説明

集合建築物用セキュリティシステム

【課題】マンション1の共用玄関4外の人との応答及び開閉扉5の開閉の度に掛かるランニングコストを低減する。
【解決手段】共用玄関4の外側に配置された集合インタホン装置21と、マンション1の各住戸2に配置された室内インタホン装置22とを、屋内電力線13を介してFM信号による電力線搬送通信を行うように構成する。集合インタホン装置21には、各室内インタホン装置22に設けられた解錠スイッチ85の解錠操作に対応して、開閉扉5を一時的に開閉させる自動開閉装置36を接続する。集合インタホン装置21と各室内インタホン装置22との間で相互に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域を2MHz〜30MHzの範囲に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、マンションやオフィスビル等のような集合建築物の各室に訪れる特定の者のみが各室内の人と連絡可能になり、且つ、当該特定の者のみの出入りを許容するための集合建築物用セキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマンション用セキュリティシステムでは、集合インタホンと各室内の室内インタホンとの間を専用回線にてつなぐことが多いが、この場合は専用回線の設置工事が必要なため、システム導入のための設備コストが非常に嵩むという不都合がある。
【0003】
近年、前述の不都合を解消するために、マンション用セキュリティシステムとして、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載のシステムは、共用玄関の外側に設置された居住者呼び出し用の集合インタホンと、当該集合インタホンからの呼び出し信号を公衆電話回線網にて伝送する回線端末と、集合インタホンからの呼び出しに応答可能で且つ解錠信号を発信可能な居住者所有の携帯端末と、当該携帯端末からの解錠信号を受けて解錠指令を発する管理用のテレコントロール装置と、当該テレコントロール装置から解錠命令を受けて一時的に解錠するオ−トロック機能付きの電子錠とを備えている。
【0004】
かかる構成において、集合インタホンのテンキー部にて室番号を入力すると、集合インタホンに接続された回線端末(電話機等)が室番号に対応した居住者所有の携帯端末(携帯電話機)を呼び出す。呼び出しを受けた携帯端末が応答(オフフック)すると、集合インタホンの反転検出部が携帯端末のオフフック状態による極性反転を検出し、反転通知が入力されている間に、携帯端末からのDTMF信号に応じてテレコントロール装置が共用玄関のドアに設けられた電子錠に解錠命令を発信して、電子錠を一時的に解錠させる。すなわち、回線端末と居住者所有の携帯端末とが通話状態においてのみ電子錠は解錠することになる。この場合、従来のような専用回線が不要であるから、システムの設置コストを低減できるという利点がある。
【特許文献1】特開2002−194936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構成では、回線端末と居住者所有の携帯端末とが通話状態においてのみ電子錠は解錠することになるから、解錠するたびに電話料(通信費)が掛かり、ランニングコスト(維持管理コスト)が嵩んでしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本願発明は、従来技術の問題点を一挙に解消し、既存の集合建築物に簡単に設置できるだけでなく、ランニングコストの低減も図れる集合建築物用セキュリティシステムを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を達成するため、請求項1の発明は、集合建築物の出入口にて特定の者のみの出入りを許容するための集合建築物用セキュリティシステムであって、前記出入口の外側に配置された集合インタホン装置と、前記集合建築物の各室に配置された室内インタホン装置とが、前記集合建築物の屋内電力線を介してFM信号による電力線搬送通信を行うように構成されており、前記集合インタホン装置には、前記各室内インタホン装置に設けられた室内解錠手段の解錠操作に対応して、前記出入口の開閉扉を一時的に解錠又は開閉させる開放許容装置が接続されており、前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置との間で相互に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した集合建築物用セキュリティシステムにおいて、前記各室内インタホン装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置が一斉に警報報知するように構成されているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載した集合建築物用セキュリティシステムにおいて、前記集合建築物の共用部には、前記屋内電力線を介してFM信号による電力線搬送通信を実行可能な非常警報装置が複数配置されており、前記各室内インタホン装置及び前記各非常警報装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に応じて、前記集合インタホン装置、前記各室内インタホン装置、及び前記各非常警報装置が一斉に警報報知するように構成されているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