説明

間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して金属層を形成する方法。

【課題】 間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して金属層を形成する方法を提供することである。
【解決手段】 間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して基板上に金属層を形成する方法は、提供される。方法は、金属−カルボニルプリカーサガスのパルスに基板を曝すと共に、還元ガスに基板を曝すことを含む。所望の厚さを有する金属層が基板上に形成されるまで、プロセスは実行される。金属層は、基板上に形成されることができ、または、交互に、金属層は、金属核生成層上に形成されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このPCT出願は、2003年9月30日に出願の米国非仮特許出願番号第10/673,646号に基づき、その優先権に依るものであり、その全体の内容は、参照によって本願明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
本発明は、半導体処理に関し、より詳しくは、間欠的なプリカーサガスフロープロセスにて、金属−カルボニルプリカーサの熱分解より金属層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路を製造するための多層配線方式(schemes)への銅(Cu)金属の導入は、Cu層の接着および成長を促進し、かつ誘電体材料へのCu拡散を防止するように誘電体材料から化学的にアイソレートする拡散バリア/ライナ(liners)を使用することを要求され得る。
【0004】
誘電体材料上に堆積されるバリア/ライナは、Cuと非反応性および非混合性(immiscible)で、かつ低い電気的抵抗率(electrical resistivity)を提供することができるタングステン(W)、モリブデン(Mo)、およびタンタル(Ta)のような高融点材料(refractive materials)を含むことができる。抵抗率、耐熱性、および、拡散バリア特性のようなWの基本的な物質特性は、先進のCuベースの相互接続アプリケーションに対し、W層を最適なものとする。Cuメタリゼーションと誘電体材料とを集積化する現在のインテグレーション方式は、約400℃と約500℃との間の、またはそれを下回る基板温度でのWバリア/ライナ堆積プロセスを必要とすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水素、またはシランのような還元ガスの存在下で、W層は、タングステン−ハロゲン化物プリカーサ、例えば六フッ化タングステン(WF)を熱的に分解することによる熱化学気相成長(thermal chemical vapor deposition:TCVD)プロセスで基板上に形成されることができる。タングステン−ハロゲン化物プリカーサを使用することに対する欠点は、W層の材料特性を劣化させ得るW層内へのハロゲン化物副生成物の取込みにある。タングステンカルボニルプリカーサのような非ハロゲン含有タングステンプリカーサは、タングステン−ハロゲン化物プリカーサに対する上述の欠点を軽減するために使用されることができる。しかしながら、タングステン−カルボニルプリカーサ(例えば、W(CO))の熱分解によって形成されたW層の材料特性は、W層の電気的抵抗率の上昇と、悪い一様性(poor comformality)を有するW層の形成とをもたらす熱的に堆積されたW層内へのCO反応副生成物の取込みに、起因して悪化し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
処理チャンバ内に基板を準備することと、還元ガスに基板を曝すことと、金属−カルボニルプリカーサガスのパルスに基板を曝すことと、このことにより、金属層を基板上に形成することと、所望の厚さを有する金属層が形成されるまで、曝すプロセスを繰り返すこととによって、金属層を基板上に形成する方法は、提供される。
【0007】
別の実施形態において、複数の微細構造物を有する基板上に金属層を形成する方法は、処理チャンバ内に基板を準備することと、還元ガスに基板を曝すことと、金属−カルボニルプリカーサガスのパルスに基板を曝すことと、このことにより金属層を基板上に形成することと、所望の厚さを有する金属層が形成されるまで、曝すプロセスを繰り返すこととによって、提供される。方法は、第1の厚さを有する金属層を少なくとも1つの微細構造物の底部上に形成することと、第2の厚さを有する金属層を少なくとも1つの微細構造物の側壁上に形成することと、オーバーハングを有する金属層を少なくとも1つの微細構造物の最上部に形成することとを具備する。
【0008】
1つの実施形態において、金属層は、基板上に形成されることができ、または、交互に、金属層は、金属核生成層(metal nucleation layer)の上に形成されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る金属層を形成する処理システムの簡略化された構成図である。処理システム100は、上部チャンバセクション1aと、下部チャンバーセクション1bと、排気チャンバ23とを含む処理チャンバ1を備えている。円形開口部22は、下部チャンバーセクション1bの中央部に形成され、底のセクション1bが排気チャンバ23に接続する。
