説明

電子ビーム硬化シリコーン材料

電子ビーム硬化を使用してシリコーン材料を作製する方法が述べられる。材料は、有効量の触媒及び開始剤がない状態でホットメルト処理され硬化される。官能性及び非官能性両方のシリコーン材料を使用することができる。例示的な硬化材料には、シリコーン感圧性接着剤、シリコーンフォーム及び非粘着性シリコーンフィルムが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリコーン感圧性接着剤、シリコーンフォーム及び非粘着性シリコーンフィルムを含むシリコーン材料に関する。より具体的には、本開示は、電子ビーム照射にさらすことによって硬化されたシリコーン材料について述べる。
【背景技術】
【0002】
感圧性接着剤(PSA)は、重要な部類の材料である。一般に、PSAは、軽い圧力(例えば、指の圧力)で基材に接着し、一般にその最大結合力を達成するために後硬化(例えば、熱又は放射)を必要としない。例えばアクリル、ゴム及びシリコーンを基にした系を含む様々なPSA化学物質が入手可能である。シリコーンPSAは、低界面エネルギー(LSE)面への接着、短い保圧時間での素早い接着、広い使用温度(即ち、極端に高い温度及び低い温度での性能)、耐候性(紫外線(UV)放射、酸化及び湿度に対する耐性を含む)、応力変化(例えば、印加応力の形態、頻度及び角度)の影響を受けにくいこと、化学薬品(例えば、溶媒及び可塑剤)及び生物学的物質(例えば、かび及び菌類)に対する耐性などの有用な特徴のうちの1つ又は複数を提供する。
【0003】
一般に、シリコーン感圧性接着剤は、ポリマー又はゴムと粘着付与樹脂との縮合反応によって形成されてきた。ポリマー又はゴムは、一般に、高分子量シラノール末端ポリ(ジオルガノシロキサン)材料、例えばシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」)又はポリ(ジメチルメチルフェニルシロキサン)である。粘着付与樹脂は、一般に、トリメチルシロキシ基でエンドキャップされた三次元ケイ酸塩構造である。ポリマー又はゴムの末端シラノール基の他に、粘着付与樹脂は、残留シラノール官能基を有する場合がある。
【0004】
そのような系は、高分子量の出発原料に依存し、したがって、室温で塗布するのに適した粘性にするために溶媒で希釈されなければならない。典型的な塗布可能な溶液は、溶媒(例えば、トルエン又はキシレンなどの芳香族溶媒)中に60重量%未満の固体を含有する。従来のシリコーンPSAを使用するときに50%を超える揮発性有機化合物(VOC)含有量が共通になるように、塗布前に追加の溶媒が添加されてもよい。
【0005】
シリコーンPSAの低VOC供給に関して、多くの手法が研究されてきた。例えば、例えばシリコン結合水素、シリコン結合ビニル、シリコン結合エポキシ、及びシリコン結合アクリレートを含むポリマーなどの低粘性で高官能性のシリコーンポリマーを主成分とする水性エマルジョン系及び液体無溶媒系が研究されてきた。シリコン結合加水分解性官能基(例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、又はオキシム基)に依存するホットメルト湿気硬化型シリコーンPSAも試みられてきた。
【0006】
このような進歩にもかかわらず、シリコーンPSAの低VOC供給のためのより頑強な方法が相変わらず必要である。また、より多様なシリコーン化学物質を使用できるようにし、それにより、より広範囲の最終性能特性を可能にする低VOC供給プロセスも必要である。
【0007】
幾つかのシリコーンPSA配合物は、溶媒除去後に許容可能な性能を提供し、幾つかの系は、付加的な架橋処理から利益を得る。従来のシリコーンPSAは、特定タイプの触媒を使用する熱プロセスによって硬化される。例えば、白金触媒は付加硬化系と共に使用され、過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル)は水素引抜硬化系と共に使用され、錫触媒は湿気/縮合硬化系と共に使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に、これらの手法のうちの幾つかは、シロキサン主鎖に結合された反応性官能基を必要とする。例えば、付加硬化白金触媒系は、一般に、シリコン結合ビニル官能基とシリコン結合水素との間のヒドロシレーション反応に依存する。一般に、特に早期硬化を回避しなければならないホットメルト塗布又は他の状況では、触媒を使用せずに硬化させることができるシリコーン接着系を有することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡潔に言えば、一態様において、本開示は、架橋シリコーン系材料を作製する方法を提供する。この方法は、シリコーン材料を含む組成物をホットメルト処理する工程と、その組成物に電子ビーム照射にさらして架橋シリコーン系材料を形成する工程とを含む。組成物には、有効量の触媒及び開始剤がない。幾つかの実施形態では、ホットメルト処理する工程は、押し出し成形することを含む。
【0010】
幾つかの実施形態では、シリコーン材料は、非官能化シリコーン材料である。幾つかの実施形態では、シリコーン材料は、シロキサン主鎖と少なくとも1つの官能基とを含む。幾つかの実施形態では、官能基は全てヒドロキシ基である。
【0011】
幾つかの実施形態では、架橋シリコーン系材料は、シリコーン感圧性接着剤である。幾つかの実施形態では、架橋シリコーン系材料は、シリコーンフォームである。幾つかの実施形態では、架橋シリコーン系材料は、非粘着性シリコーンフォームである。
【0012】
幾つかの実施形態では、シリコーン材料は、ポリシロキサン、例えば、ポリ(ジアルキルシロキサン)又はポリ(ジメチルシロキサン)である。幾つかの実施形態では、ポリシロキサンは、芳香族シロキサンである。
【0013】
幾つかの実施形態では、組成物は、粘着付与剤、例えば、MQ樹脂粘着付与剤を更に含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、本開示の方法により作製された架橋シリコーン系材料を提供する。幾つかの実施形態では、シリコーン感圧性接着剤は、架橋シリコンエラストマーを含み、この接着剤には、実質的に触媒及び開始剤がない。幾つかの実施形態では、接着剤は、粘着付与剤、例えば、MQ樹脂粘着付与剤を更に含む。幾つかの実施形態では、材料は、発泡体である。幾つかの実施形態では、材料は、非粘着性フィルムである。
【0015】
本開示の上記の概要は、本発明の各実施形態を説明することを意図したものではない。また、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明から、また特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の幾つかの実施形態による例示的なフォームコアテープ。
【図2】本開示の幾つかの実施形態による例示的な架橋ポリシロキサンフォーム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般に、本開示の架橋シロキサンネットワークは、官能性又は非官能性のシリコーン材料から形成することができる。一般に、シリコーン材料は、油、流体、ゴム、エラストマー又は樹脂、例えば、砕けやすい固体樹脂であってよい。幾つかの実施形態では、非官能化シリコーン材料は、脂肪族及び/又は芳香族置換基を有するシロキサン主鎖を示す以下の化学式によって表される線形材料であってよい。
【0018】
【化1】


