説明

電子部品および電子部品の製造方法

【課題】 小型化・薄型化が容易であって、かつ内蔵された素子の機能が良好である電子部品と、その製造方法を提供する。
【解決手段】 樹脂を主成分とする絶縁層上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成される誘電体層と、前記誘電体層上に形成される第2の電極と、を有するキャパシタを備えた電子部品であって、前記第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層が、前記下部電極と前記誘電体層の間に形成されていることを特徴とする電子部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタが内蔵されてなる電子部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板に実装される、半導体チップなどの実装部品の小型化・薄型化に伴い、上記の実装部品を実装するための電子部品(配線基板)の小型化・高性能化・多機能化が要求されている。このため、例えば従来は配線基板上に表面実装されていた種々の受動機能をもった素子(受動素子)を、配線基板内に集積化・内蔵化していくことが望まれている。
【0003】
例えば、半導体チップの電源電圧の変動を抑えて動作を安定させるためのキャパシタ(でカップリングキャパシタ)は、現在、配線基板に表面実装されることが一般的である。このため、配線基板の小型化・薄型化を図る上で上記の表面実装された素子が問題になる場合があった。
【0004】
また、例えば上記のデカップリングキャパシタは、実装部品(半導体チップ)との接続経路のインダクタンスを小さくするために、実装部品の近傍に設置されることが好ましい。すなわち、小型化・薄型化の要求に加えて、このような機能的な観点からも、従来表面実装されていた素子が、配線基板に内蔵されることが求められる場合がある。
【特許文献1】特開昭56−079425号公報
【特許文献2】特開平1−189998号公報
【特許文献3】特開平7−030257号公報
【特許文献4】特開昭54−039874号公報
【特許文献5】特開2000−243873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、キャパシタの誘電体層を構成するセラミックス材料は、焼成するための温度が高く、配線基板を構成する樹脂材料が焼成温度に耐えられない問題があった。このため、従来のキャパシタを一般的な樹脂材料より構成される基板に内蔵させることは実質的に困難となっていた。
【0006】
この問題を解決するために、樹脂材料中にセラミック粉末等を混ぜ合わせた複合材料により、誘電体層を形成する方法が試みられていた。しかし、このような複合材料では誘電体層の高誘電率化が難しく、比誘電率は100程度が限界であり、求められる比誘電率に満たない場合が生じていた。
【0007】
そこで、本発明では、上記の問題を解決した、新規で有用な電子部品、および電子部品の製造方法提供することを統括的課題としている。
【0008】
本発明の具体的な課題は、小型化・薄型化が容易であって、かつ内蔵された素子の機能が良好である電子部品と、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点では、上記の課題を、樹脂を主成分とする絶縁層上に形成された第1の電極と、前記第1の電極上に形成される誘電体層と、前記誘電体層上に形成される第2の電極と、を有するキャパシタを備えた電子部品であって、前記第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層が、前記第1の電極と前記誘電体層の間に形成されていることを特徴とする電子部品により、解決する。
【0010】
また、本発明の第2の観点では、上記の課題を、樹脂を主成分とする絶縁層上の第1の電極上に、該第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層を形成する工程と、前記緩衝層上にエアロゾルの衝突によって誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層にレーザを照射する工程と、前記誘電体層上に第2の電極を形成する工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法により、解決する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、小型化・薄型化が容易であって、かつ内蔵された素子の機能が良好である電子部品と、その製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明による電子部品は、キャパシタを内蔵した電子部品であって、当該キャパシタを構成している誘電体層が、エアロゾルの衝突により形成されていることが特徴である。
【0013】
エアロゾルとは、気体中に浮遊する微小な粒子(微粒子)のことをいう。例えば、無機材料よりなる微粒子を所定のガス中に分散させ、微粒子が分散されたガスを搬送して成膜対象(例えば基板など)に衝突させることにより、成膜対象に無機材料よりなる膜を形成することができる。このような成膜方法をエアロゾルデポジション(ASD)と呼ぶ場合がある。エアロゾルデポジションでは、粒子が音速レベルに加速されて成膜対象に衝突する。このために、粒子自身が塑性変形して扁平状となるとともに、成膜対象に対してはアンカー(くさび)が打ち込まれるように粒子が変形する。
