説明

車高計測装置

【課題】運転者自らが計測することなしにトレーラの実際の車高を計測することのできる車高計測装置を提供することを目的とする。
【解決手段】自車両の周囲の撮影画像を画像処理する画像処理手段11と、この画像処理手段11による処理画像に基づいて自車両が牽引するトレーラの車高を算出する算出手段13とを備え、算出手段13は、画像処理手段11が画像処理した自車両前方の撮影画像および自車両が牽引するトレーラ後方の撮影画像とに基づいて自車両が牽引するトレーラの車高を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載カメラを用いて車両を計測する車高計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のシステムでは、運転者がトラクタでトレーラを牽引する場合、トラクタの後方には、しばしばリアカメラが設けられている。このトラクタに設けられたリアカメラは、トラクタとトレーラとの連結やトラクタ旋回時の死角検知に用いられている。(例えば特許文献1〜3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−359839号公報
【特許文献2】特開2002−46533号公報
【特許文献3】特開2006−248361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トラクタとトレーラとの連結や連結解除の際に、トレーラの車長や車高が変化することがあった。この場合、運転前に運転者が予めトレーラの車高及びトラクタとトレーラの全長を自ら計測していた。トレーラの車高が高い場合、または、トラクタとトレーラの全長が長い場合、計測が困難であった。また、運転手が計測を忘れる危険性もあった。特に、運転者がトレーラの実際の車高を認識できなかった場合、トレーラ上部の衝突等の事故を発生させる可能性がある。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、運転者自らが計測することなしにトレーラの実際の車高を計測することのできる車高計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、算出手段が、画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮影画像および自車両が牽引するトレーラ後方の撮影画像とに基づいて自車両が牽引するトレーラの車高を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、道路標示上を自力で走行していれば、運転者が自らトレーラの車高を計測しなくても、トレーラの実際の車高を計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態における車高計測装置の構成を示すブロック図
【図2】同図1の要部である算出手段がトレーラの車高を算出する概念をイメージで説明する図
【図3】同図1の要部である算出手段がトラクタとトレーラの全長を算出する概念をイメージで説明する図
【図4】同図1の車高計測装置による計測処理を説明するフローチャート図
【図5】同図1の要部である報知手段が報知する進入可否をイメージで説明する図
【図6】同図5の進入可否の処理を説明するフローチャート図
【図7】同図6の高さ制限処理のフローチャート図
【図8】同図6の進入可否処理のフローチャート図
【図9】同図8の禁止認識処理のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態における車高計測装置について図画を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態における車高計測装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示されるように、車高計測装置1は、車高計測装置1は、ECU(Electric Control Unit)で構成され、自車両であるトラクタに搭載される。また、車高計測装置1は、前方撮影手段2と、後方撮影手段3と、報知手段4と、案内手段5と、制動手段6と、車速取得手段7と、時刻取得手段8とに接続する。
【0012】
前方撮影手段2は例えば広角CCD(Charge Coupled Device)カメラで構成され、車高計測装置1と接続される。前方撮影手段2の波長は可視光でも赤外線でもよい。前方撮影手段2の波長が可視光で構成された場合、自車両であるトラクタの前方撮影手段2近傍には夜間用に補助照明や、高輝度調整機能が設けられてもよい。前方撮影手段2は、トラクタの前方に設置される。特に、前方撮影手段2は、前方の路面を撮影可能な位置に設置される。前方撮影手段2の設置位置の高さとチルト角はそれぞれ固定される。前方撮影手段2は、前方の路面を含む自車両前方を撮影して撮影画像を車高計測装置1に出力する。
