説明

電動ポンプ

【課題】長期間に亘って液体の漏れを防止することができる電動ポンプを提供する。
【解決手段】電動ポンプ101は、第1ロータ108および第2ロータ109の間に配置されたステータ107と、第1ロータ108および第1送液部材133を収容しており、第1送液部材133によって送られる水が流通する第1ポンプ室C1と、第2送液部材137を収容しており、第2送液部材137によって送られるオイルが流通する第2ポンプ室C2と、第1ポンプ室C1と第2ポンプ室C2との間に介在しており、ステータ107および第2ロータ109を収容するモータ室C3と、磁力を通過させることができ、第1ロータ108に非接触であり、モータ室C3と第1ポンプ室C1とを仕切って、モータ室C3と第1ポンプ室C1との間での液体の移動を防止する第1仕切部材105とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
2つのポンプを1つの電動モータによって駆動する電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1記載の電動ポンプは、冷却水が流通する第1ポンプ室と、オイルが流通する第2ポンプ室とを備えている。電動モータの回転軸は、第1ポンプ室および第2ポンプ室を貫通している。回転軸の周囲は、複数のシール部材によってシールさている。これにより、冷却水およびオイルの漏れが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−147127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1記載の電動ポンプにおいて、電動モータの回転軸が回転すると、回転軸とシール部材とが摺動する。したがって、電動モータの回転軸に抵抗が加わり、電動モータの効率が低下する。また、回転軸とシール部材とが摺動するので、電動ポンプが長期間使用されると、たとえば摩耗の蓄積によって、シール部材が破損する場合がある。そのため、たとえば、冷却水およびオイルが漏れて、電動ポンプ内で冷却水とオイルとが混ざるおそれがある。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、長期間に亘って液体の漏れを防止することができる電動ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明は、2つのポンプ(102、103)を1つの電動モータ(104)によって駆動する電動ポンプであって、回転軸線(L1)まわりに回転可能であり、前記回転軸線に沿う方向(X1)に間隔を空けて配置された第1ロータ(108)および第2ロータ(109)と、前記第1ロータおよび第2ロータの間に配置されており、磁力によって前記第1ロータおよび第2ロータを回転させるステータ(107)と、前記第1ロータに連結されており、前記第1ロータの回転が伝達される第1送液部材(133)と、前記第2ロータに連結されており、前記第2ロータの回転が伝達される第2送液部材(137)と、前記第1ロータおよび第1送液部材を収容しており、前記第1送液部材によって送られる第1の液体が流通する第1ポンプ室(C1)と、前記第2送液部材を収容しており、前記第2送液部材によって送られる第2の液体が流通する第2ポンプ室(C2)と、前記第1ポンプ室と前記第2ポンプ室との間に介在しており、前記ステータおよび第2ロータを収容するモータ室(C3)と、磁力を通過させることができ、前記第1ロータに非接触であり、前記モータ室と前記第1ポンプ室とを仕切って、前記モータ室と前記第1ポンプ室との間での液体の移動を防止する第1仕切部材(105)とを含む、電動ポンプ(101、201)である。
【0007】
この発明によれば、第1の液体が流通する第1ポンプ室と、第2の液体が流通する第2ポンプ室との間に、モータ室が介在している。モータ室および第1ポンプ室は、第1仕切部材によって仕切られている。したがって、モータ室と第1ポンプ室との間での液体の移動を防止することができる。そのため、第1ポンプ室から第1の液体が漏れることを防止することができる。これにより、電動ポンプ内で第1の液体と第2の液体とが混ざることを防止することができる。
【0008】
また、第1仕切部材は、第1ロータに非接触であるから、第1ロータが回転したときに、第1仕切部材と第1ロータとが摺動しない。したがって、第1仕切部材と第1ロータとの摺動によって第1仕切部材が破損することはない。そのため、電動ポンプが長期間使用されたとしても、第1仕切部材の破損によって第1ポンプ室から第1の液体が漏れることはない。さらに、第1仕切部材と第1ロータとが摺動しないから、第1仕切部材から第1ロータに抵抗が加わらない。したがって、電動モータの効率の低下を防止することができる。
【0009】
さらに、ステータがモータ室に配置されており、第1ロータが第1ポンプ室に配置されているので、ステータおよび第1ロータが第1仕切部材によって仕切られている。しかし、第1仕切部材は磁力を通過させることができるので、ステータと第1ロータとの間での磁気的な結合が維持される。そのため、第1ロータは、ステータと第1ロータとの間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、第1送液部材を回転させて、第1の液体を送ることができる。
【0010】
前記電動ポンプは、前記第2ポンプ室と前記モータ室とを接続しており、前記第2ポンプ室から前記モータ室に供給される第2の液体が流通する供給流路(245)と、前記第2ポンプ室と前記モータ室とを接続しており、前記モータ室から前記第2ポンプ室に排出される第2の液体が流通する排出流路(246)とをさらに含んでいてもよい。
この場合、第2ポンプ室とモータ室とが、供給流路および排出流路によって接続されている。第2送液部材の回転によって第2ポンプ室から吐出される第2の液体の一部は、供給流路を通ってモータ室に供給される。また、第2送液部材の回転によって発生する吸引力は、排出流路を介してモータ室に伝達される。そのため、モータ室に供給された第2の液体は、排出流路を通ってモータ室から第2ポンプ室に排出される。このように、第2送液部材が回転駆動されることにより、第2の液体がモータ室を流通し、ステータなどのモータ室に収容された部材が第2の液体によって冷却される。これにより、電動ポンプの温度上昇を抑制することができる。
