説明

配線構造の形成方法

【課題】 絶縁膜及びその上のARL膜に埋め込まれた配線同士の間における短絡を防止する。
【解決手段】 基板100上に形成されたFSG膜109及びARL膜110に複数の配線用溝111を形成した後、各配線用溝111が完全に埋まるようにARL膜110の上にバリアメタル膜(窒化タンタル膜112)及び配線用導電膜(銅膜113及び114)を順次堆積する。その後、各配線用溝111の外側の銅膜113及び114を研磨により除去した後、各配線用溝111の外側の窒化タンタル膜112を研磨により除去する。その後、研磨時に基板100に付着した異物を除去した後、ARL膜110の表面を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、半導体装置における配線構造の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の配線構造の形成方法として、例えば特許文献1に記載された方法が用いられてきた。この従来の配線構造の形成方法について、絶縁膜に形成されたホールにプラグを形成する場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0003】図9(a)〜(c)は、従来の配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【0004】まず、図9(a)に示すように、シリコン基板11の上に厚さ1μm程度のシリコン酸化膜12を絶縁膜として堆積した後、リソグラフィー法及びドライエッチング法により、シリコン酸化膜12の所定領域に該酸化膜12を貫通する径0.8μm程度のホール13を形成する。
【0005】次に、ホール13を含むシリコン酸化膜12の上に全面に亘って、PVD(physical vapor deposition )法により、下層の導電膜である膜厚30nmのチタン膜14、及び中間層の導電膜である膜厚100nmの窒化チタン膜15を順次堆積する。その後、窒化チタン膜15の上に全面に亘って、CVD(chemical vapor deposition )法により、上層の導電膜である膜厚1μmのタングステン膜16を堆積する。これにより、3層構造の導電膜が堆積される。ここで、チタン膜14及び窒化チタン膜15はバリアメタルである。
【0006】次に、一の研磨剤を使用した化学機械研磨(CMP)法により、図9(b)に示すように、ホール13の外側の領域に堆積されているタングステン膜16及び窒化チタン膜15を除去する。これにより、ホール13の外側の領域に堆積されているチタン膜14が完全に露出する。
【0007】次に、他の研磨剤を使用したCMP法により、図9(c)に示すように、ホール13の外側の領域に堆積されているチタン膜14を除去する。これにより、ホール13内にタングステンよりなるプラグ17が形成されると共に、シリコン酸化膜12が露出する。
【0008】以上、タングステンプラグの形成を例として説明を行なったが、同様の方法により、例えば、絶縁膜に形成された配線用溝に銅配線を形成することができる。
【0009】また、配線パタ−ンの微細化に伴い、隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)がより狭くなってきているため、配線用溝又はビアホール等を形成するためのリソグラフィー工程において反射防止膜(以下、ARL(Anti reflection layer )膜と称する)が用いられるようになってきている。
【0010】
【特許文献1】特開平10−214834号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の従来の配線構造の形成方法に基づくARL膜を利用した配線の形成方法において、配線同士の間で短絡が生じるという問題がある。
【0012】前記に鑑み、本発明は、絶縁膜及びその上のARL膜に埋め込まれた配線同士の間における短絡を防止できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本願発明者らが、前述の従来の配線構造の形成方法において配線同士の間で短絡が生じる原因を検討した結果、次のような知見を得た。
【0014】すなわち、従来の配線構造の形成方法に従って配線を形成する際に、バリアメタルに対する研磨時にバリアメタルが局所的に剥離して異物となる。この異物は硬いため、配線間に存在する絶縁膜の上に該絶縁膜と比べて脆弱な材料よりなるARL膜が形成されている場合、ARL膜の表面に微小な亀裂を発生させる。この亀裂が、一の配線から、該一の配線と隣り合う他の配線まで延びている場合において配線形成時に該亀裂中に金属(バリアメタル又は配線用導電膜の一部)が埋め込まれてしまうと、配線間に短絡が生じる。
【0015】尚、配線構造が微細化されるに従って、配線同士の間の距離が小さくなるため、前述の亀裂が配線間をまたがりやすくなるので、該亀裂中に埋め込まれた金属によって、配線間に擬似的な架橋構造が形成されやすくなる。すなわち、配線間に短絡が生じやすくなる。
【0016】図10は、配線間のARL膜に生じた亀裂に金属が埋め込まれた様子を示す平面図である。図10に示すように、ARL膜21には複数の銅配線22が互いに平行に延びるように埋め込まれている。銅配線22同士の間のARL膜21には、配線間をまたがるように亀裂23が生じている。この亀裂23には、銅配線22の形成時に銅が埋め込まれ、その結果、銅配線22同士の間で短絡が生じる。
【0017】本発明は、以上の知見に基づきなされたものであって、具体的には、本発明に係る配線構造の形成方法は、絶縁膜の上に反射防止膜を形成した後、反射防止膜及び絶縁膜に、第1の溝、及び第1の溝と隣り合う第2の溝を形成する溝形成工程と、第1の溝及び第2の溝が埋まるように反射防止膜の上にバリアメタル膜及び導電膜を堆積する膜堆積工程と、第1の溝の外側及び第2の溝の外側の導電膜を研磨により除去する第1の研磨工程と、第1の研磨工程よりも後に、第1の溝の外側及び第2の溝の外側のバリアメタル膜を研磨により除去する第2の研磨工程と、第2の研磨工程よりも後に、被研磨面に付着した異物を除去する異物除去工程と、異物除去工程よりも後に、反射防止膜の表面を研磨する第3の研磨工程とを備えている。