【0013】
後方撮影手段3は例えば広角CCDカメラで構成され、車高計測装置1と接続される。後方撮影手段3の波長は可視光でも赤外線でもよい。後方撮影手段3の波長が可視光で構成された場合、トレーラの後方撮影手段3近傍には夜間用に補助照明や、高輝度調整機能が設けられてもよい。後方撮影手段3は、トレーラの最後部の最上部に設置される。特に、後方撮影手段3は、後方の路面を撮影可能な位置に設置される。後方撮影手段3は、後方の路面を含む自車両後方を撮影して撮影画像を車高計測装置1に出力する。
【0014】
報知手段4は少なくともディスプレイで構成される。報知手段4は、例えばスピーカなどの音声出力手段や、LEDなどの発光手段を含んでもよい。報知手段4は車高計測装置1と接続される。報知手段4は車高計測装置1からの報知命令を検知すると、運転者に警告または案内を発する。
【0015】
案内手段5は例えばカーナビゲーション装置で構成され、車高計測装置1と接続される。案内手段5は車高計測装置1からの案内命令を検知すると、経路探索を実施し、経路誘導を実施する。
【0016】
制動手段6は、例えば自車両のブレーキを操作するアクチェータで構成され、車高計測装置1と接続する。制動手段6は車高計測装置1からの制動命令を検知すると、アクチェータを介してブレーキを作動して自車両を停止する。なお、制動手段6は、自車両停止後、運転者がブレーキを再度踏むなどの予め設定した解除方法によって、自車両を停止する制動処理を解除する。
【0017】
車速取得手段7は例えば車速メータで構成され、車高計測装置1と接続される。車速取得手段7は車高計測装置1に一定時間毎に自車両の車速情報を出力する。この車速情報は自車両の走行距離算出に用いられる。
【0018】
時刻取得手段8は例えば時計で構成され、車高計測装置1と接続される。時刻取得手段8は、案内手段5のナビゲーション装置に含まれるGPSで構成されてもよい。また、時
刻取得手段8は、車高計測装置1に内蔵されたストップウォッチ等のカウンタで構成されてもよい。時刻取得手段8は計時した時間情報を車高計測装置1に出力する。時刻取得手段8が計時した時間情報は、車高計測装置1によって、前方撮影手段2や後方撮影手段3が撮影した撮影画像と関連付けられる。
【0019】
次に、車高計測装置1の内部構成について詳細に説明する。
【0020】
車高計測装置1は、画像処理手段11と、認識手段12と、算出手段13と、判定手段14を備える。
【0021】
画像処理手段11はCPU(Central Processing Unit)と、メモリ素子と、不揮発性メモリ素子で構成される。画像処理手段11は前方撮影手段2と、後方撮影手段3と、認識手段12と、算出手段13とに接続される。画像処理手段11は前方撮影手段2から入力された自車両前方の前方撮影画像と後方撮影手段3から入力されたトレーラ後方の後方撮影画像とに輪郭強調処理、二値化処理などの画像処理を行う。画像処理手段11はこの画像処理した前方撮影画像および後方撮影画像を認識手段12、算出手段13に出力する。
【0022】
認識手段12は、CPUとメモリ素子と不揮発性メモリ素子とで構成される。認識手段12は、画像処理手段11と判定手段14とに接続される。認識手段12は画像処理手段11から入力された前方撮影画像および後方撮影画像から、交通標識や道路標識等の予め定められたマーカ画像を認識する。認識手段12は、例えば、緊急自動車出入口標示や、横断歩道標示や、制限速度標示や、踏切標示をパターン認識によって認識する。また、認識手段12は、自車両前方の撮像画像に基づいて自車両前方の空間の路面からの高さを自車両前方の高さ制限情報として認識する。認識手段12は、認識対象に応じて認識範囲を限定してもよい。認識手段12は、前方撮影画像および後方撮影画像のうち、例えば、標示については下部、標識については下部以外の部分など画像における検出範囲を限定してもよい。認識手段12は、この認識結果を判定手段14に出力する。
【0023】
算出手段13はCPUとメモリ素子と不揮発性メモリ素子で構成される。算出手段13は、車速取得手段7と、時刻取得手段8と、画像処理手段11と、認識手段12と、判定手段14とに接続される。算出手段13は、前方撮影手段2の設置高さ、チルト角の情報を予め記憶している。算出手段13は、時刻取得手段8から取得した時間情報を画像処理手段11から入力された前方撮影画像および後方撮影画像に関連付ける。これによって、前方撮影手段2が撮影した前方撮影画像、後方撮影手段3が撮影した後方撮影画像には、それぞれ撮影した時間が時間情報として関連付けられる。さらに、算出手段13は、車速取得手段7から取得した自車両の車速情報に時刻取得手段8から取得した時間情報を関連付ける。