【0011】
また、前記電動ポンプは、磁力を通過させることができ、前記第2ロータに非接触であり、前記ステータを収容するステータ収容室(C4)と前記第2ロータを収容するロータ収容室(C5)とに前記モータ室を仕切って、前記ステータ収容室と前記ロータ収容室との間での液体の移動を防止する第2仕切部材(242)とをさらに含み、前記供給流路は、前記第2ポンプ室と前記ステータ収容室とを接続しており、前記排出流路は、前記第2ポンプ室と前記ステータ収容室とを接続していてもよい。
【0012】
この場合、モータ室が、第2仕切部材によって、ステータ収容室とロータ収容室に仕切られている。ステータは、ステータ収容室に収容されており、第2ロータは、ロータ収容室に収容されている。第2ポンプ室とステータ収容室とは、供給流路および排出流路によって接続されている。したがって、第2送液部材の回転に伴って、第2の液体が第2ポンプ室からステータ収容室に供給される。そのため、発熱量の大きいステータが確実に冷却される。これにより、電動ポンプの温度上昇が抑制される。
【0013】
一方、ステータ収容室とロータ収容室とが第2仕切部材によって仕切られているので、ロータ収容室には第2の液体が供給されない。そのため、第2ロータが回転したときに、第2の液体から第2ロータに抵抗が加わらない。さらに、第2仕切部材が第2ロータに非接触だから、第2ロータが回転したときに、第2仕切部材から第2ロータに抵抗が加わらない。したがって、電動モータの効率の低下を防止することができる。
【0014】
さらにまた、ステータがステータ収容室に配置されており、第2ロータがロータ収容室に配置されているので、ステータおよび第2ロータが第2仕切部材によって仕切られている。しかし、第2仕切部材は磁力を通過させることができるので、ステータと第2ロータとの間での磁気的な結合が維持される。そのため、第2ロータは、ステータと第2ロータとの間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、第2送液部材を回転させて、第2の液体を送ることができる。
【0015】
また、前記第1仕切部材は、非磁性材料によって形成されていてもよい。同様に、前記第2仕切部材は、非磁性材料によって形成されていてもよい。すなわち、第1仕切部材および第2仕切部材が、強磁性材料以外の材料によって形成されていてもよい。
第1仕切部材は、第1ロータとステータとの間に介在しており、第2仕切部材は、第2ロータとステータとの間に介在している。ステータに電力が供給された場合や、第1ロータおよび第2ロータが回転軸線まわりに回転した場合には、第1ロータとステータとの間、および第2ロータとステータとの間の磁界が変化する。しかし、第1仕切部材および第2仕切部材が、非磁性材料によって形成されている場合、このように磁界が変化したとしても、第1仕切部材および第2仕切部材は、磁気を帯びない。したがって、第1仕切部材から第1ロータに磁気的な抵抗が加わらず、第2仕切部材から第2ロータに磁気的な抵抗が加わらない。そのため、電動モータの効率の低下を防止することができる。
【0016】
なお、前記において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電動ポンプが備えられた自動車の模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電動ポンプの断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う電動ポンプの断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV線に沿う電動ポンプの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電動ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動ポンプ101が備えられた自動車1の模式図である。
自動車1は、エンジン2およびモータ3を備えるハイブリッドカーである。自動車1は、前輪4および後輪5と、前輪4を駆動させるエンジン2およびモータ3と、発電機6とを含む。エンジン2は、動力分割機構7および減速機8を介して駆動軸9に連結されている。左右一対の前輪4は、それぞれ、駆動軸9の一端部および他端部に連結されている。また、発電機6は、動力分割機構7に連結されている。動力分割機構7は、たとえば、遊星歯車機構である。発電機6は、交流モータである。発電機6は、コントロールユニット10に接続されている。発電機6が発電した電力は、コントロールユニット10に供給される。
【0019】
また、モータ3は、減速機8を介して駆動軸9に連結されている。さらに、モータ3は、コントロールユニット10に接続されている。コントロールユニット10は、バッテリ11に接続されている。バッテリ11は、直流電源であり、モータ3は、交流モータである。図示はしないが、コントロールユニット10は、インバータを含む。バッテリ11に蓄えられた電力は、コントロールユニット10によって交流に変換されて、モータ3に供給される。これにより、モータ3が駆動される。
【0020】
エンジン2の動力の一部は、動力分割機構7および減速機8を介して駆動軸9に伝達される。これにより、2つの前輪4が駆動される。また、エンジン2の動力の一部は、動力分割機構7を介して発電機6に伝達される。これにより、発電機6が駆動され、発電機6が発電する。発電機6が発電した電力は、コントロールユニット10を介して、モータ3またはバッテリ11に供給される。
【0021】