ここで、R1、R2、R3及びR4は、独立してアルキル基及びアリール基から成る群から選択され、各R5はアルキル基であり、n及びmは整数であり、mとnのうちの少なくとも一方は0ではない。幾つかの実施形態では、アルキル基又はアリール基のうちの1つ又は複数はハロゲン置換基、例えばフッ素を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、アルキル基のうちの1つ又は複数は、−CHCHであってよい。
【0019】
幾つかの実施形態では、R5はメチル基であり、即ち、非官能化シリコーン材料は、トリメチルシロキシ基で終端している。幾つかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、nは0であり、即ち、材料はポリ(ジアルキルシロキサン)である。幾つかの実施形態では、アルキル基はメチル基、即ちポリ(ジメチルシロキサン)(「PDMS」)である。幾つかの実施形態では、R1はアルキル基であり、R2はアリール基であり、nは0であり、即ち、材料は、ポリ(アルキルアリールシロキサン)である。幾つかの実施形態では、R1はメチル基であり、R2はフェニル基であり、即ち、材料は、ポリ(メチルフェニルシロキサン)である。幾つかの実施形態では、R1及びR2はアルキル基であり、R3及びR4はアリール基であり、即ち、材料は、ポリ(ジアルキルジアリールシロキサン)である。幾つかの実施形態では、R1及びR2はメチル基であり、R3及びR4はフェニル基であり、即ち、材料は、ポリ(ジメチルジフェニルシロキサン)である。
【0020】
幾つかの実施形態では、非官能化シリコーン材料は、分枝状であってもよい。例えば、R1、R2、R3及び/又はR4基のうちの1つ又は複数は、アルキル又はアリール(ハロゲン化アルキル又はアリールを含む)置換基及び末端R5基を有する直鎖又は分岐シロキサンであり得る。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「非官能性基」は、炭素、水素、及び実施形態によってはハロゲン(例えば、フッ素)原子から成るアルキル基又はアリール基のいずれかである。本明細書で使用されるとき、「非官能化シリコーン材料」は、R1、R2、R3、R4及びR5基が非官能性基のものである。
【0022】
一般に、官能性シリコーン系は、出発原料のシロキサン主鎖に結合された特定の反応性基(例えば、水素基、水酸基、ビニル基、アリル基又はアクリル基)を含む。本明細書で使用されるとき、「官能化シリコーン材料」は、式2のR基のうちの少なくとも1つが官能基のものである。
【0023】
【化2】

