説明

配線回路基板

【課題】 静電気の帯電を効率的に除去して、実装される電子部品の静電破壊を有効に防止しつつ、製造コストを低減することができる、配線回路基板を提供すること。
【解決手段】 金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成されたベース層3と、ベース層3の上に形成された導体パターン4と、導体パターン4を被覆するように、ベース層3の上に形成されたカバー層5とを備え、カバー層5の開口部9から露出する導体パターン4が端子部6とされている回路付サスペンション基板1において、ベース層3および/またはカバー層5を、導電性粒子を含む半導電性層から形成する。この回路付サスペンション基板1では、半導電性層によって、静電気の帯電を除去して、実装される電子部品の静電破壊を防止することができる。しかも、ベース層3および/またはカバー層5の上に、さらに半導電性層を形成する必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板、詳しくは、電気機器や電子機器に装備される配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル配線回路基板や回路付サスペンション基板などの配線回路基板は、通常、ポリイミドからなるベース層と、そのベース層の上に形成された銅箔からなる導体回路と、ベース層の上および導体回路の上に形成されたポリイミドからなるカバー層とを備えており、電子部品を実装して、各種の電気機器や電子機器に搭載されている。
このような配線回路基板において、実装された電子部品の静電破壊を防止するために、カバー層の上に、導電ポリマー層を形成して、その導電ポリマー層によって静電気の帯電を除去することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−158480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の配線回路基板では、導体回路の上にカバー層および導電ポリマー層の2層を形成するので、導体回路の上に層を形成する工程が2回必要となり、製造コストがかかるという不具合がある。
また、上記の配線回路基板では、端子部における電荷を完全に除去できないという不具合もある。
【0004】
本発明の目的は、静電気の帯電を効率的に除去して、実装される電子部品の静電破壊を有効に防止しつつ、製造コストを低減することができる、配線回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の配線回路基板は、導体層と、前記導体層に隣接する樹脂層と、前記樹脂層が開口されることにより露出される導体層からなる端子部とを備える配線回路基板において、前記樹脂層が、導電性粒子を含む半導電性層からなることを特徴としている。
また、本発明の配線回路基板は、具体的には、金属支持層と、前記金属支持層の上に形成されるベース層と、前記ベース層の上に形成される導体層と、前記導体層の上に形成されるカバー層と、前記カバー層が開口されることにより露出される導体層からなる端子部とを備える配線回路基板において、前記ベース層および/または前記カバー層が、導電性粒子を含む半導電性層からなることを特徴としている。
【0006】
また、本発明の配線回路基板では、前記半導電性層は、導電性粒子が樹脂中に分散されてなり、前記導電性粒子が、前記導電性粒子および前記樹脂の総量100重量部に対して10〜50重量部の割合で含まれていることが好適である。
また、本発明の配線回路基板では、前記導電性粒子が、カーボンブラックであることが好適である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の配線回路基板では、樹脂層、具体的には、ベース層および/またはカバー層が、導電性粒子を含む半導電性層からなるので、その半導電性層によって、静電気の帯電を除去して、実装される電子部品の静電破壊を防止することができる。しかも、この配線回路基板では、樹脂層が半導電性層であるため、樹脂層の上に、さらに半導電性層を形成する必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す概略平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板の長手方向に沿う部分断面図である。
図1において、この回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブに搭載され、磁気ヘッド(図示せず)を実装して、その磁気ヘッドを、磁気ディスクとの間で相対的に走行させるときの空気流に抗して、磁気ディスクとの間に微小間隔を保持しながら支持する金属支持基板2に、磁気ヘッドとリード・ライト基板とを接続するための導体層としての導体パターン4が一体的に形成されている。
【0009】
なお、図1では、金属支持基板2に対する導体パターン4の相対配置を明確に示すために、後述するベース層3およびカバー層5を省略して示している。
導体パターン4は、磁気ヘッド側接続端子部6Aと、外部側接続端子部6Bと、これら磁気ヘッド側接続端子部6Aおよび外部側接続端子部6Bを接続するための配線7とを、一体的に連続して備えている。
【0010】
配線7は、金属支持基板2の長手方向に沿って複数設けられ、幅方向(長手方向に直交する方向)において互いに間隔を隔てて並列配置されている。
磁気ヘッド側接続端子部6Aは、金属支持基板2の先端部に配置され、各配線7の先端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられている。この磁気ヘッド側接続端子部6Aには、磁気ヘッドの端子部が接続される。
【0011】
外部側接続端子部6Bは、金属支持基板2の後端部に配置され、各配線7の後端部がそれぞれ接続されるように、複数設けられている。この外部側接続端子部6Bには、リード・ライト基板の端子部(図示せず)が接続される。
また、金属支持基板2の先端部には、磁気ヘッドを実装するためのジンバル8が設けられている。ジンバル8は、磁気ヘッド側接続端子部6Aを長手方向において挟むように、金属支持基板2を切り抜くことによって形成されている。
【0012】