、集合建築物の出入口にて特定の者のみの出入りを許容するための集合建築物用セキュリティシステムであって、前記出入口の外側に配置された集合インタホン装置と、前記集合建築物の各室に配置された室内インタホン装置とが、前記集合建築物のテレビ共聴ラインを介して接続されており、前記集合インタホン装置には、前記各室内インタホン装置に設けられた室内解錠手段の解錠操作に対応して、前記出入口の開閉扉を一時的に解錠又は開閉させる開放許容装置が接続されており、前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置とが、前記テレビ共聴ラインを介してFM信号による通信を行うように構成されているというものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載した集合建築物用セキュリティシステムにおいて、前記各室内インタホン装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置が一斉に警報報知するように構成されているというものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4に記載した集合建築物用セキュリティシステムにおいて、前記集合建築物の共用部には、前記テレビ共聴ラインを介してFM信号による通信を実行可能な非常警報装置が複数配置されており、前記各室内インタホン装置及び前記各非常警報装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置、前記各室内インタホン装置、及び前記各非常警報装置が一斉に警報報知するように構成されているというものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によると、集合インタホン装置と各室内インタホン装置とは屋内電力線を介して通信するから(電力線搬送通信)、従来のような解錠のための電話料(通信費)が一切掛からない。このため、システム維持に関するランニングコストを低減できる。しかも、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置間の通信に前記屋内電力線を利用するので、集合建築物内において、前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置とをつなぐための専用配線を新たに敷設する必要がないし、セキュリティシステム管理のための専用コンピュータも不要である。従って、従来に比べてセキュリティシステムの設置コストを格段に低減できるという効果を奏する。特に、既存の集合建築物であっても簡単に後付けできるという利点がある。
【0014】
ところで、電力線搬送通信においては、屋内電力線の分岐が多いと、分岐箇所にて伝送信号が減衰して伝送損失が大きくなり、通信状態が悪くなることが知られている。かかる不具合は伝送信号がデジタル信号である場合によく起こる。
【0015】
これに対して請求項1の発明では、前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置との間で相互に伝送される信号がFM信号(アナログ信号)であり、且つ、その伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されているから、前記屋内電力線に重畳される伝送信号(高周波数のFM信号)は、前記屋内電力線の分岐が多くても、伝送損失(信号減衰)を抑えてスムーズに分岐箇所を乗り越えでき、良好な通信状態を維持できるという格別顕著な効果を奏する。
【0016】
しかも、FM信号の伝送周波数帯域(2MHz〜30MHz)は各室にある電気機器のスイッチング周波数(10Hz〜450kHz)から離れているので、スイッチング周波数に基づくノイズの影響をFM信号から確実になくせるという効果も奏する。
【0017】
請求項2の発明によると、前記各室内インタホン装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置が一斉に警報報知するように構成されているので、前記集合建築物の室内にいる居住者や前記集合建築物周辺の人に、非常事態発生の事実を即座に報知できる。このため、前記居住者等は、その場に駆け付けたり警察や消防に通報したりと、非常事態の解消のために素早く対処することが可能になる。特に居住者等がその場に駆け付ければ、警察官や外部管理事務所の人が通報に基づいて駆け付けるよりも素早い対応が可能になる。従って、前記集合建築物全体の救援・防犯体制の確立に寄与できるという効果を奏する。
【0018】
請求項3の発明によると、前記集合建築物の共用部に、前記屋内電力線を介してFM信号による電力線搬送通信を実行可能な非常警報装置が複数配置されており、前記各室内インタホン装置及び前記各非常警報装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置、前記各室内インタホン装置、及び前記各非常警報装置が一斉に警報報知するように構成されているから、前記共用部において非常事態が発生した場合にも、請求項2の場合と同様の対処が可能になる。従って、前記集合建築物全体の救援・防犯体制の確立により一層貢献できるという効果を奏する。
【0019】
