説明

電子部品の実装構造体、及び電子部品の製造方法

【課題】アウトガスによる影響を防止することで電子部品特性の低下を防止可能な、電子部品の実装構造体、及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】接続電極33,34を有する基材3に電子部品1を実装する電子部品1の実装構造体2である。電子部品1は、所定の機能を有する機能片11と、機能片11に電気的に接続される導電部を含む被覆膜25,26により表面が覆われてなる第1の樹脂突起部24と、第1の樹脂突起部24により囲まれる領域の内側に設けられ、少なくとも表面に接着性を有する第2の樹脂突起部15と、を有している。第2の樹脂突起部15は、第1の樹脂突起部24の弾性変形により被覆膜25,26における導電部を接続電極33,34に導電接触させた状態に電子部品1を前記基材3に実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装構造体、及び電子部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、水晶振動子等の機能片を含む電子部品は、水晶振動子に設けられた励振電極と水晶振動子を駆動する駆動回路に接続するための接続電極がハンダ等の導電ペーストにより導電接触した状態で固定される(例えば、特許文献1参照)。このような導電ペーストを用いる場合、例えば落下衝撃などの衝撃が加わった際、水晶振動子と接続電極との接続部が破損するおそれがあり、接続信頼性を低下させる要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−261360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、弾性を有するコア部と、コア部の表面に設けられた導電膜と、から構成されるバンプ電極を上記励振電極に設け、接着材を介してバンプ電極と接続電極とを導電接触させる電子部品の実装構造も考えられる。しかしながら、このようなバンプ電極を採用する場合においては、接着材から発生したアウトガスにより水晶振動子の振動特性を変化させ、信頼性を低下させる虞がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、アウトガスによる影響を防止することで電子部品特性の低下を防止可能な、電子部品の実装構造体、及び電子部品の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の電子部品の実装構造体は、接続電極を有する基材に電子部品を実装する電子部品の実装構造体であって、前記電子部品は、所定の機能を有する機能片と、前記機能片に電気的に接続される導電部を含む被覆膜により表面が覆われてなる第1の樹脂突起部と、該第1の樹脂突起部により囲まれる領域の内側に設けられ、少なくとも表面に接着性を有する第2の樹脂突起部と、を有しており、前記第2の樹脂突起部は、前記第1の樹脂突起部の弾性変形により前記被覆膜における前記導電部を前記接続電極に導電接触させた状態に前記電子部品を前記基材に実装することを特徴とする。
【0007】
本発明の電子部品の実装構造体によれば、被覆膜により覆われた第1の樹脂突起部を電気的接点に用いるとともに、第2の樹脂突起部を接着材として機能させることで良好な導通状態を保持するとともに電子部品を基材上に実装した構造体が得られる。ここで、第1の樹脂突起部は被覆膜に覆われているため、樹脂から発生するアウトガスの影響を防止できる。また、第2の樹脂突起部は第1の樹脂突起部により周囲が囲まれることで、密閉状態とされる。これにより、第2の樹脂突起部から発生するアウトガスの影響を防止できる。よって、アウトガスに起因する電子部品の特性の低下を防止することができる。また、第1、第2の樹脂突起部のいずれも弾性を有しているため、外部からの衝撃が加わった場合でも導通部への付加を低減することができ、優れた導通信頼性を得ることができる。
【0008】
また、上記電子部品の実装構造体においては、前記機能片が、水晶片であるのが好ましい。
本発明は、電子部品が水晶片を備えた水晶振動子を構成する。よって、上述のようにアウトガスによる水晶振動子の振動特性の劣化が防止されるとともに高い導通信頼性を備えた水晶振動子となる。
【0009】