この回路付サスペンション基板1は、図2に示すように、金属支持基板2と、金属支持基板2の上に形成されたベース層3と、ベース層3の上に形成された導体パターン4と、導体パターン4を被覆するように、ベース層3の上に形成されたカバー層5とを備えている。また、カバー層5には、磁気ヘッド側接続端子部6Aまたは外部側接続端子部6Bが配置される部分に対応して、厚さ方向を貫通する開口部9が形成されており、この開口部9から露出する導体パターン4が、磁気ヘッド側接続端子部6Aまたは外部側接続端子部6B(以下、総称して端子部6とする。)として設けられている。なお、図2では、磁気ヘッド側接続端子部6Aおよび外部側接続端子部6Bのいずれか一方のみが示されている。
【0013】
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図3を参照して説明する。
この方法では、図3(a)に示すように、まず、金属支持基板2を用意する。金属支持基板2としては、例えば、ステンレス箔、42アロイ箔、アルミニウム箔、銅−ベリリウム箔、りん青銅箔などが用いられる。好ましくは、ステンレス箔が用いられる。また、その厚みは、例えば、15〜30μm、好ましくは、20〜25μmである。
【0014】
次に、この方法では、図3(b)に示すように、金属支持基板2の上に、ベース層3を、導体パターン4を積層可能な所望のパターンとして、形成する。
ベース層3は、半導電性層または樹脂層から形成する。すなわち、カバー層5を半導電性層から形成しない場合には、必ず半導電性層から形成し、カバー層5を半導電性層から形成する場合には、その目的および用途により、半導電性層または樹脂層から適宜選択して形成する。
【0015】
ベース層3を半導電性層から形成する場合には、例えば、まず、図4(a)に示すように、半導電性層形成用樹脂組成物を、金属支持基板2の表面に均一に塗布し、乾燥後、必要により加熱硬化させて、半導電性層からなるベース層3を形成する。
半導電性層形成用樹脂組成物は、樹脂として、イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体と、導電性粒子と、溶媒とを含有している。
【0016】
イミド樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどが挙げられる。これらは、市販品として入手でき、そのような市販品として、ポリイミドとして、例えば、PI−113、PI−117、PI−213B(以上、丸善石油化学社製)、リカコート−20(新日本理化社製)が挙げられる。また、ポリエーテルイミドとして、ウルテム1000、ウルテムXH6050(以上、日本イージープラスチック社製)が挙げられる。また、ポリアミドイミドとして、例えば、HR16NN、HR11NN(東洋紡績社製)が挙げられる。
【0017】
また、イミド樹脂前駆体としては、例えば、ポリアミック酸が挙げられる。ポリアミック酸は、通常、有機テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることによって得ることができる。
有機テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物などが挙げられる。また、これら有機テトラカルボン酸二無水物は、単独使用または2種以上併用することができる。
【0018】
また、ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−2,2−ジメチルビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニルなどが挙げられる。また、これらジアミンは、単独使用または2種以上併用することができる。
【0019】
そして、ポリアミック酸は、これら有機テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを、実質的に等モル比となるような割合で、適宜の有機溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒中で、通常、0〜90℃で1〜24時間反応させることよって、ポリアミック酸の溶液として得ることができる。なお、ポリアミック酸の重量平均分子量は、例えば、5000〜200000程度、好ましくは、10000〜100000程度である。
【0020】
導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック粒子、例えば、カーボンナノファイバー、例えば、酸化インジウムと酸化スズとの複合酸化物の粒子(ITO粒子)、酸化スズと酸化リンとの複合酸化物の粒子(PTO粒子)などの金属酸化物粒子が挙げられる。また、これら導電性粒子は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、カーボンブラックが挙げられる。
【0021】
また、導電性粒子は、その平均粒子径が、例えば、10nm〜1μm、好ましくは、10nm〜400nm、さらに好ましくは、10nm〜100nmである。なお、導電性粒子がカーボンナノファイバーである場合には、例えば、その直径が100〜200nmであり、その長さが、5〜20μmである。
平均粒子径(直径)がこれより小さいと、平均粒子径(直径)の調整が困難となる場合があり、また、これより大きいと、塗布に不向きとなる場合がある。
【0022】
溶媒は、樹脂(イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体)を溶解でき、導電性粒子を分散できれば、特に制限されないが、例えば、N−メチル−2ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられる。また、これら溶媒は、単独使用または2種以上併用することができる。なお、樹脂として、ポリアミック酸が用いられる場合には、ポリアミック酸を溶解する反応溶媒を、そのまま溶媒として用いることができる。
【0023】
そして、半導電性層形成用樹脂組成物は、樹脂(イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体)、導電性粒子および溶媒を配合することによって、調製することができる。