請求項4〜6の発明は、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置等をつなぐネットワーク(通信網)として、前記屋内電力線に代えてテレビ共聴ラインを採用したものである。かかる構成を採用した場合も、請求項1〜3の発明と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図8)に基づいて説明する。図1〜図4は、本願発明に係る集合建築物用セキュリティシステムの第1実施形態を示している。図1は集合建築物用セキュリティシステムの概略説明図、図2は集合インタホン装置の機能ブロック図、図3は室内インタホン装置の機能ブロック図、図4は非常警報装置の機能ブロック図である。
【0021】
(1).第1実施形態における集合建築物用セキュリティシステムの概要
まず、図1を参照しながら、第1実施形態における集合建築物用セキュリティシステム(以下、システムと称する)の概要について説明する。第1実施形態のシステムが採用された集合建築物は、複数の住戸2(室)と、各住戸2の居住者や来訪者が出入りする開閉扉5付きの共用玄関4(出入口)とを備えたマンション1である。共用玄関4は主(表)玄関以外に、通用玄関など複数個あってもよい。
【0022】
このシステムは、訪問販売員や勧誘者のような人物、すなわち居住者にとって好ましからざる来訪者を共用玄関4からマンション1内に入れないようにすると共に、居住者にとって必要な来訪者のみを共用玄関4からマンション1内に入れるようにし、且つ、居住者等のプライバシーの保護も確保するようにしたものである。
【0023】
マンション1の電力供給系統は次のような構成になっている。すなわち、マンション1の近傍に立設された電柱6に、中圧配電線7と単相3線式の低圧配電線8とが装架されている。中圧配電線7と低圧配電線8とは、中圧配電線7からの中圧電圧を低圧電圧に変換する変圧器9(トランス)を介して接続されている。低圧配電線8から分岐して延びる電力引込線10は、電力量メータ11を介してマンション1に設置された分電盤12に接続されている。この場合、分電盤12には、低圧配電線8から例えば100Vの電源電圧が供給される。
【0024】
分電盤12からは、複数系統の屋内電力線13がマンション1の各階に対応するように分岐して延びている。この点から明らかなように、分電盤12は複数系統に分岐した屋内電力線13の根元部分になっている。各系統の屋内電力線13には少なくとも1つの電源コンセント14が設けられている。なお、以下の説明及び図面では便宜上、各階に対応した屋内電力線13に、下の階のものから順にアルファベットを付す場合がある(例えば1階の屋内電力線の符号は13a、2階の屋内電力線の符号は13b等)。
【0025】
第1実施形態のシステムは、共用玄関4の外側に配置された集合インタホン装置21と、マンション1の各住戸2に配置された室内インタホン装置22と、マンション1における廊下や階段といった共用部3に適宜配置された非常警報装置23とを備えている。集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22及び各非常警報装置23は、マンション1の屋内電力線13を介して、高周波のFM信号(周波数変調信号)による電力線搬送通信を相互に実行するように構成されている。この場合、各装置21〜23から外部に延びる電源コード24先端の電源プラグ25を各電源コンセント14に差し込み接続することによって、各装置21〜23は、屋内電力線13を利用した電力線搬送通信のネットワークを構築している。
【0026】
(2).集合インタホン装置の詳細構造
次に、図1及び図2を参照しながら、集合インタホン装置21の詳細構造について説明する。
【0027】
集合インタホン装置21は、例えば共用玄関4の外側で且つ開閉扉5の近傍に配置されており、その前面(表面)には、テンキー方式のキー入力装置31と、文字、記号及び画像等の情報を表示可能な液晶パネル32と、スピーカ33と、マイク34と、開閉扉5に対する自動開閉装置36を作動させる戸外解錠手段としてのキーロックスイッチ35とが設けられている。居住者毎に所有するキーロックスイッチ35に所定の鍵を差し込んで解錠操作すると、自動開閉装置36が作動して開閉扉が一時的に開閉するように構成されている。
【0028】
キー入力装置31はテンキー方式のものに限らず、液晶タッチパネル方式のものであってもよい。液晶タッチパネル方式の場合は、キー入力装置31と表示用の液晶パネル32とを一体に構成できる。戸外解錠手段は、キーロックスイッチ35に限らず、IDカードの認証データを読み取るカードリーダ、バイオメトリクスによる個人認証用の生体認証装置、又はRFIDタグの認証データを読み取るタグリーダであってもよい。
【0029】
また、集合インタホン装置21は、電力線搬送通信に必要な通信制御を司るコントローラ41と、送信系回路42と、屋内電力線13を送信及び受信に共用するためのデュプレクサ43(共用器)と、受信系回路44と、PLLシンセサイザ45とを備えている(図2参照)。
【0030】
コントローラ41、送信系回路42、デュプレクサ43、及び受信系回路44は閉ループ状に接続されている。この場合、コントローラ41に送信系回路42と受信系回路44とが接続されており、送信系回路42と受信系回路44とがデュプレクサ43を介して接続されている。前述した電源コード24は、結合器46を介してデュプレクサ43に接続されている。PLLシンセサイザ45は、送信系回路42と受信系回路44とに周波数変換のための(アナログ)局部発振信号を出力するためのものであり、送信系回路42、受信系回路44、及びコントローラ41に接続されている。
【0031】
