説明

難燃剤のための亜ホスホン酸誘導体のヒドロホスホリル化

本発明は、次式(I)で表されるアルキル亜ホスホン酸誘導体、
A−P(=O)(OX)−H (I)
(式中、Aは、場合により置換されているC〜C18−アルキル、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アリールアルキルを意味し、および、Xは、H、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレン、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化された窒素塩基を意味する。)および、b) 次式(II)で表されるジエステル形成性オレフィン、からの付加物、
【化1】


(式中、R、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、およびR、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、R、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、R、Rは、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、R、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CN、CO、R−COH、R−COを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、R、Rは、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、R、Rは、それぞれ−CO−CR=CR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;Rは、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。);それの製造方法およびそれの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとのハロゲン不含付加物、それをハロゲンフリーで製造する方法、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物については、これまでは入手するのが全く不可能であったか、入手できたとしても多大な困難を伴っていたことから、一部が知られているに過ぎない。特にこの生成物は、これまではハロゲンフリーで製造することは不可能であった。
【0003】
オキサ−10−ホスファフェナントレンとジエステル形成性オレフィンとの付加物は公知であり、その製造方法もまた公知である。この付加物の技術的欠点は、そのリン含有率が僅かである点にあるが、リン含有率は、例えば防炎のために非常に重要である。このことにより、付加物のより高濃度の使用が不可避であり、そして火炎の作用から防護すべき対象、特にポリマーの主要な特性に負の影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
アクリル酸誘導体にメチル亜ホスホン酸およびそのエステルを付加した付加物は公知である。しかしながら、このアクリル酸誘導体は、ジ(カルボン酸)エステルを生成するものではなく、モノカルボン酸エステルを生成するものである。ジ(カルボン酸)エステルを生成するエステル化剤は、2個のカルボン酸基を介してポリマー鎖に組み入れることができるが、モノカルボン酸エステルを生成するエステル化剤は、ホスフィン酸基と1個のカルボン酸基だけを介してポリマー鎖に組み入れられることになる。ジカルボン酸が結合された生成物は、ポリマー内で、1個のカルボン酸だけしか結合されなかった生成物と比べて、耐加水分解性に一段と優れた結合特性を示す。
【0005】
上述のメチル亜ホスホン酸を製造するために、ハロゲン処理法の一つでは、黄リンとハロゲンアルカンとの化学反応により、アルキル残基がリン原子に結合される。そのようなハロゲン処理法は、特に火災時にハロゲン化合物が有毒な腐食性ガスを放出することから、深刻な欠点を有している。原則としてハロゲン不純物は、生成物の使用時に、特に生成物を防炎用途における合成成分(Synthesebausteine)として使用される場合は、不利である。
【0006】
合成成分として使用する場合、ハロゲン化物イオン(特に塩化物イオン)の腐食作用のために、安全性を保証するためにも技術的に非常に複雑で高価な原材料を使用しなければならない。
【0007】
ハロゲン化物の不純物により、防炎用途においては、さまざまな欠点がもたらされる:
難燃化されたポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維への加工(難燃化された熱可塑性ポリマー成形材料の配合(Compoundierung)、射出成形)時に、増大した腐食によって製造装置類が破壊される可能性がある。
腐食のために、エレクトロニクス分野における使用可能性が阻害されるか、または著しく制限される。火災の場合の使用時には、健康や環境を損なう水素化ハロゲンを含有した燃焼ガスが発生する可能性がある。
【0008】
したがって、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、それをハロゲンフリーで製造することに成功した場合に限って、幅広い用途が見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1693403号
【特許文献2】米国特許第3941752号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、本発明の課題は、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンのハロゲン不含付加物、および、それを特にハロゲンフリーで製造するための方法であり、その方法により、特に簡単かつ経済的な方法で、ならびに相応の高収量で所望の付加物を提供することに基づくものである。目的生成物は、−従来技術に従って製造できるような生成物とは対照的に−ハロゲン不含である。
【0011】
特に、アルキル亜ホスホン酸誘導体と、短い側鎖を有するジエステル形成性オレフィンとの付加物を、本発明に従って再現可能にし、そして良好な収量で製造できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くことに、本発明の方法によって、本発明による付加物が容易に達成されることが今や見出されたのである。
【0013】
例えば、オキサ−10−ホスファフェナントレンの付加物と比べて、本発明の付加物の技術的利点は、その高いリン含有率にある。本発明のエチル亜ホスホン酸のイタコン酸付加物のリン含有率と、オキサ−10−ホスファフェナントレンのイタコン酸付加物のリン含有率との比は、155対100である。
【0014】
本発明の方法は、ハロゲンフリーの製法であるために、生成物にハロゲン含有残基がなおも含有されている場合の上述のさまざまな欠点は、本発明の生成物からは全て排除される。
【0015】
したがって、本発明は、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物、その酸、エステルおよび塩、またはそれの混合物に関する。
【0016】
それゆえ、本発明の対象は、
a) 次式(I)で表されるアルキル亜ホスホン酸誘導体、
A−P(=O)(OX)−H (I)
(式中、
Aは、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アリールアルキルを意味し、および、
Xは、H、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレン、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化された窒素塩基を意味する。)および、
b) 次式(II)で表されるジエステル形成性オレフィン、
からの付加物。
【0017】
【化1】

【0018】
式中、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COであり、および
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rであり;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COであり、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rであり;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−であり、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rであり;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CN、CO、R−COH、R−COであり、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、それぞれ−CO−CR=CR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;
=C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;
=C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。
【0019】
Aは、好ましくは、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、2−アセテートエチル基、3−アセテートプロピル基、2−酪酸エチル基、3−酪酸プロピル基、2−エチルオキシエチル基、3−エチルオキシプロピル基、2−プロピルオキシエチル基、3−プロピルオキシプロピル基、2−ブチルオキシエチル基、3−ブチルオキシプロピル基、3−カルボキシプロピル基、2−アミノエチル、および/または3−アミノプロピル基である。
【0020】
Xは、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、オクチル基、エチルヘキシル基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、またはアリル基、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉛、チタン、鉄、亜鉛、アンモニウム、アニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルシリルアンモニウム、またはN−エチルピペリジンである。
【0021】
ジエステル形成性オレフィンは、好ましくは、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニルメチレンマロン酸、それらのジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステル、およびジブチルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ベンゾキノン、ナフトキノン、またはアントラキノンである。
【0022】
本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物をハロゲンフリーで製造する方法にも関し、該方法は、
a) ホスフィン酸源を、ジエステルを形成しないオレフィン(III)を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)に転化し、
b) そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)を、ジエステル形成性オレフィン(II)を用いて、触媒Bの存在下で上記の付加物に転化し、その際、前記アルキル亜ホスホン酸誘導体は、次式(I)に相当することを特徴とする。
A−P(=O)(OX)−H (I)
(式中、
Aは、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アリールアルキルを意味し、
Xは、H、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレンを意味し、および前記触媒Aは、遷移金属、遷移金属化合物および/または一つの遷移金属および/または一つの遷移金属化合物、および少なくとも一つの配位子から構成される触媒系であり、および前記触媒Bは、過酸化物を形成する化合物、ペルオキソ化合物、アゾ化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、および/または、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ土類金属のアルコキシドである。
【0023】
Aは、好ましくは、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、2−アセテートエチル基、3−アセテートプロピル基、2−酪酸エチル基、3−酪酸プロピル基、2−エチルオキシエチル基、3−エチルオキシプロピル基、2−プロピルオキシエチル基、3−プロピルオキシプロピル基、2−ブチルオキシエチル基、3−ブチルオキシプロピル基、3−カルボキシプロピル基、2−アミノエチル基、および/または3−アミノプロピル基である。
【0024】
Xは、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、オクチル基、エチルヘキシル基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、および/またはアリル基、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉛、チタン、鉄、亜鉛、アンモニウム、アニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルシリルアンモニウム、またはN−エチルピペリジンである。
【0025】
ジエステル形成性オレフィンは、好ましくは次式(II)に相当する。
【0026】
【化2】

【0027】
式中、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、H、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、COH、CN、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、それぞれ−CO−CR=CR−CO−を意味し、および、RおよびRは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;
=C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;
=C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレン、および/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。
【0028】
ジエステル形成性オレフィンは、好ましくはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニルメチレンマロン酸、それらのジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステルおよびジブチルエステル、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンである。
【0029】
ホスフィン酸源は、好ましくは、ホスフィン酸、ホスフィン酸の塩、ホスフィン酸のエステル、またはそれの混合物である。
【0030】
ジエステルを形成しないオレフィンは、次の一般式(III)に相当する。
【0031】
【化3】

【0032】
式中、R〜R10は、同一または異なっていて、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリールまたはC〜C18−アルキレンを示す。
【0033】
ジエステルを形成しないオレフィン(III)は、エチレン、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、および/または1,3−ブタジエンであることが好ましい。
【0034】
遷移金属および/または遷移金属化合物は、第7亜族および第8亜族由来のものであることが好ましい。
【0035】
遷移金属および/または遷移金属化合物は、好ましくはロジウム、ニッケル、パラジウム、ルテニウム、および/または白金である。
【0036】
触媒Bは、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、および/またはペルオキソ二硫酸であること、および/または、アゾジイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリドであること、および/または2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、および/または、リチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、またはナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、および/またはカリウムブトキシドであることが好ましい。
【0037】
工程b)に従って得られた、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる反応生成物は、好ましくは工程c)において、エステル化剤と反応される。
【0038】
エステル化剤は、C〜C20の飽和および不飽和の、一価、二価、三価、および四価アルコールであることが好ましい。
【0039】
エステル化剤は、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−ブテン−2−オール、メチルビニルカルビノール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、メタリルアルコール、2−ブテン−1−オール、クロチルアルコール、1−ペンテン−3−オール、トランス−2−ペンテン−1−オール、シス−2−ペンテン−1−オール、3−ペンテン−2−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、1−ヘキセン−3−オール、シス−2−ヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセン−1−オール、トランス−3−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−2−オール、1−ヘプテン−3−オール、1−オクテン−3−オール、トランス−2−オクテン−1−オール、オレイルアルコール、テルペンアルコール、プロパルギルアルコール、および/または2−ブチン−1,4−ジオールである。
【0040】
工程b)に従って得られた、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる反応生成は、好ましくは触媒Cを用いて遂行され、その際、その反応生成物はケン化される。
【0041】
触媒Cは、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基、水、鉱酸、スルホン酸、アルカリ金属の水酸化物、および/またはアルカリ土類金属の水酸化物であることが好ましい。
【0042】
本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる付加物の、さらなる合成のための中間体としての使用、バインダーとしての使用、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応時の架橋剤または反応促進剤としての使用、ポリマー安定剤としての使用、植物保護薬剤としての使用、ヒトおよび動物用の治療薬または治療薬添加剤としての使用、金属イオン封鎖剤としての使用、鉱油添加剤としての使用、防食剤としての使用、洗剤およびクリーニング剤用途における使用、ならびにエレクトロニクス用途における使用にも関する。
【0043】
それに加えて、本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる付加物の、難燃剤、特にクリアコートおよび発泡性防炎塗料用の難燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の難燃剤としての使用、ポリマー用の反応性および/または非反応性難燃剤としての使用、難燃化ポリマー成形材料の製造のための使用、難燃化ポリマー成形体の製造のための使用、および/または、含浸により、ポリエステル、およびセルロースの単紡および混紡布を耐火性に仕上げるための使用にも関する。
【0044】
本発明はまた、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる付加物を0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、および、フィラーまたは強化材を0〜55重量%含有する、難燃化された熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料にも関し、その際、成分の合計は100重量%である。
【0045】
最後に本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)とからなる付加物を0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、および、増量剤または強化材を0〜55重量%含有する、難燃化された熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸および繊維にも関し、その際、成分の合計は100重量%である。
【0046】
本発明の方法に基づいて、
a) ホスフィン酸源を、ジエステルを生成しないオレフィン(III)を用いて、触媒Aの存在下で、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)に転化し、
b) そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)を、ジエステル形成性オレフィン(II)と、場合により触媒Bの存在下で反応させることができる。
