説明

車載機器入力装置

【課題】手元にタッチパネルのような座標入力ができるデバイスを設置し、操作しているユーザの手を撮影して、その手形状をディスプレイに重畳させる入力装置があった。しかし、ディスプレイ全体に手形状が表示されていたため、ユーザが走行中に操作する場合において、画面を注視してしまう可能性があった。
【解決手段】車載機器入力装置1は、座標入力部100を操作しているユーザの手形状画像を作成する手形状画像作成部103と、車の走行状態を判定する走行強制状態判定部102と、走行強制状態判定部102の判定結果に基づいて、手形状画像を表示する大きさを決定する表示比率決定部104と、決定された大きさの手形状画像の表示位置を決定する表示位置決定部105と、メイン画面に、決定された大きさと表示位置で、手形状画像を重畳する手形状画像重畳部106と、重畳された画像を表示する表示部101を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作しているユーザの手形状をディスプレイ上に重畳表示し、車載機器への入力操作を行う車載機器入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車内で操作する機器の対象としてカーナビゲーション装置が普及してきている。
【0003】
従来、これら機器を操作するために、画面とタッチパネルを分離して操作する車載機器入力装置が提案されている(例えば特許文献1)。これは、タッチパネルをユーザの近くに設置して、ユーザの操作している手をカメラで撮影して、撮影した手画像を画面に重畳するという手法を用いている。これにより、ユーザは姿勢を崩すことなくタッチパネルの操作を行うことができる。また、車速やサイドブレーキなどの状態を検出して、走行強制状態(カーナビゲーション装置の機能を一部制限する状態)時には、画面上に表示されているボタンが走行強制の対象機能であった場合、重畳した手画像とボタンの重なり部分を検知し、当該重なり部分の手画像を表示しないといった手法を用いて、走行中の操作を規制している。
【特許文献1】特開2007−276615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車載機器入力装置においては、走行中、画面上にカメラで撮影した手画像を画面全体に表示しているため、表示されている手画像にユーザの注意が向きやすかった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、手画像を画面に重畳しながら、走行中でも安全に車載機器を操作することができる車載機器入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載入力装置は、ユーザにより接触された位置の座標を取得する座標入力部と、座標入力部を操作しているユーザの手形状画像を作成する手形状画像作成部と、車の走行状態を判定する走行強制状態判定部と、走行強制状態判定部の判定結果に基づいて、手形状画像を表示する大きさを決定する表示比率決定部と、表示比率決定部により決定された大きさの手形状画像の表示位置を決定する表示位置決定部と、メイン画面に、決定された大きさで、決定された表示位置に、手形状画像を重畳する手形状画像重畳部と、手形状重畳部で手形状画像が重畳されたメイン画面を表示する表示部とを備える
この構成により、画面全体に手形状を表示せずに操作できるため、走行中、手形状が画面に重畳されていても運転に集中することができる。
【0007】
また、手形状画像の各指と前記メイン画面内の各操作対象の機能とを関連付ける機能割当部をさらに備える。
【0008】
この構成により、メイン画面に表示されているボタンを選択し、当該ボタンに対応している機能を実行することができる。
【0009】
また、座標入力部を操作するユーザが運転者か助手席の同乗者かを判定する操作者判定部を更に備え、表示位置決定部は、操作者判定部の判定結果に基づいて、手形状画像の表示位置を変更する。
【0010】
この構成により、操作しているユーザに応じて手形状を重畳する場所を変更することができ、これにより、明示的に誰が操作しているのかを示すことができる。
【0011】
また、機能割当部によって関連付けられた各指と各操作対象の機能との対応関係を表示部に表示する割当機能表示部をさらに備える。
【0012】
この構成により、各指に割り当てられた機能を明示的に示すことができる。
【0013】
さらに、割当機能表示部は、各指と対応している各操作対象とを線で結ぶことで対応関係を表す。
【0014】
この構成により、各指に割り当てられた機能を明示的に示すことができる。
【0015】
また、割当機能表示部は、各指と対応している各操作対象とを同じ色にすることで対応関係を表す。
【0016】
この構成により、メイン画面上に特別な表示をすることなく各機能と各指との対応関係を表すことができるので、メイン画面を煩雑にすることがない。
【0017】
