通信システム及び車載機
【課題】自車の走行位置を精度良く特定することができる通信システム及び車載機を提供する。
【解決手段】車載機30が光ビーコン10との通信可能な領域Rに進入した場合、光ビーコン10は、車載機30が領域Rに存在することを送信機20へ通知する。送信機20は、所定の信号を車載機30へ送信する。車載機30は、その信号を受信し、車載機30と送信機20との時刻を同期させる。これにより送信機20と車載機30との間の時刻を一致させる。領域Rを通過した後、道路上の任意の地点で車載機30は、送信機20が送信した信号を受信し、受信した信号の受信時刻及びその信号の送信時刻に基づいて、送信機までの距離を求めることで自車位置を特定する。
【解決手段】車載機30が光ビーコン10との通信可能な領域Rに進入した場合、光ビーコン10は、車載機30が領域Rに存在することを送信機20へ通知する。送信機20は、所定の信号を車載機30へ送信する。車載機30は、その信号を受信し、車載機30と送信機20との時刻を同期させる。これにより送信機20と車載機30との間の時刻を一致させる。領域Rを通過した後、道路上の任意の地点で車載機30は、送信機20が送信した信号を受信し、受信した信号の受信時刻及びその信号の送信時刻に基づいて、送信機までの距離を求めることで自車位置を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両の位置を高精度に特定することができる通信システム、該通信システムを構成する車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点内及びその付近での車両同士、あるいは車両と歩行者との交通事故を防止するために、交差点に設置された信号機の灯色の表示情報を交差点に向かって走行してくる車両に対して送信し、車両に搭載された車載機で表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すシステムがある。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行う信号機連動式車両速度制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
交差点手前で安全に車両を停止させる場合、交差点付近に設けられた停止線の手前で確実に車両を停止させる必要があり、車両から停止線までの距離を正確に把握しておく必要がある。しかしながら、特許文献1の装置にあっては、車両を減速させる制御が自動的に行われても車両から停止線までの距離が正確に判らないため、車両を停止線の手前で確実に停止させることは困難であり、オーバーランといった不具合を生じる恐れがある。このため、従来の技術では、車両を停止線の手前で確実に停止させて交差点における交通事故を未然に防止するには不十分な面があった。
【0004】
一方、カーナビゲーションのジャイロセンサ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)などを用いて自車の位置を検出し、地図データに基づいて交差点の位置を特定することによって、現在の位置から自車前方にある交差点手前の停止線の位置までの距離を算出することができる。しかし、ジャイロセンサは、時間の経過とともに検出誤差が蓄積するとともに、車両の振動により誤差が生ずる。また、加速度センサは、温度特性により誤差が生じ、検出精度が十分ではない。さらに、GPS等による位置検出では、都市部においては建物又は車両などの影響により、十分な数のGPS等の電波を受信できないことが多く、誤差が大きくなるため、正確な運転支援を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自車の位置を精度良く特定することができる通信システム及び該通信システムを構成する車載機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る通信システムは、所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムにおいて、前記車載機は、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、前記送信機が送信した信号を受信した場合、該送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る通信システムは、第1発明において、前記所定の位置情報は、前記送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報であることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る通信システムは、第1発明又は第2発明において、前記送信機は、前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る通信システムは、第1発明又は第2発明において、前記送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、該他の送信機は、前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第6発明に係る通信システムは、第5発明において、前記車載機は、前記第1地点と前記第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する取得手段を備え、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点に前記信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第7発明に係る通信システムは、第5発明において、前記第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、計時手段を備え、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値を該第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第8発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて計時する計時手段と、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信する送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、前記基準周期信号の周期を補正する周期補正手段とを備え、前記受信時点補正手段は、前記周期補正手段で補正した基準周期信号により計時される計時値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第9発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する送信時点補正手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第10発明に係る通信システムは、第5発明乃至第9発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を前記第1地点と異なる第2地点で受信するようにしてあり、前記特定手段は、前記第2の送信時点情報で特定される送信時点及び該第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第11発明に係る通信システムは、第10発明において、前記第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、前記特定手段は、各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第12発明に係る通信システムは、第5発明において、前記第1の送信時点情報を送信する送信機は、前記第1地点に車載機が存在するか否かを判定する判定手段を備え、前記第1地点に車載機が存在する場合、前記第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を送信するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第13発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、道路情報を取得する道路情報取得手段を備え、前記特定手段は、前記道路情報取得手段で取得した道路情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第14発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記送信機は、送信する信号に該信号が有効であることを示す情報を含めて送信するように構成してあり、前記特定手段は、受信した信号に前記情報が含まれる場合、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
第15発明に係る車載機は、所定の信号を受信する車載機において、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、信号を受信した場合、該信号の送信地点の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
第1発明及び第15発明にあっては、道路を走行する車両に搭載された車載機は、信号の送信時点(時点t1)を特定する送信時点情報を受信する。車載機は、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶する。所定の位置情報は、例えば、送信地点の位置情報、送信時点情報を受信する受信地点の位置情報、停止線までの距離などである。車載機は、受信した送信時点情報に基づいて、信号の受信時点を補正する。受信時点の補正は、例えば、送信時点情報で特定される信号の送信時点に所定の時間を加算した値を車載機での受信時点として、送信機と車載機との間の時刻を擬似的に一致させることができる。あるいは、受信時点の補正は、送信時点情報で特定される信号の送信時点を車載機での受信時点として、送信時点情報を送信する送信機と車載機との間の相対的な時刻を擬似的に一致させることもできる。加算する所定の時間は、送信時点情報を送信する送信機と送信時点情報を受信する受信地点との距離(位置情報)により求められる信号の伝播時間である。これにより、車載機でのある時刻が送信機でのいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を同期させることができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。また、時刻は時計だけでなくカウンタのような計時機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0022】
車載機は、信号を送信する送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及びその信号の補正した受信時点に基づいて、自車位置を特定する。例えば、車載機で受信した信号の送信時点がt2であるとすると、車載機と送信機との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機が信号を送信した送信時点t2における車載機の時点はt2そのものである。車載機でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機が送信した信号が車載機に到達するまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機から車載機までの距離になる。送信機の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。また、自車位置を特定するのに必要な送信機の数は、少なくとも1つあればよく通信システム全体を安価に実現することができる。
【0023】
第2発明にあっては、所定の位置情報は、送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報である。例えば、所定の位置情報は、送信地点と受信地点の間の距離の情報、送信地点の位置情報及び受信地点の位置情報、送信地点の位置情報及び受信地点の停止線までの距離(すなわち、相対的な位置情報)、あるいは、送信地点から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。この場合、送信地点から信号の向きに伸ばした直線と道路形状情報に基づく道路形状とが交わる地点を受信地点として求めることができる。所定の位置情報により、送信地点と受信地点の間の距離を求めることができる。
【0024】
第3発明にあっては、信号を送信する送信機が送信時点情報を送信する。車載機は、前記送信機が送信する送信時点情報に基づいて信号の受信時点を補正するとともに、その送信機が送信した信号を受信して自車位置を特定する。
【0025】
第4発明にあっては、信号を送信する送信機とは別にその送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、一方の送信機が送信時点情報を送信する。車載機は、一方の送信機が送信する送信時点情報に基づいて信号の受信時点を補正するとともに、他方の送信機が送信した信号を受信して自車位置を特定する。
【0026】