【0047】
本発明の方法の別の実施形態においては、
a) ホスフィン酸源を、ジエステルを生成しないオレフィン(III)を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)に転化し、
b) そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)を、ジエステル形成性オレフィン(II)と、場合により触媒Bの存在下で反応させ、そして
c) 次いで、エステル化剤でもって反応させることができる。以降、この方法を方法2と称す。
【0048】
本発明の方法のさらに別の実施形態においては、
a) ホスフィン酸源を、ジエステルを生成しないオレフィン(III)を用いて、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)に転化し、
b) そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)を、ジエステル形成性オレフィン(II)と、場合により触媒Bの存在下で反応させ、そして、
c) 次いで、触媒Cを用いて反応させることができ、その際には、工程b)からの生成物はケン化される。以降、この方法を方法3と称す。
【0049】
前述の本発明によるハロゲンフリーの方法の最終工程で、得られたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物、その酸、塩またはエステルを、引き続いて金属、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、および/またはプロトン化された窒素塩基でもって、相当する、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)ジエステル金属および/または窒素化合物との付加物に好ましく転化できる。
【0050】
アルキル亜ホスホン酸エステルは、好ましくは、アルキルエステル、ヒドロキシアルキルエステル、アルキルアリールエステル、アリールエステルおよび/またはアルケニルエステルである。
【0051】
このエステルは、特に好ましくは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アミルエステル、オクチルエステル、エチルヘキシルエステル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、ブチレングリコールエステル、ベンジルエステル、フェニルエステル、ビニルエステル、および/またはアリルエステルである。
【0052】
使用可能なジエステル形成性オレフィン(II)は、次のタイプのものである:
【0053】
【化4】

【0054】
式中、R、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し;
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;Rは、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。
【0055】
好ましくは、R、Rはまた、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し;R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味して;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;Rは、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。
【0056】
好ましくは、R、Rはまた、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−を意味し;R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味する。
【0057】
好ましくは、R、Rはまた、同一または異なっていて、そしてCOH、CN、CO、R−COH、R−COを意味し;R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、
〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;Rは、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。
【0058】
好ましくは、R、Rはまた、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味する。
【0059】
好ましくは、Rは、R=Rであり、−CO−CR=CR−CO−に等しく;R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;Rは、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味する。
【0060】
ジエステル形成性オレフィン(II)は、好ましくは、中間で(“その場で”)製造することもでき、そしてその生成の間に、アルキル亜ホスホン酸誘導体と反応させることができる。
【0061】
本発明によるハロゲンフリーの方法の工程a)は、
a) ホスフィン酸源を、エステルを生成しないオレフィン(III)と触媒Aもしくは触媒系Aの存在下で反応させ、
b) 任意に溶媒および/またはオレフィンを分離し、
c) 触媒A、触媒系A、遷移金属および/または遷移金属化合物を分離し、
d) 配位子および/または錯生成剤を分離し、
e) 補助剤および/またはオレフィンを分離する、
ことを特徴とすることができる。
【0062】
本発明によるハロゲンフリーの方法の工程a)は、ホスフィン酸源とオレフィンとを、触媒Aの存在下で行い、そして不溶性生成物をろ別することを特徴とすることができるものである。
【0063】
本発明によるハロゲンフリーの方法の工程a)は、
a) ホスフィン酸源とエステルを生成しないオレフィン(III)とを、触媒Aの存在下で反応させ、
b) 任意に触媒Aをろ別して、
c) 配位子および/または錯生成剤を分離し、
d) 溶媒を分離し、
e) 場合によっては、分離した触媒または配位子および/または錯生成剤を、少なくとも90%まで、工程a)に戻す
ことも特徴とすることができるものである。
【0064】
特に好ましくは、オレフィン(III)のR、R、R10は、同一または異なっていて、相互に独立して、そしてH、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチルおよび/またはフェニルを意味する。
【0065】
好ましくは、官能化オレフィン、例えば、アリルイソチオシアネート、アリルメタクリレート、2−アリルフェノール、N−アリルチオ尿素、2−(アリルチオ)−2−チアゾリン、アリルトリメチルシラン、酢酸アリル、アセト酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、アリルベンゼン、アリルシアニド、シアン酢酸アリル、アリルアニソール、トランス−2−ペンテナール、シス−2−ペンテンニトリル、1−ペンテン−3−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、トランス−2−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、スチレン、−メチルスチレン、4−メチルスチレン、酢酸ビニル、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、および1−ビニル−2−ピロリドンも使用される。
【0066】
特に好ましくは、オレフィンは、エチレン、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、および/または1,3−ブタジエンである。
【0067】
好ましくは、触媒Aのための遷移金属は、例えば、レニウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金のような、第7亜族および第8亜族の元素(現在の長周期表の族名では、7族、8族、9族または10族の金属)である。
【0068】
好ましくは、これらの金属塩が、遷移金属源および遷移金属化合物源として使用される。適切な塩は、アニオンのフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、亜フッ素酸塩、亜塩素酸塩、亜臭素酸塩、亜ヨウ素酸塩、次亜フッ素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、過フッ素酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、酸化物、水酸化物、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、過硫酸塩、チオ硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、リン化物、炭酸塩およびスルホン酸塩、例えばメタンスルホン酸塩、クロロスルホン酸塩、フルオロスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、t−ブチルスルホン酸塩、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸塩、およびスルホン化したイオン交換体樹脂を含む、鉱酸類の塩;および/または、有機塩、例えばアセチルアセトン酸塩、および、例えばトリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩などの20個までの炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸を含めた、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、およびクエン酸塩などの20個までの炭素原子を有するカルボン酸の塩である。
【0069】
遷移金属源および遷移金属化合物のさらに別の源は、テトラフェニルボレートアニオンおよびハロゲン化テトラフェニルボレートアニオンを持つ遷移金属、例えばペルフルオロフェニルボレートである。
【0070】
適切な塩は、同様に、一つまたは複数の遷移金属イオン、ならびに相互に独立して一つまたは複数のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、および有機ホスホニウムイオン、ならびに相互に独立して一つまたは複数の上記アニオンからなる、複塩および錯塩も包含される。適切な複塩は、例えば、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウムおよびテトラクロロパラジウム酸アンモニウムである。
【0071】
好ましくは、遷移金属源の一つは、元素としての遷移金属、および/または、ゼロ価状態の遷移金属化合物である。
【0072】
好ましくは、遷移金属は、金属として使用されるか、またはさらに別の金属との合金として使用され、その際、ホウ素、ジルコニウム、タンタル、タングステン、レニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金および/または金が好ましい。その際に、使用される合金中の遷移金属含有率は、好ましくは45〜99.95重量%である。
【0073】
好ましくは、遷移金属は、ミクロ分散物状(粒径0.1mm〜100μm)で使用される。
【0074】
好ましくは、遷移金属は、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、珪藻土などの金属酸化物上に、例えば炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどの金属炭酸塩上に、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどの金属硫酸塩上に、例えばリン酸アルミニウム、リン酸バナジウムなどの金属リン酸塩上に、例えば炭化ケイ素などの金属炭化物上に、例えばアルミン酸カルシウムなどの金属アルミン酸塩上に、例えばケイ酸アルミニウム、チョーク、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライトなどの金属ケイ酸塩上に、例えばSiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標)などの、機能性シリケート、機能性シリカゲル上に、例えばDeloxan(登録商標)などの機能性ポリシロキサン上に、金属窒化物上に、石炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、アンチモナイト、シェーライト、ペロブスカイト、ハイドロタルサイト、ヘテロポリアニオン上に、機能性および非機能性セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオン上に、例えばAmberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標)などのイオン交換体の表面、例えばChelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標)などの機能性ポリマー上、ポリマー固定化ホスファン、酸化ホスファン、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミン、アンモニウム塩、アミド、チオアミド、尿素、チオ尿素、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオール、チオールエーテル、チオールエステル、アルコール、アルコキシド、エーテル、エステル、カルボン酸、アセテート、アセタール、ペプチド、ヘタレン、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素、および/またはデンドリマー上に担持した状態で使用される。
【0075】
好ましくは、適当な金属塩および/または遷移金属の源も同様に、これらの錯化合物をもたらす。金属塩および/または遷移金属の錯化合物は、複数の金属塩もしくは遷移金属と、一つまたは複数の錯生成剤とからなる。適切な錯生成剤は、例えば、オレフィン、ジオレフィン、ニトリル、ジニトリル、一酸化炭素、ホスフィン、ジホスフィン、亜リン酸塩、ジ亜リン酸塩、ジベンジリデンアセトン、シクロペンタジエニル、インデニル、またはスチレンである。金属塩および/または遷移金属の適切な錯化合物は、好ましくは、上記担体物質上に担持させたものである。
【0076】
好ましくは、上述の担持された遷移金属の含有率は、担体材料の全質量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%である。
【0077】
遷移金属および遷移金属化合物の適切な源は、例えば、
パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム;アルミナ上、シリカ上、炭酸バリウム上、硫酸バリウム上、炭酸カルシウム上、炭酸ストロンチウム上、石炭上、活性炭上の、パラジウム、白金、ニッケル、またはロジウム;白金−パラジウム−金合金、アルミニウム−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、ランタノイド−ニッケル合金、ジルコニウム−ニッケル合金、白金−イリジウム合金、白金−ロジウム合金;Raney(登録商標)−ニッケル、ニッケル−亜鉛−鉄−酸化物;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、フッ化パラジウム(II)、水素化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、過酸化パラジウム(II)、シアン化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、リン化パラジウム(II)、ホウ化パラジウム(II)、パラジウム(II)クロム酸化物、パラジウム(II)コバルト酸化物、パラジウム(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸パラジウム(II)、パラジウム(II)水酸化物、モリブデン酸パラジウム(II)、オクタン酸パラジウム(II)、シュウ酸パラジウム(II)、過塩素酸パラジウム(II)、パラジウム(II)フタロシアニン、パラジウム(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸パラジウム(II)、過塩素酸パラジウム(II)、チオシアン酸パラジウム(II)、パラジウム(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、ステアリン酸パラジウム(II)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(II)、アセチルアセトン酸パラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸パラジウム(II)、テトラフルオロホウ酸パラジウム(II)、チオ硫酸パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸パラジウム(II)テトラナトリウム塩、メチルパラジウム(II)、シクロペンタジエニルパラジウム(II)、メチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、エチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、パラジウム(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、パラジウム(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、パラジウム(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、パラジウム(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、パラジウム(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、パラジウム(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2'−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2'−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1'−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2'−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2':6',2''−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、水素化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、過酸化ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、リン化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ニッケル(II)クロム酸化物、ニッケル(II)コバルト酸化物、ニッケル(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、モリブデン酸ニッケル(II)、オクタン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、ニッケル(II)フタロシアニン、ニッケル(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、ニッケル(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、2−エチルヘキサン酸ニッケル(II)、アセチルアセトン酸ニッケル(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸ニッケル(II)、テトラフルオロホウ酸ニッケル(II)、チオ硫酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸ニッケル(II)テトラナトリウム塩、メチルニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、メチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、エチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、ニッケル(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、ニッケル(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、ニッケル(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、ニッケル(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、ニッケル(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、ニッケル(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2'−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2'−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1'−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2'−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2':6',2''−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化白金(II)、臭化白金(II)、ヨウ化白金(II)、フッ化白金(II)、水素化白金(II)、酸化白金(II)、過酸化白金(II)、シアン化白金(II)、硫酸白金(II)、硝酸白金(II)、リン化白金(II)、ホウ化白金(II)、白金(II)クロム酸化物、白金(II)コバルト酸化物、白金(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸白金(II)、水酸化白金(II)、モリブデン酸白金(II)、オクタン酸白金(II)、シュウ酸白金(II)、過塩素酸白金(II)、白金(II)フタロシアニン、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸白金(II)、過塩素酸白金(II)、チオシアン酸白金(II)、白金(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸白金(II)、酢酸白金(II)、ステアリン酸白金(II)、2−エチルヘキサン酸白金(II)、アセチルアセトン酸白金(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸白金(II)、テトラフルオロホウ酸白金(II)、チオ硫酸白金(II)、トリフルオロ酢酸白金(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸白金(II)テトラナトリウム塩、メチル白金(II)、シクロペンタジエニル白金(II)、メチルシクロペンタジエニル白金(II)、エチルシクロペンタジエニル白金(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニル白金(II)、白金(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、白金(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、白金(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、白金(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、白金(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、白金(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2'−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル

)錯体、2'−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1'−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2'−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2':6',2''−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、フッ化ロジウム、水素化ロジウム、酸化ロジウム、過酸化ロジウム、シアン化ロジウム、硫酸ロジウム、硝酸ロジウム、リン化ロジウム、ホウ化ロジウム、ロジウムクロム酸化物、ロジウムコバルト酸化物、ロジウム炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸ロジウム、水酸化ロジウム、モリブデン酸ロジウム、オクタン酸ロジウム、シュウ酸ロジウム、過塩素酸ロジウム、ロジウムフタロシアニン、ロジウム5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸ロジウム、過塩素酸ロジウム、チオシアン酸ロジウム、ロジウムビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸ロジウム、酢酸ロジウム、ステアリン酸ロジウム、2−エチルヘキサン酸ロジウム、アセチルアセトン酸ロジウム、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸ロジウム、テトラフルオロホウ酸ロジウム、チオ硫酸ロジウム、トリフルオロ酢酸ロジウム、フタロシアニンテトラスルホン酸ロジウムテトラナトリウム塩、メチルロジウム、シクロペンタジエニルロジウム、メチルシクロペンタジエニルロジウム、エチルシクロペンタジエニルロジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム、ロジウム2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、ロジウム5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、ロジウムビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、ロジウム2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、ロジウム2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、ロジウム5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2'−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2'−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1'−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2'−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2':6',2''−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体;ヘキサクロロパラジウム酸(IV)カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸(IV)ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸(IV)アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸(II)カリウム、テトラクロロパラジウム酸(II)ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸(II)アンモニウム、ブロモ(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(I)ダイマー、(2−メチルアリル)パラジウム(II)クロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]パラジウム(0)、ビス(3,5,3',5'−ジメトキシジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、メソ−テトラフェニルテトラベンゾポルフィンパラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(3,3',3”−ホスフィニジン−トリス(ベンゼンスルホナト)パラジウム(0)ノナナトリウム塩、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、およびそれらのクロロホルム錯体;アリルニッケル(II)クロリドダイマー、硫酸ニッケル(II)アンモニウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(亜リン酸トリフェニル)ニッケル(0)、ヘキサフルオロニッケル(IV)酸カリウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、パラ過ヨウ素酸ニッケル(IV)カリウム、テトラブロモニッケル(II)酸ジリチウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム;塩化白金(IV)、酸化白金(IV)、硫化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)、シス−ジアミンテトラクロロ白金(IV)、トリクロロ(エチレン)白金(II)酸カリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(II)酸テトラアミン白金(II)、ヘキサクロロ白金(IV)酸テトラブチルアンモニウム、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、白金(0)−2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、白金オクタエチルポルフィリン、クロロ白金酸、カルボプラチン;クロロビス(エチレン)ロジウムダイマー、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムダイマー、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウムダイマー、クロロ(1,5−ヘキサジエン)ロジウムダイマーである。
【0078】
配位子は、好ましくは、次式(IV)で表されるホスフィンである。
PR11 (IV)
【0079】
式中、残基R11は、相互に独立して、水素、直鎖状、分岐状、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルキルアリール、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニルオキシ、C〜C20−アルキニルオキシ、C〜C20−アルコキシカルボニル、C〜C20−アルキルチオ、C〜C20−アルキルスルホニル、C〜C20−アルキルスルフィニル、シリル、および/またはこれらの誘導体、および/または、少なくとも一つのR12により置換されているフェニル、または少なくとも1個のR12により置換されているナフチルを示す。R12は、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NH、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ホルミル、直鎖状、分岐状、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、HN(C〜C20−アルキル)、N(C〜C20−アルキル)、−CO−(C〜C20−アルキル)、−CON(C〜C20−アルキル)、−OCO(C〜C20−アルキル)、NHCO(C〜C20−アルキル)、C〜C20−アシル、−SOM、−SON(R13)M、−COM、−PO、−AsO、−SiOM、−C(CFOM(M=H、Li、NaもしくはK)を示し、式中R13は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、直鎖状、分岐状、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニルオキシ、C〜C20−アルキニルオキシ、C〜C20−アルコキシカルボニル、C〜C20−アルキルチオ、C〜C20−アルキルスルホニル、C〜C20−アルキルスルフィニル、シリル、および/またはそれらの誘導体、アリール、C〜C20−アリールアルキル、C〜C20−アルキルアリール、フェニル、および/またはビフェニルを示す。好ましくは、全ての残基R11は同一である。
【0080】
適切なホスフィン(IV)は、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリイソペンチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、ビス(6−メチル−2ピリジル)フェニルホスフィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(2−スルホナトフェニル)ホスフィン;ジフェニル(3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、ビス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、ビス(3−スルホナトフェニル)フェニルホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(2−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩;2−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)トリメチルアンモニウムヨージド、2'−ジシクロヘキシルホスフィノ−2,6−ジメトキシ−3−スルホナト−1,1'−ビフェニルナトリウム塩、亜リン酸トリメチル、および/または亜リン酸トリフェニルである。
【0081】
特に好ましくは、配位子は、下記の一般式の二座の配位子である。
11M”−Z−M”R11 (V)
【0082】
式中、M”は、相互に独立してN、P、AsまたはSbを示す。好ましくは、二つのM”は同一であり、そして特に好ましくは、M”は、一つのリン原子である。
【0083】
いずれの基R11も、それぞれ相互に独立して、上記の式(VI)で説明記述される残基を示す。好ましくは、全ての基R11は同一である。
【0084】
Zは、少なくとも1個の架橋原子を含有する、好ましくは2〜6個の架橋原子を含有する、二価架橋基であることが好ましい。
【0085】
架橋原子は、C、N、O、SiおよびS原子の中から選択できる。Zは、好ましくは少なくとも1個の炭素原子を含有する有機架橋基である。Zは、好ましくは、1〜6個の架橋原子を含有し、そのうちの少なくとも2個が置換されていないか、または置換されることができる炭素原子である有機架橋基である。
【0086】
好ましい基Zは、−CHラジカル、−CH−CHラジカル、−CH−CH−CHラジカル、−CH−CH(CH)−CHラジカル、−CH−C(CH−CHラジカル、−CH−C(C)−CHラジカル、−CH−Si(CH−CHラジカル、−CH−O−CHラジカル、−CH−CH−CH−CHラジカル、−CH−CH(C)−CHラジカル、−CH−CH(n−Pr)−CH、および−CH−CH(n−Bu)−CHラジカル、置換されていないか、または置換された1,2−フェニルラジカル、1,2−シクロヘキシルラジカル、1,1'−または1,2−フェロセニルラジカル、2,2'−(1,1'−ビフェニル)ラジカル、4,5−キサンテン−ラジカル、および/またはオキシジ−2,1−フェニレンラジカルである。
【0087】
適切な二座ホスフィン配位子(V)は、例えば1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジプロピルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、および1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)プロパン、および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,4−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン、および1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;1,5−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタン;1,2−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジシクロ−ペンチルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン、および1,3−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)ベンゼン;9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−ジ−tert.−ブチルキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)キサンテン、1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、2,2'−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1'−ビナフチル、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)、2,5−(ジイソプロピルホスホラノ)ベンゼン、2,3−O−イソプロプロピリデン(Isopropropyliden)−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,2'−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル、2,2'−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1'−ビフェニル、2−(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2'−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン、2−[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ピリジン;1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)−ベンゼンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2'−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−4,4',7,7'−テトラスルホナト−1,1'−ビナフチルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2'−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−5,5'−テトラスルホナト−1,1'−ビフェニルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2'−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−1,1'−ビナフチルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2'−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]−メチル]−1,1'−ビフェニルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)−ベンゼンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(2,6−ジクロロ−3−スルホナトフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(3−スルホナトメシチル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、および5,11,17,23−スルホナト−25,26,27,28−テトラヒドロキシカリクス[4]アレーンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩である。
【0088】
更に、上記の式(IV)および(V)の配位子は、残基R11および/または架橋基を介して、適切なポリマーまたは無機基材に結合できる。
【0089】
触媒系は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.05〜1:10、特に1:1〜1:4の遷移金属−配位子のモル比を有する。
【0090】
好ましくは、処理工程a)、b)およびc)における反応は、任意に、例えば窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素などのさらに別の気体成分を含む雰囲気中で行われることが好ましい;その温度は、−20〜340℃、特に20〜180℃であり、全圧は、1〜100バールである。
【0091】
処理工程a)、b)およびc)の後の、生成物および/または成分および/または遷移金属および/または遷移金属化合物および/または触媒系および/または配位子および/または出発材料の単離は、任意に、蒸留または精留によって、結晶化または析出によって、ろ過または遠心分離によって、吸着またはクロマトグラフィーによって、または他の公知の方法によって行われる。
【0092】
本発明によれば、溶媒、補助剤および場合により他の揮発性成分は、例えば蒸留、ろ過および/または抽出により分離される。
【0093】
好ましくは、処理工程a)、b)およびc)における反応は、任意に、吸収カラム、噴霧塔、気泡カラム、撹拌タンク、流動床反応器、管型流通式反応器、ループ管型反応器および/または混練機で遂行される。
【0094】
適切な混合具は、例えば、アンカーミキサー、ブレードミキサー、MIG撹拌機、プロペラ型撹拌機、インペラー型撹拌機、タービン型撹拌機、クロスビーター(Kreuz−Ruehrer)、ディスパーザーディスク、中空撹拌機(Hohl−(Begasungs−) Ruehrer)、ローター−ステーター式ミキサー、静的ミキサー、ベンチュリノズル、および/またはマンモス−ポンプである。
【0095】
好ましくはその際、反応液/混合物は、1〜1,000,000、好ましくは100〜100,000の回転レイノルズ数に相当する撹拌強度で撹拌される。
【0096】
それぞれの反応相手の徹底的な全体にわたる混合が、0.080〜10kW/m、好ましくは0.30〜1.65kW/mのエネルギー下で遂行されることが好ましい。
【0097】
それぞれの反応相手の集約的な全体にわたる混合が、0.080〜10kW/m、好ましくは0.30〜1.65kW/mのエネルギー下で遂行されることが好ましい。
【0098】
好ましくは、反応の間、触媒AまたはBのそれぞれが、均一および/または不均一に作用する。したがって、不均一に作用を呈する触媒はいずれも、反応の間には懸濁液として、あるいはある種の固相に結合させた状態で作用させる。
