説明

電子写真装置の画像形成用のローラを有する処理装置

【課題】 薄肉円筒パイプの弾性変形の当接荷重を飛び越し座屈荷重未満として静粛化および高速化を図った画像形成用の処理装置を提供する。
【解決手段】 2本の円筒体ローラの当接による処理装置1において、1本の円筒体ローラを弾性基体5の薄肉円筒パイプ6とし、その中に駆動ローラを配設し、両端部を支持部材8で支持し、支持部材8に薄肉円筒パイプ6の当接荷重方向の開口部10を設け、その開口角度の中心角2θを30°≦2θ≦180°を満足するものとし、薄肉円筒パイプ6の直径Dおよび変形量δとするとき、変形量δは0<δ<D/2−{D/2・cos(θ/2)}を満足するものとし、中心角2θ間の開口部10から突出する薄肉円筒パイプ部分における当接圧による弾性変形を規制して飛び越し座屈を防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願はローラを有する処理装置、例えば電子写真の画像形成装置における薄肉円筒パイプに関し、特に画像形成装置の薄肉円筒パイプからなる画像形成用のローラを有する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子複写機の画像形成装置では、像担持体である感光体ドラムや、現像剤担持体ローラや、転写ローラや、あるいは定着ローラなどの基体は、剛性の高い金属部材などからなるローラから形成されている。この金属部材のローラは荷重による撓みを極力少なくするように設計して弾性変形しない基体から形成されている。このため、画像形成装置の現像装置において、現像剤担持体のローラは弾性変形しない剛性の高い金属体上に3〜8mmの厚さのゴム弾性体を被覆したゴム被覆ローラとし、このゴム被覆ローラのゴム弾性体を像担持体の感光体ドラムに当接させ、ゴム弾性体を変形させることで現像ニップを得て現像を行っている。
【0003】
ところで、従来の技術において、表面の感光層を支持する弾性変形可能な弾性体支持層を配設し、この弾性体で表面の感光層をバックアップして支持して電子複写機用の感光体ドラムが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。また、薄肉円筒体内をガイド部材により外周側に変形させて使用している(例えば、特許文献2参照。)。また、定着ローラに適度の剛性を与え、薄肉スリーブの弾性力によりニップ形成を可能としスリーブの座屈をなくしている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、薄肉円筒状の両端部に加圧力によって変形する緩衝支持部材を設けている(例えば、特許文献4参照。)。しかし、このものは緩衝支持部材の反発力の影響がある。さらに定着ローラである加圧ローラを薄肉円筒体で構成し、この薄肉円筒体の中に圧接部材を設け圧力を与えている(例えば、特許文献5参照。)。一方、記録用紙に皺の発生を抑えるために肉厚/外径比を8/111〜15/1000の関係にした定着ローラが示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
さらに、従来技術においては、薄肉円筒体を使用するにあたり、薄肉円筒体に対し外周から円筒体を押圧してその押された周辺を変形させて使用している。また、所定の当接荷重になるように円筒体の中に緩衝部材を設けて使用している。さらに、円筒体の中に押圧部材を設けて所定荷重になるようにして使用している。しかし、これらの装置は、薄肉円筒体が変形することで生ずる反発力を十分に活用しておらず、余分な部品を使用するものであり、さらに、従来技術では、一般に座屈理論において説明されているように、飛び越し(飛び移り)座屈の状態で使用している。このような飛び越し座屈の状態の使用では、回転に伴う座屈部の復元時に異音を発生し、あるいは薄肉円筒体上にトナーなどの現像剤の粉体を設けた場合などに、座屈の回復時の反発力でトナーの飛散を起こし、その周辺を汚染してしまう問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−192260号公報
【特許文献2】特開昭63−202770号公報
【特許文献3】特開平8−234600号公報
【特許文献4】特開2003−1307972号公報
【特許文献5】特開2003−208053号公報
【特許文献6】特開2003−228251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、円筒体ローラからなる薄肉円筒パイプと他の円筒体ローラを互いに加圧状態で当接し、両者間で搬送、現像、転写、定着などの処理をする処理装置において、従来の装置のように加圧による薄肉円筒パイプをその飛び越し座屈荷重以上の領域で使用するものではなく、薄肉円筒パイプの弾性変形における変形量に対し、当接荷重を飛び越し座屈荷重未満になるようにすることにより、これらの薄肉円筒パイプを使用する処理装置の静粛化および高速化を図り、さらに省資源および省エネを図った円筒体ローラを有するプリンターや複写機などの画像形成装置用の処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、円筒体ローラを有し、かつ、円筒体ローラの当接により搬送、現像、転写、定着などもしくは円筒体ローラ間に挟持した被処理シート材に対する処理のいずれかを行う処理装置におけるものである。この処理装置において、当接したもしくは当接された円筒体ローラの少なくとも1本を当接荷重を受けて弾性変形する弾性基体からなる薄肉円筒パイプに形成している。この薄肉円筒パイプに薄肉円筒パイプを回転する駆動手段を配設する。さらに、薄肉円筒パイプの両端部に薄肉円筒パイプの支持部材を配設する。この配設した支持部材に、薄肉円筒パイプの当接荷重方向に開口する開口部もしくは支持部材の形状に薄肉円筒パイプの変形を規制する領域以外の領域を設ける。これらの開口部もしくは薄肉円筒パイプの変形を規制する領域以外の領域から薄肉円筒パイプの一部を変形して突出させ、開口部の中心角もしくは支持部材の変形を規制する領域以外の領域の中心角を2θとするとき、これらの中心角の2θを、30°≦2θ≦180°を満足するものとする。さらに薄肉円筒パイプの弾性基体の直径をDおよび上記当接荷重方向への弾性の変形量をδとするとき、変形量δは(1)式の0<δ<D/2−{D/2・cos(θ/2)}を満足するものとする。これらの中心角の2θ間の開口部もしくは規制する領域以外の領域から突出する薄肉円筒パイプ部分の当接圧による弾性変形を規制して飛び越し座屈を防止したことを特徴とする処理装置である。
