説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】ユーザが所望する交通情報を効率よく通知できる車載用ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車位置を検出する位置検出手段12と、目的地を入力する入力手段18と、位置検出手段で検出された自車位置から入力手段で入力された目的地までの経路を探索する経路探索部17とを備えた車載用ナビゲーション装置において、外部から交通情報を取得する交通情報取得手段10と、交通情報をフィルタする条件を設定する条件設定手段16と、交通情報取得手段で取得された交通情報を条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する制御手段14と、制御手段で抽出された交通情報に基づきリストを生成するリスト生成手段15と、リスト生成手段で生成されたリストを出力する出力手段19とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載されてユーザを案内する車載用ナビゲーション装置に関し、特に、外部から受信した交通情報を出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行中の車両のユーザに交通情報を通知して運転の便宜を図る車載用ナビゲーション装置が知られている。このような車載用ナビゲーション装置は、外部から受信した交通情報のうち、経路探索機能によって探索された探索経路に関係する交通情報の全てをユーサに通知し、また、この通知した交通情報によって示される交通障害を回避するための経路を再探索する。
【0003】
このような車載用ナビゲーション装置に関連する技術として、特許文献1は、FM多重放送によって送信される道路交通情報を受信し、渋滞情報や事故情報等を表示装置に表示するようにした道路交通情報表示装置を開示している。この道路交通情報表示装置は、イグニッションキーがACC位置に操作されると、まず情報メニュー選択スイッチが操作されたか否かを調べ、操作されたことが判断されると情報メニュー画面を表示する。この情報メニュー画面で、いずれかの情報が選択されると、選択された情報の種別がRAMに記憶される。次に、メニュー画面の中から1つの道路種別が選択されると、そのとき既に表示すべき情報の種別がRAMに記憶されている場合には、その情報の種別に基づいてメニュー画面から選択された道路種別に関する情報を表示する。これにより、道路種別が途中で切り替わっても、同種の情報を即座に表示できる。一方、RAMに情報が記憶されていない場合は、従来と同様の順序で表示が切り換えられる。
【0004】
また、特許文献2は、交通情報送信メデイアの種別または交通情報内容の種別を使用者が任意に選択できるようにした車載用ナビゲーション装置を開示している。この車載用ナビゲーション装置は、複数の交通情報送信メディアによって送信されてくる交通情報を交通情報受信装置によって受信し、受信した交通情報に基づく表示と道路地図表示とを表示装置に合わせて行う機能を有し、メニュー画面表示指示スイッチにてメニュー画面を表示させ、表示されたメニュー画面中の表示から交通情報送信メデイアの種別、交通情報内容の種別を、タッチパネルを介して指示し、指示された交通情報送信メデイア、交通情報内容に基づく交通情報のみと道路地図とを合わせて表示装置に表示する。
【0005】
【特許文献1】特開平8−30895号公報
【特許文献2】特開平9−218045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の車載用ナビゲーション装置では、ユーザに通知する交通障害の種別を選択できるが、交通障害の種別によっては一度に多数の交通障害が通知される。また、探索経路に関連する全ての交通情報が通知されるため、この通知される交通情報にはユーザが影響を受けない交通情報も数多く含まれる。従って、ユーザは、不要な情報と重要な情報とを区別するのが困難であるという問題がある。
【0007】
また、従来の車載用ナビゲーション装置において受信する交通情報の信頼性は、交通情報送信元、交通障害発生地および放送される時間帯等によって異なるので、最新でない交通情報のようなユーザにとって有効でない情報が含まれる場合もある。さらに、従来の車載用ナビゲーション装置では、交通障害を回避するための経路を自動的に探索できるが、上述したように、全ての交通障害がその旨を画面に表示することにより通知されるので、探索経路を走行中に案内が中断されたり、何らかの操作を強いられる場合がある。
