電動車両の停止制御方法
【課題】廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うようにする。
【解決手段】電動車両100は、操作レバー82と、車軸102と、操作レバー82からの操作指示に基づいて回転制御されるモータ10と、モータ10の回転力を車軸に伝達する伝達機構106と、モータ10の回転を制動するための電磁ブレーキ108と、モータ10の回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいてモータ10の回転速度を検出する速度検出回路50を有する。そして、操作レバー82からの操作指示がモータ10の回転停止を示し、且つ、モータ10の回転が電子制御ユニット104によって減速制御される時点から、速度検出回路50からのパルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、モータ10の回転を電磁ブレーキ108によって停止させる契機の基準時点とする。
【解決手段】電動車両100は、操作レバー82と、車軸102と、操作レバー82からの操作指示に基づいて回転制御されるモータ10と、モータ10の回転力を車軸に伝達する伝達機構106と、モータ10の回転を制動するための電磁ブレーキ108と、モータ10の回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいてモータ10の回転速度を検出する速度検出回路50を有する。そして、操作レバー82からの操作指示がモータ10の回転停止を示し、且つ、モータ10の回転が電子制御ユニット104によって減速制御される時点から、速度検出回路50からのパルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、モータ10の回転を電磁ブレーキ108によって停止させる契機の基準時点とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を停止するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動車両は、車軸と、モータと、該モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、モータの回転を制動するための電磁ブレーキとを有する。
【0003】
そして、電動車両の停止制御としては、例えば特許文献1に示すように、電動車両のモータの回転速度が共にほぼ停止速度に近い最低回転速度しきい値まで下がったら、電磁ブレーキを同時に作動させる制動制御が知られている。
【0004】
これにより、停止姿勢変化の少ない安定した停止を行うことができる。このため、車両の姿勢を修正する必要がなく、無駄な操作を無くすることができ、この結果、操作性を高めることができる。しかも、急制動によるショックは発生しない。さらには、電磁ブレーキの摩耗を抑制することができる。
【0005】
また、電動車両のモータの回転制御として、DCブラシレスモータのロータの磁極の位置検出を行う方法が知られている。この方法では、巻線を有するステータに磁気センサであるホールICを設け、ロータの回転に伴う磁束の変化をホールICにて検出し、その検出信号をデジタル方式に検出して、ロータの磁極の位置を検出するようにしている。この場合、ロータの位置検出精度が低いと、速度検出精度も低くなる。
【0006】
従来のロータの磁極の位置を検出する方法としては、例えば特許文献2に記載の磁気ロータリエンコーダがある。この磁気ロータリエンコーダは、ステータに6個のホールICを設置してロータの磁極の位置を検出するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−137055号公報
【特許文献2】特開平6−88704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に示すように、電動車両のモータの回転速度が共にほぼ停止速度に近い状態になってから電磁ブレーキを同時に作動させることが好ましい。
【0009】
そのためには、ロータの停止精度を上げ、さらに、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことが必要である。
【0010】
エンコーダやレゾルバを使用した方式も考えられるが、これらの方式は、高精度ではあるが、ホールICと比べてコストアップにつながるという問題がある。
【0011】
このため、電動車両の停止制御においては、廉価なホールICを用いた低コストで高精度の停止制御方法が求められている。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる電動車両の停止制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電動車両の停止制御方法は、操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を停止するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法において、前記電動車両は、前記モータの回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出回路を有し、前記操作レバーからの前記操作指示が前記モータの回転停止を示し、且つ、前記モータの回転が前記駆動制御手段によって減速制御される時点から、前記速度検出回路からの前記パルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の基準時点とすることを特徴とする。
【0014】
これにより、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる。
【0015】
そして、本発明において、前記速度検出回路は、前記モータのロータに対向して配された少なくとも3つの磁気センサを有し、前記ロータの回転に伴う前記複数の磁極の変化を3相のデジタル波形として出力する磁気検出回路と、前記3相のデジタル波形の各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された前記一連のパルス信号を生成するパルス生成回路とを有し、前記パルス生成回路からの出力に基づいて前記ロータの回転速度を検出するようにしてもよい。
【0016】
この場合、前記パルス生成回路は、前記3相のデジタル波形のうち、第1相のデジタル波形と第2相のデジタル波形との排他的論理和を出力する第1論理回路と、前記3相のデジタル波形のうち、第3相のデジタル波形と、前記第1論理回路の出力との排他的論理和を出力する第2論理回路とを有し、前記第2論理回路の出力の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の前記基準時点とするようにしてもよい。
【0017】
そして、前記第2論理回路の出力の立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間又は立ち下がりから次の任意の立ち下がりの期間を速度検出周期とすることが好ましい。
【0018】
なお、前記磁気検出回路は、3つの磁気センサを有し、前記3つの磁気センサは、前記ロータの回転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置されていてもよい。この場合、ロータの正転速度を検出する際のコストの低廉化に有利である。
【0019】
また、前記磁気検出回路は、前記ロータの正転速度を検出するための3相の第1検出信号を出力する第1磁気センサ部と、前記ロータの逆転速度を検出するための3相の第2検出信号を出力する第2磁気センサ部とを有し、前記ロータの正転又は逆転を示す制御信号に基づいて、前記第1磁気センサ部からの3相の第1デジタル波形又は前記第2磁気センサ部からの3相の第2デジタル波形を選択する選択回路を有するようにしてもよい。この場合、ロータの正転速度のほか、ロータの逆転速度も検出することができ、汎用性に富む。
【0020】
また、前記第1磁気センサ部は、前記ロータの正転方向に沿って第1相の第1磁気センサ、第2相の第1磁気センサ、第3相の第1磁気センサの順番で配列され、且つ、前記ロータの正転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置され、前記第2磁気センサ部は、前記ロータの逆転方向に沿って第1相の第2磁気センサ、第3相の第2磁気センサ、第2相の第2磁気センサの順番で配列され、且つ、前記ロータの逆転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置されていてもよい。この場合、ロータの正転速度及び逆転速度を検出する際のコストの低廉化に有利である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る電動車両の停止制御方法によれば、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る電動車両の停止制御方法の実施の形態例を図1〜図15を参照しながら説明する。
【0023】
本実施の形態に係る電動車両100は、図1に示すように、操作レバー82と、車軸102と、操作レバー82からの操作指示に基づいて電子制御ユニット104(ECU)により回転制御されるモータ10と、該モータ10の回転力を車軸102に伝達する伝達機構106(ミッション)と、モータ10の回転を制動するための電磁ブレーキ108とを有する。モータ10としては、例えばDCブラシレスサーボモータを用いることができる。
【0024】
電子制御ユニット104は、CPU58と、該CPU58からの制動信号に基づいて電磁ブレーキ108を駆動制御するブレーキ駆動回路110と、モータ10に内蔵されたロータ12(図2参照)の回転速度を検出してCPU58に供給する速度検出回路50と、CPU58からの駆動制御信号に基づいてモータ10の回転駆動を制御するモータ駆動回路112と、操作レバー82の例えば操舵角度を検出し、デジタル信号(操作信号Sd)に変換してCPU58に与えるアクセル検出回路114とを有する。その他、後述するように、タイマ86(図11参照)や計数器94(図14参照)等が設置される。
【0025】
制御形態としては、電動車両100の速度制御や後述する停止制御が挙げられる。すなわち、速度制御においては、例えば使用者が電動車両100を所望の速度で移動させるべく、操作レバー82を操作したとき、そのときの操作レバー82の操舵角度がアクセル検出回路114にて操作信号Sdに変換されてCPU58に入力される。CPU58は、速度検出回路50からのロータ12の回転速度を監視しながら、ロータ12の回転速度が、入力された操作信号Sdが示す回転速度となるように、モータ駆動回路112に駆動制御信号を出力して、モータ10の回転駆動を制御する。
【0026】
このような電動車両100の速度制御や後述する停止制御を高精度に行うためには、ロータ12の回転速度を高精度に検出することが肝要となる。
【0027】
ここで、本実施の形態に係る電動車両100の停止制御にて使用される速度検出回路50について図2〜図10Cを参照しながら説明する。
【0028】
先ず、電動車両100に適用されるモータ10は、図2に示すように、ロータ12と、ステータ14とを有するインナーロータ型のモータ10である。
