説明

電子メール受信システム

【課題】 発信者の性別や年齢等に応じた音質で電子メールのテキストデータを音声出力できるようにする。
【解決手段】 テキストデータを音声出力するための音声データを各範疇毎にそれぞれ記憶している音声データ記憶部53と、受信した電子メールに基づいて発信者が前記範疇の何れに属するかを決定する範疇決定部16と、決定された範疇の音声データをテキストデータの音声出力用に選択して音声出力する音声信号出力部19及びスピーカ20と、を有する電子メール受信システム。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テキストデータを音声出力する機能を備えた電子メール受信システムに関する。例えば、電子メールの送受信機能と、受信した電子メールの音声出力機能とを備えた、携帯電話や携帯情報端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子メールのテキストデータをメールサーバの管理者側で音声データに変換して端末装置へ送信し、該端末装置側にて音声出力するサービスは公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電子メールのテキストデータを音声出力する技術では、電子メールの発信者が男性であるか、女性であるか、老人であるか、子供であるか等を問わず、特定の1種類の音質の音声データを用いて読み上げているため、発信者とは異質の音声が出力されて、聴き手に違和感を与える場合がある。本発明は、発信者の性別や年齢等に応じた音質で電子メールのテキストデータを音声出力できるようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の電子メール受信システムは、テキストデータを音声出力する機能を備えた電子メール受信システムであって、テキストデータを音声出力するための音声データを、音声の特質に基づいて分類した各範疇毎にそれぞれ記憶している音声データ記憶手段と、受信した電子メールに基づいて該電子メールの発信者が前記範疇の何れに属するかを決定する範疇決定手段と、前記範疇決定手段により決定された範疇の音声データを、前記電子メールのテキストデータの音声出力用に選択する選択手段と、前記選択手段により選択された音声データを用いて、前記電子メールのテキストデータを音声出力する音声出力手段と、を有することを特徴とする。請求項2の電子メールシステムは、請求項1に於いて、さらにメールアドレスの他に性別と年齢を含む個人情報を電子メールの送受信相手毎に記憶するアドレス記憶手段を有し、範疇決定手段は前記アドレス記憶手段の個人情報を参照して受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定することを特徴とする。請求項3の電子メール受信システムは、請求項1に於いて、さらに電子メールのテキストデータ中の用語を解析する解析手段を有し、範疇決定手段は前記解析手段の解析結果に基づいて受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定することを特徴とする。請求項4の電子メール受信システムは、請求項2に於いて、さらに請求項3の解析手段を有し、範疇決定手段は電子メールの発信者が前記アドレス記憶手段に記憶されていない場合は前記解析手段の解析結果に基づいて受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定することを特徴とする。請求項5の電子メール受信システムは、請求項1〜請求項4の何れかに於いて範疇決定手段と音声データ記憶手段をメールサーバの管理者側が有することを特徴とする。請求項6の携帯情報端末装置は、請求項1〜請求項4の何れかの電子メール受信システム又は請求項5の範疇決定手段と音声データ記憶手段を除く電子メール受信システムが組み込まれていることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】図1(a)は本発明の電子メール受信システムが組み込まれている携帯電話装置(実施の形態の携帯電話装置)の外観を示す模式図、(b)は(a)の携帯電話装置の構成を示すブロック図、図2は図1(b)の制御装置10と記憶装置50を用いて電子メールを処理する機能を示すブロック図、図3は図2のアドレス記憶部51に記憶されるデータを例示する説明図である。
【0006】受信装置60でデータが受信されると、受信装置60は、受信データが電子メールであるか否かを調べて、電子メールであった場合は、制御装置10内のテキストデータ/発信者アドレス抽出部11へ送る。電子メール以外の他のデータであった場合は、当該他のデータを処理するための手段(制御装置10内の不図示の手段)へ送る。なお、受信データが電子メールか否かを調べる手段を、制御装置10内に設けてもよい。
【0007】テキストデータ/発信者アドレス抽出部11は、電子メールから発信者アドレスとテキストデータを抽出する。抽出された発信者アドレスは、個人情報抽出部13へ送られる。テキストデータは、テキストデータ解析部14へ送られるとともに、音声信号出力部19へ送られる。
【0008】個人情報抽出部13は、記憶装置50内のアドレス記憶部51に記憶されている中から、今回受信した電子メールの発信者アドレスと合致するメールアドレスを探索する。その結果、合致するメールアドレスが有る場合は、該メールアドレスに対応付けて記憶されている性別と年齢を範疇決定部16へ送る。一方、合致するメールアドレスが無い場合や、合致するメールアドレスは有るが性別や年齢が対応付けられていない場合は、その旨を範疇決定部16へ送る。