【0014】
このため、エアロゾルの衝突による成膜では、形成される膜と成膜対象との間の密着性が良好となる効果を奏する。また、成膜温度は室温程度でよいため、加熱に弱い材料や構造に対しても熱による衝撃を抑制して成膜を行うことが可能である。したがって、上記のエアロゾルによる成膜を用いれば、樹脂材料を含む配線基板などの電子部品に、エアロゾルによる成膜により誘電体層を形成してキャパシタを内蔵させることが可能となる。
【0015】
配線基板にキャパシタなどの受動素子を内蔵することが可能となれば、配線基板を薄型化・小型化することが可能となる。さらに、受動素子(キャパシタ)を、配線基板に実装される実装部品(半導体チップ)の近傍に設置することが可能となり、受動素子と実装部品の接続経路のインダクタンスを小さくして受動素子を良好に機能させることが可能となる。
【0016】
図1は、エアロゾルによる成膜を行うための成膜装置を模式的に示した図である。図1を参照するに、本図に示す成膜装置500は、処理容器(成膜室)501と、処理容器501内に設置された、成膜が行われる被処理基板Sを保持する保持台502とを有している。また、処理容器501内は、ポンプなどの排気手段512によって排気ライン511から真空排気され、減圧状態とすることが可能になっている。
【0017】
また、成膜の原料となる粉末(微粒子)Pが内部に保持される原料容器508は、振動機509に設置されている。振動機509は、原料容器508に振動(超音波)を加えるとともに加熱手段(図示せず)によって加熱することが可能となるように構成されている。
【0018】
原料容器508には、内部を減圧状態とするための排気ライン506と、内部に酸素などのキャリアガスを導入するためのガスライン507が接続されている。ガスライン507にはガスタンク513が接続され、バルブ510を開放することで、キャリアガスが原料容器508内に導入される。
【0019】
また、処理容器501内には、エアロゾルを噴射するためのノズル504が設置され、ノズル504には供給ライン505を介して原料容器508からエアロゾルが供給される構造になっている。
【0020】
上記の成膜装置500によって成膜を行う場合には、まず、原料容器508内の粉末Pに対して、振動機509によって振動(超音波)を加えて加熱することで粉末表面に付着した水分などを除去する。
【0021】
次に、原料容器508に、ガスライン507からキャリアガスを導入して粉末Pをエアロゾル化する。エアロゾル化された粉末Pは、供給ライン505を介してノズル504から処理容器501内の基板S上に噴射され、成膜が行われる。また、成膜にあたって処理容器501内は排気ライン511から真空排気が行われて減圧状態とされていることが好ましい。
【0022】
しかし、エアロゾルの衝突により形成された膜(以下文中ASD膜)は、搬送された微粒子が基板上で衝撃固化し、室温で形成されたものであるため、高温で焼成されるセラミック(いわゆるバルクセラミック)よりなる誘電体層と以下の点で性質が異なっている。
【0023】
例えば、ASD膜は、バルクセラミックと比べた場合に膜中の粒子が微細(熱処理による粒成長がみられない)であり、また、膜中の粒子に歪みが形成され(粒子が扁平状となる)、結晶構造が破壊されている特徴がある。
【0024】
このため、ASD膜はバルクセラミックと比べて誘電率が低くなってしまう問題があった。上記の誘電率を大きくするためには、膜中に金属などの導電性成分を導入するなどの方法もあるが、キャパシタの容量向上の要求に対応していくためには、このような金属材料の混合による方法には限界がある。また、誘電体厚さを薄くしてキャパシタの容量を大きくしようとすると、膜の耐圧やリークの問題が生じてしまう。また、誘電体層の層数等を変えてキャパシタの容量を大きくする方法をとった場合には、膜応力が大きくなりプロセス歩留りが低下するという問題点があった。
【0025】
上記の解決策として、本発明の発明者は、ASD膜(誘電体層)をレーザ加熱することで膜を改質し、誘電率を向上させる方法に着目した。誘電体層は、金属によりなる電極上に形成されることが一般的である。例えば、各種のレーザ(エキシマ、YAG,UV−YAG,YVO4,YLF,CO)は、金属によって反射されることが知られている。一方、ASD膜は、レーザのエネルギーを吸収して温度が上昇する。このため、金属上に形成されたASD膜にレーザを照射することにより、ASD膜を選択的にアニールすることが可能となる。
【0026】
しかし、上記のレーザによるアニールによってASD膜の温度が上昇すると、熱伝導によってASD膜が形成されている下地となっている金属(電極)の温度が上昇することになる。このため、以下に示すように、当該金属が溶けたり、さらには当該金属の下地の樹脂材料が変質してしまう問題が発生してしまう。
【0027】
図2A〜図2Fは、キャパシタを有する電子部品を製造する製造方法を手順を追って示す図である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の図、実施例についても同様)。
【0028】