【0008】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、ユーザが所望する交通情報を効率よく通知できる車載用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る車載用ナビゲーション装置は、自車位置を検出する位置検出手段と、目的地を入力する入力手段と、位置検出手段で検出された自車位置から入力手段で入力された目的地までの経路を探索する経路探索部とを備えた車載用ナビゲーション装置において、外部から交通情報を取得する交通情報取得手段と、交通情報をフィルタする条件を設定する条件設定手段と、交通情報取得手段で取得された交通情報を条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する制御手段と、制御手段で抽出された交通情報に基づきリストを生成するリスト生成手段と、リスト生成手段で生成されたリストを出力する出力手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、ユーザが、交通情報をフィルタする条件を条件設定手段で設定すると、交通情報取得手段で取得された交通情報の中から条件設定手段で設定された条件によってフィルタされた交通情報から成るリストが生成されて出力されるので、ユーザが所望する交通情報、すなわちユーザにとって重要な交通情報を効率よくユーザに通知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この車載用ナビゲーション装置は、交通情報取得手段10、測位装置11、位置検出手段12、地図データ記憶手段13、コントロールセンタ14、リスト生成手段15、ユーザインタフェース部16、経路探索部17、入力手段18および出力手段19から構成されている。
【0012】
交通情報取得手段10は、外部のナビ専用交通情報放送局やラジオ専用交通情報放送局といった送信元から交通情報を取得してコントロールセンタ14に送る。この交通情報には、交通障害の内容、影響度および発生位置が含まれている。交通障害の内容は、障害の長さ(距離)や発生時刻等を含む。交通障害の影響度は、その交通障害がユーザに与えるであろう影響の大きさを表し、例えば1〜10のレベルで示される。また、交通障害の発生位置は、交通障害が発生した位置であり、例えば緯度および経度で示される。
【0013】
この交通情報取得手段10は、交通情報受信機21、交通情報データ変換部22、交通情報データ管理部23およびメモリ24から構成されている。交通情報受信機21は、外部(送信元)から送られてきた交通情報を表す信号を受信する。この交通情報受信機21で受信された信号は、交通情報データ変換部22に送られる。交通情報データ変換部22は、交通情報受信機21から送られてきた信号を、交通情報データに変換する。この交通情報データ変換部22において得られた交通情報データは、交通情報データ管理部23に送られる。
【0014】
交通情報データ管理部23は、交通情報データ変換部22から送られてくる交通情報データを受け取ってメモリ24に格納するとともに、必要に応じてコントロールセンタ14に送る。また、交通情報データ管理部23は、コントロールセンタ14からの要求に応じてメモリ24から交通情報データを読み出し、該コントロールセンタ14に送る。メモリ24は、上述したように、交通情報データを記憶する。
【0015】
測位装置11は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、方位センサおよび車速センサから構成されている。この測位装置11を構成するGPS受信機によって得られたGPSデータ、方位センサによって得られた方位データおよび車速センサによって得られた車速データは、測位データとして位置検出手段12に送られる。位置検出手段12は、測位装置11から送られてきた測位データに基づき自己の現在位置を検出する。この位置検出手段12で検出された自己の現在位置を表す現在位置データは、コントロールセンタ14に送られる。
【0016】
地図データ記憶手段13は、例えば、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disc)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)などから構成されており、地図データを記憶する。この地図データ記憶手段13に記憶されている地図データは、コントロールセンタ14によって読み出され、表示装置32における地図表示や経路探索部17における経路探索に供される。
【0017】
コントロールセンタ14は、この発明の制御手段に対応し、車載用ナビゲーション装置の全体を制御する。例えば、コントロールセンタ14は、位置検出手段12から送られてくる現在位置データ、地図データ記憶手段13から送られてくる地図データおよび入力手段からユーザインタフェース部16を経由して送られてくる入力データに基づき、交通情報取得手段10から送られてくる交通情報データによって示される交通障害をフィルタし、このフィルタにより抽出された交通障害を表す交通情報データをリスト生成手段15に送る。このコントロールセンタ14の詳細は後述する。
【0018】
リスト生成手段15は、コントロールセンタ14から自車または経路周辺に存在する交通障害を表す交通情報データを取得し、交通障害の種別を示すシンボル、交通障害の詳細情報、地図上における交通障害の位置および交通障害のリストを作成し、ユーザインタフェース部16に送る。
【0019】
ユーザインタフェース部16は、ユーザが当該車載用ナビゲーション装置とコミュニケーションするために使用される。このユーザインタフェース部16は、入力手段18からの入力データに応じて、フィルタの設定や表示方法の選択等を行う。このユーザインタフェース部16においてユーザが設定した条件はコントロールセンタ14に送られる。コントロールセンタ14は、その条件に基づきユーザに通知する交通障害を選択する。