【0009】テキストデータ解析部14は、今回受信したテキストデータ中で使用されている用語の中から所定の用語を抽出して、その用語に設定されているポイントを計数する。所定の用語とは、男性/女性/老人/子供の何れかの範疇での使用頻度が特に大きく、且つ、他の範疇での使用頻度が小さい用語であり、その程度(或る特定の範疇での使用頻度と他の範疇での使用頻度との差の大小)に応じて予めポイントを設定されている用語である。例えば、男性では『僕』『俺』等の主語や『〜だ』等の語尾が使用頻度が高いと考えられ、女性では『〜だわ』等の語尾や『かしこ』等の結語の使用頻度が高いと考えられる。また、子供であれば『ひらがな』を多用したり『超〜』等の特有の表現を多用すると考えられる。これらの文中の用語の他、署名の名前に基づいて性別を推定することも可能である。これらの特定の用語や名前に予めポイントを設定しておくことで、テキストデータ解析部14が、テキストデータ中の用語や署名の名前のポイントを計数して、その結果に基づいて、発信者が属する範疇を推定することが可能となる。この推定結果、又は、ポイントの計数結果が、範疇決定部16へ送られる。なお、上述の各用語や、男性/女性/老人/子供という範疇は例示であり、上記以外の用語や範疇を用いることも当然に可能である。
【0010】範疇決定部16は、個人情報抽出部13から送られて来る性別と年齢に基づいて、発信者が属する範疇を決定する。個人情報抽出部13から送られて来る情報では発信者が属する範疇を決定できない場合は、テキストデータ解析部14から送られて来る推定結果、又は、ポイントの計数結果に基づいて、発信者が属する範疇を決定する。決定された範疇は、音声信号出力部19へ送られる。
【0011】音声信号出力部19は、範疇決定部16から送られて来る範疇に対応する音声データ(男性の音声/女性の音声/老人の音声/子供の音声)を選択し、該選択して音声データを用いて、テキストデータ/発信者アドレス抽出部11から送られて来るテキストデータから音声信号を生成して、スピーカ20へ出力する。このようにして、電子メールの発信者が属すると推定される範疇の音声でテキストデータを読み上げることが可能となる。
【0012】上記では、制御装置10内のテキストデータ/発信者アドレス抽出部11、個人情報抽出部13、テキストデータ解析部14、範疇決定部16を実現する手法については言及していないが、これらはハード回路で実現してもよく、MPUにより実行される手順として実現してもよい。
【0013】また、上記では、テキストデータ/発信者アドレス抽出部11、個人情報抽出部13、テキストデータ解析部14、範疇決定部16、アドレス記憶部51、音声データ記憶部53が端末装置側に設けられている例を説明しているが、これらは、メールサーバの管理者(例:プロバイダ)側に設けられていてもよい。その場合は、音声データ又は音声信号が端末装置で受信されることになる。
【0014】
【発明の効果】本発明では、テキストデータを音声出力するための音声データを各範疇毎にそれぞれ記憶している手段と、受信した電子メールに基づいて発信者が前記範疇の何れに属するかを決定する手段と、決定された範疇の音声データをテキストデータの音声出力用に選択する手段と、選択された音声データを用いてテキストデータを音声出力する出力手段とを有するため、発信者の性別や年齢等に応じた音質で電子メールのテキストデータを音声出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施の形態の携帯電話装置の外観を示す模式図、(b)は(a)の携帯電話装置の構成を示すブロック図
【図2】図1(b)の制御装置10と記憶装置50を用いて電子メールを処理する機能を示すブロック図。
【図3】図2のアドレス記憶部51に記憶されるデータを例示する説明図。
【符号の説明】
11 テキストデータ/発信者アドレス抽出部
13 個人情報抽出部
14 テキストデータ解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 テキストデータを音声出力する機能を備えた電子メール受信システムであって、テキストデータを音声出力するための音声データを、音声の特質に基づいて分類した各範疇毎にそれぞれ記憶している音声データ記憶手段と、受信した電子メールに基づいて該電子メールの発信者が前記範疇の何れに属するかを決定する範疇決定手段と、前記範疇決定手段により決定された範疇の音声データを、前記電子メールのテキストデータの音声出力用に選択する選択手段と、前記選択手段により選択された音声データを用いて、前記電子メールのテキストデータを音声出力する音声出力手段と、を有することを特徴とする電子メール受信システム。
【請求項2】 請求項1に於いて、さらに、メールアドレスの他に性別と年齢を含む個人情報を電子メールの送受信相手毎に記憶するアドレス記憶手段を有し、範疇決定手段は、前記アドレス記憶手段の個人情報を参照して、受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定する、ことを特徴とする電子メールシステム。
【請求項3】 請求項1に於いて、さらに、電子メールのテキストデータ中の用語を解析する解析手段を有し、範疇決定手段は、前記解析手段の解析結果に基づいて、受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定する、ことを特徴とする電子メール受信システム。
【請求項4】 請求項2に於いて、さらに、請求項3の解析手段を有し、範疇決定手段は、電子メールの発信者が前記アドレス記憶手段に記憶されていない場合は、前記解析手段の解析結果に基づいて、受信した電子メールの発信者が属する範疇を決定する、ことを特徴とする電子メール受信システム。
【請求項5】 請求項1〜請求項4の何れかに於いて、範疇決定手段と音声データ記憶手段をメールサーバの管理者側が有する、ことを特徴とする電子メール受信システム。
【請求項6】 請求項1〜請求項4の何れかの電子メール受信システム、又は、請求項5の範疇決定手段と音声データ記憶手段を除く電子メール受信システムが組み込まれていることを特徴とする携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−339137(P2000−339137A)
【公開日】平成12年12月8日(2000.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−153048
【出願日】平成11年5月31日(1999.5.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】