0110】
よって、車載情報装置100は、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、車輌の走行状態を考慮した最適な操作環境を提示することもでき、操作者の操作性向上を図ることができる。
【0111】
[第3の実施形態]
車載情報装置100において、当該装置を操作する操作者が必ずしも運転者であるとは限らない。車輌に乗車する乗員であれば操作者に該当する。その中でも助手席に乗車する乗員(以下、「助手席者」と言う。)は、運転者に次いで当該装置の操作を行う確率が高い。よって、助手席者に対しても、最適な操作環境を提示する必要がある。
【0112】
助手席者の場合には、運転者と違って細かい操作が行える状態にある。なぜなら、車載情報装置の設置位置と、助手席者の位置と、助手席者の利き腕との関係を考えると、助手席者は、利き腕の手で操作する可能性が高い。更に、車輌が走行中であっても、車輌操舵を行っていないため、当該装置への操作に集中できる状態にある。
【0113】
そこで、本実施形態に係る車載情報装置では、第2の実施形態において説明を行った基本機能構成に加えて、車載情報装置の操作者を考慮して操作モードを切り替える機能を有している。
【0114】
以下に、上記本実施形態に係る車載情報装置について説明するが、本実施形態に係る車載情報装置と、第2の実施形態に係る車載情報装置との違いは、上記車載情報装置の操作者を考慮して操作モードを切り替える機能のみであることから、それ以外の技術的事項については、第2の実施形態と同じ図面と符号を参照し説明を省略する。
【0115】
<操作モード切替機能>
車載情報装置100は、車載情報装置100の操作者を考慮した操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示する操作モード切替機能を有している。以降に、その機能の構成と動作について説明を行う。
【0116】
<<構成>>
図9は、本発明の第3の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。本実施形態に係る車載情報装置100は、操作可能状態判断部31と、操作モード切替部32と、表示部33と、操作部34と、を有し、上記操作モード切替機能を実現している。
【0117】
その中で、操作可能状態判断部31には、車載情報装置100が備えるインタフェース装置23を介して接続される操作者識別システム24bの識別部71によって識別された結果が渡される構成となっている。
【0118】
操作者識別システム24bは、車載情報装置100を操作する者が運転者か助手席者かを識別する。当該システムは、接近センサ(非図示)などによる検知結果を基に、車載情報装置100に対して、左右どちらの方向から操作者が接近したかを判断する方法や、車載カメラ(非図示)などの映像を基に、所定の画像処理によって操作者を判断する方法などによって、操作する者が運転者か助手席者かを識別し、その識別結果(操作者識別情報)を操作可能状態判断部31へ渡す。
【0119】
操作可能状態判断部31は、上記操作者識別システム24bの識別部71による識別結果が運転者の場合には、第1の実施形態において説明を行った判断方法によって操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する。一方で、識別部71による識別結果が助手席者の場合には、操作者が細かい操作を行えることから、操作モードを詳細入力モードへ切り換える。
【0120】
上記各機能部の動作(機能)は、例えば、車載情報装置100が有するROM12に格納された操作モード切替プログラム(ソフトウェア部品)がRAM13上に読み出され、制御回路11によって実行されることで実現される。
【0121】
また、上記各機能部の間で行われる各種データの送受信については、以降の各機能部の動作手順で説明を行う。
【0122】
本実施形態に係る車載情報装置100は、上記各機能部によって構成される操作モード切替機能を動作させることによって、車載情報装置100の操作者を考慮した操作者のおかれている状態に応じて操作モードを切り替え、最適な操作環境を提示する。
【0123】
<<動作>>
図10は、本発明の第3の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例を示す図である。
【0124】
車載情報装置100は、操作可能状態判断部32が、操作者識別システム24bの識別部71から操作者が運転者か助手席者かを識別した結果(操作者識別情報)を取得する(ステップS401)。
【0125】
続いて、車載情報装置100は、操作可能状態判断部32が、取得した操作者識別情報を基に、操作者が運転者か否かを判断する(ステップS402)。
【0126】
ステップS402の判断が操作者が運転者である場合には(ステップS402がYESの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0127】
また、ステップS402の判断が操作者が運転者でない(助手席者である)場合には(ステップS402がNOの場合には)、現在動作中の操作モードが補助入力モードか否かを判断し(ステップS403)、補助入力モードでなく詳細入力モードが動作中の場合には(ステップS403がNOの場合には)、操作モードの切り替えを行わない。
【0128】
また、補助入力モードで動作中の場合には(ステップS304がYESの場合には)、操作モード切替部32が、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作モードを切り替え、HMIとして詳細入力モードの操作画面を表示し操作可能な状態にする(ステップS404)。
【0129】
このように、車載情報装置100は、上記処理手順によって、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0130】
また、上記ステップS401からS404の処理手順は、第1及び第2の実施形態において説明を行った各処理手順と組み合わせて実行可能である。