【0010】
処理チャンバ1の内部に、水平に被処理基板(ウェハ)50を保持する基板ホルダ2が提供される。基板ホルダ2は、排気チャンバ23の下部の中心から上方へ延びる円筒状サポート部材3によって支えられる。基板ホルダ2上に基板50を位置決めするためのガイドリング4は、基板ホルダ2の端部上に提供される。さらにまた、基板ホルダ2は、電源6によって制御され、基板50を加熱するために使用されるヒータ5を含む。ヒータ5は、抵抗ヒータでありことができ、代わりとして、ヒータ5は、ランプヒータであることができる。
【0011】
プロセスの間、加熱された基板50は、熱的にW(CO)プリカーサを分解し、そして、基板50上にW層の形成を可能にすることができる。基板ホルダ2は、基板50上へ所望のW層を堆積させるために適している所定の温度まで加熱される。ヒータ(図示せず)は、所定の温度にチャンバ壁を加熱するように、処理チャンバ1の壁に埋め込まれる。ヒータは、約40℃から約80℃まで処理チャンバ1の壁の温度を維持することができる。
【0012】
シャワーヘッド10は、処理チャンバ1の上部チャンバセクション1aに位置づけられる。シャワーヘッド10の底のシャワーヘッドプレート10aは、基板50上方に位置づけた処理ゾーン60内へW(CO)プリカーサガスを含むプロセスガスを供給するための多数のガス送出孔10bを有する。処理ゾーン60は、基板直径によって、および基板50とシャワーヘッド10との間のギャップによって、規定される体積である。
【0013】
開口10cは、ガス分配コンパートメント10d内へガスライン12からプロセスガスを導入するため、上部チャンバセクション1bに提供される。同心のクーラントフローチャネル10eは、シャワーヘッド10の温度を制御するために、そして、このことによりシャワーヘッド10内部でのW(CO)プリカーサの分解を防ぐために提供される。水のような冷却剤(クーラント)流体は、約20℃から約100℃まで、シャワーヘッド10の温度を制御するために冷却剤流体ソース10fから、クーラントフローチャネル10eへ供給されることができる。
【0014】
ガスライン12は、ガス送出システム300を処理チャンバ1に接続する。プリカーサ容器13は、固体のW(CO)のプリカーサ55を含み、プリカーサヒータ13aは、W(CO)プリカーサ55をW(CO)プリカーサの所望の蒸気圧を生ずる温度に維持するようにプリカーサ容器13を加熱するために提供される。W(CO)プリカーサ55は、65℃で比較的高い蒸気圧Pvap〜1Torr(1Torr=133.322Pa)を有することができる。従って、プリカーサソース13およびプリカーサガス供給ライン(例えばガスライン12)の適度な加熱だけは、W(CO)プリカーサガスを処理チャンバ1に供給するために必要である。さらにまた、W(CO)プリカーサは、約200℃以下の温度では熱的に分解しない。これは、加熱されたチャンバ壁および気相反応とのインタラクションによるW(CO)プリカーサの分解を非常に減少させることができる。
【0015】
実施形態において、W(CO)プリカーサ蒸気は、キャリヤガスを用いずに処理チャンバ1に供給されることができ、または、代わりとして、キャリヤガスは、処理チャンバ1にプリカーサの送出を高めるために使用されることができる。ガスライン14は、ガス供給源15からプリカーサ容器13までキャリヤガスを提供することができ、マスフローコントローラ(MFC)16は、キャリヤガス流量を制御するように使用されることができる。キャリヤガスが使用されるときに、それは、固体のW(CO)プリカーサ55に浸透される(percolated through the solid W(CO) precursor)ように、プリカーサ容器13の下部の中へ導入され得る。代わりとして、キャリヤガスは、プリカーサソース13の中へ導入されることがあり得て、そして固体のW(CO)プリカーサ55の上部全体に渡って分散されることがあり得る。センサ45は、プリカーサ容器13からの総ガス流れを測定するために提供される。センサ45は、例えば、MFCを有し、処理チャンバ1に供給されるW(CO)プリカーサの量は、センサ45と、マスフローコントローラ16とを使用して決定されることができる。代わりとして、センサ45は、処理チャンバ1へのガス流れ中のW(CO)プリカーサの濃度を測定する光吸収センサを有することができる。
【0016】
バイパスライン41は、センサ45から下流に位置づけられ、ガスライン12を排気ライン24に接続する。バイパスライン41は、ガスライン12を排気するために、および、処理チャンバ1へのW(CO)プリカーサの供給を安定させるために提供される。加えて、ガスライン12の分岐から下流に位置づけられるバルブ42は、バイパスライン41に提供される。
【0017】
ヒータ(図示せず)は、独立してガスライン12、14、および41を加熱するように提供され、そこにおいて、ガスラインの温度は、ガスライン内のW(CO)プリカーサの凝縮を回避するために制御されることができる。ガスラインの温度は、約20℃から約100℃まで、または約25℃から約60℃まで制御されることができる。