【0029】
ロータ12は、円筒状の筐体16と、該筐体16の中心に軸方向に延びるロータ軸18とを有する。図3に示すように、筐体16の内部には、該筐体16の内壁に沿って永久磁石20が配置され、例えば8極のモータ10として構成されている。ロータ12のうち、ステータ14に対向する部分に検出磁石22が設置されている。永久磁石20はロータ12を回転させるために設置され、検出磁石22はロータ12の速度検出のために設置されている。
【0030】
また、検出磁石22は、モータ10の磁極位置に対応するようにN極及びS極を交互に配列して着磁されている。従って、検出磁石22は、N極とS極との境界について、8つの境界(第1境界24a〜第8境界24h)を有する。
【0031】
一方、ステータ14は、図4に示すように、12個のスロット(第1スロット26a〜第12スロット26l)が円周に沿って等間隔に、且つ、例えば時計回りに第1スロット26a、第2スロット26b、第3スロット26c・・・という順番で配列されている。このうち、第1スロット26a、第4スロット26d、第7スロット26g及び第10スロット26jには第1相巻線が巻回され、第2スロット26b、第5スロット26e、第8スロット26h及び第11スロット26kには第2相巻線が巻回され、第3スロット26c、第6スロット26f、第9スロット26i及び第12スロット26lには第3相巻線が巻回されている。
【0032】
また、ステータ14は、その中央に、ロータ軸18の端部が挿入される穴部28が設けられ、該穴部28の周囲に該穴部28を囲むように例えば平面コ字状の取付板30が設置されている。また、穴部28の周囲には、第1相巻線のための第1結線端子部32a、第2相巻線のための第2結線端子部32b及び第3相巻線のための第3結線端子部32cが設けられている。
【0033】
取付板30のうち、ロータ12の検出磁石22に対向する面(例えば上面)には、6つの磁気センサ(第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34f)が配置されている。
【0034】
具体的には、穴部28の中心位置を通り、且つ、第5スロット26eと第11スロット26kの各中心を通る基準線mを考えたとき、取付板30の上面のうち、基準線m上であって、且つ、第5スロット26e側の位置に第1磁気センサ34aが設置され、この第1磁気センサ34aから穴部28の円周に沿って例えば時計方向に30°離間した位置に第2磁気センサ34bが設置され、この第2磁気センサ34bから穴部28の円周に沿って30°離間した位置に第3磁気センサ34cが設置されている。
【0035】
同様に、取付板30の上面のうち、基準線m上であって、且つ、第11スロット26k側の位置に第4磁気センサ34dが設置され、この第4磁気センサ34dから穴部28の円周に沿って例えば反時計方向に30°離間した位置に第5磁気センサ34eが設置され、この第5磁気センサ34eから穴部28の円周に沿って30°離間した位置に第6磁気センサ34fが設置されている。
【0036】
第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34fのうち、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cは、ロータ12の正転速度を検出するためのものであり、第1磁気センサ34aが第1相に対応し、第2磁気センサ34bが第2相に対応し、第3磁気センサ34cが第3相に対応する。従って、上述の配列を言い換えれば、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cは、ロータ12の正転方向に沿って第1磁気センサ34a、第2磁気センサ34b、第3磁気センサ34cの順番で配列され、且つ、ロータ12の正転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置された形となっている。
【0037】
同様に、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fは、ロータ12の逆転速度を検出するためのものであり、第4磁気センサ34dが第1相に対応し、第5磁気センサ34eが第3相に対応し、第6磁気センサ34fが第2相に対応する。従って、上述の配列を言い換えれば、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fは、ロータ12の逆転方向に沿って第4磁気センサ34d、第5磁気センサ34e、第6磁気センサ34fの順番で配列され、且つ、ロータ12の逆転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置された形となっている。
【0038】
また、第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34fは、それぞれホールICにて構成されている。ホールICは、ホール素子と論理回路とをIC化した磁気センサで、ロータ12の検出磁石22の磁極(N極又はS極)と、その磁極の強さを、ホール素子の電磁現象により検出する。従って、ロータ12が回転すると、ホール素子から磁束密度に比例したアナログ電圧信号が出力される。論理回路は、ホール素子からのアナログ電圧信号を整形して磁界の極性に対応したデジタル波形、例えばN極のとき高レベル、S極のとき低レベルのデジタル波形として出力する。本実施の形態では、例えば出力トランジスタを有するオープンコレクタ出力方式のホールICを使用している。
【0039】
そして、本実施の形態に係る速度検出回路50は、図5に示すように、磁気検出回路52と、ロータ位置検出回路54と、パルス生成回路56と、CPU58とを有する。CPU58は、少なくともソフトウェアとしてのロータ位置検出手段60と、ロータ速度検出手段62が動作するようになっている。
【0040】
磁気検出回路52は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cを含む第1磁気センサ部64aと、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fを含む第2磁気センサ部64bとを有する。
【0041】
ロータ位置検出回路54は、磁気検出回路52からのデジタル波形、すなわち、第1磁気センサ部64aからの3相の第1デジタル波形及び第2磁気センサ部64bからの3相の第2デジタル波形を安定化させるプルアップ抵抗66と、高周波成分(ノイズ)を抑圧するノイズフィルタ68(ローパスフィルタ)と、シュミットトリガ機能を有し、且つ、ノイズフィルタ68でなまった波形をパルス波形に整形する波形整形回路70と、CPU58からのロータ12の正転又は逆転を示す制御信号Scに基づいて、3相の第1デジタル波形又は3相の第2デジタル波形を切り替え選択し、3相のロータ位置検出パルスSa(第1相のロータ位置検出パルスSa1〜第3相のロータ位置検出パルスSa3)として出力する選択回路72とを有する。
【0042】
パルス生成回路56は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaの各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された一連のパルス信号を生成する回路である。すなわち、パルス生成回路56は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaのうち、第1相のロータ位置検出パルスSa1と第2相のロータ位置検出パルスSa2との排他的論理和を出力する第1論理回路74と、第3相のロータ位置検出パルスSa3と第1論理回路74の出力との排他的論理和をロータ速度検出パルスSbとして出力する第2論理回路76とを有する。
【0043】
CPU58で動作するロータ位置検出手段60は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaに基づいてロータ12の位置を検出し、CPU58で動作するロータ速度検出手段62は、パルス生成回路56からのロータ速度検出パルスSbに基づいてロータ12の回転速度(正転速度又は逆転速度)を検出する。また、CPU58は、生成された速度指令値あるいは外部からの速度指令値が示す回転速度となるように、検出した回転速度に基づいてモータ10の回転駆動を制御する。なお、図5において、モータ10の制御系統の図示を省略する。
【0044】
なお、例えばロータ12の正転時のロータ位置及び正転速度のみを検出する場合は、図6に示す変形例に係る速度検出回路50aを用いることができる。
【0045】
この変形例に係る速度検出回路50aは、ロータ12の逆転に関する第2磁気センサ部64b(第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34f)が省略されることから、それに応じて、プルアップ抵抗66の構成要素、ノイズフィルタ68の構成要素、波形整形回路70の構成要素をそれぞれ一部省略し、さらに、選択回路72を省略すればよい。
【0046】
ここで、本実施の形態に係る速度検出回路50において、1つの磁気センサ、例えば第1磁気センサ34aから出力されるデジタル波形の信号処理について図7A〜図7Cを参照しながら説明する。
【0047】
ロータ12の例えば正転に伴って第1磁気センサ34aと対向する磁極が例えばN極→S極→N極→S極というように順番に変わっていくことから、第1磁気センサ34aの出力トランジスタは、例えばN極と対向する期間においてOFF、S極と対向する期間においてONとされる。
【0048】
第1磁気センサ34aの出力にはプルアップ抵抗66が接続されているため、出力トランジスタがOFFのときには、出力電圧が電源電圧Vcc近くまで引き上げられることになる。従って、第1磁気センサ34aの出力は、図7Aに示すように、第1磁気センサ34aと例えばN極とが対向する期間において確実に高レベルとなり、S極と対向する期間において確実に低レベルとなる。
【0049】
第1磁気センサ34aの出力は、後段のノイズフィルタ68によって高周波成分(ノイズ)が抑圧される。しかし、第1磁気センサ34aの出力波形は、図7Bに示すように、立ち上がり及び立ち下がりがノイズフィルタ68の時定数に対応してなまった一次遅れ波形となる。
【0050】
ノイズフィルタ68によって立ち上がりと立ち下がりがなまった第1磁気センサ34aの出力は、後段の波形整形回路70のシュミットトリガ機能によって、図7Cに示すように、パルス波形に整形される。具体的には、波形整形回路70は、ノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第1閾値電圧Vtp以上となった時点で低レベルとし、第2閾値電圧Vtn(<Vtp)以下となった時点で高レベルにする。なお、この波形整形回路70では、チャタリング防止も行っている。
【0051】
一方、選択回路72は、波形整形回路70から出力される第1磁気センサ部64aに対応した3相の第1デジタル波形と第2磁気センサ部64bに対応する3相の第2デジタル波形を、CPU58で動作するロータ位置検出手段60からのロータ12の正転又は逆転を示す制御信号Scに基づいて、切り替え選択して、3相のロータ位置検出パルスSaとして出力する。ロータ12が正転しているときの3相のロータ位置検出パルスSaの例を図8Aに示す。
【0052】
