説明

電子式案内システムとそのプログラム

【課題】個人個人の身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、個人個人にとってそれぞれ最適な避難経路を検索して誘導できない。
【解決手段】固有なIDコード情報を定期的に無線出力する無線タグ1(アクティブタグ)と、前記IDコード情報を受信してデータベースよりその場所に関する情報を取得して、使用者への案内を行う携帯端末2とから構成された電子式案内システムにおいて、無線タグ1が通信手段13を具備して、通信手段13より緊急情報を取得してIDコード情報に付加して緊急情報を無線出力し、携帯端末2においては使用者の身体に関する情報が記録されており、身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、使用者ごとにそれぞれ最適な避難経路をデータベースより検索して誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下街などに設置された無線タグから位置情報を取得して、その位置に関するスポット情報を携帯端末から表示報知する電子式案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユビキタス社会が実現されはじめ、携帯電話、PDAといった携帯端末にはGPS受信機が具備されるようになり、携帯端末自身の位置を検知して、地図上に表示、さらには近傍のお店情報を取得するといったことが可能となってきている。また、近年では、地下街や建物の内部のようにGPS信号が受信できないような場所でも位置を知ることが出来るように、無線タグ(アクティブタグ)を照明器具、建物の天井、店舗の看板などに設置して、無線タグから一定距離(例えば10メートル以内)に入ると、その場所に関する情報を通知して店舗案内を行ったり、駅などの公共施設において誘導を行なったりすることが提案されている。さらには無線手段を用いて、自動的かつ確実に緊急時の避難誘導を行うといった誘導システムも考案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された避難誘導システムにおいては、人が持つIDカードと通信をする人体検知装置を用いて、避難者をパニックにさせることなしに自動的かつ確実に避難誘導している。
【特許文献1】特開平6−111172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の手法では、個人個人の身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、個人個人にとってそれぞれ最適な避難経路を検索して誘導するといったことまでは対応していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、前記の課題を解決するために、電子式案内システムにおいて、固有なIDコード情報を定期的に無線出力する無線タグ(アクティブタグ)と、前記IDコード情報を受信して、データベースよりその場所に関する情報を取得して、使用者への案内を行う携帯端末とから構成された案内システムにおいて、前記無線タグが通信手段を具備して、前記通信手段より緊急情報を取得して、前記IDコード情報に付加して前記緊急情報を無線出力して、前記携帯端末においては使用者の身体に関する情報が記録されており、身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、前記使用者ごとにそれぞれ最適な避難経路を前記データベースより検索して誘導するようにした。
【発明の効果】
【0006】
これにより、個人個人の身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、個人個人にとってそれぞれ最適な避難経路を検索して誘導するといったことが行えるようになった。すなわち健常者には階段を含む通路を避難通路として情報提供し、足が不自由な人には階段ではなくスロープのある通路を避難通路として情報提供するといった効果的な避難誘導が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、電子式案内システムにおいて、固有なIDコード情報を定期的に無線出力する無線タグ(アクティブタグ)と、前記IDコード情報を受信して、データベースよりその場所に関する情報を取得して、使用者への案内を行う携帯端末とから構成された案
内システムにおいて、前記無線タグが通信手段を具備して、前記通信手段より緊急情報を取得して、前記IDコード情報に付加して前記緊急情報を無線出力して、前記携帯端末においては使用者の身体に関する情報が記録されており、身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、前記使用者ごとにそれぞれ最適な避難経路を前記データベースより検索して誘導するようにした。
【0008】
これにより、個人個人の身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、個人個人にとってそれぞれ最適な避難経路を検索して誘導するといったことが行えるようになった。すなわち健常者には階段を含む通路を避難通路として情報提供し、足が不自由な人には階段ではなくスロープのある通路を避難通路として情報提供するといった効果的な避難誘導が行える。
【0009】
第2の発明は、特に第1の発明の電子式案内システムにおいて、前記携帯端末が身体情報入力手段を具備して、使用者が身体に関する情報(例えば関節を痛めて歩行困難)を随時入力可能として、その時点での使用者の身体状態に応じて最適な誘導をするようにした。
