説明

遠隔操作システム

【課題】 携帯端末を使って、車両の近くに人が存在する場合にのみ操作できる遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】ドア施錠要求信号またはドア開錠要求信号を受信する受信手段と、ドアのロック機構と、受信手段が受信した信号が、ドア施錠要求信号であるかドア開錠要求信号であるかを判断する信号判断手段と、ロック機構に施錠指示信号を送信する施錠指示手段と、ロック機構に開錠指示信号を送信する開錠指示手段と、車両の周辺に人の存在することを確認して、人確認信号を開錠指示手段へ送信する人確認手段とを備える。受信手段が受信した信号が、ドア施錠要求信号であると信号判断手段が判断した場合に、施錠指示手段はロック機構へ施錠指示信号を送信する。受信手段が受信した信号が、ドア開錠要求信号であると信号判断手段が判断した場合に、開錠指示手段は、一定の時間内に人確認信号を受信することを条件として、ロック機構に開錠指示信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等を用いて遠隔操作により自動車のドアやトランクのロック操作又はアンロック操作を行う技術がある。同様に、パワーウインドウやサンルーフを開閉したり、エンジンの始動/停止をしたりする技術もある。この技術によって、例えば自動車のキーを車内に閉じ込めてしまった場合でも、携帯電話を用いてアンロック操作ができるようになる。例えば下記特許文献1には、車両の所有者が、電話回線を通じて情報センターから車両のドアアンロック操作やエンジン始動操作等を行う遠隔操作システムが開示されている。この情報センターには電話機の発信者番号が予め登録されており、発信者番号を照会した上で遠隔操作を行う。このように、予め登録された電話機でしか遠隔操作できないようにすることで、車両の所有者以外の第三者が違法にアンロック操作を行うことを防止できる。
【特許文献1】特開2002−305599号公報
【0003】
しかしながら携帯電話などを用いて、遠隔操作でドアアンロック操作や、パワーウインドウ又はサンルーフ等の窓を開く操作や、エンジン始動操作ができるということは、その車両が全く見えない遠方からでも操作可能ということでもある。そのため、車両の正規の所有者が、遠方から誤操作でドアアンロック操作や、窓を開く操作や、エンジン始動操作をしてしまうことがあり、セキュリティの面で問題があった。そこで、遠隔操作が可能であっても、車両の近くにユーザーが存在する場合にのみドアアンロック操作や、窓を開く操作や、エンジン始動操作を可能にすることで、セキュリティを向上させる技術が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述のような事情を背景になされたものであって、特に、携帯端末を使って車両のドアロック、パワーウインドウ、サンルーフ、エンジンなどを遠隔操作でき、開錠したり、窓を開いたり、エンジンを始動したりする場合には、その車両の近くに人が存在する場合にのみ操作できる遠隔操作システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、携帯端末から無線送信されたドア施錠要求信号またはドア開錠要求信号を車両側で受信してドアを施錠又は開錠する遠隔操作システムであって、
前記ドア施錠要求信号または前記ドア開錠要求信号を受信する受信手段と、
前記ドアのロック機構と、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア施錠要求信号または前記ドア開錠要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記ロック機構に施錠指示信号を送信する施錠指示手段と、
前記ロック機構に開錠指示信号を送信する開錠指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記開錠指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア施錠要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記施錠指示手段は前記ロック機構へ前記施錠指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア開錠要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記開錠指示手段は、前記ドア開錠要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記ロック機構に前記開錠指示信号を送信することを主要な特徴とする。
