電力増幅器並列システム
【課題】 各電力増幅器の特性間の合致に対する制約が小さく、並列数の増減などに容易に対応し得る電力増幅器並列システムを提供する。
【解決手段】 本発明の電力増幅器並列システムは、増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、この節点の電圧を所定の帰還率で電圧制御部にフィードバックする電圧フィードバック部とを備える。電圧制御電流源の中に、動作電源として、エコエネルギー源による電源を動作電源とするものも混在させることが好ましい。
【解決手段】 本発明の電力増幅器並列システムは、増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、この節点の電圧を所定の帰還率で電圧制御部にフィードバックする電圧フィードバック部とを備える。電圧制御電流源の中に、動作電源として、エコエネルギー源による電源を動作電源とするものも混在させることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力増幅器並列システムに関し、例えば、複数系統のディジタル電力増幅器(いわゆるスイッチングアンプ)を利用したシステムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
1台の電力増幅器の最大出力を柔軟に調整して運転することは困難であるため、負荷の変更に応じて、電力増幅器の最大出力を効率を悪化させない形で変更することは困難である。一般に、負荷と電力増幅器の最大出力により効率カーブが決まるため、仮に、最大出力の大きな電力増幅器に対して小さい負荷を運転する場合には、効率が悪化するという問題がある。
【0003】
また、大きな電力を出力することのできる一台の電力増幅器を設計、製作、運用することは、(1)一つの回路に流れる電流が大きくなるために回路を構成する部品素子の一つ一つの定格値を大きく設計する必要があり、(2)定格値の大きな部品は物理的にも大きく、そのため機器全体が大きくなり、(3)部品種別も少なく設計に適した定格値を持つ部品の選定も困難であり、(4)部品の市場に流通する数量も少ないために高価であり、(5)一箇所に熱が集中するために熱設計が困難である、等の様々な問題がある。
【0004】
そのため、従来、複数台の電力増幅器により一つの負荷に電力を供給する、電力増幅器の並列システムが提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0005】
図1は、従来の電力増幅器並列システムの構成を示す回路図であり、図2は、図1の回路図の原理構成を示すブロック図である。
【0006】
図1において、従来の電力増幅器並列システム1は、増幅対象の電圧信号の信号源2と、電力の供給を受ける負荷3との間に、同一構成を有するN(Nは2以上の整数)台のディジタル電力増幅器(スイッチングアンプ)4−1〜4−Nが設けられている。ディジタル電力増幅器4−nは(nは1〜N)は、増幅対象の電圧信号を前置増幅するオペアンプ構成の前置増幅段10−nと、前置増幅段10−nの出力と三角波発生回路5から出力された三角波キャリア信号とを比較してPWM信号を得るコンパレータ11−nと、正負電源6P、6Nの印加電圧を相補的にスイッチングする一対のスイッチング素子13P−n、13N−nと、コンパレータ11−nからのPWM信号に基づいてスイッチング素子13P−n、13N−nを駆動するドライバ12P−n、12N−nと、スイッチング素子13P−n、13N−nのオンオフにより得られた増幅されたPWM信号をアナログ電圧信号に変換するローパスフィルタ14−nとを有している。
【0007】
図1におけるディジタル電力増幅器4−1〜4−Nは、図2に示すような電圧制御電圧器7−1〜7−Nと見ることができ、負荷3に効率的に電力を供給するためには、電圧制御電圧器7−1〜7−Nからの増幅された出力電圧の振幅、周波数、位相が揃っていることが好ましい。
【特許文献1】特開2003−8366号公報
【特許文献2】特開2008−28923号公報
【特許文献3】特開2004−363868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力増幅器並列システムでは、並列台数分の全ての電力増幅器の出力電圧の振幅(波形)、周波数、位相が寸分の狂いもなく全く同じになるように調整して運用する必要がある。仮に、電圧の振幅、周波数、位相にずれが発生すると、電力増幅器間に「横流」と呼ばれる電流が流れ、負荷に適切な電力を供給できなくなるばかりではなく、それぞれの電力増幅器が故障したり焼損したりする恐れもある。
【0009】
また、出力波形をダイナミックに変化させたい場合、電圧出力を全く同様に揃えることは困難であり、実用例は、単一振幅、周波数の信号を対象としたものが大半であった。
【0010】
さらに、各電力増幅器におけるスイッチング素子の制御を寸分の狂いもなく同じように揃える必要があり、わずかな配線パターンや素子特性のばらつきの影響によりスイッチング動作にずれが生じると、簡単にその系統が破たんする。そのため、並列数の増減を容易にできるものではなかった。
【0011】
上述した理由により、電力増幅器の並列数をさほど多くできないという制限があった。
【0012】
そのため、各電力増幅器の特性間の合致に対する制約が小さく、並列数の増減などに容易に対応し得る電力増幅器並列システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、第1の本発明の電力増幅器並列システムは、(1)それぞれが異なるエコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第1のディジタル電力増幅器と、(2)それぞれが異なる非エコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第2のディジタル電力増幅器と、(3)上記第1及び第2のディジタル電力増幅器の出力電流の合成電流を、共通の負荷に供給させる電流合成部と、(4)上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を個別調整する出力電力比調整手段と、(5)上記各エコエネルギー源からの供給量及び上記各非エコエネルギー源からの供給量に応じて、上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を調整すると共に、その際に、上記各エコエネルギー源からの供給を優先させる負荷バランス調整手段とを有することを特徴とする。
【0014】
第2の本発明の電力増幅器並列システムは、(1)増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、(2)上記電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、(3)上記各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、(4)上記節点の電圧を所定の帰還率で上記電圧フィードバック信号に変換して上記電圧制御部に電圧フィードバックする電圧フィードバック部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電流出力のディジタル電力増幅器を並列接続して、単一の負荷に対する電力供給を行うようにしたので、各電力増幅器の特性間の合致に対する制約が小さく、並列数の増減などに容易に対応し得る電力増幅器並列システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による電力増幅器並列システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、複数のエネルギー源による電力を電流合成により一つの系統の負荷に供給しようとしたものである。より具体的には、エコエネルギーと、化石燃料などの非エコエネルギーとを併用し、エコエネルギーの発電状況に応じて、エコエネルギーから優先的に使用できるようにしたものである。
【0017】
図3は、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
図3において、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100は、負荷101へ電力を供給する、複数台(図3では3台)の電流出力のディジタル電力増幅器102−1〜102−3を有している。各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3は、例えば、ユニット化されて構成されており、内部構成の図示は省略するが同一構成を有している(詳細構成は後述する第4の実施形態と同様である。
【0019】
この第1の実施形態の場合、ディジタル電力増幅器102−1は、化石燃料を燃やして得たエネルギーや商用電源のエネルギーなどの非エコエネルギーに基づく電源である非エコエネルギー源103−1を増幅用動作電源としている。一方、ディジタル電力増幅器102−2及び102−3はそれぞれ、太陽光発電によるエネルギーや風力発電によるエネルギーなどのエコエネルギーに基づく電源であるエコエネルギー源103−2、103−3を増幅用動作電源としている。
【0020】
各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3はそれぞれ、負荷へ供給し得る電力の比率を設定できる電力比率調整器102a−1〜102a−3を有している。例えば、エコエネルギー源103−2、103−3を、非エコエネルギー源103−1に優先させるように電力比率調整器102a−1〜102a−3を調整することが、環境への配慮から好ましい。
【0021】
第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100は、負荷バランス調整回路104を有する。負荷バランス調整回路104は、非エコエネルギー源103−1、エコエネルギー源103−2、103−3の発電量(若しくは供給可能なエネルギー量)を監視し、発電量の変化に応じ、各系統のディジタル電力増幅器102−1〜102−3から負荷101への電力分担の調整量を、ディジタル電力増幅器102−1〜102−3に指示する。負荷バランス調整回路104は、エコエネルギー源103−2、103−3を優先させ、エコエネルギー源103−2、103−3の発電量が少ないときに、エコエネルギー源103−2からのエネルギーで補うように負荷バランスを調整させるものである。負荷バランス調整回路104の構成としては、既存の電力供給設備で利用されているものを適用することができる。
【0022】
各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3はそれぞれ、電力比率調整器102a−1〜102a−3に設定された電力比率と、負荷バランス調整回路104によって指示されたバランス量の双方に応じて増幅率を変化させるものである。
【0023】
第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100によれば、複数台の電流出力のディジタル電力増幅器を用い、負荷に対して、電流合成して電力を供給するようにしたので、複数台のディジタル電力増幅器からの出力(電流)の振幅や周波数や位相を揃えることなく、負荷に電力を供給することができる。言い換えると、一つの負荷に対して、一つのディジタル電力増幅器の供給可能な電力より大きな出力電力に調整して供給することができる。
【0024】
また、電流合成によって電力を負荷に供給して振幅などの揃えが問題とならないので、ディジタル電力増幅器の自由な数の並列接続が可能となる。
【0025】
さらに、電流合成によって電力を負荷に供給して振幅などの揃えが問題とならないので、各ディジタル電力増幅器への動作電源に対する制約がほとんどなく、エコエネルギー源を動作電源とするディジタル電力増幅器及び非エコエネルギー源を動作電源とするディジタル電力増幅器を混在させて運転することができ、すなわち、環境に配慮した電力供給を行うことができる。この際、エコエネルギー源のディジタル電力増幅器を非エコエネルギー源のディジタル電力増幅器優先させることができ、環境に一段と配慮した電力供給を行うことができる。
