説明

透明物品の検査装置及び検査方法

【課題】円筒状または円柱状のガラス物品W等の透明物品の欠点を確実かつ高能率に検査することができる透明物品の検査装置と検査方法を提供すること。
【解決手段】ガラス物品Wを搬送する搬送手段1の搬送路11を、回転体12、13間を循環走行する一対の平行な無端搬送体14から構成し、一対の無端搬送体14の対向側縁部141同士の間に搬送隙間15を形成した。これら左右一対の対向側縁部141によってガラス物品Wの外周面を左右から支えて安定に搬送しながら、この搬送路11を挟んで上下左右に配設した複数の照明手段(2A〜2D)及び撮像手段(3A〜3D)により、搬送隙間15を光路としてガラス物品Wを撮像するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状または円柱状のガラス物品等の欠け、クラック、傷、泡、異物、汚れ等の外観や、外径、長さ等の寸法の欠点を検査する透明物品の検査装置と検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の形状、寸法等を検査する装置として、下記の特許文献1、2に記載のパーツフィーダが提案されている。この装置は、振動コンベヤの搬送路の一部を透明板で形成し、この透明板上を移動する物品を透明板の下方に設けたカメラで撮像し、得られた画像に基いて物品の欠点を検査するものである。
【0003】
しかしながら、これら特許文献1、2に記載の装置は、直方体形状の物品のように平面上に比較的に安定に載置し得る物品を検査対象とするものであり、例えば円筒状や円柱状の転がり易い物品を検査する場合、搬送面上において物品の姿勢が安定せず、物品の所定の範囲を確実に検査することができない問題があった。
【0004】
また、一の物品に対して異なる方向から複数回、撮像検査する場合においても、物品の姿勢が安定しないため、各回の撮像範囲が必要以上に重複し検査処理能率が低下したり、検査漏れを生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−298336号公報
【特許文献2】特開平7−25444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の物品の検査装置に上記のような問題があったことに鑑みて為されたもので、円筒状または円柱状を成すガラス物品等の透明物品の欠点を確実かつ高能率に検査することができる透明物品の検査装置と検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒状または円柱状の透明物品を搬送路に載せて搬送する搬送手段と、該搬送路上の透明物品を照明する照明手段と、該透明物品を透過した透過光を受光して該透明物品を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像した画像に基いて該透明物品の欠点の有無を判断する判断手段と、を備えた透明物品の検査装置であって、
前記搬送手段の搬送路が、複数の回転体間に掛け渡されて循環走行する一対の平行な無端搬送体から成り、該一対の無端搬送体の互いに対向する対向側縁部の間に所定間隔の搬送隙間が形成され、前記搬送路の下方または上方に前記照明手段が配設され、該搬送路を挟んで該照明手段の反対側に前記撮像手段が配設されており、
前記搬送手段の一対の無端搬送体の対向側縁部で前記透明物品の外周面を支えながら該透明物品を搬送し、前記搬送隙間を光路として該透明物品を撮像することを特徴としている。
【0008】
なお、ここで「透明物品」とは、光透過性を有する物品をいい、いわゆる半透明物品を含む。また、「搬送隙間を光路として該透明物品を撮像する」とは、(1)照明手段の照明光を搬送路の搬送隙間を通して透明物品に投光し、この透明物品を透過した透過光を撮像手段で受光して透明物品を撮像すること、及び(2)照明手段の照明光を透明物品に投光し、この透明物品を透過した透過光を搬送路の搬送隙間を通して撮像手段で受光して透明物品を撮像することの両方をいう。
【0009】
また、本発明は、前記無端搬送体が帯状部材から成ることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記一対の無端搬送体が前記搬送路において同一平面上に位置していることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記無端搬送体が線条部材から成ることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、前記搬送手段の搬送下流側に向って前記搬送路の右方または左方に、他の照明手段が配設され、該搬送路を挟んで該他の照明手段の反対側に他の撮像手段が配設されていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、前記搬送手段の搬送上流側に、複数の前記透明物品を一列に搬送して該透明物品を一つずつ前記搬送路へ供給する供給手段を備え、