【0018】
希釈ガスは、ガス供給源19からガスライン18を使用してガスライン12へ供給されることができる。希釈ガスは、プロセスガスを希釈するように、またはプロセスガス分圧を調整するように使用されることができる。ガスライン18は、MFC20およびバルブ21を含む。MFC16およびMFC20、並びにバルブ17,バルブ21およびバルブ42は、キャリヤガス、W(CO)プリカーサガス、および希釈ガスの供給、シャットオフ、および流量を制御するコントローラ40によって制御される。センサ45は、また、コントローラ40に接続され、そしてセンサ45の出力に基づいて、コントローラ40は、処理チャンバ1に所望のW(CO)プリカーサ流量を得るようにマスフローコントローラ16を介してキャリヤガス流量を制御することができる。還元ガスは、ガス供給源61から処理チャンバ1まで、ガスライン64、MFC63、およびバルブ62を使用して供給されることができる。パージガスは、ガス供給源65から処理チャンバ1まで、ガスライン64、MFC67、およびバルブ66を使用して供給されることができる。コントローラ40は、還元ガスおよびパージガスの供給と、シャットオフと、流量とを制御することができる。
【0019】
排気ライン24は、排気チャンバ23を真空排気システム400に接続する。真空ポンプ25は、所望の真空度まで処理チャンバ1を排気し、プロセス中、処理チャンバ1からガス種を取り除くように使用される。自動圧力コントローラ(automatic pressure controller:APC)59およびトラップ57は、真空ポンプ25と直列に使用されることができる。真空ポンプ25は、1秒あたり約5000リットル(および、より高排気)までの排気速度が可能なターボ分子ポンプ(TMP)を含むことができる。代わりとして、真空排気システム400は、ドライポンプを含むことができる。プロセスの間、プロセスガスは、処理チャンバ1内に導入されることができ、そしてチャンバ圧力は、APC59によって調整される。APC59は、バタフライ形式バルブまたはゲートバルブを備えることができる。トラップ57は、処理チャンバ1から未反応のプリカーサ材料および副生成物を収集することができる。
【0020】
処理チャンバ1において、3本の基板リフトピン26(2本だけが、示されている)は、基板50を保持し、上昇させ、および降下させるために提供される。基板リフトピン26は、プレート27に固定され、および基板ホルダ2の上部表面方向へ、下方まで降ろされることができる。例えば、エアーシリンダを利用している駆動機構28は、プレート27を上下させる手段を提供する。基板50は、ロボット移送システム(図示せず)を介してゲートバルブ30およびチャンバフィードスルー通路29を通して処理チャンバ1の内外に移送されることができ、そして基板リフトピンによって受けられることができる。一旦、基板50が移送システムから受けられると、それは、基板リフトピン26を降下させることによって基板ホルダ2の上部表面へ降ろされることができる。
【0021】
処理システムコントローラ500は、マイクロプロセッサと、メモリと、通信し、処理システム100への入力をアクティブにし、同じく処理システム100からの出力をモニタするのに十分な制御電圧を生成することが可能なデジタルI/Oポートとを含む。さらに、処理システムコントローラ500は、処理チャンバ1と、コントローラ40およびプリカーサヒータ13aを含むガス送出システム300と、真空排気システム400と、電源6と、冷却剤流体ソース10fとに組み合わせられ、それらと情報を交換する。真空排気システム400において、処理システムコントローラ500は、処理チャンバ1内の圧力を制御するための自動圧力コントローラ59に組み合わせられ、そしてそれと情報を交換する。メモリに格納されたプログラムは、保存されたプロセスレシピに従って処理システム100の前述のコンポーネントを制御するのに利用される。処理システムコントローラ500の一実施例は、テキサス州ダラスのデル社から入手可能であるDELL PRECISION WORKSTATION 610(登録商標)である。
【0022】
W層を形成する処理システムは、概略的に図1に示され、記載されるような単一ウエハ処理チャンバを備えることができる。代わりとして、処理システムは、同時に複数の基板(ウェハ)を処理することが可能なバッチ型処理チャンバを備えることができる。Siウェハのような半導体基板に加えて、基板は、例えば、LCD基板、ガラス製基板、または化合物半導体基板であり得る。例えば、処理チャンバは、例えば、200mm基板、300mm基板のようなどのようなサイズの基板を、またはより大きい基板でさえ、処理することができる。
【0023】
一般に、さまざまな金属バリア/ライナーは、対応する金属−カルボニルプリカーサから、堆積されることができる。これは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO),Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12のプリカーサから、それぞれ、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRu金属層が堆積されることを含む。
