説明

閉鎖兼安全保護支柱

本発明は、平面を囲繞および/または閉鎖あるいは保全するためや、人、動物および/または交通の流れを誘導するために固定して又は移動可能に用いられる閉鎖兼安全保護支柱に関する。この支柱は、少なくとも1つの可撓性の閉鎖手段(7、35)を収容するための少なくとも1つの収納部(2、34)を有する基体(1、31)から成る。この単数又は複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)は、帯体引き込み部によって前記収納部(2、34)の中へ自動的に引き込み可能である。本発明では、単数又は複数の閉鎖手段(7、35)のための単数又は複数の収納部(2、34)が、閉鎖兼安全保護支柱の基体(1、31)の下端内部および/または下端外面に配置されている。基体(1、31)は、単数又は複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)を該基体の下端から自由端まで案内するための手段を有する。これにより、閉鎖兼安全保護支柱の重心が低くなり、このことが、支柱の安定性を高める。また、風の作用面が高い位置に来ることが避けられる。従って、本発明に係る技術上の解決手段は、農業分野における用途、特に柵のために適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面を囲繞および/または閉鎖あるいは保全するためや、人、動物および/または交通の流れを誘導するために固定してまたは移動可能に用いられる閉鎖兼安全保護支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
閉鎖兼安全保護支柱は、単独でも、可撓性の閉鎖手段、例えば革帯、ロープ、バリアテープ、導電帯体などと共にも用いられ、後者の場合、可撓性の閉鎖手段は、ドラムから繰り出すことができ、支柱に備えられたフックまたはグロメットに固定される。また、中に可撓性の閉鎖手段、すなわち電気柵が巻回されている巻線キャリア取り付け具を、電気絶縁して支柱に載置し、そこに固定することが既に公知である。電気柵用の巻き付け装置には、戻しばねが備えられており、この戻しばねが、引き出された電気柵を、隣接する支柱から取り外した後、自動的に手繰り寄せる(特許文献1、特許文献2)。また、農業の用途にも、引き込み式のバリアが考案されている。このバリアは、パイプ状の収納部から成り、この収納部の中へ、該収納部のほぼ全長にわたって延在する可撓性の帯体が、自動的に引き込まれ、手動で再び引き出すことができる。このバリアは、取り外し可能に支柱に固定されている(特許文献3)。同様にパイプ状の帯体収納部が杭の上に載置可能であり、この帯体収納部に2つの帯体ロールが互いに間隔をおいて配置されており、これにより、2つの細い可撓性のバリアを異なった高さに張り渡すことができる。これらの帯体ロールにも、引き込み機構が備えられている(特許文献4)。最後に、支柱に載置可能な、群衆を誘導するための引き込み式バリアが公知である(特許文献5)。これら全ての自動引き込み式巻回装置の短所は、支柱と結合することによってしか利用できないこと、すなわち、支柱に固定するか、あるいは支柱に載置して係止しなければならないことである。これは、組み立てコストの増加につながるだけでなく、製造の際にも、適当な取り付け部材及び固定部材を実現するための特別な措置を必要とする。現実には、これらの巻回装置は、閉鎖兼安全保護支柱の、選定された構成にしか適合しないであろうから、公知の自動引き込み式バリアの利用は制限されている。また、短所として、自動引き込み式バリアを装備した支柱は構造上頭が重いという点があり、支柱の安定性が損なわれる。可撓性の閉鎖手段を引き出す際に閉鎖兼安全保護支柱に作用する曲げ力あるいは引っ張り力が、この支柱にさらに荷重を加える。戸外で利用する際、これらの装置は、風に対する作用面が小さくない。巻回装置を汚れ及び風化作用から十分に保護しないと、これらの装置の耐久性に悪影響が及ぶ。
【0003】
最後に、載置された巻回装置が美観上好ましくない印象を与えるという点も指摘しておかなければならない。
【0004】
また、1つまたは複数の帯体リールが支柱内に上下に異なった高さに配置されている交通誘導機構が公知である。それぞれ各帯体リールの高さに、帯体の出口が設けられている(特許文献6、特許文献7、特許文献8)。これらの機構には、確実に立設することを保証する脚部を有する非常に重厚な支柱が必要であり、従って、重くて扱いにくく、そのため、一時的な交通誘導以外の目的にはほとんど不向きであり、特に、農業分野での利用、例えば柵の支柱としては適していない。さらに、支柱は、帯体を引き出す際に支柱の長手軸に対して常に垂直に荷重を受けるので、これにより、支柱は、引っ張られて完全に転倒する恐れや、立設位置から移動する恐れがある。