【0024】
算出手段13は、画像処理手段11から入力された前方撮影画像および後方撮影画像に基づいてトレーラの車高を算出する。例えば、算出手段13は、画像処理手段11から入力された前方撮影画像および後方撮影画像について、認識手段12にマーカ画像の有無を検出させる。算出手段13は、前方撮影画像および後方撮影画像について認識手段12がマーカ画像を検出したとき、予め記憶している前方撮影手段2のチルト角を用いて、前方撮影手段2が設置されている位置の真上から見ているように画像補正する。算出手段13は、画像補正した前方撮影画像のマーカ画像および後方撮影画像中のマーカ画像の幅や長さなどの大きさを比較し、前方撮影手段2と後方撮影手段3の高低差を算出する。算出手段13は、この高低差と、予め記憶している前方撮影手段2の設置高さとからとレーラの車高を算出する。算出手段13はこの算出したトレーラの車高を判定手段14に出力する。
【0025】
また、算出手段13は、前方撮影画像にマーカ画像を検出すると、この検出から後方撮影画像に同一マーカを検出するまでの時間を、時間取得手段8により計測する。そして、算出手段13は、この時間中における自車両の平均速度を車速取得手段7にから取得する。算出手段13は、これらの時間と平均速度から自車両とトレーラの全長を算出して、判定手段14に出力する。
【0026】
判定手段14は、CPUとメモリ素子と不揮発メモリ素子とで構成される。判定手段14は、算出手段13、認識手段12、報知手段4、案内手段5、制動手段6に接続される。判定手段14は算出手段13から入力されたトレーラの車高と認識手段12から入力された自車両前方の高さ制限情報を比較する。判定手段14はこの比較の結果、トレーラの車高が高さ制限を超える場合、報知手段4と案内手段5に報知命令と案内命令をそれぞれ出力する。
【0027】
また、判定手段14は、認識手段12から入力された情報に基づいて、自車両前方に緊急自動車出入口や、交差点や、踏切のような停車禁止区域があると判定した場合、算出手段13から入力された車長以上の空きスペースが無く、停車禁止区域に車両が入ると判断された場合、進入禁止を、空きスペースがあると判断した場合、進入可能を報知手段4に出力する。
【0028】
次に、算出手段13によるトレーラの車高の算出について詳細に説明する。
【0029】
図2は算出手段13がトレーラの車高を算出する概念をイメージで説明する図である。
【0030】
図2に示されるように、自車両であるトラクタ20がトレーラ22を牽引している。トラクタ20の前方には前方撮影手段2が取り付けられている。トレーラ22の後部上端にには、後方撮影手段3が取り付けられている。
【0031】
画像処理手段11は、トラクタ20の前方撮影手段2、トレーラ22の後方撮影手段3が撮影した前方撮影画像、後方撮影画像をそれぞれ画像処理して認識手段12に出力する。認識手段12は、この前方撮影画像および後方撮影画像からマーカ画像25、26をそれぞれ検知して算出手段13に出力する。図2において、予め定められたマーカ画像25、26は横断歩道27、28で示されるが、他の標識や標示であってもよい。
【0032】
前方撮影手段2の撮影画像から得られたマーカ画像25における横断歩道27と、後方撮影手段3の撮影画像から得られたマーカ画像26における横断歩道28とでは、幅が異なる。具体的には、前方撮影手段2の撮影画像から得られた横断歩道27の幅d1は、前方撮影手段2よりも高い位置に設置された後方撮影手段3から得られた横断歩道28の幅d2よりも太い。
【0033】
算出手段13は、マーカ画像25、26から幅d1、幅d2をそれぞれ算出する。そして、算出手段13は、この幅d1と幅d2との比率に基づいて前方撮影手段2と後方撮影手段3との高さの差を算出する。後方撮影手段3の高さがトレーラの高さに略等しいため、算出手段13がこの算出した高さの差に予め記憶した自車両の高さを加算することによってトレーラの高さを算出することができる。前方撮影手段2と後方撮影手段3との画角が異なる場合、算出手段13は画角補正処理を行ってもよい。
【0034】
次に、算出手段13によるトラクタとトレーラの全長の算出について詳細に説明する。
【0035】
図3は算出手段がトラクタとトレーラの全長を算出する概念をイメージで説明する図で
ある。
【0036】