【0026】
さらにまた、第1の実施形態によれば、後述する第2の実施形態の説明で挙げる効果を奏することができる。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100を電気自動車に適用した応用例の概略構成を示している。図4に示す電気自動車110は、図3とは異なり、非エコエネルギー源が燃料電池111−1及び蓄電池111−2の2つであり、エコエネルギー源がソーラーパネル111−3の1つである場合である。これらのエネルギー源111−1〜111−3を動作電源とする電流出力のディジタル電力増幅器112−1〜112−3を介して電力増幅して、走行時の駆動力を得るモータ114に対して電力を供給するものである。
【0028】
図4に示す電気自動車110によっても、上述した第1の実施形態の効果を奏することができる。
【0029】
また、この変形実施形態では、ソーラーパネル111−3の発電によるエネルギーや、燃料電池111−1によるエネルギーを一度蓄電池111−2に蓄えることなく、直接、モータ114の駆動のために使うことができる。その結果、蓄電時のロスをなくすことができ、また、蓄電池111−2の電力使用の優先順位を低くするように運用することもできる。
【0030】
図示は省略するが、ハイブリッド自動車における補器への電力供給を、第1の実施形態と同様に実行するようにしても良い。すなわち、エコエネルギー源や非エコエネルギー源などの複数のエネルギー源のいずれかを動作電源とする、複数の電流出力のディジタル電力増幅器を介して電力増幅して、走行時の駆動力を、エンジンを補うように得る補器に対して電力を供給するようにしても良い。
【0031】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0032】
第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、本発明の基本的な原理構成に近い実施形態である。上述した第1の実施形態や、後述する第5〜第8の実施形態も、概ね、この第2の実施形態に係る基本的な原理構成を適用しているものである。第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、「電気回路のある節点において、流れ込む電流の和と流れ出す電流の和は等しい」というキルヒホッフの第1法則に則り、電流合成によって電力合成を実現しようとしたものである。
【0033】
図5は、第2の実施形態に係る電力増幅器並列システム200の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
図5において、第2の実施形態に係る電力増幅器並列システム200は、増幅対象の電圧信号(電圧制御指令)の信号源201と電力の供給を受ける負荷202との間に、位相補償付電圧制御部203、同一構成を有する複数(図5ではN)台の電流出力のディジタル電力増幅器(図5では電圧制御電流源と記載している;この第2の実施形態の説明では電圧制御電流源と呼ぶ)204−1〜204−N、及び、電圧フィードバック部205が設けられている。
【0035】
位相補償付電圧制御部203は、電圧信号源201からの電圧信号と電圧フィードバック部205からのフィードバック信号とを入力して増幅し、かつ、位相補償を行うものである。電圧制御部203は、例えば、反転入力端子が抵抗250を介して接地されていると共に、反転入力端子及び出力端子間にコンデンサ251が接続されているオペアンプ252を用い、電圧信号源201からの電圧信号をオペアンプ252の非反転入力端子に入力させ、電圧フィードバック部205からのフィードバック信号をオペアンプ212の反転入力端子に入力させるようにすることで実現することができる。
【0036】
並列に設けられている電圧制御電流源204−1〜204−Nはそれぞれ、入力電圧(位相補償付電圧制御部203の出力電圧)に応じて出力電流i1〜iNを制御するものであり、電圧制御電流源204−1〜204−Nからの出力電流i1〜iNは、節点206を介して合成され、合成電流i1+i2+…+iNが負荷202に流れて負荷202に電力を供給するものである。なお、仮に、同一特性の電圧制御電流源を3台並列に接続したとすると、1台の電圧制御電流源が受け持つ電流は負荷202に流れる電流の1/3となる。
【0037】
電圧フィードバック部205は、節点206の電圧を、位相補償付電圧制御部203に帰還率βvで帰還するものである。
【0038】
第2の実施形態によれば、非常に大きな出力の電力増幅器(電力増幅器並列システム)を、電流出力の単体のディジタル電力増幅器の並列接続数を単純に増やすことで実現することができる。
【0039】
構成要素となっている各ディジタル電力増幅器の出力は任意に設計することができるため、部品の定格値を比較的小さく設定でき、物理的に小さな部品を選定でき、機器全体を小さくでき、部品の流通量が大きい安価な物を使用でき、複数台の並列接続時には熱源が分散することになるために熱設計が容易になる、等の利点がある。
【0040】
また、頻繁に負荷の大きさが変更されるような用途に対して、単体のディジタル電力増幅器の並列数を増減することにより、効率を最適に保つことができるような運用を可能にすることができる。
【0041】
さらに、システムを複数台のディジタル電力増幅器で構成しているため、一台の電力増幅器が故障しても運用を続行することのできるという、故障に対する強固さを提供することができる。
【0042】
さらにまた、電流合成による電力合成であって、振幅、周波数、位相を揃えることが厳しく求められないので、ディジタル電力増幅器の複数台の並列運転を、従来の電圧出力を合成する方法に比べて、簡単(ラフ)にすることができる。
【0043】
また、増幅対象の入力電圧信号がダイナミックに変化する場合でも、出力が容易に追従できる。
【0044】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0045】
図6は、第3の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Aの全体構成を示すブロック図であり、第2の実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0046】
図6において、第3の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Aは、第2の電力増幅器並列システム200の構成に加え、系統出力調整器207−1〜207−Nを設けたものである。各系統出力調整器207−1〜207−Nは、対応する電圧制御電流源204−1〜204−Nの入力段に設けられ、電圧制御部203の出力電圧を、設定された調整量で変化させて対応する電圧制御電流源204−1〜204−Nに入力させるものである。各系統出力調整器207−1〜207−Nとしては、出力させる分圧電圧を変化可能なボリュームを適用することができる。
【0047】
トータルの出力電力から見ると、各系統出力調整器207−1〜207−Nはそれぞれ、当該系統が担当する電力比率を調整していることになる。すなわち、第1の実施形態で説明した電力比率調整器102a−1〜102a−Nと同様なものである。
【0048】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果に加え、並列における各系統ごとに、その出力量を調整することができるという効果を奏することができる。
【0049】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0050】
図7は、第4の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Bの全体構成を示すブロック図であり、既述した図面との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0051】
図7において、第4の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Bは、第3の実施形態の電力増幅器並列システム200Aの構成に加え、負荷バランス調整回路104を設けたものである。負荷バランス調整回路104は、第1の実施形態で説明したように、各電圧制御電流源204−1〜204−Nのエネルギー源(動作電源)の状態に応じて、系統ごとの負荷バランスを調整させるものである。
【0052】
図7では、負荷バランス調整回路104によっても、各系統出力調整器207−1〜207−Nを調整させるものを示している。なお、系統出力調整器207−1〜207−Nとは別個に、負荷バランス調整用の調整器を各系統に設けるようにしても良い。このような調整器として、自動調整機能を有するボリュームを適用することができる。
【0053】
第4の実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加え、各電圧制御電流源のエネルギー源(動作電源)の状態に応じて、系統ごとの負荷バランスを調整することができるという効果を奏することができる。
【0054】
(E)第5の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第5の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0055】
図8は、第5の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Cの全体構成を示すブロック図であり、第2の実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0056】
第5の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Cは、第2の実施形態の電力増幅器並列システム200における電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)204−1〜204−Nの具体的構成例を提供するものである。電圧制御電流源204−1〜204−Nの構成は同一であるので、以下では、電圧制御電流源204−1の構成を例に説明する。
【0057】
電圧制御電流源204−1において、電圧制御部203からの電圧信号は、反転入力端子及び出力端子間に位相補償用のコンデンサ301−1が接続されているオペアンプ300−1の非反転入力端子に入力されるようになされている。オペアンプ300−1の反転入力端子には、後述する電流フィードバック部313−1のフィードバック信号も入力されている。オペアンプ300−1から出力された電圧信号vs−1はコンパレータ302−1の比較入力端子に入力される。
【0058】
コンパレータ302−1の基準入力端子には、三角波発生回路208が出力した三角波キャリア信号vcが入力される。コンパレータ302−1は、オペアンプ300−1から出力された電圧信号vs−1と、三角波キャリア信号vcとを比較し、PWM信号を得るものである。コンパレータ302−1の正相出力端子から出力された正相のPWM信号は、ドライバ303−1−1及び303−3−1に与えられ、コンパレータ302−1の逆相出力端子から出力された逆相のPWM信号は、ドライバ303−2−1及び303−4−1に与えられる。
【0059】
各ドライバ303−1−1〜303−4−1は、入力された正相又は逆相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−1−1〜304−4−1をオンオフ駆動するものである。なお、ドライバ303−1−1〜303−4−1は、コンパレータ302−1側と、スイッチング素子304−1−1〜304−4−1側とを電気的に絶縁する光電カプラなどを内部に有するものであっても良い。また、ドライバ303−1−1〜303−4−1に代えて、対応するスイッチング素子304−1−1〜304−4−1の両端の印加電圧に応じて定まるバイアス分だけ、入力PWM信号のレベルをシフトするレベルシフタを適用するようにしても良い。
【0060】