前記供給手段の搬送速度よりも前記搬送手段の搬送速度を大きくすることによって、該供給手段の搬送路上における透明物品同士の間隔よりも該搬送手段の搬送路上における透明物品同士の間隔を大きくすることを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、前記搬送路上に載せた透明物品に対し気体を噴射して該透明物品を該搬送路から除去する除去手段を備えることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、円筒状または円柱状の透明物品を搬送路に載せて搬送し、該搬送路上の透明物品を照明し、該透明物品を透過した透過光を受光して該透明物品を撮像し、撮像して得た画像に基いて該透明物品の欠点の有無を判断する透明物品の検査方法であって、
前記搬送路が、複数の回転体間に掛け渡されて循環走行する一対の平行な無端搬送体から成り、該一対の無端搬送体の互いに対向する対向側縁部の間に所定間隔の搬送隙間が形成されており、前記一対の無端搬送体の対向側縁部で前記透明物品の外周面を支えながら該透明物品を搬送し、前記搬送隙間を光路として該透明物品を撮像することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る透明物品の検査装置によれば、透明物品を搬送する搬送手段の搬送路が循環走行する一対の平行な無端搬送体から成り、これら無端搬送体の対向側縁部の間に搬送隙間が形成されているので、一対の対向側縁部によって円筒状または円柱状の透明物品の外周面を支えながら安定に搬送することができる。したがって、透明物品を連続搬送しながらであっても確実に透明物品の欠点を検査することができる。
【0017】
しかも、搬送路の搬送隙間を光路として透明物品を撮像することができるので、搬送路を挟んで上下に配設した照明手段及び撮像手段によって、透明物品を直接、照明し、透明物品の透過光を直接、受光して撮像することができ、透明物品の欠点を確実かつ高精度に検査することができる。
【0018】
さらに、一対の対向側縁部によって透明物品を安定に搬送することができるので、搬送中に透明物品の姿勢が変化することがなく、複数の撮像手段によって透明物品を確実に複数方向から撮像することができ、従来のように各回の撮像範囲が必要以上に重複して検査処理能率が低下したり、検査漏れを生じるおそれもない。
【0019】
また、無端搬送体を帯状部材により形成すれば、無端搬送体に幅を持たせて強度を向上させることができ、搬送手段による透明物品の搬送安定性を高めることができる。
【0020】
また、無端搬送体を帯状部材により形成し、搬送路において同一平面上に位置させれば、搬送路を挟んで左右に配設した照明手段及び撮像手段によって、搬送路の無端搬送体の上下を通して透明物品を照明し撮像することができ、検査の確実性を向上させることができる。
【0021】
また、無端搬送体を線条部材により形成すれば、搬送路を挟んで上下に配設した照明手段及び撮像手段によって、一対の無端搬送体の間の搬送隙間及び無端搬送体の外側を通して透明物品を照明し撮像することができ、検査の確実性を向上させることができる。
【0022】
また、搬送手段の搬送上流側に、複数の透明物品を一列に搬送して一つずつ搬送路へ供給する供給手段を設け、この供給手段の搬送速度よりも搬送手段の搬送速度を大きくすれば、供給手段の搬送路上における透明物品同士の間隔よりも、搬送手段の搬送路上における透明物品同士の間隔を大きくすることができる。したがって、たとえ供給手段において透明物品同士の隙間がなくても、搬送手段の搬送路上において透明物品同士に隙間を持たせた状態で搬送することができる。このことで、個々の透明物品の端面部も確実に検査することができ、また、個々の透明物品の長さ測定も確実に行うことができる。
【0023】
また、搬送路上の透明物品に気体を噴射する除去手段を設ければ、欠点を有する不良の透明物品又は欠点のない良品の透明物品を確実に搬送路から除去することができ、不良品と良品とを確実に分別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態の透明物品の検査装置の概略側面図である。
【図2】本実施形態の透明物品の検査装置の概略平面図である。
【図3】本実施形態の透明物品の検査装置による検査方法を説明する概略断面図であり、(a)は照明手段2Aの位置における断面図、(b)は照明手段2Bの位置における断面図である。