図3に示されるように、マーカ31は制限速度60km/hの道路標示を示す。トラクタ32aはトレーラ33aを牽引して下方から上方へ走行している。画像処理手段11は、トラクタ32aの位置において、前方撮影手段2から前方撮影画像34を取得する。前方撮影画像34中には、マーカ31を示すマーカ画像35の一部が示されている。認識手段12は、画像処理手段11から入力された前方撮影画像34からマーカ画像35の「60」の数字を検出できなくなっている。算出手段13は、認識手段12から入力された前方撮影画像34中のマーカ画像35が検出できなくなったときにトラクタとトレーラの全長の算出を開始する。
【0037】
トラクタ32aがトラクタ32bの位置まで進むと、画像処理手段11は、トレーラ33bの後方撮影手段3から後方撮影画像36を取得する。後方撮影画像36中には、マーカ31を示すマーカ画像35が示されている。認識手段12は、画像処理手段から入力された後方撮影画像34からマーカ画像35の「60」の数字を検出できている。算出手段13は、認識手段12から入力された後方撮影画像36中にマーカ画像35を検出できたときにトラクタとトレーラの全長の算出を終了する。算出手段13は、このトラクタとトレーラの全長の算出開始から終了の間にトラクタが進んだ距離Lをトレーラとトラクタの全長L0とみなす。なお、算出手段13は、予め定められた長さZを減算してもよい。これによって、トレーラとトラクタの全長の値がより正確になる。
【0038】
次に、本発明の実施形態における車高計測装置1の計測処理について詳細に説明する。
【0039】
図5は車高計測装置1による計測処理を説明するフローチャート図である。
【0040】
先ずステップS41に示されるように、前方撮影手段2は自車両前方の前方撮影画像を取得する。
【0041】
次に、ステップS42に示されるように、認識手段12は、ステップS41で取得された前方撮影画像中に道路標示等のマーカ画像があるか否か判断する。算出手段13は、認識手段12が取得したこのマーカ画像を取得する。ステップS42でYESの場合、ステップS43に示されるように、算出手段13は、入力された前方撮影画像について、後方撮影手段3との画角、視点角の違いを補正してもよい。一方、ステップS42でNOの場合、ステップS41の処理が繰り返される。
【0042】
次に、ステップS44に示されるように、算出手段13は、時刻取得手段8から前方検出時間Tsを取得する。そして算出手段13は、この前方検出時間Tsを画像処理手段11から入力された前方撮影画像に関連付ける。
【0043】
次に、ステップS45に示されるように、算出手段13は、車速入手手段7から車速Vstを取得する。算出手段13は、時刻取得手段8から取得した時間をこの車速Vstに関連付ける。以後、算出手段13は、所定時間毎に車速入手手段7から車速を取得する。
【0044】
次に、ステップS46に示されるように、後方撮影手段3はトレーラ後方の後方撮影画像を取得する。
【0045】
次に、ステップS47に示されるように、認識手段12は、ステップS46で取得された後方撮影画像中のマーカ画像を検出する。算出手段13は、認識手段12が取得したこのマーカ画像を取得する。算出手段13は、入力された後方撮影画像について、前方撮影手段2との画角、視点角の違いを補正してもよい。
【0046】
次に、ステップS48に示されるように、算出手段13は、後方撮影手段3が撮影画像を取得した後方撮影時間Tn(現在時刻)を時刻取得手段6から取得する。そして算出手段13は、この後方撮影時間Tnを画像処理手段11から入力された後方撮影画像に関連付ける。
【0047】
次に、ステップS49に示されるように、算出手段13は、車速入手手段7から車速Venを取得する。算出手段13は、時刻取得手段8から取得した時間をこの車速Venに関連付ける。算出手段13は、この車速Ven取得で車速入手手段7からの車速の取得を終了する。
【0048】
次に、ステップS50に示されるように、算出手段13は、ステップS47において認識手段12から取得した後方撮影画像中のマーカ画像がステップS43において認識手段12から取得した前方撮影画像中のマーカ画像に含まれているか判定する。
【0049】
ステップS50でYESの場合、ステップS51に示されるように、算出手段13は、ステップS48において取得した後方撮影時間TnからステップS44において取得した前方検出時間Tsを減じた経過時間(Tn−Ts)を算出する。そして、算出手段13は、ステップS45における車速取得開始からステップS49における車速取得終了までの平均車速Vxを算出する。算出手段13は、経過時間(Tn−Ts)に平均車速Vxを乗じて走行距離Lを算出する。算出手段13は、この走行距離Lを自車両とトレーラの全長L0に設定する。算出手段13は、走行距離Lから所定長Zを減算して自車両とトレーラの全長L0に設定してもよい。