【0006】
まず、ドアロック操作及びアンロック操作を例にとって、本発明について説明する。上記のように、本発明の遠隔操作システムは車両の周辺に人が存在することを確認する人確認手段を有する。この人確認手段が、車両の周辺に人が存在することを確認した場合にのみ、ドアが開錠される。人確認手段とは、例えば、人が触れることによって生じる静電容量の変化を感知する静電容量センサ(以下、人センサとも記す)を用いることができる。人センサはドアのノブに内蔵されており、人がノブを握った時に生じる静電容量の変化を感知する。携帯端末を使ってドアアンロック操作をした後、所定の時間内にノブを握ることにより、車両の周辺に人が存在することを人センサが確認できるので、その後に開錠すればセキュリティが向上する。
【0007】
一方、自動車にはドアやトランクを開けるためにノブにスイッチが配置されており(ノブスイッチ、トランクスイッチ)、これらのスイッチを人確認手段として利用することもできる。携帯端末を使ってドアアンロック操作をした後、所定の時間内にノブを引く(ノブスイッチ、トランクスイッチを操作する)ことにより、そのアンロック操作をした人が車両の周辺に存在することが確認できるので、その後に開錠すればセキュリティが向上する。本明細書では、ドアのノブに配置されたスイッチをノブスイッチと呼び、トランクに配置されたスイッチをトランクスイッチと呼ぶ。また、所謂スマートキーを使用できる車種には、ドアを外部からロックするためのロックスイッチが配置されており、このロックスイッチを人確認手段として利用することも可能である。
【0008】
さらに、GPSを利用することで、携帯端末の所有者が車両の周辺に存在することを確認できる。具体的には、携帯端末と車両にそれぞれGPSを配置しておくのである。そして、携帯端末を用いてドアアンロック操作をする際に、その携帯端末の地理的な位置情報を車両へ送信する。車両側では、車載GPSによって車両の位置情報が取得できる。車両で、これら携帯位置情報と車両位置情報とを比較して、所定の範囲内で一致すれば、所有者が車両の周辺に存在することが確認できるので、その後にドアを開錠する。ここで所定の範囲とは、GPSの誤差も含めて、例えば数十m以内とすることができる。
【0009】
また、車載ナビなどの表示装置を利用することで、携帯端末の所有者が車両の周辺に存在することを確認する方法もある。例えば乱数などの確認情報を発生させる手段を用意しておき、ドアアンロック操作があった後に、表示装置にその乱数(確認情報)を表示するのである。車両の周辺に携帯端末の所有者(車両の所有者)が存在する場合は、ドア越しに乱数を確認することができる。その所持者が乱数を携帯端末に入力し、返信する。表示画面に表示された乱数と、返信された乱数が一致すれば、車両の周辺に存在することが明らかであるので、その後に開錠すればセキュリティが向上する。
【0010】
なお、上述の確認情報は、乱数の他には、アルファベットの無作為な組み合わせや、数字とアルファベットの無作為な組み合わせを用いることができる。さらに、車載ナビの表示装置の代わりに、ハザードランプを利用することも可能である。ドアアンロック操作があった後に、ハザードランプをランダムに点滅させて、その点滅回数を確認させる。車両の所有者がその点滅回数を見て、携帯端末に入力して返信する。返信された点滅回数が正しければ、所有者が車両の周辺に存在することを確認できるので、その後にドアを開錠する。さらには、携帯端末に附属するカメラを使ってユーザー及び車両の画像を撮り、その画像情報を確認情報としてもよい。また、携帯端末に転送されたQCコードでユーザーを特定するようにしてもよい。
【0011】
以上、ドアロック操作およびドアアンロック操作を例にして、本発明に係る遠隔操作システムを説明したが、同様の技術を使ってパワーウインドウやサンルーフの開閉を遠隔操作することができる。すなわち、携帯端末から開窓要求信号または閉窓要求信号(パワーウインドウやサンルーフの開閉要求をする電波信号)を発信して、車両側で開窓要求信号を受信した場合には、車両の周辺に人が存在することを確認した後にパワーウインドウまたはサンルーフを開くようにする。この遠隔操作システムのより詳細な構成は、
携帯端末から無線送信された開窓要求信号または閉窓要求信号を車両側で受信してパワーウインドウやサンルーフの開閉を行う遠隔操作システムであって、
前記開窓要求信号または閉窓要求信号を受信する受信手段と、
前記パワーウインドウまたは前記サンルーフの開閉機構と、