【0008】
上記の手段は、薄肉円筒パイプの両端部の支持部材の開口部を有しないものにおいても、支持部材の形状に薄肉円筒パイプの変形を規制する領域以外の領域で薄肉円筒パイプの一部を変形可能とするものである。
【0009】
請求項2の発明では、上記処理装置の薄肉円筒パイプの弾性基体は、縦弾性率(すなわちヤング率)250kg/mm2(2450MPa)以上を有し、かつ、薄肉円筒パイプの肉厚をt、半径をaとするとき、この肉厚tと半径aの比(以下、この比を「厚み比」という。)は、(2)式の0.002≦t/a≦0.01を満足する素材からなるものとする。
【0010】
請求項3の発明では、処理装置は電子写真装置の画像形成装置であり、弾性基体から形成の薄肉円筒パイプを画像形成装置の像担持体としている。この薄肉円筒パイプの像担持体に非弾性基体から形成の円筒パイプを当接し、この像担持体である薄肉円筒パイプを飛び越し座屈限界内の弾性変形して薄肉円筒パイプの弾性基体に画像を形成することを特徴とする請求項1または2の手段の処理装置である。
【0011】
請求項4の発明では、処理装置は電子写真装置の画像形成装置であり、非弾性基体から形成の円筒体ローラを画像形成装置の像担持体としている。この円筒体ローラの像担持体を薄肉円筒パイプの弾性基体に当接し、この弾性基体の薄肉円筒パイプを飛び越し座屈限界内の弾性変形することにより円筒体ローラの基体に画像を形成することを特徴とする請求項1または2の手段の処理装置である。
【0012】
請求項5の発明では、画像形成装置の像担持体は感光体ドラムである。この感光体ドラムは当接する円筒体ローラからなる現像剤担持ローラを有することを特徴とする請求項3または4の手段の処理装置である。
【0013】
請求項6の発明では、現像剤担持ローラは弾性基体からなる薄肉円筒パイプである。この弾性基体の表面に導電性コーティング層、絶縁性コーティング層、もしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材またはエラストマーを配設して現像剤担持体としている。これらの現像剤担持ローラが現像領域において像担持体の感光体ドラムと当接した時、現像剤担持ローラの弾性基体が弾性変形して感光体ドラムに担持の潜像を現像することを特徴とする請求項5の手段の処理装置である。
【0014】
請求項7の発明では、像担持体の感光体ドラムは当接する弾性基体からなる薄肉円筒パイプの転写ローラを有する。この転写ローラの表面に導電性コーティングまたは絶縁性コーティングもしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材またはエラストマーを配設している。これらの転写ローラが転写領域において感光体ドラムと当接した時、転写ローラの弾性基体が弾性変形して感光体ドラムに担持の現像を感光体ドラムから感光体ドラムと転写ローラ間に挟持の被処理シート材である記録媒体上に転写することを特徴とする請求項6の手段の処理装置である。
【0015】
請求項8の発明では、請求項7の手段の処理装置の画像形成装置において、転写した記録媒体を挟持して加熱定着するための定着ローラと加圧ローラを配設している。これらの定着ローラと加圧ローラの中の少なくとも1本を弾性基体から形成の薄肉円筒パイプから形成している。この薄肉円筒パイプの弾性基体の表面にフッ素樹脂コーティングまたはフッ素樹脂チューブからなる剥離層もしくは基体より熱容量の大きいフッ素系ゴムまたはシリコン系ゴムからなる耐熱弾性の剥離層のいずれかを形成して有する。もしくは、さらにこの定着ローラの内面に定着ローラの基体より熱容量の大きい耐熱層を形成してヒーターを配設している。上記のこれらの定着ローラと加圧ローラの当接領域において、薄肉円筒パイプの弾性変形によるニップ領域を形成して被処理シート材である記録媒体上に転写した未定着の現像を加熱加圧して定着することを特徴とする処理装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、複写機などの画像形成用の2本の当接する円筒体ローラのうち、少なくとも1本を弾性基体からなる薄肉円筒パイプを当接荷重を飛び越し座屈を生じることのない構造の円筒体ローラとすることで、静粛で高速化が図れ、かつ、円筒体ローラから飛散する汚染物質の少ない、省エネかつ省資源を図った処理装置を得ることができ、従来にない優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。本願の請求項1に係る発明は、2本の円筒体ローラ2、3を有し、これらの2本の円筒体ローラ2、3どうしの当接により処理する処理装置1、もしくは、2本の円筒体ローラ2、3の間に挟持された被処理シート材4に対して処理を行う処理装置1におけるものである。
【0018】
