説明

防犯装置

【課題】 防犯装置に関し、特に、簡便で、不在宅時に訪問者に対してリアルタイムで、且つ、的確に対応が可能な防犯装置に関する。
【解決手段】建物のユーザが外出時に携帯する情報携帯端末3は、インターネットへの接続が可能で、動画像の配信を受けることが可能な携帯電話とし、インターネットを介して制御装置7と接続可能である。制御装置は、外側のインタホン5との相互通話先を切り替える転送スイッチを有し、転送スイッチをONにした時は、インターネットを介して情報携帯端末3に撮像装置の動画像を配信する。建物のユーザが在宅時には、表示装置に表示された動画像を表示装置で見ながら、内側のインタホン6の受話器で訪問者と応対する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防犯装置に関し、特に、簡単な操作で、不在宅時においても在宅時と同等にリアルタイムの対応を訪問者に対して行うことが可能な防犯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、治安の悪化に伴い、防犯の必要性がより高まってきている。図2は、従来の防犯装置を示すブロック図で、玄関ドアに設けられた撮像装置101と、撮像装置の画像を表示するテレビモニタ106と、撮像装置の画像を記憶する画像メモリ107と、玄関ドアの取手に設けられ、取手に人が触れたことを検出して接触検出信号を出力するタッチセンサ104と、玄関ドアの鍵に設けられ、鍵の施錠のときに施錠信号を出力するキースイッチ105と、画像メモリに記憶された画像を再生表示させるための指令信号を出力する操作部108と、予め設定した所定時間だけ撮像装置に駆動信号を出力させるタイマ110と、室内に設けられ、駆動信号を受けて点灯する照明器具111と、タッチセンサの接触検出信号とキースイッチの施錠信号に基づいてタイマによって設定された時間だけ撮像装置と照明器具に駆動信号を出力し、操作部の指令信号に基づいてテレビモニタに駆動信号を出力するよう制御する制御部109とを備えて構成されている。
【特許文献1】特開2000−306171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような方式のものでは、不在宅時の対応は、単に訪問者を撮像し、照明器具を一定時間点灯させるだけの受動的で画一的な対応しかできず、悪意を持った訪問者にとっては不在であることを見破られやすいという問題点があった。また、悪意を待たない訪問者に対しても、対応できるのは撮像された画像を見てからなので、訪問者に対する対応は後手に回り、その場での的確な対応が出来ないという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡便で、不在宅時に訪問者に対してリアルタイムで、且つ、的確に対応が可能な防犯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、マイクロホン及びスピーカを有し、建物若しくは部屋の外側及び内側にそれぞれ設置するとともに相互通話可能なインタホンにおいて、インターネットを含むネットワークと、このネットワークに接続可能な情報携帯端末と、ネットワークに接続可能で、少なくとも建物若しくは部屋の外側及び内側にそれぞれ設置したインタホン間及び建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンと情報携帯端末との間の相互通話を制御し、建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンの相互通話の通話先の切り替えの制御を行う制御装置と、この制御装置に設けられ、建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンの相互通話の通話先を切り替えるための転送スイッチとを備え、制御装置に設けられた転送スイッチの指令により、ネットワークを介して、建物若しくは部屋の内側に設置されたインタホンの代わりに、情報携帯端末と建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンとの相互通話が可能であることを特徴とする防犯装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、さらに、建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンは、さらに撮像装置を備え、建物若しくは部屋の内側に設置されたインタホン及び情報携帯端末は、さらに撮像装置で撮像された画像を表示可能な表示部を備えたものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、さらに、撮像装置は、CCDカメラである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載の発明において、さらに、撮像装置は、WEBカメラである。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、さらに、情報携帯端末は、PHSである。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、さらに、情報携帯端末は、携帯電話である。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、さらに、情報携帯端末は、PDA(Personal Digital Assistant)である。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の発明において、さらに、情報携帯端末は、コンピュータである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明は、上記のように構成したので、不在宅時に訪問者が訪ねてきた場合でも、建物若しくは部屋のユーザは予め制御装置に設けられた転送スイッチをONにすることにより、情報携帯端末を介して建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンとの相互通話が可能であるので、外出先においても訪問者の応対をリアルタイムで、且つ、的確に対応することができる。また、ユーザが在宅しているかのように対応できるので、悪意を持った訪問者に対しても、不在宅であることを見破られにくい。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様な効果がある。さらに、ユーザは、撮像装置の画像により、訪問者が誰であるかを視覚でも確認できるので、訪問者に対しより的確な対応をとることが可能で、且つ、セキュリティの観点からも、より安全である。