まず、図2A示す工程において、樹脂材料よりなる絶縁層1上に形成された、金属(Cu)よりなる電極2上に、先に説明した図1に示した成膜装置500を用いて、例えば、BaTiOよりなる誘電体層(ASD膜)3aを形成する。
【0029】
次に、図2B〜図2Cに示す工程において、誘電体層3aにレーザを照射して誘電体層3aのアニールを行う。ここで、誘電体層3aにおいて、加熱によって粒成長が生じ、また結晶化が進行して誘電体層3aの誘電率が大きくなり、改質された誘電体層3が形成される。誘電体層3aに照射されるレーザは、電極2で大部分が反射されるため、レーザによって直接電極2が加熱される影響は少ない。しかし、加熱された誘電体層3(3a)からの熱伝導によって電極2が加熱され、図2Cに示すように溶融してしまう場合がある。
【0030】
また、レーザのパワーが大きい場合や、さらに加熱を続けた場合には、例えば、電極(Cu)2が誘電体層3に拡散したり(図2D)、また、溶融した電極2によって加熱された絶縁層(樹脂材料)1が変質(燃焼)してしまったり(図2E)、さらには、誘電体層3が樹脂材料1(電極2)から剥離してしまう(図2F)場合がある。
【0031】
そこで、本発明の発明者は、以下に示すように、電極と誘電体層の間に緩衝層(熱緩衝層)を設けることによって、上記の電極の溶融や絶縁層(樹脂材料)の変質(燃焼)を抑制することが可能となることを見出した。
【0032】
まず、図3A〜図3Bに示す工程において、樹脂材料よりなる絶縁層11上に形成された、金属(Cu)よりなる電極12上に、緩衝層13を形成する。例えば、緩衝層13は、電極12に接するように形成される、Ptを主成分とする第1の緩衝層13Aと、緩衝層13A上に形成される、Ptを主成分とする第2の緩衝層13Bとの積層構造により構成される。また、緩衝層13を単独の層により構成してもよい。
【0033】
次に、図3Cに示す工程において、先に説明した図1に示した成膜装置500を用いて、例えば、BaTiOよりなる誘電体層(ASD膜)14aを形成する。
【0034】
次に、図3D〜図3Eに示す工程において、誘電体層14aにレーザを照射して誘電体層14aのアニールを行う。ここで、先に説明したように改質された誘電体層14が形成される。誘電体層14aに照射されるレーザは、緩衝層13で大部分が反射されるため、レーザによって直接電極12が加熱される影響は少ない。
【0035】
また、上記の場合には、緩衝層13が形成されているために、誘電体層14(14a)から電極12への熱伝達を抑制することが可能となっている。このため、電極12の溶融や、絶縁層11の変質(燃焼)を抑制することが可能となる。この後、誘電体層14上に電極(第2の電極)を形成することで、キャパシタを形成することができる。
【0036】
緩衝層13は、キャパシタの電極(第1の電極)12を構成する主成分となる金属(第1の金属、例えばCu)よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含むように構成すればよい。
【0037】
例えば、電極12がCuを主成分とする場合、緩衝層は、Ti,Cr,Mo,W,Ru,Ptよりなる群より選択される材料を主成分とする層を少なくとも含むように構成されることが好ましい。また、上記の第2の金属に相当する材料は、異なる金属を混合して形成される合金であってもよい。この場合、当該合金が、上記の第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低くなるようにすればよい。
【0038】
上記の緩衝層13を誘電体層14(14a)と電極12の間に設けることによって、電極12を構成する材料として、比較的安価であって電気的な抵抗値が低く、かつ配線材料として一般的であるCuを選択することが可能となる。また、Cuはイオン化することが容易であり、メッキにより形成することが容易である。また、配線基板に用いられるパターン配線やビアプラグはCuにより形成されることが一般的であるため、既存の製造方法との親和性が高くなるメリットがある。
【0039】
また、緩衝層13は、異なる金属を主成分とする複数の層より構成されるようにしてもよい。この場合、当該複数の層のうちの少なくともいずれか1つの層の主成分である金属が、上記の第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低くなるようにすればよい。
【0040】
また、例えば、PtとTiの組み合わせのように、複数の層のそれぞれの主成分である金属が、それぞれ、上記の第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低くなるようにするとさらに好適である。
【0041】
例えば、TiはPtに比べてCuとの反応性が高いため、Cuと接するようにTiを主成分とする層(第1の緩衝層13A)を形成することで、緩衝層とCuとの密着性が良好となる効果を奏する。また、Ptは安定な物質であり、温度が上昇した場合であってもCuと過剰に反応したり、Cuとの間で相互拡散する懸念が小さい。このため、Tiを主成分とする層(第1の緩衝層13A)の上にPtを主成分とする層(第2の緩衝層13B)を積層して緩衝層13を形成することで、電極(Cu)との密着性が良好であって、かつ、安定な構造を形成することが可能となる。
【0042】