3相のロータ位置検出パルスSaは、ロータ12の正転又は逆転を検出し、さらに、ロータ12の磁極の位置を検出するために用いられる。もちろん、ロータ1回転につき、4周期のタイミング(パルス周期Ta)でロータ12の速度を検出することができるが、検出精度は低い。
【0053】
また、パルス生成回路56では、第1論理回路74から第1相のロータ位置検出パルスSa1と第2相のロータ位置検出パルスSa2との排他的論理和が出力され、第2論理回路76から第3相のロータ位置検出パルスSa3と第1論理回路74の出力との排他的論理和が出力される。すなわち、3入力の排他的論理和機能によってロータ速度検出パルスSbを生成している。ロータ速度検出パルスSbの波形を図8Bに示す。
【0054】
パルス生成回路56の真理値表を図9に示す。この真理値表の中で、第1相のロータ位置検出パルスSa1〜第3相のロータ位置検出パルスSa3全てが「0」又は「1」の場合は、ハーネスの断線やショートによる異常出力であり、CPU58によって、モータ停止等のエラー処理が行われる。
【0055】
そして、本実施の形態に係る速度検出回路50では、パルス生成回路56からの出力に基づいてロータ12の回転速度(正転速度及び逆転速度)を検出する。パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbのパルス周期は、ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taの1/3であるため、パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbに基づいてロータ12の速度を検出することによって、3相のロータ位置検出パルスSaを用いた場合よりも、検出精度を高めることができる。
【0056】
検出タイミングとしては、第1の手法として、パルス波形が変化するタイミング、すなわち、立ち下がりから次の立ち上がりまでの期間、立ち上がりから次の立ち下がりまでの期間をそれぞれ速度検出周期とすることが考えられる。この場合、ロータ12が1回転する間に、24個の速度検出周期が到来するため、高精度にロータ12の速度を検出することができる。
【0057】
ただ、各速度検出期間の開始時点は、様々な誤差成分によって影響を受けている場合が多い。誤差成分としては、検出磁石誤差、磁気センサ誤差、ノイズフィルタ誤差、CPU誤差等がある。
【0058】
検出磁石誤差は、検出磁石22の着磁範囲の誤差やロータ12に対する取付誤差を含み、理想的な第1境界24a〜第8境界24hに対する実際の第1境界24a〜第8境界24hの配置誤差成分を指す。磁気センサ誤差は、ロータ12の正転速度を検出する場合は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含み、ロータ12の逆転速度を検出する場合は、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含む。ノイズフィルタ誤差は、回路素子の回路定数のばらつき等に起因する時定数誤差を含む。CPU誤差は、アナログ信号をデジタル信号に変換する際の量子化誤差等を含む。この中で、CPU誤差は、CPU58自体の性能に依存するため、上述した誤差成分から除外する。
【0059】
時定数誤差は、図7Bに示すように、ノイズフィルタ68の出力波形がCR時定数による一次遅れ波形となることによって生じる。
【0060】
すなわち、後段の波形整形回路70から出力されるパルス波形(図7C参照)は、理想的には、その立ち下がり時点が、ノイズフィルタ68の出力波形(図7B参照)の立ち上がり時点とほぼ同時となり、立ち上がり時点が、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち下がり時点とほぼ同時になることである。
【0061】
しかし、ノイズフィルタ68の出力波形が一次遅れ波形であることから、波形整形回路70の出力波形の立ち下がり時点は、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち上がり時点からノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第1閾値電圧Vtp以上となった時点までの時間だけ遅れ、この遅れ時間Δt1が時定数誤差となる。
【0062】
なお、波形整形回路70の出力波形の立ち上がり時点は、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち下がり時点からノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第2閾値電圧Vtn以下となった時点までの時間だけ遅れることになるが、この遅れ時間Δt2は無視できる程度に短い。そのため、波形整形回路70の出力波形のうち、立ち上がり時点に時定数誤差は存在しないものとして扱うことができる。
【0063】
このことから、図10Aに示すように、3相のロータ位置検出パルスSaのうち、各立ち下がりは、ノイズフィルタ誤差による影響を受けていることになる。
【0064】
検出磁石誤差は、上述したように、検出磁石22の着磁範囲の誤差や取付誤差を含むため、各磁気センサが磁極の変化を検出した時点で検出磁石誤差の影響を受けることになる。すなわち、3相のロータ位置検出パルスSaのうち、各立ち下がり及び各立ち上がりは、検出磁石誤差による影響を受けていることになる。
【0065】
具体的には、第1磁気センサ34aを基準位置としたとき、例えば第1相のロータ位置検出パルスSa1のうち、基準位置から最初の立ち下がりは、検出磁石22における第1境界24aの位置誤差(第1検出磁石誤差)による影響を受け、次の最初の立ち上がりは、検出磁石22における第2境界24bの位置誤差(第2検出磁石誤差)による影響を受け、次の2回目の立ち下がりは、検出磁石22における第3境界24cの位置誤差(第3検出磁石誤差)による影響を受け、次の第2回目の立ち上がりは、検出磁石22における第4境界24dの位置誤差(第4検出磁石誤差)による影響を受け、次の第3回目の立ち下がりは、検出磁石22における第5境界24eの位置誤差(第5検出磁石誤差)による影響を受け、次の第3回目の立ち上がりは、検出磁石22における第6境界24fの位置誤差(第6検出磁石誤差)による影響を受け、次の第4回目の立ち下がりは、検出磁石における第7境界24gの位置誤差(第7検出磁石誤差)による影響を受けていることになる。これは、第2相のロータ位置検出パルスSa2及び第3相のロータ位置検出パルスSa3においても同様である。
【0066】
磁気センサ誤差は、上述したように、ロータ12の正転速度を検出する場合は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含むことから、第1磁気センサ34aを基準としたとき、第2磁気センサ34bに対応する第2相のロータ位置検出パルスSa2の各立ち上がり及び各立ち下がりが第2磁気センサ34bに起因する磁気センサ誤差(第2磁気センサ誤差と記す)による影響を受け、第3磁気センサ34cに対応する第3相のロータ位置検出パルスSa3の各立ち上がり及び各立ち下がりが第3磁気センサ34cに起因する磁気センサ誤差(第3磁気センサ誤差と記す)による影響を受けていることになる。
【0067】
従って、パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbは、上述した様々な誤差成分による影響を受けることになる。
【0068】
例えば図10Bに示すように、時点t1ではノイズフィルタ誤差、第3磁気センサ誤差及び第7検出磁石誤差による影響を受け、時点t2では第2磁気センサ誤差による影響を受け、時点t3ではノイズフィルタ誤差と第1検出磁石誤差による影響を受け、以下同様である。
【0069】
そのため、上述した第1の手法、すなわち、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち上がりまでの期間及び立ち上がりから次の立ち下がりまでの期間をそれぞれ速度検出周期としてロータ12の速度を検出すると、図10Bに示すように、時点t1〜時点t23に含まれる3相のロータ位置検出パルスSa全ての誤差成分による影響を受けることになる。
【0070】
そこで、第2の手法として、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間、立ち上がりから次の任意の立ち下がりまでの期間を速度検出周期としてロータ12の速度を検出することが好ましい。この場合、検出精度を上げるために、速度検出期間<ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taを満足することが好ましい。
【0071】
例えばロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間(t0→t2、t2→t4、t4→t6、・・・)を速度検出周期としてロータ12の速度を検出すると、図10Cに示すように、時点t2での第2磁気センサ誤差、時点t4での第3磁気センサ誤差、時点t6での第2検出磁石誤差、時点t8での第2検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t10での第2検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差、時点t12での第4検出磁石誤差、時点t14での第4検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t16での第4検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差、時点t18での第6検出磁石誤差、時点t20での第6検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t22での第6検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差の影響を受けるのみであり、誤差成分による影響を最小限に抑えることができる。これは、ロータ12の速度の検出精度のさらなる向上につながる。
【0072】
なお、速度検出期間として用いられるロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間としては、上述した立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間のほかに、立ち下がりから1つ置きの立ち下がりまでの期間(t0→t4、t4→t8、t8→t12、・・・)を採用するようにしてもよい。
【0073】
また、速度検出期間として用いられるロータ速度検出パルスSbの立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間としては、立ち上がりから次の立ち上がりまでの期間(t1→t3、t3→t5、t5→t7、・・・)でもよいし、立ち上がりから1つ置きの立ち上がりまでの期間(t1→t5、t5→t9、t9→t13、・・・)を採用するようにしてもよい。
【0074】
いずれにしても、誤差成分による影響が最小限になる期間を速度検出期間として採用することが好ましい。
【0075】
このように、本実施の形態に係る速度検出回路50は、誤差成分による影響を最小限に抑えることができ、高精度にロータ12の速度を検出することができる。
【0076】