これらの処理装置1には、図1に示すように、2本の円筒体ローラ2、3が円筒面どうしを当接して平行に設置されている。これらの円筒体ローラ2、3の少なくとも1本は、相手の円筒体ローラから当接荷重を受けて弾性変形する弾性基体5から形成された薄肉円筒パイプ6とする。図1では、円筒体ローラ2のみが弾性基体5の薄肉円筒パイプ6から形成されている。この薄肉円筒パイプ6の中には、駆動ローラ7が配設されており、薄肉円筒パイプ6を回転駆動する。この薄肉円筒パイプ6の両端部6aには、支持部材8が嵌合されている。薄肉円筒パイプ6はこの支持部材8に保持されて自由に回転可能となっている。この支持部材8は薄肉円筒パイプ6の当接荷重方向9に開口する開口部10を有する。この支持部材8の開口部10から薄肉円筒パイプ6の一部がパイプの径方向に突出する突出部分6bとなっている。この突出を可能とするために、支持部材8はその開口部10の開口角度を中心角の2θとするとき、この中心角2θは30°≦2θ≦180°を満足するものとする。これは、支持部材8の開口部10の中心角2θを30°未満とすると、例えば、図29に示すように、その開口部10における薄肉円筒パイプ6を変形する荷重は2次曲線的に増大し、実用的でなくなるからである。さらに、この薄肉円筒パイプ6の弾性基体5の直径をDとし、さらに当接荷重方向9への変形量をδとするとき、この変形量δは(1)式の0<δ<D/2−{D/2・cos(θ/2)}を満足するものとなっている。これらの条件を満足することで、支持部材8の中心角2θの間の開口部10から突出する薄肉円筒パイプ6の突出部分6bを、2本の円筒体ローラ2、3どうしの当接圧による弾性変形を規制することにより、その突出部分6bの飛び越し座屈を防止している。これは、仮に押圧による変形量δがD/2−{D/2・cos(θ/2)より大きくなると、弾性基体5は薄肉円筒パイプ6の突出した円形部分が水平面を越えて凹入することとなるので、飛び越し座屈を生じることとなることによる。
【0019】
上記のように支持部材8に保持して薄肉円筒パイプ6を自由に回転可能とするために、薄肉円筒パイプ6との支持部材8の当接面8aは、図2や図3の(a)および(b)に示すように、支持部材8の軸受面に形成されている。この軸受面の内面に多数の凹み8bを設けて薄肉円筒パイプ6と当接する接触面積を少なくするか、あるいは図4に示すように、回転可能なコロ8cを有するコロ軸受として、回転における摩擦抵抗を少なくしている。図3に示すものは、薄肉円筒パイプ6の端部にピン孔6cを円筒面に有し、このピン孔6cに薄肉円筒パイプ6を駆動する駆動ローラ7が駆動ピン7cを有し、この駆動ピン7cが順次ピン孔6cに嵌合してころ軸受の作用をし、薄肉円筒パイプ6を回転駆動する。
【0020】
上記の実施の形態の開口部10を有する支持部材8の外に、他の実施の形態として、図5に示すように、開口部10の無い支持部材8を使用することもできる。この場合、支持部材8はリング状支持部材8’からなり、上記の開口部10に代えて、リング状支持部材8’は内径が部分的に大きくなった大径領域8’aを中心角2θの部分に有する。すなわち、このリング状支持部材8’の大径領域8’aは薄肉円筒パイプ6の一部が薄肉円筒パイプ6の径方向に突出する突出部分6bを受容する領域に形成されている。上記の開口部10を有する支持部材と同様に、このリング状支持部材8’は薄肉円筒パイプ6とリング状支持部材8’の当接面8aは軸受面に形成され、図6に示すように、内面に多数の凹み8bを有して薄肉円筒パイプ6との接触面積を少なくするか、図7に示すように、コロ8cを有するコロ軸受とすることで、回転における摩擦抵抗を少なくしているものである。
【0021】
上記の飛び越し座屈について図8のグラフにより説明する。飛び越し座屈は板状体の座屈に関するもので、例えば、曲がった板の曲面の頂部に対して板面に垂直な力を加えると、ある限度の力で曲がった板の頂点が押圧による水平面を乗り越えた途端にその限界の座屈点となり、逆側に瞬時に反転する。この現象を飛び越し座屈あるいは飛び移り座屈という。これを図8に実線で示す。この飛び越し座屈は逆側に反り返るときに板状体に破損が無く、飛び越し座屈後も力の増加に耐えられるもので、図8のグラフの実線に示すように、座屈後も実線に示すように変形は継続するものである。
【0022】
ところで、上記のように、飛び越し座屈は瞬時に板状体が反転するので、この反転時に音を発生し、かつ、板状体上に載った物を周囲に撥ね飛ばす力が作用する。すなわち画像形成装置12では、現像剤であるトナーの粉体が載っている場合、トナーの粉体を飛散させて周囲を汚染するものとなる。
【0023】
本発明の処理装置1の薄肉円筒パイプ6は、この飛び越し座屈を生じないものである。この本発明における薄肉円筒パイプ6の飛び越し座屈を生じない場合と、従来の薄肉円筒パイプ6の飛び越し座屈を生じる場合について説明する。図9に支持部材8により開口角度の中心角2θを90°とした例を示す。この図9の(a)は、直径Dが60mmである薄肉円筒パイプ6の弾性基体5が非弾性基体11の円筒体ローラ3に押圧されて、弾性基体5の変形量δが1mmとなった場合であり、(b)は、弾性基体5の変形量δが2mmとなった場合である。これらは押圧されて変形しているが、その周囲面より凹んでいないものであり、従って飛び越し座屈を生じていないものである。これに対して(c)は比較として示す従来の例で、直径Dが60mmである薄肉円筒パイプ6である弾性基体5が非弾性基体11の円筒体ローラ3に押圧されて、飛び越し座屈を生じて弾性基体5の押圧面が凹んで反転し、その変形量δが3.5mmとなり、その周囲面より飛び越し座屈により逆転量rの0.493mmだけ逆転して凹んでいるものである。
【0024】
図10に支持部材8の開口角度である中心角2θを180°とした例を示す。図10の(a)は、直径Dが60mmである薄肉円筒パイプ6の弾性基体5が円筒体ローラ3の非弾性基体11に押圧され、弾性基体5の変形量δが2mmとなった場合である。(b)は、弾性基体5の変形量δが4mmとなった場合である。(c)は弾性基体5の変形量δが6mmとなった場合である。これらは押圧されて変形しているが、その周囲面より凹んでいないもので、飛び越し座屈を生じていない場合である。これに対して(d)は、比較として示す従来の例で、直径Dが60mmである薄肉円筒パイプ6の弾性基体5が円筒体ローラ3の非弾性基体11に押圧されて飛び越し座屈を生じ、薄肉円筒パイプ6の押圧面が反転して、弾性基体5の変形量δが10.0mmとなり、その周囲面より大きさが1.182mm凹んで飛び越し座屈となっているものである。