また、割当機能表示部は、各操作対象に、対応している各指の種類を示すGUIを表示することで対応関係を表す。
【0018】
この構成により、メイン画面の各機能を見るだけで、対応している指を判別することが可能になる。
【0019】
また、走行強制状態判定部によって車が走行中であると判定されると、割当機能表示部は、走行中の操作を制限された操作対象に対応している指を強調表示する。
【0020】
この構成により、どの指が現在機能を実行できないかをあらかじめ知ることができる。
【0021】
また、走行強制状態判定部によって車が走行中であると判定されると、割当機能表示部は、走行中の操作を制限された操作対象と対応している指との対応関係を表す線を削除する。
【0022】
この構成により、対応関係を示す線を削除するため、対応関係が切れていることを明示的に示すことができる。
【0023】
また、機能割当部は、座標入力部が取得した座標に基づいて、各指に関連付けられる各操作対象の機能を変更する。
【0024】
この構成により、メイン画面に表示されているボタンとの相対的な位置で、各指に割り当てる機能を変更することができるため、多くの機能を各指に割り当てることができる。
【0025】
また、機能割当部は、座標入力部が取得した座標に基づいて、各指に関連付けられる各操作対象の機能を変更し、割当機能表示部は、変更する基準を表す境界情報を、表示部の手形状画像を表示する領域内に表示する。
【0026】
この構成により、どの位置に指先を移動すれば所望する機能を実行できるかを、ユーザは容易に判断することができるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車載機器入力装置によれば、メイン画面全体に手形状画像を表示せずに操作できるため、走行中、手形状画像が画面に重畳表示されていても運転に集中することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態の車載機器入力装置について、図面を用いて説明する。
【0029】
図1に本実施形態の車載機器入力装置1の機能ブロック図を示す。本実施形態の車載機器入力装置1は、座標入力部100、表示部101、走行強制状態判定部102、手形状画像作成部103、表示比率決定部104、表示位置決定部105、手形状画像重畳部106から構成される。
【0030】
座標入力部100は、ユーザが操作する対象であり、ユーザの指の接触を検知し、その接触した位置の座標を出力する。この座標入力部100の一般的な例としては、透明なタッチパネルや不透明なタッチスクリーン等が挙げられる。また、最近では、同時に複数の接触座標を出力できるタッチパネル、タッチスクリーンなど、様々な方式が開発されてきている。
【0031】
手形状画像作成部103は、座標入力部100を操作しているユーザの手形状の画像を作成する。、手形状画像作成部103としては、カメラを用いてユーザの手形状を撮影し、その映像から手形状画像を取得することが考えられる。また、別の方法としては、座標入力部100が同時に複数の接触座標を検知可能なものであれば、接触座標から手形状をインバース・キネマティクス法を用いて、あらかじめ用意している手形状モデルとのマッチングを行って手形状を推定し、コンピュータグラフィックス(今後CGと呼ぶ)で描いた手形状画像を作成する方式なども考えられる。この方式の場合は、カメラで撮影する場合と比べて、コストを安く抑えることができ、また、サイズとしてもカメラ分のスペースを確保する必要がないため、薄型化、小型化が可能になるため、本実施形態では、こちらの方式を用いて説明する。
【0032】
表示比率決定部104は、メイン画面に対して手形状画像作成部103で作成された手形状画像の表示サイズを決定する。
【0033】
表示位置決定部105は、表示比率決定部104で表示サイズが決定された手形状画像を、メイン画面上のどの位置に表示するかを決定する。
【0034】
手形状画像重畳部106は、表示位置決定部105で表示位置が決定された手形状画像を、表示部101に表示されているメイン画面(またはアプリケーション)に重畳する処理を行う。このメイン画面とは、本実施の形態ではカーナビゲーション装置のメニュー画面や地図画面を想定している。
【0035】
表示部101は、カーナビゲーション装置のメイン画面と手形状画像重畳部106で重畳した手形状画像を表示する画面であり、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどが考えられる。
【0036】
走行強制状態判定部102は、車の車速やサイドブレーキの少なくとも一方をトリガとして、車の走行状態を判定する。
【0037】
以上のように構成された本実施形態の車載機器入力装置1について、図2を用いて全体の基本的な処理の流れを説明する。
【0038】