第5発明にあっては、車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信する。車載機は、受信した第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正する。車載機は、所定の第1地点を通過することにより、車載機におけるある時刻が送信機におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を同期させることができる。従って、車載機は、第1地点を通過後に送信機から送信される信号(送信時点情報を含む)を繰り返し受信するだけで、受信の都度、自車位置を特定し続けることが可能となる。なお、所定の第1地点としては、たとえば、光ビーコンとの通信領域、DSRCとの通信領域、電波ビーコンとの通信領域、通常のGPS又はRTK−GPSによる測位地点などを用いることができる。また、道路に設置された磁気ネイル、道路に描かれた模様(例えば、横断歩道、ひし形など)などを使用することもできる。
【0027】
第6発明にあっては、車載機は、第1地点と第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する。例えば、送信機と第1地点の間の距離を特定するための情報、あるいは、第1地点と送信機との間の信号伝播時間そのものでもよい。送信機と第1地点の間の距離を特定するための情報としては、例えば、送信機と第1地点の間の距離の情報、送信機の位置情報及び第1地点の位置情報、送信機の位置情報及び第1地点の停止線までの距離、あるいは、送信機から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点に信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正する。例えば、送信機が信号を送信時点t1で送信し、車載機が第1地点でその信号を受信した受信時点をt1’とする。送信機から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機は、その信号の受信時点を時点t1’から時点t1+Δt1に補正する。車載機が信号を受信した時の送信機の時点はt1+Δt1であるから、車載機が信号を受信した時点をt1+Δt1に補正することにより、車載機における時刻と送信機における時刻とを擬似的に一致させて両者で時刻を同期させることができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。また、時刻は時計だけでなくカウンタのような計時機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0028】
第7発明にあっては、第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、計時手段を備える。計時手段として、例えば、送信機及び車載機それぞれは、0.1nsの都度「1」を加算するカウンタを備える。車載機は、第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値(カウンタ値)を、その第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正する。例えば、送信機は信号の送信時点におけるカウンタ値(例えば、0)を第1の送信時点情報として信号とともに送信する。車載機は、第1地点でその信号を受信し、車載機のカウンタを第1の送信時点情報であるカウンタ値0にする。すなわち、送信機が信号を送信した送信時点のカウンタ値(0)と、その信号を受信した受信時点の車載機のカウンタ値(0)とを一致させる。なお、信号の送信時点のカウンタ値は一例であって、0に限定されるものではない。
【0029】
これにより、車載機が第1地点に存在する限り、送信機が送信する信号の送信時点のカウンタ値は、車載機でその信号を受信する受信時点のカウンタ値に一致するはずであるが、仮に車載機で信号を受信した場合の受信時点での車載機のカウンタ値がその信号の送信時点のカウンタ値と異なる場合において、送信機、第1地点及び車載機が直線上にあるときは、カウンタ値の差分に相当する距離だけ、車載機が第1地点から離れたことになる。送信機の位置と第1地点の位置が既知であれば自車位置を特定することができる。また、送信機と第1地点の位置が既知であれば、送信機からの距離として自車位置を特定することもできる。
【0030】
第8発明にあっては、車載機は、信号の受信時点を計時する。この場合、計時手段は、例えば、時計又はタイマであり、車載機は、時計又はタイマを駆動すべく、所定の周期の基準クロック信号を内部発信器で生成する。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに前記送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、基準クロック信号の周期を補正してタイマ又は時計などを補正する。より具体的には、送信機から送信された信号から基準クロック信号の周期(又は周波数)を抽出して、抽出した周期と同一の周期になるように基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、調整した基準クロック信号に基づいてタイマ又は時計などを補正する。これにより、車載機でのタイマ又は時計を送信機のタイマ又は時計と同期させることができる。
【0031】
第9発明にあっては、車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信する。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する。例えば、送信機が信号を送信時点t1で送信し、車載機が第1地点でその信号を受信した受信時点をt1’とする。送信機から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機は、受信した信号の送信時点を時点t1からt1’−Δt1に補正する。車載機が信号を受信した時の送信機の時点はt1’−Δt1であるから、送信機が信号を送信した時点をt1’−Δt1に補正することにより、車載機における時刻と送信機における時刻とを擬似的に一致させて両者で時刻を同期させることができる。
【0032】
第10発明にあっては、車載機は、第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を第2地点で受信する。車載機は、第2の送信時点情報で特定される送信時点及び第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する。車載機は、第1地点を通過した際に車載機と送信機との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機が信号を送信した送信時点t2における車載機の時点はt2そのものである。車載機でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機が送信した信号が車載機で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機から車載機までの距離になる。送信機の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0033】
第11発明にあっては、第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、車載機は、各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する。例えば、3台の送信機を用いることにより、各送信機からの距離が等しい3つの球面の交点として自車位置を特定することもできる。
【0034】
第12発明にあっては、第1の送信時点情報を送信する送信機は、第1地点に車載機が存在するか否かを判定し、第1地点に車載機が存在する場合、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を車載機へ送信する。車載機が第1地点に存在するか否かは、例えば、光ビーコン、電波ビーコンなどの路側装置で車両の通過を捉え、その結果を送信機へ出力することにより実現することができる。これにより、所要の地点で車載機と送信機との時刻を同期させることが可能となる。
【0035】
第13発明にあっては、車載機は、道路情報を取得し、取得した道路情報に基づいて自車位置を特定する。例えば、送信機の位置情報に基づいて車載機の位置を送信機からの距離として特定するとともに、道路情報(例えば、地図データベースから取得することができる)に基づいて、道路上の自車の位置を精度良く特定することができる。
【0036】
第14発明にあっては、送信機は、送信する信号にその信号が有効であることを示す情報を含めて送信する。車載機は、受信した信号にその情報が含まれる場合、自車位置を特定する。例えば、車載機は、受信した信号にその信号が有効であることを示す情報(例えば、有効フラグ)が含まれていることを確認した場合にのみ自車位置の特定(測位)を行う。これにより、本来の測位用の信号でない信号を受信して、自車位置を誤って特定することを防止することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明にあっては、自車の位置を精度良く特定することができる。また、自車位置を特定するのに必要な送信機の数は、少なくとも1つあればよく通信システム全体を安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。本発明に係る通信システムは、特に、路車間通信システムとして実現することができ、光ビーコン10、道路付近の所定の位置に設置され、所定の信号(測位用の信号)を送信する送信機20、車両に搭載された車載機30などを備えている。
【0039】
光ビーコン10は、投受光器を備えた通信部11を通じて、道路上の所定の領域Rにおいて、車載機30と通信可能に設置してある。また、領域Rの車両進行方向下流側には、停止線Pを設けている。
【0040】
本発明に係る通信システムは、車載機30が光ビーコン10との通信可能な領域R(第1地点)に進入した場合、光ビーコン10は、車載機30が領域Rに存在することを送信機20へ通知する。送信機20は、所定の信号を車載機30へ送信する。車載機30は、その信号を受信し、車載機30と送信機20との時刻を擬似的に同期させる。なお、時刻を同期させるとは、例えば、送信機20と車載機30との間の時刻を擬似的一致させること、あるいは、送信機20と車載機30との間の相対的な時刻を擬似的一致させることである。これにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判る。領域Rを通過した後、道路上の任意の地点(第2地点)で車載機30は、送信機20が送信した信号を受信し、受信した信号に基づいて自車位置を特定する。自車位置は、例えば、送信機20(又は停止線P)からの距離、光ビーコン10からの距離などにより特定することができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機30の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。
【0041】
車載機30と送信機20との時刻を擬似的に同期させるための領域R(第1地点)は、光ビーコン10との通信により実現されるだけでなく、他の方法を用いることもできる。例えば、光ビーコン10との通信領域に代えて、DSRCとの通信領域、電波ビーコンとの通信領域、通常のGPS又はRTK−GPSによる測位地点などを用いることができる。また、道路に設置された磁気ネイル、道路に描かれた模様(例えば、横断歩道、ひし形など)などを使用することができる。道路上の模様は、車載機30にビデオカメラを搭載し、ビデオカメラで道路上の画像を撮像して、所定の模様を検出し、車載機30と道路上の模様までの距離を求めることができる。
【0042】
図2は本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。光ビーコン10は、投受光器を備え、車載機30との通信機能を有する通信部11、光ビーコン10の動作を制御する制御部12、中央装置40との通信機能を備える端末通信部13、車載機30との通信可能な道路上の領域Rに関する位置情報及び送信機20に関する位置情報を記憶する記憶部14などを備えている。光ビーコン10の記憶部14に記憶する各種情報は、中央装置40から受信することができる。なお、記憶部14に記憶する各種情報は、光ビーコン10を設置する際に、記憶部14に予め記憶することもできる。
【0043】
送信機20は、通信部21、制御部22などを備えている。通信部21は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域の電波を車載機30に対して送信する。通信部21は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、搬送波生成回路、変調回路等(不図示)を備え、基準クロック信号に基づいて所定の信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)を生成する。通信部21は、制御部22の制御のもと、生成した信号に基づいて搬送波(例えば、周波数が100MHz程度、200MHz程度、あるいは700MHz程度など)を周波数変調し、アンテナ(不図示)を通じて変調後の搬送波を送信する。なお、送信機20が使用する周波数帯域は、一例であって、VHF/UHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域でもよい。例えば、自動車専用として割り当てられている5.8GHz帯を使用してもよく、また、携帯電話、PHS等で使用する周波数帯域を使用することも可能である。
【0044】
送信機20は、車載機30が領域Rに存在することを光ビーコン10から通知された場合、所定の信号を車載機30へ送信する。また、送信機20は、その後、所定の時間間隔で所定の信号を繰り返し車載機30へ送信する。
【0045】