【0025】
さらに、請求項2の発明に係る実施の形態について説明する。上記の手段の処理装置1の薄肉円筒パイプ6の弾性基体5は、図11に示す樹脂(ポリイミドなどの耐熱性高分子)からなる弾性基体5の縦弾性率と変形量δとの関係のグラフ、特にグラフに模式的に示す折れ線に見られるように、縦弾性率(ヤング率)は250kg/mm2(2450MPa)より大きくなると変形量δの変動幅が小さくなる結果、飛び越し座屈は容易に生じにくくなり安定する。そこで、本発明の手段では、薄肉円筒パイプ6の弾性基体5の縦断性率(ヤング率)を250kg/mm2(2450MPa)以上とする。すなわち、弾性基体5の素材が縦弾性率250kg/mm2(2450MPa)を有するポリイミドからなるもの、弾性基体5の素材が縦弾性率21000kg/mm2(205800MPa)を有するSUS304のステンレスからなるもの、弾性基体5の素材が5960kg/mm2(58400MPa)を有するAl合金からなるものとする。
【0026】
また、図12〜図18は、弾性基体5が樹脂からなる縦弾性率(ヤング率)250kg/mm2(2450MPa)、肉厚0.1mmの一定または外径φ20mmの一定とし、支持部材8の開口角度2θが180°の薄肉円筒パイプ6について示すグラフである。図12は肉厚0.1mmを一定とし、その薄肉円筒パイプ6の外径を変動させ、その外径と、撓み量最大時の荷重と、変形部領域の重量の関係を示すグラフである。このグラフの左側の撓み量最大時の荷重が変形部領域の重量より大きい部分が自重にて変形しない領域で使用可能な領域である。さらに、図13はその肉厚0.1mmを一定とし薄肉円筒パイプ6の半径を変動させ、この肉厚と半径の比と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフで、右側の撓み最大時の荷重が変形部領域の重量より大きい部分が使用可能領域である。この使用可能領域は、図14は外径φ20mmで肉厚を変動させた薄肉円筒パイプ6における、肉厚と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフで、図15は外径φ20mmで肉厚を変動させた薄肉円筒パイプ6の肉厚と半径の比(厚み比)と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフで使用可能領域を示す。
【0027】
さらに、図16は薄肉円筒パイプ6の肉厚を0.1mmの一定とし、薄肉円筒パイプ6の半径を変動させ、自重による水平方向直径変化率を薄肉円筒パイプ6の肉厚と半径の比と、水平方向直径変形率との関係を示し、図17は薄肉円筒パイプ6の外径φ20mmを一定として薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動し、自重による水平方向直径変化率を薄肉円筒パイプ6の肉厚と半径の比と、水平方向直径変形率との関係を示し、図18は外径φ20mmを一定として薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動し、肉厚と半径の比(厚み比)と、撓み最大時の荷重との関係を示す。これらの図16、図17、図18より、この樹脂パイプを薄肉円筒パイプ6として最適条件で使用するためには、厚み比のt/aを0.002以上とし、上限は荷重を考えた場合、図18より荷重が曲線的に上昇するためt/aを0.01以下とすることが好ましいことが判る。
【0028】
さらに、図19〜図25は、弾性基体5が鋼材からなる縦弾性率(ヤング率)21000kg/mm2(205800MPa)、肉厚0.1mmの一定または外径φ20mmの一定とし、支持部材8の開口角度2θが180°の薄肉円筒パイプ6について示すグラフである。図19はその肉厚0.1mmを一定とし薄肉円筒パイプ6の外径を変動させ、この外径と、撓み量最大時の荷重と、変形部領域の重量の関係を示すグラフで、左側の撓み量最大時の荷重が変形部領域の重量より大きい部分が自重にて変形しない領域で使用可能な領域である。さらに、図20は、その肉厚0.1mmを一定とし薄肉円筒パイプ6半径を変動させ、この肉厚と半径の比と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフで、右側の撓み最大時の荷重が変形部領域の重量より大きい部分が使用可能領域である。この使用可能領域は、それぞれ、図21の外径φ20mmを一定として薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動し、この薄肉円筒パイプ6の肉厚と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフで、図22の外径φ20mmを一定として薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動させ、この薄肉円筒パイプ6の肉厚と半径の比(厚み比)と、撓み最大時の荷重と、変形部領域の重量との関係を示すグラフに使用可能領域として示す。
【0029】
さらに、図23に肉厚0.1mmの一定とし、薄肉円筒パイプ6の半径を変動させ、その薄肉円筒パイプ6の自重による水平方向直径変化率を肉厚と半径の比と、水平方向直径変形率との関係で示し、図24に外径φ20mmを一定とし、薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動させ、その薄肉円筒パイプ6の自重による水平方向直径変化率を肉厚と半径の比と、水平方向直径変形率との関係で示し、図25に外径φ20mmを一定とし、薄肉円筒パイプ6の肉厚を変動させ、その薄肉円筒パイプ6の肉厚と半径の比と、撓み最大時の荷重との関係を示し、これらの図23、図24、図25より、ステンレスの鋼材パイプ(ヤング率:21000kg/mm2)を薄肉円筒パイプ6として最適条件で使用するためには、肉厚と半径の比(厚み比)t/aを0.002以上とし、上限は荷重を考えた場合、図25より荷重が曲線的に上昇するためt/aを0.01以下とすることが好ましいことが判る。