導電性粒子の配合割合は、例えば、導電性粒子および樹脂(イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体)の総量100重量部に対して、導電性粒子が、例えば、10〜50重量部、好ましくは、20〜40重量部である。導電性粒子の配合割合が、これより少ないと、表面抵抗値が1011Ω/□より大きくなる場合がある。また、これより多いと、表面抵抗値が105Ω/□より小さくなる場合がある。また、溶媒は、樹脂および導電性粒子が、半導電性層形成用樹脂組成物に対して、5〜40重量%(固形分濃度)、好ましくは、10〜30重量%(固形分濃度)となるように、配合する。固形分濃度がこれより小さいと、半導電性層形成用樹脂組成物の均一な塗布が困難となる場合がある。また、固形分濃度がこれより大きいと、溶媒に対する導電性粒子の分散性が不良となる場合がある。
【0024】
また、半導電性層形成用樹脂組成物の調製は、特に制限されず、例えば、樹脂(イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体)および導電性粒子を、溶媒に配合して、樹脂が溶媒に対して均一に溶解し、導電性粒子が溶媒に対して均一に分散するまで、攪拌混合する。また、予め樹脂を溶媒に溶解した樹脂溶液と、予め導電性粒子を溶媒に分散させた粒子分散液とを、混合することもできる。これによって、溶媒中において、樹脂が溶解され、導電性粒子が分散する半導電性層形成用樹脂組成物が調製される。
【0025】
そして、このようにして得られた半導電性層形成用樹脂組成物を、金属支持基板2の表面に均一に塗布するには、特に制限されず、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法など公知の塗布方法が用いられる。
次いで、塗布された半導電性層形成用樹脂組成物の乾燥は、溶媒の種類によって適宜決定されるが、例えば、60〜250℃、好ましくは、80〜200℃で、例えば、1〜30分間、好ましくは、3〜15分間加熱する。乾燥時間が、これより短いと、溶媒の除去が不十分となり、半導電性層の表面抵抗値が大きく変化する場合がある。また、これより長いと、生産効率が低下する場合がある。
【0026】
なお、半導電性層形成用樹脂組成物が、イミド樹脂前駆体を含有する場合には、乾燥後、そのイミド樹脂前駆体を、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させる。
これによって、半導電性層からなるベース層3が形成される。また、この半導電性層の表面抵抗値は、例えば、105〜1011Ω/□、好ましくは、106〜1010Ω/□である。半導電性層の表面抵抗値が、これより小さいと、実装された電子部品(磁気ヘッドやリード・ライト基板の端子部、以下同様。)の誤動作を生じる場合があり、また、これより大きいと、静電気の帯電を有効に除去できない場合がある。
【0027】
なお、表面抵抗値は、例えば、MITSUBISHI PETROCHEMICAL社製のHiresta IP MCP−HT260(プローブ:HRS)を用いて測定することができる。
次いで、上記のようにして形成されたベース層3を、所望のパターンに形成するには、図4(b)に示すように、ベース層3の表面を、所望のパターンに対応してエッチングレジスト10で被覆し、図4(c)に示すように、エッチングレジスト10から露出するベース層3をエッチングにより除去した後、図4(d)に示すように、エッチングレジスト10を、エッチングまたは剥離により除去する。
【0028】
エッチングレジスト10は、例えば、ドライフィルムフォトレジストをベース層3の表面に積層し、露光および現像する公知の方法により形成する。
ベース層3のエッチングは、例えば、エッチング液として水酸化カリウム水溶液などのアルカリ現像液を用いて、浸漬法またはスプレー法によって、ウエットエッチングする。
これによって、金属支持基板2の上に、半導電性層からなるベース層3が、導体パターン4を積層可能な所望のパターンとして形成される。
【0029】
また、上記した半導電性層形成用樹脂組成物に、感光剤を含有させれば、ベース層3をエッチングせずとも、ベース層3を所望のパターンとして形成することができる。
半導電性層形成用樹脂組成物に含有させる感光剤としては、例えば、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロピリジン(ニフェジピン)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジメトキシカルボニル−2,6−ジメチル−1−メチル−4−ヒドロピリジン(N−メチル体)、4−o−ニトロフェニル−3,5−ジアセチル−1,4−ジヒドロピリジン(アセチル体)などのジヒドロピリジン誘導体が挙げられる。また、これら感光剤は、単独使用または2種以上併用することができる。なお、感光剤は、例えば、ポリエチレングリコールなどの溶媒に溶解して、溶液として調製することもできる。
【0030】
感光剤は、上記した樹脂(イミド樹脂またはイミド樹脂前駆体)、および、導電性粒子とともに、溶媒に配合する。感光剤の配合割合は、樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、0.5〜75重量部である。感光剤の樹脂に対する配合割合が、これより多くても少なくても、露光部と未露光部との適切な溶解速度差が得られず、パターンニングが困難な場合がある。なお、感光剤が配合される場合でも、溶媒は、樹脂、導電性粒子および感光剤が、半導電性層形成用樹脂組成物に対して、5〜30重量%(固形分濃度)、好ましくは、5〜20重量%(固形分濃度)となるように、配合する。
【0031】
なお、感光剤を配合する場合には、上記した樹脂として、好ましくは、イミド樹脂前駆体が用いられる。
そして、このように調製された感光剤を含む半導電性層形成用樹脂組成物(以下、感光性半導電性層形成用樹脂組成物という。)から、所望のパターンでベース層3を形成するには、図5(a)に示すように、まず、感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、金属支持基板2の表面に、上記と同様の方法により、均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、上記と同様に、乾燥して、ベース皮膜11を形成する。
【0032】