送信系回路42は、コントローラ41からの(アナログ)送信信号及びPLLシンセサイザ45からの局部発信信号を混合して周波数変調するFM変調器47、2つのRF(高周波数)帯域フィルタ48,50、並びに送信側RFアンプ49を備えている。この場合は、信号の伝送方向上流側から、FM変調器47、第1RF帯域フィルタ48、送信側RFアンプ49、及び第2RF帯域フィルタ50の順に直列に接続されている。
【0032】
コントローラ41からの送信信号は、PLLシンセサイザ45からの局部発信信号と共に、FM変調器47にて高周波数のFM信号(アナログ信号)に周波数変調される。高周波数のFM信号は、第1RF帯域フィルタ48にてろ波され、送信側RFアンプ49にて増幅される。その後、増幅されたFM信号は、再び第2RF帯域フィルタ50にてろ波されたのち、デュプレクサ43を介して屋内電力線13に伝送される。第1実施形態では、屋内電力線13に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されている。好ましくは、2MHz〜3MHzの伝送周波数帯域がよい。
【0033】
受信系回路44は、2つのRF帯域フィルタ51,53、受信側RFアンプ52、屋内電力線13経由のFM信号及びPLLシンセサイザ45からの局部発信信号を混合する混合器54、2つのIF(中間周波数)帯域フィルタ55,57、IFアンプ56、並びに復調器58を備えている。この場合は、信号の伝送方向上流側から、第3RF帯域フィルタ51、受信側RFアンプ52、第4RF帯域フィルタ53、混合器54、第1IF帯域フィルタ55、IFアンプ56、第2IF帯域フィルタ57、及び復調器58の順に直列に接続されている。
【0034】
屋内電力線13を経由してデュプレクサ43に伝送されたFM信号は、第3RF帯域フィルタ51にてろ波され、受信側RFアンプ52にて増幅される。それから、増幅されたFM信号は、再び第4RF帯域フィルタ53にてろ波されたのち、混合器54にてPLLシンセサイザ45からの局部発信信号と混合され、中間周波数のFM信号にして出力される。中間周波数のFM信号は、第1IF帯域フィルタ55にてろ波され、IFアンプ56にて増幅される。そして、増幅された中間周波数のFM信号は、再び第2IF帯域フィルタ57にてろ波されたのち、復調器58にて復調され、次いで、コントローラ41に伝送されるのである。
【0035】
前述したように、コントローラ41は電力線搬送通信に必要な通信制御を司るものであり、各種演算処理や制御を実行するCPU61、制御プログラムやデータを記憶させたROM62、制御プログラムやデータを一時的に記憶するRAM63、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器64、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器65、及び入出力インターフェイス(図示省略)等を備えている。
【0036】
コントローラ41には、前述したFM変調器47、復調器58及びPLLシンセサイザ45以外に、キー入力装置31の入力指令をコマンド信号に符号化する呼び出しエンコーダ66と、呼び出しエンコーダ66や後述する非常エンコーダ92,104からのコマンド信号を復号化(解読)して所定の信号に変換する表示デコーダ67と、スピーカアンプ68と、マイクアンプ69と、キーロックスイッチ35の解錠操作をコマンド信号に符号化する戸外解錠エンコーダ70と、戸外解錠エンコーダ70や後述する室内解錠エンコーダ91からのコマンド信号を復号化して所定の信号に変換する解錠デコーダ71とが接続されている。
【0037】
呼び出しエンコーダ66にはキー入力装置31が接続されており、表示デコーダ67には液晶パネル32が接続されている。スピーカアンプ68にはスピーカ33が接続されており、マイクアンプ69にはマイク34が接続されている。戸外解錠エンコーダ70にはキーロックスイッチ35が接続されており、解錠デコーダ71には、開閉扉5を一時的に開閉させる開閉許容装置としての自動開閉装置36が接続されている。
【0038】
なお、詳細は図示していないが、自動開閉装置36は、開閉扉5を開閉するための正逆回転可能な駆動モータや、開閉扉5の開閉間隔を検知して駆動モータの入り切りを制限するための安全用リミットスイッチ、又は人を挟んだときの過負荷を検出するための過負荷センサ等を備えている。開閉許容装置は、前述の自動開閉装置36に限らず、開閉扉5を解施錠するための(開閉扉5自体は自動的に開閉しない)電気錠装置であってもよい。
【0039】
(3).室内インタホン装置の詳細構造
次に、図1及び図3を参照しながら、室内インタホン装置22の詳細構造について説明する。
【0040】
前述の通り、室内インタホン装置22は各住戸2内に配置されており、その前面(表面)には、集合インタホン装置21からの呼び出しに応答するための応答スイッチ81と、液晶パネル82と、スピーカ83と、マイク84と、開閉扉5に対する自動開閉装置36を作動させる室内解錠手段としての解錠スイッチ85と、非常時入力手段としての非常スイッチ86とが設けられている。
【0041】
室内インタホン装置22は、集合インタホン装置21と同様に、電力線搬送通信のための構成も備えている。室内インタホン装置22における電力線搬送通信のための構成及びその作用は、集合インタホン装置21のそれと共通である。そこで、室内インタホン装置22において集合インタホン装置21と共通のものには、集合インタホン装置21のものと同じ符号に「′」を付して、詳細な説明を省略する(例えばコントローラ41′、送信系回路42′等)。室内インタホン装置22においても、屋内電力線13に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されていて、好ましくは2MHz〜3MHzの伝送周波数帯域がよいことは言うまでもない。