この第5の実施形態の場合、電圧制御電流源204−1〜204−N毎に異なる電源(フローティング電源)209−1〜209−Nが適用されている。なお、出力電圧の最大振幅より高い電圧を保持する電源209−1〜209−Nならば、それぞれの電源209−1〜209−Nの電圧は異なっていても構わない。
【0061】
スイッチング素子304−1−1及び304−2−1の対と、スイッチング素子304−4−1及び304−3−1の対とには、フローティング電源209−1が印加されるようになされている。スイッチング素子304−4−1及び304−3−1間の接続点p4−1は接地されている。
【0062】
スイッチング素子304−1−1及び304−2−1間の接続点p1−1と、スイッチング素子304−4−1及び304−3−1間の接続点p4−1との間には、接続点p1−1側から、抵抗305−1、コイル306−1及びコンデンサ307−1が直列に接続されている。コイル306−1及びコンデンサ307−1が、PWM信号をアナログ信号に変換するローパスフィルタを構成しており、コイル306−1及びコンデンサ307−1間の接続点p3−1が、各電圧制御電流源204−1〜204−Nの出力の合成点である節点206に接続され、増幅電流i1を供給する。
【0063】
抵抗305−1は、ローパスフィルタに流れる電流i1を検出するために設けられたものであり、両端電圧がそれぞれ対応する抵抗308−1及び309−1を介して、差動増幅器の中心構成であるオペアンプ310−1の入力端子に入力されるようになされている。なお、電流検出は、抵抗による検出ではなく一般的に知られている他の電流検出手法を用いても良い。例えば、ホール素子を用いた電流検出などを用いることができる。
【0064】
抵抗305−1の、コイル306−1との接続点p2−1側の電位は、抵抗308−1を介してオペアンプ310−1の反転入力端子に入力され、抵抗305−1の、上述した接続点p1−1側の電位は、抵抗309−1を介してオペアンプ310−1の非反転入力端子に入力される。オペアンプ310−1の反転入力端子及び出力端子間は抵抗311−1を介して接続され、オペアンプ310−1の非反転入力端子は抵抗312−1を介して接地されている。
【0065】
抵抗305−1によって検出され、オペアンプ310−1を中心に構成された差動増幅構成によって差動増幅された、ローパスフィルタを流れる電流に応じた電圧信号は、電流フィードバック部313−1を介して帰還率βiで入力側に、すなわち、オペアンプ300−1の反転入力端子に帰還される。
【0066】
図9は、第5の実施形態の電力増幅器並列システム200Cにおける各部信号波形図である。
【0067】
電圧信号源201からの増幅対象の電圧信号は、電圧制御部203を介して、電圧フィードバックが反映された後、全ての電圧制御電流源204−1〜204−Nに与えられる。
【0068】
例えば、電圧制御電流源204−1においては、オペアンプ300を中心とした増幅構成により、電圧制御部203から出力された電圧信号に対し、電流フィードバックが反映される。
【0069】
例えば、電圧制御電流源204−1のオペアンプ300−1から、図9(A)に示す電圧信号vs−1が出力されたとする。この電圧信号vs−1は、三角波発生回路208が出力した三角波キャリア信号vcとコンパレータ302−1で比較され、コンパレータ302−1の正相出力端子からは、図9(B)に示すようなPWM信号が出力される。ドライバ303−1−1及び303−3−1が、正相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−1−1及び304−3−1をオンオフ駆動し、ドライバ303−2−1及び303−4−1が、逆相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−2−1及び304−4−1をオンオフ駆動し、これにより、コイル306−1及びコンデンサ307−1でなるローパスフィルタから節点206へ、図9(C)に示すような増幅電流i1が流れる。
【0070】
同様にして、電圧制御電流源204−2から節点206へ、図9(D)に示すような増幅電流i2が流れる。他の電圧制御電流源204−3〜204−Nからもそれぞれ、節点206へ増幅電流i3〜iNが流れる。
【0071】
これにより、負荷202には合成電流i1+i2+i3+…+iNが流れ、負荷202の両端電圧Voutは図9(E)に示すようになる。この電圧Voutは、電圧フィードバック部205を介して電圧制御部203へとフィードバックされる。
【0072】
電圧制御電流源204−1において、増幅電流i1は抵抗305−1によって電圧信号として検出された後、オペアンプ310−1を中心に構成された差動増幅構成によって差動増幅され、電流フィードバック部313−1を介して入力側(オペアンプ300−1の反転入力端子)に帰還される。
【0073】
他の電圧制御電流源204−2〜204−Nにおいてもそれぞれ、同様な電流フィードバックが実行される。
【0074】
第5の実施形態によれば、第2の実施形態の効果と同様な効果を奏することができる。第5の実施形態によれば、各電圧制御電流源において、スイッチング構成に対する動作電源として単一電源を適用し、一方の対のスイッチング素子の接続点を接地しているが、電流フィードバックを掛けているので、安定した電流出力を行うことができる。
【0075】
(F)第6の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第6の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。第6の実施形態の電力増幅器並列システムは、上述した第4の実施形態の電力増幅器並列システムと同様なものであるが、電圧制御電流源204−1〜204−Nと、系統出力調整器207−1〜207−Nとに関し、具体的構成例を挙げている点が異なっている。
【0076】
図10は、第6の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Dの全体構成を示すブロック図であり、既述した図面との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0077】
第6の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Dにおける電圧制御電流源204−1〜204−3の内部構成は、第5の実施形態のものと同様であるので、その説明は省略する。
【0078】
系統出力調整器207−1〜207−Nの構成は同一であるので、以下では、系統出力調整器207−1の構成を例に説明する。
【0079】
系統出力調整器207−1は、段階的(又は無段階的)に切替え可能なボリューム350−1と、ボリューム350の選択の悪影響が電圧制御部203−1に及ぼすことを防止するように設けられたバッファアンプ351−1とを有する。ボリューム350−1は、例えば、複数の抵抗が直列に接続された部分と選択操作子350a−1とを有し、直列回路の一端がバッファアンプ351−1の出力端に接続され、直列回路の他端が接地されている。選択操作子350a−1は、直列回路の一端と、各抵抗間の接続点との間で切替え可能なものである。選択操作子350a−1のコモン端子が、電圧制御電流源204−1の入力端子に接続されている。各抵抗間の接続点が選択されている状態では、電圧制御部203−1の出力電圧を分圧したものが電圧制御部203−1への入力となる。
【0080】
第6の実施形態によれば、第4の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0081】
(G)第7の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第7の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0082】
図11は、第7の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Eの全体構成を示すブロック図であり、既述した実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0083】
第7の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Eも、第2の実施形態の電力増幅器並列システム200における電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)204−1〜204−Nの具体的構成例を提供するものである。電圧制御電流源204−1〜204−Nの構成は同一であるので、以下では、電圧制御電流源204−1の構成を例に説明する。
【0084】
上述した第5の実施形態の電圧制御電流源204−1は、スイッチング素子対を2対用いるフルブリッジのディジタル電力増幅器の構成を基本構成としているものであったが、この第7の実施形態の電圧制御電流源204−1は、スイッチング素子対を1対用いるハーフブリッジのディジタル電力増幅器の構成を基本構成としている。以下では、第5の実施形態との相違点を説明する。
【0085】
上述のように、第7の実施形態では、1対のスイッチング素子304−1−1及び304−2−1だけが設けられている。1対のスイッチング素子304−1−1及び304−2−1に対する電源としては、正負電源209P−1及び209N−1が設けられている。ローパスフィルタを構成するコンデンサ307−1の一端は接地されている。その他は、第5の実施形態と同様である。
【0086】
第7の実施形態によれば、第5の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0087】
(H)第8の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第8の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0088】
図12は、第8の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Fの全体構成を示すブロック図であり、上述した第7の実施形態に係る図11との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0089】
第8の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Fは、第7の実施形態の電力増幅器並列システム200Eにおける、電圧制御電流源204−1〜204−N毎に設けられていた正負電源209P−1〜209P−N及び209N−1〜209N−Nを、電圧制御電流源204−1〜204−Nに共通な正負電源209P及び209Nに置き換えた点だけが、第7の実施形態と異なっている。
【0090】
第8の実施形態によっても、第5の実施形態や第7の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0091】
(I)第9の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第9の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0092】
図13は、第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gの全体構成を示すブロック図であり、上述した第7の実施形態に係る図11との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0093】
第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gにおいても、各電圧制御電流源204−1〜204−Nは、第7の実施形態と同様に、スイッチング素子対を1対用いるハーフブリッジのディジタル電力増幅器の構成を採用している。
【0094】