速度制御を行うモータシステムにおいて、モータ10(ロータ12)の回転数の検出精度は極めて重要である。従って、速度制御を行うモータシステムにおけるモータ10の回転数の検出には高精度ではあるが、高価なエンコーダやレゾルバを使用することが考えられる。これに対して、本実施の形態で使用されるホールICは、安価ではあるが、分解能が低く、一般に、モータ10の回転数の検出誤差が大きいという問題がある。
【0077】
しかし、本実施の形態のように、3相のロータ位置検出パルスSaに基づいてロータ速度検出パルスSbを生成するパルス生成回路56を設けることによって、高精度にロータ12の速度を検出できる。さらに、速度検出期間として、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間あるいは立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間を選ぶことで、検出精度をより向上させることができる。特に、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間を速度検出期間として選ぶことで、誤差成分の影響を最小限に抑えることができ、その結果、ロータ12の速度検出精度を、ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taを速度検出期間とした場合の3倍向上させることができ、誤差成分を約1/10にすることができる。
【0078】
これにより、磁気センサとしてホールICを用いたとしても、モータ10の速度制御を高精度に行うことができ、CPU58からの速度指令値に対してほとんど誤差なく高精度に追従させることができる。
【0079】
そして、本実施の形態に係る電動車両100の停止制御方法は、以下に示すように、2つの制御形態(第1制御形態及び第2制御形態)がある。
【0080】
先ず、第1制御形態について図11〜図13を参照しながら説明する。この第1制御形態は、速度検出回路50を電動車両100の電磁ブレーキ108の駆動に利用した例である。図11は、第1制御形態を説明するために、操作レバー82、アクセル検出回路、CPU58、速度検出回路50、電磁ブレーキ108、ブレーキ駆動回路110及びタイマ86を主体に示した。
【0081】
CPU58は、ソフトウェアとしての内部信号生成手段88と、ブレーキ指示手段90が動作するようになっている。
【0082】
操作レバー82の操作指示に基づくアクセル検出回路114からの操作信号Sdは、CPU58に入力される。内部信号生成手段88は、入力された操作信号Sdに基づいて例えば停止状態(OFF)と走行状態(ON)を示す内部信号Seを生成する。
【0083】
例えば、操作レバー82の最大操舵角度θmに対する使用者の操舵角度θaの比をアクセル比としたとき、内部信号生成手段88は、図12に示すように、アクセル比が0%から例えば4%に変化した時点で内部信号SeをON(走行状態)にする。その後、アクセル比が4%以上となっている場合は、そのまま内部信号SeはONの状態を維持する。この走行状態では、速度検出回路50によって高精度に検出されたロータ12の回転速度とアクセル比とに基づいて、ロータ12(モータ10)の回転がCPU58によって高精度に制御されることになる。その後、使用者の操作レバー82の操作によってアクセル比が低下し、内部信号SeがONの状態で、且つ、アクセル比が例えば3%となった時点で、内部信号生成手段88は、内部信号SeをOFF(停止状態)にする。
【0084】
停止状態になると、電動車両100の速度がゼロに近くなるため、ロータ12(モータ10)の回転速度も遅くなり、図13に示すように、ロータ速度検出パルスSbのパルス幅が長くなる。この場合、電動車両100の速度がゼロなのか、電動車両100が前進しているのか後進しているのかが正確に検出できなくなる。そのため、ある程度の時間が経過した時点でロータ12(モータ10)の回転を完全に停止する必要がある。
【0085】
ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で初めて電磁ブレーキ108をONにして、ロータ12(モータ10)の回転を完全に停止させるようになっている。
【0086】
そこで、この第1制御形態では、内部信号SeがOFF(停止状態)となった時点から、ロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30を、電磁ブレーキ108を駆動させる契機(タイミング)の基準時点とする。
【0087】
すなわち、CPU58で動作するブレーキ指示手段90は、ロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30からタイマ86からのクロックを計数し、所定数だけ計数した時点t31(所定期間Tbが経過した時点)で停止フラグ92をONにする。ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で電磁ブレーキ108をONにして、ロータ12の回転を完全に停止させる。
【0088】
次に、第2制御形態について図14及び図15を参照しながら説明する。この第2制御形態は、図14に示すように、タイマ86からのクロックを計数する計数器94を新たに設けて、電動車両100の停止制御に利用した例である。
【0089】
計数器94は、図15に示すように、速度検出回路50のパルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbの立ち下がりに基づいて計数値をリセットすると共に、タイマ86からのクロックを計数する。また、この計数器94は、計数値が所定値となった時点で、オーバーフロー信号Sfを出力して計数値をリセットすると共に、タイマ86からのクロックの計数を再開する。
【0090】
CPU58で動作するブレーキ指示手段90は、内部信号SeがOFF(停止状態)となった時点からロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30から、計数器94からのオーバーフロー信号Sfの出力回数(オーバーフロー回数)を計数し、オーバーフロー回数に対応した速度指令値となるようにモータ10(ロータ12)を回転速度を制御する。
【0091】
オーバーフロー回数に対応した速度指令値は、例えば
速度指令値(rpm)=40000000/(オーバーフロー回数×216)
で求めることができる。もちろん、他の関係式や情報テーブルを使用してもよい。
【0092】
そして、ブレーキ指示手段90は、オーバーフロー回数として所定数、例えば7を計数した時点で、停止フラグ92をONにする。ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で電磁ブレーキ108をONにして、モータ10(ロータ12)の回転を完全に停止させる。
【0093】
上述した第1制御形態及び第2制御形態においては、速度検出回路50のパルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbのうち、誤差成分が最小限に抑えられた立ち下がりを基準に電磁ブレーキ108を駆動するようにしたので、モータ10(ロータ12)の停止精度を向上させることができる。
【0094】
なお、本発明に係る速度検出回路は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態に係る電動車両を示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る電動車両に適用されるモータを示す構成図である。
【図3】図2におけるIII−III線上からみた矢視図である。
【図4】ステータの構成を示す平面図である。
【図5】速度検出回路の一例を示す回路図である。
【図6】速度検出回路の他の例を示す回路図である。
【図7】図7Aは第1磁気センサの出力波形を示す図であり、図7Bはノイズフィルタの出力波形を示す図であり、図7Cは波形整形回路の出力波形を示す図である。
【図8】図8Aは3相のロータ位置検出パルスを示す波形図であり、図8Bはロータ速度検出パルスを示す波形図である。
【図9】パルス生成回路の真理値表を示す表図である。
【図10】図10Aは3相のロータ位置検出パルスを誤差成分と共に示す説明図であり、図10Bはロータ速度検出パルスに基づいて第1の手法で速度検出した場合の誤差成分による影響を示す説明図であり、図10Cは第1の手法で速度検出した場合の誤差成分による影響を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る電動車両の停止制御方法の第1制御形態を示す構成図である。
【図12】第1制御形態において、アクセル比に対する内部信号の波形変化を示す波形図である。
【図13】内部信号がOFFになった段階のロータ速度検出パルスの波形と停止フラグのONのタイミング及び電磁ブレーキの起動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】本実施の形態に係る電動車両の停止制御方法の第2制御形態を示す構成図である。
【図15】内部信号がOFFになった段階のロータ速度検出パルスの波形、計数器による計数値の変化、速度指令値の変化、停止フラグのONのタイミング及び電磁ブレーキの起動タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0096】
10…モータ 12…ロータ
50、50a…速度検出回路 52…磁気検出回路
54…ロータ位置検出回路 56…パルス生成回路
58…CPU 60…ロータ位置検出手段
62…ロータ速度検出手段 64a…第1磁気センサ部
64b…第2磁気センサ部 74…第1論理回路
76…第2論理回路 82…操作レバー
100…電動車両 102…車軸
104…電子制御ユニット 106…伝達機構
108…電磁ブレーキ 110…ブレーキ駆動回路
112…モータ駆動回路 114…アクセル検出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を停止するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動車両は、車軸と、モータと、該モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、モータの回転を制動するための電磁ブレーキとを有する。
【0003】
そして、電動車両の停止制御としては、例えば特許文献1に示すように、電動車両のモータの回転速度が共にほぼ停止速度に近い最低回転速度しきい値まで下がったら、電磁ブレーキを同時に作動させる制動制御が知られている。
【0004】
これにより、停止姿勢変化の少ない安定した停止を行うことができる。このため、車両の姿勢を修正する必要がなく、無駄な操作を無くすることができ、この結果、操作性を高めることができる。しかも、急制動によるショックは発生しない。さらには、電磁ブレーキの摩耗を抑制することができる。
【0005】
また、電動車両のモータの回転制御として、DCブラシレスモータのロータの磁極の位置検出を行う方法が知られている。この方法では、巻線を有するステータに磁気センサであるホールICを設け、ロータの回転に伴う磁束の変化をホールICにて検出し、その検出信号をデジタル方式に検出して、ロータの磁極の位置を検出するようにしている。この場合、ロータの位置検出精度が低いと、速度検出精度も低くなる。