【0050】
次に、ステップS52に示されるように、算出手段13は、画像処理手段11から入力された前方撮影画像と後方撮影画像におけるマーカ画像の大きさを比較することによって、前方撮影手段2と後方撮影手段3との高低差を算出する。そして、算出手段13は、この算出した高低差の値を、予め記憶している前方撮影手段2の設置高さに加算することによって後方撮影手段3の高さを算出する。算出手段13は、この算出した後方撮影手段3の高さをトレーラの車高に設定する。なお、算出手段13は、予め定められた余裕値を加算して、トレーラの車高に設定してもよい。
【0051】
次に、ステップS53に示されるように、報知手段4は、トラクタとトレーラの全長、トラクタの車高を運転者に報知して処理を終了する。なお、算出手段13は、算出精度を高めるため、処理の終了後に繰り返し処理を行ってもよい。
【0052】
ステップS50でNOの場合、ステップS54に示されるように、算出手段13は、ステップS51と同様に自車両とトレーラの全長L0を算出する。そしてこの自車両とトレーラの全長L0が予め定められた値LLより大きいか否かを判定する。ステップS54でYESの場合、再度ステップS41の処理が行われる。これによって、認識手段12が前方撮影画像からマーカ画像を認識した後に、運転者によるハンドル操作によって後方撮影画像から同種のマーカ画像を認識できなかった場合に、算出手段13による算出処理をリセットして最初から処理をやり直すことができる。一方、ステップS54でNOの場合、再度ステップS46の処理が行われる。これによって、認識手段12が前方撮影画像からマーカ画像を認識したがまだ後方撮影画像からマーカ画像を認識できない場合に後方撮影画像の認識からやり直すことができる。
【0053】
次に、自車両の進行方向への進入可否について説明する。図5は報知手段が報知する進入可否をイメージで説明する図である。図5左図は踏切周辺の道路を上から見たときの図である。なお、図5において、報知手段4は表示によって報知を行う。
【0054】
図5左図に示されるように、トラクタ51はトレーラ52を引いて踏切53の手前に停車している。踏切53の前方には車両54が停車している。認識手段12は、車両54から踏切53までの空き領域55を、踏切警標56の下端から車両54の後端までを示すもの距離L1を有する領域として認識する。なお、算出手段13は、この距離L1に余裕値を減算してもよい。これによって、トランクなど車両54の後端から突出している部分が考慮される。以上のように、距離L1は「前方撮影画像中の空き領域の距離」として認識される。
【0055】
判定手段14は、認識手段12から入力された距離L1の長さと、算出手段13から入力されたトラクタ51とトレーラ52の全長L0とを比較する。判定手段14は、この比較結果から空き領域55へのトラクタ51およびトレーラ52の進入可否を判断する。判定手段14は、踏切警標56の下端から車両54の後端までの距離L1≧走行距離L0の場合に進入可能と判定する。一方、判定手段14は、踏切警標56の下端から車両54の後端までの距離L1<走行距離L0の場合に進入不能と判定する。
【0056】
判定手段14が進入不能と判定した場合、図5の右上図に示すように、報知手段4は、画面57に示すように、進入不能の案内58を音声とともに報知する。進入不能の案内58は、画面57に示すように、×印や「進入禁止」などの表示によって行われる。
【0057】
判定手段14が進入可能と判定した場合、図5の右下図に示すように、報知手段4は、画面59に示すように、進入可能の案内60を音声とともに報知する。また、報知手段4は、画面59中に空き領域61を表示して、進入可能を促してもよい。
【0058】
次に、図5で示される自車両の進行方向への進入可否の処理について詳細に説明する。
【0059】
図6は図5の進入可否の処理を説明するフローチャート図である。なお、この進入可否の処理において、算出手段13によってトラクタとトレーラの全長とトレーラの車高は既に算出されている。
【0060】
まず、ステップS61に示されるように、前方撮影手段2がトラクタの前方撮影画像を取得する。
【0061】
次に、ステップS62に示されるように、画像処理手段11は、前方撮影手段2から取得した前方撮影画像を処理する。例えば輪郭強調や、エッジ強調などの画像処理が行われる。
【0062】
次に、ステップS63に示されるように、認識手段12は画像処理手段11から入力された前方撮影画像からマーカ画像を認識する。例えば、認識手段12は、前方車両、踏切、踏切警標、前方車両と踏切警標間の空き領域等のマーカ画像を認識する。
【0063】