【0024】
幾つかの実施形態では、官能性シリコーン材料は、R基のうちの少なくとも2つが官能基のものである。一般に、式2のR基は、独立して選択され得る。幾つかの実施形態において、存在する唯一の官能基は、水酸基、例えば、シラノール末端ポリジメチルシロキサンなどのシラノール末端ポリシロキサンである。
【0025】
官能性R基の他に、R基は、非官能性基、例えば、ハロゲン化(例えばフッ素化)アルキル基及びアリール基を含むアルキル基又はアリール基であってもよい。幾つかの実施形態では、官能化シリコーン材料は、分枝状であってもよい。例えば、R基のうちの1つ又は複数は、官能性及び/又は非官能性の置換基を有する直鎖又は分岐シロキサンであり得る。
【0026】
一般に、分子量が低く粘性が低い材料は、流体又は油と呼ばれ、分子量が高く粘性が高い材料はゴムと呼ばれるが、これらの用語に厳密な区別はない。一般に、用語「流体」及び「油」は、25℃で1,000,000mPa・秒以下(例えば、600,000mPa・秒未満)の動的粘度を有する材料を指し、25℃で1,000,000mPa・秒を超える(例えば、少なくとも10,000,000mPa・秒の)動的粘度を有する材料は、「ゴム」と呼ばれる。
【0027】
本開示の感圧性接着剤は、シリコーン材料(例えば、シリコーンゴム又はエラストマー)を適切な粘着付与樹脂と組み合わせ、得られた組み合わせをホットメルト塗布し、電子ビーム(Eビーム)照射を使用して硬化させることによって調製することができる。一般に、感圧性接着剤の配合に有用な任意の既知の添加物(例えば、染料、色素、充填剤、難燃剤、レオロジー変性剤、流動剤、界面活性剤、ミクロスフェア(例えば、膨張性ミクロスフェア)なども含まれてよい。
【0028】
一般に、任意の既知の粘着付与樹脂が使用されてよく、例えば、幾つかの実施形態では、ケイ酸塩粘着付与樹脂が使用されてよい。幾つかの例示的接着剤組成物においては、複数のケイ酸塩粘着付与樹脂を使用して、望ましい性能を得ることができる。
【0029】
適切なケイ酸塩粘着付与樹脂には、以下の構造単位M(即ち、1価のR’SiO1/2単位)、D(即ち、2価のR’SiO2/2単位)、T(即ち、3価のR’SiO3/2単位)、及びQ(即ち、4級のSiO4/2単位)、並びにこれらの組み合わせから成る樹脂が挙げられる。典型的な例示的ケイ酸塩樹脂としては、MQケイ酸塩粘着付与樹脂、MQDケイ酸塩粘着付与樹脂、及びMQTケイ酸塩粘着付与樹脂が挙げられる。これらのケイ酸塩粘着付与樹脂は、通常、100〜50,000gm/モル、例えば、500〜15,000gm/モルの範囲の数平均分子量を有し、一般にR’基はメチル基である。
【0030】
MQケイ酸塩粘着付与樹脂は、共重合体樹脂であり、ここで、各M単位はQ単位に結合され、各Q単位は少なくとも1つの他のQ単位に結合される。Q単位のうちの幾つかは、他のQ単位だけに結合される。しかしながら、幾つかのQ単位は、ヒドロキシルラジカルに結合されてHOSiO3/2単位(即ち「TOH」単位)、をもたらし、それがケイ酸塩粘着付与樹脂のある程度のシリコン結合ヒドロキシル含量の原因となる。
【0031】
シリコン結合水酸基(即ち、シラノール)のMQ樹脂上の濃度は、ケイ酸塩粘着付与樹脂の重量に基づいて、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.0重量%以下、又は0.8重量%以下まで減らすことができる。これは、例えばヘキサメチルジシラザンをケイ酸塩粘着付与樹脂と反応させることによって実現することができる。このような反応は、例えばトリフルオロ酢酸で触媒してもよい。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをケイ酸塩粘着付与樹脂と反応させてもよく、この場合、触媒は必要ではない。
【0032】
MQDシリコーン粘着付与樹脂は、M、Q及びD単位を有する三元重合体である。幾つかの実施形態では、D単位のメチルR’基の幾つかを、ビニル(CH2=CH−)基(「DVi」単位)と置き換えることができる。MQTケイ酸塩粘着付与樹脂は、M、Q及びT単位を有する三元重合体である。
【0033】
適切なケイ酸塩粘着付与樹脂は、Dow Corning(例えば、DC 2−7066)、Momentive Performance Materials(例えば、SR545及びSR1000)などの供給元から市販されている。
【0034】
シリコーン材料、粘着付与樹脂、及び任意選択の添加物は、ホットメルト塗布され硬化される前に、種々様々な既知の手段のいずれかによって組み合わされてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、様々な成分が、混合機、配合機、粉砕機、押し出し成形機などの一般的な装置を使用してあらかじめ配合されてもよい。幾つかの実施形態では、ホットメルト塗布プロセスは、押し出し成形である。そのような実施形態では、様々な成分が、様々な組み合わせで、又は個々に、押し出し成形機の1つ又は複数の別個のポートを介して合わせられ、押し出し成形機内で配合され(例えば、溶融混合され)、押し出し成形されてホットメルト塗布組成物を形成することができる。形成される方法にかかわらず、ホットメルト塗布組成物は、電子ビーム照射にさらされることにより硬化される。
【0035】
幾つかの実施形態では、本開示の方法及び材料は、シリコーン接着剤フォームなどのシリコーンフォームを発泡させるのに使用されることができる。シリコーンフォームは、弾力性、広い使用温度安定性(例えば、−50℃〜約200℃)、不活性、及び固有難燃性などの独特の特性を提供する。一般に、シリコーンフォームは、セルの成長又は膨張(即ち、発泡プロセス)とセルの安定化(即ち、架橋プロセス)が同時に起こるプロセスで作製されてきた。シリコーンフォームの最も一般的なセル膨張化学物質は、化学発泡剤、例えばアゾ含有化合物又は架橋反応による凝縮ガス副生成物に依存する。
【0036】
対照的に、本開示の電子ビーム硬化プロセスの使用により、セル膨張、即ち発泡プロセス、及びセル安定化、即ち架橋プロセスを、独立して最適化することができる。幾つかの実施形態では、これにより、セル構造の制御が改善され、フォームセルサイズの分布を均一にすることができる。電子ビーム硬化シリコーンフォームは、硬質非ポリマー中空ミクロスフェア(例えば、ガラスバブル)、及び熱膨張性ポリマーミクロスフェアなどのポリマーミクロスフェアの両方を含むミクロスフェアで作製することができる。
【0037】
ガラスバブルは、当該技術分野で既知であり、購入及び/又は当該技術分野で既知の技術によって作製することができる。有用なガラスバブルには、3M社から商標「3M SCOTCHILITE GLASS BUBBLES」(例えば、等級K1、K15、S15、S22、K20、K25、S32、K37、S38HS、K46、A16/500、A20/1000及びD32/4500)で入手可能なガラスバブル、Potters Industriesから商標「Q−CELL HOLLOW SPHERES」(例えば、等級30、6014、6019、6028、6036、6042、6048、5019、5023及び5028)で入手可能なガラスバブル、及びSilbrico Corp.から商標「SIL−CELL」(例えば、等級SIL 35/34、SIL−32、SIL−42及びSIL−43)で入手可能なガラスバルブが挙げられる。これらのガラスバブルは、一般に、0.1g/cm〜0.5g/cmの範囲の平均密度、及び5〜250マイクロメートルの範囲の平均バブルサイズを有する。
【0038】