【0042】
室内インタホン装置22のコントローラ41′には、FM変調器47′、復調器58′及びPLLシンセサイザ45′以外に、応答スイッチ81の入力指令をコマンド信号に符号化する応答エンコーダ87と、集合インタホン装置21の呼び出しエンコーダ66や後述する非常エンコーダ92,104からのコマンド信号を復号化して所定の信号に変換する表示デコーダ88と、スピーカアンプ89と、マイクアンプ90と、解錠スイッチ85の入力指令をコマンド信号に符号化する室内解錠エンコーダ91と、非常スイッチ86の入力指令をコマンド信号に符号化する非常エンコーダ92とが接続されている。
【0043】
応答エンコーダ87には応答スイッチ81が接続されており、表示デコーダ88には液晶パネル82が接続されている。スピーカアンプ89にはスピーカ83が接続されており、マイクアンプ90にはマイク84が接続されている。室内解錠エンコーダ91には解錠スイッチ85が接続されており、非常エンコーダ92には非常スイッチ86が接続されている。
【0044】
(4).非常警報装置の詳細構造
次に、図1及び図4を参照しながら、非常警報装置23の詳細構造について説明する。
【0045】
前述の通り、非常警報装置23はマンション1における廊下や階段といった共用部3に適宜配置されており、その前面(表面)には、非常時入力手段としての非常スイッチ101と、液晶パネル102と、スピーカ103とが設けられている。
【0046】
非常警報装置23は、前述したインタホン装置21,22と同様に、電力線搬送通信のための構成を備えている。非常警報装置23における電力線搬送通信のための構成及びその作用も、前述のインタホン装置21,22のそれと共通である。そこで、非常警報装置23において前述のインタホン装置21,22と共通のものには、集合インタホン装置21のものと同じ符号に「″」を付して、詳細な説明を省略する(例えばコントローラ41″、送信系回路42″等)。非常警報装置23においても、屋内電力線13に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されていて、好ましくは2MHz〜3MHzの伝送周波数帯域がよいことは言うまでもない。
【0047】
非常警報装置23のコントローラ41″には、FM変調器47″、復調器58″及びPLLシンセサイザ45″以外に、非常スイッチ101の入力指令をコマンド信号に符号化する非常エンコーダ104と、非常エンコーダ92,104からのコマンド信号を復号化して所定の信号に変換する表示デコーダ105と、スピーカアンプ106とが接続されている。非常エンコーダ104には非常スイッチ101が接続されており、表示デコーダ105には液晶パネル102が接続されている。スピーカアンプ106にはスピーカ103が接続されている。
【0048】
(5).システムの作用及び効果
次に、第1実施形態におけるシステムの作用及び効果について説明する。
【0049】
マンション1のある住戸2に来訪する知人や親戚等の来訪者は、共用玄関4の外側にある集合インタホン装置21のキー入力装置31にて、来訪先住戸2の住戸番号(例えば201等)を入力してから、キー入力装置31の呼び出しボタンを押す。ここで、液晶パネル32には、キー入力装置31にて入力された住戸番号が表示される。なお、入力内容の修正は、キー入力装置31の消去ボタンを押せばよい。
【0050】
そうすると、キー入力装置31の入力指令が、呼び出しエンコーダ66にて住戸番号に対応した特定コマンド信号に符号化され、コントローラ41に伝送される。コントローラ41に伝送された特定コマンド信号は、送信系回路42にて高周波数(2MHz〜30MHz)のFM信号に変換され、屋内電力線13に重畳される。屋内電力線13を介して来訪先住戸2の室内インタホン装置22に伝送されたFM信号は、受信系回路44′にて復調されたのち、コントローラ41′に伝送される。コントローラ41′は、復調された特定コマンド信号を識別して、スピーカ83から呼び出し音を鳴らす。
【0051】
呼び出された居住者が室内インタホン装置22の応答スイッチ81を押下すると、応答スイッチ81の入力指令が応答エンコーダ87にて特定コマンド信号に符号化され、コントローラ41′に伝送される。そして、特定コマンド信号は、送信系回路42′にて高周波数のFM信号に変換され、屋内電力線13に重畳される。屋内電力線13を介して集合インタホン装置21に伝送されたFM信号は、受信系回路44にて復調されたのち、コントローラ41に伝送される。コントローラ41は、復調された特定コマンド信号を識別して、集合インタホン装置21と室内インタホン装置22との通信(接続)を確立させ、集合インタホン装置21と室内インタホン装置22とが通話可能な状態になる。
【0052】
居住者が相手を通話にて確認してから解錠スイッチ85を押下すると、解錠スイッチ85の解錠指令が室内解錠エンコーダ91にて特定コマンド信号に符号化され、コントローラ41′に伝送される。そして、特定コマンド信号は、送信系回路42′にて高周波数のFM信号に変換され、屋内電力線13に重畳される。屋内電力線13を介して集合インタホン装置21に伝送されたFM信号は、受信系回路44にて復調されたのち、コントローラ41に伝送される。コントローラ41は、復調された特定コマンド信号を解錠デコーダ71に伝送して、解錠デコーダ71にて特定コマンド信号を復号化し、復号化された解錠指令にて自動開閉装置36を作動させて開閉扉5を所定の短時間だけ開けたのち閉じるのである。