【0010】
これにより、個人の身体の状態に一時的に変化があった場合(例えば関節炎を起こして足が不自由)、その個人にとって最適な避難経路を検索して誘導するといったことが行えるようになった。すなわち健常である場合には階段を含む通路を避難通路として情報提供し、足が一時的に不自由な場合には階段ではなくスロープのある通路を避難通路として情報提供するといった効果的な避難誘導が行える。
【0011】
第3の発明は、特に第1または第2の発明の電子式案内システムにおいて、前記緊急情報が地震情報であるようにした。
【0012】
これにより、地震情報のように緊急性が必要な場合には、より迅速な対応を促すといったことが期待でき、より有効な避難誘導が行える。
【0013】
第4の発明は、特に第1〜3の発明のいずれかの発明の電子式案内システムにおいて、前記緊急情報が火災警報情報であるようにした。
【0014】
これにより、火災のように緊急性が必要な場合には、安全な避難経路を選択することが期待できるので、より有効な避難誘導が行える。
【0015】
第5の発明は、特に第1〜4の発明のいずれかの発明の電子式案内システムにおいて、少なくともひとつの動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、CPU、RAM、ROM、記憶装置、I/Oなどを備えた電気情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて本発明の一部あるいは全てをプログラムとして容易に実現することができる。また記録媒体に記録あるいは、通信回線を用いてプログラム配信することにより、プログラム配布が他の手段に比べて極めて簡単に実現できる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて一実施形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の電子式案内システムの構成の一例を示す図である。以下、図1を用いて説明していく。
【0018】
一般的には位置検知手段としてGPSが広く用いられているが、建物の内部、地下道、
地下鉄のように空が見えない場所ではGPS信号を受信することが出来ないので、このような場所では無線タグ1(アクティブタグ)を利用して位置検知をすることが出来る。
【0019】
無線タグ1は、このようなGPS信号の受信できないような場所(例えば地下街、建物の中など)に設置して、GPS同様に位置情報を提供するものであり、電池を内蔵したアクティブタグ(無線機)であり、照明器具、建物の天井、店舗の看板、門柱、郵便ポストなど、ある決まった位置に設置あるいは配置される。
【0020】
この無線タグ1は一定時間周期(例えば1秒ごと)に固有ID情報を無線にて出力する。なお、無線タグ1は固定した場所に設置されるので、固有IDごとに設置場所が予めわかっているので、その設置場所ごとのスポット情報を、(外部のサーバなどに)登録しておくことが容易に実現できる。そのため、固有ID情報さえ取得できれば、その場所のスポット情報を(外部のサーバなどから)取得することが出来る。(詳細は後述)このような無線タグ1に外部センサーあるいは外部サーバなどから、その場所特有の緊急情報を提供することで、その場所に応じた避難誘導をすることも可能であり、地下街、建物の中などのように緊急に避難させなければならないような場所においては特に効果が期待できる。
【0021】
携帯端末2は液晶ディスプレイ、音声出力といった表示や報知を行える携帯電話、あるいは、PDAのような小型かつ携帯可能な端末を想定しており、平常時、通常時には無線タグ1が定期的に出力する位置情報から、その場所に関するスポット情報を、(外部のサーバなどから)受信して、その内容を、(使用者に対して)液晶ディスプレイに表示あるいは報知するものである。
【0022】
ここで述べているスポット情報とは、例えば店舗情報であったり、バーゲン情報であったり、レストランのメニュー紹介といった商業的な情報であったり、あるいは、この先に改札口があるといった案内であったり、階段や段差があるといった危険情報である。
【0023】
特に、身障者の自立的な移動を支援するような案内誘導情報であっても構わない。
【0024】
さらに、例えばその建物の中のある場所で火災が発生した場合には、その場所に設置された火災報知器から、火災情報が無線タグに送られ、その緊急情報(ここでは火災通知)を受けた携帯端末2は、その場所に最適な避難経路情報を、(外部のサーバなどから)受信して、その内容を液晶ディスプレイに表示、あるいは報知して、使用者を安全かつ確実に避難させることが出来る。
【0025】
なお、このような用途に用いられる無線タグ1は、照明器具、建物の天井、店舗の看板、門柱、郵便ポストなどのある決まった位置に設置されるが、悪戯を避けるため、高所で人の手の届かない場所に設置されるのが好ましい。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態1の電子式案内システム装置内部の構成の一例を示す図である。以下では、これまで述べてきたことを内部の構成を示しながら、もう少し詳しく説明していく。
【0027】
まずは、平常時、通常時の動作について説明する。図2に示すように、照明器具などに設置される無線タグ1(アクティブタグ)には、第1の制御手段11が具備されており、第1の制御手段11には固有ID情報が記録されており、一定時間ごと(例えば1秒ごと)に、無線タグ送信手段12から位置情報、あるいは固有ID情報が送信されている。この位置情報、あるいは固有ID情報を携帯端末2の無線タグ受信手段31で受信する。