【0005】
自動引き込み式の可撓性の閉鎖手段を有する係柱の立設安定性の問題は、別の技術上の解決策の場合、自由端がキャップによって閉じられた中空の基体を地中に固定しておくことによって解決されている。可撓性の閉鎖手段は、係柱の基礎部に巻回することも、基体の上部領域に配置されている固有の巻回手段によって巻回することも可能である(特許文献9)。しかし、この種の係柱は、固定された場所に常に結合されているので、柔軟に用いることができない。
【0006】
自動引き込み式の可撓性の閉鎖手段を可搬の中空の閉鎖兼安全保護支柱内に格納することが、ロープ閉鎖システムあるいは人的閉鎖システムに関して記載されており、このシステムの、ロープを引き込むための引き込み機構は、支柱のほぼ全長に格納されている巻き付けシステムから成る。引き込み機構としては重りが用いられる(特許文献10)。重りは、ロープが引き出された際、支柱の上部領域に位置するので、支柱は頭が重くなる。従って、より確実な立設のためには、適当な幅及び重さの脚部が必要である。そのため、この閉鎖兼安全保護支柱の取り扱いが、やはり困難となる。また、可撓性の閉鎖手段の長さは、支柱の長さによって制限されており、これにより、比較的短い閉鎖長さに利用することに限定されてしまう。従って、これらの支柱を例えば農業または林業の分野で用いることは、推奨されない。
【0007】
特に、工事現場の保安のために、閉鎖帯体用に自動巻回のための戻しばねが備えられている閉鎖帯体ドラムを、スタンドの脚部に、またはスタンド自体に配置することが提案されている(特許文献11)。閉鎖帯体ドラムをスタンド上に配置する場合、閉鎖兼安全保護支柱の頭が重いために不安定になるという上述の問題が生じる。この場合、本書に挙げた用途、例えば工事現場の保安、管理領域及び監視領域の境界設定などの際、必要な立設安定性を得るために、通例、重厚な脚部を有する安定したスタンドが用いられる。閉鎖帯体ドラムをスタンドの脚部に配置することは、技術的には確かに有効であるが、それに応じた構成の脚部を必要とする。脚部を有するスタンドに閉鎖帯体ドラムを追加装備することは、容認できる経済上のコストでは事実上不可能である。多くの用途、例えば農業または林業の分野における用途では、支柱は、比較的大きな閉鎖帯体ドラムを収容するのに適した脚部を具備するわけにはいかない。従って、このような技術上の解決策の利用は、非常に限られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国実用新案第20108560号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10222560号明細書
【特許文献3】欧州特許翻訳文公報第69606055号明細書
【特許文献4】特開2000−320193号公報
【特許文献5】米国特許4844420号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0017115号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0220537号明細書
【特許文献8】仏国特許出願公開第2433090号明細書
【特許文献9】仏国特許出願公開第2817885号明細書
【特許文献10】英国特許第2376247号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第3524356号明細書
【発明の概要】
【0009】
これに対して、請求項1に記載の特徴を有する、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱は、巻回及び繰り出し装置を含む単数または複数の可撓性の閉鎖手段を具備する収納部が、閉鎖兼安全保護支柱の基体の下端内部および/または下端面に配置されているという利点を有する。閉鎖兼安全保護支柱のこの領域に構成要素を配置することで、支柱の重心が低くなり、これにより、支柱の立設安定性が高まる。また、風の作用面が高い位置に来ることが避けられる。従って、本発明に係るこの技術上の解決策は、農業分野における用途、特に柵に適しており、本発明に従って単数または複数の収納部を低い位置に配置することによって、柵の支柱の立設安定性が向上する。さらに、この解決策は、柵についての、特に迅速な組み立て及び分解、優れた扱いやすさ及び可搬性に関する極めて多様な要求に対して柔軟性を有する点で優れている。従来の柵杭に、適当な固定手段を備えた収納部を、例えば簡単な戻り止めによって追加装備することができ、しかも、その際、柵杭を変更する必要がない。