【0015】
請求項3〜請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項2に係る発明と同様な効果がある。
【0016】
請求項5〜請求項7に係る発明は、請求項1〜請求項2に係る発明と同様な効果がある。さらに、ユーザが外出時に情報携帯端末を携帯するのに便利である。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1〜請求項2に係る発明と同様な効果がある。さらに、ユーザは、訪問者のより明瞭な音声や、より鮮明な画像を取得でき、よりはっきりと訪問者が誰であるかを確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
建物若しくは部屋の外側に設置したインタホンは、撮像装置を有し、この撮像装置はwebカメラを使用する。建物若しくは部屋の内側に設置したインタホンは、webカメラで撮像した画像を表示するための表示部を備えている。ネットワークはインターネットであり、情報携帯端末としては、インターネットに接続可能で動画を受信可能な携帯電話を使用する。制御装置は、インターネットに接続可能なコンピュータを使用する。
【実施例1】
【0019】
この発明の第1の実施例を、図1に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明の原理を示す模式図である。
【0020】
図1において、防犯装置1は、大きく分けて、建物2のユーザが有する情報携帯端末3と、建物2内に設置されているインタホン本体4と、建物2の玄関扉の外側のすぐ脇に設置されている外側のインタホン5とから構成される。このインタホン本体4は、外側のインタホン5との相互通話が可能な内側のインタホン6と、インタホン5及びインタホン6間若しくはインタホン5及び情報携帯端末3間の相互通話やその通話先の切り替えを制御する制御装置7と、この通話先の切り替えを行うための転送スイッチ8とから構成されている。
【0021】
外側のインタホン5は、呼び出しスイッチ(図示せず)とインタホン6等と相互通話するためのスピーカやマイクを備えており、その内部には建物2の訪問者を撮像するための撮像装置9が内蔵されている。内側のインタホン6は、さらに、外側のインタホン5と相互通話するための受話器(図示せず)と撮像装置9の動画像を表示可能な表示部10とが設けられている。この実施例では、撮像装置9はwebカメラを使用し、制御装置7において撮像装置9で撮像した画像の画像圧縮が行われる。
【0022】
制御装置7は、この実施例では、インタホン本体4に内蔵され組込型のコンピュータを使用しており、ネットワーク接続手段11を介してネットワーク12に接続される。この実施例では、ネットワーク接続手段11は携帯電話を使用し(ネットワーク接続手段11a)、ネットワーク12は携帯電話網(ネットワーク12a)である。制御装置7と情報携帯端末3とは、このネットワーク12aを介して接続されている。
【0023】
情報携帯端末3として、この実施例の様に携帯電話を使用する場合や、PHSを使用する場合には、ネットワーク接続手段11として固定電話等を使用することによって、固定電話網をネットワーク12として利用することも可能である。
【0024】
次に、作用動作について、図1に基づいて不在宅時、在宅時の順に説明する。
予め制御装置7には、不在宅時の転送先である情報携帯端末3の電話番号が設定されている。ここで、もし情報携帯端末3がコンピュータ等であれば、不在宅時の転送先は、情報携帯端末3のURLとなる。
【0025】
まず、不在宅時の作用動作について、説明する。
ユーザは、外出する際に転送スイッチ8をONにした後、外出する。
【0026】
訪問者が外側のインタホン5の呼び出しスイッチを押すと、制御装置7は、撮像装置9に訪問者の撮像を開始させるとともに、ユーザの有する情報携帯端末3を呼び出す。撮像装置9で撮像した訪問者の動画像及びその音声は、制御装置7において画像圧縮が行われ、制御装置7はこの圧縮した動画像ファイルを情報携帯端末3へリアルタイムに配信する。
【0027】
ユーザは、情報携帯端末3に配信されてきた訪問者の動画像やその音声を見聞きしながら、訪問者と相互通話することにより、リアルタイムに応対することができる。
【0028】
次に、在宅時の作用動作について説明する。
ユーザが在宅時には、転送スイッチ8をOFFにする。訪問者が外側のインタホン5の呼び出しスイッチを押すと、制御装置7は、撮像装置9に訪問者の撮像を開始させるとともに、内側のインタホン6を呼び出す。撮像装置9で撮像した訪問者の動画像及びその音声は、制御装置7において画像圧縮が行われ、制御装置7はこの圧縮した動画像ファイルを表示部10へリアルタイムに配信する。
【0029】
ユーザは、表示部10に表示されている訪問者の動画像やその音声を見聞きしながら、内側のインタホン6の受話器を取って、同様に訪問者と相互通話することにより、リアルタイムに応対することができる。
【実施例2】
【0030】
この発明の第2の実施例を図1に基づいて詳細に説明する。この発明の第2の実施例は、ネットワーク接続手段11としてADSLモデムを使用(ネットワーク接続手段11b)し、ネットワーク12がインターネット(ネットワーク12b)である場合の実施例である。なお、第1の実施例と同一部分については同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0031】
制御装置7は、この実施例では、インタホン本体4に内蔵され、インターネットに接続可能な組込型のコンピュータを使用している。また、制御装置7は、実施例1と同様にネットワーク接続手段11を介してネットワーク12に接続され、制御装置7と情報携帯端末3とは、このネットワーク12を介して接続されている。
【0032】
この実施例では、動画像をリアルタイムで配信するので、ネットワーク接続手段11として、高速の常時接続回線であるADSL(非対称デジタル加入者線)モデムを使用(ネットワーク接続手段11b)し、ネットワーク12へ接続する方法としては、このADSLを使用する方式を採用するが、光ファイバーを利用した同じく高速の常時接続回線であるFTTH(ファイバ・ツウ・ザ・ホーム)を使用する方式でも良いし、無線LAN(Local Area Network)を使用する方式でも良い。また、この無線LANを使用する方式は、情報携帯端末3としてPDA(Personal Digital Assistant)や、携帯可能なノートパソコンを使用し、ネットワークへ接続する際の接続方法として使用しても良い。
