説明

車速検出装置及びナビゲーション装置

【課題】車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離の如何に関わらずに、チャタリングの除去とパルスの計数を適正に行うことのできる「車速検出装置及びナビゲーション装置」を提供する。
【解決手段】車速変換部13は、車速パルスの単位時間当たりのパルス数に、距離変換係数を乗じて車速を算出する。制御部109は、車速変換部13が算出した車速とGPS受信機103が測定した車速に応じて、距離変換係数の大きさを定める距離補正係数の適正値を推定し、推定した適正値に距離補正係数を更新する処理を繰り返し行う。また、制御部109は、距離補正係数を更新したならば、マスク時間を、距離変換係数が大きいほど大きくなるように設定する。そして、チャタリング除去部14は、車速パルス信号のマスク時間内の信号レベル変化をマスクすることにより、車速パルス信号に生じるチャタリングを除去し、車速変換部13に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載され、車両の一定距離走行毎にパルスが発生する車速パルスに基づいて自動車の車速を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の一定距離走行毎にパルスが発生する車速パルス信号を入力し、車速パルス信号の単位時間当たりのパルスの発生数に、1パルスあたりの自動車の移動距離を示す距離変換係数を乗じて、自動車の車速を検出する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
さて、自動車において車速パルス信号を生成する車速パルス生成部は、自動車の製造時に自動車に組み込まれることが多い。また、このような車速パルス信号の、1パルスあたりの自動車の移動距離は、車種や自動車メーカ毎に異なっている。したがって、前述した距離変換係数の適正値は、車種や自動車メーカ毎に異なるものとなる。また、車速パルス信号の、1パルスあたりの自動車の移動距離、したがって距離変換係数の適正値は、自動車のタイヤの空気圧などにも応じて変化する。
【0004】
そして、このような距離変換係数を適正値に設定する技術としては、GPS受信機によって算定した自動車の走行距離と、当該走行距離の走行に要した期間における車速パルス信号のパルスの発生数とに基づいて、単位時間に発生したパルスの発生数より求まる移動距離がGPS受信機によって算定した自動車の走行距離と一致するように、前記距離変換係数を求めて設定する技術が知られている(たとえば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平8-128834号公報
【特許文献2】特開2003-322544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、前述のような車速パルス信号を生成には、車輪の所定の回転角度毎にオン/オフするスイッチが用いられ、このようなスイッチとしては、機械式スイッチの他、光学式スイッチや電気式スイッチや磁気式スイッチなどが用いられている。
そして、このようなスイッチを用いて生成される車速パルス信号においては、パルス発生前後において信号レベルが不安定にばたつくチャタリングが発生してしまうことがある。なお、このようなチャタリングは、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合に顕著に表れる。
【0006】
そこで、このようなチャタリングによって、車速パルス信号のパルス数の計数を誤らないようにするために、短期間の信号レベルの変化をマスクすることにより、チャタリングを除去することが考えられる。
しかし、このマスク時間の適正値は、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離に応じて異なったものとなる。すなわち、チャタリング発生期間が長い車速パルス信号に合わせてチャタリングを除去できるようにマスク時間を設定すると、このマスク時間以下のパルス幅のパルスを持つ車速パルス信号に対しては、パルス数の計数を行うことができなくなってしまう。また、逆に、短いパルス幅のパルスを持つ車速パルス信号に合わせてチャタリングを除去できるようにマスク時間を設定すると、チャタリング発生期間が長い車速パルス信号に対してはチャタリングを除去することができなくなってしまう。なお、一般的に、車速パルス信号には、一定範囲のDUTY比が求められるので、同車速で比較した場合には、1パルス当たりの移動距離が大きいほど、パルス幅は長くなる。また、1パルス当たりの移動距離が大きいほど、当該車速パルス信号に発生するチャタリングの発生時間長は長くなる傾向がある。たとえば、一般的に言って、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合には、機械式スイッチの感度上の制限より、1パルス当たりの移動距離は大きく設定されることが多い。そして、機械式スイッチを用いて車速パルス信号を生成する場合には、機械式スイッチの構造上、チャタリング発生時間長は長くなる。
【0007】