【0010】
また地表面のすぐ上に配置された収納部から、可撓性の閉鎖手段を引き出すことができると有利であり、これにより、既に位置決めされている支柱に対して、曲げ方向の負荷がかからない。曲げが起こると、変位が生じる恐れがあり、あるいは、既に支柱が地中に挿入されている場合には、ぐらつきが生じる恐れがある。可能な限り低い位置に配置された収納部からだと、支柱の軸線に対して垂直に引き出したとしても、自立する支柱の転倒や意図せぬ変位を、あるいは、地中に差し込まれた支柱のぐらつきを生じさせるほど大きい曲げモーメントは全く生じることがない。
【0011】
本発明の有利な態様では、単数または複数の可撓性の閉鎖手段のために、単数または複数の収納部が、基体の外面に配置されており、可撓性の閉鎖手段のための複数の帯体引き込み部を収容する。すなわち、帯体引き込み部は、コンパクトなハウジング内に、対向してまたは相並んでまたは上下に配置されている。この態様は、とりわけ、異なった高さおよび/または方向に閉鎖手段が繰り出されるような閉鎖兼安全保護支柱のために想定されている。しかしまた、各帯体引き込み部のためにそれぞれ1つの収納部を設けて、この収納部を基体の下端に個別に固定することも考えられる。この態様は、モジュールシステムとして特に良く適しているので、前述の態様よりも柔軟に利用可能である。
【0012】
本発明の別の有利な態様では、巻回及び繰り出し装置を含む単数または複数の可撓性の閉鎖手段のための収納部が、基体に分離可能に結合されており、これにより、閉鎖兼安全保護支柱を改装する際に高い柔軟性が得られ、前述のモジュールシステムをさらに有効に利用することができる。巻回及び繰り出し装置を、例えば交換または修理のために容易に基体から取り外すことが可能である。
【0013】
本発明の別の有利な態様では、基体が中実のロッドとして構成されている。この場合、単数または複数の可撓性の閉鎖手段が、基体の外面に案内されている。このような閉鎖兼安全保護支柱は、頑強で、構造が単純であり、従ってまた、経済的にも有利に製造することが可能である。
【0014】
本発明の、これに関する有利な態様では、単数または複数の可撓性の閉鎖手段を基体に案内するための手段に、さらにフック、グロメットまたはそれに類するものが備えられており、これらに、隣接する支柱の可撓性の閉鎖手段を掛け入れることができる。
【0015】
本発明の別の有利な態様では、収納部に結合手段が備えられており、これにより、該収納部に、巻回及び繰り出し装置を含む少なくとも1つの追加的な収納部を固定することができる。上述のように、これによって、基体から閉鎖手段をさまざまな方向および/または異なった高さに引き出すことができる。しかし、この態様の場合は、1つの収納部だけを基体に固定すればよい。
【0016】
本発明の別の有利な態様では、基体が棒状に構成されており、その下端に少なくとも1つの尖端部が備えられていて、この尖端部が、柔らかい地中に押し込まれ、これによって、閉鎖兼安全保護支柱の立設安定性を向上させる。このような閉鎖兼安全保護支柱は、適当な長さの尖端部を地面に打ち込むこともできる。このような装備を有する閉鎖兼安全保護支柱は、特に農業及び林業の分野で良好に利用することができる。
【0017】
本発明の別の有利な態様では、帯体引き込みロールを具備する少なくとも3つの収納部が、外部から基体に固定されており、その際、収納部の下面は、水平の平面に位置している。これにより、収納部下面は、閉鎖兼安全保護支柱のための底面として用いることができる。そのとき、3つの収納部は、基体を中心にして互いに対して120°の角度に配置されている。
【0018】
本発明の別の有利な態様では、閉鎖兼安全保護支柱の基体に踏面が備えられており、これにより、工具を用いることなく、従って損傷することなく、基体を地面に係留することができる。
【0019】
本発明の1つの有利な態様では、基体が中空に構成されており、1つまたは複数の出口を有し、この出口を通じて、単数または複数の可撓性の閉鎖手段が外部へ案内されている。これは、閉鎖部あるいは安全部を使用しないときに、閉鎖手段は、閉鎖兼安全保護支柱の内部に位置するという利点を有する。このことは、美観の点から、及び、安全技術上の観点から、人の交通および/または車両の交通を伴う領域でこの閉鎖兼安全保護支柱を使用する際に有利である。また、可撓性の閉鎖手段が、支柱を運搬または保管する際に邪魔にならず、互いに絡み合うことが極力避けられる。