【0099】
触媒Aは、反応の前、および/または反応の開始まで、および/または反応の間に、その場で生成されることが好ましい。
【0100】
好ましくは、それぞれの反応は、単相系としての溶媒中における均質または不均質な混合物中で、および/または気相中で行われる。
【0101】
多相系を使用する場合、それに加えて、相間移動触媒を使用できる。
【0102】
本発明による反応は、液相中、気相中、または超臨界相中でも行うことができる。その際に、触媒AまたはBのそれぞれは、液体の場合、好ましくは均一系触媒または懸濁液として使用されるのに対して、反応が気相操作方式または超臨界操作方式で行われる場合、固定床配置が有利である。
【0103】
適切な溶媒は、水、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、i−オクタノール、n−トリデカノール、ベンジルアルコールなどである。好ましくは、それ以外に、グリコール類、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなど;脂肪族炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、および石油エーテル、石油ベンジン、ケロシン、石油、パラフィン油など;芳香族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンなど;ハロゲン化炭化水素類、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、四塩化炭素、テトラブロモエチレンなど;脂環式炭化水素類、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンなど;エーテル類、例えば、アニソール(メチルフェニルエーテル)、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジフェニルエーテル、メチルビニルエーテル、テトラヒドロフラン、トリイソプロピルエーテルなど;グリコエーテル類、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DMEモノグリム)、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなど;ケトン類、例えば、アセトン、ジイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトンなど;カルボン酸類、例えば、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトンなど;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、および酢酸n−ブチルなどのエステル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などであり、単独で、または相互に組み合わされる。
【0104】
使用されるオレフィンおよびホスフィン酸源もまた、適切な溶媒である。これらは、空時収率の増大という形で利点をもたらす。
【0105】
好ましくは、オレフィンおよび/または溶媒に固有の蒸気圧下で反応が実行される。
【0106】
反応は、0.01〜100バールのオレフィン分圧で、特に好ましくは0.1〜10バールのオレフィン分圧で行われることが好ましい。
【0107】
反応は、1:10,000〜1:0.001のホスフィン酸:オレフィンのモル比で、特に好ましくは1:30〜1:0.01の比で行われることが好ましい。
【0108】
反応は、1:1〜1:0.00000001のホスフィン酸:触媒のモル比で、特に好ましくは1:0.01〜1:0.000001で行われることが好ましい。
【0109】
反応は、1:10,000〜1:0のホスフィン酸:溶媒のモル比で、特に好ましくは1:50〜1:1で行われることが好ましい。
【0110】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸およびその誘導体(I)の製造方法は、ホスフィン酸原を、オレフィンと、触媒の存在下で反応させ、そしてその生成物(I)(アルキル亜ホスホン酸および/またはその塩、エステル)から、触媒、遷移金属および/または遷移金属化合物、配位子、錯生成剤、塩および副生成物を取り除くことを特徴とする。
【0111】
本発明によれば、補助剤1の添加によって、触媒、触媒系、遷移金属および/または遷移金属化合物が分離され、そして、抽出および/またはろ過によって、触媒、触媒系、遷移金属および/または遷移金属化合物が分離される。
【0112】
本発明によれば、補助剤2での抽出および/または補助剤2を用いた蒸留によって、配位子および/または錯生成剤が分離される。
【0113】
補助剤1は、好ましくは、水および/または、少なくとも一つの金属捕捉剤(Metal Scavenger)のファミリーを代表物質である。好ましい金属捕捉剤は、金属酸化物類、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、珪藻土;金属炭酸塩類、例えば炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム;金属硫酸塩類、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム;金属リン酸塩類、例えばリン酸アルミニウム、リン酸バナジウム;金属炭化物類、例えば炭化ケイ素;金属アルミン類、例えばアルミン酸カルシウム;金属シリケート類、例えばケイ酸アルミニウム、チョーク、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト;機能性シリケート類、機能性シリカゲル類、例えばSiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標);機能性ポリシロキサン類、例えばDeloxan(登録商標);金属窒化物類、石炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、アンチモナイト、シェーライト、ペロブスカイト、ハイドロタルサイト、機能性および非機能性セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオン、イオン交換体類、例えばAmberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標);機能性ポリマー類、例えばChelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標);ポリマー固定化ホスファン、ホスファン酸化物類、ホスフィネート類、ホスホナート類、ホスフェート類、アミン類、アンモニウム塩類、アミド類、チオアミド類、尿素類、チオ尿素類、トリアジン類、イミダゾール類、ピラゾール類、ピリジン類、ピリミジン類、ピラジン類、チオール類、チオールエーテル類、チオールエステル類、アルコール類、アルコキシド類、エーテル類、エステル類、カルボン酸類、アセテート類、アセタール類、ペプチド類、ヘタレン類、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素および/またはデンドリマー類である。
【0114】
補助剤1は、補助剤1上の金属充填量、0.1〜40重量%濃度に相当する量で添加するのが好ましい。
【0115】
補助剤1は、20〜90℃の温度で使用されるのが好ましい。
【0116】
補助剤1の滞留時間は、0.5〜360分であるのが好ましい。
【0117】
補助剤2は、処理工程a)において好ましく使用される、前述の本発明の溶媒であることが好ましい。
【0118】
好ましくは、本発明の方法の工程b)は、触媒Bの添加により遂行される。好ましくは、ブレンステッド酸、塩基、ラジカル重合開始剤、および光重合開始剤である。
【0119】
好ましい塩基は、有機塩基および/または有機金属塩基である。
【0120】
好ましい有機金属塩基は、第1主族および第2主族、ならびに第4亜族のアルコラートである。特に好ましくは、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、ナトリウムブタノラート、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート、カリウムブタノラート、チタン(IV)プロピラート、および/またはチタン(IV)ブタノラートである。
【0121】
好ましい触媒Bは、金属、金属水素化物、例えばリチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムでもある。
【0122】
工程b)のための好ましいラジカル重合開始剤は、ペルオキソ一硫酸、一過硫酸カリウム(ペルオキソ一硫酸カリウム)、Caroat(商標)、Oxone(商標)、ペルオキソ二硫酸、過硫酸カリウム(ペルオキソ二硫酸カリウム)、過硫酸ナトリウム(ペルオキソ二硫酸ナトリウム)、過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)などのペルオキソ化合物である。
【0123】
特に好ましくは、工程b)の溶媒系中で過酸化物を生成できる化合物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム二ペルオキソ水和物、過酸化ナトリウム二ペルオキソ水和物水和物(sodium peroxide diperoxohydratehydrate)、過酸化ナトリウム二水和物、過酸化ナトリウム八水和物、過酸化リチウム、過酸化リチウム一ペルオキソ水和物三水和物、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウム、過酸化亜鉛、超酸化カリウム、過酸化カリウム二ペルオキソ水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム四水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム三水和物、ペルオキソホウ酸ナトリウム一水和物、無水ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウムペルオキソ水和物、ペルオキソホウ酸マグネシウム、ペルオキソホウ酸カルシウム、ペルオキソホウ酸バリウム、ペルオキソホウ酸ストロンチウム、ペルオキソホウ酸カリウム、ペルオキソモノリン酸、ペルオキソ二リン酸、ペルオキソ二リン酸カリウム、ペルオキソ二リン酸アンモニウム、ペルオキソ二リン酸カリウムアンモニウム(二塩)、炭酸ナトリウムペルオキソ水和物、尿素ペルオキソ水和物、シュウ酸アンモニウムペルオキシド、過酸化バリウムペルオキソ水和物、過酸化バリウムペルオキソ水和物、カルシウム過酸化水素、過酸化カルシウムペルオキソ水和物、三リン酸二ペルオキソリン酸アンモニウム水和物、フッ化カリウムペルオキソ水和物、フッ化カリウム三ペルオキソ水和物、フッ化カリウム二ペルオキソ水和物、ピロリン酸ナトリウム二ペルオキソ水和物、ピロリン酸ナトリウム二ペルオキソ水和物八水和物、酢酸カリウムペルオキソ水和物、リン酸ナトリウムペルオキソ水和物、ケイ酸ナトリウムペルオキソ水和物である。
【0124】
好ましい触媒Bは、過酸化水素、過ギ酸、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化デカノイル、過酸化ラウリル、クメンヒドロペルオキシド、ピネンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化アセチルアセトン、過酸化メチルエチルケトン、過酸化コハク酸、ペルオキシ二炭酸ジセチル、ペルオキシ酢酸tert−ブチル、ペルオキシマレイン酸tert−ブチル、ペルオキシ安息香酸tert−ブチル、過酸化アセチルシクロヘキシルスルホニルである。
【0125】
工程b)のためのラジカル重合開始剤としては、水溶性アゾ重合開始剤が使用されることが好ましい。好ましいのは、Dupont−Biesteritz社のVAZO(登録商標)52 2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、VAZO(登録商標)64 (アゾビス(イソブチロニトリル)、AIBN)、VAZO(登録商標)67 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、VAZO(登録商標)88 1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、VAZO(登録商標)68、和光純薬のV−70 2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、V65 2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、V−601 ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、V−59 2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、V−40 1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、VF−096 2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、V−30 1−[(シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、VAm−110 2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチル−プロピオンアミド)、VAm111 2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、VA−046B 2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾーリン−2−イル)プロパンジスルフェート二水和物、VA−057 2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、VA−061 2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾーリン−2−イル)プロパン]、VA080 2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、VA−085 2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、VA−086 2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]などの、アゾ重合開始剤である。
【0126】
適しているのはほかにも、2−tert−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、アゾジイソ酪酸ジメチル、アゾジイソブチロニトリル、2−tert−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、1−tert−アミルアゾ−1−シアノシクロヘキサンなどのアゾ重合開始剤である。さらに、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、3,3−ビス(tert−ブチルペルオキシ)酪酸エチル、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのアルキルペルケタールである。
【0127】
工程b)における触媒Bとアルキル亜ホスホン酸誘導体との比は、好ましくは1:100〜100:1、特に好ましくは1:50〜1:1である。
【0128】
工程b)における溶媒とアルキル亜ホスホン酸誘導体との比は、好ましくは1:1000〜50:1である。
【0129】
好ましくは、開始剤Bは、リン含有化合物に基づいて、1時間あたり触媒0.01〜10モル%の速度で、計量添加される。
【0130】
工程b)における反応は、ジエステル形成性オレフィン(II)および/または溶媒に固有の蒸気圧下で実行されることが好ましい。
【0131】
適切な溶媒は、工程a)について挙げた溶媒である。
【0132】
工程b)における反応は、ジエステル形成性オレフィンの分圧0.01〜100バールで行われることが好ましい。
【0133】
工程b)における反応は、好ましくは0〜250℃の温度で、特に好ましくは20〜200℃の温度で、特に50〜150℃の温度で遂行される。
【0134】
工程b)における反応は、好ましくは1〜100バールの全圧で行われる。
【0135】
更に、本発明の対象は、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)とエステル形成性オレフィンとの金属アルコラート(触媒B)の存在下での反応によって、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物を連続的に製造する方法であって、
a) 反応混合物を循環させるように設計され、冷却装置ならびにオーバーフローと連結されて、それらを備える閉鎖型反応器中に、反応器体積に対応した体積の製造すべき、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を、場合により溶媒の、金属アルコラートに相当するアルコールと混合した形態で仕込み、そして循環させ;
b) 循環している反応器内容物を冷却しながら、反応器中でアルキル亜ホスホン酸エステル(I)、エステル形成性オレフィン(II)および金属アルコラートのアルコール溶液を連続的に導入し、そして約0〜80℃の温度で約5〜120分の間反応させ、その際、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)とエステル形成性オレフィン(II)とのモル比は、約1:0.9〜2であり、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)と金属アルコラートの量は、約0.1〜5モル%であり;および、
c) 反応器のオーバーフローから、反応生成物含有の混合物を連続的に抜き取り、そしてその混合物から、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を分離する、
ことを特徴とする該方法でもある。
【0136】
本発明の方法の好ましい実施形態は、反応成分の反応が、20〜50℃の温度で遂行されるものである。反応器への反応成分および触媒溶液の装入は、例えば、
a) アルキル亜ホスホン酸エステル(I)、エステル形成性オレフィン(II)ならびに金属アルコラートのアルコール溶液を、それぞれ別々に反応器中へ導入する、
b) アルキル亜ホスホン酸エステル(I)とエステル形成性オレフィン(II)との混合物を、金属アルコラートのアルコール溶液とは別個に反応器中へ導入する、または、
c) アルキル亜ホスホン酸エステル(I)と金属アルコラートのアルコール溶液との混合物を、エステル形成性オレフィン(II)とは別個に反応器中へ導入する、ことで遂行できる。
【0137】
アルキル亜ホスホン酸エステル(I)のエステル残基、および、エステル形成性オレフィン(II)のエステル残基は、同一または異なることができる。それ以外にも、溶媒として使用されるアルコールおよび/または金属アルコラートのアルコール成分は、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)および/またはエステル形成性オレフィン(II)のアルコール成分のいずれかに相当する。
【0138】
最後に、本発明の好ましい特徴は、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)とエステル形成性オレフィン(II)とのモル比が1:1〜1.3であり、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)に対する触媒Bの量が1〜5モル%であり、溶媒として使用されるアルコールの量が、アルキル亜ホスホン酸エステル(I)1モルあたり0.1〜1000Molであることにある。
【0139】
異なるエステル残基を有するアルキル亜ホスホン酸エステル(I)およびエステル形成性オレフィン(II)、ならびにこれらのエステル残基の相当する金属アルコラートのアルコール溶液を使用する場合に、混合生成物が得られる。
【0140】
本発明の方法によれば、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を、理論値の約95%というこれまでに達成されていない収率で、工業的規模で連続的に製造することが可能になる。
【0141】
好ましくは、工程b)において、揮発性成分が、0.01〜1バールの減圧中で除去される。
【0142】
本発明に従ったアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物は、
− 例えば、鋳物材料および鋳物砂用のバインダーとして;
− エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂の硬化時の、架橋剤または反応促進剤として;
− ポリマー安定剤、例えば、綿織物、ポリマー繊維、プラスチック用の、光保護剤および/または熱安定剤として;
− 植物保護薬剤、例えば、植物成長調整剤として、化学除草剤、除草剤、殺虫剤、(土壌)殺菌剤として;
− ヒトおよび動物用の診断薬、治療薬または治療薬添加剤として、例えば、酵素活性調節剤として、組織成長に刺激を与える目的で;
− 金属イオン封鎖剤として、例えば、工業用水道において、鉱油採掘の現場で、および、各種金属処理手段において、付着物や沈着物を制御する目的で;
− 鉱油添加剤として、例えば抗酸化剤として、また、オクタン価を高める目的で;
− 防食剤として;
− 洗剤およびクリーニング剤用途において、例えば漂白剤として;
− エレクトロニクス用途において、例えば、コンデンサー、乾電池、および蓄電池用の高分子電解質において、ならびに、感光層に含まれるラジカル捕捉剤として;
− ポリエステル用の重合触媒として;
− ポリエステル繊維およびポリアミド繊維用の共重縮合可能な難燃剤として;
− ポリエステルマスターバッチとして;
− ポリマー用の熱安定剤、光安定剤として;
− アンギオテンシン転換酵素阻害剤用の中間体として;
− アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤として、細胞機能に影響を与えて、免疫性、炎症性、神経性その他の疾患の治療目的で、または、アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤を調製するための中間体として;
− ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤として、またはこれを調製するための中間体として;
− 高血圧を治療するためのエポキシドヒドロラーゼ阻害剤として、またはこれを調製するための中間体として;
− 繊維の前処理および表面改質の目的で
使用されることが好ましい。
【0143】
好ましくは、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物の使用は、式(I)において、X=Hである場合、または、式(II)において、R、R、またはR、R、またはR、Rが、同一または異なっていて、そしてCOH、R−COHの群からの少なくとも一つの物質であり;または、RがRと同じであり、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−ONR−CO−、−CO−PR−CO−の群からの少なくとも一つの物質であり;または、R、Rが同じであり、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRの群からの少なくとも一つの物質であり;
、R、またはR、R、またはR、Rが、同一または異なっていて、そしてH、Rの群からの少なくとも一つの物質であり;
が、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;
が、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する、いずれかの場合に、方法2の工程c)におけるエステル化によって、エステル(およびポリエステル)を製造するためであるのが好ましい。
【0144】
本発明によれば、方法2の工程c)において、アルキル亜ホスホン酸部分に、エステル化されていない一つのホスフィン酸官能基を担持している、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、エステル化剤との反応によってエステル化されるのが好ましい。
【0145】
本発明によれば、方法2の工程c)において、ジエステル形成性オレフィン部分に、エステル化されたカルボン酸官能基を担持している、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、エステル化剤との反応によってエステル化されるのが好ましい。
【0146】
本発明によれば、方法2の工程c)において、アルキル亜ホスホン酸部分にエステル官能基を担持しているアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)と、ジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、エステル化剤との反応によってエステル交換されるのが好ましい。
【0147】
本発明によれば、方法2の工程c)において、カルボン酸部分にエステル官能基を担持しているアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)と、ジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、エステル化剤との反応によってエステル交換されるのが好ましい。
【0148】
本発明によれば、適切なエステル化剤は、C〜C20の飽和および不飽和の、一価、二価、三価、および四価アルコールであり、特に好ましくは、C〜Cの飽和および不飽和の、一価、二価、三価、および四価アルコールであり、極めて好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−ブテン−2−オール、メチルビニル−カルビノール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、メタリルアルコール、2−ブテン−1−オール、クロチルアルコール、1−ペンテン−3−オール、トランス−2−ペンテン−1−オール、シス−2−ペンテン−1−オール、3−ペンテン−2−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、1−ヘキセン−3−オール、シス−2−ヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセン−1−オール、トランス−3−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−2−オール、1−ヘプテン−3−オール、1−オクテン−3−オール、トランス−2−オクテン−1−オール、オレイルアルコール、テルペンアルコール、プロパルギルアルコール、2−ブチン−1,4−ジオールである。
【0149】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物の使用は、式Iにおいて、Xが、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレンを意味する場合、あるいは、式(II)において、
、R、またはR、R、またはR、Rが、同一または異なっていて、COH、R−COHの群からの少なくとも一つの物質であり;または、RがRと同一であり、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−O−NR−CO−、−CO−PR−CO−の群中からの少なくとも一つの物質であり;または、R、Rが同じであり、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRの群からの少なくとも一つの物質であり;R、R、またはR、R、またはR、Rが、同一または異なっていて、そしてH、Rの群からの少なくとも一つの物質であり;Rが、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味しており;Rが、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレン、および/またはC〜C18−アラルキレンを意味する場合のいずれかのとき、方法3の工程c)においてケン化によって酸を製造するためであるのが好ましい。
【0150】
本発明によれば、方法3の工程c)において、アルキル亜ホスホン酸部分にエステル官能基を担持しているアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)と、ジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、触媒Cを用いた反応によって、ホスフィン酸官能基にケン化されるのが好ましい。
【0151】
本発明によれば、方法3の工程c)において、カルボン酸部分にエステル官能基を担持しているアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)と、ジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、触媒Cを用いた反応によって、カルボン酸官能基にケン化されるのが好ましい。
【0152】
本発明によれば、方法3の工程c)において、カルボン酸部分に少なくとも一つのニトリル官能基を担持しているアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)と、ジエステル形成性オレフィン部分とからなる付加物は、触媒Cを用いた反応によって、カルボン酸官能基にケン化されるのが好ましい。
【0153】
本発明によれば、好ましい触媒Cは、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基、水、好ましくは、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルホン酸のような鉱酸、アルカリ金属の水酸化物、またはアルカリ土類金属の水酸化物である。
【0154】
適切な塩基は、金属、金属水素化物、および金属アルコラート、例えば、リチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、またはナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、またはカリウムブトキシドなどであり、さらにそれに加えて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化バリウムである。
【0155】
非常に好ましいのは、硫酸、塩酸、リン酸、トルエンスルホン酸;苛性ソーダ、苛性カリ、消石灰である。
【0156】
アルキル亜ホスホン酸(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物の塩が得られる場合、これを、鉱酸でもって対応する酸に転化し、そして工程b)に準じてエステル化することができる。
【0157】
アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィンとの付加物のアンモニウム塩が得られる場合、これを最初に塩基でもってアルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィンとの付加物の塩に転化し、次にそれを、鉱酸でもって対応する酸に転化し、そして工程b)に準じてエステル化することができる。
【0158】
好ましくは、酸性またはアルカリ性の加水分解を、水および不活性溶媒の存在下で行うことができる。適切な不活性溶媒は、工程ステップa)に記載の溶媒であるが、好ましいのは、1〜6個の炭素原子を持つ低分子アルコールである。
【0159】
加水分解の実行の際には、水の存在が重要である。水量は、最少量としての化学量論的必要量から過剰量であることができる。
【0160】
好ましくは、加水分解は、1:1〜1:1,000、特に好ましくは1:1〜1:10のリン/水のモル比で行われる。
【0161】
好ましくは、加水分解は、1:1〜1:300、特に好ましくは1.1〜1:20のリン/塩基もしくは酸のモル比で行われる。
【0162】
使用される溶媒の量は、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物1kgあたり、0.5kg〜1.5kg、好ましくは0.6kg〜1.0kgである。
【0163】
反応温度は、好ましくは50℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃である。
【0164】
好ましくは、反応は、1〜100バールの全圧、特に好ましくは1〜10バールの全圧で遂行される。
【0165】
反応時間は、0.2〜20時間、好ましくは1〜12時間である。
【0166】
アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物は、後にさらなる金属塩に転化させることができる。
【0167】
使用される金属化合物は、好ましくは、金属、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、特に好ましくはMg、Ca、Al、Ti、Zn、Sn、Ce、Feの化合物である。
【0168】
溶媒として適するのは、処理工程a)において使用される溶媒である。
【0169】
この反応は水性の媒体中で行われることが好ましい。
【0170】
好ましくは、改質された溶媒系中で行われる反応である。そのために、さまざまな酸性成分、可溶化剤、消泡剤などが添加される。
【0171】
アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物、その酸、エステル、および/またはアルカリ塩は、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物を用いて、これらの金属の、アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物に転化させることが好ましい。
【0172】
その際に、この転化反応が、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物と金属とのモル比、8:1〜1:3(四価金属イオン、または、安定した四価の酸化状態を有する金属の場合)、6:1〜1:3(三価金属イオン、または、安定した三価の酸化状態を有する金属の場合)、4:1〜1:3(二価金属イオン、または、安定した二価の酸化状態を有する金属の場合)、および3:1〜1:4(一価金属イオン、または、安定した一価の酸化状態を有する金属の場合)で行われる。
【0173】
好ましくは、アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物のエステルおよび/またはアルカリ塩を、相当する酸に転化し、そしてこれを、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeの金属化合物を用いて、これらの金属の、アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィンとの付加物に変換する。
【0174】
好ましくは、アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物の酸およびエステルを、アルカリ塩に転換し、そしてこれを、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeの金属化合物を用いて、これらの金属の、アルキル亜ホスホン酸とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物に変換する。
【0175】
処理工程c)のための、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeの金属化合物は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属水酸化酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、金属ヒドロキソ炭酸塩、金属ヒドロキソ炭酸塩水和物、混合金属ヒドロキソ炭酸塩、金属の混合ヒドロキソ炭酸塩水和物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硫酸塩水和物、金属ヒドロキソ硫酸塩水和物、混合金属ヒドロキソ硫酸塩水和物、金属オキシ硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩、フッ化物、フッ化金属水和物、金属塩化物、塩化金属水和物、金属オキシ塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、ヨウ化金属水和物、金属カルボン酸誘導体、および/または金属アルコラートであることが好ましい。
【0176】
好ましくは、これらの金属化合物は、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタニル、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および/または硫酸亜鉛である。
【0177】
ほかにも適しているのは、アルミニウム金属、フッ化アルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫化アルミニウム、セレン化アルミニウム;リン化アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、窒化アルミニウム;炭化アルミニウム、ヘキサフルオロケイ酸アルミニウム;水素化アルミニウム、水酸化カルシウムアルミニウム、水酸化ホウ素アルミニウム;塩素酸アルミニウム;硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸アルミニウム、アルミニウムのハイドロタルサイト、炭酸アルミニウムナトリウム、ホウ酸アルミニウム;チオシアン酸アルミニウム;酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、これらの相応の水和物、および/または、好適にはアルミニウム含有率が9〜40重量%のポリアルミニウムヒドロキシ化合物である。
【0178】
モノカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸のアルミニウム塩、例えば、アルミニウムジアセテート、アルミニウムアセトタルトレート、ギ酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、アルミニウム−8−オキシキノレート(−8−oxychinolat)も適している。
【0179】
亜鉛元素、亜鉛金属、ならびに、例えば亜鉛ハロゲン化物(フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛)などの亜鉛塩も適している。
【0180】
ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、スズ酸水酸化亜鉛、炭酸水酸化亜鉛−マグネシウム−アルミニウム;硝酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛;硫酸亜鉛、リン化亜鉛、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛、および第VIIB族のオキソ酸の亜鉛塩(次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、例えばヨウ素酸亜鉛、過ハロゲン酸塩、例えば過塩素酸亜鉛);疑似ハロゲン化物の亜鉛塩(チオシアン酸亜鉛、シアン酸亜鉛、シアン化亜鉛);酸化亜鉛、過酸化亜鉛、水酸化亜鉛、または混合水酸化酸化亜鉛も適している。
【0181】
好ましいのは、遷移金属のオキソ酸の亜鉛塩(例えば、クロム(VI)酸水酸化亜鉛、亜クロム酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛)である。
【0182】
モノカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の亜鉛塩、例えば、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、各種アミノ酸(グリシン)の塩、酸性のヒドロキシ官能基の塩(亜鉛フェノレートなど)、−p−フェノールスルホン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、スズ酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、トリフルオルメタンスルホン酸亜鉛も適している。
【0183】
チタン化合物では、チタン金属と同様、塩化チタン(III)および/または(IV)、硝酸チタン(III)および/または(IV)、硫酸チタン(III)および/または(IV)、ギ酸チタン(III)および/または(IV)、酢酸チタン(III)および/または(IV)、臭化チタン(III)および/または(IV)、フッ化チタン(III)および/または(IV)、オキシ塩化チタン(III)および/または(IV)、オキシ硫酸チタン(III)および/または(IV)、酸化チタン(III)および/または(IV)、チタン(III)および/または(IV)−n−プロポキシド、チタン(III)および/または(IV)−n−ブトキシド、チタン(III)および/または(IV)イソプロポキシド、チタン(III)および/または(IV)エトキシド、チタン(III)および/または(IV)−2−エチルヘキシルオキシドが適している。
【0184】
スズ金属、ならびにスズ塩(塩化スズ(II)および/または(IV));酸化スズ、および、例えばスズ(IV)tert−ブトキシドなどのスズアルコキシドも適している。
【0185】
また、フッ化セリウム(III)、塩化セリウム(III)、および硝酸セリウム(III)も適している。
【0186】
ジルコニウム化合物では、金属ジルコニウム金属、ならびに、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニルが好ましい。さらに、酸化ジルコニウム、ならびにジルコニウム(IV)tert−ブトキシドも好ましい。
【0187】
好ましくは、反応は、0.1〜70重量%、好ましくは5〜40重量%の、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物の塩の固形分含有率で遂行される。
【0188】
好ましくは、反応は、20〜250℃の温度、好ましくは80〜120℃の温度で遂行される。
【0189】
0.01および1,000バール、好ましくは0.1〜100バールの圧力での反応の遂行。
【0190】
好ましくは、反応は、110−7〜110時間の反応時間の間遂行される。
【0191】
金属Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeの、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、選択的、
0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%の残留水分、
0.1〜2000μm、好ましくは10〜500μmの平均粒度、
80〜800g/l、好ましくは200〜700g/lの嵩密度、
0.5〜10、好ましくは1〜5のフレングル(Pfrengle)流動性、
を有することが好ましい。
【0192】
好ましくは、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物の使用は、難燃剤としての使用である。
【0193】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、その官能基を介して、例えばポリエステルなどの熱可塑性ポリマー中に、コポリマー成分として組み入れることができる。共重合反応プロセスでは、付加物の含有率が、防炎加工が施されるポリマーに所望の難燃性がもたらされるように、適合化される。慣用的な、フィラーまたは添加剤の性質を有する難燃剤と比較した場合の利点とは:ポリマー中での均一な分布、恒久的な定着(ブリードまたは蒸発なし)、および向上された機械的靱性特性および強度特性である。このような難燃化されたコポリマーは、ポリマー中で配合することもできる。これによっても同様に、慣用的な、フィラーまたは添加剤の性質を有する難燃剤と比べて、より最適なブレンドが生じる。