ポリマーミクロスフェアは、ポリマーシェルを有する中空球体である。幾つかの実施形態では、膨張性ポリマーミクロスフェアを使用することができる。そのような膨張性ミクロスフェアは、気体、液体又はこれらの組み合わせ(例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブテン、ネオペンタン及びこれらの組み合わせ)の形態のポリマーシェル及びコア材料を含む。加熱すると、シェルが柔らかくなりコアが膨張して、シェルが壊れることなく膨張する。冷却すると、シェルは再び硬化し、膨張性ミクロスフェアは膨張したままになる。例示的な熱膨張性ポリマーミクロスフェアは、アクリロニトリル含有シェル及び適切なコア材料を有し、有用な膨張性ミクロスフェアには、Henkelから商標「MICROPEARL」(例えば、等級F30、F80及びF100)で入手可能なミクロスフェア、及びAkzo−Nobelから商標EXPANCEL(例えば、「Expancel 551」、「Expancel 461」及び「Expancel 091」)で市販されているミクロスフェアが挙げられる。
【0039】
シリコーン材料、ミクロスフェア及び任意選択の添加物は、ホットメルト塗布され硬化される前に、種々様々な既知の手段のいずれかによって組み合わされてもよい。一般に、発泡体に有用な任意の既知の添加物(例えば、粘着付与剤、可塑剤、染料、色素、充填剤、難燃剤、レオロジー変性剤、及び界面活性剤)も含まれてよい。例えば、幾つかの実施形態では、様々な成分が、混合機、配合機、粉砕機、押し出し成形機などの一般的な装置を使用してあらかじめ配合されてもよい。幾つかの実施形態では、ホットメルト塗布プロセスは、押し出し成形である。そのような実施形態では、様々な成分が、様々な組み合わせで、又は個々に、押し出し成形機の1つ又は複数の別個のポートを介して合わせられ、押し出し成形機内で配合され(例えば、溶融混合され)、押し出し成形されてホットメルト塗布組成物を形成することができる。形成される方法にかかわらず、ホットメルト塗布組成物は、電子ビーム照射にさらされることにより硬化される。
【0040】
様々な電子ビーム硬化方法が周知である。硬化は、電子ビームを供給するのに使用される特定の機器に依存し、当業者は、使用される機器の線量較正モデルを規定することができる。
【0041】
市販の電子ビーム発生装置が、容易に入手可能である。本明細書に述べる例では、照射処理は、モデルCB−300電子ビーム発生装置(Energy Sciences,Inc.(Wilmington、MA)から入手可能)で実行された。一般に、支持フィルム(例えば、ポリエステルテレフタレート支持フィルム)が、不活性チャンバ内に延在する。幾つかの実施形態では、両面にライナー(例えば、フルオロシリコーン剥離ライナー)を有する未硬化材料の試料(「閉面」)が、支持フィルムに付着され、約20フィート/分(6.1メートル/分)の定速で搬送されてもよい。幾つかの実施形態では、未硬化材料の試料が一方のライナーに適用され、反対面にライナーがなくてもよい(「開面」)。
【0042】
未硬化材料は、剥離ライナーを通して片側から電子ビーム照射にさらされてもよい。単一層の積層粘着型テープを作製するには、電子ビームに1回通すことで十分であり得る。フォームテープなどのより厚い試料は、テープの断面全体に硬化勾配を呈する場合があり、その結果、未硬化材料を両面から電子ビーム照射にさらすことが望ましい場合がある。
【0043】
シリコーン材料を硬化させるための以前の方法と対照的に、本開示の方法は、触媒又は開始剤の使用を必要としない。したがって、本開示の方法は、触媒又は開始剤を「実質的に含まない」組成物を硬化させるのに使用することができる。本明細書で使用されるとき、組成物が「有効量」の触媒又は開始剤を含まない場合は、組成物は「触媒及び開始剤を実質的に含まない」。触媒又は開始剤の「有効量」は、触媒又は開始剤の種類、硬化性材料の組成、及び硬化方法(例えば、熱硬化、紫外線硬化など)を含む様々な要素に依存することがよく理解されよう。幾つかの実施形態では、特定の触媒又は開始剤は、その触媒又は開始剤の量により、組成物の硬化時間が、その触媒又は開始剤なしで同じ硬化条件での同じ組成物の硬化時間より少なくとも10%短くならない場合に、「有効量」で存在しない。
【実施例】
【0044】
以下の実施例は、様々なシリコーン化学物質を電子ビーム(Eビーム)照射で硬化させて感圧性接着剤を得ることができるという本発明者の驚くべき発見を示す。そのような電子ビーム硬化接着剤の性能は、従来の硬化に必要とされる触媒又は開始剤を使用しなくても、従来方法を使用して硬化された同じ接着剤と同等である。
【0045】
比較のため、3つの試料をシリコーン化学物質のそれぞれで調製した。即ち、シリコーンが硬化していない参照例、触媒の使用により適切な従来方法によってシリコーンが硬化された比較例、並びに触媒及び開始剤なしで電子ビーム照射でシリコーンが硬化された本開示の例である。試料は、以下の試験により、剥離粘着力及び静剪断力が試験された。
【0046】
剥離粘着力試験。剥離粘着力は、INSTRON引張試験機を使用して測定した。粘着性試料は、幅1.27cm、長さ11.4cmに細長く切られ、粘着物の主面の1つを使用して厚さ0.127mm、幅1.6cmのアルミニウム箔裏材に積層された。次に、得られたテープを、4.5lb(2kg)硬質ゴムローラを4回完全通過させてきれいなパネルに貼り付けた。試験前に、試料を、20分間又は3日間、試験前に室温(22℃)及び相対湿度50%にてエージングした。次に、パネルをINSTRON引張試験機に取り付け、テープを30.5cm/分の速度で90度の角度で引き剥がした。結果を0.5インチ(1.27cm)当たりのポンドで測定し、N/cmに変換した(即ち、3.5N/cm=1lbf/0.5インチ)。
【0047】
静剪断試験。剪断試験。寸法2.54cm×1.27cmのテープ試料を、寸法2.54cm×5.08cmのパネルに積層して、テープの縁がパネルの縁と同一広がりをもつようにした。パネルを1.27cm重ねることで、反対方向に延びるテープとパネルの自由端とを覆った。パネルの一端を、70℃に設定された炉内のラックに吊るし、他のパネルの端の底部から500グラムの重りを吊るし、それにより、テープ試料に剪断応力をかけた。吊るされたパネルから底部パネルが離れる時間を最大10,000分間監視した。破損する迄の時間を、分で記録した。10,000分間持ち堪えた試料は、「10,000+」の値を記録した。
【0048】
剥離試験及び剪断試験は、ポリプロピレンパネル及び塗装パネルの両方を使用して行なわれた。ポリプロピレンパネルは、Standard Plaque Inc.(Melvindale、MI)から得られた。塗装パネルは、ACT(Hilldale、MI)によるAPR46336と確認された。受け取ったままの状態で、塗装パネルは、典型的な自動車塗装系を使用して調製された。基本電気塗装、着色下地塗装、及び低界面エネルギーカルバメート架橋無着色アクリル系クリア塗装から成る自動車塗装系が、ステンレス鋼パネルに適用された。得られた試験面には、「Accu−Dyne」ソリューションを使用して測定されたとき、32ダイン/cmの界面エネルギーがあった。
【0049】
発泡体密度試験手順フォームシートの厚さ(L)が測定された。ナイフカッターでフォームシートを切断して、1インチ×1インチ(2.54cm×2.54cm)の正方形の断面領域を有する試料を形成した。試料の重量は、グラムで測定された。密度は、試料の重量をその体積で割ることによって計算され、体積は、試料の厚さとその断面積との積である。
【0050】
試料の調製に使用される材料を表1にまとめる。
【0051】
【表1】