次いで、図5(b)に示すように、ベース皮膜11を、フォトマスク12を介して露光する。フォトマスク12は、光を透過しない遮光部分12aと、光を透過する光透過部分12bとを所定のパターンで備えており、ネガ画像でパターンニングする場合には、図5(b)に示すように、ベース層3を形成しない部分には、遮光部分12aが対向し、それ以外のベース層3を形成する部分には、光透過部分12bが対向するように、フォトマスク12を配置して、露光する。
【0033】
次いで、必要によりネガ画像を形成するために所定温度で加熱後、図5(c)に示すように、ベース皮膜11における遮光部分12aが対向していた未露光部分を、現像により除去する。現像は、例えば、現像液としてアルカリ現像液などを用いて、浸漬法またはスプレー法などが用いられる。これによって、ベース皮膜11が、所望のパターンに形成される。
【0034】
なお、ポジ画像でパターンニングする場合には、上記した逆、すなわち、ベース層3を形成しない部分には、光透過部分10bが対向し、それ以外のベース層3を形成する部分には、遮光部分12aが対向するように、フォトマスク12を配置して、露光した後、必要によりポジ画像を形成するために所定温度で加熱後、現像する。
その後、図5(d)に示すように、感光性半導電性層形成用樹脂組成物が、イミド樹脂前駆体を含有する場合には、ベース皮膜11を、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させて、ベース層3を形成する。
【0035】
これによって、上記と同様に、ベース層3が、所望のパターンとして形成される。
また、ベース層3を樹脂層から形成する場合には、公知の方法に準拠すればよく、例えば、まず、図4(a)に示すように、ポリイミド(上記したイミド樹脂前駆体を含む。)、ポリアミドイミド、アクリル、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂のワニスを調製して、そのワニスを、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、バーコート法など公知の塗布方法により、金属支持基板2の表面に均一に塗布し、乾燥後、必要により加熱硬化させて、樹脂層からなるベース層3を形成する。
【0036】
そして、上記と同様の方法により、図4(b)に示すように、ベース層3の表面を、所望のパターンに対応してエッチングレジスト10で被覆し、図4(c)に示すように、エッチングレジスト10から露出するベース層3をエッチングにより除去した後、図4(d)に示すように、エッチングレジスト10を、エッチングまたは剥離により除去する。
これによって、金属支持基板2の上に、樹脂層からなるベース層3が、導体パターン4を積層可能な所望のパターンとして形成される。
【0037】
また、上記したワニスに、感光剤を含有させれば、ベース層3をエッチングせずとも、ベース層3を所望のパターンとして形成することができる。なお、感光剤としては、上記と同様の感光剤が挙げられる。
例えば、感光剤を含むポリイミド前駆体(感光性ポリアミック酸樹脂)のワニスを用いる場合には、図5(a)に示すように、まず、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、金属支持基板2の表面に、上記と同様の方法により、均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、上記と同様に、乾燥して、ベース皮膜11を形成する。
【0038】
次いで、図5(b)に示すように、上記と同様の方法により、ベース皮膜11を、フォトマスク12を介して露光した後、必要により所定温度で加熱後、図5(c)に示すように、上記と同様の方法により、現像により除去する。
その後、図5(d)に示すように、ベース皮膜11を、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させて、ベース層3を形成する。
【0039】
これによって、上記と同様に、ベース層3が、所望のパターンとして形成される。
また、このようにして形成されるベース層3の厚みは、例えば、8〜15μm、好ましくは、9〜12μmである。
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、ベース層3の上に、導体パターン4を形成する。導体パターン4は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはこれらの合金などの導体からなり、好ましくは、銅からなる。また、導体パターン4を形成するには、ベース層3の表面に、例えば、サブトラクティブ法、アディティブ法などの公知のパターンニング法によって、導体パターン4を、上記した端子部6および配線7が一体的に形成される配線回路パターンとして形成する。
【0040】
サブトラクティブ法では、まず、ベース層3の全面に、必要により接着剤層を介して導体層を積層し、次いで、この導体層の上に、配線回路パターンと同一パターンのエッチングレジストを形成し、このエッチングレジストをレジストとして、導体層をエッチングして、その後に、エッチングレジストを除去する。
また、アディティブ法では、まず、ベース層3の全面に、導体薄膜からなる種膜を形成し、次いで、この種膜の表面に、配線回路パターンと逆パターンでめっきレジストを形成した後、めっきレジストから露出する種膜の表面に、電解めっきにより、配線回路パターンとして導体パターン4を形成し、その後に、めっきレジストおよびそのめっきレジストが積層されていた部分の種膜を除去する。
【0041】
このようにして形成される導体パターン3では、その厚みが、5〜20μm、好ましくは、10〜15μmであり、各配線7の幅は、例えば、1〜1000μm、各配線7間の間隔は、例えば、1〜1000μmである。
次に、この方法では、図3(d)に示すように、カバー層5を、ベース層3の上に、導体パターン4を被覆し、かつ、開口部9が形成される所望のパターンとして、形成する。
【0042】
カバー層5は、半導電性層または樹脂層から形成する。すなわち、ベース層3を半導電性層から形成しない場合には、必ず半導電性層から形成し、ベース層3を半導電性層から形成する場合には、その目的および用途により、半導電性層または樹脂層から適宜選択して形成する。
カバー層5を半導電性層から形成する場合には、例えば、まず、図6(a)に示すように、上記した半導電性層形成用樹脂組成物を、導体パターン4を被覆するように、ベース層3および金属支持基板2の表面に、上記と同様の方法で、均一に塗布し、乾燥後、必要により加熱硬化させて、半導電性層からなるカバー層5を形成する。