【0030】
そこで、上記の樹脂製の薄肉円筒パイプ6と鋼材製の薄肉円筒パイプ6の結果から、薄肉円筒パイプ6の肉厚をt、半径をaとするとき、この肉厚tと半径aの比t/aすなわち厚み比t/aは、0.002≦t/a≦0.01を満足する素材の(2)式を得て、請求項2の薄肉円筒パイプ6の弾性基体5を有する処理装置1は(2)式を満足するものとする。
【0031】
図26に本発明の鋼材の薄肉円筒パイプ6をそれぞれ外径φ20mm、t/a=0.005と、外径φ30mm、t/a=0.0033と、外径φ40mm、t/a=0.0025とし、撓み量を一定値とした場合における、これらの薄肉円筒パイプ6の支持部材8の開口角度2θと荷重の関係を示す。この図26から薄肉円筒パイプ6の支持部材8の開口角度を変化させることで、荷重の調整ができることがわかる。
【0032】
図27に本発明の鋼材の薄肉円筒パイプ6と従来の剛性の高い金属ローラにゴムを被覆したゴム被覆ローラの荷重と変形量の関係を示す。図27から所定の厚み比t/aとすることで、本発明の薄肉円筒パイプ6は、従来のゴム被覆ローラに比し、変形量に対する荷重を小さくでき、摩擦熱を軽減できるために高速化に容易に対応することができることがわかる。
【0033】
図28に本発明の薄肉円筒パイプ6と従来のゴム被覆ローラの荷重とニップ幅の関係を示す。図28から本発明の薄肉円筒パイプ6は従来のゴム被覆ローラに比して、同じ外径の組み合わせにおいて、本発明の薄肉円筒パイプ6は従来のゴム被覆ローラに比し、低荷重で必要なニップ幅が得られることがわかる。すなわち、低荷重にて容易にニップ幅が得られることから高速の定着装置を構成することが容易となる。
【0034】
図30に、ニップ幅を必要とする場合の円筒体ローラの組み合わせを代表的に示す。この場合、上下の円筒体ローラともに本発明の円筒体ローラとし、上側の円筒体ローラは開口部を有しないリング状支持部材8’を有する薄肉円筒パイプ6からなり、下側の円筒体ローラは開口部10のある支持部材8を有する薄肉円筒パイプ6からなる組み合わせであり、この組み合わせは、搬送装置および定着装置などに有効である。
【0035】
図31に、変形量を必要とする場合の円筒体ローラの組み合わせを代表的に示す。この場合、上下の円筒体ローラのうち、どちらか一方の円筒体ローラ、例えば上側の円筒体ローラは開口部を有しないリング状支持部材8’を有する薄肉円筒パイプ6からなるものとし、他方の例えば下側の円筒体ローラは非弾性基体11である剛体からなる円筒体ローラの組み合わせからなるものであり、この組み合わせは、電圧が印加される円筒体ローラの組み合わせに有効で、感光体ドラム、現像剤担持ローラおよび転写ローラなどの装置などに有効である。
【0036】
次いで、本発明の上記に説明の処理装置1を適用した電子写真装置の画像形成装置12の実施の形態について説明する。図32において、画像形成装置12は、その主要部として、像担持体である感光体ドラム13、感光体ドラム13をクリーニングするクリーニングブレード14、クリーニングされた感光体ドラム13に電荷をチャージする帯電器15、帯電した感光体ドラム13の感光層に画像の光を照射して潜像を形成するLEDヘッドの光学部16、感光体ドラム13中に設置の感光体を駆動回転する駆動ローラ7からなる感光体ドラム部と、感光体ドラム13に当接して感光体ドラム13に形成の潜像を現像する現像剤担持ローラ17と、アジテーター19aで撹拌した現像剤であるトナーを現像剤担持ローラ17に供給するための供給ローラ18と、さらに感光体ドラム13の現像された画像を被処理シート材4のPPC用紙に転写するために、感光体ドラム13に被処理シート材4のPPC用紙を介して当接する転写ローラ20と、被処理シート材4に転写された画像を熱で定着するヒーター内蔵の定着ローラ22と加圧ローラ23を有する。
【0037】
画像形成装置12の一実施の形態では、像担持体である感光体ドラム13は弾性基体5からなる薄肉円筒パイプ6から形成されている。この弾性基体5の薄肉円筒パイプ6からなる感光体ドラム13の内部には、感光体ドラム13を回転駆動する駆動ローラ7を有する。この感光体ドラム13の実施の形態を図32により説明する。この感光体ドラム13は非弾性基体11の現像剤担持ローラ17と当接する側の面が支持部材8の開口部10になっており、この支持部材8により感光体ドラム13の両端部6aは支持されている。この結果、支持部材8に支持されている部分の感光体ドラム13の弾性基体5の部分は、非弾性基体11の現像剤担持ローラ17で押圧されても円筒形状を保持し、開口部10の部分の弾性基体5のみが現像剤担持ローラ17で押圧されて弾性変形する。
【0038】
従って、画像形成では、感光体ドラム13は矢印方向に回転され、感光体ドラム13の表面に有する感光体がクリーニングブレード14でクリーニングされ、感光体が帯電器15で帯電され、この帯電した感光体を画像あるいは文字に応じてLEDヘッドの光学部16で露光して静電潜像を感光体ドラム13に形成する。次いで、感光体ドラム13の弾性基体5からなる薄肉円筒パイプ6の像担持体は、非弾性基体11からなる円筒体ローラ3の現像剤担持ローラ17に当接される。一方、トナー容器19に入れられた現像剤であるトナーがアジテータ19aで撹拌され、供給ローラ18から現像剤担持ローラ17に供給されている。上記の現像剤担持ローラ17の当接押圧により感光体ドラム13の薄肉円筒パイプ6の弾性基体5は、飛び越し座屈限界内で弾性変形され、現像剤担持ローラ17の表面に有する現像剤のトナーにより感光体表面層に感光により形成された潜像が現像される。次いで感光体ドラム13は回転されて非導電性基体11の転写ローラ20にPPC用紙の被処理シート材4を介在して当接され、被処理シート材4に転写される。転写された被処理シート材4は定着ローラ22と加圧ローラ23の間に通され、加熱されて被処理シート材4に画像あるいは文字が定着される。