そこで、本発明は、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離の如何に関わらずに、チャタリングの除去とパルスの計数を適正に行うことのできる車速検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、自動車が一定距離走行する毎にパルスが出現する車速パルス信号に基づいて、当該自動車の車速を検出する、自動車に搭載される車速検出装置でに、前記車速パルス信号の、設定されたマスク時間内の信号レベルの変化をマスクするマスク手段と、前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に単位時間当たりに出現したパルス数に、設定された距離変換係数を乗じて、前記車速を算出する車速変換手段と、前記車速変換手段が算出した車速が、実際の自動車の車速に整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新する距離変換係数更新手段と、前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数に応じて、距離変換係数が大きいほど長くなるように更新後マスク時間を算出し、算出した更新後マスク時間に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を更新するマスク時間更新手段とを備えたものである。
【0009】
このような車速検出装置によれば、車速パルス信号に出現する単位時間当たりのパルス数を車速に変換するために、当該単位時間当たりのパルス数に乗じる距離変換係数を自動的に適正値に設定することができると共に、この距離変換係数に応じて、車速パルス信号に生じるチャタリングをマスクするためのマスク時間を、距離変換係数が大きいほど大きくなるように設定することができる。
【0010】
ここで、前述したように、一般的に、車速パルス信号には、一定範囲のDUTY比が求められるので、同車速で比較した場合には、1パルス当たりの移動距離、したがって、距離変換係数の適正値が大きいほど、パルス幅は長くなり、当該車速パルス信号に発生するチャタリングの発生時間長は長くなる。したがって、このように、距離変換係数が大きいほど大きくなるようにマスク時間を設定することにより、チャタリングを適正に除去しつつ、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことを抑制することができる。
【0011】
ここで、このような車速検出装置は、前記マスク時間更新手段において、算出する前記更新後マスク時間の最大値を予め定めた第1の時間に制限し、算出する更新後マスク時間の最小値を前記第1の時間より小さい予め定めた第2の時間に制限しつつ、前記更新後マスク時間を算出するように構成してもよい。
【0012】
このようにマスク時間の最大値を制限することにより、1パルス当たりの移動距離が大きい車両から、1パルス当たりの移動距離が小さい車両に、車速検出装置が載せ替えられた場合にも、ある程度の車速まで、適正に、チャタリングを除去しつつ、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことを抑止できることを保証できるようになる。また、このようにマスク時間の最小値を制限することにより、距離変換係数の適正値が小さい領域において、パルス幅に比べ比較的チャタリング発生時間が大きくなるような場合でも、パルスをマスクしてしまわない範囲内において、チャタリングを除去しつつ、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことを抑制できることができる。
【0013】
また、このような車速検出装置を、前記マスク時間更新手段を、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間と、前記更新後マスク時間との差が、所定のしきい値より小さくなる場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないものとすることも、過剰な頻度でマスク時間を更新することを抑制し、車速検出の動作の安定を図る上で好ましい。
【0014】
また、このような車速検出装置は、前記マスク時間更新手段において、少なくとも、前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数が、当該更新前の距離変換係数から予め定めたレベル以上、減少方向に変化している場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新するように構成してもよい。また、このような車速検出装置は、当該車速検出装置に、さらに、前記車速変換手段における、前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に出現するパルスの検出不能エラーを検出するパルスレスエラー検出手段を設けると共に、前記マスク時間更新手段において、前記パルスレスエラー検出手段が前記検出不能エラーを検出した場合に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新するように構成してもよい。
【0015】
これらのようにすることにより、もし、車速検出装置が載せ替えられた場合において、載せ替え後の車両において、載せ替え前の車両において設定されたマスク時間によるマスクによって、車速パルス信号の計数すべきパルスが完全にもしくは部分的にマスクされてしまった場合には、マスク時間が最小値に設定されるので、その後、支障なく、適正な距離変換係数の設定や、適正なマスク時間の設定を行えるようになる。
【0016】
また、当該車速検出装置に、さらに前記距離変換係数更新手段が更新した前記距離変換係数の確からしさのレベルを算定する尤度算定手段を設けると共に、前記マスク時間更新手段において、前記尤度算定手段が算定した確からしさのレベルが所定のレベル以下であった場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないように構成することも、より安定的に精度のよい車速の検出を行う上で好ましい。
【0017】