また、例えば図4に示すように、第2の緩衝層13Bの上に、さらにTiを主成分とする層(第3の緩衝層13C)を積層してもよい。このように、緩衝層は、様々な金属または合金などを用いて様々な構造で形成することが可能である。
【0043】
次に、エアロゾルによる成膜を行って誘電体層を形成し、さらに当該誘電体層をレーザの照射によってアニール処理し、特性を調べた結果について説明する。
【実施例1】
【0044】
まず、先に説明した図2A〜図2C(〜図2F)に相当する処理を行って、誘電体層の特性を調べた。すなわち、緩衝層が形成されていない場合の誘電体層の特性の変化や電極、絶縁層へのダメージの有無について調べた。
【0045】
まず、エポキシ系の樹脂材料よりなる絶縁層上に、Cuよりなる電極を形成した。次に、当該電極上に、以下の条件によってエアロゾルを衝突させて誘電体層の成膜を行った。以下図1を参照しながら説明する。
【0046】
原料容器508内に平均粒径0.5μmのBaTiOよりなる粉末Pを充填し、さらに原料容器508に対して、振動機509によって振動(超音波)を加えて加熱することで真空脱気して、粉末表面に付着した水分などを除去した。
【0047】
次に、原料容器508に、ガスライン507からキャリアガスとして高純度酸素ガス(ガス圧2kg/cm2,ガス流量4L/min)を導入して粉末Pをエアロゾル化した。また、処理容器501内を排気ライン511から排気手段512によって排気し、圧力が10Pa以下とした。ここで、エアロゾル化された粉末Pを、供給ライン505を介してノズル504から減圧された処理容器501内の基板(絶縁層上のCu)上に噴射し、誘電体層の成膜を行った。形成された誘電体層の膜厚は2μmであり、表面粗さを示すRaは0.02μmであった。
【0048】
また、成膜された膜の容量密度は、40nF/cm、リーク電流(10V)は、1×10―8A/cmであった。
【0049】
さらに、上記の誘電体層に対して、COレーザ、YAGレーザを照射して、比誘電率、tanδ、および外観上の変化を調べた。また、誘電体層のtanδの増大は、電極(Cu)の誘電体層への拡散を示しているものと考えられ、電極と誘電体層が受けているダメージの大きさを表している。上記の結果について、以下の表に示す。
【0050】
【表1】

上記の表を参照するに、レーザの照射前の誘電体層の比誘電率は80であった。これに対し、例えばCOレーザを出力5J/cmで誘電体層に照射すると、比誘電率は350となるもののtanδが5となっており、Cuが誘電体層に明らかに拡散していることが確認された。また、レーザ出力を10J/cmとした場合には、絶縁層を構成する樹脂材料が燃焼し、誘電体層が破壊されることが確認された。また、レーザ出力を0.5J/cmとした場合には、tanδは1.5程度に抑えられるが、比誘電率は85程度にとどまっており、比誘電率の増大の効果は小さくなっている。
【0051】
また、YAGレーザを用いた場合の結果についてみると、YAGレーザの出力を10〜15J/cmとした場合には、tanδの増大で示される金属の誘電体層への拡散や、さらには、絶縁層を構成する樹脂材料の燃焼、誘電体層の破壊などが確認された。また、レーザ出力を5J/cmとした場合には、tanδは2程度に抑えられるが、比誘電率は120程度にとどまっており、比誘電率の増大の効果は小さくなっている。
【0052】
次に、先に説明した図3A〜図3Eに相当する処理を行って、誘電体層の特性を調べた。すなわち、緩衝層が形成された場合の誘電体層の特性の変化や電極、絶縁層へのダメージの有無について調べた。
【0053】
まず、エポキシ系の樹脂材料よりなる絶縁層上に、Cuよりなる電極を形成した。次に、当該電極上に、スパッタリング方によってTi膜(第1の緩衝層)を厚さが、750nmとなるように形成し、さらにTi膜上にPt膜(第2の緩衝層)を、厚さが2μmとなるように形成した。
【0054】
次に、先に説明した場合(緩衝層を形成しない場合)と同様の方法によって誘電体層を形成し、上記の誘電体層に対して、COレーザ、YAGレーザを照射して、比誘電率、tanδ、および外観上の変化を調べた。上記の結果について、以下の表に示す。
【0055】
【表2】

上記の表を参照するに、例えばCOレーザを照射した場合には、出力を0.5〜10J/cmとした場合に、比誘電率は85〜500となり、レーザの出力の増大に伴って、比誘電率が増大していることが確認された。また、この場合、金属の誘電体層への拡散の程度を示すtanδは、1.5〜2程度であった。また、外観上の変化は特にみられなかった。このことから、緩衝層が形成されたことによって、電極や絶縁層へのダメージを抑制しつつ、誘電体層の比誘電率を増大させることが可能となっていることが確認された。
【0056】
また、YAGレーザを用いた場合の結果についてみると、YAGレーザの出力を、5〜15J/cmとした場合に、比誘電率は120〜600となり、レーザの出力の増大に伴って、比誘電率が増大していることが確認された。また、tanδは、1.5〜2程度であり、外観上の変化は特にみられず、COレーザの場合と同様に、電極や絶縁層へのダメージを抑制しつつ、誘電体層の比誘電率を増大させることが可能となっていることが確認された。
【0057】
次に、上記同様の実験(絶縁層、電極、緩衝層および誘電体層よりなる構造の形成と誘電体層のアニール)において、緩衝層の厚さや構成を様々に変更し、緩衝層の厚さや構成による電極や絶縁層へのダメージを調べた。
【0058】