【0053】
室内インタホン装置22のコントローラ41′は、解錠指令に対応した特定コマンド信号を送信すると集合インタホン装置21との通話状態を自動的に解除する一方、集合インタホン装置21のコントローラ41は、解錠指令に対応した特定コマンド信号を受信すると室内インタホン装置22との通話状態を自動的に解除する。なお、来訪者がマンション1内から退出するときは、共用玄関4の内側にある退出スイッチ(図示省略)を押下すれば、自動開閉装置36が作動して開閉扉5が所定の短時間だけ開く。
【0054】
以上の態様から明らかなように、集合インタホン装置21と各室内インタホン装置22とは屋内電力線13を介して通信するから(電力線搬送通信)、従来のような解錠のための電話料(通信費)が一切掛からない。このため、システム維持に関するランニングコストを低減できる。しかも、前述の通り、これら装置21,22間の通信に屋内電力線13を利用するので、マンション1内において、集合インタホン装置21と各室内インタホン装置22とをつなぐためのシステム専用の配線を新たに敷設する必要がないし、システム管理のための専用コンピュータも不要である。従って、従来に比べてシステムの設置コストを格段に低減できる。特に、既存のマンション1であっても簡単に後付けできるのである。
【0055】
また、集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22、及び各非常警報装置23は、マンション1内の電源コンセント14に差し込み接続するだけで相互に通信可能になるから、これら装置21〜23の設置作業の手間が掛からず、取り扱いが簡単である。
【0056】
ところで、電力線搬送通信においては、一般に屋内電力線13の分岐が多いと、分岐箇所にて伝送信号が減衰して伝送損失が大きくなり、通信状態が悪くなることが知られている。かかる不具合は伝送信号がデジタル信号である場合によく起こる。
【0057】
これに対して第1実施形態では、集合インタホン装置21と各室内インタホン装置22との間で相互に伝送される信号がFM信号(アナログ信号)であり、且つ、その伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されているから、屋内電力線13に重畳される伝送信号(高周波数のFM信号)は、屋内電力線13の分岐が多くても、伝送損失(信号減衰)を抑えてスムーズに分岐箇所を乗り越えでき、良好な通信状態を維持できる。かかる良好な通信状態は、異なる系統の屋内電力線13間であってもみられる現象である。特にFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜3MHzの範囲であれば、伝送損失を確実に抑制でき、8〜9階建て程度のマンションであれば、集合インタホン装置21と各室内インタホン装置22との通信に支障はまずない。
【0058】
しかも、FM信号の伝送周波数帯域(2MHz〜30MHz)は各住戸2にある電気機器のスイッチング周波数(10Hz〜450kHz)から離れているので、スイッチング周波数に基づくノイズの影響をFM信号から確実になくせるのである。
【0059】
さて、第1実施形態のシステムは、マンション1内への不法侵入を防止するだけでなく、防犯や安全対策を目的とした非常警報機能をも備えている。以下に、システムの有する非常警報機能について説明する。
【0060】
ある住戸2内において、居住者が暴漢の侵入といった非常事態に遭遇した場合は、住戸2内にある室内インタホン装置22(以下、対応室内インタホン装置22という)の非常スイッチ86を押下する。そうすると、非常スイッチ86の入力指令が非常エンコーダ92にて特定コマンド信号に符号化され、対応室内インタホン装置22のコントローラ41′に伝送される。そして、特定コマンド信号は、送信系回路42′にて高周波数のFM信号に変換され、屋内電力線13に重畳される。
【0061】
屋内電力線13を介して、集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22、及び各非常警報装置23に伝送されたFM信号は、受信系回路44,44′,44″にて復調されたのち、コントローラ41,41′,41″に伝送される。コントローラ41,41′,41″は、復調された特定コマンド信号を識別して、各装置21〜23のスピーカ33,83,103から一斉に警報音を鳴らすか、又は合成音声にて「○○号室にて非常事態発生」の案内(ガイダンス)を行うのである。対応室内インタホン装置22自身もスピーカ83から警報音又は合成音声を発することは言うまでもない。ここで、各装置21〜23の液晶パネル32,82,102には、対応室内インタホン装置22が配置されている住戸2の住戸番号が表示される。対応室内インタホン装置22の非常スイッチ86をもう一度押下すれば、各装置21〜23のスピーカ33,83,103からの警報音又は合成音声は停止する。
【0062】
また、マンション1の共用部3において、居住者が暴漢に襲われるといった非常事態に遭遇した場合は、その近傍に備え付けられている非常警報装置23(以下、対応非常警報装置23という)の非常スイッチ101を押下する。そうすると、非常スイッチ101の入力指令が非常エンコーダ104にて特定コマンド信号に符号化され、対応非常警報装置23のコントローラ41″に伝送される。そして、特定コマンド信号は、送信系回路42″にて高周波数のFM信号に変換され、屋内電力線13に重畳される。
【0063】