まず、ステップS20にて、座標入力部100を操作しているユーザの指の接触位置から手形状画像作成部103でCGの手形状画像を作成する。次に、ステップS21で、走行強制状態判定部102は、車速やGPS、ギヤ位置もしくはサイドブレーキの状態などに連動して、自車が走行中であるか否かを判定する。この判定結果が走行中であった場合は(ステップS21でYes)、ステップS22に進み、表示比率決定部104はCGの手形状画像の表示サイズを決定する。この際、手形状画像のサイズはメイン画面の大きさに対して一定の大きさより小さくする。また、速度が早くなったときは、手形状画像の大きさをさらに小さくすること等が考えられる。
【0039】
一方、ステップS21の判定結果が走行中でなかった場合には、ステップS26に進み、従来技術と同様に、手形状画像の大きさと表示位置を設定し、ステップS24に進む。
【0040】
ステップS22の後、ステップS23では、表示位置決定部105はCGの手形状画像を表示部101のどの位置に重畳させるかを決定する。これは、メイン画面に表示している内容に従って決定することが考えられる。
【0041】
例えば、図3のように、メイン画面が地図だった場合に、一般的なカーナビゲーション装置の機能として、2つの異なる地図の表示形態(左側画面31、右側画面32)を表示するものがある。この画面の操作対象が仮に左側画面31のみであった場合は、操作対象となる画面側に表示位置決定部105は手形状画像30を重畳する。これにより、ユーザは操作できる画面を簡単に判別でき、かつ操作時に画面全体に手形状画像を表示しないため、手形状画像30が画面上で動いていても、画面に気を取られることなく操作することができる。なお、このときの操作としては、2本の指を開いたり閉じたりするジェスチャーなどによって、地図を拡大もしくは縮小するなどの操作が考えられる。なお、本実施形態では、手形状画像30が表示されている手形状画像描画領域33と座標入力部100の操作領域とは1対1で対応している。
【0042】
次に、手形状画像重畳部106はステップS20で作成された手形状画像を、ステップS22で決定された表示サイズで、ステップ23で決定された位置に重畳し(ステップS24)、表示部101は手形状画像が重畳された画像を表示する(ステップS25)。
【0043】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例の車載機器入力装置について、図4に示す機能ブロック図を用いて説明する。本実施形態の車載機器入力装置4と、図1に示す構成と異なるところは、機能割当部407、割当機能表示部408、操作者判定部409をさらに備えている点である。図1と同じ構成要素については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0044】
操作者判定部409は、別途センサを設けて、座標入力部100に対してユーザがどの方向から手を差し込んでいるかを判定することで、操作しているユーザの手の左右を判定する。センサとしては、赤外線センサ、光センサなどを用いることができる。例えば、センターコンソールに座標入力部100が設置されている場合は、国産車では右の座席が運転席のため、右方向からの入力をセンサで判定した場合は、左手と判定する。逆に左ハンドルの外国産車の場合には、左方向からの入力をセンサで判定した場合は、右手と判定する。操作者判定部409は、左右どちらの座席が運転席であるかが予め分かっていれば、座標入力部100に対してユーザがどの方向から手を差し込んでいるかを判定することで、ユーザが運転者か助手席の同乗者かを判定できる。
【0045】
また別の判定方法として、あらかじめ、座標入力部100を操作する前に手を識別するためのルール(例えば、左手で操作する場合は、操作を開始する前に、親指を座標入力部100の右下の隅を押下し、その他の指を座標入力部100に自然な形で接触させるなど)を設けて、センサを使わずに左右を判定する方法なども考えられる。これらの判定方法を用いて左右を判別したときに、本実施形態のように、座標入力部100の接触座標から手形状画像を作成する場合は、左右を正しくモデリングすることができ、違和感のない表示をすることができる。
【0046】
また、表示位置決定部105は、操作者判定部409の判定結果に基づいてメイン画面上のどの位置に手形状画像を重畳するかを決定する。例えば、右手が入力されていると判定された場合には、助手席からの入力と判断し、手形状画像を重畳する位置を左側にするなどが考えられる。これにより、ユーザは表示部101の自分に近い方に手形状画像が表示されるため視認性が良くなり、違和感が少ない。
【0047】
次に、機能割当部407について説明する。機能割当部407は、メイン画面上の各機能を表しているボタン(操作対象)に対応して、手形状画像の各指に機能を割り当てる。
【0048】