【0043】
この半導電性層の表面抵抗値は、上記と同様に、例えば、105〜1011Ω/□、好ましくは、106〜1010Ω/□である。半導電性層の表面抵抗値が、これより小さいと、実装された電子部品の誤動作を生じる場合があり、また、これより大きいと、静電気の帯電を有効に除去できない場合がある。
そして、上記と同様の方法により、図6(b)に示すように、カバー層5の表面を、所望のパターンに対応してエッチングレジスト10で被覆し、図6(c)に示すように、エッチングレジスト10から露出するカバー層5をエッチングにより除去した後、図6(d)に示すように、エッチングレジスト10を、エッチングまたは剥離により除去する。
【0044】
これによって、ベース層3の上に、半導電性層からなるカバー層5が、導体パターン4を被覆し、かつ、開口部9が形成される所望のパターンとして形成される。
また、上記と同様に、感光性半導電性層形成用樹脂組成物を用いれば、カバー層5をエッチングせずとも、カバー層5を所望のパターンとして形成することができる。
感光性半導電性層形成用樹脂組成物から、所望のパターンでカバー層5を形成するには、図7(a)に示すように、まず、感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、導体パターン4を被覆するように、ベース層3および金属支持基板2の表面に、上記と同様の方法により、均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、上記と同様に、乾燥して、カバー皮膜13を形成する。
【0045】
次いで、図7(b)に示すように、カバー皮膜13を、フォトマスク12を介して露光する。例えば、ネガ画像でパターンニングする場合には、図7(b)に示すように、カバー層5を形成しない部分(すなわち、開口部9を形成する部分、および、金属支持層2におけるベース層3が形成されていない部分)には、遮光部分12aが対向し、それ以外のカバー層5を形成する部分には、光透過部分12bが対向するように、フォトマスク12を配置して、露光する。
【0046】
次いで、必要によりネガ画像を形成するために所定温度で加熱後、図7(c)に示すように、カバー皮膜13における遮光部分12aが対向していた未露光部分を、上記と同様の方法で、現像により除去する。
なお、ポジ画像でパターンニングする場合には、上記した逆、すなわち、カバー層5を形成しない部分には、光透過部分10bが対向し、それ以外のカバー層5を形成する部分には、遮光部分12aが対向するように、フォトマスク12を配置して、露光した後、必要によりポジ画像を形成するために所定温度で加熱後、現像する。
【0047】
その後、図7(d)に示すように、感光性半導電性層形成用樹脂組成物が、イミド樹脂前駆体を含有する場合には、カバー皮膜13を、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させて、カバー層5を形成する。
これによって、上記と同様に、ベース層3の上に、半導電性層からなるカバー層5が、導体パターン4を被覆し、かつ、開口部9が形成される所望のパターンとして形成される。
【0048】
また、カバー層5を樹脂層から形成する場合には、公知の方法に準拠すればよく、例えば、まず、図6(a)に示すように、上記と同様の樹脂層を形成するための合成樹脂のワニスを調製して、そのワニスを、上記と同様の方法により、導体パターン4を被覆するように、ベース層3および金属支持基板2の表面に均一に塗布し、乾燥後、必要により加熱硬化させて、樹脂層からなるカバー層5を形成する。
【0049】
そして、上記と同様の方法により、図6(b)に示すように、カバー層5の表面を、所望のパターンに対応してエッチングレジスト10で被覆し、図6(c)に示すように、エッチングレジスト10から露出するカバー層5をエッチングにより除去した後、図6(d)に示すように、エッチングレジスト10を、エッチングまたは剥離により除去する。
これによって、ベース層3の上に、樹脂層からなるカバー層5が、導体パターン4を被覆し、かつ、開口部9が形成される所望のパターンとして形成される。
【0050】
また、上記したワニスに、感光剤を含有させれば、カバー層5をエッチングせずとも、カバー層5を所望のパターンとして形成することができる。なお、感光剤としては、上記と同様の感光剤が挙げられる。
例えば、感光剤を含むポリイミド前駆体(感光性ポリアミック酸樹脂)のワニスを用いる場合には、図7(a)に示すように、まず、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、導体パターン4を被覆するように、ベース層3および金属支持基板2の表面に、上記と同様の方法により、均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、上記と同様に、乾燥して、カバー皮膜13を形成する。
【0051】
次いで、図7(b)に示すように、上記と同様の方法により、カバー皮膜13を、フォトマスク12を介して露光した後、必要により所定温度で加熱後、図7(c)に示すように、上記と同様の方法により、現像により除去する。
その後、図7(d)に示すように、カバー皮膜13を、例えば、減圧下、250℃以上で加熱することにより、硬化(イミド化)させて、カバー層5を形成する。
【0052】
これによって、上記と同様に、カバー層5が、所望のパターンとして形成される。
また、このようにして形成されるカバー層5の厚みは、例えば、3〜5μmである。
そして、この回路付サスペンション基板1は、その後、金属支持層2を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバル8を形成するとともに、外形加工することにより、形成される。なお、端子部6には、その表面に、図示しないが、必要に応じて、金やニッケルからなるめっき層を形成する。
【0053】
そして、この回路付サスペンション基板1では、ベース層3および/またはカバー層5が半導電性層からなるので、その半導電性層によって、静電気の帯電を除去して、実装される電子部品の静電破壊を防止することができる。しかも、この回路付サスペンション基板1では、ベース層3および/またはカバー層5が半導電性層であるため、ベース層3および/またはカバー層5の上に、さらに半導電性層を形成する必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0054】