また、このような車速検出装置は、当該車速検出装置に、現在位置の測位を行う測位手段を設け、前記距離変換係数更新手段において、前記測位手段が測位した現在位置の変化より推定される実際の自動車の車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新するように構成してもよい。もしくは、このような車速検出装置は、当該車速検出装置に、受信電波を利用して前記自動車の車速の測定を行う車速測定手段を設けると共に、前記距離変換係数更新手段において、前記車速測定手段が測定した車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新するように構成してもよい。
【0018】
なお、このような車速検出装置は、たとえば、自動車に搭載されるナビゲーション装置などに適用することができる。すなわち、たとえば、ナビゲーション装置は、このような車速検出装置と、当該車速検出装置が検出した車速を参照して、前記自動車の現在位置を推定する現在位置算出手段と、地図上に、前記現在位置算出手段が算出した現在位置を表した案内画像を表示する案内手段とを含めて構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離の如何に関わらずに、チャタリングの除去とパルスの計数を適正に行うことのできる車速検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、自動車に搭載されるナビゲーション装置への適用を例にとり説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す。
図示するように、ナビゲーション装置1は、自動車に組み込まれた車速センサ2と接続されている。ここで、車速センサ2は、車両が所定距離移動する毎にパルスを発生する車速パルス信号SPLinをナビゲーション装置1に出力する。
次に、ナビゲーション装置1は、車速検出部10と、操作部101と、表示装置102と、GPS受信機103と、ジャイロなどの角加速度センサを用いて車両の進行方位を検出する方位センサ104と、地図を表す地図データを記録したDVD-ROMなどである地図データ記憶部105と、現在状態算出部106と、ルート探索部107と、メモリ108と、制御部109と、案内画像生成部110と、操作部101や表示装置102を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部111とを有する。
【0021】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0022】
以下、このような構成におけるナビゲーション装置1の動作について説明する。
すなわち、車速検出部10は、車速センサ2の出力する車速パルス信号SPLinに基づいて自動車の車速を検出する。
現在状態算出部106は、車速検出部10が検出した車速や方位センサ104が検出した進行方位の履歴より推定される現在位置や、GPS受信機103の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部105から読み出した地図データが示す、前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ108に設定する。
【0023】
また、制御部109は、ユーザの目的地設定要求に応じて、ユーザから操作部101、GUI制御部111を介して目的地の設定を受け付け、これをメモリ108にセットする。そして、制御部109は、目的地の設定を受け付けたならば、メモリ108にセットされた目的地までの推奨ルートをルート探索部107に探索させる。ルート探索部107は、必要地理的範囲の地図の地図データを地図データ記憶部105から読み出し、メモリ108に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小などの所定のコストモデルに基づいて推奨ルートとして算出し、算出した推奨ルートの経路データを、メモリ108にセットする。
【0024】
そして、案内画像生成部110は、地図データ記憶部105から読み出した地図データが表す現在位置周辺の地図を表す地図画像を、予め成されたユーザ設定や初期設定に応じた地図縮尺で、メモリ108にセットされた現在進行方位が上になるように表示する。また、この際に、案内画像生成部110は、この表示した地図画像上の、メモリ108にセットされた現在位置に対応する位置に現在位置マークを表示する。また、案内画像生成部110は、推奨ルートの経路データがメモリ108にセットされている場合には、推奨ルートの現在位置より目的地側の部分を表す推奨ルート図形も地図画像上に表示する。なお、目的地が地図画像が表す地理的範囲に含まれる場合、案内画像生成部110は、目的地の位置を示す目的地マークも地図画像上に表示することになる。
【0025】
以下、車速検出部10が行う車速の検出動作について説明する。
図1に戻り、車速検出部10は、距離補正係数レジスタ11、マスクレンジレジスタ12、車速変換部13、チャタリング除去部14とを有する。
このような構成において、チャタリング除去部14は、マスクレンジレジスタ12に制御部109によって設定されたマスクレンジよって定まるマスク時間長以内の、車速パルス信号SPLinの信号レベルの変化をマスクすることにより、車速パルス信号SPLinに発生したチャタリングを除去する。そして、車速変換部13は、チャタリングが除去された車速パルス信号SPLout上のパルスの単位時間あたりの発生数を計数し、計数した単位時間当たりのパルス数に、距離補正係数レジスタ11に制御部109によって設定された距離補正係数に定数(0.3925m)を乗じて求まる距離変換係数を乗じて車速を算出し、現在状態算出部106に出力する。なお、距離補正係数に乗じる定数(0.3925m)は、距離変換係数(車速パルス信号の1パルス当たりの車両の移動距離)の代表的な値の一つとなっている。なお、距離変換係数の範囲は、現状、およそ、0.7849m-0.042mとなっている。また、これに伴い、距離補正係数の範囲は、およそ、2.0-0.115の範囲となっている。