【0194】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、場合により、欧州特許出願公開第1693403号(特許文献1)に記載されるように、貯蔵可能である:同特許の難燃化された熱可塑性成形材料は、アルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を、ポリマー骨格の構造単位として有する。本発明による付加物は、そのとき、化学結合の形成によってポリマーのマクロ分子中へ反応する。これは、モノマー同士の重合化の際の挿入によって、あるいはマクロ分子鎖の開裂による後からの挿入そして本発明による付加物の挿入によって起こる。
【0195】
ポリマー骨格の構造単位としての本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、マクロ分子上にランダムに分布させることができる。それに対応して、(例えば、米国特許第3941752号(特許文献2)に記載されるように)ときどき、末端基として生じる場合がある。
【0196】
原則的に、本発明による付加物をポリマー中へ反応させるいずれの方法も利用できる。例えば、熱可塑性ポリマーを、本発明の付加物と混合することが。
【0197】
本発明のアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、ポリアミド類のポリマー骨格の構造単位として使用することもできる。典型的には、そのように難燃化されたポリアミドは、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.4〜2.0重量%のリンを含有する。
【0198】
本発明のアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物の使用は、難燃化された熱可塑性ポリマー成形材料を製造するための使用であることが好ましい。
【0199】
難燃化された熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明のアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を、0.5〜45重量%、熱可塑性ポリマーまたはその混合物を0.5〜95重量%含有することが好ましく、その際、成分の合計は100重量%である。
【0200】
難燃化された熱可塑性ポリマー成形材料は、本発明のアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を0.5〜40重量%、熱可塑性ポリマーまたはその混合物を10〜85.5重量%、添加剤を2〜40重量%、増量剤または強化材を2〜40重量%含有することが好ましく、その際、成分の合計は100重量%である。
【0201】
好ましくは、添加剤は、抗酸化剤、帯電防止剤、発泡剤、さらなる難燃剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、加工助剤、滑剤、光安定剤、防滴剤、混和剤、強化剤、増量材、核生成剤、核剤、レーザーマーキング用の添加剤、加水分解安定剤、鎖延長剤、着色顔料、軟化剤、および/または可塑剤である。
【0202】
アルミニウム三水和物、酸化アンチモン、臭素化した芳香族炭化水素、または脂環式炭化水素、フェノール、エーテル、クロロパラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエン付加物、赤リン、メラミン誘導体、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、および水酸化マグネシウム;加えてさらなる難燃剤、特にジアルキルホスフィン酸塩もまた、好ましい添加剤である。
【0203】
ポリマーは、熱可塑性または熱硬化性ポリマーであることが好ましい。
【0204】
熱可塑性ポリマーは、モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、またはポリブタジエン、ならびに、例えば、シクロペンテンまたはノルボルナンなどのシクロオレフィンのポリマー;さらに、ポリエチレン(場合により架橋されたものであってもよい)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度および高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度および超高分子量ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐鎖状低密度ポリエチレン(BLDPE)、およびそれらの混合物であることが好ましい。
【0205】
熱可塑性ポリマーは、モノオレフィン相互間およびジオレフィン相互間のコポリマー、またはモノオレフィンおよびジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン−プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、およびこれらと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン−ブテン−1−コポリマー、プロピレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−ブテン−1−コポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−メチルペンテンコポリマー、エチレン−ヘプテンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、プロピレン−ブタジエンコポリマー、イソブチレン−イソプレンコポリマー、エチレン−アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン−メタクリル酸アルキルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、およびそれらと一酸化炭素とのコポリマー、または、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびそれらの塩(アイオノマー)、ならびに、エチレンと、プロピレンと、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジエン、またはエチリデンノルボルナンとのターポリマー;さらに、そのようなコポリマーの相互間の混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン−プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、LLDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー、LLDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー、および、ポリアルキレン/一酸化炭素交互コポリマーまたはポリアルキレン/一酸化炭素ランダムコポリマー、および、これらと、例えばポリアミドなどの他のポリマーとの混合物であることが好ましい。
【0206】
ポリマーは、水素化により改質(例えば粘着性付与剤樹脂)されたものも含めて、炭化水素樹脂(例えばC〜C)、および、ポリアルキレンおよびデンプンの混合物であることが好ましい。
【0207】
熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)、および/またはポリ−(α−メチルスチレン)であることが好ましい。
【0208】
熱可塑性ポリマーは、スチレンまたはα−メチルスチレンと、ジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエン、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−アルキルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−アルキルアクリレート、スチレン−ブタジエン−アルキルメタクリレート、スチレン−マレイン酸無水物、スチレン−アクリロニトリル−メチルアクリレート;複数のスチレン−コポリマーと、それ以外の一つのポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマー、またはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーからなる、耐衝撃性に優れた混合物;ならびに、スチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンであることが好ましい。
【0209】
熱可塑性ポリマーは、スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエン−スチレン−アクリロニトリルコポリマーまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル(もしくはメタクリルニトリル);ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレート;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、アクリロニトリル、および無水マレイン酸、またはマレイン酸イミド;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、およびアルキルアクリレート、もしくはアルキルメタクリレート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート−ブタジエン−コポリマーにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、ならびにこれらの、例えばいわゆるABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、MBS(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン)、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)、またはAES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン)ポリマーとして知られるような混合物であることが好ましい。
【0210】
熱可塑性ポリマーは、ハロゲンを含有したポリマー、例えば、ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン−イソプレンからなる塩素化および臭素化したコポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化またはクロルスルホン化したポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロルヒドリンホモポリマーおよびエピクロルヒドリンコポリマー、特に、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなどの、ハロゲンを含有したビニル化合物からなるポリマー;ならびに、それらのコポリマー、例えば、塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル、または塩化ビニリデン−酢酸ビニルであることが好ましい。
【0211】
熱可塑性ポリマーは、α−不飽和酸、β−不飽和酸、およびそれらの誘導体から誘導されたポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、ブチルアクリレートを用いて耐衝撃性を改質したポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、およびポリアクリロニトリル、ならびに、前記各モノマーの相互間のコポリマー、または前記各モノマーと他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル−アクリル酸アルコキシアルキルコポリマー、アクリロニトリル−ハロゲン化ビニルコポリマー、またはアクリロニトリル−アルキルメタクリレート−ブタジエン−ターポリマーであることが好ましい。
【0212】
熱可塑性ポリマーは、不飽和アルコール、およびアミン、もしくはそれらのアセタール、またはアシル誘導体から誘導されるような、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリル、ポリアリルメラミン;ならびに、それらのオレフィンとのコポリマーであることが好ましい。
【0213】
熱可塑性ポリマーは、環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマーであることが好ましい。
【0214】
ポリマーは、ポリオキシメチレンのような熱可塑性ポリアセタール、ならびに、例えば酸化エチレンなどのようなコモノマーを含有するような、ポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート、またはMBS樹脂を用いて改質した、ポリアセタールであることが好ましい。
【0215】
熱可塑性ポリマーは、ポリフェニレンオキシド、およびポリフェニレンスルフィド、ならびに、それらとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物であることが好ましい。
【0216】
熱可塑性ポリマーは、一方が末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル、ポリエステル、およびポリブタジエンから、他方が脂肪族ポリイソシアネートまたは芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、およびそれらの前駆体であることが好ましい。
【0217】
熱可塑性ポリマーは、ジアミンおよびジカルボン酸から、および/または、アミノカルボン酸またはこれに相当するラクタムから誘導される、ポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6(Akulon(登録商標)K122、DSM;Zytel(登録商標)7301、DuPont社;Durethan(登録商標)B29、Bayer社)、ポリアミド6/6(Zytel(登録商標)101、DuPont社;Durethan(登録商標)A30、Durethan(登録商標)AKV、Durethan(登録商標)AM、Bayer社;Ultramid(登録商標)A3、BASF社)6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12(Grillamid(登録商標)L20、Ems Chemie社)、m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸を出発材料とする芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン、およびイソフタル酸および/またはテレフタル酸、および場合により改質剤として使用される一つののエラストマーから調製されるポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、またはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;前記各ポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、または、化学結合あるいはグラフト重合されたエラストマーとのブロックコポリマー;または、前記各ポリアミドと各種ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーであることが好ましい。さらに、EPDMまたはABSを用いて改質したポリアミドまたはコポリアミド;ならびに、加工の間に縮合されたポリアミド(「RIMポリアミド系」)も好ましい。
【0218】
ポリマーは、ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾールであることが好ましい。
【0219】
熱可塑性ポリマーは、ジカルボン酸およびジアルコールから、および/または、ヒドロキシカルボン酸またはこれに相当するラクトンから誘導されるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社;Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ならびに、ヒドロキシル末端基を持つポリエーテルから誘導されるブロック−ポリエーテルエステル;さらに、ポリカーボネートまたはMBS樹脂を用いて改質したポリエステルであることが好ましい。
【0220】
熱可塑性ポリマーは、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、さらには、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトンであることが好ましい。
【0221】
ポリマーは、前述のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM(ポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、ポリアミド/EPDM、またはポリアミド/ABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6のブレンドおよびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS、またはPBT/PET/PCであることが好ましく、ここで、これらの略号の内、PPはポリプロピレンを、EPDMは(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)を、ABSはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを、PVCはポリ塩化ビニルを、EVAはエチレン−酢酸ビニルを、MBSはメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンを、PCはポリカーボネートを、PBTPはポリブチレンテレフタレートを、CPEは塩素化ポリエチレンを、POMはポリオキシメチレンを、PPOはポリフェニレンオキシドを、PURはポリウレタンを、PCはポリカーボネートを、HIPSは耐衝撃改質スチレンポリマーを、PAはポリアミドを、HDPEは高密度ポリエチレンを、PBTはポリブチレンテレフタレートを、PETはポリエチレンテレフタレートを意味する。
【0222】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、難燃化されたポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維を製造するための使用であることが好ましい。
【0223】
これらの難燃性のポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維は、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物を0.5〜45重量%、熱可塑性ポリマーまたはその混合物を0.5〜98重量%、添加剤を0.5〜55重量%、およびフィラーまたは強化材を0.5〜55重量%含有することが好ましい。
【0224】
最後に本発明は、本発明による難燃化されたポリマー成形材料を、射出成形(例えば射出成形機(Aarburg Allrounder型)およびプレス、発泡射出成形、内部ガス圧利用射出成形、吹込成形、フィルムキャスティング、カレンダー加工、昇温して行われるラミネート加工またはコーティングにより、高温で、難燃化されたポリマー成形体に加工することを特徴とする、難燃化されたポリマー成形体の製造方法にも関する。
【0225】
本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物は、官能基を介して、例えば不飽和ポリエステルまたはエポキシドなどの熱硬化性ポリマー中へコポリマー成分として導入することができる。
【0226】
熱硬化性ポリマーは、飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸またはそれらの無水物と、多価アルコールのコポリエステル、ならびに、架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)であることが好ましい。UP樹脂は、開始剤(例えば過酸化物)および反応促進剤によるラジカル重合によって硬化される。
【0227】
ポリエステル樹脂を製造するための好ましい不飽和ジカルボン酸およびその誘導体は、無水マレイン酸およびフマル酸である。
【0228】
好ましい飽和ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸である。
【0229】
好ましいジオールは、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、エトキシル化またはプロポキシル化したビスフェノールAである。
【0230】
架橋反応のための好ましいビニル化合物は、スチレンである。
【0231】
好ましい硬化剤系は、過酸化物および金属共開始剤(Metallcoinitiatoren)、例えばヒドロペルオキシドおよびオクタン酸コバルトおよび/または過酸化ベンゾイルおよび芳香族アミンおよび/またはUV光、および光増感剤、例えばベンゾインエーテルである。
【0232】
好ましいヒドロペルオキシドは、ジ−tert.−ブチルペルオキシド、tert.−ブチルペルオクトエート、tert.−ブチルペルピバレート、tert.−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、モノ過マレイン酸−tert.−ブチル、過イソ酪産−tert.−ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジアセチル、過酸化コハク酸、過酸化−p−クロルベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキシドジカルボネートである。
【0233】
開始剤は、全コモノマーの質量に基づいて、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%の量で使用されることが好ましい。