なお、上記の回路付サスペンション基板1では、ベース層3および/またはカバー層5の少なくともいずれか一方が、半導電性層であればよく、すなわち、上記した回路付サスペンション基板1は、ベース層3およびカバー層5が共に半導電性層である態様、ベース層3が半導電性層でありカバー層5が絶縁層である態様、ベース層3が絶縁層でありカバー層5が半導電性層である態様の、3つの態様が含まれる。この回路付サスペンション基板1では、これらのうち、少なくともカバー絶縁層5が半導電性層である態様が好適である。
【0055】
また、上記の説明では、本発明の配線回路基板を、回路付サスペンション基板1を例示して説明したが、本発明の配線回路基板には、片面フレキシブル配線回路基板、両面フレキシブル配線回路基板、さらには、多層フレキシブル配線回路基板などが含まれる。例えば、図8に示すように、片面フレキシブル配線回路基板20では、ベース層3、導体パターン4およびカバー層5が順次積層されており、カバー層5が開口されることにより、導体パターン4の露出部分として端子部6が形成されている。そして、この片面フレキシブル配線回路基板20では、ベース層3およびカバー層5の少なくともいずれか一方が、半導電性層から形成されている。
【実施例】
【0056】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例に限定されることはない。
製造例1(ポリアミック酸樹脂Aの製造)
1Lのセパラブルフラスコに、p−フェニレンジアミン27.6g(0.25mol)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル9.0g(0.05mol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)767gを加えて攪拌し、p−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを溶解させた。
【0057】
これに、3,3’,4.4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物88.3g(0.3mol)を徐々に加え、30℃以下の温度で2時間攪拌を続け、濃度14重量%のポリアミック酸樹脂Aの溶液を得た。なお、この溶液の30℃での粘度は500Pa・sであった。
製造例2(感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aの調製)
合成例1で得られたポリアミック酸樹脂Aの溶液に、感光剤(ニフェジピン37.5gとアセチル体25.0g)を添加し、さらに、カーボンブラックの10重量%NMP分散液(デグサ社製、Special Black4)374.7gを添加し、攪拌して、カーボンブラックが均一に分散した感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを得た。
【0058】
実施例1(ベース層:絶縁層/カバー層:半導電性層)
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図3(a)参照)、その金属支持基板の上に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、90℃で15分加熱することにより、ベース皮膜を形成した(図5(a)参照)。
【0059】
その後、そのベース皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図5(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図5(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、絶縁層からなる厚み10μmのベース層を、所望のパターンで形成した(図5(d)、図3(b)参照)。
【0060】
次いで、磁気ヘッド側接続端子部と、外部側接続端子部と、これらを接続する複数の配線とを一体的に連続して備える配線回路パターンからなる、厚み10μmの導体パターンを、アディティブ法により形成した(図3(c)参照)。
次いで、感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを、導体パターンを被覆するように、ベース層および金属支持基板の表面に、均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、90℃で15分加熱することにより、カバー皮膜を形成した(図7(a)参照)。
【0061】
その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図7(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図7(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、半導電性層からなる厚み3μmのカバー層を、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部において開口部が形成される所望のパターンで形成した(図7(d)、図3(d)参照)。
【0062】
その後、化学エッチングにより、金属支持層を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、ベース層が絶縁層からなり、カバー層が半導電性層からなる、回路付サスペンション基板を得た。
実施例2(ベース層:半導電性層/カバー層:絶縁層)
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図3(a)参照)、その金属支持基板の上に、感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを、90℃で15分加熱することにより、ベース皮膜を形成した(図5(a)参照)。
【0063】