また、上記電子部品の実装構造体においては、前記第1の樹脂突起部及び前記第2の樹脂突起部は、同一の感光性樹脂材料から構成されているのが好ましい。
この構成によれば、例えばフォトリソ法により第1、第2の樹脂突起部を同時に形成することが可能とされる。よって、電子部品の製造工程が簡略化され、製造コストを低減できる。
【0010】
また、上記電子部品の実装構造体においては、前記第2の樹脂突起部の高さが前記第1の樹脂突起部の高さよりも低いのが好ましい。
この構成によれば、第1の樹脂突起部が弾性変形することで導電部と接続電極とが密着し、第2の樹脂突起部を確実に封止状態とすることができる。
【0011】
また、上記電子部品の実装構造体においては、前記第2の樹脂突起部の断面形状における幅が、前記第1の樹脂突起部の断面形状における幅よりも小さいのが好ましい。
例えば、液体状の樹脂材料をスピンコート法等によって塗布、パターニングの後、樹脂を融解させることにより上記第1、第2の樹脂突起部を形成する場合、突起部の断面形状における幅を相対的に大きくすることで突起部の高さを相対的に高く形成することができる。よって、上述のような第2の樹脂突起部の高さを前記第1の樹脂突起部の高さよりも低く形成することができる。
【0012】
また、上記電子部品の実装構造体においては、前記機能片に設けられた電極層により前記被覆膜が構成されるのが好ましい。
このようにすれば、電子部品の製造時に、電極層とともに被覆膜を形成することができ、製造工程を簡略化できる。
【0013】
本発明の電子部品の製造方法は、所定の機能を有する機能片と、該機能片上に形成される第1の樹脂突起部、及び該第1の樹脂突起部により囲まれる領域の内側に設けられるとともに前記第1の樹脂突起部と同一材料からなり、且つ接着機能を有する第2の樹脂突起部と、前記機能片に電気的に接続される導電部を含み前記第1の樹脂突起部の表面を覆う被覆膜と、を有し、接続電極を有する基材上に実装される電子部品の製造方法であって、前記機能片上に接着材としての機能を有する樹脂材料を塗布する工程と、前記樹脂材料をパターニングすることで前記第1の樹脂突起部を構成するための第1の樹脂パターンと、該第1の樹脂パターンにより囲まれる領域の内側に当該第1の樹脂パターンよりも幅が狭く前記第2の樹脂突起部を構成するための第2の樹脂パターンと、を形成する工程と、前記第1の樹脂パターン及び第2の樹脂パターンをそれぞれ融解させることで前記第2の樹脂突起部の高さを前記第1の樹脂突起部の高さよりも低く形成する工程と、前記第1の樹脂突起部を覆う被覆膜を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の電子部品の製造方法により得られたものを基材上に実装する場合、被覆膜に表面が覆われた第1の樹脂突起部及び該第1の樹脂突起部により周囲が囲まれたことによりアウトガスの影響が防止される。この電子部品は、第2の樹脂突起部が第1の樹脂突起部により周囲が囲まれるため、第1の樹脂突起部を弾性変形させることで第2の樹脂突起部を確実に封止状態とすることができ、第2の樹脂突起部から発生するアウトガスの影響も確実に防止できる。このように、アウトガスに起因する特性の低下が防止された電子部品を製造することができる。
【0015】
また、上記電子部品の製造方法においては、前記機能片上に該機能片に電気的に接続される電極層を形成する工程をさらに有し、前記電極層の一部により前記被覆膜を形成するのが好ましい。
この構成によれば、電極層とともに被覆膜を形成することができ、電子部品の製造工程を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】水晶振動子パッケージの断面構成を示す図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】水晶振動子を下方から視た図である。
【図4】図3におけるA−A´線矢視断面構成を示す図である。
【図5】バンプ電極及び接着部の形成工程を示す図である。
【図6】水晶振動子の実装方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
図1は本発明に係る電子部品の実装構造体を適用した水晶振動子パッケージを示す図である。図1に水晶振動子パッケージの断面構成を示す図であり、図2は図1の平面図、図3は水晶振動子を下方から視た図である。また、図4(a)、(b)は図3におけるA−A´線矢視に対応する断面構成図であり、樹脂突起の形状を説明するための図である。