【0131】
<まとめ>
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、本実施形態に係る車載情報装置100は、操作可能状態判断部31によって、補助記憶装置15に格納されている個人情報41の利き腕情報と車輌情報42のハンドル位置情報とを基に、運転者が細かい操作を行えるか否かを判断するのに加えて、操作者識別システム24bの識別部71からの操作者識別情報を基に、運転者または助手席者のどちらか一方の操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する。その後、車載情報装置100は、操作モード切替部32によって、表示装置16の表示部33と入力装置17の操作部34とに動作を指示し、操作者(運転者または助手席者のどちらか一方)が細かい操作を行える状態であれば詳細入力モードへ、また操作者が細かい操作を行えない状態であれば補助入力モードへ操作モードを切り替える。
【0132】
これによって、車載情報装置100では、補助入力モードと詳細入力モードとの2つの操作モードの切り替えを行っている。
【0133】
よって、車載情報装置100は、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、車載情報装置100の操作者を考慮した最適な操作環境を提示することもできる。
【0134】
[ハプティックデバイスを操作手段として用いた場合]
ここからは、上記各実施形態において説明を行ってきた車載情報装置100が、ハプティックデバイスを入力手段として適用した場合について説明する。
【0135】
まず、ハプティックデバイスとは、人と物体が接触した際の触覚や力覚などの情報を視覚的情報として提示するデバイスである。このデバイスを入力手段として用いると、操作者がデバイスを感覚的に操作することで、例えば表示画面上のカーソルの移動や機能ボタンの選択などを容易に行うことができる。
【0136】
本実施形態に係る車載情報装置100では、上記ハプティックデバイスを、インタフェース装置23を介して接続することで、このデバイスを入力手段として利用できる。
【0137】
このような構成の場合には、車載情報装置100では、操作者が細かい操作を行えるか否かの判断に応じて(操作者のおかれている状態に応じて)操作モードを切り替えるときに、表示装置16の表示部33による操作画面の表示切替だけでなく、入力装置17の操作部34による操作量(カーソルの移動量など)の調整を行う。
【0138】
ハプティックデバイスでは、人の感覚的な操作がそのまま装置の操作へ反映される。例えば、操作者が利き腕でない方の手でハプティックデバイスを操作し、画面上の操作を行う場合、操作者は、利き腕の手でないため細かい操作を行えない。しかし、ハプティックデバイスが、操作者の操作量(つまみの回転量やジョイステックの移動量など)をダイレクトに操作部34による操作量(カーソルの移動量など)へ反映してしまうと、操作者が思うように操作を行うことができない(操作者が思っている以上にカーソルが移動するなど)。まだ操作に慣れていない操作者においても同じことが言える。
【0139】
このようなことから、本実施形態に係る車載情報装置100が有する操作モード切替機能では、ハプティックデバイスなどの感覚的に操作されるデバイスに対して、操作部34によって、操作者の操作量から装置の操作量へ変換するときに、その操作量の変換率を、操作者のおかれている状態に応じて変化させ操作を補助する。
【0140】
すなわち、車載情報装置100は、操作可能状態判断部31が、操作者が細かい操作を行うことができない状態であると判断した場合に、操作モード切替部32によって、操作量の調整を操作部34へ指示し、操作部34が所定の変換率に応じて操作量の調整を行う。
【0141】
このとき、操作部34が操作量調整のときに用いる変換率は、予め設定しておいた所定の値であって、複数個の値から段階に応じて選択可能なようにしてもよい。
【0142】
このように、本実施形態に係る車載情報装置100では、ハプティックデバイスなどの入力手段を利用する場合においても、操作者のおかれている状態に応じて最適な操作環境を提示することができ、操作者の操作性向上を図ることができる。
【0143】
[各実施形態に係る変形例]
上記各実施形態では、操作者が細かい操作を行うことができる操作モードと操作者の操作を補助する操作モードとの2つの入力パターンに対応して設計されたHMIを実現する2つのプログラム(2つのソフトウェア部品)を切り替える構成について説明を行ったが、次に挙げるような構成であってもよい。例えば、異なる入力パターンに対応するHMIを実現する3つ以上のプログラムを、予め補助記憶装置15の所定の記憶領域に格納しておき、操作モード切替機能によって、これら複数のプログラムのうちいずれか1つを実行し、HMIの入力パターンを切り替える。
【0144】
このような構成にすることで、より細かい粒度で、操作者のおかれている状態に応じた最適な操作環境を提示することができる。
【0145】
ここまで、上記各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記各実施形態に係る車載情報装置100が有する「操作モード切替機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、車載情報装置100の動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムとしてコンピュータで実行することで実現することができる。よって、上記各実施形態に係る操作モード切替プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体22に格納することができる。
【0146】