第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gは、各電圧制御電流源204−1〜204−Nのスイッチング部に対して、対応する単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nから、正負電源を供給するようにしたものである。以下では、単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nの内部構成を、単一電源/正負電源変換部350−1を例にして説明する。
【0095】
単一電源/正負電源変換部350−1は、スイッチングアンプで構成され、エコエネルギー源、非エコエネルギー源などでなる単一の直流電源209−1の高低の電源電圧ライン間には、一対の電力スイッチング素子351P−1及び351N−1の直列回路を有する。電力スイッチング素子351P−1及び351N−1の接続点と、接地(グランド)との間にはコイル352−1が接続され、また、接地と、直流電源209−1の低電位の電源電圧ラインとの間にはコンデンサ353−1が接続され、これらコイル352−1及びコンデンサ353−1はローパスフィルタを構成している。上述した接続は、ローパスフィルタから見ればその出力端が接地されているということができる。
【0096】
単一電源/正負電源変換部350−1は、例えば、デューティ比50%のパルス信号を出力するパルス信号生成部354−1を備える。パルス信号生成部354−1が出力したパルス信号は、電力スイッチング素子351P−1を駆動するドライバ355P−1に直接与えられると共に、インバータ356−1を介して判定されて、電力スイッチング素子351N−1を駆動するドライバ355N−1に与えられるようになされている。
【0097】
電力スイッチング素子対が一対(ハーフブリッジ)の単一電源/正負電源変換部350−1の出力は、電力スイッチング素子の駆動信号のデューティ比を一定に保つとすると、一定のDC電圧レベルで得ることができる。例えば、デューティ比が50%の駆動信号(パルス信号)を適用し、単一の電源209−1の電圧をVccとすると、単一電源/正負電源変換部350−1の出力にはVcc/2が得られる。接地電位を、例えば、Vcc/2に定めれば、ハーフブリッジの上側の電源電圧は接地点から見て+Vcc/2、ハーフブリッジの下側の電源電圧は接地点から見て−Vcc/2が得られていることになる。
【0098】
第9の実施形態によっても、電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)を並列にしたことによる効果は、既述した実施形態の効果と同様である。
【0099】
ハーフブリッジの電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)の場合、正負の電源が必要であるが、単一電源/正負電源変換部によって、単一電源を正負電源に変換できるので、ハーフブリッジの電圧制御電流源を適用しながら、当初の電源として単一電源を適用することができる。
【0100】
ここで、単一電源/正負電源変換部における一対の電力スイッチング素子の駆動回路は、一定のデューティ比のパルス信号を取り扱うものであるので、回路構成は簡単であり、回路規模を小さいものとすることができる。
【0101】
なお、図13では、各単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nがそれぞれ、パルス信号生成部354−1〜354−Nと、インバータ356−1〜356−Nとを備えるものを示したが、単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nに共通に、パルス信号生成部とインバータとを設けるようにしても良い。
【0102】
(J)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0103】
本発明の電力増幅器並列システムの用途は限定されるものではない。例えば、オーディオアンプに適用できる。また、コンピュータ機器や放送設備などの、電気設備の電力増幅装置に適用できる。
【0104】
上記各実施形態の技術的特徴が組み合わせ可能なものであれば組み合わせて適用するようにしても良い。
【0105】
第9の実施形態で説明した単一電源を正負電源に変換する構成は、電力増幅器並列システム以外の正負電源を必要とする用途の装置、システムに適用することができる。
【0106】
上記各実施形態の説明では、電圧制御電流源の並列数が複数であるとして説明したが、並列数は1であっても良い。例えば、システムの当初は並列数1で運転し、負荷が必要とする電力の増大に応じて、徐々に並列数を大きくしていくようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】従来の電力増幅器並列システムの構成を示す回路図である。
【図2】図1の回路図の原理構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムを電気自動車に適用した応用例の概略構成を示す説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図7】第4の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図8】第5の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図9】第5の実施形態の電力増幅器並列システムにおける各部信号波形図である。
【図10】第6の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図11】第7の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図12】第8の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図13】第9の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
100、110、200、200A〜200G…電力増幅器並列システム、
101、202…負荷、
102−1〜102−3、112−1〜112−3…電流出力のディジタル電力増幅器、
102a−1〜102a−3…電力比率調整器、
103−1…非エコエネルギー源、
103−2、103−3…エコエネルギー源、
104…負荷バランス調整回路、
110…電気自動車110、
111−1…燃料電池、
111−2…蓄電池、
111−3…ソーラーパネル、
114…モータ、
201…電圧信号源、
203…位相補償付電圧制御部、
204−1〜204−3…電圧制御電流源、
205…電圧フィードバック部、
207−1〜207−3…系統出力調整器、
208…三角波発生回路、
209−1〜209−N、209P−1、209N−1、209P、209N…電源、
300−1、310−1…オペアンプ、
302−1…コンパレータ、
313−1…電流フィードバック部、
303−1−1〜303−4−1…ドライバ、
304−1−1〜304−4−1…スイッチング素子、
305−1…電流検出用抵抗、
306−1…ローパスフィルタを構成するコイル、
307−1…ローパスフィルタを構成するコンデンサ、
350−1…単一電源/正負電源変換部、
351P−1、351N−1…電力スイッチング素子、
352−1…ローパスフィルタを構成するコイル、
353−1…ローパスフィルタを構成するコンデンサ、
354−1…パルス信号生成部、
355P−1、355N−1…ドライバ、
356−1…インバータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は電力増幅器並列システムに関し、例えば、複数系統のディジタル電力増幅器(いわゆるスイッチングアンプ)を利用したシステムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
1台の電力増幅器の最大出力を柔軟に調整して運転することは困難であるため、負荷の変更に応じて、電力増幅器の最大出力を効率を悪化させない形で変更することは困難である。一般に、負荷と電力増幅器の最大出力により効率カーブが決まるため、仮に、最大出力の大きな電力増幅器に対して小さい負荷を運転する場合には、効率が悪化するという問題がある。
【0003】
また、大きな電力を出力することのできる一台の電力増幅器を設計、製作、運用することは、(1)一つの回路に流れる電流が大きくなるために回路を構成する部品素子の一つ一つの定格値を大きく設計する必要があり、(2)定格値の大きな部品は物理的にも大きく、そのため機器全体が大きくなり、(3)部品種別も少なく設計に適した定格値を持つ部品の選定も困難であり、(4)部品の市場に流通する数量も少ないために高価であり、(5)一箇所に熱が集中するために熱設計が困難である、等の様々な問題がある。
【0004】
そのため、従来、複数台の電力増幅器により一つの負荷に電力を供給する、電力増幅器の並列システムが提案されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
【0005】
図1は、従来の電力増幅器並列システムの構成を示す回路図であり、図2は、図1の回路図の原理構成を示すブロック図である。
【0006】
図1において、従来の電力増幅器並列システム1は、増幅対象の電圧信号の信号源2と、電力の供給を受ける負荷3との間に、同一構成を有するN(Nは2以上の整数)台のディジタル電力増幅器(スイッチングアンプ)4−1〜4−Nが設けられている。ディジタル電力増幅器4−nは(nは1〜N)は、増幅対象の電圧信号を前置増幅するオペアンプ構成の前置増幅段10−nと、前置増幅段10−nの出力と三角波発生回路5から出力された三角波キャリア信号とを比較してPWM信号を得るコンパレータ11−nと、正負電源6P、6Nの印加電圧を相補的にスイッチングする一対のスイッチング素子13P−n、13N−nと、コンパレータ11−nからのPWM信号に基づいてスイッチング素子13P−n、13N−nを駆動するドライバ12P−n、12N−nと、スイッチング素子13P−n、13N−nのオンオフにより得られた増幅されたPWM信号をアナログ電圧信号に変換するローパスフィルタ14−nとを有している。
【0007】
図1におけるディジタル電力増幅器4−1〜4−Nは、図2に示すような電圧制御電圧器7−1〜7−Nと見ることができ、負荷3に効率的に電力を供給するためには、電圧制御電圧器7−1〜7−Nからの増幅された出力電圧の振幅、周波数、位相が揃っていることが好ましい。
【特許文献1】特開2003−8366号公報
【特許文献2】特開2008−28923号公報
【特許文献3】特開2004−363868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の電力増幅器並列システムでは、並列台数分の全ての電力増幅器の出力電圧の振幅(波形)、周波数、位相が寸分の狂いもなく全く同じになるように調整して運用する必要がある。仮に、電圧の振幅、周波数、位相にずれが発生すると、電力増幅器間に「横流」と呼ばれる電流が流れ、負荷に適切な電力を供給できなくなるばかりではなく、それぞれの電力増幅器が故障したり焼損したりする恐れもある。
【0009】
また、出力波形をダイナミックに変化させたい場合、電圧出力を全く同様に揃えることは困難であり、実用例は、単一振幅、周波数の信号を対象としたものが大半であった。
【0010】
さらに、各電力増幅器におけるスイッチング素子の制御を寸分の狂いもなく同じように揃える必要があり、わずかな配線パターンや素子特性のばらつきの影響によりスイッチング動作にずれが生じると、簡単にその系統が破たんする。そのため、並列数の増減を容易にできるものではなかった。
【0011】
上述した理由により、電力増幅器の並列数をさほど多くできないという制限があった。
【0012】