【0020】
経路探索部17は、ユーザインタフェース部16から送られてくる回避探索開始の指示に応答して、交通情報によって示される交通障害の発生位置を回避する経路を探索する回避探索を実行する。この経路探索部17で探索された経路を表すデータは、コントロールセンタ14に送られる。なお、この経路探索部17は、通常の経路探索、つまり位置検出手段12で検出された現在位置から入力手段18によって入力された目的地までの経路を探索する処理も実行する。
【0021】
入力手段18は、例えば、リモートコントローラ、フェイスパネルのボタン、音声認識装置等から構成されており、経路探索のための目的地の設定や、ユーザが交通情報をフィルタする条件を設定するための各種画面に形成されたボタンを押下するために使用される。この入力手段18から入力された入力データはユーザインタフェース部16に送られる。
【0022】
出力手段19は、音声出力装置31および表示装置32から構成されている。音声出カ装置31は、例えばスピーカから構成されており、ユーザインタフェース部16から通知された交通障害をユーザに音声で通知する。表示装置32は、例えば液晶モニタから構成されており、ユーザインタフェース部16から通知された交通障害をユーザに画面で通知する。また、この表示装置32は、詳細は後述するが、ユーザが交通情報をフィルタする条件を設定するための各種画面を表示する。
【0023】
次に、この車載用ナビゲーション装置において、ユーザがフィルタの設定に使用する画面について説明する。
【0024】
図2は、交通情報設定メニューの例を示す。この交通情報設定メニューは、「交通情報検索条件(フィルタ)」、「障害非通知条件設定」、「通知・表示順設定」および「ナビ:交通情報送信元のフィルタ」といった項目を有し、ユーザが任意に選択できる。
【0025】
図3は、図2に示す交通情報設定メニューにおいて「交通情報検索条件(フィルタ)」が選択された場合に表示される交通情報検索条件設定画面の例を示す。ユーザは、この交通情報検索条件設定画面を用いて、通知を所望する交通障害の種別および最低影響度を設定する。
【0026】
交通情報検索条件設定画面は、「通知/非通知」、「種別」および「通知するための最低影響度」といった項目から構成されている。「種別」は交通障害の種類をシンボルと文字列とで表したものであり、例えば交通渋滞、交通事故、迂回レーン、道路工事といった項目から構成されている。「通知/非通知」は、「種別」に示される交通障害をユーザに通知するかどうかを指定するために使用される。「通知するための最低影響度」は、ユーザが通知を所望する交通障害の影響度の最低値を指定するために使用される。
【0027】
「通知/非通知」のチェックマークが外されている場合は、受信された交通情報に含まれる交通障害の影響度が「通知するため最低影響度」を上回っていても、交通障害は通知されない。図3に示す例では、「交通事故」は通知されない。「通知/非通知」のチェックマークが付されている場合は、設定された最低影響度を満たした種別の交通障害のみが通知される。すなわち、受信された交通情報に含まれる交通障害の影響度がユーザによって設定された最低影響度より低い場合、その交通障害は、ユーザに通知されない(リスト表示)。デフォルトでは、全ての交通障害が通知されるように、「通知/非通知」のすべてにチェックマークが付され、最低影響度は「1」に設定されている。
【0028】
図4は、図2に示す交通情報設定メニューにおいて「障害非通知条件設定」が選択された場合に表示される障害非通知条件設定画面の例を示す。
【0029】
障害非通知条件設定画面は、「考慮する」、「内容」、「設定変更」、「全て無効にする」および「決定」といった項目から構成されている。「内容」は交通障害の内容を表すものであり、例えば自車位置からの距離、障害の長さ(距離)、交通障害発生時刻等といった項目から構成されている。「考慮する」は、「内容」に示される項目を考慮するかどうかを指定するために使用される。「考慮する」にチェックマークを付すことにより設定が有効にされ、チェックマークが外されることにより設定は無効にされる。「設定変更」は、「内容」によって示される値を変更するために使用される。「全て無効にする」は、全ての「考慮する」のチェックマークを外すために使用される。「決定」は、「設定変更」の値を変更した場合に、その変更した値を確定させるために使用される。
【0030】
図3に示す交通情報検索条件設定画面を用いて設定された交通情報検索条件が満たされていても、図4に示す障害非通知条件設定画面を用いて設定された障害非通知条件を全て満たされていれば、交通障害の通知は行われない(フィルタされる)。
【0031】
外部(送信元)から送信される交通情報は、ユーザの現在位置(車両位置)とは無関係であるので、送信側において影響度が高く設定された交通障害であっても、ユーザにとっては影響度が低い場合がある。例えば、100km以上前方で1時間前に発生した交通障害に向かって走行している場合、交通障害の発生地点において、その影響を受けるどうかは不明である。自車位置から交通障害の発生地点までの距離、交通障害発生時刻(または最新情報に更新された時刻)等といったパラメータをユーザに設定させることにより、通知情報がユーザに最適になるようにカスタマイズすることが可能である。