一方、モータ3の動力は、減速機8を介して駆動軸9に伝達される。また、たとえば自動車1の減速時には、前輪4の回転が駆動軸9および減速機8を介してモータ3に伝達される。これにより、モータ3が発電機として機能して発電する。モータ3が発電した電力は、コントロールユニット10によって直流に変換され、バッテリ11に供給される。これにより、バッテリ11が充電される。
【0022】
また、自動車1は、電動ポンプ101を含む。電動ポンプ101は、冷却水(第1の液体)を吸い込んで、吸い込んだ冷却水を吐出する。さらに、電動ポンプ101は、オイル(第2の液体)を吸い込んで、吸い込んだオイルを吐出する。電動ポンプ101から吐出された冷却水は、ラジエータ14を通って冷却され、コントロールユニット10に供給される。これにより、コントロールユニット10が冷却される。コントロールユニット10に供給された冷却水は、冷却水循環流路12を通って再び電動ポンプ101に吸い込まれる。一方、電動ポンプ101から吐出されたオイルは、モータ3および発電機6に供給される。これにより、モータ3および発電機6が冷却される。モータ3および発電機6に供給されたオイルは、オイル循環流路13を通って再び電動ポンプ101に吸い込まれる。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態に係る電動ポンプ101の断面図である。また、図3は、図2におけるIII−III線に沿う電動ポンプ101の断面図である。図4は、図2におけるIV−IV線に沿う電動ポンプ101の断面図である。
電動ポンプ101は、ウォーターポンプ102およびオイルポンプ103と、2つのポンプ102、103を駆動する電動モータ104と、電動ポンプ101の内部を仕切る第1仕切プレート105(第1仕切部材)とを含む。電動モータ104は、ウォーターポンプ102およびオイルポンプ103の間に配置されている。電動モータ104は、モータハウジング106と、ステータ107と、第1ロータ108および第2ロータ109とを含む。さらに、電動モータ104は、スリーブ110と、第1回転軸111および第2回転軸112と、第1軸受113および第2軸受114とを含む。
【0024】
モータハウジング106は、筒状である。モータハウジング106は、モータハウジング106の内部に形成されたモータ室C3を有している。ステータ107、第2ロータ109、およびスリーブ110は、モータ室C3に収容されている。ステータ107は、モータハウジング106内に嵌合されている。モータハウジング106は、ステータ107を同心円状に取り囲んでいる。ステータ107は、たとえば圧入によって、モータハウジング106に保持されている。また、スリーブ110は、筒状のステータ107内に嵌合されている。ステータ107は、スリーブ110を同心円状に取り囲んでいる。スリーブ110は、たとえば圧入によって、ステータ107に保持されている。
【0025】
ステータ107は、筒状のコア115と、コア115に巻き付けられた複数のコイル116とを含む。第1ロータ108および第2ロータ109は、ステータ107の軸方向X1(回転軸線に沿う方向)に間隔を空けて配置されている。ステータ107は、第1ロータ108および第2ロータ109の間に配置されている。第1回転軸111および第2回転軸112は、それぞれ、第1ロータ108および第2ロータ109に連結されている。第1ロータ108および第2ロータ109は、ステータ107の中心軸線L1(回転軸線)まわりに回転可能である。第1回転軸111は、第1ロータ108と共に回転し、第2回転軸112は、第2ロータ109と共に回転する。第1仕切プレート105の一部は、ステータ107と第1ロータ108との間に配置されており、ステータ107と第1ロータ108との間を仕切っている。第1仕切プレート105は、ステータ107および第1ロータ108に非接触である。
【0026】
図3に示すように、コア115は、たとえば、複数の被保持部117と、複数(たとえば、複数の被保持部117と同数)の保持部118と、複数の巻き付け部119と、筒状部120とを含む。各被保持部117は、筒状部120の外周面から外方に突出している。複数の被保持部117は、筒状部120の周方向にたとえば等間隔を空けて配列されている。また、各保持部118は、筒状部120の内周面から内方に突出している。複数の保持部118は、筒状部120の周方向にたとえば等間隔を空けて配列されている。また、図2に示すように、各巻き付け部119は、筒状部120の一端面から軸方向X1に突出する第1突出部121と、筒状部120の他端面から軸方向X1に突出する第2突出部122とを含む。複数の第1突出部121は、筒状部120の周方向にたとえば等間隔を空けて配列されており、複数の第2突出部122は、筒状部120の周方向にたとえば等間隔を空けて配列されている。
【0027】
複数のコイル116は、複数の第1突出部121および第2突出部122に巻き付けられている。各巻き付け部119の第1突出部121および第2突出部122は、たとえば、軸方向X1に沿って直線状に配列されている。また、複数の被保持部117は、それぞれ、複数の保持部118に対応している。対の被保持部117および保持部118は、たとえば、ステータ107の径方向に沿って直線状に配列されている。各被保持部117は、モータハウジング106の内周面に接触している。コア115は、各被保持部117とモータハウジング106との接触によって、モータハウジング106に保持されている。また、各保持部118は、スリーブ110の外周面に接触している。コア115は、各保持部118とスリーブ110との接触によって、スリーブ110を保持している。
【0028】
第1ロータ108および第2ロータ109は、それぞれ、円板状である。第1ロータ108および第2ロータ109は、円板状のマグネット(永久磁石)であってもよいし、円板状のヨークに複数のマグネット(永久磁石)が保持されたものであってもよい。第1実施形態では、第1ロータ108および第2ロータ109は、円板状のマグネットである。第1ロータ108は、N極とS極とが交互に入れ替わるように第1ロータ108の周方向に配列された複数の磁極を有している。同様に、第2ロータ109は、N極とS極とが交互に入れ替わるように第2ロータ109の周方向に配列された複数の磁極を有している。第1ロータ108および第2ロータ109は、平行に配置されている。第1ロータ108および第2ロータ109は、たとえば、互いに等しい大きさを有している。第1ロータ108は、第1ロータ108の中央部を軸方向X1に貫通する貫通孔を含む。同様に、第2ロータ109は、第2ロータ109の中央部を軸方向X1に貫通する貫通孔を含む。