【図4】本実施形態の透明物品の検査装置による検査方法を説明する概略断面図であり、(a)は照明手段2Cの位置における断面図、(b)は照明手段2Dの位置における断面図である。
【図5】本発明に係る他の実施形態の透明物品の検査装置による検査方法を説明する概略断面図であり、(a)は照明手段2Aの位置における断面図、(b)は照明手段2Bの位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本実施形態の透明物品の検査装置について説明する。なお、ここでは、検査対象の透明物品として、サーミスタの部品に用いる円筒状の微小ガラス管(外径2.0mm、内径1.5mm、長さ5.0mm)を例にとって説明する。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態の透明物品の検査装置10は、複数のガラス物品Wを搬送路11に載せて搬送する搬送手段1と、搬送路11上の各ガラス物品Wを照明する計4つの照明手段(2A〜2D)と、各ガラス物品Wを透過した透過光を受光してガラス物品Wを撮像する計4つの撮像手段(3A〜3D)と、撮像手段(3A〜3D)により撮像して得た画像に基いてガラス物品Wの欠点の有無を判断する判断手段4と、搬送路11の搬送上流部にガラス物品Wを供給する供給手段5と、搬送路11の搬送下流部において、欠点を有する不良のガラス物品Wを搬送路11から除去する除去手段6と、を備えている。
【0027】
搬送手段1は、図1及び図2に示すように、水平軸周りに回転する複数の回転体12、13の間に、一対の無端搬送体14・14が互いに平行に掛け渡されて構成されている。各無端搬送体14は、スチールベルト(幅2.0mm、厚み0.15mm)から成る帯状部材により形成されており、一方の回転体12がモータ121により駆動回転し、他方の回転体13が従動回転することにより一対の無端搬送体14・14が同時に一方向へ循環走行する。無端搬送体14の厚みが厚すぎると左右からの検査可能領域を狭めることになり好ましくない。一方、薄すぎると強度が不足するために安定に搬送することが困難になる。以上の理由から、無端搬送体14の厚みは透明物品の直径の1〜30%の範囲であることが望ましい。
【0028】
搬送手段1の搬送路11は、循環走行する一対の無端搬送体14・14の上部の走行往路により形成されている。そして、搬送路11において、一対の無端搬送体14の互いに対向する対向側縁部141・141同士の間に所定間隔(例えば1.5mm)の搬送隙間15が形成されている。このことで、搬送路11上に円筒状のガラス物品Wを載置すれば、図3に示すように、一対の対向側縁部141・141によってガラス物品Wの外周面を左右から安定に支えることができ、ガラス物品Wを安定に支えながら搬送することができる。また、本実施形態では、これら帯状部材から成る一対の無端搬送体14・14が、搬送路11において同一平面上に位置するように構成されている。搬送隙間15の間隔が狭すぎると上下からの検査領域を狭めることになり好ましくない。一方、広すぎるとわずかな振動等によっても透明物品が搬送隙間15から落下することになり好ましくない。以上の理由から、搬送隙間15の間隔は透明物品の直径の50〜95%の範囲であることが望ましい。
【0029】
照明手段(2A〜2D)は、図1及び図2に示すように、上記搬送手段1の搬送路11に沿って搬送路11の上下左右にそれぞれ配設されている。即ち、搬送手段1の搬送上流部において搬送路11の下方に照明手段2Aが配設されており、この照明手段2Aよりも搬送下流側において搬送路11の上方に他の照明手段2Bが配設されており、この照明手段2Bよりも搬送下流側において、搬送下流側に向って搬送路11の右方に他の照明手段2Cが配設されており、この照明手段2Cよりも搬送下流側において、搬送下流側に向って搬送路11の左方に他の照明手段2Dが配設されている。これら4つの照明手段(2A〜2D)によって、搬送路11上を搬送移動するガラス物品Wを4方向から照明する。なお、本実施形態では、照明手段(2A〜2D)の光源としてLEDを使用しているが、ハロゲンランプ等を光ファイバで導光するようにしてもよい。
【0030】
撮像手段(3A〜3D)は、図1及び図2に示すように、搬送路11を間に挟んで上記照明手段(2A〜2D)の反対側にそれぞれ配設されている。即ち、搬送手段1の搬送上流部において搬送路11の上方に撮像手段3Aが配設されており、この撮像手段3Aよりも搬送下流側において搬送路11の下方に他の撮像手段3Bが配設されており、この撮像手段3Bよりも搬送下流側において、搬送下流側に向って搬送路11の左方に他の撮像手段3Cが配設されており、この撮像手段3Cよりも搬送下流側において、搬送下流側に向って搬送路11の右方に他の撮像手段3Dが配設されている。これら4つの撮像手段(3A〜3D)によって、各照明手段(2A〜2D)で照明したガラス物品Wを、それぞれの透過光を受光して4方向から撮像する。なお、本実施形態では、撮像手段(3A〜3D)として、CCDカメラを使用している。