車載機30は、赤外線を利用して光ビーコン10との通信機能を有する第1通信部31、送信機20との通信機能を有する第2通信部32、車載機30の動作を制御する制御部33、記憶部34、表示部35、操作部36などを備えている。なお、車載機30は、GPS(Global Positioning System)受信機能、地図データベース(いずれも不図示)などを備えることもできる。
【0046】
第1通信部31は、光ビーコン10から送信されるダウンリンク情報を受信するとともに、光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信する。
【0047】
図3は光ビーコン10と車載機30との間の双方向通信を説明する説明図である。道路上の領域Rは、車載機30が光ビーコン10と通信可能な領域を示している。図3に示すように、領域Rは、自車Cの進行方向上流側の領域R1と下流側の領域R2とに分けられている。領域R1は、光ビーコン10から車載機30に対してダウンリンク情報を送信することができるとともに、車載機30から光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信することができる領域である。一方、領域R2は、光ビーコン10から車載機30に対してダウンリンク情報を送信することができる領域である。
【0048】
光ビーコン10は、例えば、車線通知情報を含むダウンリンク情報を道路上の領域Rに対して所定のダウンリンク周期で繰り返し送信する。車載機30を搭載した自車Cが領域R内に進入した場合、第1通信部31は、ダウンリンク情報を受信し、受信したダウンリンク情報を制御部33へ出力する。
【0049】
車載機30は、ダウンリンク情報を受信すると、第1通信部31を通じて光ビーコン10に対して、車両IDを含むアップリンク情報を所定のアップリンク周期で繰り返し送信する。
【0050】
光ビーコン10がアップリンク情報を受信すると、光ビーコン10は、ダウンリンクの切替を行い、車線通知情報、所定の位置情報(例えば、領域Rの位置情報、送信機20の位置情報、停止線Pまでの距離L1など)などのダウンリンク切替後のダウンリンク情報を車載機30に対して送信する。なお、位置情報は、緯度及び経度で表される絶対位置でもよく、あるいは、所定の基準地点からの相対位置でもよい。また、所定の位置情報は、送信機20の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報とすることができる。例えば、所定の位置情報は、送信地点と受信地点の間の距離の情報、送信地点の位置情報及び受信地点の位置情報、送信地点の位置情報及び受信地点のある地点(例えば、停止線)までの距離(すなわち、相対的な位置情報)、あるいは、送信地点から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。この場合、送信地点から信号の向きに伸ばした直線と道路形状情報に基づく道路形状とが交わる地点を受信地点として求めることができる。また、光ビーコン10は、車載機30が領域R内に存在することを通知する通知信号を送信機20へ出力する。
【0051】
第2通信部32は、送信機20が送信した信号を受信する。より具体的には、第2通信部32は、復調回路を備え、送信機20が送信した電波を受信し、受信した電波を復調して元の信号を抽出する。第2通信部32は、抽出した信号に基づいて、信号の受信時点を算出し、算出した受信時点を制御部33へ出力する。なお、所定の時間内に、複数回にわたって受信時点を算出した上で、これらの平均値又は中央値等を用いることもできる。このような方法によれば、ノイズ等による影響を低減し、安定した受信時点を得ることができる。なお、信号の受信時点の算出は、信号波形の立ち上がり部分のみならず、立ち下り部分で算出することもできる。
【0052】
図4は測位用の信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。図4に示すように送信機20が送信する信号は、例えば、測位用信号とデータ領域とで構成され、データ領域には、信号が有効であることを示す有効フラグ、信号の送信時点を特定する送信時点情報(例えば、送信機20で計時される時刻形式情報、あるいは所定の時間間隔で計数されるカウンタのカウンタ値等)などの情報を含む。なお、測位用信号とデータとの送信時点は同時でもよく、異なる時点であってもよい。
【0053】
図5は信号の受信時点を求める例を示す説明図である。図5(a)の上段は送信機20から受信した信号の例を模式的に示し、下段は車載機30が予め記憶している相関処理(パターンマッチング)を行うためのレプリカ信号である。図5(a)に示すように、車載機30で受信した信号及びレプリカ信号を所定の時間間隔でサンプリングし、波形とレプリカ信号の波形が一致する場合、図5(b)に示すように両信号の相関値が鋭いピークを示す。図5(b)に示すように、第2通信部32は、相関値の鋭いピークが取れた時点で、信号の受信時点を求める。受信時点を求める方法は、時間軸の相関処理に限定されず、周波数領域での相関処理を行うこともできる。なお、マルチパスによる遅延波の影響がある場合、相関は図5(c)のようにピークが2つ以上生じる。
【0054】
制御部33は、車載機30が領域R内に存在するときに第2通信部32を通じて受信した信号からその信号の送信時点情報を取得し、取得した送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正する。すなわち、車載機30は、領域R(所定の第1地点)を通過することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0055】
制御部33は、車載機30が領域Rを通過した後、第2通信部32を通じて送信機20から送信される信号(送信時点情報を含む)を繰り返し受信する。制御部33は、受信した信号からその信号の送信時点情報を取得し、取得した送信時点情報で特定された送信時点とその信号の受信時点との時間差(すなわち、その信号が送信機20から車載機30へ到達するまでの到達時間)に基づいて、送信機20までの距離を求めることにより自車位置を特定する。
【0056】
例えば、車載機30で受信した信号の送信時点がt2であるとすると、車載機30が領域Rを通過した時点で、車載機30と送信機20とは、すでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時点t2における車載機30の時点はt2そのものである。車載機30でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。従って、車載機30は、領域Rを通過後に送信機20から送信される信号を繰り返し受信するだけで、受信の都度自車位置を特定し続けることが可能となる。
【0057】
図6は測位手順の一例を示す説明図である。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、送信機20での時刻t1に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t1が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t1’に信号を受信する。送信機20から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機30は、その信号の受信時刻をt1’からt1+Δt1に補正する。車載機30が信号を受信した時に送信機20の時刻はt1+Δt1であるから、車載機30が信号を受信した時刻をt1+Δt1に補正することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0058】
なお、信号の伝播時間Δt1は、送信機20及び第1地点の位置(絶対位置、又は所定の地点からの相対位置など)、送信機20と第1地点との距離などにより求めることができる。この情報は、光ビーコン10から受信してもよく、送信機20から受信してもよく、あるいは、予め車載機30で記憶しておくこともできる。
【0059】
送信機20は、その後、時刻t2に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t2が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t3に信号を受信する。車載機30は、第1地点を通過した際に車載機30と送信機20との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時刻t2における車載機30の時刻はt2そのものである。車載機30でその信号を受信した受信時刻をt3とすると、送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。これにより、車載機30は、車載機30自身の高さ情報、送信機20の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0060】
図7は測位手順の他の例を示す説明図である。この場合、送信機20及び車載機30それぞれは、所定の時間間隔(例えば、0.1ns)の都度「1」を加算するカウンタを備える。なお、各カウンタは、例えば、40ビットのデータで構成され、10秒経過の都度、0にリセットさせる。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、信号の送信時点でのカウンタ値(例えば、0)を送信時点情報(第1の送信時点情報)として信号とともに送信する。車載機30は、領域R内でその信号を受信し、車載機30のカウンタを第1の送信時点情報であるカウンタ値0にする。すなわち、送信機20が信号を送信した送信時点のカウンタ値(0)と、車載機30でその信号を受信した受信時点のカウンタ値(0)とを一致させる。なお、信号の送信時点のカウンタ値は一例であって、0に限定されるものではない。
【0061】
これにより、その後、車載機30の位置が領域R内にある限り、送信機20が送信する信号の送信時点のカウンタ値は、車載機30でその信号を受信する受信時点のカウンタ値に一致するはずである。送信機20は、その後、カウンタが「10000000」になった時点で信号を送信する。この信号には、送信時点情報としてカウンタ値「10000000」が含まれている。車載機30は、その信号を受信し、受信した時点の車載機30のカウンタが「9997000」とする。車載機30で信号を受信した場合の受信時点での車載機30のカウンタ値がその信号の送信時点のカウンタ値と異なる場合、カウンタ値の差分に相当する距離だけ車載機30が送信機20に近づいたことになる。例えば、カウンタ値の差分が「3000」であるから、3000×0.1ns、すなわち300nsの間に電波が伝播する距離(約90m)だけ車載機30は送信機20に近づいたことになる。従って、領域Rの位置が既知であれば自車位置を特定することができる。また、送信機20と領域Rの位置が既知であれば、送信機20からの距離として自車位置を特定することもできる。なお、領域R、送信機20、車載機30のアンテナが略一直線上にあれば、車載機30は、約90mだけ領域Rから離れ、約90mだけ送信機20に近づいたことになる。
【0062】
図8は測位手順の他の例を示す説明図である。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、送信機20での時刻t1に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t1が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t1’に信号を受信する。送信機20から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機30は、その信号の送信時刻をt1からt1’−Δt1に補正する。車載機30が信号を受信した時の送信機20の時点はt1’−Δt1であるから、送信機20が信号を送信した時点をt1’−Δt1に補正することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0063】
送信機20は、その後、時刻t2に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t2が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t3’に信号を受信するとともに、送信時刻をt2からt2’に補正する。すなわち、送信時刻t2’は、t2’=t2+(t1’−Δt1)−t1で求めることができる。車載機30は、第1地点を通過した際に車載機30と送信機20との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時刻t2’における車載機30の時刻はt2’そのものである。送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3’−t2’となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。これにより、車載機30は、車載機30自身の高さ情報、送信機20の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0064】
表示部35は、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステム又は監視モニタなどの液晶表示パネルであり、運転者に対して、各種交通情報を表示することができる。例えば、交差点又は停止線までの距離、交差点を安全に走行できない場合の警告等を表示する。
【0065】
操作部36は、各種操作パネルを備え、運転者と車載機30とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部36は、運転者の操作により車載機30の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
【0066】