【0018】本発明の配線構造の形成方法によると、絶縁膜及びその上の反射防止膜に設けられた溝にバリアメタル膜及び導電膜を順次埋め込んだ後、溝の外側の導電膜及びバリアメタル膜を研磨により除去する。その後、研磨時に被研磨面に付着した異物を除去した後、反射防止膜の表面を研磨する。このため、バリアメタル膜の研磨時に、溝間(つまり配線間)に存在する反射防止膜の表面に微小な亀裂が発生し、該亀裂中に金属が埋め込まれた場合に、次のような効果が得られる。すなわち、バリアメタル膜の研磨時等に被研磨面に付着した異物を除去した後に反射防止膜の表面に対して仕上げ研磨を行なうので、異物によって反射防止膜表面が新たに損傷を受けることを防止しながら、亀裂中に埋め込まれた金属を除去することができる。従って、亀裂中に埋め込まれた金属によって配線間が架橋される事態を回避できるため、配線間におけるショート発生頻度を低減できるので、高性能配線を形成することができる。
【0019】本発明の配線構造の形成方法において、第2の研磨工程と第3の研磨工程との間に、第2の研磨工程で用いた研磨パッドに付着した異物を除去する工程を備えていることが好ましい。
【0020】このようにすると、第2の研磨工程(バリアメタル膜の研磨)で用いた研磨パッドを第3の研磨工程(反射防止膜の研磨)でも用いる場合に、反射防止膜表面が損傷することをより確実に防止できる。この場合、研磨パッドに付着した異物を除去する工程が研磨パッドを洗浄する工程を含むと、反射防止膜表面が損傷することをより確実に防止できる。同様の効果は、研磨パッドに付着した異物を除去する工程が研磨パッドの表面を砥石によりブラッシングする工程を含む場合にも得られる。
【0021】本発明の配線構造の形成方法において、第2の研磨工程及び第3の研磨工程は同じ研磨装置及び研磨パッドを用いて行なわれることが好ましい。
【0022】このようにすると、配線形成における作業効率を向上させることができる。
【0023】本発明の配線構造の形成方法において、第3の研磨工程における基板を研磨パッドに押し当てる圧力及び該研磨パッドの回転速度は第2の研磨工程と同じであることが好ましい。
【0024】このようにすると、第2の研磨工程から第3の研磨工程に移行する際に研磨条件の複雑な変更を行なう必要がないので、配線形成における作業性を向上させることができ、それによりプロセスのスループットの低下を防止できる。このとき、第3の研磨工程の研磨時間が第2の研磨工程よりも短いと、反射防止膜表面が大きく削られることを防止できる。また、このとき、第3の研磨工程における前述の圧力及び回転速度がそれぞれ第1の研磨工程と比べて小さいと、反射防止膜表面が大きく削られることをより確実に防止できる。
【0025】本発明の配線構造の形成方法において、第3の研磨工程で用いられる研磨剤は第2の研磨工程と同じであることが好ましい。
【0026】このようにすると、第3の研磨工程で、溝に埋め込まれた導電膜が大きく研磨されることがないので、配線抵抗の増大を防止できる。
【0027】本発明の配線構造の形成方法において、第3の研磨工程は、研磨条件の異なる2段階の研磨工程を含んでいてもよい。この場合、2段階の研磨工程のうちの一の段階で用いられる研磨剤は第2の研磨工程と同じであると共に、2段階の研磨工程のうちの他の段階で用いられる研磨剤は第1の研磨工程と同じであることが好ましい。このようにすると、配線形成における歩留まりを向上させることができる。
【0028】本発明の配線構造の形成方法において、異物除去工程は、有機酸又は有機アルカリを用いて被研磨面に対して洗浄を行なう工程を含むことが好ましい。
【0029】このようにすると、被研磨面に付着した異物を確実に除去することができる。
【0030】本発明の配線構造の形成方法において、第1の溝と第2の溝との間隔が0.25μm以下であると、従来技術と比べて、前述の本発明の効果がより顕著に得られる。
【0031】本発明の配線構造の形成方法において、第1の溝と第2の溝とは互いに平行に配置されていてもよい。
【0032】本発明の配線構造の形成方法において、第1の溝及び第2の溝における配線形成はデュアルダマシン法を用いて行なわれてもよい。
【0033】本発明の配線構造の形成方法において、反射防止膜はシリコン含有材料よりなることが好ましい。
【0034】このようにすると、溝形成のためのリソグラフィー工程におけるパターン形成精度が確実に向上する。例えばリソグラフィ工程でKrFエキシマレーザ光(波長248nm)を光源として用いる場合、下層となる厚さ75nmのSiON膜と上層となる厚さ8nmのSiO2 膜との積層膜は、KrFエキシマレーザ光に対して高い吸収効率を持つので、反射防止膜として優れた性能を示す。また、反射防止膜の材料としてシリコン化合物を用いる場合、反射防止膜を開口させる装置を、シリコン酸化膜にホールを形成する装置と共用することができ、それによって半導体装置の製造コストを低減させることができる。
【0035】本発明の配線構造の形成方法において、導電膜は銅膜であり、バリアメタル膜はタンタル膜、窒化タンタル膜、又はタンタル膜と窒化タンタル膜との積層膜であることが好ましい。
【0036】このようにすると、低抵抗の配線を形成することができる。また、この場合、第1の溝又は第2の溝に形成される配線は、該配線の下側に形成されているプラグと電気的に接続されてもよい。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0038】図1(a)〜(c)、図2(a)、(b)、図3(a)、(b)及び図4は、第1の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【0039】まず、図1(a)に示すように、例えばシリコンよりなる基板100上に第1のシリコン酸化膜101を形成した後、第1のシリコン酸化膜101の上に、例えばタングステン膜よりなる下層配線102を形成する。その後、下層配線102の上を含む第1のシリコン酸化膜101の上に、例えばCVD法により第2のシリコン酸化膜103を堆積する。