【0029】
第1仕切プレート105は、たとえば、非磁性材料によって形成されている。非磁性材料は、強磁性材料でない材料であり、たとえば、SUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼や、アルミ材(アルミを含む材料)を含む。第1仕切プレート105は、磁力を通過させることができる。第1仕切プレート105は、概ね円筒状である。第1仕切プレート105とステータ107とは同軸である。第1仕切プレート105は、平板部123、円筒部124、および閉塞部125を含む。平板部123および閉塞部125は、それぞれ円板状である。平板部123は、円筒部124の一端部から円筒部124の中心軸線に直交する方向に沿って外方に延びている。また、閉塞部125は、円筒部124の他端部を塞いでいる。円筒部124は、円筒状のスリーブ110内に嵌合されている。円筒部124は、たとえば圧入によって、スリーブ110に保持されている。また、スリーブ110の一端部は、平板部123の内周部に接触している。第1仕切プレート105は、スリーブ110によって軸方向X1に位置決めされている。
【0030】
第1回転軸111は、第1支持部126と、第1ロータ連結部127と、第1送液部材連結部128とを含む。第1支持部126は、第1軸受113内に嵌合されている。第1軸受113は、第1仕切プレート105の円筒部124内に嵌合されている。第1軸受113は、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよい。第1実施形態では、第1軸受113は、すべり軸受である。第1軸受113は、第1仕切プレート105によって保持されている。第1支持部126は、閉塞部125に接触しない位置で第1軸受113によって支持されている。また、第1ロータ連結部127は、第1ロータ108内に嵌合されている。第1ロータ連結部127は、たとえば圧入によって、一体回転可能に第1ロータ108に連結されている。また、第1送液部材連結部128は、後述する羽根車133内に嵌合されている。第1送液部材連結部128は、たとえば圧入によって、一体回転可能に羽根車133に連結されている。
【0031】
第2回転軸112は、第2支持部129と、第2ロータ連結部130と、第2送液部材連結部131とを含む。第2支持部129は、第2軸受114内に嵌合されている。第2軸受114は、スリーブ110内に嵌合されている。第2軸受114は、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよい。第1実施形態では、第2軸受114は、すべり軸受である。第2軸受114は、スリーブ110によって保持されている。したがって、第2支持部129は、第2軸受114によって支持されている。また、第2ロータ連結部130は、第2ロータ109内に嵌合されている。第2ロータ連結部130は、たとえば圧入によって、一体回転可能に第2ロータ109に連結されている。また、第2送液部材連結部131は、後述するインナーロータ137内に嵌合されている。第2送液部材連結部131は、たとえば圧入によって、一体回転可能にインナーロータ137に連結されている。
【0032】
ウォーターポンプ102は、たとえば、遠心ポンプである。ウォーターポンプ102は、第1ハウジング132と、羽根車133(第1送液部材)とを含む。第1ハウジング132は、第1仕切プレート105と共に、第1ポンプ室C1を形成している。第1ハウジング132は、第1ポンプ室C1に接続された第1吸入口134と、第1ポンプ室C1に接続された第1吐出口135とを有している。羽根車133は、第1ポンプ室C1に収容されている。さらに、第1ロータ108、第1回転軸111、および第1軸受113は、第1ポンプ室C1に収容されている。第1仕切プレート105は、モータ室C3および第1ポンプ室C1を仕切っており、モータ室C3と第1ポンプ室C1との間での液体の移動を防止する。第1ロータ108の回転が羽根車133に伝達されると、羽根車133の回転によって、冷却水が、第1吸入口134を介して第1ポンプ室C1に吸い込まれる。そして、第1ポンプ室C1に吸い込まれた冷却水は、羽根車133の回転によって、第1ポンプ室C1から排出され、第1吐出口135から吐出される。
【0033】
オイルポンプ103は、たとえば、トロコイドポンプである。オイルポンプ103は、第2ハウジング136と、インナーロータ137(第2送液部材)と、アウターロータ138とを含む。第2ハウジング136は、第2ハウジング136の内部に形成された第2ポンプ室C2と、第2ポンプ室C2に接続された第2吸入口139と、第2ポンプ室C2に接続された第2吐出口140とを有している。インナーロータ137およびアウターロータ138は、第2ポンプ室C2に収容されている。図4に示すように、第2ポンプ室C2は、インナーロータ137およびアウターロータ138の相対回転によってオイルが吸引される吸引領域T1と、インナーロータ137およびアウターロータ138の相対回転によってオイルが吐出される吐出領域T2とを含む。第2吸入口139および第2吐出口140は、それぞれ、吸引領域T1および吐出領域T2に接続されている。第2ロータ109の回転がインナーロータ137に伝達されると、インナーロータ137およびアウターロータ138が相対回転し、オイルが、第2吸入口139を介して第2ポンプ室C2に吸い込まれる。そして、第2ポンプ室C2に吸い込まれたオイルは、インナーロータ137およびアウターロータ138の相対回転によって、第2ポンプ室C2から排出され、第2吐出口140から吐出される。
【0034】