【0020】
引き出し及び引き込みを容易にするために、可撓性の閉鎖手段を、基体内においてそれぞれ1つのチャネルで案内することが有用である。チャネルは、可撓性の閉鎖手段のそれぞれの出口にまで達する。これにより、複数の閉鎖手段が互いに絡まり合うことが避けられる。これは、特に、閉鎖手段のためにただ1つの帯体引き込みロールしか存在しない場合に有利である。
【0021】
本発明の別の有利な態様では、可撓性の閉鎖手段が閉鎖兼安全保護支柱の基体から出るための各出口に、ガイド機構が備えられている。これにより、可撓性の閉鎖手段を、より容易に引き込むこと、及び、引き出すことが可能であり、また、閉鎖手段が丁寧に取り扱われる。
【0022】
本発明の別の有利な態様では、出口は、基体における長い垂直のスリットによって形成され、このスリットには、高さの調整が可能なそれぞれ1つのガイド機構が備えられている。スリットは、閉鎖手段の所望の高さに合わせて調整され、この位置において基体に係止される。その際、閉鎖兼安全保護支柱の装備に応じて、閉鎖手段を基体のガイド機構の下方または上方から引き出すことができる。閉鎖手段が基体内部において個別のチャネルで案内される場合、これらのチャネルは、それぞれ、閉鎖手段の最も高い出口箇所にまで達する。その際、ガイド機構をそれより低く設定する場合、閉鎖手段は、ガイド機構の下側を通して引かれねばならない。しかしまた、ガイド機構が、閉鎖手段を案内するためのスリットを有することもできる。この場合、閉鎖兼安全保護支柱の装備が、これに関連する働きを担うことはない。
【0023】
本発明の別の有利な態様では、単数または複数の出口に汚れワイパーが備えられている。汚れワイパーは、自動引き込み中の閉鎖手段のクリーニング及び円滑化に用いられる。さらに、汚れワイパーの利点は、侵入する湿気及び侵入する粗い夾雑物から出口を保護することにある。当然、ガイド機構による閉鎖手段の案内とこの機能とを組み合わせることも可能である。この場合、1つの装置しか必要とせず、この装置が、これらの全ての役割、すなわち閉鎖手段の案内、クリーニング及び円滑化と、侵入する汚染物からの保護とを引き受ける。
【0024】
通例、屋外で用いられる閉鎖兼安全保護支柱には、単数または複数の、可撓性の閉鎖手段を掛止するための手段、例えばフックおよび/またはグロメットが備えられている。本発明の、これに関連して特に有利な態様では、このフックおよび/またはグロメットが、高さ調整可能に基体に配置されている。従って、これらは、また閉鎖手段のために設定されている高さに、大きなコストを要することなく、正確に合わせて調整することができる。フックおよび/またはグロメットは、閉鎖手段用の開口部を有さない、基体の三方全てに設置されているか、あるいは設置可能であると有利である。
【0025】
可撓性を有する導電性の閉鎖手段、いわゆる導電帯体が、例えば牧草地を囲繞するために用いられる場合、本発明の、これに関連して特に有利な態様では、基体に配置された掛止手段を、基体内において電気的に接続することによって、単数または複数の可撓性の閉鎖手段に接続しておくことができる。これにより、支柱に到達する導電帯体と支柱を離れる導電帯体との間を手動で接触させる必要がなくなる。取り扱いを改善するために、導電帯体は、その引き出し可能な終端に、絶縁されたグリップ部材を有することができる。
【0026】
本発明の別の有利な態様では、閉鎖兼安全保護支柱内に電力源が格納されており、導電帯体に、あるいは、支柱内または支柱面に配置された他の電気負荷に電力を供給する。このような電気負荷としては、例えば、信号ランプまたは他の安全技術上の機構が考えられる。
【0027】
本発明の、下記の有利な態様は、閉鎖兼安全保護支柱の脚部内に配置された単数または複数の帯体引き込みロールに関する。自動帯体引き込み機構を保護するために、帯体引き込みロールには過負荷防止装置を備えておくことができる。過負荷防止装置としては、巻回軸から半径方向へ外向きに、可撓性の閉鎖手段に対して作用する3つの弾性部材を用いることができ、これらの弾性部材は、閉鎖手段が既に完全に引き出された際にもまだ持続している引っ張り力を吸収する。弾性部材は、閉鎖手段のばね荷重式の摺動部材またはロールで構成することができ、これらの摺動部材またはロールが、閉鎖手段の最後の位置を巻回軸から半径方向に押し離す。ばね力は、外側から作用する引っ張り荷重に対して反対方向に向けられており、従って、まず、ばねの圧縮のみが生じる。また、ばねの軸が巻回軸と交差しないようにばねを傾斜配置することによって、摺動部材が屈曲する恐れが小さくなる。最後に、個々の弾性部材は、異なったばね定数を有することができ、従って、弾性部材が次々と作用することにより、閉鎖手段の終端に到達したことが一層明確に伝えられる。