【0024】
金属層は、還元ガスを用いずに金属含有プリカーサより熱的に堆積されることができる。代わりとして、還元剤、例えばHガスは、金属層の堆積の補助に使用されることができる。金属−カルボニルプリカーサの熱分解と、金属層の形成とは、基板からのCO除去と、CO副生成物の脱離とによって主に進行すると考えられる。金属層へのCO副産物の取込みは、金属−カルボニルプリカーサの不完全な分解、吸着されたCO副生成物の金属層からの不完全な除去、および金属層上への処理チャンバ内のCO副生成物の再吸着から生じることがあり得る。金属層へのCO反応副生成物の取込みは、金属層の表面上、および/または金属層中の小瘤(金属パーティクル)の異常成長により、金属層の抵抗率を増加させることになり得て、劣った表面モホロジに至ることになり得る。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、金属層は、一連の金属−カルボニルプリカーサガスのパルス中に、形成される。各パルスは、約5オングストローム(A)厚さと、約60A厚さとの間にある金属層を形成する。本発明の別の実施形態では、各金属−カルボニルプリカーサガスのパルス中に形成される金属層は、約5A厚さと、約10A厚さとの間であり得る。本発明の1つの実施形態では、複数の金属プリカーサガスパルスの後、トータルの金属層厚さは、約500A未満である。周期的なプロセスは、通常の非周期的なプロセス、すなわち、堆積プロセス中の一時期、プリカーサガスが基板に曝される従来の化学気相成長(CVD)プロセスとは、異なる。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して金属層を形成するためのフローチャートである。200で、プロセスは、始められる。202で、基板は、処理チャンバ内に準備され、204で、基板は、還元ガスに曝される。206で、基板は、金属−カルボニルプリカーサガスのパルスに曝され、そして、このことにより、基板上に金属−カルボニルプリカーサガスの熱分解から金属層を形成する。208で、プロセスを終了するかどうかの決定がなされる。210で、所望の厚さが達成されたときに、プロセスは終了され、所望の厚さが達成されていないときには、プロセスは206に戻る。
【0027】
図3は、本発明の実施形態に係る金属層を形成するための間欠的なプリカーサガスフロープロセス中のガスフローを概略的に示す。図3において示される実施形態において、還元ガス、例えばHと、パージガス、例えばArとを含んでいるガスフローは、処理チャンバ内で定められている。引き続き、金属−カルボニルプリカーサガスのパルスは、時間250の間、処理チャンバ内へ流される。時間250の長さは、例えば、金属−カルボニルプリカーサの反応性、キャリヤガスおよび希釈ガスによる金属−カルボニルプリカーサの希釈、および処理システムのフロー特性(流れ特性)に依存することができる。時間250の終わりに、処理チャンバは、パージガスおよび還元ガスによって時間260の間パージされる。概略的に図3に示されるように、パージガスおよび還元ガスの流量は、プロセスの間、一定であり得る。別の形態として、パージガスおよび還元ガスの流量は、プロセスの間、変化し得る。
【0028】
金属−カルボニルプリカーサガスは、金属−カルボニルプリカーサと、オプションとしてキャリヤガスおよび希釈ガスと、を含むことができる。金属−カルボニル流量は、例えば、約0.1sccmと、約200sccmとの間であり得る。キャリヤガス、希釈ガス、およびパージガスは、例えば、Ar、He、Kr、Xe、およびNのような不活性ガスを含むことができる。本発明の1つの実施形態では、キャリヤガス流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間であり得て、パージガス流量は、約50sccmと、約1000sccmとの間であり得て、および、希釈ガス流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間であり得る。
【0029】
一般に、還元ガスは、金属層から反応副生成物の除去を補助することが可能であるガスを含むことができる。本発明の1つの実施形態では、還元ガスは、水素含有ガス、例えばHガスを含むことができる。本発明の別の実施形態では、還元ガスは、シラン(SiH)、ジシラン(Si)、および二塩化シラン(SiCl)のようなシリコン含有ガスを含むことができる。本発明のさらにもう一つの実施形態において、還元ガスは、硼素含有ガス、例えば一般の式でB3xを有する硼素含有ガスを含むことができる。これは、例えば、ボラン(BH)、ジボラン(B)、トリボラン(B)、およびその他を含む。本発明のさらに別の実施形態において、還元ガスは、窒素含有ガス、例えばアンモニア(NH)を含むことができる。本発明の1つの実施形態では、還元ガスの流量は、約10sccmと、約500sccmとの間であり得る。
【0030】