前記受信手段が受信した信号が、前記開窓要求信号または閉窓要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記開閉機構に開窓指示信号を送信する開窓指示手段と、
前記開閉機構に閉窓指示信号を送信する閉窓指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記開窓指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記閉窓要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記閉窓指示手段は前記開閉機構へ前記閉窓指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記開窓要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記開窓指示手段は、その開窓要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記開閉機構に前記開窓指示信号を送信することを主要な特徴とする。なお、上記開閉機構とは、例えばパワーウインドウモーターやサンルーフモーターを指す。
【0012】
さらには、同様にして、エンジンの始動/停止を行うことが可能である。携帯端末を使ってエンジンを始動させても、ユーザーが近くにいる場合にのみエンジンが始動できればセキュリティが向上する。このような遠隔操作システムは、具体的には、
携帯端末から無線送信されたエンジン始動要求信号またはエンジン停止要求信号を車両側で受信してエンジンの始動または停止をする遠隔操作システムであって、
前記エンジン始動要求信号または前記エンジン停止要求信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン始動要求信号または前記エンジン停止要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記エンジンに始動指示信号を送信する始動指示手段と、
前記エンジンに停止指示信号を送信する停止指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記始動指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン停止要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記停止指示手段は前記エンジンへ前記停止指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン始動要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記始動指示手段は、そのエンジン始動要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記エンジンに前記始動指示信号を送信することを主要な特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態であり、車両1の周辺に、所有者Hが存在する状態を示している。その所有者Hの持つ携帯端末2からドア施錠要求信号CS、ドア開錠要求信号OSが、基地局3を介して送信され、車両1のドアロックが施錠、開錠される。自動車1はこれらドア施錠要求信号CSまたはドア開錠要求信号OSを受信する受信手段9と、ドアのロック機構5と、電子制御装置ECUを備える。また、車両の周辺に人が存在することを確認するための人確認手段を備える。これら受信手段9、電子制御装置ECU、ロック機構5、人確認手段4は電気信号の送信または受信ができるように接続されている。さらに、受信した信号がドア施錠要求信号CSまたはドア開錠要求信号OSのどちらであるかを判断する信号判断手段62と、ロック機構に施錠指示信号を出す施錠指示手段63と、ロック機構に開錠指示信号を出す開錠指示手段64と、計時手段65と、これらを制御するための制御手段61とが、電子制御装置ECUの機能として形成されている。人確認手段は例えば人センサ、ノブスイッチ、トランクスイッチ、ロックスイッチとすることができる。
【0014】
車両1の所有者Hが携帯端末2を用いて信号(ドア施錠要求信号CSまたはドア開錠要求信号OS)を発信した場合、その信号は受信手段9にて受信される。そして、受信した信号がドア施錠要求信号CSであると信号判断手段が判断した場合は、周辺に所有者が存在することを確認することなく、施錠指示手段63からロック機構5へ施錠指示信号が出される。所有者の確認をしないのは、たとえ誤操作でドア施錠要求信号CSが発信されたとしても、施錠に関してはセキュリティの問題があまり無いからである。また、ドア施錠要求信号を発信する場合は、図1のように所有者Hが車両1の周辺に存在していなくてもよく、遠方から発信することができる。これにより所有者Hが外出先で、ドアを施錠し忘れたことに気づいたとしても、その場所から施錠することができる。