3つのハウジング106、132、136は、第1ハウジング132、モータハウジング106、第2ハウジング136の順番で、軸方向X1に配列されている。また、3つのハウジング106、132、136は、図示しないボルトなどの連結部材によって連結されている。第1仕切プレート105の平板部123は、第1ハウジング132とモータハウジング106との間に介在している。第1ハウジング132と第1仕切プレート105との間の隙間は、シール部材141によってシールされており、モータハウジング106と第1仕切プレート105との間の隙間は、シール部材141によってシールされている。また、第1ハウジング132とモータハウジング106との間の隙間は、シール部材141によってシールされている。シール部材141としては、たとえば、Oリングが挙げられる。
【0035】
複数のコイル116に電流が供給されると、ステータ107が磁気を帯びる。第2ロータ109は、ステータ107と第2ロータ109との間で働く磁力によって回転駆動される。また、第1仕切プレート105の平板部123が、ステータ107と第1ロータ108との間に配置されているが、第1仕切プレート105は、磁力を通過させることができるから、第1ロータ108は、ステータ107と第1ロータ108との間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、第1ロータ108および第2ロータ109の回転が、それぞれ、羽根車133およびインナーロータ137に伝達される。そのため、冷却水が第1ポンプ室C1に吸い込まれ、吸い込まれた冷却水が第1ポンプ室C1から排出される。また、冷却水の吸入および排出が行われるのと同時に、オイルが第2ポンプ室C2に吸い込まれ、吸い込まれたオイルが第2ポンプ室C2から排出される。これにより、2つのポンプ102、103が電動モータ104によって同時に駆動され、冷却水およびオイルが電動ポンプ101から同時に吐出される。
【0036】
以上のように第1実施形態では、2つのポンプ102、103が1つの電動モータ104によって同時に駆動され、冷却水およびオイルが電動ポンプ101から同時に吐出される。これにより、冷却水が、コントロールユニット10(図1参照)に供給され、それと同時に、オイルが、モータ3(図1参照)に供給される。コントロールユニット10に設けられたインバータは、バッテリ11の直流電流を交流電流に変換して、モータ3に供給する。インバータおよびモータ3は、通電によって同時期に発熱する。したがって、インバータだけ、またはモータ3だけを冷却するために2つのポンプ102、103を駆動しなくてもよい。これにより、電動ポンプ101のエネルギの消費量を抑制することができる。
【0037】
また第1実施形態では、冷却水が流通する第1ポンプ室C1と、オイルが流通する第2ポンプ室C2との間に、モータ室C3が介在している。モータ室C3および第1ポンプ室C1は、第1仕切プレート105によって仕切られている。したがって、モータ室C3と第1ポンプ室C1との間での液体の移動を防止することができる。そのため、第1ポンプ室C1から冷却水が漏れることを防止することができる。これにより、電動ポンプ101内で冷却水とオイルとが混ざることを防止することができる。
【0038】
また、第1仕切プレート105は、第1ロータ108に非接触であるから、第1ロータ108が回転したときに、第1仕切プレート105と第1ロータ108とが摺動しない。したがって、第1仕切プレート105と第1ロータ108との摺動によって第1仕切プレート105が破損することはない。そのため、電動ポンプ101が長期間使用されたとしても、第1仕切プレート105の破損によって第1ポンプ室C1から冷却水が漏れることはない。さらに、第1仕切プレート105と第1ロータ108とが摺動しないから、第1仕切プレート105から第1ロータ108に抵抗が加わらない。したがって、電動モータ104の効率の低下を防止することができる。
【0039】
さらに、ステータ107がモータ室C3に配置されており、第1ロータ108が第1ポンプ室C1に配置されているので、ステータ107および第1ロータ108が第1仕切プレート105によって仕切られている。しかし、第1仕切プレート105は磁力を通過させることができるので、ステータ107と第1ロータ108との間での磁気的な結合が維持される。そのため、第1ロータ108は、ステータ107と第1ロータ108との間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、ウォーターポンプ102の羽根車133を回転させて、冷却水を送ることができる。
【0040】
また第1実施形態では、第1仕切プレート105が、非磁性材料、つまり強磁性材料以外の材料によって形成されている。第1仕切プレート105は、第1ロータ108とステータ107との間に介在している。ステータ107に電力が供給された場合や、第1ロータ108が回転軸線L1まわりに回転した場合には、第1ロータ108とステータ107との間の磁界が変化する。しかし、第1仕切プレート105が、非磁性材料によって形成されているので、このように磁界が変化したとしても、第1仕切プレート105は、磁気を帯びない。したがって、第1仕切プレート105から第1ロータ108に磁気的な抵抗が加わらない。そのため、電動モータ104の効率の低下を防止することができる。
【0041】
図5は、本発明の第2実施形態に係る電動ポンプ201の断面図である。この図5において、前述の図1〜図4に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、モータ室C3が、第2仕切プレート242によって、ステータ収容室C4とロータ収容室C5とに仕切られており、ステータ収容室C4にオイルが供給されることである。
【0042】