【0033】
上記実施例の様な動画を情報携帯端末3に配信せず、音声のみを配信する場合、ネットワーク接続手段11は、一般的なモデムを使用し、ダイアルアップ接続でネットワーク12に接続しても良いし、Bluetoothや、Bluetoothを利用した無線LANを使用してネットワーク12に接続しても良い。また、このBluetoothを使用する方式は、情報携帯端末3のネットワークへの接続方法として使用しても良い。
【0034】
ネットワーク12は、この実施例ではインターネット(ネットワーク12b)であるが、専用線で接続しても良いし、WAN(Wide Area Network)等を利用しても良い。また、情報携帯端末3は、この実施例ではインターネットに接続可能で、動画配信を受けることも可能な携帯電話を使用しているが、同様の機能を有するPHSやPDA、携帯可能なノートパソコンでも良く、さらには、ユーザの例えば勤務先で使用している固定式のコンピュータ等でも良い。
【0035】
作用動作については、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0036】
ここで、情報携帯端末3として携帯可能なノートパソコンや固定式のコンピュータを使用し、制御装置7としてはコンピュータを使用し、ネットワーク接続手段11としてADSLモデム等を使用し、ネットワーク12へ接続する方法としてADSLやFTTHを使用する方式を利用していれば、IP電話を利用することにより、外側のインタホン5と情報携帯端末3との間若しくは外側のインタホン5と内側のインタホン6との間の相互通話を実現するようにしても良い。
【0037】
上記の実施例は、本発明を説明するためのもので、本発明を制限するものではない。比較的良い実施例を参照して詳細に説明を行ったものであり、本発明の精神及びその範囲を逸脱することなく行うことが出来る種々の修正、変更、置換は、本技術分野における当業者の当然とするところである。本発明の精神及びその範囲を逸脱することなく行うことが出来る種々の修正、変更、置換は、全て本発明の権利要求の範囲に含むべきである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明による防犯装置は、複数箇所で相互通話可能なインタホンシステムとして利用可能である。また、この防犯装置は、在宅時も不在宅時もあたかも在宅しているように見せかけることが出来る防犯装置として利用可能である。特に、ドアホンとして、住宅や事務所に設置するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の原理を示す模式図である。
【図2】従来の防犯装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 防犯装置
3 情報携帯端末
5 外側のインタホン
6 内側のインタホン
7 制御装置
8 転送スイッチ
9 撮像装置
10 表示部
12a、12b ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロホン及びスピーカを有し、建物若しくは部屋の外側及び内側にそれぞれ設置するとともに相互通話可能なインタホンにおいて、
インターネットを含むネットワークと、
このネットワークに接続可能な情報携帯端末と、
前記ネットワークに接続可能で、少なくとも前記建物若しくは部屋の外側及び内側にそれぞれ設置したインタホン間及び建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンと前記情報携帯端末との間の相互通話を制御し、前記建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンの相互通話の通話先の切り替えの制御を行う制御装置と、
この制御装置に設けられ、前記建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンの相互通話の通話先を切り替えるための転送スイッチとを備え、
前記制御装置に設けられた前記転送スイッチの指令により、前記ネットワークを介して、建物若しくは部屋の内側に設置されたインタホンの代わりに、前記情報携帯端末と建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンとの相互通話が可能であること
を特徴とする防犯装置。
【請求項2】
前記建物若しくは部屋の外側に設置されたインタホンは、さらに撮像装置を備え、
前記建物若しくは部屋の内側に設置されたインタホン及び前記情報携帯端末は、さらに前記撮像装置で撮像された画像を表示可能な表示部を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、CCDカメラであること
を特徴とする請求項2に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記撮像装置は、WEBカメラであること
を特徴とする請求項2に記載の防犯装置。
【請求項5】
前記情報携帯端末は、PHSであること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の防犯装置。
【請求項6】
前記情報携帯端末は、携帯電話であること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の防犯装置。
【請求項7】
前記情報携帯端末は、PDA(Personal Digital Assistant)であること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の防犯装置。
【請求項8】
前記情報携帯端末は、コンピュータであること
を特徴とする請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−184978(P2006−184978A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375063(P2004−375063)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(599164916)日本システムバンク株式会社 (7)
【Fターム(参考)】