【0040】次に、図1(b)に示すように、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、第2のシリコン酸化膜103中に、下層配線102に達するビアホール104を形成する。
【0041】次に、図1(c)に示すように、例えばPVD法又はCVD法を用いて、ビアホール104が途中まで埋まるように第2のシリコン酸化膜103の上にチタン(Ti)膜105及び窒化チタン(TiN)膜106を順次堆積する。その後、例えばCVD法を用いて、ビアホール104が完全に埋まるように窒化チタン膜106の上にタングステン膜107を形成する。ここで、チタン膜105及び窒化チタン膜106はバリアメタルである。
【0042】次に、図2(a)に示すように、例えばCMP法を用いて、ビアホール104の外側の領域に堆積されているチタン膜105、窒化チタン膜106及びタングステン膜107を除去する。これにより、第2のシリコン酸化膜103中のビアホール104に、バリアメタルによって確実に保護され且つタングステンよりなるプラグ108が形成される。
【0043】次に、図2(b)に示すように、例えばCVD法を用いて、第2のシリコン酸化膜103の上に、フッ素が添加されたシリコン酸化膜(以下、FSG(Fluorine Doped Silicate Glass )膜と称する)109及びARL膜110を順次堆積する。ここで、ARL膜110は、例えば上層のSiON膜と下層のSiO2 膜との2層構造を有すると共に、後続のリソグラフィー工程における露光時の解像度を向上させる機能を有する。その後、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、ARL膜110及びFSG膜109(及び第2のシリコン酸化膜103の表面部)中に、複数の配線用溝(トレンチ)111を形成する。ここで、複数の配線用溝111は、プラグ108に達する配線用溝を含んでいる。また、各配線用溝111は、例えば互いに平行に配置されており、配線用溝111同士の間の距離は0.25μm程度である。
【0044】次に、図3(a)に示すように、例えばPVD法を用いて、各配線用溝111が途中まで埋まるようにARL膜110の上に窒化タンタル(TaN)膜112及び第1の銅(Cu)膜113を順次堆積する。ここで、第1の銅膜113は、後続のメッキ工程におけるシード層として機能する。また、窒化タンタル膜112はバリア層として機能する。続いて、例えばメッキ法を用いて、各配線用溝111が完全に埋まるように第1の銅膜113上に第2の銅膜114を堆積する。
【0045】次に、図3(b)に示すように、Cu研磨用研磨剤(スラリー)を用いたCMP法により、各配線用溝111の外側の領域に堆積された第1の銅膜113及び第2の銅膜114を除去する(第1の研磨工程)。これにより、各配線用溝111の外側の窒化タンタル膜112が露出する。続いて、バリア層(TaN)研磨用スラリーを用いたCMP法により、各配線用溝111の外側の領域に堆積された窒化タンタル膜112を除去する(第2の研磨工程)。これにより、各配線用溝111内に、FSG膜109との間にバリア層を持つ銅配線(上層配線)115が形成されると共に、ARL膜110の表面が露出する。ここで、銅配線115は、その下側に形成されているプラグ108と電気的に接続する。
【0046】ここで、第1及び第2の研磨工程について詳しく説明する。本実施形態では第1及び第2の研磨工程を同一のCMP装置を用いて行なう。
【0047】図5は第1及び第2の研磨工程で用いられるCMP装置の概略構成図である。
【0048】図5に示すように、被研磨基板(基板100)であるウェハ151は、回転可能で且つ上下動可能に設けられたホルダー152に保持されている。また、ウェハ151の表面を研磨する研磨パッド153は、回転運動を行なう研磨定盤154の表面に取り付けられている。スラリー155はスラリー供給管156から研磨パッド153の上に滴下される。この状態で、研磨定盤154を回転させて研磨パッド153を回転させると共にホルダー152を回転させながら降下させると、ホルダー152に保持されているウェハ151と研磨パッド153とが互いに擦れ合うことによって、ウェハ151の表面が研磨される。
【0049】尚、本実施形態において、第1の研磨工程から第2の研磨工程に移行する際に、スラリーの種類等の研磨条件を変更する。具体的には、第2の研磨工程におけるウェハ151を研磨パッド153に押し当てる圧力及び研磨パッド153の回転速度はそれぞれ第1の研磨工程と比べて小さい。但し、本明細書において、ウェハ151がホルダー152と共に回転する場合、研磨パッド153の回転速度とは、ウェハ151に対する研磨パッド153の相対速度を意味する。
【0050】ところで、以上に説明したようなCMP法を用いた第2の研磨工程の終了時点において、図3(b)に示すように、銅配線115の間のARL膜110の表面に生じた亀裂に銅等の金属116が埋め込まれてしまう。ここで、亀裂中に埋め込まれた金属116が、銅配線115同士の間に擬似的な架橋構造を形成する場合、銅配線115同士の間でショートが発生してしまう。
【0051】そこで、本実施形態においては、銅配線115を構成する銅膜の膜厚の減少を最小限に抑えながら、銅配線115間におけるショートの発生頻度を低減するために、以下に説明するような方法を用いて、亀裂中に埋め込まれた金属116の除去を行なう。