具体的には、電動ポンプ201は、電動ポンプ201の内部を仕切る第2仕切プレート242(第2仕切部材)を含む。第2仕切プレート242は、たとえば、非磁性材料によって形成されている。第2仕切プレート242は、磁力を通過させることができる。第2仕切プレート242とステータ107とは同軸である。第2仕切プレート242は、第1仕切プレート105と同様の形状を有している。すなわち、第2仕切プレート242は、平板部123、円筒部124、および閉塞部125を含む。第2仕切プレート242の平板部123は、ステータ107と第2ロータ109との間に配置されており、ステータ107と第2ロータ109との間を仕切っている。第2仕切プレート242は、ステータ107および第2ロータ109に非接触である。スリーブ110の他端部は、第2仕切プレート242の平板部123の内周部に接触している。第2仕切プレート242は、スリーブ110によって軸方向X1に位置決めされている。また、第2仕切プレート242の円筒部124は、第1仕切プレート105の円筒部124とは反対側からスリーブ110内に嵌合されている。第1仕切プレート105の閉塞部125と第2仕切プレート242の閉塞部125とは、軸方向X1に間隔を空けて対向している。
【0043】
電動モータ204は、第2軸受214と、第1モータハウジング243と、第2モータハウジング244とを含む。第2軸受214は、第2仕切プレート242の円筒部124内に嵌合されている。第2軸受214は、第2仕切プレート242によって保持されている。第2回転軸112の第2支持部129は、第2仕切プレート242の閉塞部125に接触しない位置で第2軸受214によって支持されている。また、第1モータハウジング243および第2モータハウジング244は、それぞれ筒状である。第1モータハウジング243および第2モータハウジング244は、ステータ107および第2ロータ109を収容するモータ室C3を形成している。第2仕切プレート242は、このモータ室C3をステータ収容室C4とロータ収容室C5とに仕切っており、ステータ収容室C4とロータ収容室C5との間での液体の移動を防止する。ステータ107は、ステータ収容室C4に収容されており、第2ロータ109は、ロータ収容室C5に収容されている。
【0044】
4つのハウジング132、136、243、244は、第1ハウジング132、第1モータハウジング243、第2モータハウジング244、第2ハウジング136の順番で、軸方向X1に配列されている。また、4つのハウジング132、136、243、244は、図示しないボルトなどの連結部材によって連結されている。第1仕切プレート105の平板部123は、第1ハウジング132と第1モータハウジング243との間に介在している。また、第2仕切プレート242の平板部123は、第1モータハウジング243と第2モータハウジング244との間に介在している。第1ハウジング132と第1仕切プレート105との間の隙間は、シール部材141によってシールされており、第1モータハウジング243と第1仕切プレート105との間の隙間は、シール部材141によってシールされている。また、第1モータハウジング243と第2仕切プレート242との間の隙間は、シール部材141によってシールされており、第2モータハウジング244と第2仕切プレート242との間の隙間は、シール部材141によってシールされている。さらに、第2モータハウジング244と第2ハウジング136との間の隙間は、シール部材141によってシールされている。
【0045】
複数のコイル116に電流が供給されると、ステータ107が磁気を帯びる。第1仕切プレート105の平板部123が、ステータ107と第1ロータ108との間に配置されているが、第1仕切プレート105は、磁力を通過させることができるから、第1ロータ108は、ステータ107と第1ロータ108との間で働く磁力によって回転駆動される。同様に、第2仕切プレート242の平板部123が、ステータ107と第2ロータ109との間に配置されているが、第2仕切プレート242は、磁力を通過させることができるから、第2ロータ109は、ステータ107と第2ロータ109との間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、第1ロータ108および第2ロータ109の回転が、それぞれ、羽根車133およびインナーロータ137に伝達される。そのため、冷却水が第1ポンプ室C1に吸い込まれ、吸い込まれた冷却水が第1ポンプ室C1から排出される。また、冷却水の吸入および排出が行われるのと同時に、オイルが第2ポンプ室C2に吸い込まれ、吸い込まれたオイルが第2ポンプ室C2から排出される。これにより、2つのポンプ102、103が電動モータ204によって同時に駆動され、冷却水およびオイルが電動ポンプ201から同時に吐出される。
【0046】
また、電動ポンプ201は、第2ポンプ室C2とステータ収容室C4とを接続する供給流路245と、第2ポンプ室C2とステータ収容室C4とを接続する排出流路246とを含む。インナーロータ137が回転駆動されると、オイルが第2ポンプ室C2に吸い込まれ、この吸い込まれたオイルの一部が、供給流路245を通って、第2ポンプ室C2からステータ収容室C4に供給される。そして、ステータ収容室C4に供給されたオイルは、排出流路246を通って、ステータ収容室C4から第2ポンプ室C2に排出される。供給流路245は、第1モータハウジング243に形成された第1接続路247と、第2仕切プレート242に形成された接続孔248と、第2モータハウジング244に形成された第2接続路249および供給口250とを含む。また、排出流路246は、第1モータハウジング243に形成された第1接続路251と、第2仕切プレート242に形成された接続孔252と、第2モータハウジング244に形成された第2接続路253および排出口254とを含む。
【0047】
供給口250および排出口254は、第2モータハウジング244の端部に形成されている。供給口250および排出口254は、たとえば、軸方向X1に凹む凹部である。供給口250および排出口254は、それぞれ独立しており、直接的に繋がっていない。供給口250および排出口254は、インナーロータ137およびアウターロータ138に対向している。供給口250は、第2ポンプ室C2の吐出領域T2(図4参照)に接続されており、排出口254は、第2ポンプ室C2の吸引領域T1(図4参照)に接続されている。したがって、インナーロータ137が回転駆動されると、オイルを吐出する吐出圧が供給口250に加わり、オイルを吸引する吸引力が排出口254に加わる。