【0019】
水晶振動子パッケージ(電子部品の実装構造体)2は、図1、2に示すように、水晶振動子(電子部品)1と、水晶振動子1を封止する容器(基材)3と、を備えている。水晶振動子1は、図1から図3に示すように、水晶片(機能片)11と、水晶片11を励振する一対の励振電極12、13と、バンプ電極14と、接着部15とを備えている。
【0020】
容器3は、詳細については後述するように水晶振動子1との電気的接続に用いられる接続電極33、34と、回路基板(図示略)などに実装する際の端子電極35、36が形成されている。
【0021】
水晶片11は、平面視でほぼU字状であって、基部21から2つの腕部22、23が同一方向に並列して延びる音叉型の平面形状を有する板状部材である。
一対の励振電極12、13それぞれは、例えばAl(アルミニウム)やAu(金)などの導電材料で形成されており、水晶片11の一面に形成されている。そして、励振電極12は、水晶片11の一面において基部21から腕部22にわたって形成されている。また、励振電極13は、水晶片11の一面において基部21から腕部23にわたって形成されている。
【0022】
バンプ電極14は、基部21の一面に形成されており、上記励振電極12、13に電気的に接続された状態に設けられている。バンプ電極14は、図1及び図3に示すように、突起状の樹脂コア部(第1の樹脂突起部)24と、樹脂コア部24の表面に形成された一対の導電膜(被覆膜)25、26とを備えている。
【0023】
導電膜25、26は、例えばスパッタ法などによる成膜後にパターニングすることで形成されている。本実施形態では、スパッタ法によって形成したAu/Cr層をパターニングすることで励振電極12、13と連続して形成されており、励振電極12、13と導通している。すなわち、水晶振動子パッケージ2は、バンプ電極14を水晶振動子1と容器3との電気的接点として利用している。
【0024】
なお、導電膜25、26は、例えばAu(金)、TiW(チタン/タングステン)、Cu(銅)、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Ti、W、NiV(ニッケル/バナジウム)、Al、Pd(パラジウム)、鉛フリーハンダなどの金属や合金、これらの単層、或いは複数種を積層したもので形成してもよい。
【0025】
図2に示すように、樹脂コア部24は、平面視略、円環形状から構成されており、樹脂コア部24を覆う導電膜25、26もそれぞれ円環形状となっている。また、樹脂コア部24は、後述するようにフォトリソグラフィ技術やエッチング技術によって樹脂材料をパターニングした後、樹脂パターンを融解させることで断面形状が略半円状とされている。
【0026】
樹脂コア部24は上述のように導電膜25、26により覆われることから種々の樹脂材料を用いることができ、例えばポリイミド樹脂やアクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの感光性絶縁樹脂や熱硬化性絶縁樹脂で形成されている(本実施形態では、エポキシ樹脂を用いた)。
【0027】
さらに、基部21の一面における上記樹脂コア部24(バンプ電極14)により囲まれる領域の内側には、突起状の接着部(第2の樹脂突起部)15が設けられている。接着部15は、図1に示されるように、バンプ電極14を構成する樹脂コア部24が後述する接続電極33、34それぞれの表面形状に倣って弾性変形し、導電膜25、26を上記接続電極33、34に導電接触させた状態で水晶振動子1を容器本体31に実装(接着)可能となっている。水晶振動子1は、図1に示されるように基部21が容器3に支持された片持ち支持構造となっている。
【0028】
接着部15は、少なくとも表面に接着性を有する材料であれば種々のものを用いることができ、具体的に本実施形態においては、接着部15を上記樹脂コア部24と同一材料(エポキシ樹脂)から構成している。このように樹脂コア部24及び接着部15を同一材料から構成することで、同一条件にてフォトリソ工程及びエッチング工程を行うことができ、製造工程を簡略化することができる。なお、接着部15は、接着材として機能しない樹脂の表面に接着性を有する接着層を別途形成することで構成してもよい。
【0029】
図4(a)に示されるように、接着部15の高さh1は、樹脂コア部24の高さh2よりも低く設定されている。これにより樹脂コア部24が上述のように弾性変形することで導電膜25、26と接続電極33、34とが密着し、接着部15を確実に封止状態とすることができる。