【0026】
ここで、以上のようなチャタリングの除去を行うチャタリング除去部14の具体的構成例を図2に示す。
図示するように、チャタリング除去部14は、ラッチ141、カウンタ142、コンパレータ143を用いて構成される。ラッチ141は、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinの周波数に比べ充分に高い周波数を持つシステムクロックSYSCLKで、車速パルス信号SPLoutをラッチする。コンパレータ143は、マスクレンジレジスタ12に設定されたマスクレンジMSKRとカウンタ142の出力するカウント値COを比較し、両者が不一致の期間は出力をLベルとし、両者が一致する期間は出力をHレベルとする。ここで、このコンパレータ143の出力が、チャタリングを除去した車速パルス信号SPLoutとなる。
【0027】
そして、残るカウンタ142は、システムクロックSYSCLKに同期してカウントアップ動作を行い、カウント値をコンパレータ143に出力する。ただし、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがカウンタ142のLレベル有意のイネーブルに入力されており、カウンタ142は、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがLレベルの期間のみカウントアップ動作を行い、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがHレベルの期間は、カウント値COを維持する動作を行う。また、ラッチ141の出力LOが、カウンタ142のLレベル有意のリセットに入力されており、カウンタ142は、ラッチ141の出力LOがLレベルとなったときにカウント値COが0にリセットされる。
【0028】
ここで、図3に、このようなチャタリング除去部14の動作例を示す。
図示した例は、マスクレンジレジスタ12にマスクレンジMSKRとしてn+1が設定されている場合の例である。
図示するように、このようなチャタリング除去部14によれば、期間T1に示すように、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがLレベルであり、これをラッチするラッチ141の出力LOもLレベルであるときには、カウンタ142のカウント値COが0にリセットされ続け、これにより、カウント値COとマスクレンジMSKRの不一致を検出するコンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutもLレベルとなる。
【0029】
次に、この状態から、期間T2に示すように、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがHレベルに変化したことに伴いラッチ141の出力LOがHレベルに変化すると、イネーブルに入力しているコンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがLレベルであることより、カウンタ142のカウントアップ動作が開始される。そして、カウンタ142のカウント値COがn+1に達すると、コンパレータ143で、カウント値COとマスクレンジMSKRの一致が検出され、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがHレベルに変化する。すると、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutによって、カウンタ142のカウントアップ動作が停止され、カウンタ142の出力するカウント値COはn+1に維持され、これにより、コンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutもHレベルに維持される。
【0030】
そして、その後、期間T3に示すように、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがLレベルに変化したことに伴いラッチ141の出力LOがLレベルに変化すると、カウンタ142のカウント値COが0にリセットされ、これにより、コンパレータ143においてカウント値COとマスクレンジMSKRの不一致が検出されコンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがLレベルに変化する。
【0031】
次に、この状態から、期間T4に示すように、チャタリングによって車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがHレベルに変化したことに伴いラッチ141の出力LOがHレベルに変化すると、イネーブルに入力しているコンパレータ143の出力する車速パルス信号SPLoutがLレベルであることより、カウンタ142のカウントアップ動作が開始される。そして、カウンタ142のカウント値COがn+1に達する前に、チャタリングの発生期間が終了し、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinがLレベルに変化すると、ラッチ141の出力LOがLレベルに変化し、カウンタ142のカウント値COが0にリセットされる。そして、この期間T4の期間中、カウント値COとマスクレンジMSKRの一致が検出されないため、コンパレータ143は、出力する車速パルス信号SPLoutをLレベルに維持する。