【0234】
好ましい金属共開始剤は、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、バナジウム化合物、ニッケル化合物、または鉛化合物である。金属共開始剤は、全コモノマーの質量に基づいて、0.05〜1重量%の量で使用されることが好ましい。
【0235】
好ましい芳香族アミンは、ジメチルアニリン、ジメチル−p−トルエン、ジエチルアニリンおよびフェニルジエタノールアミンである。
【0236】
難燃化されたコポリマーの製造方法は、少なくとも一つのC〜C−ジカルボン酸から誘導された、少なくとも一つのエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物、少なくとも一つのビニル芳香族化合物および一つのポリオールをコポリマー化し、そして本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物と反応させることを特徴とする。
【0237】
難燃化された熱硬化性材料の製造方法は、熱硬化性樹脂を、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物からなる難燃性成分と混合して、その結果として得られた混合物を、3〜10バールの圧力および20〜60℃の温度で、湿式プレス(Kaltpressung(冷間プレス))することを特徴とする。
【0238】
難燃化された熱硬化性材料の別の製造方法は、熱硬化性樹脂を、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物と混合し、そして結果として得られた混合物を、3〜10バールの圧力および80〜150℃の温度で湿式プレス(Warm− oder Heisspressung(温間プレスまたはホットプレス)することを特徴とする。
【0239】
ポリマーは、慣用的な硬化剤および/または反応促進剤を利用して架橋される、脂肪族、脂環式、複素環式、または芳香族のグリシジル化合物から、例えばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテルから誘導された、架橋されたエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0240】
適切なグリシジル化合物は、ビスフェノールA−ジグリシジルエステル、ビスフェノールF−ジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびトリメリト酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミンおよび複素環式窒素塩基のN−グリシジル化合物、ならびに、多価脂肪族アルコールのジグリシジル化合物およびポリグリシジル化合物である。
【0241】
適切な硬化剤は、ポリアミン、例えば、ジエチレントリアミントリエチレンテトラミン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリアミドアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェノールスルホン、およびジシアンジアミドと同様に、多塩基酸またはその無水物、例えば、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、およびメチルヘキサヒドロフタル酸無水物など、ならびに、フェノール、例えばフェノール−ノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加物樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェノール改質フェノールアラルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトール−ノボラック樹脂、ナフトール−フェノール−共縮合物樹脂、ナフトール−クレゾール−共縮合物樹脂、ビフェノール改質フェノール樹脂、およびアミノトリアジン改質フェノール樹脂などである。全ての硬化剤は、単独で、または相互に組み合わせて使用することができる。
【0242】
重合化の際の架橋に適した触媒または反応促進剤は、第3アミン、ベンジルジメチルアミン、N−アルキルピリジン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、有機酸の金属塩、ルイス酸、およびアミン錯体塩である。
【0243】
エポキシ樹脂は、電気部品または電子部品の封止に適していて、そして、注入プロセスおよび含浸プロセスに適している。エポキシ樹脂は、電子技術部門においては、優位に難燃加工が施され、そしてプリント基板や絶縁体に使用される。
【0244】
ポリマーは、一方がアルデヒドから、他方がフェノール、尿素、またはメラミンから誘導される、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、およびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂などの架橋ポリマーであることが好ましい。ポリマーは、置換アクリル酸エステル、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリエステルアクリレートなどから誘導される、架橋可能なアクリル樹脂であることが好ましい。
【0245】
好ましくは、ポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂と架橋した、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂である。
【0246】
本発明は、本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物0.1〜50重量部、ポリイソシアネート30〜65重量部およびポリオール30〜65重量部の反応によって製造される難燃化されたポリウレタン成形材料にも関する。
【0247】
難燃化されたポリウレタン成形材料の製造方法は、170〜70重量部、好ましくは130〜80重量部のポリイソシアネートを、100重量部のポリオール、0.1〜50重量部の本発明によるアルキル亜ホスホン酸誘導体とジエステル形成性オレフィンとの付加物、および、0.1〜4重量部、特に好ましくは1〜2重量部の触媒を投入して反応させ、そして任意に0.1〜1.8重量部、好適には0.3〜1.6重量部の発泡剤でもって発泡させることを特徴とする。
【0248】
好ましいポリオールは、開始剤として用いられる、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスロール(Pentaerythrol)、ソルビット、糖、分解デンプン、エチレンジアミン、ジアミノトルエン、および/またはアニリンの、アルケンオキシド付加物である。2〜4個の炭素原子を有するオキシアルキル化剤が好ましく、特に好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。
【0249】
好ましいポリエステル−ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、グルコース、および/またはソルビットなどのポリアルコールと、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、および/またはテレフタル酸などの二塩基酸とのポリ縮合によって得られる。これらのポリエステル−ポリオールは、単独で使用されることも、組み合わせて使用されることもできる。
【0250】
適切なポリイソシアネートは、2個以上のイソシアネート基を持つ、芳香族、脂環式、または脂肪族のポリイソシアネート、およびそれらの混合物である。好ましいのは、トリルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリス−4−イソシアナトフェニル)メタン、およびポリメチレンポリフェニレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;メチレンジフェニルジイソシアネート、トリルジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート;脂肪族ポリイソシアネート、およびヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、デメリル(demeryl)ジイソシアネート、1,1−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン−4,4'−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン異性体混合物、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、Desmodur(登録商標)型(Bayer)、およびリシンジイソシアネート、およびそれの混合物である。
【0251】
適切なポリイソシアネートは、ポリイソシアネートと、ポリオール、尿素、カルボジイミド、および/またはビウレットとの反応によって得られた改質生成物である。
【0252】
ポリウレタンの製造に適した触媒は、強塩基、カルボン酸のアルカリ金属塩、または脂肪族第3アミンである。好ましいのは、水酸化第4アンモニウム、アルカリ金属水酸化物またはアルコキシド、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N',N',N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N'−ジ−(C〜C)−アルキルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−β−フェニルエチルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールである。
【0253】
ポリイソシアネートとポリオールの重量比は、ポリオール100重量部に基づいて、170:70、特に130:80であることが好ましい。
【0254】
触媒の重量比は、ポリオール100重量部に基づいて、0.1〜4重量部、特に好ましくは1〜2重量部であることが好ましい。
【0255】
ポリウレタン用の好ましい発泡剤は、水、炭化水素、ヒドロフルオロクロロカーボン、ヒドロフルオロカーボンなどである。ポリウレタン用の発泡剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1〜1.8重量部、好適には0.3〜1.6重量部、特に0.8〜1.6重量部である。
【発明を実施するための形態】
【0256】
本発明を下記の例により詳述する。
【0257】
難燃化されたポリマー成形材料および難燃化されたポリマー成形体の製造、加工および試験
難燃性成分を、ポリマーペレットおよび場合により添加剤と混ぜ合わせ、そして二軸スクリュー押出機(Leistritz LSM(登録商標)30/34型)に、230〜260℃(PBT−GV)もしくは260〜280℃(PA66−GV)の温度で導入する。均質なポリマーストランドを引き出して、水浴中で冷却し、引き続いてペレット化した。
【0258】
十分な乾燥後、これらの成形材料を、射出成形機(Aarburg Allrounder型)に、240〜270℃(PBT−GV)または260〜290℃(PA66−GV)のマッス温度で試験片に加工した。これらの試験片の耐燃性(難燃性)を、UL94試験(Underwriter Laboratories)に準拠して試験し、そして分類する。
【0259】
それぞれの混合物からの試験片について、燃焼等級UL94(Underwriter Laboratories)を厚さ1.5mmの試験片で測定した。
【0260】
UL94に従い、次の燃焼等級(Brandklasse)が与えられる:
V−0: 10秒間超の後燃焼(Nachbrennen)がなく、10回の接炎時の後燃焼時間の合計が50秒間未満であり、燃焼滴下物がなく、試料の完全燃焼がなく、接炎終了後の30秒間超の試料の後有炎燃焼がない。
V−1: 接炎燃焼完了後の30秒超の後燃焼がなく、10回の接炎時の後燃焼時間の合計が250秒間未満であり、接炎燃焼後の試料の60秒超の後有炎燃焼がなく、残りの基準はV−0と同様。
V−2: 燃焼滴下物による綿の発火がなく、残りの基準はV−1と同様である。
分類不可(nkl): 燃焼等級V−2を満たしていない。
【0261】
個々の検査した試料について、更にLOI値を測定した。このLOI値(限界酸素指数:Limiting Oxygen Index)は、ISO4589に従って測定される。ISO4589によれば、LOIは、酸素および窒素の混合物中でプラスチックの燃焼がかろうじて維持される、体積百分率で表した最低酸素濃度酸素に相当する。LOI値が高いほど、被験材料は燃えにくくなる。
LOI 23 可燃性
LOI 24〜28 条件的に可燃性
LOI 29〜35 難燃性
LOI >36 非常に難燃性
【0262】
例1
撹拌機およびインテンシヴクーラー(intensivkuehler)を備えた三つ口フラスコ中に、室温で水188gを投入し、そして撹拌下で窒素を通して脱気する。それから窒素下で硫酸パラジウム(II)0.2mgおよびトリス(3−スルホフェニル)ホスフィン三ナトリウム塩2.3mgをこれに加えて撹拌した後、水66g中のホスフィン酸66gを添加する。この反応液を、2lビュッヒ(Buechi)反応器に移し替え、そして撹拌下および加圧下でエチレンを装填し、そしてその反応混合物を80℃に加熱する。エチレン28gが導入された後、冷却して、遊離されたエチレンを排出させる。その反応混合物から、回転蒸発器で溶媒を除去する。残滓をVE−Wasser100gと混合し、そして室温で撹拌した後これをろ過し、そしてそのろ液をトルエンで抽出し、それから、回転蒸発器で溶媒を除去して、得られたエチル亜ホスホン酸を回収する。収量:92g(理論量の98%)。
【0263】
例2
例1と同様にして、ホスフィン酸66g、ブタノール188g、エチレン28g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.47mgおよび4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン0.63mgを反応させ、その後、後者の二つを除去し、そしてn−ブタノール124gを再度添加する。形成した水を、共沸蒸留により、80〜110℃の反応温度で除去する。生成物(エチル亜ホスホン酸)を1ミリバールで蒸留によって精製する。
【0264】
例3
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中で、(例1と同様に製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよびイタコン酸52.0gを160℃に加熱する。反応の開始後、15分間、後撹拌して、イタコン酸36.4gを再度そこへ添加し、そしてさらに30分後、再びイタコン酸41.6gを添加する。低減された圧力で揮発性成分を留去する。リンを13.4%含有する、エチル亜ホスホン酸とイタコン酸からなる付加物220gが得られる。オキサ−10−ホスファフェナントレンとイタコン酸との付加物のリン含有率は、9%だけである。
【0265】
例4
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中へ、(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gとマレイン酸116gを装填する。1時間以内に約10℃で5%濃度のAIBNの氷酢酸溶液16.4gを滴下する。その後、その溶媒を真空中で留去する。リンを14.5%含有する、エチル亜ホスホン酸とマレイン酸とからなる付加物191gが得られる。オキサ−10−ホスファフェナントレンとマレイン酸との付加物のリン含有率は、9.3%だけである。
【0266】
例5
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素導入部を備える四つ口丸底フラスコ中へ、(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよびフマル酸ジメチルエステル144gを装填し、150℃に加熱し、その後2時間、後撹拌する。揮発性成分を低減された圧力で留去する。リンを13.1%含有する、エチル亜ホスホン酸とフマル酸ジメチルエステルとからなる付加物226gが得られる。オキサ−10−ホスファフェナントレンとフマル酸ジメチルエステルとの付加物のリン含有率は、8.6%だけである。
【0267】
例6
(例2と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gおよびフマル酸116gをブタノール217.4g中に仕込み、そして加熱して沸騰させる。撹拌下でブタノール130.4g中に溶解させたWako V65B Initiatorを13.0g、計量添加する。その溶媒を真空中で留去する。リンを11.6%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルとフマル酸とからなる付加物240gが得られる。
【0268】
例7
イタコン酸ジメチルエステル158gを窒素雰囲気下で150℃に加熱し、そして(例2と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gを撹拌下で計量添加する。低減された圧力で揮発性成分を留去する。リンを10.4%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルとイタコン酸ジメチルエステルとからなる付加物296gが得られる。
【0269】
例8
(例2と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gおよびイタコン酸ジブチルエステル242gをブタノール217.4g中で加熱して沸騰させる。撹拌下で、ブタノール130g中に溶解したWako V65B Initiatorを13g、計量添加する。その溶媒を真空中で留去する。リンを7.7%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルとイタコン酸ジブチルエステルとからなる付加物377gが得られる。
【0270】
例9
温度計、還流冷却器、撹拌装置および滴下ろう斗を備えた五つ口フラスコ中に、マレイン酸ジブチルエステル228gおよびエチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gを仕込む。撹拌下で、ナトリウムブチラート(30%)5gを、温度が60℃を超えて上昇しないように迅速に滴下し、その後、真空中で揮発性成分を留去する。リンを8.1%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルとマレイン酸ジブチルエステルとからなる付加物363gが得られる。
【0271】
例10
(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよび無水マレイン酸98.1gを反応容器中で、窒素雰囲気下で150℃に加熱して反応させる。エチル亜ホスホン酸と無水マレイン酸とからなる付加物183gが得られる。
【0272】
例11
(例2と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gおよび無水イタコン酸112gを反応容器中で、窒素雰囲気下で150℃に加熱して反応させる。リンを11.5%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルと無水イタコン酸とからなる付加物257gが得られる。
【0273】
例12
(例2と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gおよびベンゾキノン108gを、2−エトキシエタノール400gに加え、撹拌下で70℃に加熱し、後撹拌し、それから冷却する。生成物をろ別し、2−エトキシエタノール72mlおよびメタノール72mlで洗浄し、真空中で130℃で乾燥させる。リンを11.9%含有する、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステルとベンゾキノンとからの付加物220gが得られる。
【0274】
例13
高圧撹拌タンク中で、(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよび無水イタコン酸112gを150℃に加熱し、窒素雰囲気下で反応させる。冷却後、エチレングリコール155gおよびシュウ酸チタニルカリウム0.4gを添加し、そして後撹拌する。排気によって揮発性部分を留去する。リンを10%含有する、エチル亜ホスホン酸とイタコン酸とからなる付加物のエチレングリコールエステル314gが得られる。
【0275】
例14
撹拌装置、冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ内中へ、(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよびマレイン酸116gを装填する。1時間以内に約90℃で5%濃度のAIBNのエチレングリコール溶液16.4gを滴下する。それからエチレングリコール330gを追加して、200℃に加熱する。エチレングリコールとの混合物中で、4時間以内に水を留去する。リンを12.5%含有する、エチル亜ホスホン酸とマレイン酸とからなる付加物のエチレングリコールエステル248gが得られる。
【0276】
例15
撹拌装置、冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中に、(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸9.4gおよびイタコン酸13gを装填する。反応液を1時間、160℃に加熱する。低減された圧力で揮発性成分を留去する。エチル亜ホスホン酸とイタコン酸とからなる付加物22gが得られる。
それから、テレフタル酸290g、エチレングリコール188g、酢酸カルシウム0.29gを添加し、そして2時間で200℃に加熱する。その後、リン酸三ナトリウム無水物0.29gおよび酸化アンチモン(III)0.14gを添加し、そして280℃に加熱し、1時間以内にゆっくりと排気する。ポリマー生成物(420g)は、0.7%のリンを含有していて、固有粘度は0.67、LOI値は33.4である。
【0277】
例16