そのため、各電力増幅器の特性間の合致に対する制約が小さく、並列数の増減などに容易に対応し得る電力増幅器並列システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、第1の本発明の電力増幅器並列システムは、(1)それぞれが異なるエコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第1のディジタル電力増幅器と、(2)それぞれが異なる非エコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第2のディジタル電力増幅器と、(3)上記第1及び第2のディジタル電力増幅器の出力電流の合成電流を、共通の負荷に供給させる電流合成部と、(4)上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を個別調整する出力電力比調整手段と、(5)上記各エコエネルギー源からの供給量及び上記各非エコエネルギー源からの供給量に応じて、上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を調整すると共に、その際に、上記各エコエネルギー源からの供給を優先させる負荷バランス調整手段とを有することを特徴とする。
【0014】
第2の本発明の電力増幅器並列システムは、(1)増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、(2)上記電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、(3)上記各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、(4)上記節点の電圧を所定の帰還率で上記電圧フィードバック信号に変換して上記電圧制御部に電圧フィードバックする電圧フィードバック部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電流出力のディジタル電力増幅器を並列接続して、単一の負荷に対する電力供給を行うようにしたので、各電力増幅器の特性間の合致に対する制約が小さく、並列数の増減などに容易に対応し得る電力増幅器並列システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による電力増幅器並列システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、複数のエネルギー源による電力を電流合成により一つの系統の負荷に供給しようとしたものである。より具体的には、エコエネルギーと、化石燃料などの非エコエネルギーとを併用し、エコエネルギーの発電状況に応じて、エコエネルギーから優先的に使用できるようにしたものである。
【0017】
図3は、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100の全体構成を示すブロック図である。
【0018】
図3において、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100は、負荷101へ電力を供給する、複数台(図3では3台)の電流出力のディジタル電力増幅器102−1〜102−3を有している。各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3は、例えば、ユニット化されて構成されており、内部構成の図示は省略するが同一構成を有している(詳細構成は後述する第4の実施形態と同様である。
【0019】
この第1の実施形態の場合、ディジタル電力増幅器102−1は、化石燃料を燃やして得たエネルギーや商用電源のエネルギーなどの非エコエネルギーに基づく電源である非エコエネルギー源103−1を増幅用動作電源としている。一方、ディジタル電力増幅器102−2及び102−3はそれぞれ、太陽光発電によるエネルギーや風力発電によるエネルギーなどのエコエネルギーに基づく電源であるエコエネルギー源103−2、103−3を増幅用動作電源としている。
【0020】
各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3はそれぞれ、負荷へ供給し得る電力の比率を設定できる電力比率調整器102a−1〜102a−3を有している。例えば、エコエネルギー源103−2、103−3を、非エコエネルギー源103−1に優先させるように電力比率調整器102a−1〜102a−3を調整することが、環境への配慮から好ましい。
【0021】
第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100は、負荷バランス調整回路104を有する。負荷バランス調整回路104は、非エコエネルギー源103−1、エコエネルギー源103−2、103−3の発電量(若しくは供給可能なエネルギー量)を監視し、発電量の変化に応じ、各系統のディジタル電力増幅器102−1〜102−3から負荷101への電力分担の調整量を、ディジタル電力増幅器102−1〜102−3に指示する。負荷バランス調整回路104は、エコエネルギー源103−2、103−3を優先させ、エコエネルギー源103−2、103−3の発電量が少ないときに、エコエネルギー源103−2からのエネルギーで補うように負荷バランスを調整させるものである。負荷バランス調整回路104の構成としては、既存の電力供給設備で利用されているものを適用することができる。
【0022】
各ディジタル電力増幅器102−1〜102−3はそれぞれ、電力比率調整器102a−1〜102a−3に設定された電力比率と、負荷バランス調整回路104によって指示されたバランス量の双方に応じて増幅率を変化させるものである。
【0023】
第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100によれば、複数台の電流出力のディジタル電力増幅器を用い、負荷に対して、電流合成して電力を供給するようにしたので、複数台のディジタル電力増幅器からの出力(電流)の振幅や周波数や位相を揃えることなく、負荷に電力を供給することができる。言い換えると、一つの負荷に対して、一つのディジタル電力増幅器の供給可能な電力より大きな出力電力に調整して供給することができる。
【0024】
また、電流合成によって電力を負荷に供給して振幅などの揃えが問題とならないので、ディジタル電力増幅器の自由な数の並列接続が可能となる。
【0025】
さらに、電流合成によって電力を負荷に供給して振幅などの揃えが問題とならないので、各ディジタル電力増幅器への動作電源に対する制約がほとんどなく、エコエネルギー源を動作電源とするディジタル電力増幅器及び非エコエネルギー源を動作電源とするディジタル電力増幅器を混在させて運転することができ、すなわち、環境に配慮した電力供給を行うことができる。この際、エコエネルギー源のディジタル電力増幅器を非エコエネルギー源のディジタル電力増幅器優先させることができ、環境に一段と配慮した電力供給を行うことができる。
【0026】
さらにまた、第1の実施形態によれば、後述する第2の実施形態の説明で挙げる効果を奏することができる。
【0027】
図4は、第1の実施形態に係る電力増幅器並列システム100を電気自動車に適用した応用例の概略構成を示している。図4に示す電気自動車110は、図3とは異なり、非エコエネルギー源が燃料電池111−1及び蓄電池111−2の2つであり、エコエネルギー源がソーラーパネル111−3の1つである場合である。これらのエネルギー源111−1〜111−3を動作電源とする電流出力のディジタル電力増幅器112−1〜112−3を介して電力増幅して、走行時の駆動力を得るモータ114に対して電力を供給するものである。
【0028】
図4に示す電気自動車110によっても、上述した第1の実施形態の効果を奏することができる。
【0029】
また、この変形実施形態では、ソーラーパネル111−3の発電によるエネルギーや、燃料電池111−1によるエネルギーを一度蓄電池111−2に蓄えることなく、直接、モータ114の駆動のために使うことができる。その結果、蓄電時のロスをなくすことができ、また、蓄電池111−2の電力使用の優先順位を低くするように運用することもできる。
【0030】
図示は省略するが、ハイブリッド自動車における補器への電力供給を、第1の実施形態と同様に実行するようにしても良い。すなわち、エコエネルギー源や非エコエネルギー源などの複数のエネルギー源のいずれかを動作電源とする、複数の電流出力のディジタル電力増幅器を介して電力増幅して、走行時の駆動力を、エンジンを補うように得る補器に対して電力を供給するようにしても良い。
【0031】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0032】
第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、本発明の基本的な原理構成に近い実施形態である。上述した第1の実施形態や、後述する第5〜第8の実施形態も、概ね、この第2の実施形態に係る基本的な原理構成を適用しているものである。第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムは、「電気回路のある節点において、流れ込む電流の和と流れ出す電流の和は等しい」というキルヒホッフの第1法則に則り、電流合成によって電力合成を実現しようとしたものである。
【0033】
図5は、第2の実施形態に係る電力増幅器並列システム200の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
図5において、第2の実施形態に係る電力増幅器並列システム200は、増幅対象の電圧信号(電圧制御指令)の信号源201と電力の供給を受ける負荷202との間に、位相補償付電圧制御部203、同一構成を有する複数(図5ではN)台の電流出力のディジタル電力増幅器(図5では電圧制御電流源と記載している;この第2の実施形態の説明では電圧制御電流源と呼ぶ)204−1〜204−N、及び、電圧フィードバック部205が設けられている。
【0035】
位相補償付電圧制御部203は、電圧信号源201からの電圧信号と電圧フィードバック部205からのフィードバック信号とを入力して増幅し、かつ、位相補償を行うものである。電圧制御部203は、例えば、反転入力端子が抵抗250を介して接地されていると共に、反転入力端子及び出力端子間にコンデンサ251が接続されているオペアンプ252を用い、電圧信号源201からの電圧信号をオペアンプ252の非反転入力端子に入力させ、電圧フィードバック部205からのフィードバック信号をオペアンプ212の反転入力端子に入力させるようにすることで実現することができる。
【0036】
並列に設けられている電圧制御電流源204−1〜204−Nはそれぞれ、入力電圧(位相補償付電圧制御部203の出力電圧)に応じて出力電流i1〜iNを制御するものであり、電圧制御電流源204−1〜204−Nからの出力電流i1〜iNは、節点206を介して合成され、合成電流i1+i2+…+iNが負荷202に流れて負荷202に電力を供給するものである。なお、仮に、同一特性の電圧制御電流源を3台並列に接続したとすると、1台の電圧制御電流源が受け持つ電流は負荷202に流れる電流の1/3となる。
【0037】
電圧フィードバック部205は、節点206の電圧を、位相補償付電圧制御部203に帰還率βvで帰還するものである。
【0038】
第2の実施形態によれば、非常に大きな出力の電力増幅器(電力増幅器並列システム)を、電流出力の単体のディジタル電力増幅器の並列接続数を単純に増やすことで実現することができる。
【0039】
構成要素となっている各ディジタル電力増幅器の出力は任意に設計することができるため、部品の定格値を比較的小さく設定でき、物理的に小さな部品を選定でき、機器全体を小さくでき、部品の流通量が大きい安価な物を使用でき、複数台の並列接続時には熱源が分散することになるために熱設計が容易になる、等の利点がある。
【0040】
また、頻繁に負荷の大きさが変更されるような用途に対して、単体のディジタル電力増幅器の並列数を増減することにより、効率を最適に保つことができるような運用を可能にすることができる。
【0041】
さらに、システムを複数台のディジタル電力増幅器で構成しているため、一台の電力増幅器が故障しても運用を続行することのできるという、故障に対する強固さを提供することができる。
【0042】
さらにまた、電流合成による電力合成であって、振幅、周波数、位相を揃えることが厳しく求められないので、ディジタル電力増幅器の複数台の並列運転を、従来の電圧出力を合成する方法に比べて、簡単(ラフ)にすることができる。