例えば、図5に示す各ボタン(ボタン51〜55)に表示されている機能を、手形状画像50のそれぞれの指(親指、人指し指、中指、薬指、小指)に、各ボタンを並び順通りに対応させる。つまり、手形状画像50が左手であった場合は、小指にボタン55のAという機能、薬指にボタン54のBという機能、中指にボタン53のCという機能、人指し指にボタン52のDという機能、親指にボタン51のEという機能を対応させる。これにより、ユーザは実行したい機能が対応している指を、その場でダブルタップなどをすることにより、その機能を実行させることができる。そのため、ユーザはその対応関係を覚えてしまえば画面を見なくてもその機能を選択することができるので、車載機器の入力装置として効果が大きい。
【0049】
次に、メイン画面上に指の本数よりも多くボタンが存在していた場合(操作対象が多い場合)の操作方法について、図6(a)、(b)を用いて説明する。
【0050】
図6(a)では、ユーザの指が座標入力部100の上部の領域に接触している状態で、図6(b)では下部の領域に接触している状態を表している。そして両図とも、メイン画面の上部に4つのボタン(61A〜64A、61B〜64B)がそれぞれ並び、下部に4つのボタン(65A〜68A、65B〜68B)がそれぞれ配置されている状態を表している。ユーザの指が座標入力部100の上部の領域か、下部の領域に接触しているかは、座標入力部100が取得した各座標に基づいて判定することができる。
【0051】
図6(a)では、ユーザの指が座標入力部100の上部の領域を操作するのに対応して、上側の各ボタン61A〜64Aの機能を機能割当部407が各指に対応させる。具体的には、手形状画像60は左手のため、小指にボタン61AのAという機能、薬指にボタン62AのBという機能、中指にボタン63AのCという機能、人差し指にボタン64AのDという機能を割り当てる。また、図6(b)では、ユーザの指が座標入力部100の下部の領域を操作しているため、機能割当部407は、小指にボタン65BのEという機能、薬指にボタン66BのFという機能、中指にボタン67BのGという機能、人差し指にボタン68AのHという機能を割り当てる。
【0052】
このように、手形状画像60の指先座標とメイン画面に配置されている各ボタンの座標に対応して、機能割当部407はそれぞれ各指に割り当てる機能を変更することによって、複数の機能を各指に割り当て、実行することが可能になり、かつ、ユーザも割り当てられた機能を直感的に把握することができる。
【0053】
次に、割当機能表示部408について説明する。割当機能表示部408は、機能割当部407によって関連付けられた、手形状画像の各指と対応する各ボタンの機能との対応関係を表示部101に表示する。これらを図7、図8、図9、図10、図11、図12を用いて説明する。
【0054】
図7は手形状画像の各指と各ボタン(ボタン75〜ボタン78)の対応関係を、線で結ぶことによって表している一例を示す図である。つまり、この例の場合は、ボタン75と小指については線75L、ボタン76と薬指については線76L、ボタン77と中指については線77L、ボタン78と人差し指については線78Lが、それぞれの対応関係を表している。これにより、メイン画面を煩雑にすることなく、対応関係を図示でき、かつ分かりやすく表示することができる。
【0055】
また、図8(a)、(b)のように、現在実行可能な各ボタンをまとめて対応関係を表すことも考えられる。図8は、ボタンと手形状画像の指との対応関係を表した表示画面の一例を示す図で、図8(a)では、ユーザの指が座標入力部100の上部の領域に接触している状態で、図8(b)では下部の領域に接触している状態を表している。図8(a)では、上側のボタン81A〜84Aを囲む線89Aが、手形状画像描画領域33と結ばれており、手形状画像の各指が上側のボタン81A〜84Aにそれぞれ対応していることが分かる。図8(b)では、下側のボタン81B〜84Bを囲む線89Bが、手形状画像描画領域33と結ばれており、手形状画像の各指が下側のボタン81B〜84Bにそれぞれ対応していることが分かる。これにより、線89A、89Bで対応関係がひとつにまとまるため、メイン画面を煩雑さを防ぐことができる。
【0056】
また、図9は、走行中に操作を制限しているボタンが存在した場合の各ボタンと各指との対応関係を表した表示画面の一例を示す図である。走行強制状態判定部102により車が走行中であると判定されると、走行中の操作を制限されているボタンが実行不可能な状態に変更される。一般的に操作が制限されているボタンはグレーアウト(灰色系の色でトーンダウンすること)され、押下してもその機能は実行されない。このような実行不可能ボタン98が存在した場合、割当機能表示部408は、この実行不可能ボタン98と指(手形状画像60の人指し指)との対応関係を表す線を削除する。これにより、対応関係が切れていることを明示できるため、実行不可能ボタン98の機能を実行することができないことが分かりやすく表示できる。
【0057】