【0032】
図5は、図2に示す交通情報設定メニューにおいて「通知・表示順設定」が選択された場合に表示される通知・表示順設定画面の例を示す。
【0033】
通知・表示順設定画面は、「優先度」、「種別」、「デフォルトに戻す」および「決定」といった項目から構成されている。「種別」は、図3に示したそれと同じである。「優先度」は、種別」に示される交通障害に付与する優先度を変更するために使用される。この優先度は、例えば図10に示すように、交通障害リストを表示する場合の交通障害の種別の並び順を決定するために使用される。「デフォルトに戻す」は、「優先度」を既定値に戻すために使用される。「決定」は、「優先度」の値を変更した場合に、その変更した値を確定させるために使用される。
【0034】
図6は、図2に示す交通情報設定メニューにおいて「ナビ:交通情報送信元のフィルタ」が選択された場合に表示される交通情報送信元のフィルタ設定画面の例を示す。なお、交通情報の送信元としては、ナビ専用交通情報放送局の他に、ラジオ専用交通情報放送局を用いることもできる。
【0035】
交通情報送信元のフィルタ設定画面は、「周波数」、「国名称」、「追加」および「削除」といった項目から構成されている。「周波数」は、送信元からの交通情報の受信を拒否する周波数を指定する。「国名称」は、送信元からの交通情報の受信を拒否する国の名称を指定する。「追加」は「周波数」および「国名称」で指定された送信元を、交通情報の受信を拒否する放送局として追加するために使用される。「削除」は「周波数」および「国名称」で指定された送信元を、交通情報の受信を拒否する放送局から削除するために使用される。この交通情報送信元のフィルタ設定画面を用いて送信元の周波数および国名称を設定することにより、特定の送信元から送信される交通情報の受信を拒否することができる。
【0036】
なお、現状の車載用ナビゲーション装置では、交通情報を受信した場合に、その送信元が有効な交通情報を送信しているかどうかを判断するために、受信したデータに含まれる特定のコード(全ての送信元が共通)を確認するように構成されているが、送信元によっては交通情報を全く送信していないにも拘わらず、有効な交通情報が含まれる旨のコードを送信する場合がある。この場合、有効な交通情報が送信されていないので、ユーザに通知する交通情報が存在しない旨を判断した時点で、他の送信元からのデータを受信するように切り替えることはできるが、その切り替えのために余分な処理が必要になる。また、送信元を切り替えて新たな送信元からのデータを受信する場合、AF(Alternate frequency:1つの放送局が複数の周波数を有する)放送局が存在する環境では、切り替える前と同じ送信元からのデータを再び受信してしまう場合がある。
【0037】
現状の車載用ナビゲーション装置では、交通情報を送信している送信元からのデータを受信したとしても、ユーザに通知するまでに数分かかってしまうので、機能的に限界に近い反面、交通情報であるので、より新しい情報を素早くユーザに通知する必要がある。そこで、希望する送信元からのデータのみを受信できるように構成することが考えられるが、国や地域に複数の送信元が存在し、無料・有料(契約を結んでいる場合のみ使用可能)の送信元が存在するなど国によって状況が異なるので設定が困難である。そこで、上述したように、ユーザが受信を拒否したい送信元を設定できるように構成することにより、無駄な情報(遅れた情報や、間違った情報)を通知されることを減らし、少しでも有効な送信元から交通情報を受信する可能性を高めることができる。
【0038】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の動作を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0039】
車載用ナビゲーション装置による経路案内が開始されると、図8に示すような経路案内画面が表示装置32に出力される。この経路案内画面には、地図の他に、地図上表示ボタン、交通情報設定ボタン、自動通知ONボタンおよび交通障害リストボタンが設けられている。地図上表示ボタンは、検知された交通障害を地図上に表示させるために使用される。交通情報設定ボタンは、図2に示す交通情報設定メニューを表示させるために使用される。自動通知ONボタンは、交通障害の自動通知を有効にするために使用される。交通障害リストボタンは、この発明の出力指示手段に対応し、検知された交通障害をリスト表示させるために使用される。
【0040】
図8に示す画面が表示された状態において、まず、交通情報判定条件の設定が行われる(ステップST1)。すなわち、ユーザは、入力手段18を操作することにより図2に示す交通情報設定メニューを表示させる。そして、必要に応じて、「交通情報検索条件(フィルタ)」、「障害非通知条件設定」、「通知・表示順設定」または「ナビ:交通情報送信元のフィルタ」を選択し、上述した交通情報検索条件、障害非通知条件、通知・表示順、交通情報送信元のフィルタ条件を設定する。
【0041】
次いで、車両位置検出が行われる(ステップST2)。すなわち、位置検出手段12は、測位装置11から測位データを取得し、自己の現在位置を算出する。そして、算出した現在位置を表す現在位置データをコントロールセンタ14に送る。これにより、自車位置および目的地が確定され、また、探索すべき経路が明確にされる。なお、目的地は、周知の方法によって、あらかじめ設定されているものとする。