【0006】
従来のロータの磁極の位置を検出する方法としては、例えば特許文献2に記載の磁気ロータリエンコーダがある。この磁気ロータリエンコーダは、ステータに6個のホールICを設置してロータの磁極の位置を検出するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−137055号公報
【特許文献2】特開平6−88704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に示すように、電動車両のモータの回転速度が共にほぼ停止速度に近い状態になってから電磁ブレーキを同時に作動させることが好ましい。
【0009】
そのためには、ロータの停止精度を上げ、さらに、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことが必要である。
【0010】
エンコーダやレゾルバを使用した方式も考えられるが、これらの方式は、高精度ではあるが、ホールICと比べてコストアップにつながるという問題がある。
【0011】
このため、電動車両の停止制御においては、廉価なホールICを用いた低コストで高精度の停止制御方法が求められている。
【0012】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる電動車両の停止制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電動車両の停止制御方法は、操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を停止するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法において、前記電動車両は、前記モータの回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出回路を有し、前記操作レバーからの前記操作指示が前記モータの回転停止を示し、且つ、前記モータの回転が前記駆動制御手段によって減速制御される時点から、前記速度検出回路からの前記パルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の基準時点とすることを特徴とする。
【0014】
これにより、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる。
【0015】
そして、本発明において、前記速度検出回路は、前記モータのロータに対向して配された少なくとも3つの磁気センサを有し、前記ロータの回転に伴う前記複数の磁極の変化を3相のデジタル波形として出力する磁気検出回路と、前記3相のデジタル波形の各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された前記一連のパルス信号を生成するパルス生成回路とを有し、前記パルス生成回路からの出力に基づいて前記ロータの回転速度を検出するようにしてもよい。
【0016】
この場合、前記パルス生成回路は、前記3相のデジタル波形のうち、第1相のデジタル波形と第2相のデジタル波形との排他的論理和を出力する第1論理回路と、前記3相のデジタル波形のうち、第3相のデジタル波形と、前記第1論理回路の出力との排他的論理和を出力する第2論理回路とを有し、前記第2論理回路の出力の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の前記基準時点とするようにしてもよい。
【0017】
そして、前記第2論理回路の出力の立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間又は立ち下がりから次の任意の立ち下がりの期間を速度検出周期とすることが好ましい。
【0018】
なお、前記磁気検出回路は、3つの磁気センサを有し、前記3つの磁気センサは、前記ロータの回転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置されていてもよい。この場合、ロータの正転速度を検出する際のコストの低廉化に有利である。
【0019】
また、前記磁気検出回路は、前記ロータの正転速度を検出するための3相の第1検出信号を出力する第1磁気センサ部と、前記ロータの逆転速度を検出するための3相の第2検出信号を出力する第2磁気センサ部とを有し、前記ロータの正転又は逆転を示す制御信号に基づいて、前記第1磁気センサ部からの3相の第1デジタル波形又は前記第2磁気センサ部からの3相の第2デジタル波形を選択する選択回路を有するようにしてもよい。この場合、ロータの正転速度のほか、ロータの逆転速度も検出することができ、汎用性に富む。
【0020】
また、前記第1磁気センサ部は、前記ロータの正転方向に沿って第1相の第1磁気センサ、第2相の第1磁気センサ、第3相の第1磁気センサの順番で配列され、且つ、前記ロータの正転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置され、前記第2磁気センサ部は、前記ロータの逆転方向に沿って第1相の第2磁気センサ、第3相の第2磁気センサ、第2相の第2磁気センサの順番で配列され、且つ、前記ロータの逆転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置されていてもよい。この場合、ロータの正転速度及び逆転速度を検出する際のコストの低廉化に有利である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係る電動車両の停止制御方法によれば、廉価なホールICを用いて、しかも、誤差成分の影響を最小にして高精度に電動車両の停止制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る電動車両の停止制御方法の実施の形態例を図1〜図15を参照しながら説明する。
【0023】
本実施の形態に係る電動車両100は、図1に示すように、操作レバー82と、車軸102と、操作レバー82からの操作指示に基づいて電子制御ユニット104(ECU)により回転制御されるモータ10と、該モータ10の回転力を車軸102に伝達する伝達機構106(ミッション)と、モータ10の回転を制動するための電磁ブレーキ108とを有する。モータ10としては、例えばDCブラシレスサーボモータを用いることができる。
【0024】
電子制御ユニット104は、CPU58と、該CPU58からの制動信号に基づいて電磁ブレーキ108を駆動制御するブレーキ駆動回路110と、モータ10に内蔵されたロータ12(図2参照)の回転速度を検出してCPU58に供給する速度検出回路50と、CPU58からの駆動制御信号に基づいてモータ10の回転駆動を制御するモータ駆動回路112と、操作レバー82の例えば操舵角度を検出し、デジタル信号(操作信号Sd)に変換してCPU58に与えるアクセル検出回路114とを有する。その他、後述するように、タイマ86(図11参照)や計数器94(図14参照)等が設置される。
【0025】
制御形態としては、電動車両100の速度制御や後述する停止制御が挙げられる。すなわち、速度制御においては、例えば使用者が電動車両100を所望の速度で移動させるべく、操作レバー82を操作したとき、そのときの操作レバー82の操舵角度がアクセル検出回路114にて操作信号Sdに変換されてCPU58に入力される。CPU58は、速度検出回路50からのロータ12の回転速度を監視しながら、ロータ12の回転速度が、入力された操作信号Sdが示す回転速度となるように、モータ駆動回路112に駆動制御信号を出力して、モータ10の回転駆動を制御する。
【0026】
このような電動車両100の速度制御や後述する停止制御を高精度に行うためには、ロータ12の回転速度を高精度に検出することが肝要となる。
【0027】
ここで、本実施の形態に係る電動車両100の停止制御にて使用される速度検出回路50について図2〜図10Cを参照しながら説明する。
【0028】
先ず、電動車両100に適用されるモータ10は、図2に示すように、ロータ12と、ステータ14とを有するインナーロータ型のモータ10である。
【0029】
ロータ12は、円筒状の筐体16と、該筐体16の中心に軸方向に延びるロータ軸18とを有する。図3に示すように、筐体16の内部には、該筐体16の内壁に沿って永久磁石20が配置され、例えば8極のモータ10として構成されている。ロータ12のうち、ステータ14に対向する部分に検出磁石22が設置されている。永久磁石20はロータ12を回転させるために設置され、検出磁石22はロータ12の速度検出のために設置されている。
【0030】
また、検出磁石22は、モータ10の磁極位置に対応するようにN極及びS極を交互に配列して着磁されている。従って、検出磁石22は、N極とS極との境界について、8つの境界(第1境界24a〜第8境界24h)を有する。
【0031】
一方、ステータ14は、図4に示すように、12個のスロット(第1スロット26a〜第12スロット26l)が円周に沿って等間隔に、且つ、例えば時計回りに第1スロット26a、第2スロット26b、第3スロット26c・・・という順番で配列されている。このうち、第1スロット26a、第4スロット26d、第7スロット26g及び第10スロット26jには第1相巻線が巻回され、第2スロット26b、第5スロット26e、第8スロット26h及び第11スロット26kには第2相巻線が巻回され、第3スロット26c、第6スロット26f、第9スロット26i及び第12スロット26lには第3相巻線が巻回されている。
【0032】
また、ステータ14は、その中央に、ロータ軸18の端部が挿入される穴部28が設けられ、該穴部28の周囲に該穴部28を囲むように例えば平面コ字状の取付板30が設置されている。また、穴部28の周囲には、第1相巻線のための第1結線端子部32a、第2相巻線のための第2結線端子部32b及び第3相巻線のための第3結線端子部32cが設けられている。
【0033】
取付板30のうち、ロータ12の検出磁石22に対向する面(例えば上面)には、6つの磁気センサ(第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34f)が配置されている。
【0034】
具体的には、穴部28の中心位置を通り、且つ、第5スロット26eと第11スロット26kの各中心を通る基準線mを考えたとき、取付板30の上面のうち、基準線m上であって、且つ、第5スロット26e側の位置に第1磁気センサ34aが設置され、この第1磁気センサ34aから穴部28の円周に沿って例えば時計方向に30°離間した位置に第2磁気センサ34bが設置され、この第2磁気センサ34bから穴部28の円周に沿って30°離間した位置に第3磁気センサ34cが設置されている。
【0035】
同様に、取付板30の上面のうち、基準線m上であって、且つ、第11スロット26k側の位置に第4磁気センサ34dが設置され、この第4磁気センサ34dから穴部28の円周に沿って例えば反時計方向に30°離間した位置に第5磁気センサ34eが設置され、この第5磁気センサ34eから穴部28の円周に沿って30°離間した位置に第6磁気センサ34fが設置されている。
【0036】