【0028】
本発明のその他の利点及び有利な態様については、実施例の下記の説明、図面及び請求項によって明らかにする。
【0029】
本発明の1つの実施例が図に示されており、以下において詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】中空に構成された、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱の断面を示す。
【図2】前記閉鎖兼安全保護支柱の第2の正面図である。
【図3】底板を具備する閉鎖兼安全保護支柱を示す。
【図4】この閉鎖兼安全保護支柱の第2の正面図である。
【図5】帯体引き込みロールを示す。
【図6】前記帯体引き込みロールのメカニズムを示す。
【図7】中実に構成された、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱を示す。
【図8】可撓性の閉鎖手段のための収納部を示す。
【図9】4つの組み合わされた収納部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1及び図2から分かるように、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱が、パイプ状の支柱ハウジング1から成り、この支柱ハウジングは、その下端が、ロールハウジング2に固定的に結合されており、かつ、その上端が、庇を備えた頭部3によって覆われている。ロールハウジング2は、踏面4の上に取り付けられており、この踏面から、支柱ハウジング1の軸線の延長部分に打ち込み尖端部5が突出している。この打ち込み尖端部は、柔らかい地中へ打ち込むことができる。ロールハウジング2は、軸線が互いに並んで配置された2つの自動帯体引き込みロール6を収容できるように、踏面4に対して横方向に幅広になっている。各帯体引き込みロール6から、可撓性の閉鎖帯体7が出ており、この閉鎖帯体は、支柱ハウジング1の内部において、それぞれ1つの帯体ガイドチャネル8内を案内されている。帯体ガイドチャネル8は、互いに上下に並べて、かつ、対向して支柱ハウジング1に欠設された細長い出口9及び10の上縁部にまで達する。その際、上方の出口9は、頭部3のすぐ下から始まって、下方の出口10の上方で終わり、下方の出口は、支柱ハウジング1のほぼ中央から始まって、上方の出口9と同じ長さを有する。出口9及び10をそれぞれペアとして支柱ハウジング1に配置することの利点として、可撓性の閉鎖帯体7を支柱ハウジング1から外へ選択的に右方向または左方向に案内することができるという点がある。この例では可撓性の閉鎖帯体が導き出されている出口9あるいは10には、高さが調整可能な汚れワイパー11が配置されており、また、対向する出口9あるいは10には、導電性の、同様に高さが調整可能な掛止グロメット12が配置されている。可撓性の閉鎖帯体7の所望の高さに応じて、汚れワイパー11及び掛止グロメット12は、支柱ハウジング1に係止される。本例では導電性の閉鎖帯体が用いられるので、閉鎖帯体の自由端に絶縁性のグリップ部材13が備えられており、このグリップ部材には、さらに、次の閉鎖兼安全保護支柱の掛止グロメット12へ掛け入れるためのフック14が設けられている。グリップ部材13および/またはフック14は、出口9あるいは10を通過しないような寸法を有しており、従って、可撓性の閉鎖帯体7を支柱ハウジング1内へ完全に引き入れることはできない。
【0032】
図3及び図4は、ただ1つの帯体引き込みロール6を備えた閉鎖兼安全保護支柱を示し、この支柱は、任意の、十分に硬い地面に確実に定置することができる。図1及び図2に示された閉鎖兼安全保護支柱から変わることなく受け継がれ、それらの図に既に記載された全ての部材には、同じ符号が付されている。この閉鎖兼安全保護支柱の場合、支柱ハウジング1は頑強な底板15の上に載っており、この底板へ、交換可能な脚部、本例では交換可能な底部尖端部16を螺入することができる。より容易に地中に係留するために、この場合も、底板15にはそれぞれ底部尖端部16の上方に踏面17が備えられている。さらに、この閉鎖兼安全保護支柱には、LED境界及び警告ランプ18が装備されており、かつ、より容易な取り扱いのためにグリップ19が装備されている。このような閉鎖兼安全保護支柱は、主に交通誘導及び交通安全の分野で利用される。