次に自車の位置を特定する方法について説明する。図9は自車の位置を特定する例を示す説明図であり、図10は自車の位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、車載機30を搭載した車両は、光ビーコン10が設置された領域Rを走行し、その後、地点Aで自車の位置を特定するものとする。また、図9の例は、送信機20、車載機30、地点Rが直線上にある場合を示す。以下、図9及び図10に従って説明する。
【0067】
車載機30は、光ビーコン10から信号の有無に基づいて、自車が所定の領域R内にあるか否か判定し(S11)、領域R内にない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を繰り返し、領域R内に入るまで待機する。
【0068】
自車が領域R内にある場合(S11でYES)、車載機30は、送信機20から信号を受信する(S12)。なお、送信機20は、光ビーコン10が送信機20へ出力する通知信号に基づいて、信号を車載機30へ送信する。車載機30は、受信した信号からその信号の送信時点を取得する(S13)。なお、送信時点は、送信時刻、送信時点のカウンタ値などであるが、これに限定されるものではなく、信号の送信時点を特定することができる情報であれば、どのようなものであってもよい。また、車載機30は、受信した信号に有効フラグがオンになっていない場合、信号が有効なものではないとして信号を無効にする。
【0069】
車載機30は、領域Rの位置情報、送信機20の位置情報を取得する(S14)。なお、位置情報は、領域R、送信機20の位置を緯度及び経度で表す絶対位置でもよく、あるいは、所定の基準地点からの相対位置でもよい。また、領域Rと送信機20との距離でもよく、あるいは、領域Rと送信機20との間の電波の伝播時間であってもよい。
【0070】
車載機30は、自車の時刻を送信機20の時刻と一致するように補正する(S15)。すなわち、両者で時刻を同期させる。なお、時刻を同期させるとは、例えば、送信機20と車載機30との間の時刻を擬似的に一致させること、あるいは、送信機20と車載機30との間の相対的な時刻(例えば、カウンタの値)を擬似的一致させることを含む。また、両者の時刻を同期させるには、車載機30の時刻を送信機20の時刻に一致するように補正することもでき、あるいは、送信機20の時刻を車載機30の時刻に一致するように補正することもできる。
【0071】
その後、車載機30は、送信機20から信号を受信したか否かを判定し(S16)、信号を受信していない場合(S16でNO)、ステップS16の処理を続け、信号を受信するまで待機する。信号を受信した場合(S16でYES)、車載機30は、信号の送信時点とその信号の受信時点に基づいて、送信機20から送信された信号が車載機30に到達するまでの到達時間を算出し(S17)、算出した到達時間と送信機20の位置情報に基づいて、自車位置を特定する(S18)。なお、車載機30は、受信した信号に有効フラグがオンになっていない場合、信号が有効なものではないとして信号を無効にし、自車位置の特定を行わない。
【0072】
車載機30は、処理の終了指示の有無を判定し(S19)、終了指示がない場合(S19でNO)、ステップS16以降の処理を続け、自車位置の特定を続ける。終了指示がある場合(S19でYES)、車載機30は、処理を終了する。
【0073】
自車位置の特定は、送信機20により特定することができるが、地図データベースから道路情報を取得することにより、一層精度良く特定することができる。
【0074】
図11は道路情報を用いて自車位置を特定する例を示す説明図である。上述の実施の形態で説明したように、送信機20から送信された信号に基づいて、自車の位置を送信機20からの距離Lとして求めることができる。すなわち、自車の位置は、送信機20を中心として距離Lとなる球面上に存在する。道路上の自車の高さ、送信機20の高さなどに基づいて、自車の位置を球面上の一点として求めることが可能である。さらに、図11に示すように、いくつかの道路が交錯する場合、自車が走行していると考えられる道路のうち、送信機20からの距離がLとなる道路が、自車が走行している道路であると特定することができ、道路情報を併用することで一層精度良く自車位置を特定することができる。
【0075】
車載機30の時刻と送信機20との時刻を同期させる場合、車載機30の基準クロック信号を送信機20の基準クロック信号に同期させることにより実現することもできる。例えば、送信機20及び車載機30に、位相同期回路(PLL:Phase-locked loop)を設けておく。例えば、車載機30は、送信機20から送信された信号から基準クロック信号の周期(又は周波数)を抽出して、抽出した周期と同一の周期になるように基準クロック信号の周期(周波数)を調整する。これにより、送信機20で計時するタイマ又は時計と車載機30で計時するタイマ又は時計を同期させることができる。
【0076】
上述の実施の形態では、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定した場合、送信機20が、送信時点情報として送信時刻t1を含む信号を車載機30へ送信し、車載機30は、信号の受信時点を補正すべく、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させる構成であったが、車載機30の時刻を補正するための送信時点情報を送信するのは、送信機20に限定されるものではない。例えば、光ビーコン10から受信する信号に基づいて、車載機30の時刻が送信機20の時刻と同期するようにすることもできる。
【0077】
この場合、光ビーコン10が送信する赤外線などの指向性が鋭い信号であれば、光ビーコン10から信号を受信する地点が限定されるため、光ビーコン10の設置位置、光ビーコン10から信号を受信する受信地点の位置に基づいて、光ビーコン10が送信する信号の伝播時間Δt1を求めることができる。なお、この場合、光ビーコン10の時刻と送信機20の時刻とは同期させておく。
【0078】
以上説明したように、本発明にあっては、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。特に、1つの送信機を設けるだけで自車の位置を特定することができ、2つ以上の送信機を用いる必要がなく安価な通信システムを実現することができる。また、本来の測位用の信号でない信号を受信して、自車位置を誤って特定することを防止することができるとともに、システム全体の信頼性を向上させることができる。
【0079】
上述の実施の形態では、送信機20が信号を変調して送信し、車載機30では復調して元の信号を抽出し、信号の受信時点を算出する構成であったが、これに限定されるものではなく、送信機20で、信号を直交周波数多重方式の周波数が異なる搬送波に割り当て、信号が割り当てられた搬送波を送信する。例えば、送信する信号に逆フーリエ変換して周波数の異なる少なくとも1つのサブキャリア(搬送波)に変換し、変換した信号をDA変換して送信機20から車載機30に対して送信する。車載機30は、送信された搬送波をAD変換し、変換後の信号同士をパターンマッチングすることで信号の受信時点を取得する。これにより、他の帯域における通信との干渉を少なくしつつ周波数帯の利用効率を向上させることができる。
【0080】
上述の実施の形態では、測位用として送信機を1台用いる構成であったが、送信機を2台以上用いる構成であってもよい。例えば、送信機3台を用いることにより、各送信機からの距離が等しい3つの球面の交点として自車位置を特定することもできる。
【0081】
上述の発明により、走行中の自車の位置を精度良く特定することができるため、本発明を用いることにより、例えば、車載機で前方の信号機の表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すことができる。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行うこともでき、交通事故を未然に防止して交通の安全性を高めることができる。
【0082】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】光ビーコンと車載機との間の双方向通信を説明する説明図である。
【図4】測位用の信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。
【図5】信号の受信時点を求める例を示す説明図である。
【図6】測位手順の一例を示す説明図である。
【図7】測位手順の他の例を示す説明図である。
【図8】測位手順の他の例を示す説明図である。
【図9】自車の位置を特定する例を示す説明図である。
【図10】自車の位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】道路情報を用いて自車位置を特定する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10 光ビーコン
20 送信機
21 通信部
22 制御部
30 車載機
31 第1通信部
32 第2通信部
33 制御部
34 記憶部
35 表示部
36 操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を走行する車両の位置を高精度に特定することができる通信システム、該通信システムを構成する車載機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点内及びその付近での車両同士、あるいは車両と歩行者との交通事故を防止するために、交差点に設置された信号機の灯色の表示情報を交差点に向かって走行してくる車両に対して送信し、車両に搭載された車載機で表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すシステムがある。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行う信号機連動式車両速度制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
交差点手前で安全に車両を停止させる場合、交差点付近に設けられた停止線の手前で確実に車両を停止させる必要があり、車両から停止線までの距離を正確に把握しておく必要がある。しかしながら、特許文献1の装置にあっては、車両を減速させる制御が自動的に行われても車両から停止線までの距離が正確に判らないため、車両を停止線の手前で確実に停止させることは困難であり、オーバーランといった不具合を生じる恐れがある。このため、従来の技術では、車両を停止線の手前で確実に停止させて交差点における交通事故を未然に防止するには不十分な面があった。
【0004】
一方、カーナビゲーションのジャイロセンサ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)などを用いて自車の位置を検出し、地図データに基づいて交差点の位置を特定することによって、現在の位置から自車前方にある交差点手前の停止線の位置までの距離を算出することができる。しかし、ジャイロセンサは、時間の経過とともに検出誤差が蓄積するとともに、車両の振動により誤差が生ずる。また、加速度センサは、温度特性により誤差が生じ、検出精度が十分ではない。さらに、GPS等による位置検出では、都市部においては建物又は車両などの影響により、十分な数のGPS等の電波を受信できないことが多く、誤差が大きくなるため、正確な運転支援を行うことが困難であった。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、自車の位置を精度良く特定することができる通信システム及び該通信システムを構成する車載機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る通信システムは、所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムにおいて、前記車載機は、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、前記送信機が送信した信号を受信した場合、該送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る通信システムは、第1発明において、前記所定の位置情報は、前記送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報であることを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る通信システムは、第1発明又は第2発明において、前記送信機は、前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る通信システムは、第1発明又は第2発明において、前記送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、該他の送信機は、前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第5発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第6発明に係る通信システムは、第5発明において、前記車載機は、前記第1地点と前記第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する取得手段を備え、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点に前記信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第7発明に係る通信システムは、第5発明において、前記第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、計時手段を備え、前記受信時点補正手段は、前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値を該第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第8発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて計時する計時手段と、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信する送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、前記基準周期信号の周期を補正する周期補正手段とを備え、前記受信時点補正手段は、前記周期補正手段で補正した基準周期信号により計時される計時値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第9発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する送信時点補正手段を備えることを特徴とする。