【0048】
供給流路245の第2接続路249は、供給口250に接続されている。第2接続路249は、たとえば、供給口250から第2モータハウジング244の端部に沿ってステータ107の径方向に延びる溝255と、溝255から軸方向X1に延びる貫通孔256とを含む。貫通孔256は、第2モータハウジング244を軸方向X1に貫通している。貫通孔256は、第2仕切プレート242に形成された接続孔248に接続されている。接続孔248は、軸方向X1に第2仕切プレート242を貫通しており、第1モータハウジング243に形成された第1接続路247に接続されている。第1接続路247は、たとえば、第1モータハウジング243の端部に沿ってステータ107の径方向に延びる溝である。第1接続路247は、ステータ収容室C4に接続されている。
【0049】
一方、排出流路246の第2接続路253は、排出口254に接続されている。第2接続路253は、たとえば、排出口254から第2モータハウジング244の端部に沿ってステータ107の径方向に延びる溝257と、溝257から軸方向X1に延びる貫通孔258とを含む。貫通孔258は、第2モータハウジング244を軸方向X1に貫通している。貫通孔258は、第2仕切プレート242に形成された接続孔252に接続されている。接続孔252は、軸方向X1に第2仕切プレート242を貫通しており、第1モータハウジング243に形成された第1接続路251に接続されている。第1接続路251は、たとえば、第1モータハウジング243の端部に沿ってステータ107の径方向に延びる溝である。第1接続路251は、ステータ収容室C4に接続されている。供給流路245の第1接続路247と排出流路246の第1接続路251とは、たとえばステータ107の中心軸線L1まわりに180度離れた位置でステータ収容室C4に接続されている。
【0050】
インナーロータ137が回転駆動され、インナーロータ137およびアウターロータ138が相対回転すると、第2ポンプ室C2に吸い込まれたオイルの一部が供給口250に供給され、オイルを吐出する吐出圧が供給口250に加わる。したがって、供給口250に供給されたオイルは、第2接続路249、接続孔248、および第1接続路247を通ってステータ収容室C4に供給される。ステータ収容室C4に供給されたオイルは、スリーブ110の周囲を通ってステータ収容室C4に広がる。これにより、ステータ収容室C4がオイルによって満たされる。そのため、ステータ107などのステータ収容室C4に収容された部材がオイルによって冷却される。
【0051】
一方、インナーロータ137が回転駆動され、インナーロータ137およびアウターロータ138が相対回転すると、オイルを吸引する吸引力が排出口254に加わる。この吸引力は、第2接続路253、接続孔252、および第1接続路251を通ってステータ収容室C4に伝達される。したがって、ステータ収容室C4に供給されたオイルは、第1接続路251内に吸引され、第2接続路253、接続孔252、および第1接続路251を通って、ステータ収容室C4から第2ポンプ室C2に排出される。そのため、インナーロータ137が回転している状態では、オイルがステータ収容室C4を流れ続け、ステータ107などのステータ収容室C4に収容された部材が冷却され続ける。
【0052】
以上のように第2実施形態では、モータ室C3が、第2仕切プレート242によって、ステータ収容室C4とロータ収容室C5とに仕切られている。第2ポンプ室C2とステータ収容室C4とは、供給流路245および排出流路246によって接続されている。インナーロータ137が回転駆動されることにより、オイルがステータ収容室C4を流通し、発熱量の大きいステータ107を含むステータ収容室C4に収容された部材がオイルによって冷却される。これにより、電動ポンプ201の温度上昇を抑制することができる。さらに、絶縁性の液体(オイル)がステータ収容室C4に供給されるから、短絡を防止しつつ電動ポンプ201の温度上昇を抑制できる。
【0053】
一方、ステータ収容室C4とロータ収容室C5とが第2仕切プレート242によって仕切られているので、ロータ収容室C5にはオイルが供給されない。そのため、第2ロータ109が回転したときに、オイルから第2ロータ109に抵抗が加わらない。さらに、第2仕切プレート242が第2ロータ109に非接触だから、第2ロータ109が回転したときに、第2仕切プレート242から第2ロータ109に抵抗が加わらない。したがって、電動モータ204の効率の低下を防止することができる。
【0054】
さらにまた、ステータ107および第2ロータ109が第2仕切プレート242によって仕切られているが、第2仕切プレート242は磁力を通過させることができるので、ステータ107と第2ロータ109との間での磁気的な結合が維持される。そのため、第2ロータ109は、ステータ107と第2ロータ109との間で働く磁力によって回転駆動される。これにより、インナーロータ137を回転させて、オイルを送ることができる。
【0055】
また第2実施形態では、第1仕切プレート105に加えて、第2仕切プレート242が、非磁性材料、つまり強磁性材料以外の材料によって形成されている。第2仕切プレート242は、第2ロータ109とステータ107との間に介在している。ステータ107に電力が供給された場合や、第2ロータ109が回転軸線L1まわりに回転した場合には、第2ロータ109とステータ107との間の磁界が変化する。しかし、第2仕切プレート242が、非磁性材料によって形成されているので、このように磁界が変化したとしても、第2仕切プレート242は、磁気を帯びない。したがって、第2仕切プレート242から第2ロータ109に磁気的な抵抗が加わらない。そのため、電動モータ204の効率の低下を防止することができる。