【0039】
画像形成装置12の他の実施の形態では、図33に示すように、像担持体である感光体ドラム13を非弾性基体11からなる円筒体ローラ3とし、一方、現像剤担持ローラ17を弾性基体5である薄肉円筒パイプ6から形成するものである。この弾性基体5である薄肉円筒パイプ6の現像剤担持ローラ17の内部には、現像剤担持ローラ17を回転させる駆動ローラ7を有する。さらに、この現像剤担持ローラ17は感光体ドラム13と当接する側が支持部材8の開口部10となって支持されている。この現像剤担持ローラ17の弾性基体の表面には、導電性コーティング層や、絶縁性コーティング層や、もしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材やまたはエラストマーを配設して現像剤担持ローラ17としている。これらの現像剤担持ローラは潜像を担持する像担持体の感光体ドラム13と当接した時、現像剤担持ローラ17の弾性基体5の薄肉円筒パイプ6が飛び越し座屈限界内で弾性変形して感光体ドラム13の潜像を現像するものである。
【0040】
さらに画像形成装置12の他の実施の形態では、図33に合わせて示すように、転写ローラ20が弾性基体5の薄肉円筒パイプ6から形成され、非弾性基体11からなる感光体ドラム13に当接するのである。この場合も、薄肉円筒パイプ6からなる転写ローラ20の両端部6aは支持部材8で支持され、感光体ドラム13に当接する側が支持部材8の開口部10とされている。この転写ローラ20の表面には、導電性コーティング層や、絶縁性コーティング層や、もしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材やまたはエラストマーを配設している。これらの転写ローラ20が転写領域において非弾性基体11の感光体ドラム13と当接した時、転写ローラ20の弾性基体5が飛び越し座屈限界内で弾性変形して感光体ドラム13に担持の現像された像を感光体ドラム13から感光体ドラム13と転写ローラ20の間に挟持した被処理シート材4のPPC用紙などの記録媒体上に転写し、転写された被処理シート材4が搬送方向21に搬送される。
【0041】
さらに、他の実施の形態では、画像形成装置12は、転写した記録媒体を挟持して加熱定着するための定着ローラ22と加圧ローラ23に関するものである。これらの定着ローラ22と加圧ローラ23の中の少なくとも1本を弾性基体5から形成の薄肉円筒パイプ6からなものとしている。この薄肉円筒パイプ6の弾性基体5の表面に弾性基体5より熱容量の大きいフッ素系ゴムやまたはシリコン系ゴムからなる耐熱弾性層24、もしくはフッ素樹脂コーティング層や、フッ素樹脂チューブからなる離型層25を形成し、この弾性基体5の薄肉円筒パイプ6の内面に熱容量の大きい耐熱弾性層を形成して加熱用のヒーター(図示しない)を配設している。これらの定着ローラ22と加圧ローラ23の当接領域には、薄肉円筒パイプ6の弾性変形によるニップ領域を形成して被処理シート材4である記録媒体上に転写した未定着の現像を加熱加圧して定着するものとなっている。上記の実施の形態で転写され搬送された被処理シート材4の記録媒体は、これらの定着ローラ22と加圧ローラ23の間に挿通され、定着される。
【0042】
さらに、これらの定着ローラ22および加圧ローラ23は、図34の(a)、(b)、(c)に示すように、種々の実施の形態で実施できる。例えば(a)では、定着ローラ22および加圧ローラ23は共に薄肉円筒パイプ6からなり、かつ、開口部10を有する支持部材8で支持され、その表面に耐熱ゴムの耐熱弾性層24を有するものである。さらに(b)では、定着ローラ22および加圧ローラ23は共に薄肉円筒パイプ6からなり、かつ、開口部10を有する支持部材8で支持され、その表面に離型層25を有を有するものである。また(c)では、定着ローラ22は薄肉円筒パイプ6からなり、かつ、開口部10を有する支持部材8で支持され、その表面に離型層25を有する。一方、加圧ローラ23は非弾性基体11からなる円筒体ローラ3からなり、その表面に厚みの大きなフッ素系ゴムまたはシリコン系ゴムなどを有するゴムローラからなるものとする。
【0043】
さらに、黒色とそれ以外の3原色からなるカラーの画像形成装置12の例を図35に示す。これらの画像形成装置では、それぞれの主要部として、図32に示すと同様の像担持体である感光体ドラム13、感光体ドラム13をクリーニングするクリーニングブレード14、クリーニングされた感光体ドラム13に電荷をチャージする帯電器15、帯電した感光体ドラム13の感光層に画像の光を照射して潜像を形成するLEDヘッドの光学部16、感光体ドラム13中に設置の感光体を駆動回転する駆動ローラ7からなる感光体ドラム部と、感光体ドラム13に当接して感光体ドラム13に形成の潜像を現像する現像剤担持ローラ17と、現像剤であるトナーを現像剤担持ローラ17に供給するための供給ローラ18を有する。さらに、図35に示すように、感光体ドラム13の現像された画像を被処理シート材4のPPC用紙に転写するために、感光体ドラム13に被処理シート材4のPPC用紙を介して当接する転写ベルト20aと、被処理シート材4に転写された画像を熱で定着するヒーター内蔵の定着ローラ22と加圧ローラ23を有する。
【0044】
この図35に示すカラーの画像形成装置12では、転写ベルト20aは横型に配設されており、搬送方向に、順に、例えばシアン色トナーの感光体ドラム装置13a、マゼンタ色トナーの感光体ドラム装置13b、黄色トナーの感光体ドラム装置13c、黒色トナーの感光体ドラム装置13dが横型となっている。用紙供給槽26から供給のカラー用紙の被処理シート材4に転写部20bの薄肉円筒パイプ6からなる転写加圧ローラ20cで転写ベルト20aを加圧して転写する。この転写された被処理シート材4はそれぞれ薄肉円筒パイプ6からなる定着ローラ22とヒーター内臓の加圧ローラ23の間で定着されて排紙棚27に製品として排出される。