【0033】
以下において、図5及び図6を参照しながら、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱で用いられる、繰り出し安全装置を具備する帯体引き込みロール6の構造及び機能について説明する。帯体引き込みロールは、帯体ガイドチャネル8がつながるハウジング20内に軸支されており、軸21上に回動可能に軸支された三枚羽根のサイドガイド22から成る。サイドガイド22の各羽根には、圧縮ばね24とヨーク25のそれぞれ1つの終端とを収容するための、半径方向の細長い切欠き23が備えられている。その際、図6から分かるように、切欠き23の長手軸は、繰り出しの動きに対してやや傾斜して配置されており、これにより、この長手軸は、軸21と交差することがない。切欠き23をこのように傾斜して配置することは、引っ張られた可撓性の閉鎖帯体7の引っ張り力を圧縮力へ変換することにも好都合であり、これにより、細長い切欠き23におけるヨーク25の終端の摩擦が最小となる。圧縮ばね24は、ヨーク25を、軸21に対して最も外側の位置へ押しやり、これにより、ヨークの外縁が、巻き付けシリンダの可能な最大直径を形成して、この巻き付けシリンダの周囲に、軸21に固定された可撓性の閉鎖帯体7が巻き付けられる。外力がヨーク25に作用するとすぐに、ヨークは、圧縮ばね24の力に抗して、細長い切欠き23によって事前に定められた短い距離を軸21の方向に移動する。このような力は、可撓性の閉鎖帯体7を繰り出す際にヨーク25に対して作用する。その際、繰り出し緩和部として作用する圧縮ばね24は、可撓性の閉鎖帯体7を閉鎖兼安全保護支柱から引き出す人に対して、圧縮ばね24の圧縮によって抵抗力が段階的に強くなることを通じて、可撓性の閉鎖帯体7の終端に到達したことを知らせる。このようにすることで、可撓性の閉鎖帯体7を帯体引き込みロールからもぎ取ってしまうことが避けられる。
【0034】
図7に示された、本発明に係る閉鎖兼安全保護支柱の別の実施形態は、下端が打ち込み尖端部32となっている基体31から成る。打ち込み尖端部32の上方の、破線によって示された、ほぼ地面の高さ辺りにおいて、基体31に踏面33が備えられており、これにより、基体31を足で地中へ踏み入れることができる。この踏面33の上方に、巻回及び繰り出し装置のための収納部34があり、この収納部から、可撓性の閉鎖帯体35が引き出されている。可撓性の閉鎖帯体35は、基体31の上端において、基体に固定できるガイドグロメット36によって案内されており、閉鎖帯体の外端にグリップ部材37と掛止グロメット38とが備えられている。本例では、ガイドグロメット36は、渦巻きばね状に構成されており、それの対向する終端にはフック39が備えられている。このフックには、例えば隣接する支柱から来る1つまたは複数の可撓性の閉鎖帯体35またはそれに類するものを掛止することができる。ガイドグロメット36の渦巻きばね状の構成によって、閉鎖帯体35を、ガイドグロメット36の中を通さなくても基体31に迅速かつ確実に固定すること、及び、閉鎖帯体を迅速に導き入れることが可能となる。さらに、上述の渦巻きばねの形状にガイドグロメット36とフック39とを組み合わせることによって、閉鎖帯体35が張設または掛止された際にガイドグロメット36に対して引っ張り力が作用し、これにより、ガイドグロメットがさらにしっかりと基体31に係合されるという利点が得られる。
【0035】
図8に示した、可撓性の閉鎖手段のための収納部は、基体31のための貫通する孔41を具備するハウジング40と、閉鎖帯体35の出口としてのスリット42とから成る。孔41の両側において、ハウジング40の稜線が45°の角度で面取りされている。一方の面取り部に蟻つぎ溝43が設けられており、もう一方の面取り部に蟻つぎ44が設けられている。従って、ハウジング40に、それぞれ適合した相手方部材を具備する3つの追加的なハウジング40’、40’’及び40’’’を合体することができる。図9は、このような4つのハウジング40から40’’’を結合した状態を示す。この場合、こうして生じた中央の間隙45の中に基体31を通しておくことも可能である。
【0036】
明細書、以下の請求項及び図面に記載された全ての特徴は、単独においても、互いの任意の組み合わせにおいても、本発明の必須要件であり得る。
【符号の説明】
【0037】
1 基体
2 ロールハウジング
3 頭部
4 踏面
5 打ち込み尖端部
6 帯体引き込みロール
7 可撓性の閉鎖帯体
8 帯体ガイドチャネル
9 上方出口
10 下方出口
11 汚れワイパー
12 掛止グロメット