屋内電力線13を介して、集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22、及び各非常警報装置23に伝送されたFM信号は、受信系回路44,44′,44″にて復調されたのち、コントローラ41,41′,41″に伝送される。コントローラ41,41′,41″は、復調された特定コマンド信号を識別して、各装置21〜23のスピーカ33,83,103から一斉に警報音を鳴らすか、又は合成音声にて「○○にて非常事態発生」の案内(ガイダンス)を行うのである。対応非常警報装置23自身もスピーカ103から警報音又は合成音声を発する。ここで、各装置21〜23の液晶パネル32,82,102には、対応非常警報装置23が配置されている共用部3を示す情報が表示される。対応非常警報装置23の非常スイッチ101をもう一度押下すれば、各装置21〜23のスピーカ33,83,103からの警報音又は合成音声は停止する。
【0064】
以上の構成によると、各室内インタホン装置22及び各非常警報装置23に設けられた非常スイッチ86,101の入力操作に対応して、集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22、及び各非常警報装置23を一斉に警報報知させるので、マンション1内にいる居住者やマンション1周辺の人に、非常事態発生の事実を即座に報知できる。このため、マンション1内にいる居住者やマンション1周辺の人は、その場に駆け付けたり警察や消防に通報したりと、非常事態の解消のために素早く対処することが可能になる。特に居住者等がその場に駆け付ければ、警察官や外部管理事務所の人が通報に基づいて駆け付けるよりも素早い対応が可能になる。従って、マンション1全体の救援・防犯体制の確立に寄与できるのである。
【0065】
(6).第2実施形態の集合建築物用セキュリティシステム
図5〜図8は、本願発明に係る集合建築物用セキュリティシステムの第2実施形態を示している。ここで、第2実施形態において構成及び作用が第1実施形態と変わらないものは、第1実施形態の場合と同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
図5に示す第2実施形態のシステムは、集合インタホン装置221、各室内インタホン装置222及び各非常警報装置223間をつなぐネットワーク(通信網)として、屋内電力線13に代えてテレビ共聴ライン213を採用している点において、第1実施形態のものと相違している。
【0067】
第2実施形態では、マンション1の近傍に立設された電柱6に、CATV(ケーブルテレビ)幹線207が装架されている。CATV幹線207は、当該幹線207上に設けられたタップオフ209を介してマンション1に設置された保安器212に接続されており、保安器212からは、複数系統のテレビ共聴ライン213がマンション1の各階及び各住戸2に対応するように分岐して延びている。各系統のテレビ共聴ライン213には少なくとも1つのテレビコンセント214が設けられている。
【0068】
なお、以下の説明及び図面では便宜上、各階に対応したテレビ共聴ライン213に、下の階のものから順にアルファベットを付す場合がある(例えば1階のテレビ共聴ラインの符号は213a、2階の屋内電力線の符号は213b等)。テレビ共聴ライン213は、CATV幹線207に接続する以外に、テレビ電波等の放送信号を受信するアンテナに接続してもよい。
【0069】
集合インタホン装置221、各室内インタホン装置222及び各非常警報装置223はそれぞれ、基本的に第1実施形態の集合インタホン装置21、各室内インタホン装置22及び各非常警報装置23と同じ構成である。ただし、各装置221〜223から外部に延びる接続コード224の先端には、コンセントプラグ225が設けられており、これらコンセントプラグ225を各テレビコンセント214に差し込み接続することによって、各装置221〜223は、テレビ共聴ライン213を利用した通信ネットワークを構築している。第2実施形態では、テレビ共聴ライン213に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜1GHzの範囲に設定されている。
【0070】
以上の構成を採用した場合は、集合インタホン装置221と各室内インタホン装置222とがテレビ共聴ライン213を介して通信するから、従来のような解錠のための電話料(通信費)が一切掛からず、システム維持に関するランニングコストを低減できる。しかも、前述の通り、これら装置221,222間の通信にテレビ共聴ライン213を利用するので、マンション1内において、集合インタホン装置221と各室内インタホン装置222とをつなぐためのシステム専用の配線を新たに敷設する必要がないし、システム管理のための専用コンピュータも不要である。従って、従来に比べてシステムの設置コストを格段に低減できる。つまり、第2実施形態の場合も、第1実施形態と同様の作用効果が得られるのである。
【0071】
また、第2実施形態では、各装置221,222間の通信にテレビ共聴ライン213を利用するものであり、屋内電力線13と関係しないので、各住戸2にある電気機器のスイッチング周波数(10Hz〜450kHz)が通信上の問題になることはない。更に、第2実施形態では、テレビ共聴ライン213に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜1GHzの範囲に設定されているので、FM信号発生のための構造が簡単なもので済み、製造コストの上での利点がある。
【0072】