【0042】
次いで、自車に対して所定の関連を有する交通情報である対象交通情報が検索され(ステップST3)、その対象交通情報が取得される(ステップST4)。すなわち、交通情報データ管理部23は、メモリ24に格納されている交通情報データまたは交通情報受信機21から交通情報データ変換部22を経由して送られてくる交通情報データを検索して対象交通情報を取得する。そして、この取得した交通情報を、コントロールセンタ14に送る。
【0043】
次いで、ステップST4で取得された交通情報が、ステップST1で設定された交通情報判定条件に従ってフィルタされる(ステップST5)。すなわち、コントロールセンタ14は、ステップST1で設定された条件を満足する交通情報のみを抽出する。従って、この段階において、ユーザにとって不要な交通情報は捨てられる。交通情報判定条件に従って交通情報を抽出する機能をフィルタ機能と呼ぶ。なお、交通情報判定条件に従ってフィルタされた交通情報によって示される交通障害をリスト表示したり地図上に表示するように構成することもできる。
【0044】
次いで、経路探索部17によって既に探索された経路があるかどうかが調べられる(ステップST6)。このステップST16において、探索された経路がないことが判断されると、取得された交通情報によって示される交通障害の全リストが生成される(ステップST7)。そして、この生成された交通情報(交通障害)がユーザに通知される(ステップST8)。その後、交通情報設定メニューを用いてフィルタ設定の調整が行われ(ステップST9)、以下、ユーザへの通知(ステップST8)とフィルタ設定の調整(ステップST9)とが繰り返し行われることにより、ユーザが所望する交通情報のみが表示装置32に表示されるように制御される。
【0045】
上記ステップST6において、探索された経路があることが判断されると、経路探索部17によって探索された経路上または自車周辺の所定範囲、つまり位置検出手段12によって検出された自車位置から所定範囲の交通情報によって示される交通障害が検知される(ステップST10)。この場合、自車周辺の所定範囲は、測位装置11から得られる方位データを利用し、位置検出手段12によって検出された自車位置から自車の進行方位の所定範囲とするように構成することもできる。
【0046】
次いで、自動通知に設定されているかどうか、つまり図8に示す経路案内画面の「自動通知ONボタン」がオンされているかどうかが調べられる(ステップST11)。このステップST11で、自動通知に設定されていることが判断されると、上記ステップST10で検知された経路上または自車周辺の所定範囲の交通障害が通知される(ステップST12)。この交通障害を通知する機能は、自動通知機能と呼ばれる。交通障害の通知は、例えば図9に示すような自動交通情報通知画面を表示装置32に表示することにより行われる。この自動交通情報通知画面には、交通障害の種別を示すシンボル、交通障害の内容を表すメッセージの他に、「回避する」ボタンおよび「回避しない」ボタンが含まれている。
【0047】
自動通知機能では、1件の交通障害が通知される。この自動通知機能は、交通障害が検知されるたびに起動されるので、経路案内が中断されるという状態が発生する。しかも、ユーザにとって重要度の低い交通障害も通知されるので、特に必要な場合以外は自動通知機能を使用するのは好ましくない。なお、フィルタ機能によって重要度の低い交通障害を自動通知の対象外にすることにより、ユーザに交通障害を通知する回数を減らすことができる。
【0048】
次いで、回避探索を行うかどうかが調べられる(ステップST13)。すなわち、「回避する」ボタンまたは「回避しない」ボタンの何れが押されたか調べられる。このステップST13で、回避探索を行う、つまり、「回避する」ボタンが押されたことが判断されると、シーケンスはステップST17に進み回避探索が行われる。一方、ステップST13で、回避探索を行わない、つまり「回避しない」ボタンが押されたことが判断されると、シーケンスはステップST18に進み、定期的な交通情報の更新が行われる。
【0049】
上記ステップST11において、自動通知でないことが判断されると、リスト表示のソートが行われる(ステップST14)。すなわち、図5に示す通知・表示順設定画面で設定された優先度に従って、ステップST10で検知された交通障害が並べ替えられる。この状態で、ユーザが交通障害を確認するために画面上の交通障害リストボタンを押すと、経路上の交通障害が表示される(ステップST15)。この経路上の交通障害の表示は、例えば図12(a)に示すように、地図上に引かれた経路上に交通障害のシンボルを表示するか、図10に示すような経路上交通障害リストを表示するかにより行われる。何れの形式で表示するかは、地図上表示ボタンおよび交通障害リストボタンの押下状態によって決定される。
【0050】