撹拌装置、冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中に、(例1と同様にして調製した)エチル亜ホスホン酸94.1gおよびイタコン酸13gを装填する。反応液を160℃に加熱し、低減された圧力で揮発性成分を留去する。エチル亜ホスホン酸とイタコン酸とからなる付加物220gが得られ、これを三つ口フラスコに移し替える。エチレングリコール124gを追加し、エステル化により生成した水を160℃で抜き取る。そのようにして得た反応生成物の10分の1にテレフタル酸290g、エチレングリコール176g、酢酸カルシウム0.29gを添加し、2時間で200℃に加熱する。それからリン酸三ナトリウム無水物0.29gおよび酸化アンチモン(III)0.14gを追加して、280℃で加熱し、その後1時間以内にゆっくりと排気する。ポリマー生成物(約420g)は、0.7%のリンを含有しており、固有粘度は0.68、LOI値は32.1であるが、未処理のポリエチレンテレフタレートのLOI値は約25である。
【0278】
例17
撹拌装置、冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中に(例1と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸9.41gおよびマレイン酸11.6gを装填する。反応液を1時間、160℃に加熱して、低減された圧力で揮発性成分を留去する。エチル亜ホスホン酸とマレイン酸とからなる付加物約19gが得られる。それからジメチルテレフタレート367g、1,4−ブタンジオール238g、チタン酸テトラブチル0.22g、および酢酸リチウム0.05gを添加し、そしてこの混合物を先ず2時間、撹拌しながら130〜180℃に加熱し、その後、真空下で270℃に加熱する。このポリマー生成物(503g)は、0.6%のリン含有し、固有粘度は0.96、LOI値は35であるが、未処理のポリブチレンテレフタレートのLOI値は23である。
【0279】
例18
撹拌装置、冷却器、温度計および窒素導入部を備えた四つ口丸底フラスコ中に、(例1と同様にして調製した)エチル亜ホスホン酸9.41gおよびマレイン酸11.6gを装填する。反応液を160℃に加熱する。低減された圧力で揮発性成分を留去する。エチル亜ホスホン酸とマレイン酸とからなる付加物19gが得られ、そして三つ口フラスコに移し替える。1,3−プロピレングリコール15.2gを添加し、エステル化反応により生成した水を160℃で抜き取る。それからジメチルテレフタレート367g、1,3−プロパンジオール186g、チタン酸テトラブチル0.22g、および酢酸リチウム0.05gを添加して、そしてその混合物を撹拌しながら先ず2時間、130〜180℃に加熱し、その後、真空下で270℃に加熱する。ポリマー生成物(480g)は、0.6%のリン含有し、固有粘度は0.94、LOI値は37である。
【0280】
温度計、還流冷却器、撹拌装置および滴下ろう斗を備えた5口フラスコ中に、(例2と同様にして製造した)マレイン酸ジブチルエステル228gおよびエチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル150gを投入する。撹拌下で、ナトリウムブチラート(30%)5gを、温度が60℃を超えて上昇しないように迅速に滴下する。30分間、後反応させ、そして真空中で揮発性成分を留去する。それから、濃厚な塩酸数滴および水235gを添加し、そして還流しながら加熱する。別の水60gを添加しながら、ブタノールをゆっくりと留去し、そしてエチル亜ホスホン酸とマレイン酸との付加物195gが得られる。
【0281】
(エポキシ樹脂の製造)
還流冷却器、撹拌装置、温度計および窒素導入部を備えた250ml五つ口フラスコの中に、0.55mol/100gのエポキシ価を有するビスフェノールA−ビスグリシジルエーテル(Beckopox EP140、Solutia社)100gと、(例3と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸およびイタコン酸とからなる付加物30g(0.134mol)を、撹拌下で最高150℃まで加熱する。30分後、透明な溶融物が生じる。さらに1時間150℃での撹拌後、この溶融物を冷却し、そしてすりつぶす。リン含有率が3.2重量%である、難燃化されたエポキシ樹脂124.8gが白色の粉末の形態で得られる。
【0282】
(UP樹脂の製造)
撹拌装置、気水分離器、温度計、還流冷却器および窒素導入部を備えた2lフラスコ中で、無水フタル酸29.36g、無水マレイン酸19.6g、プロピレングリコール15.2g、(例3と同様にして製造した)エチル亜ホスホン酸とイタコン酸からなる付加物のジ−2−ヒドロキシエチルエステル25.3g、キシレン20g、およびヒドロキノン50mgを、撹拌下で窒素を通じながら100℃に加熱する。発熱反応の開始時、ヒーターを取り除く。反応がおさまった後、約190℃でさらに撹拌する。水14gを分離した後、キシレンを留去し、そして難燃化されたUP樹脂88gが得られる。
【0283】

【0284】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 次式(I)で表されるアルキル亜ホスホン酸誘導体、
A−P(=O)(OX)−H (I)
(式中、
Aは、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アリールアルキルを意味し、および、
Xは、H、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレン、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化された窒素塩基を意味する。)および、
b) 次式(II)で表されるジエステル形成性オレフィン、
からの付加物。
【化1】

(式中、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−であり、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CN、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、それぞれ−CO−CR=CR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;
は、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;
は、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレンおよび/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。)
【請求項2】
Aが、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、2−アセテートエチル基、3−アセテートプロピル基、2−ブチラートエチル基、3−ブチラートプロピル基、2−エチルオキシエチル基、3−エチルオキシプロピル基、2−プロピルオキシエチル基、3−プロピルオキシプロピル基、2−ブチルオキシエチル基、3−ブチルオキシプロピル基、3−カルボキシプロピル基、2−アミノエチル基、および/または3−アミノプロピル基であることを特徴とする、請求項1に記載の付加物。
【請求項3】
Xが、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、オクチル基、エチルヘキシル基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、またはアリル基であり、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉛、チタン、鉄、亜鉛、アンモニウム、アニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルシリルアンモニウムまたはN−エチルピペリジンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の付加物。
【請求項4】
前記ジエステル形成性オレフィンが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニルメチレンマロン酸、それのジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステルおよびジブチルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の付加物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)とジエステル形成性オレフィン(II)との付加物をハロゲンフリーで製造する方法であって、
a) ホスフィン酸源を、ジエステルを形成しないオレフィン(III)でもって、触媒Aの存在下でアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)に転化し、
b) そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)を、ジエステル形成性オレフィン(II)でもって、触媒Bの存在下で上記の付加物に転化し、その際、前記アルキル亜ホスホン酸誘導体が、次式(I)に相当することを特徴とする、上記の方法。
A−P(=O)(OX)−H (I)
(式中、
Aは、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アリールアルキルを意味し、
Xは、H、場合により置換されている、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリール、C〜C18−アルキレンを意味し、および前記触媒Aは、遷移金属、遷移金属化合物および/または遷移金属および/または遷移金属化合物、および少なくとも一つの配位子から構成される触媒系であり、および前記触媒Bは、過酸化物を形成する化合物、ペルオキソ化合物、アゾ化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物および/または、アルカリ金属アルコラート、アルカリ土類金属アルコラートである。)
【請求項6】
Aが、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、2−酢酸エチル基、3−酢酸プロピル基、2−酪酸エチル基、3−酪酸プロピル基、2−エチルオキシエチル基、3−エチルオキシプロピル基、2−プロピルオキシエチル基、3−プロピルオキシプロピル基、2−ブチルオキシエチル基、3−ブチルオキシプロピル基、3−カルボキシプロピル基、2−アミノエチル基、および/または3−アミノプロピル基であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Xが、水素、メチル基、エチル基、プロピルブチル基、アミル基、オクチル基、エチルヘキシル基、エチレングリコール基、プロピレングリコール基、ブチレングリコール基、ベンジル基、フェニル基、ビニル基、および/またはアリル基、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、鉛、チタン、鉄、亜鉛、アンモニウム、アニリニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリメチルシリルアンモニウム、またはN−エチルピペリジンであることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記ジエステル形成性オレフィンが、次式(II)に相当することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一つに記載の方法。
【化2】

(式中、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そしてCOH、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、H、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CO−O−CO−、−CO−S−CO−、−CO−NR−CO−、−CO−PR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、COH、CN、CO、R−COH、R−COを意味し、および、
、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、同一または異なっていて、そして−CR−CO−O−CO−、−CR−CO−NR−CO−、−CR−CO−O−CO−CR、−CR−CO−NR−CO−CRを意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;または、
、Rは、それぞれ−CO−CR=CR−CO−を意味し、および、R、Rは、同一または異なっていて、そしてH、Rを意味し;
は、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アリールアルキル、C〜C18−アルキルアリールを意味し;
は、C〜C18−アルキレン、C〜C18−アリーレン、C〜C18−アルカリーレン、および/またはC〜C18−アラルキレンを意味する。)
【請求項9】
前記ジエステル形成性オレフィンが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フェニルメチレンマロン酸、そのジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステルおよびジブチルエステル、ベンゾキノン、ナフトキノンまたはアントラキノンであることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記ホスフィン酸源が、ホスフィン酸、ホスフィン酸の塩、ホスフィン酸のエステルまたはそれの混合物であることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記ジエステルを形成しないオレフィンが、次の一般式(III)に相当することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【化3】

(式中、
からR10は、同一または異なっていて、そしてC〜C18−アルキル、C〜C18−アリールまたはC〜C18−アルキレンを示す。)
【請求項12】
前記ジエステルを生成しないオレフィン(III)が、エチレン、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび/または1,3−ブタジエンであることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記遷移金属および/または遷移金属化合物が、第7亜族および第8亜族由来のものであることを特徴とする、請求項5〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記遷移金属および/または遷移金属化合物が、ロジウム、ニッケル、パラジウム、ルテニウムおよび/または白金であることを特徴とする、請求項5〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記触媒Bが、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化リチウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ナトリウムペルオキソ二硫酸、カリウムペルオキソホウ酸、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチルおよび/またはペルオキソニ硫酸であり、および/または、アゾジイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ジヒドロクロリドおよび/または2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレン−イソブチルアミジン)−ジヒドロクロリドおよび/または、リチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、またはナトリウムブチラート、カリウムメタノラート、カリウムエタノラートおよび/またはカリウムビチラートであることを特徴とする、請求項5〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
工程b)に従って得られた、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる反応生成物を、工程c)において、エステル化剤を用いて転化することを特徴とする、請求項5〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記エステル化剤が、C〜C20の飽和および不飽和の、一価、二価、三価および四価アルコールであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記エステル化剤が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、オクタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、グリセリン、エリトリトール、ペンタエリトリトール、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−ブテン−2−オール、メチルビニルカルビノール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、メタリルアルコール、2−ブテン−1−オール、クロチルアルコール、1−ペンテン−3−オール、トランス−2−ペンテン−1−オール、シス−2−ペンテン−1−オール、3−ペンテン−2−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、1−ヘキセン−3−オール、シス−2−ヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセン−1−オール、トランス−3−ヘキセン−1−オール、4−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−2−オール、1−ヘプテン−3−オール、1−オクテン−3−オール、トランス−2−オクテン−1−オール、オレイルアルコール、テルペンアルコール、プロパルギルアルコールおよび/または2−ブチン−1,4−ジオールであることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
工程b)に従って得られた、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる反応生成物を、触媒Cを用いて転化し、その際、前記反応生成物がケン化されることを特徴とする、請求項5〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
前記触媒Cが、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基、水、鉱酸、スルホン酸、アルカリ水酸化物、および/またはアルカリ土類水酸化物であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる付加物の、さらなる合成のための中間体としての使用、バインダーとしての使用、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応時の架橋剤または反応促進剤としての使用、ポリマー安定剤としての使用、植物保護薬剤としての使用、ヒトおよび動物用の治療薬または治療薬添加剤としての使用、金属イオン封鎖剤としての使用、鉱油添加剤としての使用、防食剤としての使用、洗剤およびクリーニング剤用途における使用、ならびにエレクトロニクス用途における使用。
【請求項22】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の、アルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる付加物の、難燃剤、特にクリアコートおよび発泡性防炎塗料用の難燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の難燃剤としての使用、ポリマー用の反応性および/または非反応性難燃剤としての使用、難燃化されたポリマー成形材料の製造のための使用、難燃化ポリマー成形体の製造のための使用および/または、含浸により、ポリエステル、およびセルロースの単紡および混紡布を耐火性に仕上げるための使用。
【請求項23】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる付加物を0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはそれの混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、およびフィラーまたは強化材を0〜55重量%を含み、その際、成分の合計が100重量%である、難燃化された熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料。
【請求項24】
請求項1〜4のいずれか一つに記載のアルキル亜ホスホン酸誘導体(I)およびジエステル形成性オレフィン(II)からなる付加物を0.5〜45重量%、熱可塑性または熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、およびフィラーまたは強化材を0〜55重量%を含み、その際、成分の合計が100重量%である、難燃化された熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸、およびポリマー繊維。

【公表番号】特表2012−512198(P2012−512198A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541125(P2011−541125)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007145
【国際公開番号】WO2010/069421
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】