誘電体層に照射するレーザとしては、先の場合と同様にCOレーザとYAGレーザを用いた。また、緩衝層の厚さ(構成)は、緩衝層無しの場合、Tiの厚さが500nmでPtの厚さが2μmの場合(Ti(500nm)/Pt(2μm)と表記、以下同様)、Ti(1μm)/Pt(2μm)の場合、Ti(1μm)/Pt(3μm)の場合、Ti(1μm)/Pt(3μm)の場合、Ti(10nm)/Pt(10nm)の場合にについて、それぞれ調べた。上記の結果について、以下の表に示す。また、下記の表には、比較のために、緩衝層を形成せず、レーザによるアニール処理も行わない場合と、緩衝層を形成せずにレーザによるアニール処理を行った場合の結果についても併記している。
【0059】
【表3】

上記の表を参照するに、緩衝層を形成しない場合や、または、緩衝層の厚さ(構成)が、Ti(10nm)/Pt(10nm)と薄い場合について、樹脂が燃焼したり、または、tanδが増大し、電極や誘電体層がダメージを受けたことが確認された。
【0060】
一方で、緩衝層の構成が、Ti(500nm)/Pt(2μm)、Ti(1μm)/Pt(2μm)、Ti(1μm)/Pt(3μm)、Ti(1μm)/Pt(3μm)の場合には、それぞれ、レーザ出力を10〜50J/cmとした場合に、誘電体層の比誘電率が400〜680となり、かつ、被誘電体層や電極のダメージが抑制されていることが確認された。
【0061】
上記の結果より、誘電体層に照射するレーザの出力は、1J/cm乃至50J/cmが好ましい領域であることが確認された。また、緩衝層の厚さは、電極や誘電体層が受けるダメージを抑制するためには、50nm以上であることが好ましいと考えられる。また、緩衝層の厚さは、厚くなるとキャパシタそのものの薄膜化が困難となるため、500μm以下であることが好ましい。すなわち、緩衝層の厚さは、50nm乃至500μmであることが好ましい。
【実施例2】
【0062】
次に、上記の緩衝層を含むキャパシタを備えた電子部品(配線基板)の製造方法の一例について、図5A〜図5Kに基づき説明する。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0063】
まず、図5Aに示す工程において、公知の方法によって、積層された絶縁層にパターン配線とビアプラグが形成されてなる構造を形成した。上記の構造においては、エポキシ系の樹脂材料よりなる絶縁層201,101が積層され、絶縁層201には、Cuよりなるビアプラグ202が、絶縁層101にはCuよりなるビアプラグ102がそれぞれ埋設されている。また、絶縁層201には、ビアプラグ101とビアプラグ202とに接続される、Cuよりなるパターン配線100が埋設されている。
【0064】
さらに、絶縁層101上には、ビアプラグ102に接続される、Cuよりなるパターン配線(第1の電極)103が、絶縁層201上には、ビアプラグ202に接続される、Cuよりなるパターン配線(第1電極)203が、それぞれ形成されている。
【0065】
次に、図5Bに示す工程において、パターン配線(第1の電極)103上に、スパッタリング法によって、Tiよりなる第1の緩衝層104Aを膜厚が750nmとなるように形成した。次に、第1の緩衝層104A上に、スパッタリング法によってPtよりなる第2の緩衝層104Bを、厚さが2μmとなるように形成した。このようにして、第1の緩衝層104Aと第2の緩衝層104Bが積層されてなる緩衝層104が形成された。
【0066】
同様にして、パターン配線(第1の電極)203のうち、後の工程においてキャパシタが形成されるものの上に、スパッタリング法によって、Tiよりなる第1の緩衝層204Aを膜厚が750nmとなるように形成した。次に、第2の緩衝層204A上に、スパッタリング法によってPtよりなる第2の緩衝層204Bを、厚さが2μmとなるように形成した。このようにして、第1の緩衝層204Aと第2の緩衝層204Bが積層されてなる緩衝層204が形成された。
【0067】
なお、上記の緩衝層104,204は、スパッタリング法に限定されず、たとえば、CVD法、エアロゾルデポジションなど他の成膜方法によって形成してもよい。
【0068】
次に、図5Cに示す工程において、緩衝層104上に、エアロゾルの衝突による成膜を行って、BaTiOよりなる誘電体層105aを形成した。誘電体層105aの形成は、先に図1で示した成膜装置500を用いて以下のようにして行った。以下図1を参照しながら説明する。
【0069】
まず、原料容器508内に平均粒径0.5μmのBaTiOよりなる粉末Pを充填し、さらに原料容器508に対して、振動機509によって振動(超音波)を加えて加熱することで真空脱気して、粉末表面に付着した水分などを除去した。
【0070】
次に、原料容器508に、ガスライン507からキャリアガスとして高純度酸素ガス(ガス圧2kg/cm2,ガス流量4L/min)を導入して粉末Pをエアロゾル化した。また、処理容器501内を排気ライン511から排気手段512によって排気し、圧力が10Pa以下とした。ここで、エアロゾル化された粉末Pを、供給ライン505を介してノズル504から減圧された処理容器501内の基板上に噴射し、誘電体層の膜厚が2μmとなるように、誘電体層105aを形成した。
【0071】
また、誘電体層105aを形成する場合と同様にして、緩衝層204上に誘電体層205aを形成した。
【0072】