【0031】
判断手段4は、図1に示すように、上記撮像手段(3A〜3D)により撮像して得た各画像を必要に応じて画像処理し、予め入力された、欠点のない正常な透明物品の画像と比較することによって、各ガラス物品Wの欠け、クラック、傷、泡、異物、汚れ等の外観や外径、長さ等の寸法の欠点の有無を判断する。
【0032】
供給手段5は、図1及び図2に示すように、搬送手段1の搬送上流側に配設され、複数のガラス物品Wを一列に搬送しながら搬送路11にガラス物品Wを一つずつ供給するものである。本実施形態の供給手段5は、不図示の起振装置により搬送路51を微振動させ、搬送路51の溝部52で一列に並ぶ複数のガラス物品Wを振動搬送する振動コンベヤから構成されている。供給手段5の搬送路51の溝部52と、搬送手段1の搬送路11の搬送隙間15とは中心線が一致しており、ガラス物品Wを搬送路51から搬送路11へ確実に移戴することができる。
【0033】
除去手段6は、図1に示すように、搬送手段1の搬送下流側において搬送路11の下方に配設され、上記判断手段4により判断された、欠点を有する不良のガラス物品Wを搬送路11から除去する。本実施形態の除去手段6は、各ガラス物品Wに対して個別に空気を噴射する噴気ノズルを備えており、搬送路11の搬送隙間15を通して空気を下方からガラス物品Wに対し噴射して上方へ吹き飛ばすことによって、不良のガラス物品を瞬時に搬送路11から除去する。なお、除去手段6の配設位置は、搬送路11の下方に限定されるものではなく、搬送路11の側方等他の位置に配設してもよい。また、ここでは、不良のガラス物品Wに空気を噴射して搬送路11から除去する例を示しているが、良品のガラス物品に空気を噴射して搬送路11から除去して回収することも可能である。
【0034】
次に、本実施形態の透明物品の検査方法について説明する。
【0035】
まず、図1に示すように、検査すべき多数のガラス物品Wを供給手段5により一列に並べて振動搬送し、搬送手段1の搬送路11の搬送上流部に一つずつ供給する。このとき、供給手段5の搬送速度よりも搬送手段1の搬送速度を大きくすることによって、供給手段5の搬送路51上におけるガラス物品W同士の間隔よりも、搬送手段1の搬送路11上におけるガラス物品W同士の間隔を大きくすることができる。搬送手段1に供給された各ガラス物品Wは、搬送路11の搬送隙間15を跨いだ状態で一対の無端搬送体14の対向側縁部141で安定に支えられ、搬送手段1により搬送下流側へ搬送される。
【0036】
次に、搬送路11上に供給されたガラス物品Wを停止させずに連続搬送しながら、各照明手段(2A〜2D)で照明し、ガラス物品Wを透過した透過光を各撮像手段(3A〜3D)で受光してガラス物品Wを撮像する。
【0037】
即ち、まず、図3(a)に示すように、照明手段2Aの照明光を搬送路11の搬送隙間15を通してガラス物品Wに投光し、このガラス物品Wを透過した透過光を撮像手段3Aで受光してガラス物品Wの主として上部を撮像する。
【0038】
次いで、その搬送下流側において、図3(b)に示すように、照明手段2Bの照明光をガラス物品Wに投光し、このガラス物品Wを透過した透過光を搬送路11の搬送隙間15を通して撮像手段3Bで受光してガラス物品Wの主として下部を撮像する。
【0039】
次いで、その搬送下流側において、図4(a)に示すように、照明手段2Cの照明光を搬送路11の無端搬送体14の上下を通してガラス物品Wに投光し、このガラス物品Wを透過した透過光を搬送路11の無端搬送体14の上下を通して撮像手段3Cで受光してガラス物品Wの主として左側部を撮像する。
【0040】
そして、その搬送下流側において、図4(b)に示すように、照明手段2Dの照明光を搬送路11の無端搬送体14の上下を通してガラス物品Wに投光し、このガラス物品Wを透過した透過光を搬送路11の無端搬送体14の上下を通して撮像手段3Dで受光してガラス物品Wの主として右側部を撮像する。
【0041】
こうして各撮像手段(3A〜3D)により各ガラス物品Wの外周部を計4方向から撮像し、得られた各画像に基いて判断手段4で各ガラス物品Wの欠け、クラック、傷、泡、異物、汚れ等の外観や外径、長さ等の寸法の欠点の有無を判断する。
【0042】
そして、判断手段4の判断に基いて、欠点を有する不良のガラス物品Wを、搬送手段1の搬送下流部において除去手段6で除去する一方、欠点のない正常なガラス物品Wを搬送手段1により更に搬送下流側へ搬送して次工程へ送る。
【0043】