第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34fのうち、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cは、ロータ12の正転速度を検出するためのものであり、第1磁気センサ34aが第1相に対応し、第2磁気センサ34bが第2相に対応し、第3磁気センサ34cが第3相に対応する。従って、上述の配列を言い換えれば、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cは、ロータ12の正転方向に沿って第1磁気センサ34a、第2磁気センサ34b、第3磁気センサ34cの順番で配列され、且つ、ロータ12の正転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置された形となっている。
【0037】
同様に、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fは、ロータ12の逆転速度を検出するためのものであり、第4磁気センサ34dが第1相に対応し、第5磁気センサ34eが第3相に対応し、第6磁気センサ34fが第2相に対応する。従って、上述の配列を言い換えれば、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fは、ロータ12の逆転方向に沿って第4磁気センサ34d、第5磁気センサ34e、第6磁気センサ34fの順番で配列され、且つ、ロータ12の逆転方向に沿ってそれぞれ30°離間して配置された形となっている。
【0038】
また、第1磁気センサ34a〜第6磁気センサ34fは、それぞれホールICにて構成されている。ホールICは、ホール素子と論理回路とをIC化した磁気センサで、ロータ12の検出磁石22の磁極(N極又はS極)と、その磁極の強さを、ホール素子の電磁現象により検出する。従って、ロータ12が回転すると、ホール素子から磁束密度に比例したアナログ電圧信号が出力される。論理回路は、ホール素子からのアナログ電圧信号を整形して磁界の極性に対応したデジタル波形、例えばN極のとき高レベル、S極のとき低レベルのデジタル波形として出力する。本実施の形態では、例えば出力トランジスタを有するオープンコレクタ出力方式のホールICを使用している。
【0039】
そして、本実施の形態に係る速度検出回路50は、図5に示すように、磁気検出回路52と、ロータ位置検出回路54と、パルス生成回路56と、CPU58とを有する。CPU58は、少なくともソフトウェアとしてのロータ位置検出手段60と、ロータ速度検出手段62が動作するようになっている。
【0040】
磁気検出回路52は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cを含む第1磁気センサ部64aと、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fを含む第2磁気センサ部64bとを有する。
【0041】
ロータ位置検出回路54は、磁気検出回路52からのデジタル波形、すなわち、第1磁気センサ部64aからの3相の第1デジタル波形及び第2磁気センサ部64bからの3相の第2デジタル波形を安定化させるプルアップ抵抗66と、高周波成分(ノイズ)を抑圧するノイズフィルタ68(ローパスフィルタ)と、シュミットトリガ機能を有し、且つ、ノイズフィルタ68でなまった波形をパルス波形に整形する波形整形回路70と、CPU58からのロータ12の正転又は逆転を示す制御信号Scに基づいて、3相の第1デジタル波形又は3相の第2デジタル波形を切り替え選択し、3相のロータ位置検出パルスSa(第1相のロータ位置検出パルスSa1〜第3相のロータ位置検出パルスSa3)として出力する選択回路72とを有する。
【0042】
パルス生成回路56は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaの各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された一連のパルス信号を生成する回路である。すなわち、パルス生成回路56は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaのうち、第1相のロータ位置検出パルスSa1と第2相のロータ位置検出パルスSa2との排他的論理和を出力する第1論理回路74と、第3相のロータ位置検出パルスSa3と第1論理回路74の出力との排他的論理和をロータ速度検出パルスSbとして出力する第2論理回路76とを有する。
【0043】
CPU58で動作するロータ位置検出手段60は、選択回路72からの3相のロータ位置検出パルスSaに基づいてロータ12の位置を検出し、CPU58で動作するロータ速度検出手段62は、パルス生成回路56からのロータ速度検出パルスSbに基づいてロータ12の回転速度(正転速度又は逆転速度)を検出する。また、CPU58は、生成された速度指令値あるいは外部からの速度指令値が示す回転速度となるように、検出した回転速度に基づいてモータ10の回転駆動を制御する。なお、図5において、モータ10の制御系統の図示を省略する。
【0044】
なお、例えばロータ12の正転時のロータ位置及び正転速度のみを検出する場合は、図6に示す変形例に係る速度検出回路50aを用いることができる。
【0045】
この変形例に係る速度検出回路50aは、ロータ12の逆転に関する第2磁気センサ部64b(第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34f)が省略されることから、それに応じて、プルアップ抵抗66の構成要素、ノイズフィルタ68の構成要素、波形整形回路70の構成要素をそれぞれ一部省略し、さらに、選択回路72を省略すればよい。
【0046】
ここで、本実施の形態に係る速度検出回路50において、1つの磁気センサ、例えば第1磁気センサ34aから出力されるデジタル波形の信号処理について図7A〜図7Cを参照しながら説明する。
【0047】
ロータ12の例えば正転に伴って第1磁気センサ34aと対向する磁極が例えばN極→S極→N極→S極というように順番に変わっていくことから、第1磁気センサ34aの出力トランジスタは、例えばN極と対向する期間においてOFF、S極と対向する期間においてONとされる。
【0048】
第1磁気センサ34aの出力にはプルアップ抵抗66が接続されているため、出力トランジスタがOFFのときには、出力電圧が電源電圧Vcc近くまで引き上げられることになる。従って、第1磁気センサ34aの出力は、図7Aに示すように、第1磁気センサ34aと例えばN極とが対向する期間において確実に高レベルとなり、S極と対向する期間において確実に低レベルとなる。
【0049】
第1磁気センサ34aの出力は、後段のノイズフィルタ68によって高周波成分(ノイズ)が抑圧される。しかし、第1磁気センサ34aの出力波形は、図7Bに示すように、立ち上がり及び立ち下がりがノイズフィルタ68の時定数に対応してなまった一次遅れ波形となる。
【0050】
ノイズフィルタ68によって立ち上がりと立ち下がりがなまった第1磁気センサ34aの出力は、後段の波形整形回路70のシュミットトリガ機能によって、図7Cに示すように、パルス波形に整形される。具体的には、波形整形回路70は、ノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第1閾値電圧Vtp以上となった時点で低レベルとし、第2閾値電圧Vtn(<Vtp)以下となった時点で高レベルにする。なお、この波形整形回路70では、チャタリング防止も行っている。
【0051】
一方、選択回路72は、波形整形回路70から出力される第1磁気センサ部64aに対応した3相の第1デジタル波形と第2磁気センサ部64bに対応する3相の第2デジタル波形を、CPU58で動作するロータ位置検出手段60からのロータ12の正転又は逆転を示す制御信号Scに基づいて、切り替え選択して、3相のロータ位置検出パルスSaとして出力する。ロータ12が正転しているときの3相のロータ位置検出パルスSaの例を図8Aに示す。
【0052】
3相のロータ位置検出パルスSaは、ロータ12の正転又は逆転を検出し、さらに、ロータ12の磁極の位置を検出するために用いられる。もちろん、ロータ1回転につき、4周期のタイミング(パルス周期Ta)でロータ12の速度を検出することができるが、検出精度は低い。
【0053】
また、パルス生成回路56では、第1論理回路74から第1相のロータ位置検出パルスSa1と第2相のロータ位置検出パルスSa2との排他的論理和が出力され、第2論理回路76から第3相のロータ位置検出パルスSa3と第1論理回路74の出力との排他的論理和が出力される。すなわち、3入力の排他的論理和機能によってロータ速度検出パルスSbを生成している。ロータ速度検出パルスSbの波形を図8Bに示す。
【0054】
パルス生成回路56の真理値表を図9に示す。この真理値表の中で、第1相のロータ位置検出パルスSa1〜第3相のロータ位置検出パルスSa3全てが「0」又は「1」の場合は、ハーネスの断線やショートによる異常出力であり、CPU58によって、モータ停止等のエラー処理が行われる。
【0055】
そして、本実施の形態に係る速度検出回路50では、パルス生成回路56からの出力に基づいてロータ12の回転速度(正転速度及び逆転速度)を検出する。パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbのパルス周期は、ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taの1/3であるため、パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbに基づいてロータ12の速度を検出することによって、3相のロータ位置検出パルスSaを用いた場合よりも、検出精度を高めることができる。
【0056】
検出タイミングとしては、第1の手法として、パルス波形が変化するタイミング、すなわち、立ち下がりから次の立ち上がりまでの期間、立ち上がりから次の立ち下がりまでの期間をそれぞれ速度検出周期とすることが考えられる。この場合、ロータ12が1回転する間に、24個の速度検出周期が到来するため、高精度にロータ12の速度を検出することができる。
【0057】
ただ、各速度検出期間の開始時点は、様々な誤差成分によって影響を受けている場合が多い。誤差成分としては、検出磁石誤差、磁気センサ誤差、ノイズフィルタ誤差、CPU誤差等がある。
【0058】
検出磁石誤差は、検出磁石22の着磁範囲の誤差やロータ12に対する取付誤差を含み、理想的な第1境界24a〜第8境界24hに対する実際の第1境界24a〜第8境界24hの配置誤差成分を指す。磁気センサ誤差は、ロータ12の正転速度を検出する場合は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含み、ロータ12の逆転速度を検出する場合は、第4磁気センサ34d〜第6磁気センサ34fの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含む。ノイズフィルタ誤差は、回路素子の回路定数のばらつき等に起因する時定数誤差を含む。CPU誤差は、アナログ信号をデジタル信号に変換する際の量子化誤差等を含む。この中で、CPU誤差は、CPU58自体の性能に依存するため、上述した誤差成分から除外する。
【0059】
時定数誤差は、図7Bに示すように、ノイズフィルタ68の出力波形がCR時定数による一次遅れ波形となることによって生じる。
【0060】