【0015】
第10発明に係る通信システムは、第5発明乃至第9発明のいずれかにおいて、前記車載機は、第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を前記第1地点と異なる第2地点で受信するようにしてあり、前記特定手段は、前記第2の送信時点情報で特定される送信時点及び該第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0016】
第11発明に係る通信システムは、第10発明において、前記第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、前記特定手段は、各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第12発明に係る通信システムは、第5発明において、前記第1の送信時点情報を送信する送信機は、前記第1地点に車載機が存在するか否かを判定する判定手段を備え、前記第1地点に車載機が存在する場合、前記第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を送信するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第13発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記車載機は、道路情報を取得する道路情報取得手段を備え、前記特定手段は、前記道路情報取得手段で取得した道路情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第14発明に係る通信システムは、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、前記送信機は、送信する信号に該信号が有効であることを示す情報を含めて送信するように構成してあり、前記特定手段は、受信した信号に前記情報が含まれる場合、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
第15発明に係る車載機は、所定の信号を受信する車載機において、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、信号を受信した場合、該信号の送信地点の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
第1発明及び第15発明にあっては、道路を走行する車両に搭載された車載機は、信号の送信時点(時点t1)を特定する送信時点情報を受信する。車載機は、前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶する。所定の位置情報は、例えば、送信地点の位置情報、送信時点情報を受信する受信地点の位置情報、停止線までの距離などである。車載機は、受信した送信時点情報に基づいて、信号の受信時点を補正する。受信時点の補正は、例えば、送信時点情報で特定される信号の送信時点に所定の時間を加算した値を車載機での受信時点として、送信機と車載機との間の時刻を擬似的に一致させることができる。あるいは、受信時点の補正は、送信時点情報で特定される信号の送信時点を車載機での受信時点として、送信時点情報を送信する送信機と車載機との間の相対的な時刻を擬似的に一致させることもできる。加算する所定の時間は、送信時点情報を送信する送信機と送信時点情報を受信する受信地点との距離(位置情報)により求められる信号の伝播時間である。これにより、車載機でのある時刻が送信機でのいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を同期させることができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。また、時刻は時計だけでなくカウンタのような計時機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0022】
車載機は、信号を送信する送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及びその信号の補正した受信時点に基づいて、自車位置を特定する。例えば、車載機で受信した信号の送信時点がt2であるとすると、車載機と送信機との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機が信号を送信した送信時点t2における車載機の時点はt2そのものである。車載機でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機が送信した信号が車載機に到達するまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機から車載機までの距離になる。送信機の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。また、自車位置を特定するのに必要な送信機の数は、少なくとも1つあればよく通信システム全体を安価に実現することができる。
【0023】
第2発明にあっては、所定の位置情報は、送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報である。例えば、所定の位置情報は、送信地点と受信地点の間の距離の情報、送信地点の位置情報及び受信地点の位置情報、送信地点の位置情報及び受信地点の停止線までの距離(すなわち、相対的な位置情報)、あるいは、送信地点から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。この場合、送信地点から信号の向きに伸ばした直線と道路形状情報に基づく道路形状とが交わる地点を受信地点として求めることができる。所定の位置情報により、送信地点と受信地点の間の距離を求めることができる。
【0024】
第3発明にあっては、信号を送信する送信機が送信時点情報を送信する。車載機は、前記送信機が送信する送信時点情報に基づいて信号の受信時点を補正するとともに、その送信機が送信した信号を受信して自車位置を特定する。
【0025】
第4発明にあっては、信号を送信する送信機とは別にその送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、一方の送信機が送信時点情報を送信する。車載機は、一方の送信機が送信する送信時点情報に基づいて信号の受信時点を補正するとともに、他方の送信機が送信した信号を受信して自車位置を特定する。
【0026】
第5発明にあっては、車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信する。車載機は、受信した第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正する。車載機は、所定の第1地点を通過することにより、車載機におけるある時刻が送信機におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を同期させることができる。従って、車載機は、第1地点を通過後に送信機から送信される信号(送信時点情報を含む)を繰り返し受信するだけで、受信の都度、自車位置を特定し続けることが可能となる。なお、所定の第1地点としては、たとえば、光ビーコンとの通信領域、DSRCとの通信領域、電波ビーコンとの通信領域、通常のGPS又はRTK−GPSによる測位地点などを用いることができる。また、道路に設置された磁気ネイル、道路に描かれた模様(例えば、横断歩道、ひし形など)などを使用することもできる。
【0027】
第6発明にあっては、車載機は、第1地点と第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する。例えば、送信機と第1地点の間の距離を特定するための情報、あるいは、第1地点と送信機との間の信号伝播時間そのものでもよい。送信機と第1地点の間の距離を特定するための情報としては、例えば、送信機と第1地点の間の距離の情報、送信機の位置情報及び第1地点の位置情報、送信機の位置情報及び第1地点の停止線までの距離、あるいは、送信機から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点に信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正する。例えば、送信機が信号を送信時点t1で送信し、車載機が第1地点でその信号を受信した受信時点をt1’とする。送信機から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機は、その信号の受信時点を時点t1’から時点t1+Δt1に補正する。車載機が信号を受信した時の送信機の時点はt1+Δt1であるから、車載機が信号を受信した時点をt1+Δt1に補正することにより、車載機における時刻と送信機における時刻とを擬似的に一致させて両者で時刻を同期させることができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。また、時刻は時計だけでなくカウンタのような計時機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。
【0028】
第7発明にあっては、第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、計時手段を備える。計時手段として、例えば、送信機及び車載機それぞれは、0.1nsの都度「1」を加算するカウンタを備える。車載機は、第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値(カウンタ値)を、その第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正する。例えば、送信機は信号の送信時点におけるカウンタ値(例えば、0)を第1の送信時点情報として信号とともに送信する。車載機は、第1地点でその信号を受信し、車載機のカウンタを第1の送信時点情報であるカウンタ値0にする。すなわち、送信機が信号を送信した送信時点のカウンタ値(0)と、その信号を受信した受信時点の車載機のカウンタ値(0)とを一致させる。なお、信号の送信時点のカウンタ値は一例であって、0に限定されるものではない。
【0029】
これにより、車載機が第1地点に存在する限り、送信機が送信する信号の送信時点のカウンタ値は、車載機でその信号を受信する受信時点のカウンタ値に一致するはずであるが、仮に車載機で信号を受信した場合の受信時点での車載機のカウンタ値がその信号の送信時点のカウンタ値と異なる場合において、送信機、第1地点及び車載機が直線上にあるときは、カウンタ値の差分に相当する距離だけ、車載機が第1地点から離れたことになる。送信機の位置と第1地点の位置が既知であれば自車位置を特定することができる。また、送信機と第1地点の位置が既知であれば、送信機からの距離として自車位置を特定することもできる。
【0030】
第8発明にあっては、車載機は、信号の受信時点を計時する。この場合、計時手段は、例えば、時計又はタイマであり、車載機は、時計又はタイマを駆動すべく、所定の周期の基準クロック信号を内部発信器で生成する。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに前記送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、基準クロック信号の周期を補正してタイマ又は時計などを補正する。より具体的には、送信機から送信された信号から基準クロック信号の周期(又は周波数)を抽出して、抽出した周期と同一の周期になるように基準クロック信号の周期(周波数)を調整し、調整した基準クロック信号に基づいてタイマ又は時計などを補正する。これにより、車載機でのタイマ又は時計を送信機のタイマ又は時計と同期させることができる。
【0031】
第9発明にあっては、車載機は、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信する。車載機は、第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する。例えば、送信機が信号を送信時点t1で送信し、車載機が第1地点でその信号を受信した受信時点をt1’とする。送信機から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機は、受信した信号の送信時点を時点t1からt1’−Δt1に補正する。車載機が信号を受信した時の送信機の時点はt1’−Δt1であるから、送信機が信号を送信した時点をt1’−Δt1に補正することにより、車載機における時刻と送信機における時刻とを擬似的に一致させて両者で時刻を同期させることができる。
【0032】