【0052】
シリーズ1:DC−7658
【0053】
参照例RE−1。DC−7658を、受け取ったままの状態で、127マイクロメートル(5ミル)のギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。
【0054】
比較例CE−1。125グラムのDC−7658をガラスジャー内で0.5グラムのDC−7678(架橋剤)及び0.5グラムのSyl−Off−4000(触媒)と混合し、ローラミキサ上に室温で4時間置いた。混合溶液を、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。
【0055】
実施例1A、1B及び1C。DC−7658を、受け取ったままの状態で、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。次に、乾燥試料を、50ppm未満の酸素レベルで4.005ジュール(250kev)及び様々な線量レベル(1Mrad(EX−1A)、5Mrad(EX−1B)及び9Mrad(EX−1C))の電子ビームチャンバに通した。
【0056】
シリーズ2:DC−7355
【0057】
参照例RE−2。DC−7355を、得られたままの状態で、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。
【0058】
比較例CE−2。100グラムのDC−7355及び4グラムの触媒(SID−3352−O)を、ガラスジャー内で混合し、その後このガラスジャーを、ローラミキサ上に室温で4時間置いた。混合溶液を、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で10分間乾燥され、次いで150℃で更に15分間硬化された。
【0059】
実施例2A、2B及び2C。DC−7355を、得られたままの状態で、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。乾燥試料を、50ppm未満の酸素レベルで4.005ジュール(250kev)及び様々な線量レベル(1Mrad(EX−2A)、5Mrad(EX−2B)及び9Mrad(EX−2C))の電子ビームチャンバに通した。
【0060】
シリーズ3:Q2−7735
【0061】
参照例RE−3。Q2−7735を、得られたままの状態で、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。
【0062】
比較例CE−3。100グラムのQ2−7735及び4グラムのSID−3352−O(触媒)を、ガラスジャー内で混合し、その後このガラスジャーを、ローラミキサ上に室温で4時間置いた。混合溶液を、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で10分間乾燥され、次いで150℃で更に15分間硬化された。
【0063】
実施例3A、3B及び3C。Q2−7735を、得られたままの状態で、127マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間乾燥された。乾燥試料を、50ppm未満の酸素レベルで4.005ジュール(250kev)及び様々な線量レベル(1Mrad(EX−3A)、5Mrad(EX−3B)及び9Mrad(EX−3C))の電子ビームチャンバに通した。
【0064】
シリーズ4:DC−2013
【0065】
参照例RE−4。DC−2013を、受け取ったままの状態で、51マイクロメートル(2ミル)のギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。
【0066】
比較例CE−4。50グラムのDC−2013、0.3グラムのDC−7678(架橋剤)及び0.3グラムのDC−4000(触媒)を、ローラミキサ上に室温で4時間置かれたガラスジャー内で混合した。混合溶液を、51マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料は、直ちに70℃の炉内で15分間硬化された。
【0067】
実施例4A、4B及び4C。DC−2013を、受け取ったままの状態で、51マイクロメートルのギャップを有するナイフ塗布機を使用してPET−3SACフィルム上に塗布した。塗布された試料を、50ppm未満の酸素レベルで4.005ジュール(250kev)及び様々な線量レベル(1Mrad(EX−4A)、5Mrad(EX−4B)及び9Mrad(EX−4C))の電子ビームチャンバに通した。
【0068】
参照例及び比較例と比較した例示的な電子ビーム接着剤の剥離粘着力及び静剪断力性能を表2にまとめる。
【0069】
【表2】