【0043】
また、増幅対象の入力電圧信号がダイナミックに変化する場合でも、出力が容易に追従できる。
【0044】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0045】
図6は、第3の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Aの全体構成を示すブロック図であり、第2の実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0046】
図6において、第3の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Aは、第2の電力増幅器並列システム200の構成に加え、系統出力調整器207−1〜207−Nを設けたものである。各系統出力調整器207−1〜207−Nは、対応する電圧制御電流源204−1〜204−Nの入力段に設けられ、電圧制御部203の出力電圧を、設定された調整量で変化させて対応する電圧制御電流源204−1〜204−Nに入力させるものである。各系統出力調整器207−1〜207−Nとしては、出力させる分圧電圧を変化可能なボリュームを適用することができる。
【0047】
トータルの出力電力から見ると、各系統出力調整器207−1〜207−Nはそれぞれ、当該系統が担当する電力比率を調整していることになる。すなわち、第1の実施形態で説明した電力比率調整器102a−1〜102a−Nと同様なものである。
【0048】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果に加え、並列における各系統ごとに、その出力量を調整することができるという効果を奏することができる。
【0049】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0050】
図7は、第4の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Bの全体構成を示すブロック図であり、既述した図面との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0051】
図7において、第4の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Bは、第3の実施形態の電力増幅器並列システム200Aの構成に加え、負荷バランス調整回路104を設けたものである。負荷バランス調整回路104は、第1の実施形態で説明したように、各電圧制御電流源204−1〜204−Nのエネルギー源(動作電源)の状態に応じて、系統ごとの負荷バランスを調整させるものである。
【0052】
図7では、負荷バランス調整回路104によっても、各系統出力調整器207−1〜207−Nを調整させるものを示している。なお、系統出力調整器207−1〜207−Nとは別個に、負荷バランス調整用の調整器を各系統に設けるようにしても良い。このような調整器として、自動調整機能を有するボリュームを適用することができる。
【0053】
第4の実施形態によれば、第3の実施形態の効果に加え、各電圧制御電流源のエネルギー源(動作電源)の状態に応じて、系統ごとの負荷バランスを調整することができるという効果を奏することができる。
【0054】
(E)第5の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第5の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0055】
図8は、第5の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Cの全体構成を示すブロック図であり、第2の実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0056】
第5の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Cは、第2の実施形態の電力増幅器並列システム200における電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)204−1〜204−Nの具体的構成例を提供するものである。電圧制御電流源204−1〜204−Nの構成は同一であるので、以下では、電圧制御電流源204−1の構成を例に説明する。
【0057】
電圧制御電流源204−1において、電圧制御部203からの電圧信号は、反転入力端子及び出力端子間に位相補償用のコンデンサ301−1が接続されているオペアンプ300−1の非反転入力端子に入力されるようになされている。オペアンプ300−1の反転入力端子には、後述する電流フィードバック部313−1のフィードバック信号も入力されている。オペアンプ300−1から出力された電圧信号vs−1はコンパレータ302−1の比較入力端子に入力される。
【0058】
コンパレータ302−1の基準入力端子には、三角波発生回路208が出力した三角波キャリア信号vcが入力される。コンパレータ302−1は、オペアンプ300−1から出力された電圧信号vs−1と、三角波キャリア信号vcとを比較し、PWM信号を得るものである。コンパレータ302−1の正相出力端子から出力された正相のPWM信号は、ドライバ303−1−1及び303−3−1に与えられ、コンパレータ302−1の逆相出力端子から出力された逆相のPWM信号は、ドライバ303−2−1及び303−4−1に与えられる。
【0059】
各ドライバ303−1−1〜303−4−1は、入力された正相又は逆相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−1−1〜304−4−1をオンオフ駆動するものである。なお、ドライバ303−1−1〜303−4−1は、コンパレータ302−1側と、スイッチング素子304−1−1〜304−4−1側とを電気的に絶縁する光電カプラなどを内部に有するものであっても良い。また、ドライバ303−1−1〜303−4−1に代えて、対応するスイッチング素子304−1−1〜304−4−1の両端の印加電圧に応じて定まるバイアス分だけ、入力PWM信号のレベルをシフトするレベルシフタを適用するようにしても良い。
【0060】
この第5の実施形態の場合、電圧制御電流源204−1〜204−N毎に異なる電源(フローティング電源)209−1〜209−Nが適用されている。なお、出力電圧の最大振幅より高い電圧を保持する電源209−1〜209−Nならば、それぞれの電源209−1〜209−Nの電圧は異なっていても構わない。
【0061】
スイッチング素子304−1−1及び304−2−1の対と、スイッチング素子304−4−1及び304−3−1の対とには、フローティング電源209−1が印加されるようになされている。スイッチング素子304−4−1及び304−3−1間の接続点p4−1は接地されている。
【0062】
スイッチング素子304−1−1及び304−2−1間の接続点p1−1と、スイッチング素子304−4−1及び304−3−1間の接続点p4−1との間には、接続点p1−1側から、抵抗305−1、コイル306−1及びコンデンサ307−1が直列に接続されている。コイル306−1及びコンデンサ307−1が、PWM信号をアナログ信号に変換するローパスフィルタを構成しており、コイル306−1及びコンデンサ307−1間の接続点p3−1が、各電圧制御電流源204−1〜204−Nの出力の合成点である節点206に接続され、増幅電流i1を供給する。
【0063】
抵抗305−1は、ローパスフィルタに流れる電流i1を検出するために設けられたものであり、両端電圧がそれぞれ対応する抵抗308−1及び309−1を介して、差動増幅器の中心構成であるオペアンプ310−1の入力端子に入力されるようになされている。なお、電流検出は、抵抗による検出ではなく一般的に知られている他の電流検出手法を用いても良い。例えば、ホール素子を用いた電流検出などを用いることができる。
【0064】
抵抗305−1の、コイル306−1との接続点p2−1側の電位は、抵抗308−1を介してオペアンプ310−1の反転入力端子に入力され、抵抗305−1の、上述した接続点p1−1側の電位は、抵抗309−1を介してオペアンプ310−1の非反転入力端子に入力される。オペアンプ310−1の反転入力端子及び出力端子間は抵抗311−1を介して接続され、オペアンプ310−1の非反転入力端子は抵抗312−1を介して接地されている。
【0065】
抵抗305−1によって検出され、オペアンプ310−1を中心に構成された差動増幅構成によって差動増幅された、ローパスフィルタを流れる電流に応じた電圧信号は、電流フィードバック部313−1を介して帰還率βiで入力側に、すなわち、オペアンプ300−1の反転入力端子に帰還される。
【0066】
図9は、第5の実施形態の電力増幅器並列システム200Cにおける各部信号波形図である。
【0067】
電圧信号源201からの増幅対象の電圧信号は、電圧制御部203を介して、電圧フィードバックが反映された後、全ての電圧制御電流源204−1〜204−Nに与えられる。
【0068】
例えば、電圧制御電流源204−1においては、オペアンプ300を中心とした増幅構成により、電圧制御部203から出力された電圧信号に対し、電流フィードバックが反映される。
【0069】
例えば、電圧制御電流源204−1のオペアンプ300−1から、図9(A)に示す電圧信号vs−1が出力されたとする。この電圧信号vs−1は、三角波発生回路208が出力した三角波キャリア信号vcとコンパレータ302−1で比較され、コンパレータ302−1の正相出力端子からは、図9(B)に示すようなPWM信号が出力される。ドライバ303−1−1及び303−3−1が、正相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−1−1及び304−3−1をオンオフ駆動し、ドライバ303−2−1及び303−4−1が、逆相のPWM信号に基づいて、対応するスイッチング素子304−2−1及び304−4−1をオンオフ駆動し、これにより、コイル306−1及びコンデンサ307−1でなるローパスフィルタから節点206へ、図9(C)に示すような増幅電流i1が流れる。
【0070】
同様にして、電圧制御電流源204−2から節点206へ、図9(D)に示すような増幅電流i2が流れる。他の電圧制御電流源204−3〜204−Nからもそれぞれ、節点206へ増幅電流i3〜iNが流れる。
【0071】
これにより、負荷202には合成電流i1+i2+i3+…+iNが流れ、負荷202の両端電圧Voutは図9(E)に示すようになる。この電圧Voutは、電圧フィードバック部205を介して電圧制御部203へとフィードバックされる。
【0072】
電圧制御電流源204−1において、増幅電流i1は抵抗305−1によって電圧信号として検出された後、オペアンプ310−1を中心に構成された差動増幅構成によって差動増幅され、電流フィードバック部313−1を介して入力側(オペアンプ300−1の反転入力端子)に帰還される。
【0073】
他の電圧制御電流源204−2〜204−Nにおいてもそれぞれ、同様な電流フィードバックが実行される。
【0074】
第5の実施形態によれば、第2の実施形態の効果と同様な効果を奏することができる。第5の実施形態によれば、各電圧制御電流源において、スイッチング構成に対する動作電源として単一電源を適用し、一方の対のスイッチング素子の接続点を接地しているが、電流フィードバックを掛けているので、安定した電流出力を行うことができる。
【0075】
(F)第6の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第6の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。第6の実施形態の電力増幅器並列システムは、上述した第4の実施形態の電力増幅器並列システムと同様なものであるが、電圧制御電流源204−1〜204−Nと、系統出力調整器207−1〜207−Nとに関し、具体的構成例を挙げている点が異なっている。
【0076】