【0032】
以上、T2の期間とT4の期間との比較より理解されるように、チャタリング除去部14によれば、マスクレンジレジスタ12に設定されたマスクレンジMSKRにシステムクロックSYSCLKの周期を乗じた時間をマスク時間として、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinの信号レベルのマスク時間より小さい時間長内の変化は、コンパレータ143から車速変換部13に出力される車速パルス信号SPLoutには表れない。すなわち、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinに発生しているチャタリングが、マスク時間長より短い期間内で発生している場合には、このチャタリングを除去することができる。
【0033】
したがって、このようなチャタリング除去部14によれば、制御部109は、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの設定によって、車速センサ2から入力する車速パルス信号SPLinに発生しているチャタリングをマスクするマスク時間を任意に変更することができる。
【0034】
また、逆に、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRを、マスク時間が、車速パルス信号SPLinの車速変換部13で計数すべきパルスのパルス幅より大きくなるように設定すると、この車速パルス信号SPLinのパルスもマスクされてしまい、車速変換部13において車速を検出することができなくなってしまう。
【0035】
以下、制御部109の距離補正係数レジスタ11への距離補正係数の設定動作と、制御部109のマスクレンジレジスタ12へのマスクレンジMSKRの設定動作について説明する。
まず、制御部109の距離補正係数レジスタ11への距離補正係数の設定動作について説明する。
制御部109は、距離補正係数レジスタ11への距離補正係数の設定のために距離補正係数更新処理を行う。そして、この距離補正係数更新処理では、距離補正係数の適正値を推定し、推定した適正値に、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数を更新する処理を繰り返し行う。ただし、距離補正係数更新処理では、距離補正係数の適正値の推定を繰り返し行いつつ、適正値を推定した各回のうちの、推定した適正値と、現在、距離離補正係数レジスタに設定している距離補正係数との差のレベルが所定レベル以上大きかった回においてのみ、推定した適正値への、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数の更新を行うようにしてもよい。
【0036】
ここで、この距離補正係数の適正値の推定は、たとえば、以下のように行う。すなわち、一定期間毎に、当該期間の開始時点と終了時点でGPS受信機103によって測位した車両の現在位置間の距離をGPS距離として求める。また、当該一定期間中に車速変換部13の出力した車速の時間積分値として求まる距離を車速パルス距離として求める。また、求めたGPS距離を車速パルス距離で除算した値に、現在、距離補正係数レジスタ11に設定されている距離補正係数を乗じた値を距離補正係数の適正値候補とする。そして、最近に求めた所定数の適正値候補の平均値を、距離補正係数の適正値として推定する。
【0037】
または、距離補正係数の適正値の推定は、たとえば、以下のように行ってもよい。すなわち、現在状態算出部106が算出した現在位置と地図データが示す地図データを参照し、現在状態算出部106が算出した現在位置が曲がり角から次の曲がり角に至るまでの道程距離をマップマッチング距離として求める。そして、現在状態算出部106が算出した現在位置が当該曲がり角から次の曲がり角に至るまでの期間中に、車速変換部13の出力した車速の時間積分値として求まる距離を車速パルス距離として求める。また、求めたマップマッチング距離を車速パルス距離で除算した値に、現在、距離補正係数レジスタ11に設定されている距離補正係数を乗じた値を距離補正係数の適正値候補とする。そして、最近に求めた所定数の適正値候補の平均値を、距離補正係数の適正値として推定する。
【0038】
または、距離補正係数の適正値の推定は、たとえば、以下のように行ってもよい。すなわち、車速変換部13の出力する車速からGPS受信機103によってドップラ効果を利用して測定した車速を減じた差分を一定期間毎に求める。そして、所定数の複数の差分の算出毎に、当該所定数の複数の差分の平均値を求め、差分の平均値が正の場合は、差分の平均値の絶対値が大きくなるほど大きな割合で、現在距離補正係数レジスタに設定している距離補正係数を小さくした値を、距離補正係数の適正値として推定し、差分の平均値が負の場合は、差分の平均値が大きくなるほど大きな割合で、現在距離補正係数レジスタに設定している距離補正係数を大きくした値を、距離補正係数の適正値として推定する。そして、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数を推定した適正値で更新したならば、距離補正係数を変化させた分、車速変換部13が過去に出力した車速を、車速返還部13において更新後の距離補正係数を用いて車速を算出したならば得られたあろう車速に修正した上で、過去分の、車速変換部13の出力する車速とGPS受信機103によってドップラ効果を利用して測定した車速との差分を求め直す。そして、次回の距離補正係数の適正値の推定の際には、求めなおした差分を用いて、距離補正係数の適正値の推定を行う。