【0045】
一方、図36に示すように、この転写ベルト20aは縦型に配設されており、この縦型の搬送方向に、順に、例えばシアン色トナーの感光体ドラム装置13a、マゼンタ色トナーの感光体ドラム装置13b、黄色トナーの感光体ドラム装置13c、黒色トナーの感光体ドラム装置13dとなっている。用紙供給槽26から供給のカラー用紙の被処理シート材4に転写部20bの薄肉円筒パイプ6からなる転写加圧ローラ20cで転写ベルト20aを加圧して転写する。この転写された被処理シート材4は、さらに横方向にベルト搬送され、それぞれ薄肉円筒パイプ6からなる定着ローラ22とヒーター内臓の加圧ローラ23の間で定着されて排紙棚27に製品として排出される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明における当接する2本の円筒体ローラを示す斜視図である。
【図2】弾性基体の薄肉円筒パイプと駆動ローラおよび支持部材の係合状態を模式的に示す側面図である。
【図3】弾性基体の薄肉円筒パイプと他の形態の駆動ローラおよび支持部材の係合状態を模式的に示す図で、(a)は側面図で、(b)は正面端部である。
【図4】弾性基体の薄肉円筒パイプと駆動ローラおよび他の形態の支持部材の係合状態を模式的に示す側面図である。
【図5】開口部を有しないリング状支持部材からなる支持部材を示す図である。
【図6】内径面に凹みを有する当接面からなるリング状支持部材を示す図である。
【図7】内径面にコロを有する当接面からなるリング状支持部材を示す図である。
【図8】飛び越し座屈を説明するグラフである。
【図9】開口角度の中心角2θが90°の支持部材で支持された弾性基体の薄肉円筒パイプと非弾性基体の円筒体ローラとの間の当接状態を示す図である。
【図10】開口角度の中心角2θが180°の支持部材で支持された弾性基体の薄肉円筒パイプと非弾性基体の円筒体ローラとの間の当接状態を示す図である。
【図11】ポリイミドの耐熱性高分子樹脂からなるパイプの縦弾性率とパイプの変形量δとの関係のグラフである。
【図12】樹脂製の薄肉円筒パイプの外径に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図13】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図14】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図15】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図16】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する水平方向直径変形率の関係を示すグラフである。
【図17】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する水平方向直径変形率の関係を示すグラフである。
【図18】樹脂製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する撓み量最大時の荷重の関係を示すグラフである。
【図19】鋼材製の薄肉円筒パイプの外径に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図20】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図21】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図22】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する撓み量最大時の荷重および変形部領域の重量との関係を示すグラフである。
【図23】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する水平方向直径変形率の関係を示すグラフである。
【図24】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する水平方向直径変形率の関係を示すグラフである。
【図25】鋼材製の薄肉円筒パイプの肉厚と半径の比に対する水平方向直径変形率の関係を示すグラフである。
【図26】支持部材の開口角度2θに対する荷重の関係を示すグラフである。
【図27】本発明の薄肉円筒パイプと従来のゴム被覆ローラの変形量に対する荷重の関係をすグラフである。
【図28】本発明の薄肉円筒パイプと従来のゴム被覆ローラにおけるニップ幅と荷重の関係を示すグラフである。
【図29】本発明の薄肉円筒パイプの支持部材の開口部の開口角度と荷重との関係を示すグラフである。
【図30】ニップ幅を必要とする場合の円筒体ローラの組み合わせを示す模式図である。
【図31】変形量を必要とする場合の円筒体ローラの組み合わせを示す模式図である。
【図32】画像形成装置の主要部を示す1実施例の模式図である。
【図33】画像形成装置の主要部を示す他の1実施例の模式図である。
【図34】画像形成装置の定着用のローラの3種の実施例の模式図である。
【図35】横型転写ベルトを用いたカラー画像形成装置の模式図である。
【図36】縦型転写ベルトを用いたカラー画像形成装置の模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 処理装置
2 円筒体ローラ
3 円筒体ローラ
4 被処理シート材
5 弾性基体
6 薄肉円筒パイプ
6a 両端部
6b 突出部分
6c ピン孔
7 駆動ローラ
7a 駆動ギア
7b 駆動ローラ支持部材
7c ピン
8 支持部材
8’ リング状支持部材
8’a 大径領域
8a 当接面
8b 凹み
8c コロ
9 当接荷重方向
10 開口部
11 非弾性基体
12 画像形成装置
13 感光体ドラム