図10は、第6の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Dの全体構成を示すブロック図であり、既述した図面との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0077】
第6の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Dにおける電圧制御電流源204−1〜204−3の内部構成は、第5の実施形態のものと同様であるので、その説明は省略する。
【0078】
系統出力調整器207−1〜207−Nの構成は同一であるので、以下では、系統出力調整器207−1の構成を例に説明する。
【0079】
系統出力調整器207−1は、段階的(又は無段階的)に切替え可能なボリューム350−1と、ボリューム350の選択の悪影響が電圧制御部203−1に及ぼすことを防止するように設けられたバッファアンプ351−1とを有する。ボリューム350−1は、例えば、複数の抵抗が直列に接続された部分と選択操作子350a−1とを有し、直列回路の一端がバッファアンプ351−1の出力端に接続され、直列回路の他端が接地されている。選択操作子350a−1は、直列回路の一端と、各抵抗間の接続点との間で切替え可能なものである。選択操作子350a−1のコモン端子が、電圧制御電流源204−1の入力端子に接続されている。各抵抗間の接続点が選択されている状態では、電圧制御部203−1の出力電圧を分圧したものが電圧制御部203−1への入力となる。
【0080】
第6の実施形態によれば、第4の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0081】
(G)第7の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第7の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0082】
図11は、第7の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Eの全体構成を示すブロック図であり、既述した実施形態に係る図5との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0083】
第7の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Eも、第2の実施形態の電力増幅器並列システム200における電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)204−1〜204−Nの具体的構成例を提供するものである。電圧制御電流源204−1〜204−Nの構成は同一であるので、以下では、電圧制御電流源204−1の構成を例に説明する。
【0084】
上述した第5の実施形態の電圧制御電流源204−1は、スイッチング素子対を2対用いるフルブリッジのディジタル電力増幅器の構成を基本構成としているものであったが、この第7の実施形態の電圧制御電流源204−1は、スイッチング素子対を1対用いるハーフブリッジのディジタル電力増幅器の構成を基本構成としている。以下では、第5の実施形態との相違点を説明する。
【0085】
上述のように、第7の実施形態では、1対のスイッチング素子304−1−1及び304−2−1だけが設けられている。1対のスイッチング素子304−1−1及び304−2−1に対する電源としては、正負電源209P−1及び209N−1が設けられている。ローパスフィルタを構成するコンデンサ307−1の一端は接地されている。その他は、第5の実施形態と同様である。
【0086】
第7の実施形態によれば、第5の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0087】
(H)第8の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第8の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0088】
図12は、第8の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Fの全体構成を示すブロック図であり、上述した第7の実施形態に係る図11との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0089】
第8の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Fは、第7の実施形態の電力増幅器並列システム200Eにおける、電圧制御電流源204−1〜204−N毎に設けられていた正負電源209P−1〜209P−N及び209N−1〜209N−Nを、電圧制御電流源204−1〜204−Nに共通な正負電源209P及び209Nに置き換えた点だけが、第7の実施形態と異なっている。
【0090】
第8の実施形態によっても、第5の実施形態や第7の実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0091】
(I)第9の実施形態
次に、本発明による電力増幅器並列システムの第9の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0092】
図13は、第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gの全体構成を示すブロック図であり、上述した第7の実施形態に係る図11との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
【0093】
第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gにおいても、各電圧制御電流源204−1〜204−Nは、第7の実施形態と同様に、スイッチング素子対を1対用いるハーフブリッジのディジタル電力増幅器の構成を採用している。
【0094】
第9の実施形態に係る電力増幅器並列システム200Gは、各電圧制御電流源204−1〜204−Nのスイッチング部に対して、対応する単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nから、正負電源を供給するようにしたものである。以下では、単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nの内部構成を、単一電源/正負電源変換部350−1を例にして説明する。
【0095】
単一電源/正負電源変換部350−1は、スイッチングアンプで構成され、エコエネルギー源、非エコエネルギー源などでなる単一の直流電源209−1の高低の電源電圧ライン間には、一対の電力スイッチング素子351P−1及び351N−1の直列回路を有する。電力スイッチング素子351P−1及び351N−1の接続点と、接地(グランド)との間にはコイル352−1が接続され、また、接地と、直流電源209−1の低電位の電源電圧ラインとの間にはコンデンサ353−1が接続され、これらコイル352−1及びコンデンサ353−1はローパスフィルタを構成している。上述した接続は、ローパスフィルタから見ればその出力端が接地されているということができる。
【0096】
単一電源/正負電源変換部350−1は、例えば、デューティ比50%のパルス信号を出力するパルス信号生成部354−1を備える。パルス信号生成部354−1が出力したパルス信号は、電力スイッチング素子351P−1を駆動するドライバ355P−1に直接与えられると共に、インバータ356−1を介して判定されて、電力スイッチング素子351N−1を駆動するドライバ355N−1に与えられるようになされている。
【0097】
電力スイッチング素子対が一対(ハーフブリッジ)の単一電源/正負電源変換部350−1の出力は、電力スイッチング素子の駆動信号のデューティ比を一定に保つとすると、一定のDC電圧レベルで得ることができる。例えば、デューティ比が50%の駆動信号(パルス信号)を適用し、単一の電源209−1の電圧をVccとすると、単一電源/正負電源変換部350−1の出力にはVcc/2が得られる。接地電位を、例えば、Vcc/2に定めれば、ハーフブリッジの上側の電源電圧は接地点から見て+Vcc/2、ハーフブリッジの下側の電源電圧は接地点から見て−Vcc/2が得られていることになる。
【0098】
第9の実施形態によっても、電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)を並列にしたことによる効果は、既述した実施形態の効果と同様である。
【0099】
ハーフブリッジの電圧制御電流源(ディジタル電力増幅器)の場合、正負の電源が必要であるが、単一電源/正負電源変換部によって、単一電源を正負電源に変換できるので、ハーフブリッジの電圧制御電流源を適用しながら、当初の電源として単一電源を適用することができる。
【0100】
ここで、単一電源/正負電源変換部における一対の電力スイッチング素子の駆動回路は、一定のデューティ比のパルス信号を取り扱うものであるので、回路構成は簡単であり、回路規模を小さいものとすることができる。
【0101】
なお、図13では、各単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nがそれぞれ、パルス信号生成部354−1〜354−Nと、インバータ356−1〜356−Nとを備えるものを示したが、単一電源/正負電源変換部350−1〜350−Nに共通に、パルス信号生成部とインバータとを設けるようにしても良い。
【0102】
(J)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0103】
本発明の電力増幅器並列システムの用途は限定されるものではない。例えば、オーディオアンプに適用できる。また、コンピュータ機器や放送設備などの、電気設備の電力増幅装置に適用できる。
【0104】
上記各実施形態の技術的特徴が組み合わせ可能なものであれば組み合わせて適用するようにしても良い。
【0105】
第9の実施形態で説明した単一電源を正負電源に変換する構成は、電力増幅器並列システム以外の正負電源を必要とする用途の装置、システムに適用することができる。
【0106】
上記各実施形態の説明では、電圧制御電流源の並列数が複数であるとして説明したが、並列数は1であっても良い。例えば、システムの当初は並列数1で運転し、負荷が必要とする電力の増大に応じて、徐々に並列数を大きくしていくようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】従来の電力増幅器並列システムの構成を示す回路図である。
【図2】図1の回路図の原理構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る電力増幅器並列システムを電気自動車に適用した応用例の概略構成を示す説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図7】第4の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図8】第5の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図9】第5の実施形態の電力増幅器並列システムにおける各部信号波形図である。
【図10】第6の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図11】第7の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図12】第8の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【図13】第9の実施形態に係る電力増幅器並列システムの全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
100、110、200、200A〜200G…電力増幅器並列システム、
101、202…負荷、
102−1〜102−3、112−1〜112−3…電流出力のディジタル電力増幅器、