【0039】
さて、制御部109は、このような距離補正係数更新処理において、学習レベルを管理する処理も行う。
学習レベルは、100%を最大値として、{(現在までに行った距離補正係数の適正値の推定回数×100)/所定回数}%として管理する。
さて、次に、制御部109によるマスクレンジレジスタ12へのマスクレンジ設定動作について説明する。
制御部109は、マスクレンジレジスタ12へのマスクレンジ設定のために、図4に示すマスクレンジ更新処理を行う。
ここで、このマスクレンジ更新処理は、ナビゲーション装置1が起動されると開始される。
さて、図示するように、このスクレンジ更新処理では、処理を開始すると、まず、マスクレンジレジスタ12にマスクレンジMSKRとして100μsを設定する(ステップ402)。そして、現在の学習レベルが50%を超えているかどうかを調べ(ステップ404)、現在の学習レベルが50%を超えていない場合には、ステップ406に進む。
【0040】
一方、現在の学習レベルが50%を超えている場合には、現在、距離補正係数レジスタ11に設定している距離補正係数×1000μsをマスクレンジ候補として算出し(ステップ418)、算出したマスクレンジ候補が1000μsを超える場合には(ステップ420)、算出したマスクレンジ候補を1000μsに変更し(ステップ428)、算出したマスクレンジ候補が100μs未満である場合には(ステップ422)、算出したマスクレンジ候補を100μsに変更する(ステップ430)。そして、算出したマスクレンジ候補と、現在、マスクレンジレジスタ12に設定されているマスクレンジMSKRとの差分が25μs以上あるかどうかを調べ(ステップ424)、25μs以上ない場合には、ステップ406に進み、25μs以上ある場合には、マスクレンジ候補をマスクレンジMSKRとしてマスクレンジレジスタ12に設定する(ステップ426)。そして、ステップ406に進む。
【0041】
さて、ステップ404、424、426のいずれかからステップ406に処理が進んだならば、車速パルス検出エラーの発生(ステップ406)と、前述した距離補正係数更新処理による距離補正係数レジスタ11の距離補正係数の更新の発生(ステップ408)を監視する。
ここで、車速パルス検出エラーは、自動車が走行しているにもかかわらず、車速変換部13が出力する車速が0である場合に、車速パルス検出エラーが発生したと判定することにより検出する。また、自動車が走行しているかどうかは、たとえば、GPS受信機103の測位した現在位置の変化や、GPS受信機103が測定した車速より判定する。
【0042】
そして、ステップ406において車速パルス検出エラーの発生が検出された場合には、距離補正係数更新処理において管理している学習レベルを0%に設定する(ステップ414)と共に、マスクレンジ候補を100μsとして(ステップ416)、マスクレンジ候補をマスクレンジMSKRとしてマスクレンジレジスタ12に設定する(ステップ426)。そして、ステップ406に戻る。
【0043】
一方、ステップ408で、距離補正係数レジスタ11の距離補正係数の更新の発生が検出された場合には、距離補正係数の更新後の値と更新前の値からの変化の大きさが、所定のしきい値Thを超えているかどうかを調べる(ステップ410)。ここで、このしきい値Thは、たとえば、距離補正係数の更新後の値が、更新前の値の15%以上、更新前の値から変化している場合に、ステップ410において、所定のしきい値Thを超えていると判定されるように設定する。
【0044】
そして、距離補正係数の更新後の値と更新前の値からの変化の大きさが、しきい値Thを超えていれば、距離補正係数更新処理において管理している学習レベルを0%に設定すると(ステップ414)共に、マスクレンジ候補を100μsとして(ステップ416)、マスクレンジ候補をマスクレンジMSKRとしてマスクレンジレジスタ12に設定する(ステップ426)。そして、ステップ406に戻る。
【0045】
一方、ステップ410において、距離補正係数の更新後の値と更新前の値からの変化の大きさが、しきい値Thを超えていないと判定された場合には、距離補正係数更新処理において管理している現在の学習レベルが50%を超えているかどうかを調べ(ステップ412)、現在の学習レベルが50%を超えていない場合には、ステップ406に戻る。
【0046】
ただし、以上のステップ410は、距離補正係数の更新後の値の、更新前の値からの、減少方向の変化の大きさが、所定のしきい値Thを超えている場合に、ステップ414に進み、超えていない場合に、ステップ412にすすむ処理としてもよい。すなわち、この場合には、たとえば、距離補正係数の更新後の値が、更新前の値の15%以上減少している場合にステップ414に進み、そうでない場合にはステップ412にすすむようにする。
【0047】
さて、ステップ412において、現在の学習レベルが50%を超えていると判定された場合には、現在、距離補正係数レジスタ11に設定している距離補正係数×1000μsをマスクレンジ候補として算出し(ステップ418)、算出したマスクレンジ候補が1000μsを超える場合には(ステップ420)、算出したマスクレンジ候補を1000μsに変更し(ステップ428)、算出したマスクレンジ候補が100μs未満である場合には(ステップ422)、算出したマスクレンジ候補を100μsに変更する(ステップ430)。そして、算出したマスクレンジ候補と、現在、マスクレンジレジスタ12に設定されているマスクレンジMSKRとの差分が25μs以上あるかどうかを調べ(ステップ424)、25μs以上ない場合には、ステップ406に戻り、25μs以上ある場合には、マスクレンジ候補をマスクレンジMSKRとしてマスクレンジレジスタ12に設定する(ステップ426)。そして、ステップ406に戻る。