次に、ステップS64に示されるように、判定手段14は、ステップS63の認識処理に基づいて、後述の高さ制限処理を行う。
【0064】
次に、ステップS65に示されるように、判定手段14は、認識手段12の認識結果と算出手段13から入力された算出結果とに基づいて、進入可否処理を行う。このステップS65の終了後は、エンジンが停止するまで再度ステップS61から処理が繰り返される。
【0065】
次に、ステップS64の高さ制限処理について説明する。
【0066】
図7は図6の高さ制限処理のフローチャート図である。
【0067】
まず、ステップS71に示されるように、判定手段14は、認識手段12から高さ制限情報を有するマーカ画像が入力されたか判定する。
【0068】
ステップS71でYESの場合、ステップS72に示されるように、判定手段14は算出手段13からトレーラの車高を取得する。判定手段14はこの車高を案内手段5に案内させる。この案内は、音声案内および画面表示の少なくとも一つでなされる。一方、ステップS71でNOの場合、処理は終了される。
【0069】
次に、ステップS73に示されるように、判定手段14は、ステップS71で認識手段12から入力されたマーカ画像における高さの制限値が算出手段13から入力されたトレーラの車高以上であるか判定する。ここで、判定手段14は、認識手段12から入力されたマーカ画像に基づいて、自車両前方の空間の路面からの高さを高さの制限値として認識する。ステップS73でYESの場合、ステップS74に示されるように、案内手段5は衝突を警告する警告案内を行う。この警告案内は、音声案内および画面表示の少なくとも一つでなされる。一方、ステップS73でNOの場合、処理は終了される。
【0070】
次に、ステップS75に示されるように、判定手段14は、ステップS74における警告後に自車両が走行し続けているか判定する。例えば、判定手段14は、所定時間または所定距離走行したか否かによって判定を行う。ステップS75でYESの場合、ステップS76に示されるように、制動手段6は自車両にブレーキ処理を行う。一方、ステップS76でNOの場合、処理は終了される。
【0071】
次に、ステップS65の進入可否処理について説明する。
【0072】
図8は図6の進入可否処理のフローチャート図である。
【0073】
まず、ステップS81に示されるように、判定手段14は、後述の禁止認識処理を行い、前方に停車禁止区域の有無を判定する。
【0074】
次に、ステップS82に示されるように、判定手段14は、停車禁止区域が有るか判定する。ステップS82でYESの場合、ステップS83に示されるように、判定手段14は、停車禁止領域に自車両が停車するか判定する。すなわち、判定手段14は、算出手段13が算出した前方撮影画像中の空き領域の距離L1がトラクタとトレーラの全長L0以上であるか否か判定する。一方、ステップS82でNOの場合、処理は終了される。
【0075】
ステップS83でYESの場合、ステップS84に示されるように、報知手段4が進入可能である旨を報知する。一方、ステップS83でNOの場合、ステップS85に示されるように、報知手段4が進入不能である旨を報知する。
【0076】
次に、ステップS81の禁止認識処理について説明する。
【0077】
図9は図8の禁止認識処理のフローチャート図である。
【0078】
まず、ステップS91に示されるように、判定手段14は、認識手段12が交差点を示すマーカ画像を認識したか判定する。
【0079】
ステップS91でYESの場合、判定手段14は停車禁止領域ありと判定する。一方、
ステップS91でNOの場合、ステップS92に示されるように、判定手段14は、認識手段12が緊急車両の出入口を示すマーカ画像を認識したか判定する。
【0080】
ステップS92でYESの場合、判定手段14は停車禁止領域ありと判定する。一方、ステップS92でNOの場合、ステップS93に示されるように、判定手段14は、認識手段12が踏切を示すマーカ画像を認識したか判定する。
【0081】
ステップS93でYESの場合、判定手段14は停車禁止領域ありと判定する。一方、ステップS93でNOの場合、判定手段14は停車禁止領域なしと判定する。
【0082】
なお、本実施形態において、少なくとも報知手段4によって報知はされるが制動手段6は必ずしも作動しなくてもよい。
【0083】
なお、案内手段5は、予め地図データにアンダーパス、歩道橋などの高さ制限情報を記録してもよい。案内手段5が探索した経路中の高さ制限値より算出手段13が算出したトレーラの車高の方が高いと判定手段14が判定したとき、案内手段5はこの高さ制限情報を有する地点を除外して再探索することができる。
【0084】