次に、図5Dに示す工程において、誘電体層105aにYAGレーザを照射してアニールし、誘電体層105aがアニール処理されてなる誘電体層105を形成した。誘電体層105a(アニール前)の比誘電率は80であったが、誘電体層105(アニール後)の比誘電率は600となった。この場合、緩衝層104が形成されているために、レーザの照射による第1の電極103へのダメージが抑制された。
【0073】
同様にして、誘電体層205aにYAGレーザを照射してアニールし、誘電体層205aがアニール処理されてなる誘電体層205を形成した。
【0074】
次に、図5Eに示す工程において、誘電体層105上に、スパッタリング法により、Cuよりなる第2の電極106を形成した。ここで、第1の電極(下部電極)103と第2の電極(上部電極)106の間に誘電体層105が形成されてなるキャパシタであって、さらに、誘電体層105と第1の電極103の間に緩衝層104が形成されてなるキャパシタ107が形成された。
【0075】
また、同様に、誘電体層205上に、Cuよりなる第2の電極206を形成し、キャパシタ107と同様の構造を有するキャパシタ207を形成した。
【0076】
次に、図5F〜図5Gに示す工程において、キャパシタ107上に、エポキシ系の樹脂材料よりなる絶縁層111を貼り付け、必要に応じて押圧・加熱してキャパシタ107を絶縁層111で埋設した。また、絶縁層111には、予めCuよりなるビアプラグ112を形成しておき、さらに絶縁層111のキャパシタ107と面する側の反対側には、Cuよりなる導電層113aを形成しておいた。絶縁層111を貼り付けて押圧する際には、ビアプラグ112が第2の電極106に押し付けられてビアプラグ112と第2の電極106の電気的な接続がされた。
【0077】
また、同様に、キャパシタ207上に、エポキシ系の樹脂材料よりなる絶縁層211を貼り付け、必要に応じて押圧・加熱してキャパシタ207を絶縁層211で埋設した。また、絶縁層211には、予めCuよりなるビアプラグ212を形成しておき、さらに絶縁層211のキャパシタ207と面する側の反対側には、Cuよりなる導電層213aを形成しておいた。絶縁層211を貼り付けて押圧する際には、ビアプラグ212が第2の電極206や、またはキャパシタが形成されていないパターン配線203などに押し付けられて、それぞれビアプラグ212との電気的な接続がされた。
【0078】
また、絶縁層111,211は、誘電体層105a,205bを形成する場合と同様にして、エアロゾルの衝突により形成してもよい。例えば、BaTiOよりなる微粒子に換えて、Alなどの金属酸化物よりなる微粒子を用いることで、絶縁層111,211を形成することができる。エアロゾルデポジションでは、粒子が音速レベルに加速されて成膜対象に衝突するために、粒子自身が塑性変形して扁平状となる。また、成膜対象に対してはアンカー(くさび)が打ち込まれるように粒子が変形し、密着性が良好となる効果を奏する。
【0079】
次に、図5Hに示す工程において、絶縁層111上の導電層113aをパターンエッチングし、パターン配線(第1の電極)113を形成した。同様に、絶縁層211上の導電層213aをパターンエッチングし、パターン配線213を形成した。
【0080】
次に、図5Iに示す工程において、先に説明した、図5B〜図5Eの工程と同様にして、パターン配線113のうちの任意のものの上に、緩衝層114(第1の緩衝層114A,第2の緩衝層114B)、誘電体層115,および第2の電極116を形成した。この場合、緩衝層114(第1の緩衝層114A,第2の緩衝層114B)、誘電体層115,および第2の電極116は、それぞれ、緩衝層104(第1の緩衝層104A,第2の緩衝層104B)、誘電体層105,および第2の電極106と同様の方法で形成することができる。
【0081】
次に、図5Jに示す工程において、絶縁層111上に、キャパシタ117を埋設するように、エポキシ系の樹脂材料を主成分とするソルダーレジストよりなる絶縁層120を形成した。絶縁層120に形成された開口部120Aからは、パターン配線(電極パッド)113の一部や、第2の電極116の一部が露出するようにした。
【0082】
同様にして、絶縁層211上に、エポキシ系の樹脂材料を主成分とするソルダーレジストよりなる絶縁層220を形成した。絶縁層220に形成された開口部120Aからは、パターン配線(電極パッド)213の一部が露出するようにした。
【0083】
次に、図5Kに示す工程において、絶縁層120の開口部から露出したパターン配線113と第2の電極116に接続されるように、実装部品(半導体チップ)130を、半田バンプ131を用いてフリップチップ接続した。実装部品130は、半田バンプ131を介してキャパシタ117と、また、多層配線構造(パターン配線113,ビアプラグ112)を介してキャパシタ107と接続された。
【0084】
このようにして、多層配線構造を有するとともに、当該多層配線構造に接続されてなる受動素子(キャパシタ107,207,117)が内蔵されてなる電子部品(配線基板)300を製造することができた。
【0085】
上記の製造方法によれば、容量が大きく、かつ薄型化された高性能のキャパシタを内蔵した電子部品を製造することが可能となる。また、上記の製造方法によれば、キャパシタを電子部品(配線基板)の様々な場所に設置することが可能であり、キャパシタの設置の自由度が高い特徴を有している。
【0086】