また、実行不可能なボタンがあった場合の別の例を図13に示す。走行強制状態判定部102により車が走行中であると判定されると、走行中の操作を制限されているボタンが実行不可能な状態に変更される。このような実行不可能ボタン1303が存在した場合、割当機能表示部408は、手形状画像60のボタン1303に対応する指(図13の場合は、人指し指)もグレーアウトなどの強調表示を行う。これにより、どの指が現在機能を実行できないかをあらかじめ知ることができる。
【0058】
図10は、各指と各ボタン(ボタン1001〜ボタン1008)の対応関係を、それぞれ異なる色で表したときの一例を示す図である(ここで、図10では色を使えないため、変りに色の違いをパターンで表示している)。この例の場合、ボタン1005の機能Eが小指、ボタン1006の機能Fが薬指、ボタン1007の機能Gが中指、ボタン1008の機能Hが人指し指に対応していることを表している。このように同じ色で対応付けることによって、メイン画面に各指と各ボタンの対応関係を示す線を特別に描画するなどの処理を必要とせず、かつ直感的にその対応関係を把握することができる。
【0059】
次に図11に、各指と各ボタン(ボタン1101〜ボタン1108)との対応関係を、各ボタンの近傍に各指の種類を示すGUI(1105F〜1108F)を表示する例を示す。この例の場合は、ボタン1105の機能Eが小指と対応していることを表すために、ボタン1105の近傍のGUI1105Fに小指を表す「小」という文字を示す。この他にも薬指、中指、人差し指を表すGUI1106F〜1108Fが、それぞれ対応しているボタン1106〜1108の近傍に表示されている。これにより、ユーザはメイン画面を見るだけで、どの指で座標入力部100を押下すれば所望の機能が実行できるかを知ることができる。また、別途操作者判定部409により、操作している手の左右が判定できる場合は、各指の種類を示すGUIの並び順を左右逆にして表示し、割り当てる指を変更することによって、違和感をなくすこともできる。
【0060】
また、図12では、メイン画面上の各ボタンの配置に応じて、機能割当部407が各指に割り当てる機能を変更する境界座標をもとに、手形状画像描画領域33内に境界情報となる境界線1209を表示する。本実施形態の場合、機能割当部407は上下方向に応じて、各指に対する各機能の割り当てを変更する。境界線1209より上側に手形状画像がある場合は、各指にメイン画面上の上側の各ボタン(ボタン1201〜1204)の機能を割り当て、図12に示すように境界線1209より下側に手形状画像がある場合は、各指にメイン画面上の下側の各ボタン(ボタン1205〜1208)の機能を割り当てる。手形状画像描画領域33内に上下方向を分割するような境界線1209を表示することにより、どの位置に指先を移動すれば所望するボタンを選択することができるかを、ユーザは容易に判断することができるようになる。
【0061】
なお、図12では手形状画像描画領域33を上下に分ける境界線により境界情報を表示したが、上下に色分けするなどによっても境界情報を示すことができる。
【0062】
また、図12ではメイン画面上のボタン群は上側と下側に配置されていたが、ボタン群がメイン画面上の左右に配置されている場合には、手形状画像描画領域33内を左右方向に分割する境界線を表示してもよい。ただし、この場合は、各指と各ボタンとの対応関係を図7の様に線で表示したり、図10の様に同じ色で表示するのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる車載機器入力装置は、画面全体に手形状画像を表示せずに操作できるため、走行中、手形状画像が画面に重畳されていても運転に集中することができるという効果を有し、カーナビゲーション装置、オーディオ機器、カーエアコンなどの車載機器への入力操作を行う車載機器入力装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の処理の流れを示すフローチャート
【図3】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図4】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の機能ブロック図
【図5】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図で、(a)ユーザの指が座標入力部100の上部の領域に接触している状態を表す図、(b)ユーザの指が座標入力部100の下部の領域に接触している状態を表す図
【図7】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の各ボタンと各指との対応関係を表した表示画面の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図で、(a)ユーザの指が座標入力部100の上部の領域に接触している状態を表す図、(b)ユーザの指が座標入力部100の下部の領域に接触している状態を表す図