経路上交通障害をリスト表示する場合は、図10に示すような経路上交通障害リストを表示装置32に表示することにより行われる。この経路上交通障害リストの画面には、「選択」、「内容」、「影響度」および「回避探索を行う」といった項目が含まれる。「内容」は、交通障害の種別を表すシンボルと交通障害の内容を表すメッセージから構成されている。この場合、図11に示すように、シンボルを影響度に応じて色分けして、例えば、赤い縁取りのシンボルで影響度大(レベル6以上)を表示し、影響度中(レベル6未満)は黄色の縁取りのシンボルで表示するように構成できる。この構成により、ユーザによる交通障害の重要性の認知度を高めることができる。
【0051】
ユーザは、「選択」にチェックマークを付すことにより、経路上交通障害リストから複数の交通障害を選択し、「回避探索を行う」ボタンを押すことにより回避探索を行うことができる。通常、交通障害をリスト表示する場合は、画面表示領域に限りがあるため、経路上交通障害リストから有効な情報を確認するために手間がかかる。しかし、フィルタ機能によって重要度の低い交通障害リスト表示の対象外にすることによって、ユーザに有効な情報のみを通知することができる。
【0052】
この経路上交通障害リストが表示された状態で、「回避探索を行う」が選択される(ステップST16)と、次いで、回避探索が行われる(ステップST17)。経路探索部17は、現在位置から目的地までの経路であって、図10に示す経路上交通障害リストの画面の「選択」にチェックマークが付された交通障害を回避するような経路を再探索する。これにより、地図上に新たな経路が引かれた画像が表示装置32に表示される。
【0053】
次いで、定期的な交通情報取得が行われる(ステップST18)。そして、交通情報が更新されたかどうかが調べられる(ステップST19)。このステップST19で、交通情報が更新されていないことが判断されると、シーケンスはステップST18に戻り、交通情報が更新されるまでステップST18およびST19の処理が繰り返される。そして、ステップST19において、交通情報が更新されたことが判断されると、シーケンスはステップST2に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0054】
なお、地図上に引かれた経路上に交通障害のシンボルを表示することによって経路上の交通障害を表示する場合は、表示レベルバーを操作することにより、表示する交通障害(シンボル)を限定するように構成できる。地図表示により交通障害を確認する場合、縮尺スケールが高いほど交通障害のシンボルが重複して表示される可能性が高いため、表示する交通障害の種別の設定、影響度などのレベル調整を地図表示中に行うことができるように構成することにより、重要な交通情報のみを確認することが可能になる。また、長距離の経路探索が行われた場合、探索された経路全体を表示しながら交通情報を確認することができ、交通障害を確認するために地図表示縮尺を調整する必要がなくなる。
【0055】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置によれば、ユーザが、交通情報をフィルタする条件を入力手段18から設定すると、交通情報取得手段10で取得された交通情報の中から、設定された条件によってフィルタされた交通情報から成るリストが生成されて出力されるので、ユーザが所望する交通情報、すなわちユーザにとって重要な交通情報を効率よくユーザに通知できる。
【0056】
フィルタの条件の設定では、交通障害を種別、影響度などに分けたシンボルで表現するように構成したのでユーザにとって認識が容易である。また、自動回避探索は、ユーザにとって重要な交通障害のみを回避するようにして実行されるので、ユーザに好適な経路を提供できる。
【0057】
なお、交通情報検索条件の設定では、交通情報で示される交通障害の種別および最低影響度を考慮して交通障害の通知/非通知を制御するように構成したが、場所、時間、距離等を考慮して交通障害の通知/非通知を制御するように構成することもできる。この構成により、交通障害の情報の提供の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置で使用される交通情報設定メニューの例を示す図である
【図3】図2に示す交通情報設定メニューにおいて「交通情報検索条件(フィルタ)」が選択された場合に表示される交通情報検索条件設定画面の例を示す図である。
【図4】図2に示す交通情報設定メニューにおいて「障害非通知条件設定」が選択された場合に表示される障害非通知条件設定画面の例を示す図である。
【図5】図2に示す交通情報設定メニューにおいて「通知・表示順設定」が選択された場合に表示される通知・表示順設定画面の例を示す図である。