【0015】
一方、携帯端末2からドア開錠要求信号OSが発信された場合は、車両1の周辺に人が存在することを確認した後に、開錠する。具体的には、車両1の受信手段9がドア開錠要求信号OSを受信した後、車両周辺の人によってノブが握られると、そのノブに内蔵された人センサが静電容量の変化を感知して、人確認信号を電子制御装置ECU内の開錠指示手段64へ送信する。開錠指示手段64は、ドア開錠要求信号OSを受信してから所定の時間内に人確認信号が送信されたことを条件に、ドアの開錠を指示する(ロック機構5へ開錠指示信号を発信する)。人確認手段4は、人センサの代わりにノブスイッチ、トランクスイッチ、ロックスイッチを用いてもよい。これらのスイッチが車両周辺の人によって操作されると、人確認信号が開錠指示手段64へ送信される。このようにすると、車両1の周辺に所有者Hが存在することを確認してから開錠するので安全である。たとえ所有者Hが誤操作によりドア開錠要求信号OSを発信した場合でも、一定の時間内にノブを握ったり(人センサが静電容量の変化を感知する)、ノブスイッチ、トランクスイッチ、ロックスイッチを操作したりしない限り、ドアが開錠することはない。
【0016】
なお、上記所定の時間とは、例えば数十秒〜数分以内とすることができる。通常、アンロック操作をしてから数秒以内でドアを開けるからである。これ以上、時間を長くすると、第三者が悪意でドアを開ける可能性が高くなり、望ましくない。
【0017】
ノブに触れて人センサを感知させたり、ノブスイッチ、トランクスイッチ、ロックスイッチを操作したりする人は、車両1の所有者H以外の人であってもよい。例えば車両1内に正規のキーを閉じ込めてしまったのを家族が発見することがある。その家族が車両1を利用したい場合、所有者Hは外出先から家族と連絡をとりつつ、車両1にドア開錠要求信号を発信する。そしてタイミングを見計らって、家族がドアまたはトランクのノブに触れたり、上述の各種スイッチを操作したりすると、ドアを開錠できる。
【0018】
なお、以上の説明では携帯端末2は基地局3を経由してドア施錠要求信号CS及びドア開錠要求信号OSを発信した。すなわち、携帯端末2は携帯電話を想定していた。しかし本発明は基地局3を介さず、携帯端末2から車両1へ直接、ドア施錠要求信号CS及びドア開錠要求信号OSを発信する実施形態とすることも可能である。
【0019】
次に、図2のフローチャートを用いて、電子制御装置ECUの動作を説明する。まず、ステップ処理S1およびステップ処理S3において、受信した信号がドア施錠要求信号CSとドア開錠要求信号OSのいずれであるかを、信号判断手段62が判断する。すなわち、ステップ処理S1にて、ドア施錠要求信号CSを受信したと判断された場合、ステップ処理S2に移り、施錠指示手段63がロック機構5に対して施錠指示信号を発する(ドアをロックする)。ドア施錠要求信号CSを受信しない場合、ステップ処理S3に移り、ドア開錠要求信号OSを受信したかを判断する。Noの場合、リターンへ進む。Yesの場合、ステップ処理S4へ移り、計時手段65からの時間情報を用いて、ドア開錠要求信号を受信してから所定時間内であるかを判断する。ドア開錠要求信号を受信してから所定時間内であればステップ処理S5に移り、アンロック許可状態となる。このアンロック許可状態とは実際に開錠するのではなく、車両の周辺に人が存在することが確認された場合に、開錠が許可される状態を意味する。アンロック許可状態となった後に、ステップ処理S6において、人確認手段4(人センサ、ノブスイッチ、トランクスイッチ、ノックスイッチ)が車両1の周辺に存在する人を確認すると、その人確認手段4は開錠指示手段64へ人確認信号を送信し、開錠指示手段64はロック機構5へ開錠指示信号を発信して、開錠を指示する。ロック機構5は、開錠指示信号を受けて開錠する。
【0020】
次に、本発明に係る別の実施形態について、図3を参照して説明する。図3の実施形態では、ドア施錠要求信号CSおよびドア開錠要求信号OSは電話回線および情報センタ7を介して車両1へ送信される。また、図1の実施形態で車両1内部に設置されていた人確認手段4、信号判断手段62、施錠指示手段63、開錠指示手段64は情報センタ7内に設置される。さらに、情報センタ7には確認情報発生手段71、確認情報送信手段72、返信情報受信手段73、情報一致判断手段74が設置される。そして車両1には、例えば車載ナビなどの表示装置(図示しない)が設置されている。