すなわち、後段の波形整形回路70から出力されるパルス波形(図7C参照)は、理想的には、その立ち下がり時点が、ノイズフィルタ68の出力波形(図7B参照)の立ち上がり時点とほぼ同時となり、立ち上がり時点が、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち下がり時点とほぼ同時になることである。
【0061】
しかし、ノイズフィルタ68の出力波形が一次遅れ波形であることから、波形整形回路70の出力波形の立ち下がり時点は、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち上がり時点からノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第1閾値電圧Vtp以上となった時点までの時間だけ遅れ、この遅れ時間Δt1が時定数誤差となる。
【0062】
なお、波形整形回路70の出力波形の立ち上がり時点は、ノイズフィルタ68の出力波形の立ち下がり時点からノイズフィルタ68の出力(出力電圧)が第2閾値電圧Vtn以下となった時点までの時間だけ遅れることになるが、この遅れ時間Δt2は無視できる程度に短い。そのため、波形整形回路70の出力波形のうち、立ち上がり時点に時定数誤差は存在しないものとして扱うことができる。
【0063】
このことから、図10Aに示すように、3相のロータ位置検出パルスSaのうち、各立ち下がりは、ノイズフィルタ誤差による影響を受けていることになる。
【0064】
検出磁石誤差は、上述したように、検出磁石22の着磁範囲の誤差や取付誤差を含むため、各磁気センサが磁極の変化を検出した時点で検出磁石誤差の影響を受けることになる。すなわち、3相のロータ位置検出パルスSaのうち、各立ち下がり及び各立ち上がりは、検出磁石誤差による影響を受けていることになる。
【0065】
具体的には、第1磁気センサ34aを基準位置としたとき、例えば第1相のロータ位置検出パルスSa1のうち、基準位置から最初の立ち下がりは、検出磁石22における第1境界24aの位置誤差(第1検出磁石誤差)による影響を受け、次の最初の立ち上がりは、検出磁石22における第2境界24bの位置誤差(第2検出磁石誤差)による影響を受け、次の2回目の立ち下がりは、検出磁石22における第3境界24cの位置誤差(第3検出磁石誤差)による影響を受け、次の第2回目の立ち上がりは、検出磁石22における第4境界24dの位置誤差(第4検出磁石誤差)による影響を受け、次の第3回目の立ち下がりは、検出磁石22における第5境界24eの位置誤差(第5検出磁石誤差)による影響を受け、次の第3回目の立ち上がりは、検出磁石22における第6境界24fの位置誤差(第6検出磁石誤差)による影響を受け、次の第4回目の立ち下がりは、検出磁石における第7境界24gの位置誤差(第7検出磁石誤差)による影響を受けていることになる。これは、第2相のロータ位置検出パルスSa2及び第3相のロータ位置検出パルスSa3においても同様である。
【0066】
磁気センサ誤差は、上述したように、ロータ12の正転速度を検出する場合は、第1磁気センサ34a〜第3磁気センサ34cの読取誤差やステータ14に対する取付誤差を含むことから、第1磁気センサ34aを基準としたとき、第2磁気センサ34bに対応する第2相のロータ位置検出パルスSa2の各立ち上がり及び各立ち下がりが第2磁気センサ34bに起因する磁気センサ誤差(第2磁気センサ誤差と記す)による影響を受け、第3磁気センサ34cに対応する第3相のロータ位置検出パルスSa3の各立ち上がり及び各立ち下がりが第3磁気センサ34cに起因する磁気センサ誤差(第3磁気センサ誤差と記す)による影響を受けていることになる。
【0067】
従って、パルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbは、上述した様々な誤差成分による影響を受けることになる。
【0068】
例えば図10Bに示すように、時点t1ではノイズフィルタ誤差、第3磁気センサ誤差及び第7検出磁石誤差による影響を受け、時点t2では第2磁気センサ誤差による影響を受け、時点t3ではノイズフィルタ誤差と第1検出磁石誤差による影響を受け、以下同様である。
【0069】
そのため、上述した第1の手法、すなわち、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち上がりまでの期間及び立ち上がりから次の立ち下がりまでの期間をそれぞれ速度検出周期としてロータ12の速度を検出すると、図10Bに示すように、時点t1〜時点t23に含まれる3相のロータ位置検出パルスSa全ての誤差成分による影響を受けることになる。
【0070】
そこで、第2の手法として、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間、立ち上がりから次の任意の立ち下がりまでの期間を速度検出周期としてロータ12の速度を検出することが好ましい。この場合、検出精度を上げるために、速度検出期間<ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taを満足することが好ましい。
【0071】
例えばロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間(t0→t2、t2→t4、t4→t6、・・・)を速度検出周期としてロータ12の速度を検出すると、図10Cに示すように、時点t2での第2磁気センサ誤差、時点t4での第3磁気センサ誤差、時点t6での第2検出磁石誤差、時点t8での第2検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t10での第2検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差、時点t12での第4検出磁石誤差、時点t14での第4検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t16での第4検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差、時点t18での第6検出磁石誤差、時点t20での第6検出磁石誤差と第2磁気センサ誤差、時点t22での第6検出磁石誤差と第3磁気センサ誤差の影響を受けるのみであり、誤差成分による影響を最小限に抑えることができる。これは、ロータ12の速度の検出精度のさらなる向上につながる。
【0072】
なお、速度検出期間として用いられるロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間としては、上述した立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間のほかに、立ち下がりから1つ置きの立ち下がりまでの期間(t0→t4、t4→t8、t8→t12、・・・)を採用するようにしてもよい。
【0073】
また、速度検出期間として用いられるロータ速度検出パルスSbの立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間としては、立ち上がりから次の立ち上がりまでの期間(t1→t3、t3→t5、t5→t7、・・・)でもよいし、立ち上がりから1つ置きの立ち上がりまでの期間(t1→t5、t5→t9、t9→t13、・・・)を採用するようにしてもよい。
【0074】
いずれにしても、誤差成分による影響が最小限になる期間を速度検出期間として採用することが好ましい。
【0075】
このように、本実施の形態に係る速度検出回路50は、誤差成分による影響を最小限に抑えることができ、高精度にロータ12の速度を検出することができる。
【0076】
速度制御を行うモータシステムにおいて、モータ10(ロータ12)の回転数の検出精度は極めて重要である。従って、速度制御を行うモータシステムにおけるモータ10の回転数の検出には高精度ではあるが、高価なエンコーダやレゾルバを使用することが考えられる。これに対して、本実施の形態で使用されるホールICは、安価ではあるが、分解能が低く、一般に、モータ10の回転数の検出誤差が大きいという問題がある。
【0077】
しかし、本実施の形態のように、3相のロータ位置検出パルスSaに基づいてロータ速度検出パルスSbを生成するパルス生成回路56を設けることによって、高精度にロータ12の速度を検出できる。さらに、速度検出期間として、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の任意の立ち下がりまでの期間あるいは立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間を選ぶことで、検出精度をより向上させることができる。特に、ロータ速度検出パルスSbの立ち下がりから次の立ち下がりまでの期間を速度検出期間として選ぶことで、誤差成分の影響を最小限に抑えることができ、その結果、ロータ12の速度検出精度を、ロータ位置検出パルスSaのパルス周期Taを速度検出期間とした場合の3倍向上させることができ、誤差成分を約1/10にすることができる。
【0078】
これにより、磁気センサとしてホールICを用いたとしても、モータ10の速度制御を高精度に行うことができ、CPU58からの速度指令値に対してほとんど誤差なく高精度に追従させることができる。
【0079】
そして、本実施の形態に係る電動車両100の停止制御方法は、以下に示すように、2つの制御形態(第1制御形態及び第2制御形態)がある。
【0080】
先ず、第1制御形態について図11〜図13を参照しながら説明する。この第1制御形態は、速度検出回路50を電動車両100の電磁ブレーキ108の駆動に利用した例である。図11は、第1制御形態を説明するために、操作レバー82、アクセル検出回路、CPU58、速度検出回路50、電磁ブレーキ108、ブレーキ駆動回路110及びタイマ86を主体に示した。
【0081】
CPU58は、ソフトウェアとしての内部信号生成手段88と、ブレーキ指示手段90が動作するようになっている。
【0082】
操作レバー82の操作指示に基づくアクセル検出回路114からの操作信号Sdは、CPU58に入力される。内部信号生成手段88は、入力された操作信号Sdに基づいて例えば停止状態(OFF)と走行状態(ON)を示す内部信号Seを生成する。
【0083】
例えば、操作レバー82の最大操舵角度θmに対する使用者の操舵角度θaの比をアクセル比としたとき、内部信号生成手段88は、図12に示すように、アクセル比が0%から例えば4%に変化した時点で内部信号SeをON(走行状態)にする。その後、アクセル比が4%以上となっている場合は、そのまま内部信号SeはONの状態を維持する。この走行状態では、速度検出回路50によって高精度に検出されたロータ12の回転速度とアクセル比とに基づいて、ロータ12(モータ10)の回転がCPU58によって高精度に制御されることになる。その後、使用者の操作レバー82の操作によってアクセル比が低下し、内部信号SeがONの状態で、且つ、アクセル比が例えば3%となった時点で、内部信号生成手段88は、内部信号SeをOFF(停止状態)にする。
【0084】
停止状態になると、電動車両100の速度がゼロに近くなるため、ロータ12(モータ10)の回転速度も遅くなり、図13に示すように、ロータ速度検出パルスSbのパルス幅が長くなる。この場合、電動車両100の速度がゼロなのか、電動車両100が前進しているのか後進しているのかが正確に検出できなくなる。そのため、ある程度の時間が経過した時点でロータ12(モータ10)の回転を完全に停止する必要がある。