第10発明にあっては、車載機は、第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を第2地点で受信する。車載機は、第2の送信時点情報で特定される送信時点及び第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する。車載機は、第1地点を通過した際に車載機と送信機との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機が信号を送信した送信時点t2における車載機の時点はt2そのものである。車載機でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機が送信した信号が車載機で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機から車載機までの距離になる。送信機の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0033】
第11発明にあっては、第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、車載機は、各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する。例えば、3台の送信機を用いることにより、各送信機からの距離が等しい3つの球面の交点として自車位置を特定することもできる。
【0034】
第12発明にあっては、第1の送信時点情報を送信する送信機は、第1地点に車載機が存在するか否かを判定し、第1地点に車載機が存在する場合、第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を車載機へ送信する。車載機が第1地点に存在するか否かは、例えば、光ビーコン、電波ビーコンなどの路側装置で車両の通過を捉え、その結果を送信機へ出力することにより実現することができる。これにより、所要の地点で車載機と送信機との時刻を同期させることが可能となる。
【0035】
第13発明にあっては、車載機は、道路情報を取得し、取得した道路情報に基づいて自車位置を特定する。例えば、送信機の位置情報に基づいて車載機の位置を送信機からの距離として特定するとともに、道路情報(例えば、地図データベースから取得することができる)に基づいて、道路上の自車の位置を精度良く特定することができる。
【0036】
第14発明にあっては、送信機は、送信する信号にその信号が有効であることを示す情報を含めて送信する。車載機は、受信した信号にその情報が含まれる場合、自車位置を特定する。例えば、車載機は、受信した信号にその信号が有効であることを示す情報(例えば、有効フラグ)が含まれていることを確認した場合にのみ自車位置の特定(測位)を行う。これにより、本来の測位用の信号でない信号を受信して、自車位置を誤って特定することを防止することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明にあっては、自車の位置を精度良く特定することができる。また、自車位置を特定するのに必要な送信機の数は、少なくとも1つあればよく通信システム全体を安価に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。本発明に係る通信システムは、特に、路車間通信システムとして実現することができ、光ビーコン10、道路付近の所定の位置に設置され、所定の信号(測位用の信号)を送信する送信機20、車両に搭載された車載機30などを備えている。
【0039】
光ビーコン10は、投受光器を備えた通信部11を通じて、道路上の所定の領域Rにおいて、車載機30と通信可能に設置してある。また、領域Rの車両進行方向下流側には、停止線Pを設けている。
【0040】
本発明に係る通信システムは、車載機30が光ビーコン10との通信可能な領域R(第1地点)に進入した場合、光ビーコン10は、車載機30が領域Rに存在することを送信機20へ通知する。送信機20は、所定の信号を車載機30へ送信する。車載機30は、その信号を受信し、車載機30と送信機20との時刻を擬似的に同期させる。なお、時刻を同期させるとは、例えば、送信機20と車載機30との間の時刻を擬似的一致させること、あるいは、送信機20と車載機30との間の相対的な時刻を擬似的一致させることである。これにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判る。領域Rを通過した後、道路上の任意の地点(第2地点)で車載機30は、送信機20が送信した信号を受信し、受信した信号に基づいて自車位置を特定する。自車位置は、例えば、送信機20(又は停止線P)からの距離、光ビーコン10からの距離などにより特定することができる。なお、時刻を擬似的に一致させるとは、車載機30の時計を恒久的に補正することに限定されるものではなく、一時的に、または別の時計を合わせることもできる。
【0041】
車載機30と送信機20との時刻を擬似的に同期させるための領域R(第1地点)は、光ビーコン10との通信により実現されるだけでなく、他の方法を用いることもできる。例えば、光ビーコン10との通信領域に代えて、DSRCとの通信領域、電波ビーコンとの通信領域、通常のGPS又はRTK−GPSによる測位地点などを用いることができる。また、道路に設置された磁気ネイル、道路に描かれた模様(例えば、横断歩道、ひし形など)などを使用することができる。道路上の模様は、車載機30にビデオカメラを搭載し、ビデオカメラで道路上の画像を撮像して、所定の模様を検出し、車載機30と道路上の模様までの距離を求めることができる。
【0042】
図2は本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。光ビーコン10は、投受光器を備え、車載機30との通信機能を有する通信部11、光ビーコン10の動作を制御する制御部12、中央装置40との通信機能を備える端末通信部13、車載機30との通信可能な道路上の領域Rに関する位置情報及び送信機20に関する位置情報を記憶する記憶部14などを備えている。光ビーコン10の記憶部14に記憶する各種情報は、中央装置40から受信することができる。なお、記憶部14に記憶する各種情報は、光ビーコン10を設置する際に、記憶部14に予め記憶することもできる。
【0043】
送信機20は、通信部21、制御部22などを備えている。通信部21は、例えば、VHF/UHF帯の周波数帯域の電波を車載機30に対して送信する。通信部21は、基準クロック信号を生成する水晶発振器、搬送波生成回路、変調回路等(不図示)を備え、基準クロック信号に基づいて所定の信号(例えば、周波数が10kHz程度の矩形波信号)を生成する。通信部21は、制御部22の制御のもと、生成した信号に基づいて搬送波(例えば、周波数が100MHz程度、200MHz程度、あるいは700MHz程度など)を周波数変調し、アンテナ(不図示)を通じて変調後の搬送波を送信する。なお、送信機20が使用する周波数帯域は、一例であって、VHF/UHF帯に限定されるものではなく、他の周波数帯域でもよい。例えば、自動車専用として割り当てられている5.8GHz帯を使用してもよく、また、携帯電話、PHS等で使用する周波数帯域を使用することも可能である。
【0044】
送信機20は、車載機30が領域Rに存在することを光ビーコン10から通知された場合、所定の信号を車載機30へ送信する。また、送信機20は、その後、所定の時間間隔で所定の信号を繰り返し車載機30へ送信する。
【0045】
車載機30は、赤外線を利用して光ビーコン10との通信機能を有する第1通信部31、送信機20との通信機能を有する第2通信部32、車載機30の動作を制御する制御部33、記憶部34、表示部35、操作部36などを備えている。なお、車載機30は、GPS(Global Positioning System)受信機能、地図データベース(いずれも不図示)などを備えることもできる。
【0046】
第1通信部31は、光ビーコン10から送信されるダウンリンク情報を受信するとともに、光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信する。
【0047】
図3は光ビーコン10と車載機30との間の双方向通信を説明する説明図である。道路上の領域Rは、車載機30が光ビーコン10と通信可能な領域を示している。図3に示すように、領域Rは、自車Cの進行方向上流側の領域R1と下流側の領域R2とに分けられている。領域R1は、光ビーコン10から車載機30に対してダウンリンク情報を送信することができるとともに、車載機30から光ビーコン10に対してアップリンク情報を送信することができる領域である。一方、領域R2は、光ビーコン10から車載機30に対してダウンリンク情報を送信することができる領域である。
【0048】
光ビーコン10は、例えば、車線通知情報を含むダウンリンク情報を道路上の領域Rに対して所定のダウンリンク周期で繰り返し送信する。車載機30を搭載した自車Cが領域R内に進入した場合、第1通信部31は、ダウンリンク情報を受信し、受信したダウンリンク情報を制御部33へ出力する。
【0049】
車載機30は、ダウンリンク情報を受信すると、第1通信部31を通じて光ビーコン10に対して、車両IDを含むアップリンク情報を所定のアップリンク周期で繰り返し送信する。
【0050】
光ビーコン10がアップリンク情報を受信すると、光ビーコン10は、ダウンリンクの切替を行い、車線通知情報、所定の位置情報(例えば、領域Rの位置情報、送信機20の位置情報、停止線Pまでの距離L1など)などのダウンリンク切替後のダウンリンク情報を車載機30に対して送信する。なお、位置情報は、緯度及び経度で表される絶対位置でもよく、あるいは、所定の基準地点からの相対位置でもよい。また、所定の位置情報は、送信機20の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報とすることができる。例えば、所定の位置情報は、送信地点と受信地点の間の距離の情報、送信地点の位置情報及び受信地点の位置情報、送信地点の位置情報及び受信地点のある地点(例えば、停止線)までの距離(すなわち、相対的な位置情報)、あるいは、送信地点から信号の向き(指向性)に関する情報及び道路形状情報などである。この場合、送信地点から信号の向きに伸ばした直線と道路形状情報に基づく道路形状とが交わる地点を受信地点として求めることができる。また、光ビーコン10は、車載機30が領域R内に存在することを通知する通知信号を送信機20へ出力する。
【0051】
第2通信部32は、送信機20が送信した信号を受信する。より具体的には、第2通信部32は、復調回路を備え、送信機20が送信した電波を受信し、受信した電波を復調して元の信号を抽出する。第2通信部32は、抽出した信号に基づいて、信号の受信時点を算出し、算出した受信時点を制御部33へ出力する。なお、所定の時間内に、複数回にわたって受信時点を算出した上で、これらの平均値又は中央値等を用いることもできる。このような方法によれば、ノイズ等による影響を低減し、安定した受信時点を得ることができる。なお、信号の受信時点の算出は、信号波形の立ち上がり部分のみならず、立ち下り部分で算出することもできる。
【0052】
図4は測位用の信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。図4に示すように送信機20が送信する信号は、例えば、測位用信号とデータ領域とで構成され、データ領域には、信号が有効であることを示す有効フラグ、信号の送信時点を特定する送信時点情報(例えば、送信機20で計時される時刻形式情報、あるいは所定の時間間隔で計数されるカウンタのカウンタ値等)などの情報を含む。なお、測位用信号とデータとの送信時点は同時でもよく、異なる時点であってもよい。
【0053】
図5は信号の受信時点を求める例を示す説明図である。図5(a)の上段は送信機20から受信した信号の例を模式的に示し、下段は車載機30が予め記憶している相関処理(パターンマッチング)を行うためのレプリカ信号である。図5(a)に示すように、車載機30で受信した信号及びレプリカ信号を所定の時間間隔でサンプリングし、波形とレプリカ信号の波形が一致する場合、図5(b)に示すように両信号の相関値が鋭いピークを示す。図5(b)に示すように、第2通信部32は、相関値の鋭いピークが取れた時点で、信号の受信時点を求める。受信時点を求める方法は、時間軸の相関処理に限定されず、周波数領域での相関処理を行うこともできる。なお、マルチパスによる遅延波の影響がある場合、相関は図5(c)のようにピークが2つ以上生じる。
【0054】
制御部33は、車載機30が領域R内に存在するときに第2通信部32を通じて受信した信号からその信号の送信時点情報を取得し、取得した送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正する。すなわち、車載機30は、領域R(所定の第1地点)を通過することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0055】
制御部33は、車載機30が領域Rを通過した後、第2通信部32を通じて送信機20から送信される信号(送信時点情報を含む)を繰り返し受信する。制御部33は、受信した信号からその信号の送信時点情報を取得し、取得した送信時点情報で特定された送信時点とその信号の受信時点との時間差(すなわち、その信号が送信機20から車載機30へ到達するまでの到達時間)に基づいて、送信機20までの距離を求めることにより自車位置を特定する。
【0056】
例えば、車載機30で受信した信号の送信時点がt2であるとすると、車載機30が領域Rを通過した時点で、車載機30と送信機20とは、すでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時点t2における車載機30の時点はt2そのものである。車載機30でその信号を受信した受信時点をt3とすると、送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。従って、車載機30は、領域Rを通過後に送信機20から送信される信号を繰り返し受信するだけで、受信の都度自車位置を特定し続けることが可能となる。