【0048】
以上、制御部109が行うマスクレンジ更新処理について説明した。
なお、以上のマスクレンジ更新処理において、学習レベルが50%を超えていない場合には(ステップ404、412)、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの更新を行わないようにしたのは、学習レベルが50%を超えていない場合には、距離補正係数が適正値に収束していない蓋然性が少なからず存在するために、この距離補正係数に従って、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの更新を行うと、不適切なマスクレンジMSKRを設定してしまう可能性があるためである。
【0049】
また、以上のマスクレンジ更新処理において、算出したマスクレンジ候補と、現在、マスクレンジレジスタ12に設定されているマスクレンジMSKRとの差分が25μs以上ない場合に(ステップ424)、マスクレンジレジスタ12のマスクレンジMSKRの更新を行わないようにしたのは、実用上必要のないほどの過剰な頻度、精度でマスクレンジMSKRの更新を行わよりも、ナビゲーション装置1の動作を安定を優先したためである。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、車速パルス信号の単位時間当たりのパルス発生数を車速に変換するために、当該単位時間当たりのパルス数に乗じる距離変換係数(本実施形態では、距離補正係数×0.3925m)を自動的に適正値に設定することができると共に、この距離変換係数に応じて、車速パルス信号に生じるチャタリングをマスクするためのマスク時間を、距離変換係数が大きいほど大きくなるように設定することができる。
【0051】
ここで、前述したように、一般的に、車速パルス信号には、一定範囲のDUTY比が求められるので、同車速で比較した場合には、1パルス当たりの移動距離、したがって、距離変換係数が大きいほど、パルス幅は長くなる。また、1パルス当たりの移動距離、したがって、距離変換係数が大きいほど、当該車速パルス信号に発生するチャタリングの発生時間長は長くなる。したがって、このように距離変換係数が大きいほど大きくなるようにマスク時間を設定することにより、チャタリングを適正に除去しつつ、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことを抑止することができる。
【0052】
なお、前述のように、距離変換係数の範囲は、現状、およそ、2-0.115となっている。
そして、図5に、各距離変換係数に対して本実施形態において設定されるマスク時間と、車速パルス信号のパルスのDUTY比が50±15%とした場合の時速250km/sにおけるパルス幅の最小値との関係を示すように、約0.05以上の範囲においてマスク時間は、パルス幅の最小値よりも大きい値をとる。したがって、おおよそありえる全速度域において、本実施形態によるマスク時間の設定によって、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことが抑止されることになる。
【0053】
また、本実施形態によれば、ナビゲーション装置1のある車両から他の車両への載せ替えが発生した場合に、載せ替え時に、マスクレンジレジスタ12に設定されているマスクレンジMSKRが規定するマスク時間が最大長の1000μsであった場合に、載せ替え後の車両の適正な距離変換係数が最小値の0.115であるときにも、時速約55km/s以下の範囲ではマスク幅の最小値は1000μs以上となるので、このマスク時間の設定によって、車速パルス信号の計数すべきパルスがマスクされてしまうことがない。したがって、このような場合にも、載せ替え後の車両が、時速約55km/sに達するまでの走行期間に、距離補正係数更新処理による距離補正係数の更新と、マスクレンジ更新処理による距離補正係数更新に応じた(ステップ408)マスクレンジレジスタ12に設定されているマスクレンジMSKRの更新とを適正に行うことができる。
【0054】
また、もし、載せ替え後の車両において、マスク時間の設定によって、車速パルス信号の計数すべきパルスが完全にもしくは部分的にマスクされてしまった場合にも、マスクレンジ更新処理において、車速パルス検出エラー(ステップ406)や、距離補正係数の更新後の値と更新前の値からの敷居値Th以上の変化(ステップ410)が検出され、学習レベルが0%、マスク時間が最小値の100μsに設定されるので、その後、支障なく、距離補正係数更新処理による適正な距離補正係数の設定や、マスクレンジ更新処理による適正なマスク時間の設定を行えるようになる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明した。
以上のように、本実施形態によれば、車速パルス信号の1パルス当たりの移動距離の如何に関わらずに、チャタリングの除去とパルスの計数を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るチャタリング除去部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るチャタリング除去部の動作例を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施形態に係るマスクレンジ更新処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るマスクレンジの設定値を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…ナビゲーション装置、2…車速センサ、10…車速検出部、11…距離補正係数レジスタ、12…マスクレンジレジスタ、13…車速変換部、14…チャタリング除去部、101…操作部、102…表示装置、103…GPS受信機、104…方位センサ、105…地図データ記憶部、106…現在状態算出部、107…ルート探索部、108…メモリ、109…制御部、110…案内画像生成部、111…GUI制御部、141…ラッチ、142…カウンタ、143…コンパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車が一定距離走行する毎にパルスが出現する車速パルス信号に基づいて、当該自動車の車速を検出する、自動車に搭載される車速検出装置であって、