13 グリップ部材
14 フック
15 脚部板
16 底部尖端部
17 踏面
18 LED境界及び警告ランプ
19 グリップ
20 ハウジング
21 軸
22 サイドガイド
23 細長い切欠き
24 圧縮ばね
25 ヨーク
31 基体
32 打ち込み尖端部
33 踏面
34 収納部
35 可撓性の閉鎖帯体
36 ガイドグロメット
37 グリップ部材
38 掛止グロメット
39 フック
40 ハウジング
41 孔
42 スリット
43 蟻つぎ溝
44 蟻つぎ
45 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面または地中に自らを固定するための手段と、少なくとも1つの可撓性の閉鎖手段(7、35)を収容するための少なくとも1つの収納部(2、34)とを有する基体(1、31)から成る閉鎖兼安全保護支柱であって、前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)が、帯体引き込み部によって前記収納部(2、34)の中へ自動的に引き込み可能であり、かつ、ばねの力に抗して前記収納部から引き出し可能であり、そして、該閉鎖手段の引き出し可能な終端に掛止用の手段を有する閉鎖兼安全保護支柱において、
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)のための、前記単数または複数の収納部(2、34)が、該閉鎖兼安全保護支柱の前記基体(1、31)の下端内部および/または下端外面に配置されており、前記基体(1、31)が、前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)を該基体の下端から自由端まで案内するための手段を有することを特徴とする閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項2】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)のための、前記単数または複数の収納部(2、34)が、前記基体外面(1、31)に配置されていて、前記可撓性の閉鎖手段(7、35)のための複数の帯体引き込み部(6)を収容することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項3】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)のための、前記単数または複数の収納部(2、34)が、前記基体外面(1、31)に配置されており、それぞれ1つの収納部(2、34)が、可撓性の1つの閉鎖手段(7、35)のための1つの帯体引き込み部を収容することを特徴とする請求項1に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項4】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)のための、前記単数または複数の収納部(2、34)が、前記基体(1、31)に分離可能に結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項5】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)が、基体外面を案内されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項6】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)を案内するための前記手段に、フック(39)、グロメット(12、36)またはそれに類するものが備えられていることを特徴とする請求項1または5に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項7】
前記収納部(34、40、40’、40’’、40’’’)に、少なくとも1つの追加的な収納部を収容するための結合手段(43、44)が備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項8】
前記基体(31)が、棒状に構成されていて、その下端に尖端部(32)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項9】
前記基体(1、31)の外面に配置された少なくとも3つの収納部(2、34)の下面が、前記閉鎖兼安全保護支柱のための底面を形成することを特徴とする請求項1〜4および7のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項10】