【0085】
ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で初めて電磁ブレーキ108をONにして、ロータ12(モータ10)の回転を完全に停止させるようになっている。
【0086】
そこで、この第1制御形態では、内部信号SeがOFF(停止状態)となった時点から、ロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30を、電磁ブレーキ108を駆動させる契機(タイミング)の基準時点とする。
【0087】
すなわち、CPU58で動作するブレーキ指示手段90は、ロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30からタイマ86からのクロックを計数し、所定数だけ計数した時点t31(所定期間Tbが経過した時点)で停止フラグ92をONにする。ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で電磁ブレーキ108をONにして、ロータ12の回転を完全に停止させる。
【0088】
次に、第2制御形態について図14及び図15を参照しながら説明する。この第2制御形態は、図14に示すように、タイマ86からのクロックを計数する計数器94を新たに設けて、電動車両100の停止制御に利用した例である。
【0089】
計数器94は、図15に示すように、速度検出回路50のパルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbの立ち下がりに基づいて計数値をリセットすると共に、タイマ86からのクロックを計数する。また、この計数器94は、計数値が所定値となった時点で、オーバーフロー信号Sfを出力して計数値をリセットすると共に、タイマ86からのクロックの計数を再開する。
【0090】
CPU58で動作するブレーキ指示手段90は、内部信号SeがOFF(停止状態)となった時点からロータ速度検出パルスSbの2回の立ち下がりを経過した時点t30から、計数器94からのオーバーフロー信号Sfの出力回数(オーバーフロー回数)を計数し、オーバーフロー回数に対応した速度指令値となるようにモータ10(ロータ12)を回転速度を制御する。
【0091】
オーバーフロー回数に対応した速度指令値は、例えば
速度指令値(rpm)=40000000/(オーバーフロー回数×216)
で求めることができる。もちろん、他の関係式や情報テーブルを使用してもよい。
【0092】
そして、ブレーキ指示手段90は、オーバーフロー回数として所定数、例えば7を計数した時点で、停止フラグ92をONにする。ブレーキ駆動回路110は、ブレーキ指示手段90が停止フラグ92をONにした時点で電磁ブレーキ108をONにして、モータ10(ロータ12)の回転を完全に停止させる。
【0093】
上述した第1制御形態及び第2制御形態においては、速度検出回路50のパルス生成回路56から出力されるロータ速度検出パルスSbのうち、誤差成分が最小限に抑えられた立ち下がりを基準に電磁ブレーキ108を駆動するようにしたので、モータ10(ロータ12)の停止精度を向上させることができる。
【0094】
なお、本発明に係る速度検出回路は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態に係る電動車両を示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る電動車両に適用されるモータを示す構成図である。
【図3】図2におけるIII−III線上からみた矢視図である。
【図4】ステータの構成を示す平面図である。
【図5】速度検出回路の一例を示す回路図である。
【図6】速度検出回路の他の例を示す回路図である。
【図7】図7Aは第1磁気センサの出力波形を示す図であり、図7Bはノイズフィルタの出力波形を示す図であり、図7Cは波形整形回路の出力波形を示す図である。
【図8】図8Aは3相のロータ位置検出パルスを示す波形図であり、図8Bはロータ速度検出パルスを示す波形図である。
【図9】パルス生成回路の真理値表を示す表図である。
【図10】図10Aは3相のロータ位置検出パルスを誤差成分と共に示す説明図であり、図10Bはロータ速度検出パルスに基づいて第1の手法で速度検出した場合の誤差成分による影響を示す説明図であり、図10Cは第1の手法で速度検出した場合の誤差成分による影響を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る電動車両の停止制御方法の第1制御形態を示す構成図である。
【図12】第1制御形態において、アクセル比に対する内部信号の波形変化を示す波形図である。
【図13】内部信号がOFFになった段階のロータ速度検出パルスの波形と停止フラグのONのタイミング及び電磁ブレーキの起動タイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】本実施の形態に係る電動車両の停止制御方法の第2制御形態を示す構成図である。
【図15】内部信号がOFFになった段階のロータ速度検出パルスの波形、計数器による計数値の変化、速度指令値の変化、停止フラグのONのタイミング及び電磁ブレーキの起動タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0096】
10…モータ 12…ロータ
50、50a…速度検出回路 52…磁気検出回路
54…ロータ位置検出回路 56…パルス生成回路
58…CPU 60…ロータ位置検出手段
62…ロータ速度検出手段 64a…第1磁気センサ部
64b…第2磁気センサ部 74…第1論理回路
76…第2論理回路 82…操作レバー
100…電動車両 102…車軸
104…電子制御ユニット 106…伝達機構
108…電磁ブレーキ 110…ブレーキ駆動回路
112…モータ駆動回路 114…アクセル検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を制動するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法において、
前記電動車両は、前記モータの回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出回路を有し、
前記操作レバーからの前記操作指示が前記モータの回転停止を示し、且つ、前記モータの回転が前記駆動制御手段によって減速制御される時点から、前記速度検出回路からの前記パルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の基準時点とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両の停止制御方法において、
前記速度検出回路は、
前記モータのロータに対向して配された少なくとも3つの磁気センサを有し、前記ロータの回転に伴う前記複数の磁極の変化を3相のデジタル波形として出力する磁気検出回路と、
前記3相のデジタル波形の各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された前記一連のパルス信号を生成するパルス生成回路とを有し、
前記パルス生成回路からの出力に基づいて前記ロータの回転速度を検出することを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両の停止制御方法において、
前記パルス生成回路は、
前記3相のデジタル波形のうち、第1相のデジタル波形と第2相のデジタル波形との排他的論理和を出力する第1論理回路と、
前記3相のデジタル波形のうち、第3相のデジタル波形と、前記第1論理回路の出力との排他的論理和を出力する第2論理回路とを有し、
前記第2論理回路の出力の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の前記基準時点とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項4】
請求項3記載の電動車両の停止制御方法において、
前記第2論理回路の出力の立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間又は立ち下がりから次の任意の立ち下がりの期間を速度検出周期とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項1】
操作レバーと、車軸と、前記操作レバーからの操作指示に基づいて駆動制御手段により回転制御されるモータと、前記モータの回転力を車軸に伝達する伝達機構と、前記モータの回転を制動するためのブレーキとを有する電動車両の停止制御方法において、
前記電動車両は、前記モータの回転に伴って生成される一連のパルス信号に基づいて前記モータの回転速度を検出する速度検出回路を有し、
前記操作レバーからの前記操作指示が前記モータの回転停止を示し、且つ、前記モータの回転が前記駆動制御手段によって減速制御される時点から、前記速度検出回路からの前記パルス信号の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の基準時点とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両の停止制御方法において、
前記速度検出回路は、
前記モータのロータに対向して配された少なくとも3つの磁気センサを有し、前記ロータの回転に伴う前記複数の磁極の変化を3相のデジタル波形として出力する磁気検出回路と、
前記3相のデジタル波形の各立ち上がり及び各立ち下がりがそれぞれ反映された前記一連のパルス信号を生成するパルス生成回路とを有し、
前記パルス生成回路からの出力に基づいて前記ロータの回転速度を検出することを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両の停止制御方法において、
前記パルス生成回路は、
前記3相のデジタル波形のうち、第1相のデジタル波形と第2相のデジタル波形との排他的論理和を出力する第1論理回路と、
前記3相のデジタル波形のうち、第3相のデジタル波形と、前記第1論理回路の出力との排他的論理和を出力する第2論理回路とを有し、
前記第2論理回路の出力の2回の立ち下がりを経過した時点を、前記モータの回転を前記ブレーキによって停止させる契機の前記基準時点とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【請求項4】
請求項3記載の電動車両の停止制御方法において、
前記第2論理回路の出力の立ち上がりから次の任意の立ち上がりまでの期間又は立ち下がりから次の任意の立ち下がりの期間を速度検出周期とすることを特徴とする電動車両の停止制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−220028(P2008−220028A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52872(P2007−52872)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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