【0070】
幾つかの実施形態では、本開示のシリコーンPSAは、フォームコアテープのスキン接着層として有用な場合がある。例示的なフォームコアテープを図1に示す。テープ10は、フォームコア20及びシリコーンPSA層30を含む。PSA層とフォームコアとの間には、任意選択のプライマー層(primer layer)40が挟まれる。幾つかの実施形態では、フォームコア20の反対面に第2の接着層50が付着されてもよい。この場合も、幾つかの実施形態では、接着層をフォームコアに接着させるのを助けるためにプライマー層が使用されてもよく、あるいは図1に示すように、接着層50がフォームコア20に直接接着されてもよい。
【0071】
例示的なフォームコアは、アクリレート、シリコーン、ポリオレフィン、ポリウレタン及びゴム(例えば、ブロックコポリマー)のうちの1つ又は複数を含む。これらの材料は、球体(例えば、膨張性ミクロスフェアを含むガラス及びポリマーミクロスフェア)の封入、起泡、化学発泡剤の使用などの任意の既知の技術によって発泡されてよい。幾つかの実施形態では、フォームコア(例えば、シリコーンフォームコア)は、シリコーンPSAと別個に、又は同じ工程で電子ビーム硬化されてもよい。
【0072】
フォームコアテープに加えて、本開示のシリコーンPSAの幾つかは、内部支持体(例えば、スクリム)の有無にかかわらず、独立フィルム(free film)として使用されてもよい。シリコーンPSAは、他の片面塗布及び両面塗布テープ構造の一部として使用されてもよく、即ち、支持層、例えば紙、ポリマーフィルム(例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はウレタンポリマーなどのフッ素化ポリマー)、又は金属箔に直接又は間接的に接着されてもよい。
【0073】
シリコーンスキン接着剤を有するフォームコアテープは、表3に商標によって示されるような様々な市販のシリコーン感圧性接着剤材料を使用して調製された。
【0074】
【表3】