前記基体(1、31)の下端に踏面(4、17)が備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項11】
前記基体(1)が中空に構成されていて、1つまたは複数の出口(9、10)を有し、該出口を通じて、前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7)が、内側から外側に案内されていることを特徴とする請求項1〜4、7および9のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項12】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7)が、前記基体(1)内において、1つまたは複数のチャネル(8)の中を案内されており、該チャネルが、前記基体(1)から、前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7)の前記それぞれの出口(9、10)にまで達することを特徴とする請求項11に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項13】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7)のための各出口(9、10)に、ガイド機構が備えられていることを特徴とする請求項11または12に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項14】
前記単数または複数の出口(9、10)が、前記基体(1)に垂直のスリットによって形成され、該スリットに、それぞれ1つの高さ調整可能なガイド機構が備えられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項15】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7)を高さ調整して掛止するための手段(12、39)が、前記基体(1、31)に備えられていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項16】
該閉鎖兼安全保護支柱内に電力源が格納されていることを特徴とする請求項1〜4および11〜15のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項17】
前記単数または複数の可撓性の閉鎖手段(7、35)のための、前記単数または複数の帯体引き込み部(6)に、過負荷防止装置が備えられていることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項18】
前記過負荷防止装置が、巻回軸(21)から半径方向へ外向きに前記可撓性の閉鎖手段(7、35)に対して作用する3つの弾性部材(24)から成ることを特徴とする請求項17に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項19】
前記弾性部材(24)が、ばね荷重式のロールから成ることを特徴とする請求項18に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項20】
前記ばね行程の軸が前記巻回軸(21)に対して傾斜して配置されていること、すなわち前記巻回軸と交差しないことを特徴とする請求項19に記載の閉鎖兼安全保護支柱。
【請求項21】
前記弾性部材(24)が、異なったばね定数を有することを特徴とする請求項18〜20のいずれか一つに記載の閉鎖兼安全保護支柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−500488(P2010−500488A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523143(P2009−523143)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/DE2007/000755
【国際公開番号】WO2008/017282
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509040318)ロフレックス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】