例えば、今後は更に半導体チップの動作速度を向上させるために、半導体チップの動作周波数が高くなることが予想される。このため、デカップリングキャパシタの接続のインダクタンスはできるだけ低減されることが好ましい。上記の製造方法によれば、このような要求に対応して、デカップリングキャパシタを半導体チップ近傍に設置することも可能である。
【0087】
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
(付記1)
樹脂を主成分とする絶縁層上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極上に形成される誘電体層と、
前記誘電体層上に形成される第2の電極と、を有するキャパシタを備えた電子部品であって、
前記第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層が、前記第1の電極と前記誘電体層の間に形成されていることを特徴とする電子部品。
(付記2)
前記第1の金属はCuであり、前記第2の金属は、Ti,Cr,Mo,W,Ru,Ptよりなる群より選択されることを特徴とする付記1記載の電子部品。
(付記3)
前記緩衝層の厚さは、50nm乃至500μmであることを特徴とする付記2記載の電子部品。
(付記4)
前記緩衝層は、前記第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い、前記第2の金属と異なる第3の金属を主成分とする層をさらに含むことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項記載の電子部品。
(付記5)
前記第1の金属はCu、前記第2の金属はTi、前記第3の金属はPtであることを特徴とする付記4記載の電子部品。
(付記6)
前記第1の金属を主成分として構成されるとともに、前記第1の電極または前記第2の電極に接続される多層配線構造を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項記載の電子部品。
(付記7)
前記絶縁層は配線基板の層間絶縁層を構成し、前記キャパシタは当該層間絶縁層に積層される別の層間絶縁層に埋設されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項記載の電子部品。
(付記8)
前記配線基板に実装されるとともに、前記キャパシタに接続される実装部品を有することを特徴とする付記7記載の電子部品。
(付記9)
樹脂を主成分とする絶縁層上の第1の電極上に、該第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層を形成する工程と、
前記緩衝層上にエアロゾルの衝突によって誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層にレーザを照射する工程と、
前記誘電体層上に第2の電極を形成する工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
(付記10)
前記第1の電極または前記第2の電極に接続される多層配線構造を形成する工程を有することを特徴とする付記9記載の電子部品の製造方法。
(付記11)
前記第1の電極、前記誘電体層、および前記第2の電極よりなるキャパシタを、前記絶縁層上に積層される別の絶縁層で埋設する工程を有することを特徴とする付記9または10記載の電子部品の製造方法。
(付記12)
前記別の絶縁層は、エアロゾルの衝突により形成されることを特徴とする付記11記載の電子部品の製造方法。
(付記13)
前記緩衝層を形成する工程では、
前記第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い、前記第2の金属と異なる第3の金属を主成分とする層がさらに形成されることを特徴とする付記9乃至12のいずれか1項記載の電子部品の製造方法。
(付記14)
前記第1の金属はCuであり、前記第2の金属は、Ti,Cr,Mo,W,Ru,Ptよりなる群より選択されることを特徴とする付記9乃至13のいずれか1項記載の電子部品の製造方法。
(付記15)
前記レーザの出力は、1J/cm乃至50J/cmであることを特徴とする付記14記載の電子部品の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、小型化・薄型化が容易であって、かつ内蔵された素子の機能が良好である電子部品と、その製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】エアロゾルを用いた成膜を行う成膜装置の一例を示す図である。
【図2A】電子部品の製造方法の一例を示す図(その1)である。
【図2B】電子部品の製造方法の一例を示す図(その2)である。
【図2C】電子部品の製造方法の一例を示す図(その3)である。
【図2D】電子部品の製造方法の一例を示す図(その4)である。
【図2E】電子部品の製造方法の一例を示す図(その5)である。
【図2F】電子部品の製造方法の一例を示す図(その6)である。
【図3A】電子部品の別の製造方法の例を示す図(その1)である。
【図3B】電子部品の別の製造方法の例を示す図(その2)である。
【図3C】電子部品の別の製造方法の例を示す図(その3)である。