【0030】
また、図4(b)に示されるように、接着部15の断面形状における幅Bが、樹脂コア部24の断面形状における幅Aよりも小さく設定されている。このように接着部15の幅Bを小さく設計することで、後述する製造工程において上述した接着部の高さh1を樹脂コア部24の高さh2よりも低くする形状を容易に得る事ができる。
【0031】
上記容器3は、容器本体31と、容器本体31を覆う蓋体32とを備えている。
容器本体31は、ほぼ箱状に形成されており、例えばセラミックスなどの絶縁材料で形成されている。そして、容器本体31の底部の上面には、接続電極33、34が形成されている。また、容器本体31の底部の下面には、回路基板(図示略)などに実装する際の端子電極35、36が形成されている。
接続電極33、34それぞれは、例えばW膜上に形成されたNiめっき層上にAu膜を積層することで構成されており、容器本体31に形成された配線(図示略)を介して端子電極35、36それぞれに接続されている。
蓋体32は、容器本体31と同様に、例えばセラミックスなどの絶縁材料で形成されている。そして、蓋体32は、容器本体31の開口部にロウ付けなどにより接合されており、容器本体31との間に形成される空間内に水晶振動子1を封止する。
【0032】
上述したように本実施形態に係る水晶振動子パッケージ2は、バンプ電極14を電気的接点として用い、接着部15により良好な導通状態を保持するとともに水晶振動子1を容器3上に実装することができる。樹脂コア部24は導電膜25、26によって覆われているため、樹脂コア部24から発生するアウトガスが水晶振動子1(水晶片11)の振動特性を低下させるといった不具合を防止できる。さらに、接着部15は図1に示したように樹脂コア部24が接続電極33、34の表面形状に倣って弾性変形することで導電膜25,26が密着した状態となる。すなわち、接着部15はバンプ電極14により周囲が囲まれることで密閉状態とされる。これにより、接着部15から発生するアウトガスが水晶振動子1(水晶片11)の振動特性を低下させるといった不具合を防止できる。
【0033】
このように本実施形態に係る水晶振動子パッケージ2によれば、樹脂材料から発生するアウトガスに起因する水晶振動子1(電子部品)の特性の低下を防止することができ、信頼性の高いものを提供できる。また、樹脂コア部24及び接着部15はいずれも弾性を有しているため、外部からの衝撃が加わった場合でもバンプ電極14及び接続電極33、34における導通部への付加を軽減することができ、優れた導通信頼性を得ることができる。また、フォトリソグラフィ技術によりバンプ電極を作製することができるため、従来の導電ペーストより電極を小型化することができる。
【0034】
本発明の電子部品の製造方法の一実施形態として、上記水晶振動子パッケージ2(水晶振動子1)を製造する工程について説明する。本実施形態では、上記バンプ電極14及び接着部15を形成する工程に特徴を有している。そのため、以下ではバンプ電極14及び接着部15を製造する方法を中心に説明する。
【0035】
まず、図5(a)に示すように、水晶片11の一面にスピンコート法により感光性樹脂材料50を塗布する。具体的に本実施形態では、後述の接着工程において接着材としての機能を有するエポキシ樹脂を塗布した。
続いて、露光及び現像工程を行う。具体的には、図5(b)に示すように、上記樹脂コア部24を構成する第1の樹脂パターンP1と、上記接着部15を構成する第2の樹脂パターンP2と、に対応する開口が形成されたフォトマスクMを用いる。このフォトマスクMは、第1の樹脂パターンP1に対応する第1の開口部H1の幅が、第2の樹脂パターンP2に対応する第2の開口部H2の幅よりも大きくなっている。なお、第2の開口部H2は、第1の開口部H1により囲まれる領域の内側に配置されている。
【0036】
このようなフォトマスクMを用いて露光処理及び現像処理を行うことで、図5(c)に示すように、水晶片11上には第1の樹脂パターンP1及び第2の樹脂パターンP2が形成される。第1の樹脂パターンP1の断面形状における幅H11は、第2の樹脂パターンP2の断面形状における幅H12に比べ、大きくなっている。
【0037】