【0021】
図3における情報センタ7の処理について、図4のフローチャートを参照して以下に説明する。まず、車両の所有者Hが携帯端末2を使って信号(ドア開錠要求信号OSまたはドア施錠要求信号CS)を発信した場合、その信号は情報センタ7で受信され、信号判断手段62によって、ドア開錠要求信号OSまたはドア施錠要求信号CSのどちらであるか判断される。ステップ処理S8において、信号がドア施錠要求信号CSであると判断された場合は、ステップ処理S9に移動し、施錠指示手段63が車両1に対して施錠指示信号を送信する。一方、信号がドア開錠要求信号OSであると判断された場合(ステップ処理S10)は、ステップ処理S11へ移り、確認情報発生手段71が数字やアルファベットを無作為に組み合わせた確認情報Iを発生する。その後、ステップ処理S12へ移り、確認情報送信手段72が、確認情報Iを車両1へ送信する。車両1は確認情報Iを受信した後、その確認情報Iを表示装置に所定の時間、表示する。所有者Hが車両1の周辺に存在すれば、表示装置の確認情報Iをドア越しに見ることが可能である。この所有者Hは確認情報Iを見た後、その確認情報Iを携帯端末に入力して、情報センタ7へ返信情報Rとして返信する。この返信情報Rは情報センタ7の返信情報受信手段73によって受信される(ステップ処理S13)。その後、情報一致判断手段74が、送信した確認情報Iと返信情報Rとが一致するかどうかを判断する(ステップ処理S14)。確認情報Iと返信情報Rとが一致した場合、ステップ処理S15へ移り、人確認手段4が開錠指示手段64へ人確認信号を送信する。その後、ステップ処理S16へ移動し、開錠指示手段64が車両1に対して開錠指示信号を発する。車両1ではこの開錠指示信号がロック機構5へ送られ、開錠が指示される。
【0022】
別の実施形態を図5に示す。図5では、ハザードランプLを無作為に点滅させて、その点滅回数を見た所有者Hが点滅回数Nを返信することで、所有者Hが車両1の周辺に存在することを確認している。情報センタ7には人確認手段4、信号判断手段62、施錠指示手段63、開錠指示手段64、点滅回数決定手段75、点滅回数送信手段76、返信情報受信手段77、回数一致判断手段78が備えられている。また、車両1はハザードランプを所定の回数、点滅させるハザードランプ点滅表示手段(図示しない)を備えている。所有者Hがドア開錠要求信号を送信した場合、情報センタ7の点滅回数決定手段75が、ハザードランプの点滅回数Nを無作為に決定する。そして、点滅回数送信手段76がその点滅回数Nを車両1へ送信する。車両1では、ハザードランプ点滅表示手段が、受信した点滅回数Nに基づいてハザードランプを点滅させる。所有者Hがその点滅回数を確認した後、携帯端末2に点滅回数を入力し、情報センタ7へ返信すると、その点滅回数が返信情報受信手段77によって受信される。その後、回数一致判断手段78によって、情報センタ7側から送信した点滅回数Nと、返信された点滅回数とが一致するかどうか判断される。そして、人確認手段4は、これらの回数が一致することを条件として、人確認信号を送信する。この人確認信号を受けて、開錠指示手段64が車両1へ開錠指示信号を送信する。
【0023】
なお、情報センタ7に備えられた、人確認手段4、信号判断手段62、施錠指示手段63、開錠指示手段64、点滅回数決定手段75、点滅回数送信手段76、返信情報受信手段77、回数一致判断手段78は、車両1内に備えるようにしてもよい。これらの手段が行う処理は、車両1内の装置、例えば電子制御装置ECUで行ってもよい。さらには、これらの手段は携帯端末に備えるようにしてもよい。
【0024】
本発明の遠隔操作システムは、図6に示すように、GPSを利用することもできる。図6では携帯端末2に、その携帯端末の地理的な位置情報を取得する携帯GPSが備えられている。また、車両1は、制御手段61、信号判断手段62、施錠指示手段63、開錠指示手段64、計時手段65を含む電子制御装置ECUと、受信手段9、ロック機構5、人確認手段4、車載GPS、位置情報判断手段8、を備える。
【0025】