【図9】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図10】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図12】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【図13】本発明の実施の形態における車載機器入力装置の表示画面の一例を示す図
【符号の説明】
【0065】
1、4 車載機器入力装置
30、50、60 手形状画像
33 手形状画像描画領域
51〜55、61A〜68A、61B〜68B、71〜78、81A〜88A、81B〜88B、91〜98、1001〜1008、1101〜1108、1300〜1302、1304 ボタン
75L〜78L、95L〜97L 各ボタンと各指との対応関係を表した線
89A、89B ボタンを囲む線
98、1303 実行不可能ボタン
100 座標入力部
101 表示部
102 走行強制状態判定部
103 手形状画像作成部
104 表示比率決定部
105 表示位置決定部
106 手形状画像重畳部
407 機能割当部
408 割当機能表示部
409 操作者判定部
1105F〜1108F GUI
1209 境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより接触された位置の座標を取得する座標入力部と、
前記座標入力部を操作しているユーザの手形状画像を作成する手形状画像作成部と、
車の走行状態を判定する走行強制状態判定部と、
前記走行強制状態判定部の判定結果に基づいて、前記手形状画像を表示する大きさを決定する表示比率決定部と、
前記表示比率決定部により決定された大きさの手形状画像の表示位置を決定する表示位置決定部と、
メイン画面に、前記決定された大きさで、前記決定された表示位置に、前記手形状画像を重畳する手形状画像重畳部と、
前記手形状重畳部で手形状画像が重畳されたメイン画面を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする車載機器入力装置。
【請求項2】
前記手形状画像の各指と前記メイン画面内の各操作対象の機能とを関連付ける機能割当部を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の車載機器入力装置。
【請求項3】
前記座標入力部を操作するユーザが運転者か助手席の同乗者かを判定する操作者判定部を更に備え、
前記表示位置決定部は、前記操作者判定部の判定結果に基づいて、前記手形状画像の表示位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の車載機器入力装置。
【請求項4】
前記機能割当部によって関連付けられた前記各指と前記各操作対象の機能との対応関係を前記表示部に表示する割当機能表示部を、さらに備えることを特徴とする請求項2に記載の車載機器入力装置。
【請求項5】
前記割当機能表示部は、前記各指と対応している前記各操作対象とを線で結ぶことで前記対応関係を表すこと特徴とする請求項4記載の車載機器入力装置。
【請求項6】
前記割当機能表示部は、前記各指と対応している前記各操作対象とを同じ色にすることで対応関係を表すことを特徴とする請求項4に記載の車載機器入力装置。
【請求項7】
前記割当機能表示部は、前記各操作対象に、対応している各指の種類を示すGUIを表示することで対応関係を表すことを特徴とする請求項4に記載の車載機器入力装置。
【請求項8】
前記走行強制状態判定部によって前記車が走行中であると判定されると、前記割当機能表示部は、走行中の操作を制限された操作対象に対応している指を強調表示することを特徴とする請求項4に記載の車載機器入力装置。
【請求項9】
前記走行強制状態判定部によって前記車が走行中であると判定されると、前記割当機能表示部は、走行中の操作を制限された操作対象と対応している指との対応関係を表す前記線を削除することを特徴とする請求項5に記載の車載機器入力装置。
【請求項10】
前記機能割当部は、前記座標入力部が取得した座標に基づいて、前記各指に関連付けられる前記各操作対象の機能を変更することを特徴とする請求項2に記載の車載機器入力装置。
【請求項11】
前記機能割当部は、前記座標入力部が取得した座標に基づいて、前記各指に関連付けられる前記各操作対象の機能を変更し、
前記割当機能表示部は、前記変更する基準を表す境界情報を、前記表示部の前記手形状画像を表示する領域内に表示することを特徴とする請求項4に記載の車載機器入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−184551(P2009−184551A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27464(P2008−27464)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】