このように本実施形態では、第1および第2の樹脂パターンP1、P2を同一の感光性樹脂材料から構成することで、同一のフォトリソプロセスによって形成することができる。これにより、製造プロセスの簡略化を図ることができる。また、第1および第2の樹脂パターンP1、P2はフォトリソ法によって形成するため、微細なパターンが形成可能である。
【0038】
続いて、図5(d)に示すように、第1の樹脂パターンP1及び第2の樹脂パターンP2を加熱させ、融解させることにより半円状の樹脂コア部24及び接着部15を形成する。加熱方法としては種々の方法を例示することができ、本実施形態では、例えば水晶振動子1を加熱炉内に入れることで加熱処理を行った。
【0039】
このとき、第1の樹脂パターンP1及び第2の樹脂パターンP2は融解するに従い、幅H12の小さい第2の樹脂パターンP2が幅H11の大きい第1の樹脂パターンP1に比べて高さが低くなる。これにより、水晶片11上には樹脂コア部24及び該樹脂コア部24よりも高さの低い接着部15が形成される。
【0040】
このようにして樹脂コア部24及び接着部15を形成した後、水晶片11上に励振電極12、13を構成する形成する。励振電極12、13は、例えばスパッタ法によりAu/Cr層を成膜した後、所望の形状にパターニングする。具体的には、樹脂コア部24を覆った状態にするとともに接着部15を露出させるようにAu/Cr層をパターニングする。これにより励振電極12、13及び樹脂コア部24を覆う導電膜25,26を形成することができる。このように本実施形態においては、励振電極12、13の一部によって導電膜25、26を形成することで、製造プロセスを簡略化することができる。
以上の工程により、励振電極12、13の接続部に樹脂コア部24及び接着部15を備えた水晶振動子1が製造できる。
【0041】
次に、水晶振動子1の実装方法について、図6を参照しながら説明する。ここで、図6は水晶振動子1の容器3への実装時におけるバンプ電極14を示す断面図である。
まず、水晶振動子1に設けられたバンプ電極14及び接着部15を容器本体31に形成された接続電極33、34に対して接触、押圧させる(図6(a)、図6(b)参照)。なお、水晶振動子1の実装は加熱しながら行われる。
【0042】
このとき、樹脂コア部24は、弾性変形して接続電極33、34それぞれの形状に倣う。そして、導電膜25が樹脂コア部24の弾性変形に伴って接続電極33の表面形状に倣うと共に、導電膜26が接続電極34の表面形状に倣う。これにより、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とが、それぞれ十分な接触面積で導電接触する。また、樹脂コア部24よりも高さの低い接着部15が接続電極33、34に接触する。そして、接着部15を硬化させる。
よって、接着部15は、樹脂コア部24の弾性変形によりバンプ電極14と接続電極33、34とを接着し、導電膜25及び接続電極33と導電膜26及び接続電極34とのそれぞれの接触状態を保持することができる。
【0043】
以上のようにして、水晶振動子1を容器本体31内に実装する。その後、容器本体31と蓋体32とを接合して水晶振動子1を封止する。このようにして、水晶振動子パッケージ2が形成される。
このとき、樹脂コア部24は導電膜25、26によって覆われているため、樹脂コア部24から発生するアウトガスが水晶振動子1(水晶片11)の振動特性を低下させることが防止される。さらに、接着部15はバンプ電極14により周囲が囲まれることで図6(b)に示すように密閉状態となっており、接着部15から発生するアウトガスが水晶振動子1(水晶片11)の振動特性を低下させることが防止される。
このようにして形成される水晶振動子パッケージ2によれば、樹脂材料から発生するアウトガスに起因する水晶振動子1の特性の低下を防止することで信頼性の高いものとなる。
また、水晶振動子1と容器本体31との接続部分に例えば落下衝撃などの衝撃が加わった際、樹脂コア部24が弾性変形してこの衝撃を吸収する。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では平面視円環状のバンプ電極14内に接着部15を一つだけ設ける構成としたが、接着部15を複数配置することで水晶振動子1における本体31への接着強度を向上させるようにしてもよい。また、上記実施形態では、接着部15が平面視円形形状のものとしたが、蒲鉾状に形成してもよい。蒲鉾状とは、水晶片11に接する内面(底面)が平面であると共に、非接触である外面側が湾曲面となっている柱状形状をいう。具体的に、ほぼ蒲鉾状とは、横断面がほぼ半円状やほぼ半楕円状、ほぼ台形状であるものが挙げられる。