よって、上記各実施形態に係る操作モード切替プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVDなどの記録媒体22に記憶させることによって、ドライブ装置21に接続されたこれらの記録媒体22から、車載情報装置100にインストールすることができる。また、車載情報装置100は、例えばインターネットなどの電気通信回線に接続可能なデータ通信装置20を備えていることから、この電気通信回線を介して操作モード切替プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0147】
また、上記各実施形態では、車載情報装置100が、利き腕情報やハンドル位置情報などの判断用データを保持している構成を挙げて説明を行ったが、この構成に、本発明が限定されるものではない。例えば上記各情報を、車載情報装置100が備えるインタフェース装置23を介して接続される各外部システム24や、データ通信装置20を介してデータ通信可能な外部機器などから参照/取得する構成であってもよい。
【0148】
また、上記各実施形態では、車載情報装置100が、操作モード(入力パターン)に対応して設計された異なるHMIを実現するプログラム及び各種データ(ソフトウェア部品群)を、予め補助記憶装置15の所定の記憶領域に格納している構成を挙げて説明を行ったが、この構成に、本発明が限定されるものではない。例えば上記ソフトウェア部品を、車載情報装置100が備えるドライブ装置21に接続された記録媒体22や、データ通信装置20を介してデータ通信可能な外部機器(ダウンロードサーバ)などから取得し、自動インストールする構成であってもよい。
【0149】
最後に、上記各実施形態に挙げた形状に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車載情報装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る地図位置合わせ時の操作画面例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る文字入力時の操作画面例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例(その1)を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例(その2)を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る操作モード切替機能の構成例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る操作モードを切り替える処理手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0151】
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
14a 振動ジャイロ
14b 車速センサ
14c GPSセンサ
15 補助記憶装置
16 表示装置
17 入力装置(タッチパネル)
20 データ通信装置
21 ドライブ装置
22 記録媒体
23 インタフェース装置
24 外部システム
24a 個人認証システム
24b 操作者識別システム
31 操作可能状態判断部
32 操作モード切替部
33 表示部
34 操作部
41 個人情報(運転者の個人情報)
42 車輌情報
51 認証部
61 検出部
71 識別部
100 車載情報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求された各種情報を所定の表示画面に表示する車載情報装置であって、
操作者が細かい操作を行うことができるHMI(Human Machine Interface)を実現する第1のソフトウェア部品と、操作者の操作を補助するHMIを実現する第2のソフトウェア部品とを含む前記HMIを実現する複数のソフトウェア部品を、所定の記憶領域に格納し保持する保持手段と、
操作者が細かい操作を行えるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果を基に、前記保持手段により保持された前記HMIを実現する複数のソフトウェア部品のいずれか1つを実行し、HMIの入力パターンを切り替える切替手段と、を有することを特徴とする車載情報装置。
【請求項2】
前記切替手段は、
前記判断手段が、操作者が細かい操作を行えると判断した場合に、
前記保持手段により保持された前記第1のソフトウェア部品を実行し、操作者が細かい操作を行うことができるHMIの入力パターンへ切り替えることを特徴とする請求項1に記載の車載情報装置。
【請求項3】
前記判断手段は、
操作者の乗車位置と、当該車載情報装置の設置位置との位置関係に応じて、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載情報装置。
【請求項4】
前記判断手段は、
車輌に設置されたハンドルの位置情報と、運転者の利き腕に関する利き腕情報とに基づいて判断することを特徴とする請求項3に記載の車載情報装置。
【請求項5】
前記判断手段は、
操作者が運転者か助手席に乗車した助手席者かを識別する識別情報に基づいて判断することを特徴とする請求項3又は4に記載の車載情報装置。
【請求項6】
前記判断手段は、
車輌の走行状態に応じて、操作者が細かい操作を行えるか否かを判断することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の車載情報装置。
【請求項7】
前記判断手段は、
車輌の走行速度に基づいて判断することを特徴とする請求項6に記載の車載情報装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−229313(P2009−229313A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76637(P2008−76637)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】