【0052】まず、第2の研磨工程の終了後、基板100(ウェハ151)をCMP装置から取り出して基板100の表面を洗浄する。これにより、第1の研磨工程又は第2の研磨工程で発生した削りくず(異物)を基板100の表面から洗い流すことができる。基板100の洗浄には、例えば、有機酸溶液又は有機アルカリ溶液を用いる。ここで、異物となる削りくずを除去することが重要である。すなわち、基板100上に削りくずを残したまま、ARL膜110の表面の亀裂中に埋め込まれた金属116を除去しようとすると、その削りくずによってARL膜110又は銅配線115に新たな損傷が生じてしまう可能性があるからである。具体的には、当初の亀裂中に埋め込まれていた金属116を除去できたとしても、銅配線115が損傷したり(つまり銅配線115を構成する銅膜が薄くなったり)、又はARL膜110に新たな亀裂が生じて該亀裂中に金属が埋め込まれたりする可能性がある。
【0053】本実施形態において、前述の基板100(ウェハ151)に対する洗浄工程(異物除去工程)は、基板100をCMP装置から洗浄装置に移動させて行なわれる。このとき、基板100を洗浄している間に、別途、研磨パッド153に付着した削りくず(異物)を除去しておくことが好ましい。その理由は、前述の基板100の洗浄の場合と同様である。すなわち、研磨パッド153上に残存する削りくずを除去しておくことによって、基板100上のARL膜110の表面の亀裂中に埋め込まれた金属116を研磨パッド153を引き続き用いて除去した際に、ARL膜110の表面等に新たな損傷が生じることをより確実に防止できる。ここで、研磨パッド153上に残存する削りくずの除去は、例えば、CMP装置において研磨パッド153を回転させながらスラリーに代えて純水を供給して研磨パッド153を洗浄することにより行なわれる。或いは、研磨パッド153の表面を砥石を用いてブラッシングすることにより、削りくずの除去を行なってもよい。これらにより、研磨パッド153の表面に付着した削りくずを確実に除去することができる。
【0054】次に、異物除去工程の後、ARL膜110の表面の微小な亀裂中に埋め込まれた金属116を除去するために、CMP法によりARL膜110の表面を研磨する(第3の研磨工程)。これにより、図4に示すように、配線間ショートの原因となる、亀裂中の金属116を亀裂と共に除去することができる。
【0055】尚、本実施形態においては、第3の研磨工程を、第1及び第2の研磨工程と同一のCMP装置(図5参照)を用いて行なう。また、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件は、第2の研磨工程(つまり窒化タンタル膜112(バリアメタル膜)に対する研磨工程)の研磨条件と同じである。具体的には、第3の研磨工程における基板100(ウェハ151)を研磨パッド153に押し当てる圧力及び研磨パッド153の回転速度はそれぞれ第2の研磨工程と同じである。すなわち、第3の研磨工程における前述の圧力及び回転速度はそれぞれ第1の研磨工程(銅膜113及び114の研磨工程)と比べて小さい。また、第3の研磨工程で用いられるスラリーは、第2の研磨工程と同様に、バリア層(TaN)研磨用スラリーである。一方、第3の研磨工程の研磨時間は、第2の研磨工程におけるバリアメタル膜の研磨時間よりも短い時間(例えば20秒程度)に設定される。その理由は、第3の研磨工程は、脆弱なARL膜110の亀裂中に埋め込まれた不要な金属116の除去を目的とするものであって、ARL膜110以外の膜、例えば銅配線115を構成する銅膜については、その膜減りを最小限に押さえたいからである。また、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件を第2の研磨工程と同じにしているので、ARL膜110に対しては研磨が適度に行なわれ、それによりARL膜110の表面に埋め込まれた金属116が除去される。また、第3の研磨工程の研磨条件(基板を研磨パッドに押し当てる圧力、研磨パッドの回転速度、スラリー、研磨時間等)は銅が研磨されにくい条件であるため、第3の研磨工程によって、銅配線115を構成する銅膜が大きく研磨されることもない。
【0056】以上に説明したように、第1の実施形態によると、基板100上のFSG膜109及びその上のARL膜110に設けられた配線用溝111に、バリアメタル膜(窒化タンタル膜112)及び配線用導電膜(銅膜113及び114)を順次埋め込んだ後、配線用溝111の外側の配線用導電膜及びバリアメタル膜を研磨により除去する。その後、研磨時に基板100に付着した異物(削りくず)を除去した後、ARL膜110の表面を研磨する。このため、バリアメタル膜の研磨時に、配線用溝111間(つまり銅配線115間)に存在するARL膜110の表面に微小な亀裂が発生し、該亀裂中に金属116が埋め込まれた場合に、次のような効果が得られる。すなわち、バリアメタル膜の研磨時等に基板100に付着した異物を除去した後にARL膜110の表面に対して仕上げ研磨を行なうので、異物によってARL膜110の表面が新たに損傷を受けることを防止しながら、亀裂中に埋め込まれた金属116を除去することができる。従って、亀裂中に埋め込まれた金属116によって銅配線115間が架橋される事態を回避できるので、配線間におけるショート発生が抑制された配線構造、つまり高性能配線を形成することができる。
【0057】図6(a)は、本実施形態の配線構造の形成方法によって形成された銅配線同士の間におけるショート発生頻度を、従来技術の場合と比較した結果を示している。また、図6(b)は、本実施形態の配線構造の形成方法によって形成された配線構造における配線間距離及び配線幅を模式的に示している。尚、図6(a)の縦軸は、単位面積(1cm2 )当たりの欠陥数(ショート発生の原因となる、ARL膜表面の傷(亀裂)の数)である。また、図6(b)に示すように、本実施形態の配線構造の形成方法によってFSG膜109及びARL膜110に形成された銅配線115同士の間の距離は0.25μmであり、銅配線115の幅も0.25μmである。図6(a)に示すように、本実施形態では、バリアメタル膜(窒化タンタル膜112)の研磨後に、基板100の表面の洗浄(削りくずの除去)及びARL膜110の表面の研磨を順次行なうことにより、ショート発生の原因となる欠陥数を、従来技術の場合の50分の1程度である0.2程度まで低減できる。すなわち、本実施形態による欠陥数は、実用上十分な歩留まりが達成される欠陥数である0.5を大きく下回っている。