【0057】
図6は測位手順の一例を示す説明図である。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、送信機20での時刻t1に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t1が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t1’に信号を受信する。送信機20から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機30は、その信号の受信時刻をt1’からt1+Δt1に補正する。車載機30が信号を受信した時に送信機20の時刻はt1+Δt1であるから、車載機30が信号を受信した時刻をt1+Δt1に補正することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0058】
なお、信号の伝播時間Δt1は、送信機20及び第1地点の位置(絶対位置、又は所定の地点からの相対位置など)、送信機20と第1地点との距離などにより求めることができる。この情報は、光ビーコン10から受信してもよく、送信機20から受信してもよく、あるいは、予め車載機30で記憶しておくこともできる。
【0059】
送信機20は、その後、時刻t2に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t2が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t3に信号を受信する。車載機30は、第1地点を通過した際に車載機30と送信機20との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時刻t2における車載機30の時刻はt2そのものである。車載機30でその信号を受信した受信時刻をt3とすると、送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3−t2となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。これにより、車載機30は、車載機30自身の高さ情報、送信機20の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0060】
図7は測位手順の他の例を示す説明図である。この場合、送信機20及び車載機30それぞれは、所定の時間間隔(例えば、0.1ns)の都度「1」を加算するカウンタを備える。なお、各カウンタは、例えば、40ビットのデータで構成され、10秒経過の都度、0にリセットさせる。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、信号の送信時点でのカウンタ値(例えば、0)を送信時点情報(第1の送信時点情報)として信号とともに送信する。車載機30は、領域R内でその信号を受信し、車載機30のカウンタを第1の送信時点情報であるカウンタ値0にする。すなわち、送信機20が信号を送信した送信時点のカウンタ値(0)と、車載機30でその信号を受信した受信時点のカウンタ値(0)とを一致させる。なお、信号の送信時点のカウンタ値は一例であって、0に限定されるものではない。
【0061】
これにより、その後、車載機30の位置が領域R内にある限り、送信機20が送信する信号の送信時点のカウンタ値は、車載機30でその信号を受信する受信時点のカウンタ値に一致するはずである。送信機20は、その後、カウンタが「10000000」になった時点で信号を送信する。この信号には、送信時点情報としてカウンタ値「10000000」が含まれている。車載機30は、その信号を受信し、受信した時点の車載機30のカウンタが「9997000」とする。車載機30で信号を受信した場合の受信時点での車載機30のカウンタ値がその信号の送信時点のカウンタ値と異なる場合、カウンタ値の差分に相当する距離だけ車載機30が送信機20に近づいたことになる。例えば、カウンタ値の差分が「3000」であるから、3000×0.1ns、すなわち300nsの間に電波が伝播する距離(約90m)だけ車載機30は送信機20に近づいたことになる。従って、領域Rの位置が既知であれば自車位置を特定することができる。また、送信機20と領域Rの位置が既知であれば、送信機20からの距離として自車位置を特定することもできる。なお、領域R、送信機20、車載機30のアンテナが略一直線上にあれば、車載機30は、約90mだけ領域Rから離れ、約90mだけ送信機20に近づいたことになる。
【0062】
図8は測位手順の他の例を示す説明図である。送信機20は、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定し、送信機20での時刻t1に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t1が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t1’に信号を受信する。送信機20から第1地点までの信号の伝播時間をΔt1とすると、車載機30は、その信号の送信時刻をt1からt1’−Δt1に補正する。車載機30が信号を受信した時の送信機20の時点はt1’−Δt1であるから、送信機20が信号を送信した時点をt1’−Δt1に補正することにより、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させることができる。
【0063】
送信機20は、その後、時刻t2に信号を送信する。この信号には、送信時点情報として送信時刻t2が含まれている。車載機30は、車載機30での時刻t3’に信号を受信するとともに、送信時刻をt2からt2’に補正する。すなわち、送信時刻t2’は、t2’=t2+(t1’−Δt1)−t1で求めることができる。車載機30は、第1地点を通過した際に車載機30と送信機20との間ですでに時刻の同期が行われているので、送信機20が信号を送信した送信時刻t2’における車載機30の時刻はt2’そのものである。送信機20が送信した信号が車載機30で受信されるまでに要した到達時間ΔTは、ΔT=t3’−t2’となる。ΔTに電波の伝播速度αを乗算した値は、送信機20から車載機30までの距離になる。これにより、車載機30は、車載機30自身の高さ情報、送信機20の位置情報に基づいて自車位置を特定することができる。
【0064】
表示部35は、ヘッドアップディスプレイ、カーナビゲーションシステム又は監視モニタなどの液晶表示パネルであり、運転者に対して、各種交通情報を表示することができる。例えば、交差点又は停止線までの距離、交差点を安全に走行できない場合の警告等を表示する。
【0065】
操作部36は、各種操作パネルを備え、運転者と車載機30とのユーザインタフェースとして機能する。例えば、操作部36は、運転者の操作により車載機30の動作の開始又は停止の操作を受け付ける。
【0066】
次に自車の位置を特定する方法について説明する。図9は自車の位置を特定する例を示す説明図であり、図10は自車の位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。図9に示すように、車載機30を搭載した車両は、光ビーコン10が設置された領域Rを走行し、その後、地点Aで自車の位置を特定するものとする。また、図9の例は、送信機20、車載機30、地点Rが直線上にある場合を示す。以下、図9及び図10に従って説明する。
【0067】
車載機30は、光ビーコン10から信号の有無に基づいて、自車が所定の領域R内にあるか否か判定し(S11)、領域R内にない場合(S11でNO)、ステップS11の処理を繰り返し、領域R内に入るまで待機する。
【0068】
自車が領域R内にある場合(S11でYES)、車載機30は、送信機20から信号を受信する(S12)。なお、送信機20は、光ビーコン10が送信機20へ出力する通知信号に基づいて、信号を車載機30へ送信する。車載機30は、受信した信号からその信号の送信時点を取得する(S13)。なお、送信時点は、送信時刻、送信時点のカウンタ値などであるが、これに限定されるものではなく、信号の送信時点を特定することができる情報であれば、どのようなものであってもよい。また、車載機30は、受信した信号に有効フラグがオンになっていない場合、信号が有効なものではないとして信号を無効にする。
【0069】
車載機30は、領域Rの位置情報、送信機20の位置情報を取得する(S14)。なお、位置情報は、領域R、送信機20の位置を緯度及び経度で表す絶対位置でもよく、あるいは、所定の基準地点からの相対位置でもよい。また、領域Rと送信機20との距離でもよく、あるいは、領域Rと送信機20との間の電波の伝播時間であってもよい。
【0070】
車載機30は、自車の時刻を送信機20の時刻と一致するように補正する(S15)。すなわち、両者で時刻を同期させる。なお、時刻を同期させるとは、例えば、送信機20と車載機30との間の時刻を擬似的に一致させること、あるいは、送信機20と車載機30との間の相対的な時刻(例えば、カウンタの値)を擬似的一致させることを含む。また、両者の時刻を同期させるには、車載機30の時刻を送信機20の時刻に一致するように補正することもでき、あるいは、送信機20の時刻を車載機30の時刻に一致するように補正することもできる。
【0071】
その後、車載機30は、送信機20から信号を受信したか否かを判定し(S16)、信号を受信していない場合(S16でNO)、ステップS16の処理を続け、信号を受信するまで待機する。信号を受信した場合(S16でYES)、車載機30は、信号の送信時点とその信号の受信時点に基づいて、送信機20から送信された信号が車載機30に到達するまでの到達時間を算出し(S17)、算出した到達時間と送信機20の位置情報に基づいて、自車位置を特定する(S18)。なお、車載機30は、受信した信号に有効フラグがオンになっていない場合、信号が有効なものではないとして信号を無効にし、自車位置の特定を行わない。
【0072】
車載機30は、処理の終了指示の有無を判定し(S19)、終了指示がない場合(S19でNO)、ステップS16以降の処理を続け、自車位置の特定を続ける。終了指示がある場合(S19でYES)、車載機30は、処理を終了する。
【0073】
自車位置の特定は、送信機20により特定することができるが、地図データベースから道路情報を取得することにより、一層精度良く特定することができる。
【0074】
図11は道路情報を用いて自車位置を特定する例を示す説明図である。上述の実施の形態で説明したように、送信機20から送信された信号に基づいて、自車の位置を送信機20からの距離Lとして求めることができる。すなわち、自車の位置は、送信機20を中心として距離Lとなる球面上に存在する。道路上の自車の高さ、送信機20の高さなどに基づいて、自車の位置を球面上の一点として求めることが可能である。さらに、図11に示すように、いくつかの道路が交錯する場合、自車が走行していると考えられる道路のうち、送信機20からの距離がLとなる道路が、自車が走行している道路であると特定することができ、道路情報を併用することで一層精度良く自車位置を特定することができる。
【0075】
車載機30の時刻と送信機20との時刻を同期させる場合、車載機30の基準クロック信号を送信機20の基準クロック信号に同期させることにより実現することもできる。例えば、送信機20及び車載機30に、位相同期回路(PLL:Phase-locked loop)を設けておく。例えば、車載機30は、送信機20から送信された信号から基準クロック信号の周期(又は周波数)を抽出して、抽出した周期と同一の周期になるように基準クロック信号の周期(周波数)を調整する。これにより、送信機20で計時するタイマ又は時計と車載機30で計時するタイマ又は時計を同期させることができる。
【0076】
上述の実施の形態では、車載機30が領域R(第1地点)にあると判定した場合、送信機20が、送信時点情報として送信時刻t1を含む信号を車載機30へ送信し、車載機30は、信号の受信時点を補正すべく、車載機30におけるある時刻が送信機20におけるいずれの時刻であるかが判るように両者で時刻を擬似的に同期させる構成であったが、車載機30の時刻を補正するための送信時点情報を送信するのは、送信機20に限定されるものではない。例えば、光ビーコン10から受信する信号に基づいて、車載機30の時刻が送信機20の時刻と同期するようにすることもできる。
【0077】
この場合、光ビーコン10が送信する赤外線などの指向性が鋭い信号であれば、光ビーコン10から信号を受信する地点が限定されるため、光ビーコン10の設置位置、光ビーコン10から信号を受信する受信地点の位置に基づいて、光ビーコン10が送信する信号の伝播時間Δt1を求めることができる。なお、この場合、光ビーコン10の時刻と送信機20の時刻とは同期させておく。
【0078】
以上説明したように、本発明にあっては、車両の位置を精度良く特定することができ、特に、道路上を走行する車両の位置を逐一高精度に追跡することができる。特に、1つの送信機を設けるだけで自車の位置を特定することができ、2つ以上の送信機を用いる必要がなく安価な通信システムを実現することができる。また、本来の測位用の信号でない信号を受信して、自車位置を誤って特定することを防止することができるとともに、システム全体の信頼性を向上させることができる。
【0079】
上述の実施の形態では、送信機20が信号を変調して送信し、車載機30では復調して元の信号を抽出し、信号の受信時点を算出する構成であったが、これに限定されるものではなく、送信機20で、信号を直交周波数多重方式の周波数が異なる搬送波に割り当て、信号が割り当てられた搬送波を送信する。例えば、送信する信号に逆フーリエ変換して周波数の異なる少なくとも1つのサブキャリア(搬送波)に変換し、変換した信号をDA変換して送信機20から車載機30に対して送信する。車載機30は、送信された搬送波をAD変換し、変換後の信号同士をパターンマッチングすることで信号の受信時点を取得する。これにより、他の帯域における通信との干渉を少なくしつつ周波数帯の利用効率を向上させることができる。