【0056】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1および第2実施形態では、電動モータによって駆動される2つのポンプのうち、一方のポンプが遠心ポンプであり、他方のポンプがトロコイドポンプである場合について説明した。しかし、各ポンプは、ベーンポンプなどの遠心ポンプやトロコイドポンプ以外のポンプであってもよい。また、電動モータによって駆動される2つのポンプは、互いに異なる形式のポンプであってもよいし、同じ形式のポンプであってもよい。
【0057】
また、前述の第1および第2実施形態では、第1の液体が冷却水であり、第2の液体がオイルである場合について説明した。しかし、第1の液体は、水を含む液体に限らず、オイルを含む液体であってもよいし、その他の液体であってもよい。同様に、第2の液体は、オイルを含む液体に限らず、水を含む液体であってもよいし、その他の液体であってもよい。
【0058】
また、前述の第1および第2実施形態では、第1仕切プレートの全体が非磁性材料によって形成されている場合について説明した。しかし、第1仕切プレートは、少なくともステータと第1ロータとの間に位置する部分が非磁性材料によって形成されていればよい。同様に、第2仕切プレートは、少なくともステータと第2ロータとの間に位置する部分が非磁性材料によって形成されていればよい。その場合、第1仕切プレートおよび第2仕切プレートの他の部分は、磁性材料によって形成されていてもよい。
【0059】
また、前述の第2実施形態では、モータ室が第2仕切プレートによってステータ収容室とロータ収容室とに仕切られている場合について説明した。しかし、第2仕切プレートが備えられておらず、モータ室が、ステータ収容室とロータ収容室とに仕切られていなくてもよい。この場合、モータ室にオイルが供給されるので、第2ロータが回転したときに、オイルから第2ロータに抵抗が加わるが、オイルがステータに供給されるので、電動ポンプの温度上昇を抑制することができる。
【0060】
また、前述の第2実施形態では、第2ポンプ室C2とステータ収容室C4とが、供給流路245および排出流路246によって接続されており、第2ポンプ室C2からステータ収容室C4にオイルが供給される場合について説明した。しかし、第1ポンプ室C1とステータ収容室C4とが、供給流路および排出流路によって接続されており、第1ポンプ室C1からステータ収容室C4に冷却水が供給されることにより、冷却水によってステータ107が冷却されてもよい。冷却水は通電性の液体であるから、この場合、ステータ107全体に絶縁処理を施すことが好ましい。
【0061】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0062】
101・・・電動ポンプ、102・・・ウォーターポンプ、103・・・オイルポンプ、104・・・電動モータ、105・・・第1仕切プレート(第1仕切部材)、107・・・ステータ、108・・・第1ロータ、109・・・第2ロータ、133・・・羽根車(第1送液部材)、137・・・インナーロータ(第2送液部材)、201・・・電動ポンプ、242・・・第2仕切プレート(第2仕切部材)、245・・・供給流路、246・・・排出流路、C1・・・第1ポンプ室、C2・・・第2ポンプ室、C3・・・モータ室、C4・・・ステータ収容室、C5・・・ロータ収容室、L1・・・回転軸線、X1・・・軸方向(回転軸線に沿う方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのポンプを1つの電動モータによって駆動する電動ポンプであって、
回転軸線まわりに回転可能であり、前記回転軸線に沿う方向に間隔を空けて配置された第1ロータおよび第2ロータと、
前記第1ロータおよび第2ロータの間に配置されており、磁力によって前記第1ロータおよび第2ロータを回転させるステータと、
前記第1ロータに連結されており、前記第1ロータの回転が伝達される第1送液部材と、
前記第2ロータに連結されており、前記第2ロータの回転が伝達される第2送液部材と、
前記第1ロータおよび第1送液部材を収容しており、前記第1送液部材によって送られる第1の液体が流通する第1ポンプ室と、
前記第2送液部材を収容しており、前記第2送液部材によって送られる第2の液体が流通する第2ポンプ室と、
前記第1ポンプ室と前記第2ポンプ室との間に介在しており、前記ステータおよび第2ロータを収容するモータ室と、
磁力を通過させることができ、前記第1ロータに非接触であり、前記モータ室と前記第1ポンプ室とを仕切って、前記モータ室と前記第1ポンプ室との間での液体の移動を防止する第1仕切部材とを含む、電動ポンプ。
【請求項2】
前記第2ポンプ室と前記モータ室とを接続しており、前記第2ポンプ室から前記モータ室に供給される第2の液体が流通する供給流路と、
前記第2ポンプ室と前記モータ室とを接続しており、前記モータ室から前記第2ポンプ室に排出される第2の液体が流通する排出流路とをさらに含む、請求項1記載の電動ポンプ。
【請求項3】
磁力を通過させることができ、前記第2ロータに非接触であり、前記ステータを収容するステータ収容室と前記第2ロータを収容するロータ収容室とに前記モータ室を仕切って、前記ステータ収容室と前記ロータ収容室との間での液体の移動を防止する第2仕切部材とをさらに含み、
前記供給流路は、前記第2ポンプ室と前記ステータ収容室とを接続しており、
前記排出流路は、前記第2ポンプ室と前記ステータ収容室とを接続している、請求項2記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記第1仕切部材および第2仕切部材は、非磁性材料によって形成されている、請求項3記載の電動ポンプ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−52506(P2012−52506A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197564(P2010−197564)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】