【0058】従来技術においては、互いに隣り合う配線同士の間の距離が小さくなるに従って、特に、配線間距離が0.25μm以下になると、配線間ショートが顕著に生じてきた。それに対して、本実施形態によると、配線間距離が0.25μm以下の場合に、配線間ショートを防止する効果がより顕著に得られる。
【0059】また、第1の実施形態によると、第3の研磨工程(ARL膜110の研磨工程)における基板100を研磨パッド153に押し当てる圧力及び研磨パッド153の回転速度はそれぞれ第2の研磨工程(窒化タンタル膜112の研磨工程)と同じである。言い換えると、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件は、第2の研磨工程と同じである。このため、第2の研磨工程から第3の研磨工程に移行する際に研磨条件の複雑な変更を行なう必要がないので、配線形成における作業性を向上させることができ、それによりプロセスのスループットの低下を防止できる。また、第3の研磨工程の研磨時間が第2の研磨工程よりも短いので、ARL膜110の表面が大きく削られることを防止できる。このとき、第3の研磨工程における前述の圧力及び回転速度がそれぞれ第1の研磨工程(銅膜113及び114の研磨工程)と比べて小さいと、ARL膜110の表面が大きく削られることをより確実に防止できる。
【0060】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の実施形態に係る配線構造の形成方法について図面を参照しながら説明する。尚、第2の実施形態が第1の実施形態と異なっている点は、銅配線の形成にデュアルダマシン法を用いていることである。
【0061】図7(a)〜(c)及び図8(a)、(b)は、第2の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【0062】まず、図7(a)に示すように、例えばシリコンよりなる基板200上の第1のシリコン酸化膜201を形成した後、第1のシリコン酸化膜201の上に、例えばタングステン膜よりなる下層配線202を形成する。その後、下層配線202の上を含む第1のシリコン酸化膜201の上に、例えばCVD法により第2のシリコン酸化膜203及びARL膜204を順次堆積する。ここで、ARL膜204は、例えば上層のSiON膜と下層のSiO2 膜との2層構造を有すると共に、後続のリソグラフィー工程における露光時の解像度を向上させる機能を有する。その後、リソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて、ARL膜204及び第2のシリコン酸化膜203に、下層配線202に達するビアホール205を形成する。
【0063】次に、図7(b)に示すように、基板200の上に全面に亘ってレジストを塗布した後、リソグラフィー法を用いて、配線用溝形成領域に開口部を持つレジストパターン206を形成する。
【0064】次に、図7(c)に示すように、レジストパターン206をマスクとして、ARL膜204及び第2のシリコン酸化膜203に対してドライエッチングを行なって複数の配線用溝207を形成した後、レジストパターン206をアッシングにより除去する。ここで、複数の配線用溝207は、ビアホール205に達する配線用溝(元のビアホール205の上部を含む領域に形成される)を含んでいる。また、各配線用溝207は、例えば互いに平行に配置されており、配線用溝207同士の間の距離は0.25μm程度である。
【0065】次に、図8(a)に示すように、各配線用溝207及びビアホール205が途中まで埋まるようにARL膜204の上に窒化タンタル(TaN)膜208を堆積する。ここで、窒化タンタル膜208はバリア層として機能する。続いて、各配線用溝207及びビアホール205が完全に埋まるように窒化タンタル膜208上に銅膜209を堆積する。
【0066】次に、図8(b)に示すように、Cu研磨用スラリーを用いたCMP法により、各配線用溝207及びビアホール205の外側の領域に堆積された銅膜209を除去する(第1の研磨工程)。これにより、各配線用溝207及びビアホール205の外側の窒化タンタル膜208が露出する。続いて、バリア層(TaN)研磨用スラリーを用いたCMP法により、各配線用溝207及びビアホール205の外側の領域に堆積された窒化タンタル膜208を除去する(第2の研磨工程)。これにより、各配線用溝207及びビアホール205に、第2のシリコン酸化膜203等の絶縁膜との間にバリア層を持つ銅配線(上層配線)210が形成されると共に、ARL膜204の表面が露出する。ここで、銅配線210は、ビアホール205内に形成され且つ下層配線202と電気的に接続されたプラグ部分を有する。
【0067】尚、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1及び第2の研磨工程を同一のCMP装置(図5参照)を用いて行なう。また、第1の研磨工程から第2の研磨工程に移行する際に、スラリーの種類等の研磨条件を変更する。具体的には、第2の研磨工程における基板200を研磨パッドに押し当てる圧力及び該研磨パッドの回転速度はそれぞれ第1の研磨工程と比べて小さい。
【0068】ところで、以上に説明したようなCMP法を用いた第2の研磨工程の終了時点において、銅配線210の間のARL膜204の表面に生じた亀裂に銅等の金属(図示省略)が埋め込まれてしまう。ここで、亀裂中に埋め込まれた金属が、銅配線210同士の間に擬似的な架橋構造を形成する場合、銅配線210同士の間でショートが発生してしまう。