【図3D】電子部品の別の製造方法の例を示す図(その4)である。
【図3E】電子部品の別の製造方法の例を示す図(その5)である。
【図4】電子部品の別の製造方法の変形例を示す図である。
【図5A】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その1)である。
【図5B】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その2)である。
【図5C】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その3)である。
【図5D】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その4)である。
【図5E】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その5)である。
【図5F】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その6)である。
【図5G】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その7)である。
【図5H】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その8)である。
【図5I】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その9)である。
【図5J】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その10)である。
【図5K】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その11)である。
【符号の説明】
【0090】
11 絶縁層
12 第1の電極
13 緩衝層
13A 第1の緩衝層
13B 第2の緩衝層
14a,14 誘電体層
100,213 パターン配線
101,111,120,201,211,220 絶縁層
103,203,113 第1の電極(パターン配線)
104,114,204 緩衝層
104A,114A,204A 第1の緩衝層
104B,114B,204B 第2の緩衝層
105,105a,115,115a,205,205a 誘電体層
106,116,206 第2の電極
130 実装部品
131 半田バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を主成分とする絶縁層上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極上に形成される誘電体層と、
前記誘電体層上に形成される第2の電極と、を有するキャパシタを備えた電子部品であって、
前記第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層が、前記第1の電極と前記誘電体層の間に形成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第1の金属はCuであり、前記第2の金属は、Ti,Cr,Mo,W,Ru,Ptよりなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記緩衝層は、前記第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い、前記第2の金属と異なる第3の金属を主成分とする層をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品。
【請求項4】
樹脂を主成分とする絶縁層上の第1の電極上に、該第1の電極の主成分である第1の金属よりも融点が高く、かつ、該第1の金属よりも熱伝導率が低い第2の金属を主成分とする層を含む緩衝層を形成する工程と、
前記緩衝層上にエアロゾルの衝突によって誘電体層を形成する工程と、
前記誘電体層にレーザを照射する工程と、
前記誘電体層上に第2の電極を形成する工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1の電極、前記誘電体層、および前記第2の電極よりなるキャパシタを、前記絶縁層上に積層される別の絶縁層で埋設する工程を有することを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記別の絶縁層は、エアロゾルの衝突により形成されることを特徴とする請求項5記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図5K】
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【公開番号】特開2008−218753(P2008−218753A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54752(P2007−54752)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「ナノレベル電子セラミック材料低温成形・集積化技術」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】