【0075】
シリコーン材料は、乾燥厚さ50マイクロメートル(2ミル)になるように、下準備されたポリエステルフィルム上にナイフ塗布され、70℃で15分間乾燥された。得られたテープは、4.80ジュール(300kev)の加速電圧及び6Mradの線量にて電子ビーム照射された。電子ビームユニットは、ブロードバンドカーテン型電子ビーム処理装置(PCT Engineered Systems、LLC、Davenport、IA)であった。非架橋試料及び電子ビーム架橋試料を、剥離試験(表4a)及び剪断試験(表4b)により試験した。
【0076】
【表4】

【0077】
【表5】

【0078】
次に、これらの同じ材料を使用してフォームコアテープを形成した。シリコーン材料は、最初に、乾燥厚さ50マイクロメートル(2ミル)になるように、フルオロシリコーンライナー上にナイフ塗布され、70℃で15分間乾燥された。次に、乾燥シリコーンPSAは、ADHESION PROMOTER 4298UV(シクロヘキサン、キシレン、エチルアルコール、エチルベンゼン、酢酸エチル、アクリルポリマー、塩素化ポリオレフィン及びイソプロピルアルコールを含有する液体プライマー。3M Company、St.Paul、MNから入手可能)で塗布され、ACRYLIC FOAM TAPE 5344(中間密度アクリルフォームコア及びフォームコアの両側にアクリル接着剤を有するテープ。3Mから入手可能)に積層された。これらの積層体は、フルオロシリコーンライナーによって支持されたまま、4.80ジュール(300kev)の加速電圧並びに6及び10Mradの線量で電子ビーム照射された。電子ビームユニットは、ブロードバンドカーテン型電子ビーム処理装置(PCT Engineered Systems、LLC、Davenport、IA)であった。更に、電子ビーム架橋試料を、剥離試験及び剪断試験により試験した。結果を表5a及び表5bにまとめる。凝集破壊は観察されなかった。
【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
ホットメルト塗布試料
【0082】
実施例HM−1。1キログラムのPSA590(Momentive Performance Materialsから受け取ったままの状態で使用された)をアルミニウムトレー内で66℃(150°F)にて一週間乾燥させた。乾燥された接着剤は、ツインスクリュー押し出し成形機(Berstorffから入手可能)に供給され、回転ロッドダイ塗布機(rotary rod die coater)で乾燥厚さ50マイクロメートル(2ミル)にて、フルオロシリコーン塗布PETライナー(Loparex製の2 CL PET 5100/5100)上に塗布された。塗布された試料は、4.80ジュール(300kev)及び6Mradにて更に電子ビーム照射された。
【0083】
実施例HM−1F。ADHESION PROMOTER 4298UV(3M Company)で下準備された5666フォームテープ(3M Company)の表面に実施例HM−1の硬化接着剤を積層することによりフォームコアテープを調製した。
【0084】
実施例HM−2〜HM−7は、EL POLYMER NA(Wacker)とTMS−803(Wacker)とをBrabender内で120℃(250°F)にて60分間混合することによって調製された。混合物は、下準備されたPETフィルムとフルオロシリコーン塗布PETライナー(Loparex製の2 CL PET 5100/5100)との間で、厚さ50マイクロメートル(2ミル)の未硬化接着層にホットプレスされた。次に、接着層に電子ビーム(4.80ジュール(300kev)及び6Mrad)を照射した。
【0085】
実施例HM−2F〜HM−7Fは、実施例HM−2〜HM−7の未硬化接着層を、ADHESION PROMOTER 4298UV(3M Company)で下準備された5666フォームテープ(3M Company)の表面に積層することにより調製された。次に、得られた構造物を電子ビーム照射(4.80ジュール(300kev)及び6Mrad)にさらした。
【0086】
【表8】

【0087】
ホットメルト塗布試料の剥離及び剪断を試験した。結果を表7にまとめる。
【0088】
【表9】

【0089】
【表10】

【0090】
実施例HM−8。3800gのELポリマーNA(Wacker)及び6200gのTMS−803(Wacker)は、260℃(500°F)でツインスクリュー押し出し成形機(Berstorffから入手可能)に供給され、回転ロッドダイ塗布機によって、EX4011フォームテープ(3M Company)上に乾燥厚さギャップ50マイクロメートル(2ミル)で塗布された。フォームテープの接着剤塗布面は、フルオロシリコーン塗布PETライナー(Loparex製の2 CL PET 5100/5100)によって覆われ、4.80ジュール(300kev)及び6又は12Mradにて電子ビーム照射された。
【0091】
実施例HM−9。実施例HM−9は、3400gのELポリマーNAと6600gのTMS−803が使用されたことを除き、実施例HM−8の手順にしたがって調製された。
【0092】
実施例HM−8及びHM−9は、2つの基材上の剥離粘着力に関して試験された。剥離は、20分の静止及び48時間の静止の後に測定された。
【0093】
【表11】