【0069】そこで、本実施形態においては、銅配線210を構成する銅膜の膜厚の減少を最小限に抑えながら、銅配線210間におけるショートの発生頻度を低減するために、以下に説明するような方法を用いて、亀裂中に埋め込まれた金属の除去を行なう。
【0070】まず、第2の研磨工程の終了後、基板200をCMP装置から取り出して基板200の表面を洗浄する。これにより、第1の研磨工程又は第2の研磨工程で発生した削りくず(異物)を基板200の表面から洗い流すことができる。基板200の洗浄には、例えば、有機酸溶液又は有機アルカリ溶液を用いる。ここで、異物となる削りくずを除去することが重要である。すなわち、基板200上に削りくずを残したまま、ARL膜204の表面の亀裂中に埋め込まれた金属を除去しようとすると、その削りくずによってARL膜204又は銅配線210に新たな損傷が生じてしまう可能性があるからである。具体的には、当初の亀裂中に埋め込まれていた金属を除去できたとしても、銅配線210が損傷したり(つまり銅配線210を構成する銅膜が薄くなったり)、又はARL膜204に新たな亀裂が生じて該亀裂中に金属が埋め込まれたりする可能性がある。
【0071】本実施形態において、前述の基板200に対する洗浄工程(異物除去工程)は、基板200をCMP装置から洗浄装置に移動させて行なわれる。このとき、基板200を洗浄している間に、研磨パッドに付着した削りくず(異物)を除去しておくことが好ましい。その理由は、前述の基板200の洗浄の場合と同様である。すなわち、研磨パッド上に残存する削りくずを除去しておくことによって、基板200上のARL膜204の表面の亀裂中に埋め込まれた金属を該研磨パッドを引き続き用いて除去した際に、ARL膜204の表面等に新たな損傷が生じることをより確実に防止できる。ここで、研磨パッド上に残存する削りくずの除去は、例えば、CMP装置において研磨パッドを回転させながらスラリーに代えて純水を供給して研磨パッドを洗浄することにより行なわれる。或いは、研磨パッドの表面を砥石を用いてブラッシングすることにより、削りくずの除去を行なってもよい。これらにより、研磨パッドの表面に付着した削りくずを確実に除去することができる。
【0072】次に、異物除去工程の後、ARL膜204の表面の微小な亀裂中に埋め込まれた金属を除去するために、CMP法によりARL膜204の表面を研磨する(第3の研磨工程)。これにより、配線間ショートの原因となる、亀裂中の金属を亀裂と共に除去することができる。
【0073】尚、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第3の研磨工程を、第1及び第2の研磨工程と同一のCMP装置(図5参照)を用いて行なう。また、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件は、第2の研磨工程(つまり窒化タンタル膜208(バリアメタル膜)に対する研磨工程)の研磨条件と同じである。具体的には、第3の研磨工程における基板200を研磨パッドに押し当てる圧力及び該研磨パッドの回転速度はそれぞれ第2の研磨工程と同じである。すなわち、第3の研磨工程における前述の圧力及び回転速度はそれぞれ第1の研磨工程(銅膜209の研磨工程)と比べて小さい。また、第3の研磨工程で用いられるスラリーは、第2の研磨工程と同様に、バリア層(TaN)研磨用スラリーである。一方、第3の研磨工程の研磨時間は、第2の研磨工程におけるバリアメタル膜の研磨時間よりも短い時間(例えば20秒程度)に設定される。その理由は、第3の研磨工程は、脆弱なARL膜204の亀裂中に埋め込まれた不要な金属の除去を目的とするものであって、ARL膜204以外の膜、例えば銅配線210を構成する銅膜については、その膜減りを最小限に押さえたいからである。また、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件を第2の研磨工程と同じにしているので、ARL膜204に対しては研磨が適度に行なわれ、それによりARL膜204の表面に埋め込まれた金属が除去される。また、第3の研磨工程の研磨条件(基板を研磨パッドに押し当てる圧力、研磨パッドの回転速度、スラリー、研磨時間等)は銅が研磨されにくい条件であるため、第3の研磨工程によって、銅配線210を構成する銅膜が大きく研磨されることもない。
【0074】以上に説明したように、第2の実施形態によると、基板200上のARL膜204及び第2のシリコン酸化膜203に設けられた配線用溝207及びビアホール205に、バリアメタル膜(窒化タンタル208)及び配線用導電膜(銅膜209)を順次埋め込んだ後、配線用溝207及びビアホール205の外側の配線用導電膜及びバリアメタル膜を研磨により除去する。その後、研磨時に基板200に付着した異物(削りくず)を除去した後、ARL膜204の表面を研磨する。このため、バリアメタル膜の研磨時に、配線用溝207間(つまり銅配線210間)に存在するARL膜204の表面に微小な亀裂が発生し、該亀裂中に金属が埋め込まれた場合に、次のような効果が得られる。すなわち、バリアメタル膜の研磨時等に基板200に付着した異物を除去した後にARL膜204の表面に対して仕上げ研磨を行なうので、異物によってARL膜204の表面が新たに損傷を受けることを防止しながら、亀裂中に埋め込まれた金属を除去することができる。従って、亀裂中に埋め込まれた金属によって銅配線210間が架橋される事態を回避できるので、配線間におけるショート発生が抑制された配線構造、つまり高性能配線を形成することができる。
【0075】また、従来技術においては、互いに隣り合う配線同士の間の距離が小さくなるに従って、特に、配線間距離が0.25μm以下になると、配線間ショートが顕著に生じてきた。それに対して、本実施形態によると、配線間距離が0.25μm以下の場合に、配線間ショートを防止する効果がより顕著に得られる。