図3に概略的に示される実施形態において、堆積サイクル270は、時間250と、時間260とから成る。時間250の間、薄い金属層は、金属−カルボニルプリカーサの熱分解より、基板上へ形成される。時間260の間、処理チャンバは、パージガスと、還元ガスとによってパージされる。所望の厚さを有する金属層が基板上に形成されるまで、堆積サイクル270は、繰り返されることができる。
【0031】
所望の厚さを有する金属層の形成を可能にする適切なプロセス条件は、直接的な実験および/または実験計画法(design of experiments:DOE)によって決定されることができる。調節可能なプロセスパラメータは、例えば、時間250および時間260の長さ、温度(例えば基板温度)、処理圧力、プロセスガス、および相対的なガス流量であり得る。各時間250および時間260の長さは、金属層の厚さおよび一様性を最適化するように、独立して変化されることができる。時間250および時間260の長さは、各堆積サイクルにおいて一定であることができ、または、あるいは、時間250および時間260の長さは、堆積サイクル270内で、独立して変化されることができる。一般に、時間250の長さは、約1秒と、約500秒との間、例えば約25秒であり得て、時間260の長さは、約120秒未満、例えば約30秒であり得る。
【0032】
本発明の1つの実施形態では、処理チャンバ圧力は、例えば、約0.01Torrと、約5Torrとの間であり得る。本発明の別の実施形態では、処理チャンバ圧力は、約0.2Torr未満であり得て、約0.04Torrであり得る。基板温度は、約250℃と、約600℃との間、または約400℃と、約500℃との間であり得る。プリカーサ容器内の金属−カルボニルプリカーサは、例えば、約35℃と、約45℃との間の温度に保たれることができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、金属核生成層は、上で記載されている間欠的な金属−カルボニルプリカーサガスフロープロセスを使用して金属層を形成する前に、基板上に形成されることができる。金属核生成層は、CVD、プラズマ増強CVD(plasma−enhanced CVD:PECVD)、およびPVD(physical vapor deposition:PVD)を含む(しかしそれに制限されるものではない)さまざまな周知の堆積方法を使用して堆積されることができる。例えば、初期の金属核生成の厚さは、約10Aと、約1000Aとの間であり得る。一つの実施例において、金属核生成層を堆積させるCVDプロセスは、金属−カルボニルプリカーサガス、約0.5Torrの処理圧力、および約60秒の曝す時間を利用することができる。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係るSi微細構造物上に形成されたW層の断面図を概略的に示す。図4において、W層310の厚さは、基板370の上に形成された微細構造物300の地形にわたって変化する。微細構造物300は、約3:1のアスペクト比(ホール(holes)またはトレンチの深さ:ホールまたはトレンチの幅)を有した。ホールおよびトレンチの深さ390は、約1.1ミクロン(11,000A)であって、ホールおよびトレンチの平均幅380は、約0.36ミクロン(3,600A)であった。
【0035】
表1は、本発明の実施形態に係る、図4に概略的に示されたSi微細構造物上に形成されたW層の厚さおよび一様性を示す。異なるプロセス条件に対するW層310の一様性を評価するために、微細構造物300上のさまざまな場所のW層310の厚さは、微細構造物300に近接したW層310の厚さ320と比較された。これは、微細構造物300の上部のW層のオーバーハングの厚さ360と、微細構造物300の開口上部のW層310の厚さ350と、微細構造物300の底のW層310の厚さ330と、微細構造物300の垂直側壁上のW層の最小厚さ340とを含んでいる。
【0036】
表1のW層は、次のプロセス条件を使用して形成された:a)約500℃の基板温度でのWのCVDプロセスと、b)約500℃の基板温度での間欠的なプリカーサガスフロープロセスと、c)約400℃の基板温度での間欠的なプリカーサガスフロープロセスとである。a)−c)によってW層を堆積させる前に、薄いW核生成層は、W(CO)と、Arキャリヤガスと、Arパージガスとを含んでいるW(CO)プリカーサガス使用して基板上に堆積された。W核生成層は、約0.5Torrの処理チャンバ圧力で、60秒間堆積された。
【0037】
基板上への薄いW核生成層の形成に続いて、a)のCVDプロセスは、約500℃の基板温度で、W(CO)ガスと、Arキャリヤガスと、Arパージガスと、H還元ガスとを基板に曝すことによって、実行された。(b)および(c)における間欠的なプリカーサガスフロープロセスは、それぞれ、約500℃および約400℃の基板温度で実行され、そして、120回の堆積サイクルと、約0.04Torrの処理圧力と、Arパージガスと、H還元ガスと、Arキャリヤガスを含んでいるW(CO)プリカーサガスとを使用した。
【表1】

【0038】