【符号の説明】
【0045】
1…水晶振動子(電子部品)、2…水晶振動子パッケージ(電子部品の実装構造体)、3…容器(基材)、11…水晶片(機能片)、12,13…励振電極、15…接着部(第2の樹脂突起部)、24…樹脂コア(第1の樹脂突起部)、25,26…導電膜(被覆膜、導電部)、33,34…接続電極、50…感光性樹脂材料、P1…第1の樹脂パターン、P2…第2の樹脂パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続電極を有する基材に電子部品を実装する電子部品の実装構造体であって、
前記電子部品は、
所定の機能を有する機能片と、
前記機能片に電気的に接続される導電部を含む被覆膜により表面が覆われてなる第1の樹脂突起部と、
該第1の樹脂突起部により囲まれる領域の内側に設けられ、少なくとも表面に接着性を有する第2の樹脂突起部と、
を有しており、
前記第2の樹脂突起部は、前記第1の樹脂突起部の弾性変形により前記被覆膜における前記導電部を前記接続電極に導電接触させた状態に前記電子部品を前記基材に実装することを特徴とする電子部品の実装構造体。
【請求項2】
前記機能片が、水晶片であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の実装構造体。
【請求項3】
前記第1の樹脂突起部及び前記第2の樹脂突起部は、同一の感光性樹脂材料から構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品の実装構造体。
【請求項4】
前記第2の樹脂突起部の高さが前記第1の樹脂突起部の高さよりも低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品の実装構造体。
【請求項5】
前記第2の樹脂突起部の断面形状における幅が、前記第1の樹脂突起部の断面形状における幅よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の電子部品の実装構造体。
【請求項6】
前記機能片に設けられた電極層により前記被覆膜が構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子部品の実装構造体。
【請求項7】
所定の機能を有する機能片と、該機能片上に形成される第1の樹脂突起部、及び該第1の樹脂突起部により囲まれる領域の内側に設けられるとともに前記第1の樹脂突起部と同一材料からなり、且つ接着機能を有する第2の樹脂突起部と、前記機能片に電気的に接続される導電部を含み前記第1の樹脂突起部の表面を覆う被覆膜と、を有し、接続電極を有する基材上に実装される電子部品の製造方法であって、
前記機能片上に接着材としての機能を有する樹脂材料を塗布する工程と、
前記樹脂材料をパターニングすることで前記第1の樹脂突起部を構成するための第1の樹脂パターンと、該第1の樹脂パターンにより囲まれる領域の内側に当該第1の樹脂パターンよりも幅が狭く前記第2の樹脂突起部を構成するための第2の樹脂パターンと、を形成する工程と、
前記第1の樹脂パターン及び第2の樹脂パターンをそれぞれ融解させることで前記第2の樹脂突起部の高さを前記第1の樹脂突起部の高さよりも低く形成する工程と、
前記第1の樹脂突起部を覆う被覆膜を形成する工程と、
を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記機能片上に該機能片に電気的に接続される電極層を形成する工程をさらに有し、
前記電極層の一部により前記被覆膜を形成することを特徴とする請求項7に記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−176884(P2011−176884A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124173(P2011−124173)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2008−247495(P2008−247495)の分割
【原出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】