【0076】また、第2の実施形態によると、第3の研磨工程(ARL膜204の研磨工程)における基板200を研磨パッドに押し当てる圧力及び該研磨パッドの回転速度はそれぞれ第2の研磨工程(窒化タンタル膜208の研磨工程)と同じである。言い換えると、研磨時間を除く第3の研磨工程の研磨条件は、第2の研磨工程と同じである。このため、第2の研磨工程から第3の研磨工程に移行する際に研磨条件の複雑な変更を行なう必要がないので、配線形成における作業性を向上させることができ、それによりプロセスのスループットの低下を防止できる。また、第3の研磨工程の研磨時間が第2の研磨工程よりも短いので、ARL膜204の表面が大きく削られることを防止できる。このとき、第3の研磨工程における前述の圧力及び回転速度がそれぞれ第1の研磨工程(銅膜209の研磨工程)と比べて小さいと、ARL膜204の表面が大きく削られることをより確実に防止できる。
【0077】尚、第1又は第2の実施形態において、ARL膜を利用して第1層目の銅配線を形成する場合を対象としたが、ARL膜を利用して多層の銅配線の形成を行なう場合、第2層目以降の上層の銅配線の形成に本実施形態の方法を適用してもよい。また、配線用溝に銅以外の導電膜を埋め込んで配線を形成する場合に本実施形態の方法を適用してもよい。
【0078】また、第1又は第2の実施形態において、バリアメタル膜の種類は特に限定されるものではないが、配線用導電膜として銅膜を用いる場合には、バリアメタル膜として、例えばタンタル膜、窒化タンタル膜、又はタンタル膜と窒化タンタル膜との積層膜を用いることが好ましい。また、配線が埋め込まれる絶縁膜の種類及びARL膜の種類も特に限定されるものではない。
【0079】また、第1又は第2の実施形態において、第2の研磨工程(バリアメタル膜の研磨)後に行なわれる異物除去工程(基板洗浄工程)では、有機酸溶液又は有機アルカリ溶液を用いて基板洗浄を行なうことが好ましい。このようにすると、基板表面に付着した異物(削りかす)を確実に除去することができる。このとき、有機アルカリとしては、例えばTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)等のヒドロキシルアミンを用いてもよい。また、有機酸としては、例えばシュウ酸、クエン酸又はリンゴ酸等の、カルボキシル基(−COOH基)を2つ以上持つカルボン酸を用いてもよい。
【0080】また、第1又は第2の実施形態において、Cu研磨用スラリーの種類及びバリア層(TaN)研磨用スラリーの種類はそれぞれ特に限定されるものではないが、例えば過酸化水素水が酸化剤として含有されたCu研磨用スラリー、及び例えば硝酸(若しくはその派生化合物)が酸化剤として含有されたTaN研磨用スラリー等を用いてもよい。また、互いに粒子サイズが異なるCu研磨用スラリー及びTaN研磨用スラリーを用いてもよい。また、第3の研磨工程で用いられるスラリーの種類は特に限定されるものではないが、第2の研磨工程と同様に、バリア層研磨用スラリーを用いることが好ましい。このようにすると、第3の研磨工程で、配線用導電膜が大きく研磨されることを防止できるので、配線抵抗の増大を防止できる。また、第2の研磨工程から第3の研磨工程に移行する際の研磨条件の変更がより簡単になる。さらに、第3の研磨工程を2段階に分けて行なうと共に、第3の研磨工程の第1段階で第1の研磨工程と同じ条件で研磨を実施し、引き続いて、第3の研磨工程の第2段階で第2の研磨工程と同じ条件で研磨を実施してもよい。このようにすると、配線形成における歩留まりをさらに向上させることができる。
【0081】また、第1又は第2の実施形態において、第1〜第3の研磨工程を同一のCMP装置を用いて行なったが、これに代えて、全ての研磨工程を別々のCMP装置を用いて行なってもよいし、又はいずれか1つの研磨工程のみを別のCMP装置を用いて行なってもよい。但し、第2の研磨工程及び第3の研磨工程は同じ研磨装置及び研磨パッドを用いて行なわれることが好ましい。このようにすると、研磨装置の効率的な運用が可能となる。また、第1〜第3の研磨工程で使用可能なCMP装置は、1個の基板ホルダーを有し且つ1度の研磨工程で1枚の基板を研磨する方式のものに限られない。すなわち、複数の基板ホルダーを有し且つ1度の研磨工程で複数枚の基板を研磨する方式のCMP装置を用いてもよい。
【0082】
【発明の効果】本発明によると、絶縁膜及びその上の反射防止膜に設けられた配線用溝にバリアメタル膜及び配線用導電膜を順次埋め込んで配線を形成する際に、バリアメタル膜の研磨時等に基板に付着した異物を除去してから反射防止膜の表面に対して仕上げ研磨を行なう。このため、異物によって反射防止膜表面が新たに損傷を受けることを防止しながら、反射防止膜表面の亀裂中に埋め込まれた金属を除去できるので、該金属によって配線間が架橋される事態を回避できる。従って、配線間におけるショート発生頻度を低減できるので、高性能配線を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図3】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法の一工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第1又は第2の実施形態に係る配線構造の形成方法において用いられるCMP装置の概略構成図である。
【図6】(a)は本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法によって形成された銅配線同士の間におけるショート発生頻度を、従来技術の場合と比較した結果を示す図であり、(b)は本発明の第1の実施形態に係る配線構造の形成方法によって形成された配線構造における配線間距離及び配線幅を模式的に示す図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図8】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は従来の配線構造の形成方法の各工程を示す断面図である。
【図10】従来の配線構造の形成方法における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