【0028】
情報が固有ID情報だけである場合、携帯端末2は、その情報を基に広域通信手段23を介して、外部よりその位置情報に対応したスポット情報を取得して、表示報知手段24から例えば、「目の前の***というお店でバーゲンをやっていますよ。シャツが980円ですよ」といったような宣伝や、「この先、階段ですので足元に注意してください」といった情報を、スポット情報として報知することが出来る。
【0029】
次に、異常発生時の動作について説明する。無線タグ1には、上記で述べてきた以外に、第1の通信手段が具備されており、外部のセンサー、あるいは外部のサーバなどから緊急情報を受信することが出来る。緊急情報としては、火災情報、地震情報などを想定している。このような緊急情報を第1の通信手段で受信した無線タグ1において、第1の制御手段11に含まれた固有ID情報と緊急情報が共に、無線タグ送信手段12から送信される。この固有ID情報と緊急情報を携帯端末2の無線タグ受信手段31で受信する。
【0030】
携帯端末2は、その情報を基に広域通信手段23を介して、外部のサーバに固有ID情報と緊急情報を送信すると、外部のサーバにあらかじめ登録された避難経路を携帯端末2に返答し、これを受けた携帯端末2は、例えば「右方向の上り階段から避難してください」といった避難誘導をおこなうことになる。
【0031】
さらに携帯端末2には、その携帯端末2の使用者の身体に関する情報(例えば足が不自由)が記録されている場合には、外部のサーバに固有ID情報と緊急情報に加えて、身体情報を共に送信することで、外部のサーバなどに予め登録された別の避難経路(例えば階段を利用しない避難経路)を携帯端末2に返答し、これを受けた携帯端末2は、例えば「左方向の上りスロープを利用して避難してください」といった避難誘導をおこなうことになる。
【0032】
また、携帯端末2には身体情報入力手段25が具備されており、一時的に身体に変化が生じた(例えば、関節炎を起して足が不自由)場合には、その身体情報を入力しておくことで、上記同様の避難誘導をおこなうことも可能になる。ここまでは、足の不自由な場合を想定して記述してきたが、この限りではなく、例えば身体情報として耳が不自由といった場合には、矢印のような避難すべき方向を示したり、光によりその場所に誘導するような避難誘導も考えられる。また、身体情報として目が不自由なといった場合には、音声による誘導、特に誘導したい出口付近から音を出して、その方向に誘導していくといったことも考えられ、それぞれの身体情報に応じて最適な避難方法を採択するといったことが可能で、いずれの場合も、そういった身体情報を考慮しない場合に比べて、大きな効果が得られることが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、個人個人の身体の状態(例えば足が不自由)に応じて、個人個人にとってそれぞれ最適な避難経路を検索して誘導するといったことが行えるようになったので効果的な避難誘導が行える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1の電子式案内システムの構成の一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の電子式案内システム装置内部の構成の一例を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 無線タグ(アクティブタグ)
2 携帯端末
11 第1の制御手段(固有のID)
12 無線タグ送信手段
13 第1の通信手段
21 無線タグ受信手段
22 第2の制御手段(身体情報)
23 広域通信手段
24 表示報知手段
25 身体情報入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有なIDコード情報を定期的に無線出力する無線タグと、
前記IDコード情報を受信して、データベースよりその場所に関する情報を取得して、使用者への案内を行う携帯端末とから構成された電子式案内システムにおいて、
前記無線タグが通信手段を具備して、前記通信手段より緊急情報を取得して、前記IDコード情報に付加して前記緊急情報を無線出力して、前記携帯端末においては使用者の身体に関する情報が記録されており、身体の状態に応じて前記使用者ごとにそれぞれ最適な避難経路を前記データベースより検索して誘導する電子式案内システム。
【請求項2】
前記携帯端末が身体情報入力手段を具備して、使用者が身体に関する情報を随時入力可能として、その時点での使用者の身体状態に応じて最適な誘導をする請求項1記載の電子式案内システム。
【請求項3】
前記緊急情報が地震情報である請求項1、または2記載の電子式案内システム。
【請求項4】
前記緊急情報が火災情報である請求項1、または2記載の電子式案内システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子式案内システムにおいて、少なくともひとつの動作をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−205112(P2010−205112A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51728(P2009−51728)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】