このように本実施形態の透明物品の検査装置10によれば、透明物品たるガラス物品Wを搬送する搬送手段1の搬送路11が一対の平行な無端搬送体14から成り、これら無端搬送体14の対向側縁部141同士の間に搬送隙間15が形成されているので、一対の対向側縁部141によって円筒状または円柱状のガラス物品Wの外周面を左右から支えながら安定に搬送することができる。したがって、ガラス物品Wを連続搬送しながらであっても確実にガラス物品Wの欠点を検査することができる。
【0044】
しかも、搬送路11の搬送隙間15を光路としてガラス物品Wを撮像することができるので、搬送路11を挟んで上下に配設した照明手段(2A、2B)及び撮像手段(3A、3B)によって、ガラス物品Wを直接、照明し、ガラス物品Wの透過光を直接、受光して撮像することができ、ガラス物品Wの欠点を確実かつ高精度に検査することができる。
【0045】
さらに、一対の対向側縁部141によってガラス物品Wを安定搬送することができるので、搬送中にガラス物品Wの姿勢が変化することがなく、4つの撮像手段(3A〜3D)によってガラス物品Wを確実に4方向から撮像することができ、従来のように各回の撮像範囲が必要以上に重複して検査処理能率が低下したり、検査漏れを生じるおそれもない。
【0046】
また、本実施形態の透明物品の検査装置10によれば、無端搬送体14が帯状部材により形成されているので、無端搬送体14に幅を持たせて強度を向上させることができ、搬送手段1によるガラス物品Wの搬送安定性を高めることができる。
【0047】
また、帯状部材から成る一対の無端搬送体14が同一平面上に位置しているため、搬送路11を挟んで左右に配設した照明手段(2C、2D)及び撮像手段(3C、3D)によって、搬送路11の無端搬送体14の上下を通してガラス物品Wを照明し、撮像することができ、検査の確実性を向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態の透明物品の検査装置10によれば、供給手段5の搬送速度よりも搬送手段1の搬送速度を大きくすることによって、供給手段5の搬送路51上におけるガラス物品W同士の間隔よりも、搬送手段1の搬送路11上におけるガラス物品W同士の間隔を大きくすることができる。したがって、たとえ供給手段5の搬送路51上においてガラス物品W同士の隙間がなくても、搬送手段1の搬送路11上においてガラス物品W同士に隙間を持たせた状態で搬送することができる。このことで、個々のガラス物品Wの端面部をも確実に検査することができ、また、個々のガラス物品Wの長さ測定も確実に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態の透明物品の検査装置10によれば、除去手段6の噴気ノズルによって空気を、搬送路11の搬送隙間15を通して不良のガラス物品Wに噴射することができるので、確実に不良のガラス物品Wを搬送路11から除去することができる。
【0050】
また、本実施形態の透明物品の検査装置10によれば、搬送路11上においてガラス物品W同士に隙間を持たせて搬送することができるので、除去手段6により不良のガラス物品を確実に搬送路11から除去することができ、不良ガラス物品と良品のガラス物品とを確実に分別することができる。
【0051】
以上、本実施形態の透明物品の検査装置及び検査方法について説明したが、本発明は他の実施形態でも実施することができる。
【0052】
例えば、上記実施形態では、搬送路11を構成する一対の無端搬送体14を帯状部材により形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図5に示すように、搬送路11を構成する一対の無端搬送体74を線条部材により形成してもよい。線条部材として合成樹脂製ワイヤや金属製ワイヤを使用することができる。一対の無端搬送体74の互いに対向する対向側縁部741・741同士の間に所定間隔の搬送隙間75が形成されており、これら一対の対向側縁部741・741によってガラス物品Wの外周面を左右から支える。
【0053】
このように一対の無端搬送体74を線条部材により形成すれば、図5(a)(b)に示すように、搬送路11を挟んで上下に配設した照明手段(2A、2B)及び撮像手段(3A、3B)によって、一対の無端搬送体74間の搬送隙間75及び無端搬送体74の外側を通してガラス物品Wを照明し、撮像することができ、検査の確実性を向上させることができる。
【0054】
また、上記実施形態では、搬送路11の上下左右にそれぞれ、照明手段(2A〜2D)及び撮像手段(3A〜3D)を配設しているが、他の照明手段及び他の撮像手段を搬送路11の斜め上下方向に配設し、斜め上下方向からガラス物品Wを照明し、撮像するようにしてもよい。このことで、検査の確実性を更に向上させることができる。
【0055】