【図6】図2に示す交通情報設定メニューにおいて「ナビ:交通情報送信元のフィルタ」が選択された場合に表示される交通情報送信元のフィルタ設定画面の例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置における経路案内画面の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置における自動交通情報通知画面の例を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置における経路上交通障害リストの表示例を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置において使用される交通障害のシンボルの表示例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る車載用ナビゲーション装置において地図上に交通障害のシンボルを表示する例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 交通情報取得手段、11 測位装置、12 位置検出手段、13 地図データ記憶手段、14 コントロールセンタ、15 リスト生成手段、16 ユーザインタフェース部、17 経路探索部、18 入力手段、19 出力手段、21 交通情報受信機、22 交通情報データ変換部、23 交通情報データ管理部、24 メモリ、31 音声出力装置、32 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する位置検出手段と、
目的地を入力する入力手段と、
前記位置検出手段で検出された自車位置から前記入力手段で入力された目的地までの経路を探索する経路探索部
とを備えた車載用ナビゲーション装置において、
外部から交通情報を取得する交通情報取得手段と、
交通情報をフィルタする条件を設定する条件設定手段と、
前記交通情報取得手段で取得された交通情報を前記条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する制御手段と、
前記制御手段で抽出された交通情報に基づきリストを生成するリスト生成手段と、
前記リスト生成手段で生成されたリストを出力する出力手段
とを備えた車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
経路探索部は、リスト生成手段で生成されたリストから選択された交通情報によって示される交通障害の発生位置を回避した経路を探索する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
条件設定手段は、交通障害が通知される基準となる最低影響度を設定し、
制御手段は、交通情報取得手段で取得された交通情報に含まれる影響度が前記条件設定手段で設定された最低影響度より大きい場合に、該交通情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
条件設定手段は、交通障害の種別毎に優先度を設定し、
リスト生成手段は、前記条件設定手段によって設定された優先度に従って交通情報を並び替えたリストを生成する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
条件設定手段は、交通情報取得手段における交通情報の取得を拒否する送信元を設定し、
制御手段は、前記条件設定手段によって設定された送信元からの交通情報を除いた交通情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
交通情報取得手段は、定期的に外部から交通情報を取得し、
制御手段は、前記交通情報取得手段で取得された交通情報が更新された場合に、該更新された交通情報を前記条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出し、
リスト生成手段は、前記制御手段で抽出された交通情報に基づきリストを更新する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
経路探索部は、前記リスト生成手段によってリストが更新される毎に、該更新されたリストから選択された交通情報によって示される交通障害の発生位置を回避した経路を探索する
ことを特徴とする請求項6記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
リスト生成手段で生成されたリストの出力を指示する出力指示手段を備え、
出力手段は、前記出力指示手段の指示に応じてリストに含まれる交通情報によって示される交通障害の詳細な情報を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
制御手段は、交通情報取得手段で取得された交通情報のうちの経路探索部で探索された経路沿いの交通情報の中から条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
制御手段は、交通情報取得手段で取得された交通情報のうちの位置検出手段で検出された自車位置から所定範囲の交通情報の中から条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項11】
位置検出手段は、自車の進行方位を検出し、
制御手段は、交通情報取得手段で取得された交通情報のうちの位置検出手段で検出された自車の進行方位の所定範囲の交通情報の中から条件設定手段で設定された条件に従ってフィルタすることにより、該条件に応じた交通情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−3293(P2007−3293A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182335(P2005−182335)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】