表1の結果は、プロセス条件a)−c)によって形成されたW層が全て同様の360/320値を示し、W層に対するオーバーハングの度合いが同様であることを示した。b)およびc)の間欠的なプリカーサガスフロープロセスは、CVDプロセスよりも、ホールおよびトレンチに対する330/320の値がより十分な収量を有していた(yielded)。換言すれば、微細構造物の底部上のW層310の相対的な厚さは、CVDプロセスと比較して間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用することによって大幅に改善されていた。加えて、b)およびc)に対する340/320の値は、トレンチに対して改善され、それは、間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して、W層310のより良い相対的な側壁カバレッジを示している。
【0039】
プロセス条件a)−c)に対するW層310のWグレインサイズは、SEM顕微鏡写真より視覚的に観測された。CVDプロセスによって形成されたWは、約100Aから約350Aまでのサイズ範囲のWグレインを示し、一方、b)およびc)の間欠的なプリカーサガスフロープロセスは、約500℃の基板温度に対しては、約100Aから約150Aまでのサイズ範囲のWグレインを示し、約400℃の基板温度に対しては、約300Aから約350Aまでのサイズ範囲のWグラインを示した。従って、間欠的なプリカーサガスフロープロセスによって形成されるWグレインは、CVDプロセスより狭いサイズ分布を有する。
【0040】
基板は、複数の微細構造物を有することができる。1つの実施形態において、微細構造物の幅は、約0.4ミクロン未満であり得る。別の実施形態において、それは、約0.15ミクロン未満であり得る。さらに別の実施形態では、それは、約0.1ミクロン未満であり得る。さらに他の実施例では、微細構造物の深さは、約1ミクロンより深くあり得る。
【0041】
1つの実施形態において、微細構造物のアスペクト比は、約3:1より大きくなり得る。別の実施形態において、微細構造物の底部上のW層厚さは、約10Aより厚くあり得る。さらに他の実施例では、それは、約50Aより厚くあり得る。事実、それは、約150Aより厚くあり得る。1つの実施形態において、微細構造物の側壁上のW層厚さは、約10Aより厚い。別の実施形態において、それは、約50Aより厚くあり得る。事実、それは、約150Aより厚くあり得る。
【0042】
1つの実施形態において、微細構造物の底部上の金属層厚さと、微細構造物に近接した金属層厚さとの比率は、約0.1より大きい。別の実施形態において、微細構造物の側壁上の金属層厚さと、微細構造物に近接した金属層厚さとの比率は、約0.1より大きい。さらに別の実施形態では、微細構造物の上部の金属オーバーハングの厚さと、微細構造物に近接した金属層の厚さとの比率は、約0.7未満であり得る。さらに他の実施例では、比率は、約0.5未満であり得る。
【0043】
間欠的なプリカーサガスフロープロセスの別の実施例において、W層は、60回の堆積サイクルを使用して400℃の基板温度で、熱的に成長されたSiO層上に形成された。W(CO)プリカーサガスの各パルスの期間は、約25秒であり、Arキャリヤガス流量の約50sccmであった。H還元ガス流量は、約100sccmであった。プロセスによって形成されたW層は、各堆積サイクルにおいて約6.5Aの平均堆積速度を有し、約389Aの厚さであった。W層の抵抗率は、約34.9μΩ−cmであった。
【0044】
本発明のさまざまな修正および変更は、本発明を実施する際に使用されることになると理解されるべきである。添付の請求の範囲内であって、ここに特に記載されているより、他の方法で、本発明が実施され得ることになると理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る金属層を形成する処理システムの簡略化された構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る間欠的なプリカーサガスフロープロセスを使用して金属層を形成するためのフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る金属層を形成する間欠的なプリカーサガスフロープロセス中のガスフロ−を概略的に示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るSi微細構造物上に形成されたW層を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層を基板上に形成する方法であって、
処理チャンバ内に基板を準備することと、
前記基板を還元ガスに曝すことと、
前記基板を金属−カルボニルプリカーサのパルスに曝して、金属層を前記基板上に形成することと、
所望の厚さを有する金属層が形成されるまで、前記曝すプロセスを繰り返すこととを具備する方法。
【請求項2】