100 基板
101 第1のシリコン酸化膜
102 下層配線
103 第2のシリコン酸化膜
104 ビアホール
105 チタン膜
106 窒化チタン膜
107 タングステン膜
108 プラグ
109 FSG膜
110 ARL膜
111 配線用溝
112 窒化タンタル膜
113 第1の銅膜
114 第2の銅膜
115 銅配線(上層配線)
116 亀裂中に埋め込まれた金属
151 ウェハ
152 ホルダー
153 研磨パッド
154 研磨定盤
155 スラリー
156 スラリー供給管
200 基板
201 第1のシリコン酸化膜
202 下層配線
203 第2のシリコン酸化膜
204 ARL膜
205 ビアホール
206 レジストパターン
207 配線用溝
208 窒化タンタル膜
209 銅膜
210 銅配線(上層配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 絶縁膜の上に反射防止膜を形成した後、前記反射防止膜及び前記絶縁膜に、第1の溝、及び前記第1の溝と隣り合う第2の溝を形成する溝形成工程と、前記第1の溝及び前記第2の溝が埋まるように前記反射防止膜の上にバリアメタル膜及び導電膜を堆積する膜堆積工程と、前記第1の溝の外側及び前記第2の溝の外側の前記導電膜を研磨により除去する第1の研磨工程と、前記第1の研磨工程よりも後に、前記第1の溝の外側及び前記第2の溝の外側の前記バリアメタル膜を研磨により除去する第2の研磨工程と、前記第2の研磨工程よりも後に、被研磨面に付着した異物を除去する異物除去工程と、前記異物除去工程よりも後に、前記反射防止膜の表面を研磨する第3の研磨工程とを備えていることを特徴とする配線構造の形成方法。
【請求項2】 前記第2の研磨工程と前記第3の研磨工程との間に、前記第2の研磨工程で用いた研磨パッドに付着した異物を除去する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項3】 前記研磨パッドに付着した異物を除去する工程は、前記研磨パッドを洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の配線構造の形成方法。
【請求項4】 前記研磨パッドに付着した異物を除去する工程は、前記研磨パッドの表面を砥石によりブラッシングする工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の配線構造の形成方法。
【請求項5】 前記第2の研磨工程及び前記第3の研磨工程は同じ研磨装置及び研磨パッドを用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項6】 前記第3の研磨工程における前記被研磨面を研磨パッドに押し当てる圧力及び該研磨パッドの回転速度は前記第2の研磨工程と同じであることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項7】 前記第3の研磨工程の研磨時間は前記第2の研磨工程と比べて短いことを特徴とする請求項6に記載の配線構造の形成方法。
【請求項8】 前記第3の研磨工程における前記圧力及び前記回転速度はそれぞれ前記第1の研磨工程と比べて小さいことを特徴とする請求項6に記載の配線構造の形成方法。
【請求項9】 前記第3の研磨工程で用いられる研磨剤は前記第2の研磨工程と同じであることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項10】 前記第3の研磨工程は、研磨条件の異なる2段階の研磨工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項11】 前記2段階の研磨工程のうちの一の段階で用いられる研磨剤は前記第2の研磨工程と同じであると共に、前記2段階の研磨工程のうちの他の段階で用いられる研磨剤は前記第1の研磨工程と同じであることを特徴とする請求項10に記載の配線構造の形成方法。
【請求項12】 前記異物除去工程は、有機酸又は有機アルカリを用いて前記被研磨面に対して洗浄を行なう工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項13】 前記第1の溝と前記第2の溝との間隔は0.25μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項14】 前記第1の溝と前記第2の溝とは互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項15】 前記第1の溝及び前記第2の溝における配線形成はデュアルダマシン法を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項16】 前記反射防止膜はシリコン含有材料よりなることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項17】 前記導電膜は銅膜であり、前記バリアメタル膜はタンタル膜、窒化タンタル膜、又はタンタル膜と窒化タンタル膜との積層膜であることを特徴とする請求項1に記載の配線構造の形成方法。
【請求項18】 前記第1の溝又は前記第2の溝に形成される配線は、該配線の下側に形成されているプラグと電気的に接続されることを特徴とする請求項17に記載の配線構造の形成方法。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−257977(P2003−257977A)
【公開日】平成15年9月12日(2003.9.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−372111(P2002−372111)
【出願日】平成14年12月24日(2002.12.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】