【0080】
上述の実施の形態では、測位用として送信機を1台用いる構成であったが、送信機を2台以上用いる構成であってもよい。例えば、送信機3台を用いることにより、各送信機からの距離が等しい3つの球面の交点として自車位置を特定することもできる。
【0081】
上述の発明により、走行中の自車の位置を精度良く特定することができるため、本発明を用いることにより、例えば、車載機で前方の信号機の表示情報を受信し、受信した表示情報に基づいて交差点の手前で安全に停止することができるか否か、あるいは、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて運転者に音声で注意を促すことができる。また、車載機で受信した信号機の表示情報に基づいて、交差点を安全に通過することができるか否かを高精度に判定し、判定結果に応じて車両のブレーキ制御を行うこともでき、交通事故を未然に防止して交通の安全性を高めることができる。
【0082】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る通信システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明に係る通信システムの構成を示すブロック図である。
【図3】光ビーコンと車載機との間の双方向通信を説明する説明図である。
【図4】測位用の信号に含まれるデータ構造の例を示す説明図である。
【図5】信号の受信時点を求める例を示す説明図である。
【図6】測位手順の一例を示す説明図である。
【図7】測位手順の他の例を示す説明図である。
【図8】測位手順の他の例を示す説明図である。
【図9】自車の位置を特定する例を示す説明図である。
【図10】自車の位置を特定する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】道路情報を用いて自車位置を特定する例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0084】
10 光ビーコン
20 送信機
21 通信部
22 制御部
30 車載機
31 第1通信部
32 第2通信部
33 制御部
34 記憶部
35 表示部
36 操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムにおいて、
前記車載機は、
信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、
前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、
前記送信機が送信した信号を受信した場合、該送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記所定の位置情報は、
前記送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信機は、
前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、
該他の送信機は、
前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記車載機は、
第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記車載機は、
前記第1地点と前記第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する取得手段を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点に前記信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、
計時手段を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値を該第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項8】
前記車載機は、
所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、
該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて計時する計時手段と、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信する送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、前記基準周期信号の周期を補正する周期補正手段と
を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記周期補正手段で補正した基準周期信号により計時される計時値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記車載機は、
第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する送信時点補正手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記車載機は、
第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を前記第1地点と異なる第2地点で受信するようにしてあり、
前記特定手段は、
前記第2の送信時点情報で特定される送信時点及び該第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、
前記特定手段は、
各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の送信時点情報を送信する送信機は、
前記第1地点に車載機が存在するか否かを判定する判定手段を備え、
前記第1地点に車載機が存在する場合、前記第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を送信するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項13】
前記車載機は、
道路情報を取得する道路情報取得手段を備え、
前記特定手段は、
前記道路情報取得手段で取得した道路情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記送信機は、
送信する信号に該信号が有効であることを示す情報を含めて送信するように構成してあり、
前記特定手段は、
受信した信号に前記情報が含まれる場合、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項15】
所定の信号を受信する車載機において、
信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、
前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、
信号を受信した場合、該信号の送信地点の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする車載機。
【請求項1】
所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える通信システムにおいて、
前記車載機は、
信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、
前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、
前記送信機が送信した信号を受信した場合、該送信機の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記所定の位置情報は、
前記送信時点情報の送信地点と受信地点の間の距離を特定するための情報であることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信機は、
前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信機と時刻が同期した他の送信機を備え、
該他の送信機は、
前記送信時点情報を送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記車載機は、
第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記車載機は、
前記第1地点と前記第1の送信時点情報を送信する送信機との間の信号伝播時間を特定するための情報を取得する取得手段を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点に前記信号伝播時間を加算した値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1の送信時点情報を送信する送信機及び車載機それぞれは、
計時手段を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記第1の送信時点情報で特定された送信時点に対応する計時値を該第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に対応する計時値として、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項8】
前記車載機は、
所定の周期の基準周期信号を生成する生成手段と、
該生成手段で生成した基準周期信号に基づいて計時する計時手段と、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信する送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、前記基準周期信号の周期を補正する周期補正手段と
を備え、
前記受信時点補正手段は、
前記周期補正手段で補正した基準周期信号により計時される計時値に基づいて、信号の受信時点を補正するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記車載機は、
第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を所定の第1地点で受信するようにしてあり、
前記第1の送信時点情報で特定される送信時点並びに該第1の送信時点情報を送信した送信機及び第1地点の位置情報に基づいて、送信時点情報で特定される送信時点を補正する送信時点補正手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項10】
前記車載機は、
第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号を前記第1地点と異なる第2地点で受信するようにしてあり、
前記特定手段は、
前記第2の送信時点情報で特定される送信時点及び該第2の送信時点情報で送信時点が特定された信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2の送信時点情報を送信する送信機を複数備え、
前記特定手段は、
各送信機が送信した信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項10に記載の通信システム。
【請求項12】
前記第1の送信時点情報を送信する送信機は、
前記第1地点に車載機が存在するか否かを判定する判定手段を備え、
前記第1地点に車載機が存在する場合、前記第1の送信時点情報で送信時点が特定された信号を送信するように構成してあることを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項13】
前記車載機は、
道路情報を取得する道路情報取得手段を備え、
前記特定手段は、
前記道路情報取得手段で取得した道路情報に基づいて自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項14】
前記送信機は、
送信する信号に該信号が有効であることを示す情報を含めて送信するように構成してあり、
前記特定手段は、
受信した信号に前記情報が含まれる場合、自車位置を特定するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項15】
所定の信号を受信する車載機において、
信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、
前記送信時点情報が送信される送信地点の位置情報を含む所定の位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記受信手段で受信した送信時点情報及び前記所定の位置情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、
信号を受信した場合、該信号の送信地点の位置情報、該信号の送信時点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする車載機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−8432(P2009−8432A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−167707(P2007−167707)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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