車両1の所有者Hは携帯端末2を使って、信号(ドア施錠要求信号CSまたはドア開錠要求信号OS)を発信する。携帯端末2は、ドア開錠要求信号OSを発信する際には、携帯GPSを用いて位置情報を取得し、その携帯端末の位置情報を併せて送信する。その信号を受信する車両1の処理を、図7のフローチャートに示す。まず、ステップ処理S17とステップ処理19において、受信した信号がドア施錠要求信号CSかドア開錠要求信号OSかを、信号判断手段62が判断する。すなわち、ステップ処理S17においてドア施錠要求信号を受信したと判断された場合、ステップ処理S18へ移り、施錠指示手段63からロック機構5へ施錠指示信号が出され、ドアがロックされる。ドア施錠要求信号CSを受信しない場合、ステップ処理S19へ移り、ドア開錠要求信号OS及び携帯位置情報を受信したかを判断する。Yesの場合、ステップ処理S20へ移り、車載GPSが車両1の位置情報を取得する。その後、ステップ処理S21へ移り、車両1の位置情報と、携帯位置情報が所定の範囲内で一致するかを、位置情報判断手段8が判断する。一致する場合は、人確認手段4が人確認信号を発信し、それを受けて開錠指示手段64が開錠指示信号を発信する。このようにすると、所有者Hが車両1の周辺に存在することを確認した後に開錠が許可されるので、セキュリティが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】人確認手段4として人センサ、ノブスイッチ、トランクスイッチ、ロックスイッチを用いた実施形態
【図2】図1のフローチャート
【図3】確認情報Iを表示装置に表示する実施形態
【図4】図3のフローチャート
【図5】ハザードランプLを点滅させる実施形態
【図6】車載GPS及び携帯GPSを用いる実施形態
【図7】図6のフローチャート
【符号の説明】
【0027】
1 車両
2 携帯端末
3 基地局
4 人確認手段
5 ロック機構
6 ECU
7 情報センタ
8 位置情報判断手段
9 受信手段
H 車両1の所有者
CS ドア施錠要求信号
OS ドア開錠要求信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から無線送信されたドア施錠要求信号またはドア開錠要求信号を車両側で受信してドアを施錠又は開錠する遠隔操作システムであって、
前記ドア施錠要求信号または前記ドア開錠要求信号を受信する受信手段と、
前記ドアのロック機構と、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア施錠要求信号または前記ドア開錠要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記ロック機構に施錠指示信号を送信する施錠指示手段と、
前記ロック機構に開錠指示信号を送信する開錠指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記開錠指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア施錠要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記施錠指示手段は前記ロック機構へ前記施錠指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記ドア開錠要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記開錠指示手段は、そのドア開錠要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記ロック機構に前記開錠指示信号を送信することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項2】
携帯端末から無線送信された開窓要求信号または閉窓要求信号を車両側で受信してパワーウインドウやサンルーフの開閉を行う遠隔操作システムであって、
前記開窓要求信号または閉窓要求信号を受信する受信手段と、
前記パワーウインドウまたは前記サンルーフの開閉機構と、
前記受信手段が受信した信号が、前記開窓要求信号または閉窓要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記開閉機構に開窓指示信号を送信する開窓指示手段と、
前記開閉機構に閉窓指示信号を送信する閉窓指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記開窓指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記閉窓要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記閉窓指示手段は前記開閉機構へ前記閉窓指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記開窓要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記開窓指示手段は、その開窓要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記開閉機構に前記開窓指示信号を送信することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項3】