その後、そのベース皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図5(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図5(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、半導電性層からなる厚み10μmのベース層を、所望のパターンで形成した(図5(d)、図3(b)参照)。
【0064】
次いで、磁気ヘッド側接続端子部と、外部側接続端子部と、これらを接続する複数の配線とを一体的に連続して備える配線回路パターンからなる、厚み10μmの導体パターンを、アディティブ法により形成した(図3(c)参照)。
次いで、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、導体パターンを被覆するように、ベース層および金属支持基板の表面に、均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、90℃で15分加熱することにより、カバー皮膜を形成した(図7(a)参照)。
【0065】
その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図7(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図7(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、絶縁層からなる厚み3μmのカバー層を、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部において開口部が形成される所望のパターンで形成した(図7(d)、図3(d)参照)。
【0066】
その後、化学エッチングにより、金属支持層を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、ベース層が半導電性層からなり、カバー層が絶縁層からなる、回路付サスペンション基板を得た。
実施例3(ベース層:半導電性層/カバー層:半導電性層)
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図3(a)参照)、その金属支持基板の上に、感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを、90℃で15分加熱することにより、ベース皮膜を形成した(図5(a)参照)。
【0067】
その後、そのベース皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図5(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図5(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、半導電性層からなる厚み10μmのベース層を、所望のパターンで形成した(図5(d)、図3(b)参照)。
【0068】
次いで、磁気ヘッド側接続端子部と、外部側接続端子部と、これらを接続する複数の配線とを一体的に連続して備える配線回路パターンからなる、厚み10μmの導体パターンを、アディティブ法により形成した(図3(c)参照)。
次いで、感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを、導体パターンを被覆するように、ベース層および金属支持基板の表面に、均一に塗布し、次いで、塗布された感光性半導電性層形成用樹脂組成物を、90℃で15分加熱することにより、カバー皮膜を形成した(図7(a)参照)。
【0069】
その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図7(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図7(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、半導電性層からなる厚み3μmのカバー層を、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部において開口部が形成される所望のパターンで形成した(図7(d)、図3(d)参照)。
【0070】
その後、化学エッチングにより、金属支持層を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、ベース層およびカバー層が、共に半導電性層からなる、回路付サスペンション基板を得た。
比較例1(ベース層:絶縁層/カバー層:絶縁層)
厚み20μmのステンレス箔からなる金属支持基板を用意して(図3(a)参照)、その金属支持基板の上に、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、90℃で15分加熱することにより、ベース皮膜を形成した(図5(a)参照)。
【0071】
その後、そのベース皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図5(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図5(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、絶縁層からなる厚み10μmのベース層を、所望のパターンで形成した(図5(d)、図3(b)参照)。
【0072】
次いで、磁気ヘッド側接続端子部と、外部側接続端子部と、これらを接続する複数の配線とを一体的に連続して備える配線回路パターンからなる、厚み10μmの導体パターンを、アディティブ法により形成した(図3(c)参照)。
次いで、感光性ポリアミック酸樹脂のワニスを、導体パターンを被覆するように、ベース層および金属支持基板の表面に、均一に塗布し、次いで、塗布されたワニスを、90℃で15分加熱することにより、カバー皮膜を形成した(図7(a)参照)。
【0073】
その後、そのカバー皮膜を、フォトマスクを介して、700mJ/cm2で露光させ(図7(b)参照)、190℃で10分加熱した後、アルカリ現像液を用いて現像した(図7(c)参照)。その後、1.33Paに減圧した状態で、385℃で硬化させることにより、絶縁層からなる厚み3μmのカバー層を、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部において開口部が形成される所望のパターンで形成した(図7(d)、図3(d)参照)。