前記金属−カルボニルプリカーサは、W(CO)、Ni(CO)、Mo(CO),Co(CO)、Rh(CO)12、Re(CO)10、Cr(CO)、およびRu(CO)12の少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属層は、W、Ni、Mo、Co、Rh、Re、Cr、およびRuの少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスは、W(CO)を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属−カルボニルプリカーサの流量は、約0.1sccmと、約200sccmとの間である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスは、キャリヤガスおよび希釈ガスの少なくとも一方を更に含んでいる請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記キャリヤガスおよび前記希釈ガスの少なくとも一方は、不活性ガスを含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記不活性ガスは、Ar、He、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含んでいる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プリカーサのガスは、約10sccmと、約1000sccmとの間の流量のキャリヤガスを含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記プリカーサのガスは、約10sccmと、約1000sccmとの間の流量の希釈ガスを含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記還元ガスは、水素含有ガス、シリコン含有ガス、硼素含有ガス、および窒素含有ガスの少なくとも1つを含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記還元ガスは、Hを含む水素含有ガスを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記還元ガスは、SiH、Si、およびSiClの少なくとも1つを含むシリコン含有ガスを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記還元ガスは、BH、B、およびBの少なくとも1つを含む硼素含有ガスを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記還元ガスは、NHを含む窒素含有ガスを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記還元ガスの流量は、約10sccmと、約1000sccmとの間である請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記基板にパージガスを曝すことを更に具備する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記パージガスは、不活性ガスを含んでいる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記不活性ガスは、Ar、He、Kr、Xe、およびNの少なくとも1つを含んでいる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記パージガスの流量は、約50sccmと、約1000sccmとの間である請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスのパルスの長さは、約1秒と、約500秒との間である請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスのパルスの長さは、約25秒である請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスのパルス間の時間は、約1秒と、約120秒との間である請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスのパルス間の時間は、約30秒である請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記基板の温度は、約250℃と、約600℃との間である請求項1に係る方法。
【請求項26】
前記基板の温度は、約400℃と、約500℃との間である請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記処理チャンバの圧力は、約0.01Torrと、約5Torrとの間である請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記処理チャンバの圧力は、約0.2Torr未満である請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記処理チャンバの圧力は、約0.04Torrである請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスの各パルス中に、形成される前記金属層は、約5Aと、約60Aとの間の厚さである請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記金属−カルボニルプリカーサのガスの各パルス中に、形成される前記金属層は、約5Aと、約10Aとの間の厚さである請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記金属層の前記所望の厚さは、約500A未満である請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記基板は、半導体基板、LCD基板、およびガラス製基板のうちの少なくとも1つである請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記基板上に金属核生成層を堆積させることを更に具備する請求項1に係る方法。