携帯端末から無線送信されたエンジン始動要求信号またはエンジン停止要求信号を車両側で受信してエンジンの始動または停止をする遠隔操作システムであって、
前記エンジン始動要求信号または前記エンジン停止要求信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン始動要求信号または前記エンジン停止要求信号のどちらであるかを判断する信号判断手段と、
前記エンジンに始動指示信号を送信する始動指示手段と、
前記エンジンに停止指示信号を送信する停止指示手段と、
前記車両の周辺に人が存在することを確認して、人確認信号を前記始動指示手段へ送信する人確認手段とを備え、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン停止要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記停止指示手段は前記エンジンへ前記停止指示信号を送信し、
前記受信手段が受信した信号が、前記エンジン始動要求信号であると前記信号判断手段が判断した場合に、前記始動指示手段は、そのエンジン始動要求信号を受信してから一定の時間内に前記人確認信号を受信することを条件として、前記エンジンに前記始動指示信号を送信することを特徴とする遠隔操作システム。
【請求項4】
前記人確認手段は前記ドアのノブに内蔵された、静電容量の変化を感知する人センサであり、
前記車両の周辺に存在する人によって前記ノブが触れられると、前記人センサが静電容量の変化を感知し、前記人確認信号を送信する請求項1乃至請求3記載の遠隔操作システム。
【請求項5】
前記人確認手段は前記ドアのノブに設置されたノブスイッチ、又はトランクに設置されたトランクスイッチ、又は前記ドアに設置されたロックスイッチのいずれかであり、
そのノブスイッチまたはトランクスイッチまたはロックスイッチが前記車両の周辺に存在する人によって操作されると、これらのスイッチは前記人確認信号を送信する請求項1乃至請求項3記載の遠隔操作システム。
【請求項6】
前記ドア施錠要求信号および前記ドア開錠要求信号は、前記携帯端末から基地局を介して送信される請求項1乃至請求項3記載の遠隔操作システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、その携帯端末の地理的な位置情報を取得する携帯GPSを備え、
前記車両は、その車両の地理的な位置情報を取得する車載GPSを備えるとともに、
前記携帯端末は前記ドア開錠要求信号または前記開窓要求信号または前記エンジン始動要求信号を発信する際に、その携帯端末の位置情報を併せて送信し、
前記人確認手段は、前記携帯端末の位置情報と、前記車両の位置情報とが所定の範囲内で一致することを条件として前記人確認信号を送信する請求項1乃至請求項3記載の遠隔操作システム。
【請求項8】
前記車両の周辺に人が存在することを確認するための確認情報を無作為に発生する手段と、その確認情報を送信する手段と、前記車両側で前記確認情報を表示させる表示装置と、前記確認情報を前記表示装置で確認した人からの返信情報を受信する手段と、前記確認情報と前記返信情報が一致するかどうかを判断する手段と、を備え、
前記人確認手段は、前記確認情報と前記返信情報が一致することを条件に前記人確認信号を送信する請求項1乃至請求項3に記載の遠隔操作システム。
【請求項9】
前記車両のハザードランプの点滅回数を無作為に決める手段と、その点滅回数を送信する手段と、前記車両側で前記ハザードランプが点滅する回数を確認した人からの返信情報を受信する手段と、前記点滅回数決定手段によって決められた点滅回数と前記人から返信された点滅回数とが一致するかどうかを判断する手段と、を備え、
前記人確認手段は、前記点滅回数決定手段によって決定された点滅回数と前記人から返信された点滅回数とが一致することを条件に前記人確認信号を送信する請求項1乃至請求項3に記載の遠隔操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−37410(P2006−37410A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216290(P2004−216290)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】