また、搬送路11の下方に反射鏡を配設し、ガラス物品Wの透過光を反射鏡で反射させてから撮像手段で受光し撮像するようにしてもよい。このことで、検査装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0056】
また、上記実施形態では、一対の無端搬送体14・14を共に、回転体12、13に掛け渡しているが、一対の無端搬送体14・14をそれぞれ別個の回転体に掛け渡すようにしてもよい。また、上記実施形態では、帯状部材から成る一対の無端搬送体14を、走行路11において同一平面上に位置させているが、これら一対の無端搬送体14を走行路11において互いに角度を付けて位置させるようにしてもよい。
【0057】
また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得る。同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 透明物品の検査装置
1 搬送手段
11 搬送路
12、13 回転体
14、74 無端搬送体
141、741 対向側縁部
15、75 搬送隙間
2A〜2D 照明手段
3A〜3D 撮像手段
4 判断部
5 供給手段
51 搬送路
6 除去手段
W ガラス物品(透明物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状または円柱状の透明物品を搬送路に載せて搬送する搬送手段と、該搬送路上の透明物品を照明する照明手段と、該透明物品を透過した透過光を受光して該透明物品を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像した画像に基いて該透明物品の欠点の有無を判断する判断手段と、を備えた透明物品の検査装置であって、
前記搬送手段の搬送路が、複数の回転体間に掛け渡されて循環走行する一対の平行な無端搬送体から成り、該一対の無端搬送体の互いに対向する対向側縁部の間に所定間隔の搬送隙間が形成され、
前記搬送路の下方または上方に前記照明手段が配設され、該搬送路を挟んで該照明手段の反対側に前記撮像手段が配設されており、
前記搬送手段の一対の無端搬送体の対向側縁部で前記透明物品の外周面を支えながら該透明物品を搬送し、前記搬送隙間を光路として該透明物品を撮像することを特徴とした透明物品の検査装置。
【請求項2】
前記無端搬送体が帯状部材から成ることを特徴とした請求項1に記載の透明物品の検査装置。
【請求項3】
前記一対の無端搬送体が前記搬送路において同一平面上に位置していることを特徴とした請求項2に記載の透明物品の検査装置。
【請求項4】
前記無端搬送体が線条部材から成ることを特徴とした請求項1に記載の透明物品の検査装置。
【請求項5】
前記搬送手段の搬送下流側に向って前記搬送路の右方または左方に、他の照明手段が配設され、該搬送路を挟んで該他の照明手段の反対側に他の撮像手段が配設されていることを特徴とした請求項1〜請求項4のいずれかに記載の透明物品の検査装置。
【請求項6】
前記搬送手段の搬送上流側に、複数の前記透明物品を一列に搬送して該透明物品を一つずつ前記搬送路へ供給する供給手段を備え、
前記供給手段の搬送速度よりも前記搬送手段の搬送速度を大きくすることによって、該供給手段の搬送路上における透明物品同士の間隔よりも該搬送手段の搬送路上における透明物品同士の間隔を大きくすることを特徴とした請求項1〜請求項5のいずれかに記載の透明物品の検査装置。
【請求項7】
前記搬送路上に載せた透明物品に対し気体を噴射して該透明物品を該搬送路から除去する除去手段を備えることを特徴とした請求項1〜請求項6のいずれかに記載の透明物品の検査装置。
【請求項8】
円筒状または円柱状の透明物品を搬送路に載せて搬送し、該搬送路上の透明物品を照明し、該透明物品を透過した透過光を受光して該透明物品を撮像し、撮像して得た画像に基いて該透明物品の欠点の有無を判断する透明物品の検査方法であって、
前記搬送路が、複数の回転体間に掛け渡されて循環走行する一対の平行な無端搬送体から成り、該一対の無端搬送体の互いに対向する対向側縁部の間に所定間隔の搬送隙間が形成されており、
前記一対の無端搬送体の対向側縁部で前記透明物品の外周面を支えながら該透明物品を搬送し、前記搬送隙間を光路として該透明物品を撮像することを特徴とした透明物品の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−88131(P2012−88131A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234107(P2010−234107)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】