【請求項35】
前記堆積させることは、CVD、PECVD、およびPVDの少なくとも1つのから選ばれるプロセスを利用することを備えている請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記堆積させることは、金属−カルボニルプリカーサガスに前記基板を曝すことを備えているCVDプロセスを利用する請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記堆積させることは、約0.1Torrと、約5Torrとの間の処理チャンバの圧力を使用したCVDプロセスを利用する請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記堆積させることは、約0.5Torrの処理チャンバの圧力を使用したCVDプロセスを利用する請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記基板は、複数の微細構造物を有し、
少なくとも1つの微細構造物の底部上に第1の厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物の側壁上に第2の厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物の上部にオーバーハングとを有する金属層を形成することを更に具備する請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの微細構造物の幅は、約0.4ミクロン未満である請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つの微細構造物の幅は、約0.15ミクロン未満である請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの微細構造物の幅は、約0.1ミクロン未満である請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つの微細構造物の深さは、約1ミクロンより深い請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの微細構造物のアスペクト比は、約3:1より大きい請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の厚さは、約10Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の厚さは、約50Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の厚さは、約150Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の厚さは、約10Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の厚さは、約50Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の厚さは、約150Aより厚い請求項39に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物に近接した金属層の厚さとの比率は、約0.1より大きい請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物に近接した金属層の厚さとの比率は、約0.1より大きい請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記オーバーハングの厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物に近接した金属層の厚さとの比率は、約0.7未満である請求項39に記載の方法。
【請求項54】
前記オーバーハングの厚さと、前記少なくとも1つの微細構造物に近接した金属層の厚さとの比率は、約0.5未満である請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507892(P2007−507892A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533889(P2006−533889)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/028893
【国際公開番号】WO2005/034224
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】