【0074】
その後、化学エッチングにより、金属支持層を、化学エッチングによって切り抜いて、ジンバルを形成するとともに、外形加工することにより、ベース層およびカバー層が、共に絶縁層からなる、回路付サスペンション基板を得た。
比較例2(ベース層:絶縁層/カバー層:絶縁層/半導電性層)
比較例1で得られた回路付サスペンション基板を用いて、その磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部の表面、およびカバー絶縁層の表面に、感光性半導電性層形成用樹脂組成物Aを塗布し、90℃で15分加熱することにより、導電性皮膜を形成した。
【0075】
次いで、フォトマスクを介して、露光量700mJ/cm2にて、紫外線を露光し、190℃で10分間露光後加熱した後、現像することにより、半導電性皮膜を、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部の表面が露出するように、ネガ型画像でパターンニングした。
続いて、1.33Paに減圧した状態で、385℃で半導電性皮膜を加熱して、イミド化し、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部の表面を除くカバー絶縁層の表面に、厚み1μmの半導電性層を形成し。これによって、回路付サスペンション基板を得た。
【0076】
評価
1)帯電圧測定
各実施例および各比較例の回路付サスペンション基板について、シシド静電気社製スタチロンDS3を用いて、カバー層の表面とセンサとの間の距離を1mmとして、カバー層の表面の帯電圧(V)を測定した。その結果を表1に示す。
2)電荷量測定
各実施例および各比較例の回路付サスペンション基板について、春日電機社製NK−1001を用いて、プローブを磁気ヘッド側接続端子部に接触させて、磁気ヘッド側接続端子部の電荷量(nQ)を測定した。その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す回路付サスペンション基板の長手方向に沿う部分断面図である。
【図3】図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の上にベース層を所望のパターンとして形成する工程、(c)は、ベース層の上に導体パターンを形成する工程、(d)は、ベース層の上にカバー層を所望のパターンとして形成する工程を示す。
【図4】図3に示す回路付サスペンション基板の製造方法において、(b)金属支持基板の上にベース層を所望のパターンとして形成する工程、を説明するための工程図であって、(a)は、金属支持基板2の表面にベース層を形成する工程、(b)は、ベース層の表面をエッチングレジストで被覆する工程、(c)は、エッチングレジストから露出するベース層をエッチングする工程、(d)は、エッチングレジストを除去する工程を示す。
【図5】図3に示す回路付サスペンション基板の製造方法において、(b)金属支持基板の上にベース層を所望のパターンとして形成する工程、を説明するための他の工程図であって、(a)は、金属支持基板の表面にベース皮膜を形成する工程、(b)は、ベース皮膜をフォトマスクを介して露光する工程、(c)は、ベース皮膜の未露光部分を現像により除去する工程、(d)は、ベース皮膜を硬化させてベース層を形成する工程を示す。
【図6】図3に示す回路付サスペンション基板の製造方法において、(d)ベース層の上にカバー層を所望のパターンとして形成する工程、を説明するための工程図であって、(a)は、ベース層および金属支持基板の表面にカバー層を形成する工程、(b)は、カバー層の表面をエッチングレジストで被覆する工程、(c)は、エッチングレジストから露出するカバー層をエッチングする工程、(d)は、エッチングレジストを除去する工程を示す。
【図7】図3に示す回路付サスペンション基板の製造方法において、(d)ベース層の上にカバー層を所望のパターンとして形成する工程、を説明するための他の工程図であって、(a)は、ベース層および金属支持基板の表面にカバー皮膜を形成する工程、(b)は、カバー皮膜をフォトマスクを介して露光する工程、(c)は、カバー皮膜の未露光部分を現像により除去する工程、(d)は、カバー皮膜を硬化させてカバー層を形成する工程を示す。
【図8】本発明の配線回路基板の他の実施形態である片面フレキシブル配線回路基板を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 回路付サスペンション基板
2 金属支持層
3 ベース層
4 導体パターン
5 カバー層
6 端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と、前記導体層に隣接する樹脂層と、前記樹脂層が開口されることにより露出される導体層からなる端子部とを備える配線回路基板において、
前記樹脂層が、導電性粒子を含む半導電性層からなることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
金属支持層と、前記金属支持層の上に形成されるベース層と、前記ベース層の上に形成される導体層と、前記導体層の上に形成されるカバー層と、前記カバー層が開口されることにより露出される導体層からなる端子部とを備える配線回路基板において、
前記ベース層および/または前記カバー層が、導電性粒子を含む半導電性層からなることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項3】
前記半導電性層は、導電性粒子が樹脂中に分散されてなり、
前記導電性粒子が、前記導電性粒子および前記樹脂の総量100重量部に対して10〜50重量部の割合で含まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記導電性粒子が、カーボンブラックであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−332547(P2006−332547A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157753(P2005−157753)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】