前記車速パルス信号の、設定されたマスク時間内の信号レベルの変化をマスクするマスク手段と、
前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に単位時間当たりに出現したパルス数に、設定された距離変換係数を乗じて、前記車速を算出する車速変換手段と、
前記車速変換手段が算出した車速が、実際の自動車の車速に整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新する距離変換係数更新手段と、
前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数に応じて、距離変換係数が大きいほど長くなるように更新後マスク時間を算出し、算出した更新後マスク時間に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を更新するマスク時間更新手段とを有することを特徴とする車速検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、算出する前記更新後マスク時間の最大値を予め定めた第1の時間に制限し、算出する更新後マスク時間の最小値を前記第1の時間より小さい予め定めた第2の時間に制限しつつ、前記更新後マスク時間を算出することを特徴とする車速検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間と、前記更新後マスク時間との差が、所定のしきい値より小さくなる場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないことを特徴とする車速検出装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車速検出装置であって、
前記マスク時間更新手段は、前記距離変換係数更新手段が更新した距離変換係数が、当該更新前の距離変換係数から予め定めたレベル以上、減少方向に変化している場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新することを特徴とする車速検出装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の車速検出装置であって、
前記車速変換手段における、前記マスク手段が前記マスク時間内の信号レベルの変化をマスクした前記車速パルス信号に出現するパルスの検出不能エラーを検出するパルスレスエラー検出手段を有し、
前記マスク時間更新手段は、前記パルスレスエラー検出手段が前記検出不能エラーを検出した場合に、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間を、マスク時間の最小時間として予め定めた時間に更新することを特徴とする車速検出装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の車速検出装置であって、
前記距離変換係数更新手段が更新した前記距離変換係数の確からしさのレベルを算定する尤度算定手段を有し、
前記マスク時間更新手段は、前記尤度算定手段が算定した確からしさのレベルが所定のレベル以下であった場合には、前記チャタリング除去部に設定されているマスク時間の更新を行わないことを特徴とする車速検出装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載の車速検出装置であって、
現在位置の測位を行う測位手段を有し、
前記距離変換係数更新手段は、前記測位手段が測位した現在位置の変化より推定される実際の自動車の車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新することを特徴とする車速検出装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5または6記載の車速検出装置であって、
受信電波を利用して前記自動車の車速の測定を行う車速測定手段を有し、
前記距離変換係数更新手段は、前記車速測定手段が測定した車速に、前記車速変換手段が算出した車速が整合するように、前記車速変換手段に設定されている距離変換係数を更新することを特徴とする車速検出装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の車速検出装置と、
前記車速検出装置が検出した車速を参照して、前記自動車の現在位置を推定する現在位置算出手段と、
地図上に、前記現在位置算出手段が算出した現在位置を表した案内画像を表示する案内手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−93324(P2007−93324A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281163(P2005−281163)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】