【0094】
発泡体実施例。
【0095】
電子ビーム硬化シリコーンフォームを調製するために使用された材料を表9にまとめる。
【0096】
【表12】

【0097】
実施例F−1は、20gのEL POLYMER NA、3gのTMS803、及び2gのF100膨張性ミクロスフェアを、Brabender内で93℃(200°F)、16RPMにて混合することによって調製された。次に、混合物を204℃(400°F)でホットプレッサ(Carver Laboratory Press)で発泡させた。得られた厚さ1.65mm(65ミル)のフォームシートは、乳白色で自己粘着性であった。次に、このフォームシートに両側から4.80ジュール(300kev)、6Mradにて電子ビームを照射した。こうして作製された硬化自己粘着性シリコーンフォームは、9.75g/インチ3の密度を有していた。
【0098】
発泡体実施例F−2〜F−19は、表10A及び図10Bに示す配合により調製された。成分は、スピードミキサ(DAC 600 FVZ)で5分間、2350RPMにて混合された。次に、混合物を、204℃(400°F)でホットプレッサ(Carver Laboratory Press)で圧縮させた。得られた厚さ1.5mm(60ミル)のフォームシートは乳白色であった。次に、これらのフォームシートに両側から4.80ジュール(300kev)、15Mradにて電子ビームを照射した。ガラスバブルを使用する試料の得られた発泡体密度を表10Aにまとめる。
【0099】
【表13】

【0100】
膨張性ポリマーミクロスフェアを使用する試料の得られた発泡体密度を表9Bにまとめる。
【0101】
【表14】

【0102】
例示的な架橋ポリシロキサンフォーム200を、図2に示す。発泡体200は、ポリマーミクロスフェア220が全体に分散した架橋ポリシロキサン材料210を含む。図示されていないが、ポリマーミクロスフェアと共に又はその代わりにガラスバブルを含むことができる。
【0103】
幾つかの実施形態では、本開示の材料及び方法を使用して、非官能化シリコーン材料から非感圧性材料を製造してもよい。電子ビーム架橋ポリシロキサンネットワークを有するそのような材料は、非粘着性シリコーンフィルムなどのフィルム及びコーティングを含む。
【0104】
非粘着性フィルムの実施例。
【0105】
実施例NTF−1は、40gのEL POLYMER NA及び4gのCAB−O−SIL TS−720ヒュームドシリカ(Cabot)を、Brabender内で、200℃及び60RPMにて約20分間混合することによって調製された。次に、混合物は、ホットプレッサ(Carver Laboratory Press)によって、2つのフルオロシリコーンライナー(Loparex製の2 CL PET 5100/5100)間で圧縮された。ポリシロキサン組成物は、4.80ジュール(300kev)及び10Mradにて電子ビーム照射された。得られた厚さ0.165mm(6.5ミル)のシリコーンフィルムは、透明、不粘着性、及び弾性であった。
【0106】
実施例NTF−2は、40gのDMS−53(Gelest)及び10gのCAB−O−SIL TS−720ヒュームドシリカTS−720を、Brabender内で、100℃及び60RPMにて約30分間混合することにより調製された。次に、混合物は、ホットプレッサ(Carver Laboratory Press)によって、2つのフルオロシリコーンライナー(Loparex製の2 CL PET 5100/5100)間で圧縮された。ポリシロキサン組成物は、4.80ジュール(300kev)及び10Mradにて電子ビーム照射された。得られた厚さ0.05mm(2ミル)のシリコーンフィルムは、透明、不粘着性、及び弾性であった。
【0107】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン材料を含む組成物をホットメルト処理する工程と、前記組成物を電子ビーム照射にさらして架橋シリコーン系材料を形成する工程とを含む、架橋シリコーン系材料を作製する方法。
【請求項2】
前記ホットメルト処理する工程が、押し出し成形することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シリコーン材料が、非官能化シリコーン材料である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シリコーン材料が、シロキサン主鎖と少なくとも1つの官能基とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記官能基が全て水酸基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋シリコーン系材料が、シリコーン感圧性接着剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコーン材料が、ポリシロキサンである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリシロキサンが、ポリ(ジメチルシロキサン)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリシロキサンが、芳香族シロキサンである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコーン材料が、25℃で1,000,000mPa・秒を超える動的粘度を有するゴムを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、MQ樹脂粘着付与剤を更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、ガラスバブル及びポリマーミクロスフェアのうちの少なくとも一方を更に含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記シリコーン材料が、25℃で600,000mPa・秒以下の動的粘度を有するシリコーン流体を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物には、実質的に触媒及び開始剤がない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によって作製された、架橋シリコーン系材料。
【請求項16】
前記架橋シリコーン系材料が、感圧性接着剤である、請求項15に記載の架橋シリコーン系材料。
【請求項17】
第1の主面を有する基材と、前記基材の前記第1の主面の少なくとも一部分に接着された請求項16に記載の前記シリコーン感圧性接着剤とを含む、接着性物品。
【請求項18】
前記基材が、発泡体を含む、請求項17に記載の接着性物品。
【請求項19】
前記架橋材料が、非粘着性である、請求項15又は16に記載の架橋シリコーン系材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−507606(P2012−507606A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534764(P2011−534764)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/062563
【国際公開番号】WO2010/056541
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】