102a−1〜102a−3…電力比率調整器、
103−1…非エコエネルギー源、
103−2、103−3…エコエネルギー源、
104…負荷バランス調整回路、
110…電気自動車110、
111−1…燃料電池、
111−2…蓄電池、
111−3…ソーラーパネル、
114…モータ、
201…電圧信号源、
203…位相補償付電圧制御部、
204−1〜204−3…電圧制御電流源、
205…電圧フィードバック部、
207−1〜207−3…系統出力調整器、
208…三角波発生回路、
209−1〜209−N、209P−1、209N−1、209P、209N…電源、
300−1、310−1…オペアンプ、
302−1…コンパレータ、
313−1…電流フィードバック部、
303−1−1〜303−4−1…ドライバ、
304−1−1〜304−4−1…スイッチング素子、
305−1…電流検出用抵抗、
306−1…ローパスフィルタを構成するコイル、
307−1…ローパスフィルタを構成するコンデンサ、
350−1…単一電源/正負電源変換部、
351P−1、351N−1…電力スイッチング素子、
352−1…ローパスフィルタを構成するコイル、
353−1…ローパスフィルタを構成するコンデンサ、
354−1…パルス信号生成部、
355P−1、355N−1…ドライバ、
356−1…インバータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが異なるエコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第1のディジタル電力増幅器と、
それぞれが異なる非エコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第2のディジタル電力増幅器と、
上記第1及び第2のディジタル電力増幅器の出力電流の合成電流を、共通の負荷に供給させる電流合成部と、
上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を個別調整する出力電力比調整手段と、
上記各エコエネルギー源からの供給量及び上記各非エコエネルギー源からの供給量に応じて、上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を調整すると共に、その際に、上記各エコエネルギー源からの供給を優先させる負荷バランス調整手段と
を有することを特徴とする電力増幅器並列システム。
【請求項2】
上記負荷が、走行駆動力を生成する、電気自動車におけるモータ、若しくは、ハイブリッド自動車における補器であることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項3】
増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、
上記電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、
上記各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、
上記節点の電圧を所定の帰還率で上記電圧フィードバック信号に変換して上記電圧制御部に電圧フィードバックする電圧フィードバック部と
を備えることを特徴とする電力増幅器並列システム。
【請求項4】
上記電圧制御部の出力信号が入力される、上記各電圧制御電流源の入力段の前にそれぞれ、上記各電圧制御電流源からの出力電力を調整するように上記電圧制御部の出力信号を操作する電力比率調整器を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項5】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ異なる電源を動作電源とするものであり、
上記負荷に所望の電力を供給できるように、上記各電源の電源供給状態に応じて、上記各電力比率調整器を制御して、上記各電圧制御電流源の負荷分担比率を調整させる負荷バランス調整手段を設けた
ことを特徴とする請求項4に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項6】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、
スイッチング部がフローティング電源を動作電源とするものであり、
上記スイッチング部における1対のスイッチング素子におけるスイッチング素子間の接続点に接地点を持つものであり、
当該電圧制御電流源からの出力電流に応じた電流帰還制御構成部を有するものである
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項7】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、
スイッチング部が正負電源を動作電源とするものであり、
上記スイッチング部が1対のスイッチング素子だけを備えるものであり、
当該電圧制御電流源からの出力電流に応じた電流帰還制御構成部を有するものである
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項8】
上記各電圧制御電流源のスイッチング部における正負電源が、全ての上記電圧制御電流源に共通な正負電源であることを特徴とする請求項7に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項9】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、スイッチング部が正負電源を動作電源とするものであり、
単一電源を正負電源に変換する、1又は複数の単一電源/正負電源変換部を備え、いずれかの単一電源/正負電源変換部で変換された正負電源を上記各電圧制御電流源に供給する
ことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項10】
上記各単一電源/正負電源変換部はそれぞれ、
上記単一電源による電源電圧が印加される一対の電力スイッチング素子を有するブリッジ回路と、
上記各スイッチング素子を相補的に駆動する一対のドライバと、
所定のデューティ比を有する相補的なパルス信号を生成するパルス信号生成手段と、
上記ブリッジ回路に接続された、出力が接地されているコイル及びコンデンサの梯子型接続によるローパスフィルタとを有する
ことに特徴とする請求項9に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項1】
それぞれが異なるエコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第1のディジタル電力増幅器と、
それぞれが異なる非エコエネルギー源による電源を動作電源とする、電流出力の1又は複数の第2のディジタル電力増幅器と、
上記第1及び第2のディジタル電力増幅器の出力電流の合成電流を、共通の負荷に供給させる電流合成部と、
上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を個別調整する出力電力比調整手段と、
上記各エコエネルギー源からの供給量及び上記各非エコエネルギー源からの供給量に応じて、上記第1及び第2のディジタル電力増幅器のそれぞれの出力電力を調整すると共に、その際に、上記各エコエネルギー源からの供給を優先させる負荷バランス調整手段と
を有することを特徴とする電力増幅器並列システム。
【請求項2】
上記負荷が、走行駆動力を生成する、電気自動車におけるモータ、若しくは、ハイブリッド自動車における補器であることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項3】
増幅対象の電圧信号と、電圧フィードバック信号とを入力し、位相補償を行いつつ増幅する電圧制御部と、
上記電圧制御部から出力された電圧信号を入力信号として電力増幅する、電流出力のディジタル電力増幅器でなる、複数の電圧制御電流源と、
上記各電圧制御電流源からの出力電流を1つの節点で合成して負荷に電力を供給する電流合成部と、
上記節点の電圧を所定の帰還率で上記電圧フィードバック信号に変換して上記電圧制御部に電圧フィードバックする電圧フィードバック部と
を備えることを特徴とする電力増幅器並列システム。
【請求項4】
上記電圧制御部の出力信号が入力される、上記各電圧制御電流源の入力段の前にそれぞれ、上記各電圧制御電流源からの出力電力を調整するように上記電圧制御部の出力信号を操作する電力比率調整器を設けたことを特徴とする請求項3に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項5】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ異なる電源を動作電源とするものであり、
上記負荷に所望の電力を供給できるように、上記各電源の電源供給状態に応じて、上記各電力比率調整器を制御して、上記各電圧制御電流源の負荷分担比率を調整させる負荷バランス調整手段を設けた
ことを特徴とする請求項4に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項6】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、
スイッチング部がフローティング電源を動作電源とするものであり、
上記スイッチング部における1対のスイッチング素子におけるスイッチング素子間の接続点に接地点を持つものであり、
当該電圧制御電流源からの出力電流に応じた電流帰還制御構成部を有するものである
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項7】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、
スイッチング部が正負電源を動作電源とするものであり、
上記スイッチング部が1対のスイッチング素子だけを備えるものであり、
当該電圧制御電流源からの出力電流に応じた電流帰還制御構成部を有するものである
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項8】
上記各電圧制御電流源のスイッチング部における正負電源が、全ての上記電圧制御電流源に共通な正負電源であることを特徴とする請求項7に記載の電力増幅器並列システム。
【請求項9】
上記各電圧制御電流源はそれぞれ、スイッチング部が正負電源を動作電源とするものであり、
単一電源を正負電源に変換する、1又は複数の単一電源/正負電源変換部を備え、いずれかの単一電源/正負電源変換部で変換された正負電源を上記各電圧制御電流源に供給する
ことを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の電力増幅器並列システム。
【請求項10】
上記各単一電源/正負電源変換部はそれぞれ、
上記単一電源による電源電圧が印加される一対の電力スイッチング素子を有するブリッジ回路と、
上記各スイッチング素子を相補的に駆動する一対のドライバと、
所定のデューティ比を有する相補的なパルス信号を生成するパルス信号生成手段と、
上記ブリッジ回路に接続された、出力が接地されているコイル及びコンデンサの梯子型接続によるローパスフィルタとを有する
ことに特徴とする請求項9に記載の電力増幅器並列システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−41271(P2010−41271A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200428(P2008−200428)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(501028699)株式会社フライングモール (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(501028699)株式会社フライングモール (13)
【Fターム(参考)】
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