その上、各室内インタホン装置222及び各非常警報装置223に設けられた非常スイッチ86,101の入力操作に対応して、集合インタホン装置221、各室内インタホン装置222、及び各非常警報装置223を一斉に警報報知させることも可能であるから、マンション1内にいる居住者やマンション1周辺の人に、非常事態発生の事実を即座に報知でき、マンション1全体の救援・防犯体制の確立に寄与できる点においても、第1実施形態の場合と同様である。
【0073】
(7).その他
上記した実施形態の各構成は図示のものに限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1実施形態における集合建築物用セキュリティシステムの概略説明図である。
【図2】集合インタホン装置の機能ブロック図である。
【図3】室内インタホン装置の機能ブロック図である。
【図4】非常警報装置の機能ブロック図である。
【図5】第1実施形態における集合建築物用セキュリティシステムの概略説明図である。
【図6】集合インタホン装置の機能ブロック図である。
【図7】室内インタホン装置の機能ブロック図である。
【図8】非常警報装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1 集合建築物としてのマンション
2 住戸(室)
3 共用部(廊下や階段)
4 共用玄関(出入口)
5 開閉扉
13 屋内電力線
14 電源コンセント
21,221 集合インタホン装置
22,222 室内インタホン装置
23,223 非常警報装置
36 開放許容装置としての自動開閉装置
41,41′,41″ コントローラ
42,42′,42″ 送信系回路
43,43′,43″ デュプレクサ
44,44′,44″ 受信系回路
45,45′,45″ PLLシンセサイザ
46,46′,46″ 結合器
85 室内解錠手段としての解錠スイッチ
86,101 非常時入力手段としての非常スイッチ
213 テレビ共聴ライン
214 テレビコンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合建築物の出入口にて特定の者のみの出入りを許容するための集合建築物用セキュリティシステムであって、
前記出入口の外側に配置された集合インタホン装置と、前記集合建築物の各室に配置された室内インタホン装置とが、前記集合建築物の屋内電力線を介してFM信号による電力線搬送通信を行うように構成されており、
前記集合インタホン装置には、前記各室内インタホン装置に設けられた室内解錠手段の解錠操作に対応して、前記出入口の開閉扉を一時的に解錠又は開閉させる開放許容装置が接続されており、
前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置との間で相互に伝送されるFM信号の伝送周波数帯域が2MHz〜30MHzの範囲に設定されている、
集合建築物用セキュリティシステム。
【請求項2】
前記各室内インタホン装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置が一斉に警報報知するように構成されている、
請求項1に記載した集合建築物用セキュリティシステム。
【請求項3】
前記集合建築物の共用部には、前記屋内電力線を介してFM信号による電力線搬送通信を実行可能な非常警報装置が複数配置されており、
前記各室内インタホン装置及び前記各非常警報装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置、前記各室内インタホン装置、及び前記各非常警報装置が一斉に警報報知するように構成されている、
請求項1に記載した集合建築物用セキュリティシステム。
【請求項4】
集合建築物の出入口にて特定の者のみの出入りを許容するための集合建築物用セキュリティシステムであって、
前記出入口の外側に配置された集合インタホン装置と、前記集合建築物の各室に配置された室内インタホン装置とが、前記集合建築物のテレビ共聴ラインを介して接続されており、前記集合インタホン装置には、前記各室内インタホン装置に設けられた室内解錠手段の解錠操作に対応して、前記出入口の開閉扉を一時的に解錠又は開閉させる開放許容装置が接続されており、
前記集合インタホン装置と前記各室内インタホン装置とが、前記テレビ共聴ラインを介してFM信号による通信を行うように構成されている、
集合建築物用セキュリティシステム。
【請求項5】
前記各室内インタホン装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置及び前記各室内インタホン装置が一斉に警報報知するように構成されている、
請求項4に記載した集合建築物用セキュリティシステム。
【請求項6】
前記集合建築物の共用部には、前記テレビ共聴ラインを介してFM信号による通信を実行可能な非常警報装置が複数配置されており、
前記各室内インタホン装置及び前記各非常警報装置に設けられた非常時入力手段の入力操作に対応して、前記集合インタホン装置、前記各室内インタホン装置、及び前記各非常警報装置が一斉に警報報知するように構成されている、
請求項4に記載した集合建築物用セキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−141850(P2009−141850A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318296(P2007−318296)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(597077643)株式会社西電通 (5)
【Fターム(参考)】