以上のように、本発明によれば、運転者自らが計測することなしにトレーラの実際の車高を計測することのできる車高計測装置を提供することができる。また、運転者がトレーラの実際の車高を自ら計測していなかった場合であっても、トレーラ上部の衝突等の事故を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、トレーラの車高を運転者が自ら計測しなくても計測するのに有用である。
【符号の説明】
【0086】
1 車高計測装置
2 前方撮影手段
3 後方撮影手段
4 報知手段
11 画像処理手段
12 認識手段
13 算出手段
14 判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周囲の撮影画像を画像処理する画像処理手段と、
この画像処理手段による処理画像に基づいて自車両が牽引するトレーラの車高を算出する算出手段とを備え、
この算出手段は、前記画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮影画像および自車両が牽引するトレーラ後方の撮影画像とに基づいて自車両が牽引するトレーラの車高を算出することを特徴とする車高計測装置。
【請求項2】
自車両に設けられ、自車両前方を撮影して前記画像処理手段に撮影画像を入力する前方撮影手段と、
自車両に牽引されるトレーラに設けられ、前記トレーラ後方を撮影して前記画像処理手段に撮影画像を入力する後方撮影手段と、
前記前方撮影手段の設置高さを予め記憶する記憶手段とをさらに備え、
前記算出手段は、前記画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮影画像と前記トレーラ後方の撮影画像とを比較し、この比較結果に基づいて前記前方撮影手段と前記後方撮影手段との相対的な高さを算出し、この算出した高さに前記記憶手段が記憶した前記前方撮影手段の設置高さを加算して前記トレーラの車高を算出することを特徴とする請求項1に記載の車高計測装置。
【請求項3】
前記算出手段が算出した車高を報知する報知手段を備えることを特徴とした請求項2に記載の車高計測装置。
【請求項4】
前記画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮像画像に基づいて自車両前方の空間の路面からの高さを認識する認識手段と、
この認識手段の認識結果と前記算出手段が算出した算出結果とに基づいて自車両への案内内容を判定する判定手段とをさらに備え、
この判定手段は、前記認識手段が認識した路面からの高さが前記算出手段が算出したトレーラの車高よりも高いときに進入可能であると判定し、前記認識手段が認識した路面からの高さが前記算出手段が算出したトレーラの車高以下のときに進入不能であると判定することを特徴とする請求項3に記載の車高計測装置。
【請求項5】
前記判定手段の判定結果に基づいて自車両の駆動を制動する制動手段をさらに備え、
前記制動手段は、前記判定手段が進入不能であると判定したときに自車両のブレーキを作動することを特徴とする請求項4に記載の車高計測装置。
【請求項6】
前記判定手段の判定結果に基づいて自車両の経路を案内する案内手段をさらに備え、
前記案内手段は、前記判定手段が進入不能であると判定したときに進入不能な経路を除いた別経路を探索することを特徴とする請求項4に記載の車高計測装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮影画像の撮影時間から前記トレーラ後方の撮影画像の撮影時間までの平均車速とこれらの撮影時間の差分との乗算によって自車両とトレーラの全長を算出することを特徴とする請求項4に記載の車高計測装置。
【請求項8】
前記判定手段が、前記画像処理手段が画像処理した自車両前方の撮像画像中に、進入禁止領域が存在すると判定した場合、前記報知手段は、前記進入禁止領域への進入を抑制する報知を行うことを特徴とする請求項7に記載の車高計測装置。
【請求項9】
前記判定手段は、前記認識手段が認識した停車禁止領域と前方車両との間の領域の長さ
が自車両とトレーラとの全長以下であると判定した場合に、前記認識手段が認識した停車禁止領域と前方車両との間の領域を進入禁止領域と判定することを特徴とする請求項8に記載の車高計測装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−93100(P2012−93100A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238204(P2010−238204)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】