13a 感光体ドラム装置
13b 感光体ドラム装置
13c 感光体ドラム装置
13d 感光体ドラム装置
14 クリーニングブレード
15 帯電器
16 光学部
17 現像剤担持ローラ
18 供給ローラ
19 トナー容器
19a アジテータ
20 転写ローラ
20a 転写ベルト
20b 転写部
20c 転写加圧ローラ
21 搬送方向
22 定着ローラ
23 加圧ローラ
24 耐熱弾性層
25 離型層
26 用紙供給槽
27 排紙棚
D 直径
δ 変形量
2θ 開口角度の中心角
r 逆転量
a 半径
t 肉厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体ローラを有し、かつ、円筒体ローラの当接により搬送、現像、転写、定着などもしくは円筒体ローラ間に挟持した被処理シート材に対する処理のいずれかを行う処理装置において、当接したもしくは当接された円筒体ローラの少なくとも1本を当接荷重を受けて弾性変形する弾性基体からなる薄肉円筒パイプに形成し、薄肉円筒パイプを回転する駆動手段を配設し、かつ、薄肉円筒パイプの両端部に薄肉円筒パイプの支持部材を配設し、支持部材に薄肉円筒パイプの当接荷重方向に開口する開口部もしくは支持部材の形状に薄肉円筒パイプの変形を規制する領域以外の領域を設け、開口部もしくは薄肉円筒パイプの変形を規制する領域以外の領域から薄肉円筒パイプの一部を突出させ、開口部の中心角もしくは支持部材の変形を規制する領域以外の領域の中心角を2θとするとき、これらの中心角:2θを30°≦2θ≦180°を満足するものとし、さらに薄肉円筒パイプの弾性基体の直径をDおよび上記当接荷重方向への弾性の変形量をδとするとき、変形量δは0<δ<D/2−{D/2・cos(θ/2)}を満足するものとし、これらの中心角:2θ間の開口部もしくは規制する領域以外の領域から突出する薄肉円筒パイプ部分の当接圧による弾性変形を規制して飛び越し座屈を防止したことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
薄肉円筒パイプの弾性基体は縦弾性率(ヤング率)250kg/mm2(2450MPa)以上を有し、かつ、薄肉円筒パイプの肉厚をt、半径をaとするとき、この肉厚tと半径aの比は0.002≦t/a≦0.01を満足する素材からなることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
処理装置は電子写真装置の画像形成装置で、弾性基体から形成の薄肉円筒パイプを画像形成装置の像担持体とし、この像担持体に円筒体ローラからなる非弾性基体を当接し、像担持体の薄肉円筒パイプを飛び越し座屈限界内の弾性変形して薄肉円筒パイプの弾性基体に画像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
処理装置は電子写真装置の画像形成装置で、非弾性基体の円筒体ローラを画像形成装置の像担持体とし、この円筒体ローラの像担持体を薄肉円筒パイプの弾性基体に当接し、弾性基体の薄肉円筒パイプを飛び越し座屈限界内の弾性変形することにより円筒体ローラの基体に画像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項5】
画像形成装置の像担持体は感光体ドラムで、この感光体ドラムは当接する円筒体ローラからなる現像剤担持ローラを有することを特徴とする請求項3または4に記載の処理装置。
【請求項6】
現像剤担持ローラは弾性基体からなる薄肉円筒パイプで、この弾性基体の表面に導電性コーティング層、絶縁性コーティング層、もしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材またはエラストマーを配設して現像剤担持体とし、この現像剤担持ローラが現像領域において像担持体の感光体ドラムと当接した時、現像剤担持ローラの弾性基体が弾性変形して感光体ドラムに担持の潜像を現像することを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
像担持体の感光体ドラムは当接する弾性基体からなる薄肉円筒パイプの転写ローラを有し、この転写ローラの表面に導電性コーティングまたは絶縁性コーティングもしくは薄肉の導電性ゴム弾性部材またはエラストマーを配設し、転写ローラが転写領域において感光体ドラムと当接した時、転写ローラの弾性基体が弾性変形して感光体ドラムに担持の現像を感光体ドラムから感光体ドラムと転写ローラ間に挟持の被処理シート材である記録媒体上に転写することを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の処理装置の画像形成装置において、転写した記録媒体を挟持して加熱定着するための定着ローラと加圧ローラを配設し、この定着ローラと加圧ローラの中の少なくとも1本を弾性基体から形成の薄肉円筒パイプから形成し、この薄肉円筒パイプの弾性基体の表面にフッ素樹脂コーティングまたはフッ素樹脂チューブからなる剥離層もしくは基体より熱容量の大きいフッ素系ゴムまたはシリコン系ゴムからなる耐熱弾性の剥離層のいずれかを形成し、もしくは、この定着ローラの内面に定着ローラの基体より熱容量の大きい耐熱層を形成してさらにヒーターを配設し、これらの定着ローラと加圧ローラの当接領域において薄肉円筒パイプの弾性変形によるニップ領域を形成し、被処理シート材である記録媒体上に転写した未定着の現像を加熱加圧して定着することを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2007−292989(P2007−292989A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−120283(P2006−120283)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(505094157)
【Fターム(参考)】